リアルが忙しかった+季節の代わりで短めです。 (汗
それでもいつもお読み頂き誠にありがとうございます。
楽しんでいただければ幸いです。
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チエ 視点
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時はついさっきまで遡る。
それは丁度、イチネと名乗る少女とチエが屋上に出て数分後、今度は一護が屋上へと出てきた頃。
「一護か。 (空気でも吸いに来たか?)」
「あ、お父さんだ!」
「(そして彼をやはり父と呼ぶのだな。)」
「俺は子供を作った覚えはねぇ!」
「(ということは作り方を知っているのか?)」
「お母さん、なんかお父さん変だよ?」
「そうだな。 (一護が変なのは今に始まったことではないが。)」
「聞けよ。」
「(この距離と音量で聞こえないワケが無いのだが?)」
「あ! お兄ちゃんたちもつれてくるー!」
言うだけ言ったイチネは風のように一護の横を素通りしていく。
その様子と言動は幼く、まだ一護が竜貴に“泣き虫”と呼ばれていた頃をチエに連想させ、彼女は考えていたことを素直に口にしていた。
「まるで昔の一護のようだ。」
「え゛? 俺、あそこまでワケ分かんなかったか?」
「そうだが?」
そこで一護は今にでも壁に頭を打つような、体を前のめりに屋上へと続く階段の壁に体を預けた。
ようやく彼が動いたと思えば知恵の近くまで来ては胡坐をかいて星の出始める夜空を彼も静かに見上げていた。
「一護。 なぜここに来た?」
「んあ? 何でって……なんかお前が元気なさそうだったって聞いたから。」
「“元気がない”、か。 (やはり、わかってしまうか。)」
チエは出来るだけ
長い時間、睡眠を拒んでいれば睡魔が襲ってくるのは当然のこと。
それに加え、静かな夜と一護と二人だけになったこともあってか、チエは無意識に感傷的になっていた。
再度彼に自分が如何にどれだけ異質か伝えても、一護はただ黙って聞いてくれたのも要因だろう。
「私は………………私は
ついには、彼女が初めて『恐怖』を覚えていたことを打ち明けるほどまで。
何も彼女が弱気になったのはこれが初めてではなく、一応五番隊の隊長代理が務まるかどうかも迷うような言葉を漏らしていたが今回はその比ではなかった。
「私は眠ってしまえば、夢を見ることは無いが
彼女が次々と言うことはまるで、ある意味『懺悔』に似ていた。
そして彼女はこう言った。
『もし、私が何かの拍子で“バケモノ”として周りを害しようと動いてしまえば。』
これはどのような英雄譚などでも例が出てくるが、大きな力を持った存在はそれだけで脅威である。
力を持った本人が善意で動こうにも、あまりにも強大な力や理解の及ばない現象に人は少なからず恐怖心を覚えてしまう。
そして一度『恐怖』が芽生えると、それは決して無くなることは無い。
いずれは迫害、あるいは『脅威になる前の牽制』対象となってしまう。
そしてもし、自分がそうなった場合は一護に自分を打ってほしいと、チエはそれとなく強うとしたのだが
「あ? アホかお前?」
「あ、アホだと? (なん……だと?)」
彼の答えにチエは思わず呆然とし、それが顔に出た。
『それでも』、と言いたげなチエの返しに一護はただ笑いながら『お前の弟だからな』と言ったことにチエは自分の肩の荷が軽くなった気と、緊張感がほぐれていったことに強烈な睡魔に瞼が閉じそうになり、頭を一護の肩に乗せた。
「(“弟だから”、か……『私』に弟がいたかどうか記入は無かったが……彼ならばいやな気はしない。) ならば、少しの間だけでいい………………弟らしく、肩を貸してくれ。 一ヶ月も眠らないのは…………………………『今の私』には流石に堪える。」
ここで彼女が言った『今の私』とは、その言葉の通りの意味だった。
さっき、彼女が一護に言った『死した者の全てを取り込んでしまう』は能力や記憶は勿論、残留思念や思考に死ぬ直前まで感じていた後悔や性質も含む。
文字通り、『全て』である。
BLEACHで言えば何十人、何百人と、下手をすればそれ以上の者の記憶と魂魄そのものを吸収するような出来事はある意味、思念珠に近い。
『
そこでチエが危険視していたのはいつか暴走をする自分だったが、一護の答えに毒を抜かれ、さらには起き続けることが限界になってきた彼女はとうとう睡魔に身をゆだねた。
【イチネはイチネだよ?】
【昔からお前、場に流されるがままとかでも頼まれたこととか、周りの奴らが危なくなると全力で動くところとかは変わらねぇだろ?】
その瞬間、意識が薄れていくチエの脳内にさっきまで聞こえていた知人たちの声が聞こえ、彼らと過ごした景色が映っていく。
【私はむしろ、こっちの二人のどっちかが本命だと思うのよねー。】
【わ、渡辺さんは着飾ったりしないの? もったいないよ……】
【胸揉んでも全ッッッッッッ然反応がないのは面白くないわぁ……】
【大きい方の渡辺さんって良い意味で変だよね!】
【チエさ~ん!!! どうか、俺のバイトの給与日になったらすぐ返すから昼ご飯第貸してくだせぇぇぇぇぇ!】
【チエ、来週あたり短距離のイベントあるから付き合え。】
【師匠~! 来たぞい~!】
【おお! チエ殿、ちょうどいいところに! 限定白玉を一緒に食わぬか?!】
【私、チエさんといるとホッとするんです。】
【根、詰め過ぎたらあかんで?】
【お前、女っ気ないクセに出るとこ出るタイプやねんな?】
【お、ちょいと付き合えよ。 『デンプシーロール』ってのを使えるかどうか見てくれ。】
イチネや一護に続いて現世や瀞霊廷で知り合った竜貴、真花、みちる、千鶴、水色、浅野、国枝、山本元柳斎、ルキア、雛森、ひよ里、平子、拳西たち。
それらが暗い淀みの中、チエの周りを小さな泡のように漂うその景色は以前に彼女を『ブック・オブ・ジ・エンド』で月島が斬って見たものと酷似していた。
ただし、今回のそれらはフヨフヨと足元から浮かんで頭上を通り過ぎてはシャボンのようにパチパチと音を出しながら破裂していったが。
「(ああ、やはり……そうか。)」
チエはそれらを見て、感じてくる喪失感に『納得』さえ覚えるような気持ちで見送っていた。
やがてシャボン玉たちが全て消え、彼女の周りは暗くなっていく────
「…………………………………………ん? 明るいだと?」
────筈だった。
チエは気が付けば明るく、平行線まで続く白い世界のような場所にポツンと立っていた。
「何だ、これは? 『世界の果て』や『狭間』に似ているが……」
「やぁ、そこのお姉さん!」
自分ではない声のした方向をチエが見ると、自分とは垂直に立っていた少年がいた。
「……一護、ではないな。」
チエの言ったように、少年は一護に似ていたが顔つきがどこか違っていた。
「うん、そうだね。 違うよ。」
「お前は誰だ?」
「僕? かいつまんで言うと、僕は『
「……だからお前は誰だ?」
「あ、そういう意味で聞いたの? 意外……」
「ここは私の精神ではないな?」
「うん、違うね。 お姉さんは消えそうで消えなかったからここに呼んだだけだよ?」
「……どういうことだ?」
一護に似た少年が頬杖を立てる。
「う~~~~~ん……お姉さんであっちのちっちゃいお姉さんと違って『肉体』がちゃんとしているから。 『魂』はぐちゃぐちゃだけど。」
「御託は良い。 もう一度聞くぞ、
チエは背中に担いでいた竹刀(に偽装した刀)を握ると少年が肩をすくむ。
「グレミィから何も聞いていないねこりゃ……仕方ないか、僕が勝手に思っただけだし。 僕は……………………ま、これもかいつまんで言うと『夢であるこの世界を夢として見ている少年』とでも覚えていいさ。 ここにお姉さんを読んだのは一度見てみたかったから。」
「…………………………暇つぶしか。」
「そうそう! 何せ僕はこれからほぼ独りになるんだ! これ位しないと億劫になるよ!」
チエは何かを感じたのか、足元を見ると自分の体が半透明になっていくことに気付く。
「そうか。 お前のその気持ち、わからんでもないが私はお前のことを忘れるだろう。」
やがてチエはまた意識が遠のいていく中、苦笑いをする少年を最後に見た。
「うん、そのことなんだけど……これからのことを考えてその『忘れる』は
「??? どういう────?」
…………
………
……
…
チエが瞼を開ける。
体感では数分立っているように感じられた出来事も、実際には彼女が瞼を閉じてからたったの数秒間しか経っていなかったことを彼女は思い出す。
「(ん? 『思い出す』?)」
そこで彼女は今までの出来事を思い返せることを自覚すると、内側からあふれ出そうになる気持ちのまま思わず近くにいた一護を抱きしめながらただ泣いていた。
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??? 視点
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上記のチエがしゃくりながら泣くこと15分ほど後に二人はまたも隣り合わせで屋上に座っていた。
「…………………………落ち着いたかよ。」
一護はなるべくチエを見ないようにしていた。
いつもの無表情に戻ってはいたが、彼女の目と鼻は若干赤く腫れていた。
「ああ、すまんな。」
「いや、その……なんだ? まぁ、うん……」
少しだけいつもと違う行動をしたチエに戸惑う一護だった。
「お、先客がいたか。」
「「ん?」」
そこで一護とチエが見たのは両手にはたんまりと屋台の食品をもった食いしん坊のハムスターリルトット。
「ん~? あ、ほんとだ~。」
そのあとを続くように折りたたんだブルーシートを持ったミニーニャ。
「もしかして駆け落ち? ……なーんて!」
「って、陛下の目と鼻が赤いじゃない?! どうしたのよ?!」
「ああ、これは────」
ジゼルに続いてバンビエッタがそう言うと一護の言葉をチエが遮る。
「────(想いに)泣かされていた。」
最悪の形で。
「おいちょっと待て言い方────?!」
ドサッ!
(キャンディスを除いた)バンビーズたちが全員、手に持っていたモノ等を落とし、悪寒が走るほどの殺気がその場に蔓延する。
バンッ!
(キャンディスを除いた)バンビーズたちが全員、腰につけていたハートマークのホルスターポーチをたたくとそれぞれ少しデザインが違う
「────え?!」
それを見た一護は四人が
「やっべぇ────!」
「────相手は特機戦力の『黒崎一護』だ、一気に行くぞ。」
「私のセリフ!」
「でもでも~、陛下を泣かせるからミニーも賛成なの~」
「アハハハハ! 今、心が一つになっているねボクたちってば?!」
少し後になるが、空座一校の屋上一角が半壊してのは言うまでもない。
「(あそこまで過激になるとは……………………………………一護は奴らに何をしたのだ?)」
オジョウサン違います。 これは完全に貴方の所為ですよ?
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三月 視点
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ドォン!!!
「うひゃあ?! ななななに、今の?!」
着替え終えていた三月は上から聞こえる破壊音にきょろきょろと周りを見渡していると外から叫び声が聞こえた。
『コォォォォォォォン! どこだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!』
「って、あれは一護?」
彼女が見たのは
余談だが彼は死神代行証を壊したため、死神化する手段がコンだけとなっていた。
「何やってんのあの子……」
「お祖母ちゃん。」
「だから『お姉ちゃん』。」
背後から来るイチネの声に三月が反論すると、暗い通路の中で月光に照らされて妖艶な笑みを浮かべていたイチネが目に入る。
「……………………イチネ、よね?」
「うん、そうだよ?」
イチネはそのまま軽い足取りで三月に近づいて下から彼女の顔を覗き込むと、三月はイチネの目が笑っていないことに気付いた。
「違う、あなたは────」
「────イチネはイチネだよ? 過去とか前世とかはもう、この際だからどうでもいいのはお祖母ちゃんもでしょ?」
「ッ。」
「イチネはね? お母さんやお父さんたちが幸せでいられるなら、他はどうでもいいの。」
ここでイチネが子供らしい、ニッコリとした笑顔をしながら拳を前に出して小指を絶たせる。
「だからね? 指切りをしよう? あなたの所為で二人が笑えなくなる日がないように。」
「え、ええぇぇぇぇ?」
三月は戸惑いながらも自分の小指を絡めるとイチネが歌い出す。
「指切~りげ~んまん、嘘ついたら魂に針千本の~ます! 指切った!」
ぎゅぅ~~~~~。
三月の小指に力が入り、イチネは指を切られずにいた。
「いやちょっと待って。 何その凄く具体的な言葉は?」
「でもこうしないと罰にならないよ?」
「違う。 違うから。 いや、違くないけど今の人間風では違うから。」
「ええええぇぇぇ? そうなの? う~~~ん、月から見ていた時はそうだったけど……」
「(よし、決めた。 どこまでいやれるかわからないけどこの子にも『人間らしさ』と普通をチエちゃんのように教えるわ! でないと私が
次話辺りからアンケートを取ろうと思います。
尚、ほのぼのグダグダギャグ満載の甘酸っぱい(?)空間は続きます。