白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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大変お待たせ致しました、謎のサーバーエラーが発生して慌てていましたが短めの次話投稿できました。

いつもお読み頂き誠にありがとうございます、楽しんでいただければ幸いです。


第186話 3 World Festivity 4

 ___________

 

 『三世界共同文化祭』参加者 視点

 ___________

 

「どうしたの、黒崎君?」

 

「いや、その、別に?」

 

「……もしかして私と文化祭をまわるの、嫌だった?」

 

 バトラー服を着こんだ一護の隣には自分たちの出し物を宣伝するサインを持ったヴィクトリアンメイド姿の織姫(ヘアバンドによってフェレットの耳と尻尾付き)。

 

 なお彼女が初めて一護のライオン(獅子)耳を見て(30分ほど静かに悶えた後に落ち着いて)の開口一番は『黒崎君らしいね!♪』だった。 

 

 ちなみにチエの反応はと言うと────

 

『────確かに。』

『コンみたいで俺は嫌なんだけどなぁ……』

『……ああ、そういう風にも繋がるか。』

 

 ────と彼女は返したそうな。

 

「(未だに何が“俺らしい”のか知らねぇが。) ああ、嫌とかじゃねぇよ。 ただ、何で宣伝のために俺ら二人が指定されたのか考えていただけだ。」

 

「う~~ん、真花ちゃんが言うには『この世の美を“教室内”と言う小さな世界に閉じ込めるのはもったいない! 内側と外側のハニトラ作戦よ! S級たちを宣伝と現場に置くよ!』って言ってた。」

 

「………………………………………………………………………………………………『はにとら』ってなんだ?」 ←いろいろと突っ込みたかったが敢えて知らない単語に引っ掛かりを感じた一護

 

「さぁ? みちるちゃんは赤くなっていたけど、答えてくれなくて……」 ←みちるが友人たちの中で一番ミーハーなのを知らない織姫

 

 ザワザワザワザワザワザワ。

 

「おおお……」

「メイドだ! リアル獣人メイドさんだ!」

「黒崎がライオンって……あれ? でもなんかしっくりくる……かも? なんで?」

「あの黒崎がバトラー服……だと? つまりは命令し放題?!」

「井上先輩がメイド…………………………つまり夜は────?!」

「「────お前は黙っとけ時代遅れが。」」

 

 二人が他愛ない話をしながら通路を歩いた後のざわめきの招待は大体このようなものである。

 

 無理もないが。

 

 何せ本人たちでさえ未だに互いを直視せずにただただ前を見て時折にチラチラと横目で見る程度。

 

 この二人の内心を言葉で表すと、一護は単純に『似合っている』の一言で片づけられるだろう。

 織姫は彼女特有の織姫ビジョンから生まれる、まさに雪崩のような表現を略化すればと言う前提付きだが。

 

 二人がブラブラと歩くこと15分ほど、屋台が出されている校庭へととうとう出ると────

 

「────あ、見て見て黒崎君! 『お化け屋敷』だって!」

 

 片手にタコ焼き(青ノリ無し)を持った織姫ははしゃい(全力)で文化祭を楽しんでいた。

 

「(井上……俺らが宣伝役なのをすっかりと忘れているな。) って、『お化け屋敷』ぃ~?」

 

 一護が見たのはそれっぽく組み立てられたプレハブ式の家。

 

「うわ~、凄そうだね!」

 

 そして織姫が見たのは外には顔を真っ青にしながら気を失った面々の者たち。

 

「あ! 黒崎さんに井上さん! お久しぶりです!」

 

「おう、久しぶりだな山田。」

 

 気を失った者たちを看護していたのは山田花太郎を始めとする様々な四番隊などの者たち。

 

 ちなみに気を失っていたのは殆んどが十一番隊の猛者たちだった。

 

「てか、『死神がお化け屋敷を怖がる』ってどういうことだ?」

 

「いや~、この人たちが『お化け屋敷』を『肝試し』と見てか破面の方たちが開く武道会の前座として入ったんですけれど……結果は御覧の通りです。」

 

 

ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああ?!』

 

「ハァ、またですか……」

 

「「え。」」

 

 中から更に悲鳴が出て一護たちが見たのは担架に乗せられ、ブクブクと泡を吹きながら気を失った恋次。

 

い、い、い、い、い、い、い、い、い、い、一護にい、い、い、い、い、い、い、い、井上か?!」

 

 そして肩を四番隊員に貸せられながらそれに付き添うようなルキアも顔を真っ青にしていた。

 

「ど、どうしたんだよルキア?!」

 

 その尋常ではない様子に一護が駆け寄る。

 

あ、あ、あ、あ、あ、あそこだけはダメだ!!」

 

 彼女がテントへと連れ去れながら震えながら指さすのは先ほど悲鳴が上がった『お化け屋敷』だった。

 

「(どんなことがあればあんなに怖がるんだ?)」

 

「行ってみようよ黒崎君!」

 

 「え。」

 

「二名お願いしま~す!」

 

 そう言われて織姫に一護が引きずられた入り口に立っていたのは────

 

「────じゃあ二名で~。」

 

「リカお前……何してんだ?」

 

 何時もとは違う、ダボダボでサイズの合っていない白衣を着たリカだった。

 

「何って……モルモットの選抜ですが?」

 

 「言い方ぁぁぁぁぁ?!」

 

「白衣、似合っているね!」

 

「恐縮です。」

 

 一護はどう反応すればいいのか分からない、複雑な表情を浮かべていた。

 

「と言う訳で中へどうぞ、別に手を繋いだり抱き合ったりしても良いですがシないでください。」

 

「「何を?」」

 

「ナニで~す。」

 

「「????????」」

 

 一護と織姫は?マークを出しながらも、暗い家の中へと入っていく。

 

「暗いね~。」

 

「あ、ああ。」

 

 暗いからか、織姫は一護の横に(かつ若干後ろで)密着しながら彼の後を歩く。

 

 暗く、ジメジメし、明らかに見た目より仲が広くなっていたお化け屋敷をただ歩く。

 そのとき、不意に織姫が口を開けた。

 

「……ねぇ、聞いていいかな黒崎君?」

 

「うん? なんだ?」

 

「黒崎君って、チエちゃんのことをどう思っているの?」

 

 それは、彼女がずっと無意識ながらも感じていた疑問。

 発端はかつて、真花が恋バナを話した時からだった*1

 だがあの時の織姫はあんまり深く考えておらず、そもそも『異性との恋愛』と言うものを理解していなかった。

 

 さて。

 以前に書き示したことがあると思うが、井上兄妹の織姫と(ソラ)の二人は実親から虐待を受けていた。

 成人して間もない時期に()が織姫を連れ出すほどに。

 

 そんな彼女に『家族愛』すらどころか、『異性との愛を理解しろ』と言うのは酷である。

 

 だが様々な展開や出来事に巻き込まれ、時には自分から飛び込んだ経験をした彼女は急激的な成長をした。

 

 それは能力の意味でも、人間(ヒト)としても。

 

 その感情にようやく自覚を持ったのは藍染率いる破面によって脅され、虚圏へと連れていかれる事実の前に覚悟を決めようとした時*2

 

 自分がもう二度と知人たちに会えないと思い込んでいた彼女の脳に浮かんだ考えの中で、『黒崎君(一護)と離れたくない』という明確なモノが真っ先に浮かんでいた。

 

 これが『恋』と言うものと気付くのにさほど時間は掛からなかったが、色々あって上手く一護にこのことを打ち明けられずにいた。

 

 と言うのも、今の関係が変わるのを怖がっていたのも理由の一つだがそれよりも子供のころからずっと自分より彼と長い時間を過ごした者たちが居たのも要因の一つだった。

 

 以前の彼女たちは一護のことを手のかかる『孫』、あるいは『弟』として見ていたことを宣言したが、一護自身が彼女たちのことをどう思っていたのかを織姫はこの際聞くことにした。

 

 何せ彼女たちがそう思っていなくとも、一護が同じとは限らない可能性に織姫は思い至った。

 

「あ、チエか? うーん……“どう”って聞かれてもなぁ……」

 

 織姫はドキドキしながら、髪をガシガシと掻く一護が周りを見ては霊圧を探って他に誰も近くにいないことを使用可能な手段の限りを尽くしてから再度口を開けた。

 

「絶ッッッッッッッッッ対に誰にも言うなよ?」

 

「う、うん。 (ふわぁぁぁぁぁぁぁ!♡)」

 

 何時もよりさらに眉間にシワを寄せて真剣な表情をする一護にときめく織姫が何とか同意の言葉を発した。

 

 「………………………………………………………………ぶっきらぼうな姉ちゃんだよ。」

 

「あ、そうなんだ……“ぶっきらぼう”? 結構話す方だと思うけど?」

 

「やっぱ他の奴らから見たらそうなんだよなぁ。 アイツは話しかけるとちゃんと答えるクセに、自分からは何も言わないんだよ。 だから誤解されがちなんだよ。」

 

「……そっか! そっかそっか~!」

 

「どうした井上? なんかさっきよりご機嫌じゃねぇかよ。」

 

「うぃえ?! う、ううん! そんなことないよ────?!」

 

 ────ボォ……

 

 突然、二人の横の床からぼんやりと光が出ては獰猛で愉快そうな野獣の笑みを浮かべた眼帯の男が抜き出しの刀を肩に背負いながら二人を見下ろしていた。

 

 よぉ? く・ろ・さ・きぃ~?

 

「────」

 

 一護はただ口を開け、言葉にならない声を出してはサァァァァっと血の気が全身から引いていく。

 

 そこでフッと彼の意識は途絶え、フラ~っと彼は織姫に全身を寄りかけた。

 

 ポヨン。

 

「きゃあ?! くくくくくくくく黒崎君ッッッッッッッッッ?! ってお、重いよ~~~~!!!」

 

 余談だが織姫にとって、暗闇の中から気配も音沙汰も何もなく突然現れた更木は恐怖対象外だったそうな(どちらかと言うと自分に身体を預けてきた一護に意識を向けて慌てていたそうな)。

 

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 「あれは卑怯だろが?!」

 

 「「「「「なぁ?!」」」」」

 

 気が付いた一護は同じく意識の戻った恋次&十一番隊の者たちと意気投合していた。

 

「え。 そうかな?」

 

「………………………………井上、お前は怖くなかったのか?」

 

「ううん、全然だよ朽木さん!」

 

「…………………………」

 

 余りの笑顔+即答にルキアは気圧され、織姫が着ていた衣装に対してコメントを失くすほどだった。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

『三世界共同文化祭』が開催され、空座一校を中心にかつてない程の活気が空座町全土に溢れた。

 

「「「「「終わったー!」」」」」

 

 空が青色から紅くなりかけ、街灯や開店したお店の明かりがちらほらとつき始めた頃に一護たち『メイド&バトラー喫茶』参加者は達成感を味わっていた。

 

「うん、チップもこれだけありゃ三日は持つな。」

 

「あ、すご~い! ボクだって負けていないと思ったけど違ったね!」

 

 ハムスターの耳を生やしたリルトットが自分のポケットから出した金額を見ながらそうボヤくと(耳&尻尾をはやしていない)ジゼルがそういう。

 

「そうでもねぇよ。 ていうか耳とか無しでそれだけ稼げたのは賞賛すべきだろ? ……まぁ、アレを見たら着用拒否になるのは当たり前だが。」

 

「え~?」

 

 ゾゾゾゾ!

 

 リルトットの言葉を聞いた何人かが思い出したのか、顔色が青くなりながら震えた。

 

 実はジゼルが『なりきりヘアバンド』を着用すると元々○ゴみたいな髪型にリアル感が増すような動きをし始め、これを見た女性&男性群が悲鳴を上げた。

 

 なおこれを見たマユリは『ほウ! 昆虫類にも適用するのカ!』と感心するような言葉を挙げたそうな。

 

 よってジゼルだけは衣装(メイド服)だけを着用しながらもリルトットに負けず劣らずの戦果(?)をあげていた。

 

「それでも~、キャンディには敵わないと思うの~。」

 

「あ? んなもん楽勝だぜ! 何せ()()()“ホ別”とか回りくどい事────」

「「「「────ハイ次。」」」」

 

 おい。 たまには話の最後まで付き合えよ。

 

最後(フィニッシュ)まで付き合うのは部屋の中までにしろよクソビッチ(キャンディ)。」

 

 言っていることと書いてあることが違うじゃねぇか!

 

 ………………………………………………………………(聞か)なかったことにしよう。

 

「いや~、でも三月を連れ戻すなんてアネットさんもグッジョブだよ!」

 

「いえ。 上姉様にはぜひ私の提案した衣装を着てもらわないと、と思った所存でして。」

 

 ジャージ姿の竜貴がバトラー衣装に身を包んだアネットに話す。

 

「無理やり個別トイレのドアを破ってまでする、普通?」

 

「………………………………」

 

「それに貴方(アネット)はバトラー服だし。」

 

「似合うでしょう?」

 

()()()には反応するのね?!」

 

 彼女のバトラー服を見た者たちは6割が項垂れ、2割が『あ、良いかも』、残りの2割が『男装美人キタァァァァァァァ!』と意味不明(?)な叫びを挙げたそうな。

 

 彼女の言い訳いわく、『女性だからと言って“メイド服を着る”という事ではないのですよ?』だそうだ。

 

「ただ、『特別衣装』ではなく『通常衣装』なのが心残りですが……」

 

「ごめん、アレは人前で着るのは無理。」

 

「では後でアパートに戻ってから私の前で着替えを────」

────絶対に嫌だ。 ってあれ? 一護は?」

 

「ああ。 彼でしたら腹黒眼鏡(ソウスケ)と何かを話して教室を出ましたよ。」

 

「そ、っか……」

 

「??? どうかなさいました、上姉様?」

 

 アネットが尋ねると、三月はただはぎごちない笑顔を返すのだった。

 

 

 

 ___________

 

 『渡辺』チエ 視点

 ___________

 

「それでね! それでね! 山お()ちゃんがお茶くれたの!」

 

 膝の上に乗せたイチネがあっけらかんと重国のことを私に言う。

 さっきからずっとこんなことを話しているような気がする。

 

「そうか。 どうだった?」

 

「まずかった!」

 

「そうか。」

 

 舌を出しながら笑うイチネに相槌を打ちながら、紅くなっていく空を見上げる。

 

 今、私とイチネは空座一校の屋上にいる。

 

『ぶんかさい』とやらが落ち着き始めたころにソウスケがイチネを連れて来たときは少し驚いたが丁度良かった。

 

「ねぇお母さん、何それ?」

 

「これか? これは『にっき』と言うものだ。」

 

「耳と尻尾触っていい?」

 

「いいぞ。」

 

 私がサラサラと書いている間、イチネは頭上の耳と腰から生えていた尻尾を触りだす。

 

 ……くすぐったい。 ムズムズする。

 

 だがそろそろ聞かなくてはならない。

 

「……………………イチネ。」

 

「ん~?」

 

「お前は、()()()?」

 

「……」

*1
17話より

*2
68話より




蒸し暑くてドロドロになりそう…… (´×ω×`)

皆さんも外出する際には気をつけましょう。
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