白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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少し長めです!


第17話 『ヒーロー』と恋バナ。そして『孫』

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 三月 視点

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 メノスグランデを退かせ、ほとんど力が入らず地面に横たわる一護が雨竜の顔を見て愚痴を零す。

 

「そんな顔している人間、殴れるかよ────って三月?」

 

 顔を横にした一護が()()()()()()に気付いて顔をすぐに逸らせる。

 

 理由は『一護は地面に横たわっていて、三月は空座高校の制服姿(スカート)で歩いて来た』で察して下さい。

 

 バシィィィィィン!!!

 

 そしてどこから取り出したのか、大きなハリセンで雨竜の頭を叩いて盛大な音が出る。

 

「いった?! わ、渡辺s────?!」

 

 「────()()()で! 駄々っ子のような浅はかな考えで、周りを巻き込むような無責任な行動を取るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

 

 三月の叫びは辺りの木を鼓動させるほどで、「そんな小さなナリの何処にこんな音量の出る肺活量が?」と一護達に思わせるぐらいだった。

 

「つーかお前、石田に何の恨みがあんだよ?」

 

 体を起こしあげた一護が聞く。

 

「延々と出てくる虚の退治、つまり尻拭い」

 

「………………え? お前も戦えたの? チエとマイさんだけじゃなくて?」

 

 これも一護からすれば仕方の無い事で、彼が主に戦っている人を見たのはチエだけ。 

 マイは()()()()と聞いたのでコンと同じようなモノと認識していた。

 

 だが三月に関しては回道のみを使用していたのを見ていて、子供の頃のグランドフィッシャー戦で一護は雨の中だった為、三月が戦った所を良く見えていなかった。

 

 なので彼はてっきり三月は『補助役』と思い込んでいた。

 

「な、ちょ、ちょっと待ってくれ渡辺さん! ま、まさか君も────?!」

 

「────あー、こんな事をするつもりは全く無かったんだけど…………まぁ、良いか。 初めまして石田雨竜さん。 『()()()()()()』の渡辺三月です。 以後お見知りおきを」

 

 三月がスカートの橋を掴んで一礼をしながらぺこりと頭を少し下げる。

 

「毎回思うんだけど、三月って時々『お嬢様』っぽいな」

 

「そして毎回言うけど、一護は別に間違っていないよ? あ! あと私、『()()()()()』やっています♪」

 

「?????????」

 

 未だに頭が付いて行っていない雨竜はただ?マークを出して三月と一護を互い見る事数秒間。

 

 そこで彼は理解が追いついたのか、目を見開く。

 

「ク、ク、滅却師ィィィィ?! わ、わ、わ、渡辺さんが?!」

 

「いや~、良い物を見れたッス!」

 

 カランコロンとする下駄の音で一護、雨竜、三月が見ると浦原がチエ、チャド、そして織姫を引き連れていた。

 

「浦原さんもお疲れ~」

 

「いえいえ。 アタシは別に何も? 優秀な店員達と助手達が────」

 

 「────や・と・わ・れ・の・身ッ!」

 

「そんなに照れなくても良いじゃないッスか三月サン~?」

 

 ___________

 

 井上織姫 視点

 ___________

 

『渡辺三月』と言う少女は織姫にとって、恩人である。

 

 と言うのも最初の出会いは織姫にとっては最悪の日で、未だに実の両親から兄と共に受けていた虐待で傷ついた精神の中、織姫の胡桃色の髪の毛に目を付けた不良の女子達に女子トイレへと追い込まれ、ロッカーの中に無理矢理入れられた所から始まり、便器の水の入ったバケツを掛けられる所からだった。

 

≪ほら、他の奴らはロッカーを開けろ! バケツに水を汲んでk────ぐへ!≫

 

 泣きながら恐怖に体を震わせて、思わず目を瞑った織姫が次に聞こえたのはロッカーの開く音ではなく、不良達が痛みや怒りで叫ぶ声だった。

 

「(え? な、何?)」

 

 織姫が恐る恐る目を開けて、ロッカーのスリットの間から外の様子を窺おうとした。

 

 バシャァン!

 

≪ぐあ?! つめてぇ?!≫

≪な、誰d────ゴハァ?!≫

≪────ぐぇ≫

 

 ほぼ一瞬だった。

 動作と共に流れるような金色の髪をした少女が、まるで燃えさかる炎のような勢いで不良達を次々と倒していく。

 

 それは織姫にとって、テレビなどでよく見る悪役をバッタバッタと倒していく『ヒーロー』の様子だった。

 

≪ふざけんなよ、この()()────グヒィィィ?!≫

『チビ』は余計だ!

 

 最後の一人を倒し、織姫は『ヒーロー』のウェーブの掛かった、腰まで届く金髪とグツグツと煮えるマグマのような静かな怒りの横顔をチラッと見た。

 その少女は何も言わずにトイレから出ようとすると、それまで見とれていた織姫が勇気を振り絞って取り敢えず名前だけでも聞こうと口を開けた。

 

≪だ、誰?≫

 

 だが『ヒーロー』は何も言わずにただ場を去ろうとする所を見て、織姫はカラカラになりそうな喉から声で胸の奥に感じているものを出す。

 

≪えっと……助けてくれて…………………ありがとうございます≫

 

『ヒーロー』はそれを最後に織姫の視界から完璧に消えていく。

 そして『ヒーロー』の背中姿が織姫の脳裏に焼き付かれていた。

 

 そこから少し後にまたも絡まれた織姫は竜貴と出会い、『ヒーロー』の様に自分を守ってくれる『騎士(親友)』を見つけ、次に『ヒーロー』を見かける事となるのは数年後の空座高校へ入学した頃となる。

 

 読書をしていた彼女(ヒーロー)はパっと見ただけではとても同じ人物とは考えられなかった。

 

 もう一度再会した彼女(ヒーロー)は髪の毛を二つ編みにしながら束ねていたのか、髪の毛は肩までしか長さは無く、その顔にあまり似つかわしくない眼鏡をしていて当時感じていた、炎の様な勢いは見当たらなかった。

 

 どんな感じかと言うとよく彼女を見なければ『地味過ぎて見落としそうな子』だった。

 

 そんな彼女が織姫の見た『ヒーロー』と同一人物…………と、他の人なら容易に結びつかないだろう。

 

 こんな『地味で物静か』な子が『ヒーロー』めいた行動をするなど。

 

 だが織姫には分かった。

 

 学校での姿は()()姿()で『ヒーロー』が()()()姿()と。

 

 何故なら()()()()()()()姿()()()()()()()から。

 

 そして織姫にはそんな彼女を放っておけなかった。

 

≪ねえ竜貴ちゃん? あの子、誰か知っている?」

≪ん? ああ、あの子? 渡辺だよ≫

≪竜貴ちゃんは知っているの? あれ? 渡辺って…渡辺チエと────?≫

≪うん、姉妹なんだあの二人。 あっちの金髪は渡辺三月で、ちょっと地味っぽいけど実は凄い奴なんだ。 こう、『能ある鷹は爪を隠す』的な?≫

≪へー、そうなんだ≫

≪そうだよ? 子供の頃からの付き合いだけど、アイツ色々知っている上に()()()()()で────って織姫?!≫

≪渡辺三月だよね?! 私、井上織姫! よろしくねー!≫

 

 そこから織姫は『ヒーロー』が作ってくれたきっかけで得た明るさで幾度となく三月(ヒーロー)と仲良くなろうとした。

 

 その結果────

 

 ≪────()()()()()?≫

 

≪≪え?≫≫

 

 手芸部に連れて来た三月は石田雨竜(手芸部長)を『兄』と呼んだ。

 

 それは最愛の兄を亡くした織姫にとって、とても意味深いものに聞こえて、彼女(三月)の事情を更に聞いた織姫は────

 

 

 

 

 

 ────兄を亡くした頃の様に胸が酷くズキズキと痛んだ。

 

 最初、織姫は自分に対しては素っ気ない態度を取る三月に嫌われているのかと思ったが、もしそうだとしても自分と彼女の接点はあのトイレの一件しかない。

 

 それに嫌う相手をわざわざ姿を変えてまで助けるだろうか?

 

 他に接点があるとすれば有沢竜貴だが…………

 彼女(竜貴)と知り合ったのはあの一件の後で、どう表現すればいいかと言うと三月()織姫と親しくなるのを避けようとしていたかのように思えた。

 

 そしてその理由が織姫には分からない。

 

 分からないが……………

 

 もしかして。

 もしかしてだが────

 

 

 

 

 

 

 ────『()』が関係しているのではないか?

 

 そう織姫が目の前の場面を見ながら思っていた。

 

 目の前にはカラコロト下駄を鳴らしながら歩く『浦原喜助』と自己紹介した怪しい男、織姫の想い人である黒崎一護、そして手芸部長の石田雨竜。

 

「さっすが『()()()()()()』ッスね。 ()()倒しましたか?」

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

『そんなの一々数えていない』。

 それはつまり『数えるのも馬鹿馬鹿しい数』とも織姫には聞こえた。

 

 織姫は必死に、がむしゃらになってやっと一体倒した化け物()を、『そんなの数えていない』くらい自分より小柄な三月は倒したらしい。

 

「(本当に……『ヒーロー』みたいだ……)」

 

 

 ___________

 

 チエ、三月 視点

 ___________

 

 汚臭(大量の虚)が襲った翌日の日、三月はどこか上の空状態だった。

 

『大丈夫か、三月?』

「『ふひゃっへ?!」』

 

 急に頭に響いたチエの声に三月は(物理)(精神)同時に慌てて思わず持っていたカバンを落としそうになる。

 

 登校中素っ頓狂な声を出した彼女を見ていた人達に、三月は苦笑いをして誤魔化す。

 

『だ、大丈夫よ。 オホホホホ』

『そうか』

 

 その日、珍しく遅い登校をして来た雨竜は両腕に包帯でグルグル巻きの状態でクラスの話題になっていた。

 

『(クソ)真面目で秀才な石田雨竜が両腕に怪我をして遅い登校』で教室はざわついていた。

 

 その中で上の空状態だった一護、ルキア、織姫、チャド、竜貴、そして三月はボ~ッとしていた。

 

 この状態はお昼休みまで続いて、織姫は周りの人達を一緒に飯に誘っていた。

 

「ねえチエちゃん、三月ちゃん? 朽木さんが何処にいるか知っている?」

 

「そうだな…………………………人気のない場所」

 

「例えば木の上とか? (『原作』でもそうだったし)」

 

 

 

 そして案の定木の上の枝で黄昏ていたルキアを発見。

 

「ルーちゃ~~~ん、ごーはーんだよ~」

 

「ん? 三月達か────」

 

 ルキアは木の枝の上から身軽に飛び降りて、織姫達が拍手をする。

 

「「「「おおお!!」」」」

 

 この動作に竜貴がウンウンと納得する。

 

「うんうん、この運動神経はもう遺伝子だねやっぱり!」

 

「? どういう事、竜貴ちゃん? チエちゃんも運動神経良いけど────」

 

「────ちょ、タッちゃん────」

 

「────ところがどっこい! ミーちゃん(三月)だってこのぐらいの高さ飛び降りられるんだよね! しかも余裕で」

 

「「「「……………………………」」」」

 

 織姫達全員がせっせと弁当の用意を黙々と準備(&冷や汗を)する三月を見る。

 

「で、でも竜貴ぃ? 『三月』よ?」

 

 千鶴がおずおずと竜貴に確認を取る。

 

「そ、そうだよ。 私も言うのもなんだけど……………さっきの『ヤッカー』でも何も無い場所で転んだよ?」

 

 みちるが付け足す。

 

『ヤッカー』。 それは井上織姫が考えた新たなスポーツで、『野球』と『サッカー』を融合したものだった。

 

 そして三月はそこで盛大に走ってこけた、何も無いところで。

 そして彼女は体育がある度に擦り傷などが絶えない程、『学園認知の運動音痴』。

 

 保健室の人達が「ああ、またか」と言った具合で溜息を出して何時三月が連れて来られるのか賭けをするほど。

 

「ああ、あれ? 運動音痴振っていんのよ、この子」

 

「た、タッちゃん」

 

「この子ってばチエやアタシと同等かそれ以上な神経と体なくせして、運動できないフリしてんの。 ()()()()()()()()()()()からってそこまでするかな、普通?」

 

 女子三人(みちる、千鶴、真花)がポカンとした半面、陸上部の短距離走担当の国枝鈴(くにえだりょう)がジッと三月を見る。

 

「竜貴達と同等の運動神経…………チエ、あなたは前回の100mは12秒50()()()()だったわよね?」

 

「ああ、確かそうだが?」

 

「三月、あなたは?」

 

 まるで警察の尋問の様に(りょう)がグイーっと近付ける顔から背ける三月。

 尚近くにいた千鶴(生粋のレズビアン)なら普通、このシチュエーションに興奮しながらコメントをしているかも知れなかったが────

 

「────ハァ、ハァ、ハァ、良い」

 

 ────ただ鼻血を流しながら荒い息と共に()()()妄想をしていた。

 

 え? どんな妄想かって?

 ……………………察してくださいお願いします。

 でないと確実にR-18指定の百合モノになってしまいます。

 

「(怖いッッッ!!!! (りょう)ちゃんと千鶴の目が別々の意味で怖いよ?!) さ、さぁ~?」

 

「よし、じゃあ今走ろうか?」

 

 (りょう)が三月の首根っこを掴んで無理矢理三月の体を持ち上げ、彼女の足がぷら~ンと地面から離れてぶら下がる。

 

「ぎゃあああああああ!!! おーろーせー!」

 

「思ったより軽いね、三月」

 

 「誰が『思ったよりチビ』やねんゴラァァァァ?!

 

 三月が半ギレのままジタバタすると、そのはずみで興奮していた千鶴の顔を蹴ってしまう。

 

「あ。 ご、ごめん千鶴────」

 

 「────グリーンの縞パ────!!!」

 

 千鶴が更に興奮(鼻血を流)しながらグッとサムズアップをする。

 

「────フンッ!」

 

 ゴスッ

 

「ンガハッ」

 

 三月の踵落としが千鶴の脳天に炸裂して彼女は沈黙する。

 

「ほう。 今のが『()()()』という奴か?」

 

「ど、どうかな?」

 

 チエのドライな一言にみちるが疑問を問う。

 

「さて、邪魔者もいなくなったし走ろう」

 

 「いーやー!!!」

 

 今度は上半身のみで暴れる三月を他の皆が苦笑いを浮かべている間、ルキアはずっと黙っていた。

 

「うわ、6段弁当箱?! 凄いお弁当ねチエちゃん! 」

 

「いや。2段は私のだが、後の4段は三月のだ」

 

「一体その量はどこに消えているんだろう? モグモグモグ」

 

 不思議がる織姫がカステラに洋館を挟んだ()()()()()()をモグモグ食べながら訊くが、逆に他の皆は「(織姫の食べた分はどこに────と言うか胸か)」と言う風に自己回答をした。

 

「ところでさ。朽木さんって、黒崎の事好きなの? どういう関係?」

 

「ブフ……………はい?」

 

 真花のド直球な質問にルキアは盛大にジュースを噴き出した。

 

「うっわ、真花ストレート過ぎ!」

 

「そうだぞ。 そこはもっと他の者にシレッと話題を振って断れない流れを────」

 

「────ンガ」

 

 みちると(りょう)が真花にツッコみを入れ、(りょう)は三月を手放す。

 

 チエがハンカチをルキアに差し出して、ルキアは顔を拭き、その間に三月はさっさと弁当を頬張り始める。

 

「バクバクバクバクバクバクバクバクバクバク」

 

「ルキア」

 

「う、うむ………」

 

「大丈夫! 皆の純白は私がもr────守る!」

 

「……………千鶴、あなた今『貰う』って言いそうだったでしょ?」

 

「サ、サァ。 ドウダッタンデショー」

 

「モグモグモグモグモグモグモグモグモグモグ」

 

「黒崎は…………奴は友人だ」

 

 ルキアが曖昧な笑顔で答える。

 

「え? それって付き合って────?」

 

「────ただの友人だ」

 

「恋愛感情無いの?」

 

「ない」

 

「全然?」

 

「あぁ、全然無いな」

 

「ハムハムハムハムハムハムハムハムハム」

 

 恋バナっぽいものに転じなかった事に女子は残念そうだった(千鶴は「いよっしゃー!!!」とガッツポーズを決めていたので例外とみなす)。

 

 チエは何時もの表情で静かに弁当を食べていて、三月はさっきまで叫んでいたので喉を潤う為にジュースを飲む。

 

「(うーん………一護xルキアか~…………まあ、ありかも知れないけど────)」

 

「────じゃあチエと三月はどうなのよ?」

 

「────ん?」

 

「────ングブボッ?!」

 

 チエが?マークを出し、今度は三月がジュースを噴き出しそうになる。

 

「私はむしろ、こっちの二人のどっちかが本命だと思うのよねー」

 

「ちょ、ちょっと真花ってば!」

 

 ニヤニヤと笑う真花にみちるがオロオロするが、他の皆(少なくとも大半)は興味があるようで織姫や竜貴もジッと二人(チエと三月)を見ていた。

 

「??? 『本命』とはどういう事だ?」

 

「え? チエ達知らないの?」

 

「な、何を?」

 

 チエと三月に対して真花が「マジか?」と言いたげな顔をし、竜貴が溜息交じりに言い放つ。

 

「ハァ~。 この際だから言うけど、ウチのクラスは大体あんた達のどっちが一護の本命で賭けているみたいだよ?」

 

「何?」

 

What(ワット)?」

 

「え?! チエちゃん達()黒崎君の事が好きだったの?!」

 

 竜貴の言葉に困惑するチエと三月、そして驚く織姫。

 

「私にとって、この事は初耳だな」

 

「わ、私も」

 

「いや、だって子供の頃から…………そうだね、小学生辺りから噂はあったよ? 一護があんた達のどっちかにくっ付くのか結構話題になっていたよ? 気付かなかった?」

 

「え?! なにそれ?!」

 

「竜貴! も、もっと詳しく!」

 

「早く言ってよ、そんな面白い事を!」

 

 真花たちが目をキラキラとさせながら食い気味になる。

 

「まあ、あんた達と一護ってば距離近いからねー。 どうして誰もあんた達二人に告白してこなかったか不思議に思わなかった?」

 

「???」

 

「え、いやだって私って地味だからさ────」

 

「「「「どこが地味だ?!」」」」

 

「────ひゃう?!」

 

「三月、あんた自分の見た目と性格舐めていんの? それらがどれだけ庇護欲とかその他モロモロの感情を引き立たせると思ってんのよ? チエも裏表の無いさっぱりした性格とその見た目のギャップ。 これで一人の男も寄って来ないなんてあり得ないでしょうが?!」

 

「「そうか?/そうかなぁ?」」

 

「「「「そうだよ!!!」」」」

 

 チエと三月が同時に頭を傾げる。

 

「……………その様子じゃ自覚無かったんだね二人とも」

 

「(う、うーん…………『地味な子』の枠に上手く入っていたと思ったんだけどなー)」

 

「………………………………」

 

「ちなみに今話す事は一護にぜっっっっっっっっったい内緒だよ? 実はアイツ宛に、あんた達を『賭けた』果たし状とかデスレターを隠れて対処する愚痴をしょっちゅうアタシとマイさんにして来てるんだよねー」

 

「え゛。 ナニソレ? (……………帰ったらマイに聞いておこうかな?)」

 

「ほう。 だから一護はよく怪我などをしていたのか」

 

「え?! チーちゃんこの事知っていたの?!」

 

 三月が驚いてチエの方を見る。

 

「よく怪我をしていたところを隠そうとしていたのに気付いていただけだ。 ただ私達には何も言って来なかったから敢えて指摘しなかっただけだが?」

 

「「ひゃー♡」」

 

 何故かみちると千鶴がチエの言葉に黄色い声を出す。

 

「お? という事は一護にも自覚アリって事か、これって? って、織姫もいる前でこれは流石に駄目か」

 

「え? アタシが居ちゃ駄目なの?」

 

「あー、分かんないなら気にしなくいいよ織姫」

 

「竜貴ちゃん???????」

 

 織姫の頭をグリグリと撫でる竜貴。

 

「それで、どうなの二人とも?」

 

「あー、一護は…………そうだね、()みたいな存在かな?」

 

「あ、アイツ(一護)が『姉弟』ぃぃぃ?」

 

 真花の問い(驚愕の訊き返し?)にチエが答える。

 

「そうだな。 直接の血の繋がりは無いが、そう表現するのが一番しっくりくるだろう。 もしくは『孫』か?」

 

「「「「「ま、『孫』ぉぉぉぉぉ?」」」」」

 

「あ! それも丁度良い表現ね。 ナイスよチエ!」

 

 竜貴達全員が一護を『孫』呼ばわりにしたチエと、うんうんと頷く三月を互いに見た。

 

「今思い出せば…世話の掛かる『孫』だったな、一護は」

 

「そうだね~」

 

 同時にお茶&ジュースを「ズズズ」と飲んでからホッと和むチエと三月の姿は『幼い孫の昔話をするお婆ちゃん達』の姿&空気そのものだった。

 

「そっかぁ、でも残念。 朽木さんもチエちゃんと三月ちゃんも黒崎君の事が好きなら4対1で私達の完全勝利だったのになぁ~」

 

「この子はまた訳の分からない事を────」

 

「────確かに戦では数の勝る方が有利だが────」

 

「────前言撤回。 この()()はまた訳の分からない事を────」

 

 竜貴に続いて、その場にいた大半の者は織姫とチエの発言に呆れているその間、三月はずっとルキアの様子を見て確信した。

 

 恐らくは()()()()が空座町に来るか来ている所だろうと思いながら。

 

「(そして次は『()()』の一護の特訓の筈────)」

 

「────それにアタシ自身、三月はどっちかと言うと()()に気があると思うのよねー────」

 

 「────ングォゲハ?! ゴホッゴホッゴホッゴホッ?!?!?!?!」

 

 ニヤニヤとする竜貴に三月が弁当のおかずにむせて咳を盛大にする。

 

「「「「………………………えええええええぇぇぇぇ?!」」」」

 

 そして更に質問攻めになる三月と詳しい事を竜貴に聞こうとする女子達であった。

 

 結局その場の返答や詳細は濁す事に成功した三月だが、この後から三月と雨竜は教室内と手芸部両方に新たな視線と気配を感じる事となる。

 

 「(な・ん・で・さッッッ?!)」

 

「渡辺さん、今日は様子が────」

 

「────アタシはダイジョウブデス。 ハイ」

 

 しかもタイミングが悪い事に、メノスグランデが撤退した日から三月を『()()()()()()』と知った雨竜は以前より三月を気にかけるようになっていた。

 

 その代わりとして竜貴は2時間みっちりの説教を三月から受ける事となる。

 

 学校後、正座で。

 

 足がビリビリしている間、三月は追加として『足裏コショバシの刑』を竜貴に対して実行した。

 

ンギャアァァァァァァァァ?!?!?!?!?!?!」

 

 竜貴の悲鳴は空しく空座町の空へと響くのだった。

 




作者:婆臭

三月:うっさいよ?!

チエ:そうか

カリン(天の刃体):反応うっす?!

チエ:珍しいな?

カリン(天の刃体):だってつまんねえもん、今の『あっち』ってさぁ!

作者:スミマセン………
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