白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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お待たせ致しました、遅めで短めですが次話投稿です。

オリ設定、独自解釈、ご都合主義が続きます。
あと、劇場版『Memories of Nobody』のネタも出てきます。
ご注意くださいますようお願い申し上げます。

いつもお読み頂き誠にありがとうございます、楽しんでいただければ幸いです。


第179話 もしものifが混ざり合ったPossibilitiesの終結 2

 ___________

 

 ??? 視点

 ___________

 

コォォォォォォォォォォォ!!!

 

 一護から溢れ出る力に感化された拘突は『無』を引き離した勢いのまま拘流の中、加速を続けていく。

 

 そんな拘突の上に載っていたのは銀髪の青年と胡桃色のロングヘアの少女、そして少女以上に長髪な黒髪をなびかせる男女の二人が乗っていた。

 

 一人は円盤のような物を頭上にし、長くなった黒髪を貸された糸でくくり、背中から生えた羽のような物を(感覚で)操って折りたためていた。

 

 もう一人は隣とは対照的に、ぼさぼさとした髪の毛をそのままに下ろし大雑把な背中姿。

 

「「「「……………………………………」」」」

 

 誰もが口をつぐんだまま、ただ座っていたがチエが口を開けたことで、場の沈黙が終わりを告げる。

 

「……そろそろだ。」

 

 彼女の声のすぐ後に、彼らが乗っていた拘突はモクモクと滝のように落ちていく拘流の壁を衝突────

 

 ボフ!

 

 ────せずに壁を突き抜ける。

 

 すると彼らの視界に入ってくるのは暗い闇の中で小さな光を放つ星がちらつく夜空のような景色だった。

 

「ほわぁ。」

「なんだ、これ?」

 

 織姫は目を輝かせ、日番谷は困惑顔になる。

 

「あれって……叫谷か、チエ?」

 

「あれを私は『星の魂』と呼んでいる。 お前たちから見ると、死神たちが『叫谷』と呼んでいるものの亜種だ。 今、私たちがいるこの空間は『物質』から切り離されている。 全ての魂がむき出しになっている状態だ。 ここに長く留まれば留まるほど、存在の維持のために魂が削られていく。」

 

「え?!」

「ちょ?! 大丈夫なのかよ?!」

 

「この速度と強度なら、お前たちが回復不可能になる前に、()()()に到達できるはずだ。」

 

 チエがチラッと見たのはところどころの煙がなくなり、骨格のような物が出ていた拘突。

 

「目的地? チエ、それは────?」

「────あれだ。」

 

 そう言いながら、チエが指さしたのは他の叫谷(星の魂)よりひと際大きかった、真っ白だった月に黒い穴がぽっかりと空いたような球体。

 

 キキィィィィィィィィィィギギギギギギ!!!

 

「「のわぁ?!」」

「きゃ?!」

 

 けたたましい、まるで金属が引き裂かれる音と共に拘突がガクガクと震え始める。

 

「ここからは荒くなる。」

 

「「言うのが遅ぇよ?!」」

 

オオオオォォォオオオォォォオオ。

 

 そう言いながらチエが立ち上がると長いトンネルを駆け抜ける風が無数の人の声のように聞こえてくるような音が聞こえる。

 

「今のは────?」

「────私たちに気付いたようだ。 あとここから先は『有体』だけでなく、『時間()』も無意味になる。」

 

「え────?」

「「だからそういうことは早く言────!」」

「────()()()だ。」

 

 

 

 チエが驚く(ツッコミを入れる)一護たちへと振り返る。

 

 一護たちがいつの間にか接近した球体をバックドロップに見た彼女の顔は珍しく、どこかアンニュイなものだった。

 

 

「ここまで付き合ってくれた()()()()()必ず元の世界に帰す。」

 

「どう────?」

 

 『────オオオオォォォオオオォォォオオ

 

 恐らく『どういう意味だ?』という一護の問いは体を震わせるほどの音量を出した球体によって遮られ、チエは正面へと顔の向きを戻す。

 

「意識を……自我をしっかり持て! そうすれば戻れる!」

 

 月面のような物へと進んでいくチエはギュっと拳に力を入れ、()()を無理やり止める。

 

「(少なくとも、お前たちはな。)」

 

 

 

 ___________

 

 黒崎一護 視点

 ___________

 

「意識を……自我をしっかり持て! そうすれば戻れる!」

 

 そうチエが身体を強張らせながら叫ぶ彼女の姿はどこか寂しそうな、切ないような雰囲気を背中が語り、腕は震えていたような気がした。

 

 ガシッ。

 

「……なんだ?」

 

 そして気付けばその手を思わず握っていた。

 

「いや、その……」

 

 何故そんなことをしたのか自分でも分からず、言葉(言い訳)を探している間、月面に見えるものに衝突する寸前でチエの手がわずかに力んだような気がした。

 

 「……………………………………ありがとう。」

 

 何かチエが言ったような気がしたのが、さっきまでの出来事。

 

「……は?」

 

 だというのに、俺は何で俺ん家の部屋にいるんだ?

 

「……見知った天井だ。」

 

 気付けば、俺はよく見知った天井を見上げていた。

 

 背中には今では懐かしく思う、自分のベッドの感触。

 

 そして窓から差し込む優しい朝日。

 

 反対から俺の顔を覗き込む、ルキアと同じ髪色にオレンジ色の目をした、()()()()()()()()()の顔────

 

「────ってちょっと待て! お前、もしかして茜雫か?!」

 

 

『茜雫』。

 それは『原作』の物語とは直接関係のなかった一時の夢のような出来事で登場した少女────

 

「な、なんでここにいる?! お前、消えたんじゃなかったのかよ?!」

 

 ────の、姿をした『思念珠』だった。

 

 そして詳細は今省くが、一護の言った通り彼女はとある人物たちの策略で現世と瀞霊廷が衝突し、世界が崩壊するのを止める為に貯蓄した莫大なエネルギーを放出し、二つの世界を無理やり引き離した。

 

 自らを犠牲に。

 

 

「あ、起きた♪」

 

 俺は体を起き上がらせている間、にぱっと少女は笑う。

 

「『起きた♪』じゃ、ねぇよ?! 『月』はどうした?! 井上やチエは?! 日番谷は?!」

 

 そこで一護はハッとする。

 

「待てよ……もしかして俺は……死んだのか?」

 

 そう言いながら自分の胸に手を当てると案の定、心臓の鼓動が感じ取られなかった。

 

「違うよ、この早とちり屋。 君は死んでいるんじゃなくて、()()()()()()()()()()。 アタシが『茜雫』のように見えるのなら、そう君の脳はアタシを認知しているだけっていうこと。」

 

 キキィ! ブォォォォン。

 

 ()()()()()()()()俺は窓テラスの向こう側の歩道の、さらに向こう側にある道からくるエンジン音に視線を向けると車やトラック、バイクなどが普通に走っていた。

 

「ここは……鳴木市? 俺、いつの間に?」

 

 ズビビビビビビィィィ。

 

 座っていたカフェテーブルを挟んだ目の前に、今度は三月が楽しそうにジュースをストロー越しに飲んでいた姿。

 

「プハァ! 美味しい~♡」

 

「ちょ……待ってくれ……俺は……俺たちは命を張って『月』に……そうか。」

 

 確かに俺は『月』に向かい、衝突寸前で気が付いた。

 

 そしてチエの言った、『月はあいつ(三号たち)殺す(止める)為に作られた』って言った。

 

 さっきは幼い姿とはいえ、『思念珠(しねんじゅ)』の茜雫。

 今度は似たようなモノの三月。

 

「その顔……憶測ぐらいは持っているんでしょ? 黒崎一護()?」

 

 これで確信した。

 三月(に姿を似せた()か)が半分嬉しさから、もう半分は呆れの笑みを俺に向ける。

 

「お前は……お前こそが『月』ってか?」

 

「正式名は『機物進化界型覚予測情報収納収穫機』らしいわよ?」

 

 …………………………なんかスゴイことを、目の前のこいつがさらりと言ったような気がする。

 

人類(ヒト)が理解できるように言語化しただけなのに、そんな目で見ないでよ。 すこし、お話をしよう? ね?」

 

 俺の呆れた気持ちが顔に出ていたか。

 だが俺は……俺たちはこんな事の為に付いて来たわけじゃない。

 

「じゃあ取り敢えず言うがよ? 俺はこんなまやかしを見に来た訳じゃない。 俺がここに来たのは、俺の町……世界……いや、俺()()の世界を壊されるのを止める為だ。」

 

「……………………」

 

 あ。 こいつ……見た目が三月に似ているだけあって、『それで?』と言いたいような顔をしている。

 

 というか今回は草原のど真ん中にいるな。

 ピクニックにでも来たように、広げられたブルーシートの上に俺は胡坐をかき、三月は向かい合わせに正座をしていた。

 

「なぁ? 何でこんな景色を俺に見せるんだ? お前は……何が目的なんだ?」

 

「ねぇ黒崎一護君? 貴方は何で戦うの?」

 

 こいつ、質問に質問で答えやがった。

 

 しかも値踏するような視線で俺をつま先から髪の毛の先まで見てからジッと俺を見る。まるで俺のすべてを見透かそうとするような……

 それにさっきの『人類』という単語……

 

 まるで────いや、そんなことがあるのか?

 

 今はとりあえず、答えるしかないか。

 

「……俺が戦う理由は、前にも言ったように山ほどの人を守りてぇからだ。」

 

「ならどうして『個人』として()()()戦うの? 『個人』として、出来ることは限られるわ。 何で『護廷十三隊』への加入や、『星十字騎士団(シュテルンリッター)』のような団体や組織をあなた自身は立ち上げようとしなかったの?」

 

 微妙に変化した視線と共に、目の前の少女は肘をテーブルの上に乗せ、さらに顎を手の上に乗せてからジッと瞬きもせずに俺を見つめる。

 

『いつも』……

 つまり、『過去の俺』も含まれているんだろうな、ソウスケ(藍染)の言ったことを考えると。

 

「……『協力』は出来るさ。 けど、組織としてのやり方が気に食わないからだ。」

 

「だから一定の距離を置いていたの? それも、正式な『死神』としてではなく、『死神代行』として?」

 

「そうだ。」

 

「どう、気に入らないの?」

 

 空座一校の屋上に俺は居て、目の前にはもう一人の黒髪の馴染みが立ちながら顔を覗き込むように俺を見上げていた。

 

 今度はたつきかよ?

 ……別にいいけどよ?

 別に女の子っぽい服装と態度を取るたつきが俺の顔を真正面から覗き込むなんて気にしないけどよ?

 だから俺がそっぽを向くのだって、別に深い意味はないからな?

 

 って俺は誰に言い訳してるんだ?

 

「……あいつらはすげぇよ。 やること成すことのスケールが大きいし、周りの大局を見ているけどよ? その為に『大局に必要ない、小さなモノ』と断言されたモノを時には見捨てたり、見ない、聞かないフリをしたり、『尊い犠牲』と綺麗ごと見たいに片付ける。」

 

「でも、それは悪いことではないじゃねぇか?」

 

「確かに『組織』としちゃあ、悪いことじゃないかも知れない。

 けど、ずっとそんなことをしている内に次第に『何を犠牲に』、『見捨てる』、『見ない聞かないフリ』をすればいい基準は、組織が大きくなればなるほど率直に決めなければいけなくなってしまう。

 そしたらいつの間にか『大きなモノの為には小さなモノの犠牲は付き物』が当然となってしまう。 それが『良い』のか『悪い』のか分からないうちに『当たり前だ』ってな?」

 

 長く喋り続けたせいか、乾き始めた喉を潤う為に俺は自然と目の前に置かれていたジュースを口に含んで一口飲む。

 

 ……なんか、懐かしい味がする上に美味いな。

 

「そうなんだ?」

 

 目の前には、幼い頃と思われる井上の姿があった。

 

 マジで今の井上を幼くした感じと、頭をコトンと横にかしげる仕草ですぐに誰だか分かった。

 

 ……昔からこんなに可愛かったのか、こいつ。

 

「ああ。 そうしているうちに、いつか『小さなもの』と称されていたことが五日は合計で『大局』と定められたことより大きくなっていって、複雑化した『組織』ではそれに築けないか、あるいは気付いたとしても上手く立ち回れなくなる。」

 

「そう……………………それが、『今回』の答えなのね。」

 

「『今回』? やっぱり、俺を試していたのか?」

 

 俺の質問に答えずに、目の前のやつはただ微笑みながら口を開ける。

 

「幾度となく繰り返される世界となってしまったのは、貴方の息子である『黒崎一勇』が発端。 だけど、『選定基準』は知性生命体としてみなければダメだった。」

 

「そこで俺を試すってのもな……」

 

「いいえ、黒崎一護君。 貴方はどれだけ自分が周りを影響するのか理解していない。 口にせずとも、周りの者たちは貴方を心に思っているわ。

 もう『藍染惣右介』……いえ、『ソウスケ』から少し聞いたと思うけど……

 この世界は大昔、生と死は普通に分けられていたのよ? そこには『現世』、『尸魂界』、『虚圏』なんていう境はなく、生物が死ねばその魂は輪廻転生で次の世代で同じ世界にある生物へと引き継げられ、完全なサイクルとして在った。」

 

 ……なんだって?

 

「フフ♪」

 

 そう思った俺の疑問がまたも顔に出たのか、目の前の少女がクスリと微笑んでから説明を続けた。

 

 今度は三月か。

 コロコロ姿と服装が変わるところはいい加減慣れたい。

 

「その時、この世界は『私』……いいえ、『()()()()』が生み出した『宇宙(ソラ)』に浮かぶ、無数の火の玉を回る惑星の一つだった。 ああ、火の玉を貴方たちが解りやすく略すると『星』と呼ぶのかしら?」

 

「………………」

 

『宇宙』とか、『星』、『惑星』とか出されても……

 

「いきなり話のスケールが大きくなったな、おい?」

 

「そぉ~?」

 

 今度はおふくろ(黒崎真咲)かよ。

 見た目からして高校生か?

 セーラー服まで着用して……

 

「なぁに? そんなに真剣に見つめちゃって?」

 

 ……通りで親父(一心)が自慢したくなるはずだぜ。

 

「それに急に『私』とか『以前の私』なんて言い出してもな?」

 

 ポカンとした高校時代のおふくろの破壊力半端()ぇ。

 

「そうかしら? ()()()()()()()()()よ?」

 

「いや、そうだけど────あれ? 俺……」

 

 俺は思い浮かべると、あいつ(三月)じゃない()()()がかつて『神』だったモノの一部だとを()()()()

 何でこんなことを知ってるんだ、俺?

 

 それにチエも三月もいない光景……

 

 ()()の記憶だ、これは?

 

 その記憶の中に、見知らない奴が一人いた。

 そいつを俺は()()()()()

 

 ()()

 

「誰だ……三月でも、チエでもない……」

 

「貴方が思い出しているのは、自らを『三号』と名乗り出る前のモノの事。 

 黒崎一護君。 貴方の封印された記憶の蓋が今、この時となって開けられようとしている。」

 

「封印だと? どういうことだ? まどろっこしい言い回しは無しにしてくれ。」

 

「封印は貴方自身の願いでもあったと先に言うわ。」

 

「………………………………………………………………は?」

 

「貴方の息子である、『黒崎一勇』は貴方を『死神代行』の模範として(人生)を続けた。

 彼は自分が認めた仲間にのみ自分の心を開き、頼り、自分の出来うることは全て成していった……それこそ、大きな存在の残滓を取り込むことで消すことも。」

 

「大きな……存在?」

 

「ユーハバッハ。 そう彼は呼ばれていた。 彼は滅却師たちを利用し、霊王を殺してその力を吸収し、世界が一つになることで『生』と『死』が無くなった新しい世界の支配者になることを企んだ男。 

それが最初の世界、『BLEACH』が終わりの道を辿るきっかけとなった。」

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