白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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お待たせ致しました、次話です。

オリ設定、独自解釈、ご都合主義がまだまだ続きます。
あと前話でも記入しましたが、ほのぼのグダグダギャグ満載の甘酸っぱい(?)空間が続きます。
ご注意くださいますようお願い申し上げます。

いつもお読み頂き誠にありがとうございます、楽しんでいただければ幸いです。


第183話 3 World Festivity

 ___________

 

『三世界共同文化祭』、現世side 視点

 ___________

 

「さて、アネット君。 書いてくれないかい?」

 

「何故副会長でもない、ただの書記の私が────」

「────『書記だから』、の理由ではダメかな?」

 

「……チッ。」

 

 一護たちはクラスを分けて、生徒一人ひとりがアイデアを書いた紙を大まかなジャンルにまとめて絞って書かれたモノをアネットが渋々と(舌打ちを)しながら黒板に書いていく。

 

 他のクラスでは票を入れる為に同じようなことを委員長などがしていた様子が窓から伺えられた。

 

 そして黒板に書かれたものを一護は見────

 

「(────いやいやいや。 『休憩所』や『映画館』関連はともかく、『メイド喫茶』とか『合コン喫茶』ってどういう意味だよ? それ書いた奴………………………………………………………………………………って、浅野辺りか。)」

 

 そういう系を書く人物に心当たりを一護は付けた。

 

「と言う訳で鉛筆だとこすれて上手く読めとれないこともあるからこの中から()()()二つ、最大まで三つを書いてクラスの端にある箱に入れてくれ。 結果発表は明日か明後日になる。」

 

 そう雨竜が言ったきり、クラスがザワザワするのを背景音に一護は紙に記入していくと茶渡が横から声をかける。

 

「一護、()()()()()は元気にしているか?」

 

 ここでの『ミーちゃん』は三月のフリをしたリカではなく三月本人を指していた。

 

「ん? ああ、マイさんたちが居なくなっても元気だぞ一応。」

 

「……そうか。」

 

 茶渡は多くは語らなかったが、一護は見た目だけでなく周りから消えた人も含めた質問と思い上記の答えを出した。

 

 一ヶ月前の騒動後、知人の何人かは未だに行方不明のままだった。

 

 まずはマイとツキミの二人が姿を消していたが、三月は捜索願いを出さずにただ『大丈夫だから』との一点張り。

 

 だが二人だけでなく、空座町の住人や空座一校の空手部の大半が跡形もなく()()()ことを聞いた彼女はボソリと『原作の……』と言ったことから恐らく、『物語(BLEACH)』で本来は亡くなった者たちが『居なくなっただけ』と一護たちは思った。

 

 未だに、自分たちが架空上の作品で出てくる人物(キャラクター)たちとは認めなかったが。

 

 無論、現世の者たちからすれば今でも消息を掴めていないので『月に飲み込まれた』という認識が強かったので捜索は半ば『巡回』と化していた。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 時は過ぎ、出し物の投票結果が終わった生徒会室へと移る。

 

 中には雨竜を始め、総合された様々な学年の男性で結成されていた。

 女子たちは投票されたものの中から『合コン喫茶』や『メイド喫茶』などの()()()()()を書かれた紙をチェックして処分(焼却)してから早帰り、あとは男子たちに任せる交渉を男子たちに持ちかけていた。

 

 ぶっちゃけ、面倒くさいことを男子に押し付けようとした結果で男子たちだけが今残っていた。

 

 中の空気は面倒ごとを押し付けられた者たち特有のイライラとしたものでは無く、どこか戦闘前のピリピリと張りつめた物だった。

 

「さて、諸君……………………準備は良いかね?」

 

 ゲンドウポーズをしていた雨竜の言葉にその場にいた者たちがこくりと頷く。

 

「では、始めるぞ。」

 

 それを言うと皆がマスクを着用し、生徒会室の端に置いてあったバケツ数個から蓋を開けて中の液体に投票が書かれた紙を丁寧に浸していった。

 

 

 

 ___________

 

 三月 視点

 ___________

 

「フゥ~。」

 

 上記で男子生徒たちが明らかに怪しい作業をしている間、三月はため息を付きながら公園のベンチに座り、足をプラプラとさせていた。

 

 両手にはショッピング袋のみ。

 

 一緒にアパートから出たはずのソウスケとイチネの姿は無かった。

 

「(どうしよう、二人が迷子になっちゃった。)」 ←迷子になった人特有の言い訳

 

 つまりはそういう事である(二人を見失ってしまった)

 

「おい、そんなに引っ張るなよピン太!」

「早くしねぇと商店街の試食タイム終わっちまうだろうが?!」

 

「(う~ん……急に無理やり覚醒(起こ)された所為もあるかも知れないけどこの頃ボーっとするな~。)」

 

 そう思いながら晴天の空を見上げる。

 

「(それに……1()0()()()()()()()()って意外と難しい。)」

 

「いてぇぇ!!」

 

「んえ?」

 

 再度離れたところから来る声に三月の意識は出元へと向けられる。

 

 そこには自分より一回り体格の大きい中学生たちが居た。

 

 その中でもサルに似た少年が転んだのか来ていた制服は汚れ、裾をたくし上げて露になった膝には擦り傷から血が出ていた。

 

「あーあ、制服も破れてるじゃん。 だからお前のとこ貧乏なんだよ。」

 

「うるせぇよウサカ!」

 

「あのぅ、診ましょうか?」

 

「「「「え?」」」」

 

 中学生たちの四人は近くのベンチから飛び降り、トテトテと近づいた三月を見る。

 

「え? 女子?」

 

「傷、見せてください。」

 

「お、俺は怪我なんてしてねぇ!」

 

 見栄を張るサルに似た中学生が見栄を張る。

 

「血、出ている────」

「────こんなもん、ツバつけときゃ治る!」

 

 「ダメ。 洗うから足出して。」

 

「ア、ハイ。」

 

 見た目にそぐわない迫力を出す三月に少年は思わず素直になると、彼女は慣れた手つきで処置を施し始める。

 

「……お前、迷子か? 学校、サボってんのか?」

 

「……えっと? (迷子と言うか見失ったというか……)」 ←未だに迷子と気付きたくない人の特有の内心

 

「ピン太、そんなんじゃダメだってば。 まずは名前ぐらい言わないと、あ、俺『上原 敬(うえはらけい)』な! ドナルド似だから周りからは『ドニー』って呼ばれている! んでこいつは『東条院平太(とうじょういんへいた)』。 スゲェ名前してるけど貧乏だから『ピン太』。」

 

「(あれ? 『ピン太』に『ドニー』…………う~ん?)」

 

「お前、ここらへんはまだいいけどもうちょっと外れたところはダメだかんな。 てかお前、学年いくつだ? 親とかは? 名前は?」

 

「はぇ?!」

 

 そこで己の記憶を辿ろうとした三月に問いが次々と投げられ、彼女は考えを遮られる。

 

「えっと、こ────6年生です……かな?」

 

「なんで疑問形なんだよ?」

 

「う。 (この姿だと『以前の世界(Fate stay/night)』でもそのぐらいだったし……でも『この世界』基準だと中学生────)」

「────え? 6年生(12歳)? 見えないな。」

 

「だよな! もっと下だと思ったぜ! 3年つっても驚かねぇよ!」

 

 急に今まで黙っていた眼鏡の子が口を挟み、もう一人が同意を示す。

 

「(ま、まさかの一桁(9歳)ぁぁぁぁぁぁぁ?! い、いえここは冷静になるのよ私! 彼らからすればそう認識されているのだから怒るのはかえって悪手。 ならここは『大人(年上)の余裕』を見せつけるべきよ!)」

 

 三月はかなりのショックを受けるもすぐに頭を切り替え、怪我の手当てを終わらせ、さっきの質問にさっさと答える。

 

「親はいない。 義父もいたけど少し前に亡くなって今はお兄ちゃんと暮らしている。 名前は、()()三月だよ♪」

 

 スラスラと答えてニッコリと笑顔を向ける。

 

 動揺からか、嘘を含んでいない()()を口にして。

 

「「「ファ?!」」」

 

 その眩しい、純粋な笑顔に男子たちは頬を赤らませてそっぽを向く。

 

「??? あの、手当できましたけど……」

 

 キョトンとする三月にドニーが耳打ちをピン太にする。

 

 「おい、ピン太。 流石にお礼は言えよ?」

 

分かってるって! あ、ありがとう。」

 

 ポン。

 

「うん、よく言えました♪。」

 

 ナデナデナデナデナデ。

 

「のわ?! こ、子ども扱いすんじゃねぇ!」

 

「(あ、()()癖でやっちゃった……でもなぁ、この子見ているとどことなく素直じゃない人(間桐慎二)を思い出すんだよなぁ~……) う~ん、別に子ども扱いしている気は無くてね? 子供でも大人でも痛いものは痛いから────」

「────ああああ! 見つけたー!」

 

「やれやれ……」

 

 そこで迷子になっていた(と未だに強く三月が思う)イチネとソウスケと三月は合流し、別れながらピン太たちに手を振る。

 

「……………………………………」

 

「どうかなさいましたか、母上?」

 

「貴方に『母上』呼ばわりされたくないよ、ソウスケ。 そもそもアレ(三号)は『前の私』だったとしても、『今の私』じゃない。」

 

「では小母(おば)様と────」

 「────それはもっとヤダ。」

 

「ああ、おば(小母)様。 そういえば────」

「────サラッと話題を変えすんなし────」

「────浦原さんから連絡が来ていましたよ? “第二崩玉の器完成っス♪”って。」

 

「待ってましたー!」

 

「やっぱりお兄ちゃんの言った通りに三月お祖母ちゃん元気になった!」

 

う゛。 い、イチネちゃん? それだけはやめて。 生身でむき出しのマイハートのHPが地味に削られて────」

「────よかった♪」

 

「……………………………………………………早く浦原さんの所に行って、『世渡り』が出来るようになってくる。」

 

 余りにもキラキラとした笑顔に全く悪気のない言葉に三月は前向きに考えを変えた。

 

「わぁ~い!♪」

 

 それに全く気付かないイチネ。

 

「『世渡り』……それを見るのが楽しみだね……ここではない世界を観光してみるのも一興だね。」

 

「『観光』だけじゃなくて『貿易』目的がメインだけどね。」

 

「そうだね。 元々彼らが崩玉や、君や僕のことを了承(承諾)したのも彼の生きる、この世界の負担が軽減できるかもしれない希望からだ。 つまり、失敗は許されないという事だ。」

 

「…………考えるだけで胃が痛くなる……雁夜()()おじさん(切嗣)たちの苦労が分かったような気がする。」

 

「おば様でもそうなるんですね?」

 

「……ソウスケは私をいったい何だと思っているの?」

 

「何、簡単に『自ら創造した亜神たちによって存在をバラバラに引き裂かれて意識ごと封印された創造神の一部が人間を模範して覚醒した個体』さ。」

 

「………………………………………………………………」

 

「あれ? 君の性格からして何らかの()()()()が入ると思ったのだけれど……違ったかな?」

 

「なんでさ。」

 

 そう、三月は言うしかなかった。

 

「なんでさ!♪」

 

「(あ。 なんか良いかもこれ。)」

 

 そしてそれをイチネが真似するように復唱すると密かにそう三月は思ったそうな。

 

 

 

 ___________

 

 ピン太、ドニー、ウサカ、リョーヘイ 視点

 ___________

 

 

「「「「………………………………………………」」」」

 

 三月をソウスケたちが合流し、別れた後のピン太たち四人はただ黙り込んでその場を去った者たちの背中が見えないところまでじっと見送る。

 

「……行っちゃったな。」

「ああ。」

「『衛宮三月』、か。」

「あのロン毛の眼鏡が『お兄ちゃん』なんだろうな。」

 

 ちなみに三月たちがもしこれを聞いていればソウスケはただ笑い、三月は全力で否定をしていただろう。

 

『お兄ちゃんはこんな腹黒策士じゃない! もっと天然だもん!』、とか。

 

「「「「………………………………」」」」

 

 イチネも一応さっきは居たのだが、さらに幼い少女だった彼女のことは三月の姉妹か何かと考えて脳の片隅にその情報を処理した四人はまたも黙り込む。

 

 商店街の試食などはもう頭から綺麗さっぱりに消えていた。

 

 すると自己紹介をしなかった四人目、『戸羽龍平(とばりょうへい)』が携帯を出して唯一連絡先を知っている女子にメールを送る。

 

 ピロン♪

『なぁ、夏梨? “衛宮三月”って知ってっか?』

 ピロン♪

『衛宮は知らないけど、三月なら一人知っている。 ……なんで?』

 ピロン♪

『いま会って、スゲェ可愛かったから。』

 

 それを打ってから数分ほど経った頃に夏梨の返事は届いた。

 

 ピロン♪

『リョーヘイの事だから連絡してきた理由は想像できていたけどアタシから忠告。 すでに彼氏持ちらしいよ?』

 

 「な、なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ?! すでに彼氏持ちだとぉぉぉぉぉぉぉ?!」

 

 リョウヘイの叫びによって近くにいた鳥たちは飛び立つ。

 

「あ。 でもそれ、逆に良い(萌える)かも。」

 

 オイバカヤメロシャレになんねぇゾ。

 

 下手したら『無限の剣製希望』で(物理的に)串刺しにされるぞ?

 

 その先は地獄だぞ?

 

 

 

 

 ___________

 

『三世界共同文化祭』、現世side 視点

 ___________

 

 「「「「「ええええええええええええええええええ?!」」」」」

 

 ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ!!!

 

 次の日、空座一校に女子たちの驚愕する声が響き渡り、ドタバタと学校通路を走る紫蝋色の誰かが生徒会室目掛けて走っていた。

 

「来たか。」

 

 そう短く言う雨竜や他の生徒会員が居座っていた部屋のドアが乱暴に開けられる。

 

 バタン!

 

 「やりましたねこのクソ眼鏡!」

 

 入ってきたのは鬼の形相をしながら怒りに満ちていたアネット。

 

「ブクブクブクブクブクブク……」

 

 そして彼女の腕の中では余り過ぎる力を入れたハグによって呼吸困難になり、意識を失いつつある小柄なリカが泡を吹いていた。

 

「石田! アンタねぇ! やっていい事と悪い事はあるとわかる奴だと思っていたよ!」

 

 そして彼女のすぐ後ろには同じく今にでも怒りで爆発しそうな竜貴の姿。

 

 恐らくだが、二人が色々な意味で女子の代表的な意味で生徒会へ殴り込みに話し合いをしに来たのだろう。

 

「何のことかね、アネット君に有沢君? それに眼鏡はアネット君もそうだろう?」

 

「とぼけないでくださいクソ眼鏡が! あの結果のはられた張り紙の事です!」

 

「提出された票をもう一度見て、数えるかい?」

 

「見なくても何らかの細工がされているのでしょう?! 何ですか、一位の『メイド&バトラー喫茶(ケモミミ尻尾付き)』って?!」

 

 「そうだそうだー!」

 

 雨竜が眼鏡をかけなおすも、光を反射させたままでは彼の目を伺うことを何人たりともできなかった。

 

「メイド&バトラー喫茶なんて、定番だろ?」

 

 私は“ケモミミ尻尾付き”のことを言っているんです。 頭が沸いているのですか?

 

 パキッ。

 

「うお?!」

 

 アネットは未だかつてない程の冷た~い目と声で雨竜を今にでも視線のみで殺すような睨みを利かせると、彼女の眼鏡のガラスにヒビが入り、髪の毛も()()()()()うねり始めると流石の竜貴もビックリする。

 

 地味に髪の毛が蛇の様に『シャー』と威嚇しながら彼女に迫るような、そうでもないような絵図も上記のイメージ作りに加担していただろう。

 

『奇妙な冒険』風だと正しく背景には『ゴゴゴゴゴゴゴ』が浮かんでいる事案である。

 

「じゃあここにいる皆に問おうじゃないか……皆は癒しが欲しくないかー?!

 

「欲しい! 欲しい! 欲しい!」

 

「クッ……この、欲物共がッッ!」

 

 雨竜の問いに生徒会にいた者たちが一斉に声を上げ、アネットは怖じ気そうになるのを上記の言葉を吐き捨てることで騙す。

 

「あ、それ知ってる。 『風の谷』でしょ?」 ←中の人繋がりで合っている

 

「『悪堕ちモモ』と呼ぶらしいです。」 ←髪型繋がりだけで全然違う

 

 アネットたちが他メディアのネタを言い合う間にも、雨竜の呼び掛けは続いていた。

 

 「皆は井上君がメイド服を着ている所を見たくないかー?!」

 

 「見たい! 見たい! 見たい!」

 

「ングッ! (危ないところでした! 腕の中にリカお姉さまが居なければ即死でした!)」

 

 思わず声を出しそうになったアネットは腕に力を更に入れて堪える。

 

 ググググ。

 

 そしてリカの顔色は土色に変わっていく。

 

 「アネット君は小さい渡辺君がメイド服を着ている所を見たくないかー?!」

 

 ドサッ。

 

 「見たいです!♡ 見たいです!♡ 見たいです!♡」

 

 アネットは両手を思わず上に掲げて雨竜の言葉に同意を示し、リカはそのまま床へと落とされる。

 

「「「「「「…………………………………………………………………………」」」」」」

 

 パシャ。

 

 雨竜を除いた誰もがデッレデレに歪んだ顔を浮かべたアネットを見ては携帯電話を出してカメラレンズにその姿を押さえる音と雨竜がニィっと笑みを浮かべることでアネットはハッとする。

 

「……………………………………ハッ?! わ、私は何を?!」

 

「聞いたよね、皆? アネット君も同意したよね?」

 

 アネットが雨竜の視線を追い、背後を見ると彼女と竜貴にやっと追いついた女子たちの姿が────

 

「────うわぁ……」

「────そう言えば、たまに視線が……」

「────アネットさんって、やっぱり……」

 

NOOOOOOOOOOOOO(ノー)?!」

 

 アネットがガクッと項垂れる。

 

「アネット、アンタ……女だよね?」

 

「……たつきさんには私が男に見えるのですか?」

 

「いや、時々千鶴のような感じがすると思ってはいたんだけど……やっぱ、()()()系?」

 

「失礼ですねたつきさん。 私をあれと一緒にしてください。」

 

 その間にリカはそろ~りとその場を後にしていた。

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「『出し物』だぁ?」

 

「そうだよ。」

 

「メンドクセ~。」

 

 空座町から少し離れた鳴木市のビル内の一室で、一人の男がソファーに寝転びながらだるそうな口調で、大きな机の後ろ座りながらピコピコとゲーム機を弄っていた少年にそう返す。

 

「ちなみにフォラルルベルナコーポレーションとしては全面協力する返答をもう送ったから。 銀城の名前で。」

 

「オイちょっと待て雪緒?! 俺は何も聞いていねぇぞ?!」

 

「当たり前じゃん、今言ったんだから。」

 

 「おい?!」

 

「日本では『働かずもの食うべからず』っていうんだっけ? それに以前の騒動で迷惑かけたらしいじゃん?」

 

「それはあの藍染って野郎が勝手にしただけだ!」

 

 もう肝に察しているかもしれないが、上記の言い争う二人は元(?)XCUTIONの雪緒と銀城。

 

 雪緒は一ヶ月前の騒動時、己の完現術である『画面外の侵略者(デジタル・ラジアル・インヴェイダーズ)』をフルに使って鳴木市の一部をデジタル空間(セーフゾーン)内に変え、市民を保護していった。

 

「まぁまぁ銀城、雪緒にも一理あるよ? アタシたちだって汗水流して働いているんだから。 それにアンタの貯金も底をついているんだろ?」

 

「月島、テメェ(裏切り)やがったな?!」

 

「僕は何もしていないさ。」

 

「不用意に銀城が領収書を置いたのを、こいつ(月島)は放置していたけどね。」

 

 「やっぱ月島の所為じゃねぇか!」

 

 部屋の片隅にはスーツを着たジャッキー、そして月島。

 

 ジャッキーは雪緒と行動をしていた故に市民の避難を手伝っていた際、()()()()()()()()()()()()()()()

 

 バァン

 

 「うるせぇぞ空吾!」

 

「ゲッ。 でたか、『月島狂言者』。 てか何気に俺を呼び捨てかよ。」

 

 ドアを蹴り倒す勢いで開けたのはそこら辺のコンビニ前でたむろうチンピラ風の獅子河原萌笑だった。

 

「あったりめぇだ、この引きこもり根暗野郎! 月島さんはテメェと違ってなぁ?! 心にもない笑顔をしながらクソ爺共にへこへこ媚び売って腰曲げてんだよ!」

 

「しかたないよ獅子河原くん。 この中で外交官に向いている(一番まともな)のは僕なんだから。」

 

「なんかトゲがある言い方だけど、月島のおかげでこの会社が急拡大しているのは確かだね。 と言う訳で出し物の企画を銀城ともどもよろしく。」

 

「「おい。」」

 

 このように『XCUTION』の大半は今日も雪緒の会社、フォラルルベルナコーポレーションに努めていた。

 

 銀城、月島、獅子河原の三人はあの夜、()()()()となった。*1

 

 否、『消えた』と呼ぶ方が正確だろう。

 

 と言うのも本人たち自身、次に気が付けば驚きからか腰を抜かした雪緒と驚愕するジャッキーが目の前にいたと認識していた。

 

『お、お前らだと?! 何で?!』

『雪緒にジャッキー? な────ゴフゥ?!』

 

 銀城と、(特に)月島の二人はあの夜の傷を負ったままの状態だった。

 

 後からジャッキーが避難した人たちの中から医療に覚えのある者たちに応急処置をさせてから銀城たちがジャッキーに事情を聞くと、どうやら鳴木市に異変が起きる直前に『ロン毛でオールバックの俺王様っぽい(あん)ちゃん』がボロボロのゲーム機を渡したそうな。

 

『騒動が終わった後にこのゲーム機をフォラルルベルナ君に作動させたまえ』、と言い残し。

 

 そこですでにジャッキーは目の前の男が少なくとも雪緒の完現術の性質を知っていることで警戒するも、恐怖を感じさせる圧力からただ首を縦に振りながらゲーム機を手にした。

 

 その渡されたゲーム機を雪緒に持っていくと、今度は雪緒が嫌な汗を掻く。

 

 渡されたゲーム機はボロボロとはいえ、彼の持っていた物と()()だったからだ。

 

 それを忘れる為に雪緒はとりあえず、世界の異変に便乗して勢力(ネームバリュー)を拡大することに没頭。

 

 騒動後、何度も作動するかどうかを迷った挙句に『最悪の場合自分のインヴェイダーズ・マスト・ダイで作った空間に逃げ込めばいいや』と思い作動すると上記の銀城たちがそのまま表れた。

 

 それが、『XCUTION』に関する者たちの────

 

「────何なのよこれぇぇぇぇぇ────?!」

 

 ────ちなみにどうでも良いことかもしれないがその時、毒ヶ峰リルカは空座一校の制服を身に着け、空座一校の学園通路にはり出されていた『文化祭結果発表』とやらに目が釘付けになり、口をあんぐりと開けて叫んでいたそうな。

*1
117話より




もうすでに察しているかもしれませんが京楽たちの出番は次話になってしまいました。

……どうしてこうなった?

平子:フラグ立て過ぎやねん、ワレ。
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