白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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キャラの口調が合っているかどうか心配です (汗

性格は………………まぁ、変わっています (汗汗汗汗汗汗汗汗


第19話 『ソウル・ソサエティと鬼道の機密事項』(前編)

 ___________

 

 ??? 視点

 ___________

 

 

 場所は一気に変わり、ソウル・ソサエティの中核をなす都市「瀞霊廷」の更に中枢にある、とある薄暗い部屋の中へと納まる。

 

『中央四十六室』。

 ソウル・ソサエティ全土から集められた40人の賢者と、6人の裁判官によって結成されている最高司法機関で、ソウル・ソサエティと現世両方で死神が犯した罪咎は全てここで裁かれ、必要であれば隠密機動、鬼道衆、そして護廷十三隊の各実行部隊に指令を下す事が出来て、一度下った裁定は絶対である。

 

 だが皮肉な事に、上記のような『賢者』と『裁判官』は代を重ねるごとに身も精神も腐っていき、今では私利私欲と保身の為ならば手段を問わない傲慢な集団と成り下がっていた。

 

 中央四十六室を誇りに思っている者など余程の世間知らずか、中央四十六室のメンバー自身達か、彼らの親族ぐらいだろう。

 

 一人の男がそんな思いに浸っていると、部屋の中で響く裁判官の声で集中を戻す。

 

「────第一級重禍罪・朽木ルキアを極囚とし、これより二十五日の後に真央刑庭(しんおうけいてい)にて極刑に処す!」

 

「…………………………」

 

 胸の奥に何とも言えない『不愉快さ』を気合で押し込む。

 それは別に処罰が早まった事からではない。

 

 ()()()()()()()()()()()()()である為に、裁定の場に居る事を許された身。

 そして現在の中央四十六室の現状を良く知っている。

 

 だから、『()()()()』は理解していた。

 

 朽木家当主であると同時に護廷十三隊の六番隊隊長でもある自分でさえ、ルキアの決定を覆す事はほぼ不可能であるという事を。

 

「……発言を……………許しては頂けぬだろうか?」

 

 それでも、白哉は握っていた拳を更にきつく握り締めながら言わずには居られなかった。

 

()()不可能』。つまり可能性は『(ゼロ)』ではない。

 

「極僅かな可能性が有るのならば」という『希望』から白哉は口を開いた。

 

「発言を許可する」

 

「感謝します」

 

 本当に形だけの礼を述べ、白哉は一歩前へ出る。

 

「此度の義妹の仕出かした事は、赦されるものではない。 極刑を処される事に当然、疑問など無い」

 

「「「「「………………………?」」」」」

 

 四十六室が「何を?」と言う疑問からヒソヒソとする人の声が聞こえ始めた。

 

「だが義妹のした事が無ければ義妹の命はおろか、周囲の人間達にまで被害が及ぶのもまた事実」

 

 四十六室のヒソヒソ話がざわつき始め、床に片膝をついた白哉にざわつきがピタリと止まる。

 

『朽木白哉』。

 ()()()()の一つ、朽木家の第28代目当主。

 そして護廷十三隊の隊長の一人。

 

「結果、義妹の愚かな行為で救われた命もある。その事も御考慮頂ければと、存じあげます」

 

 そのような大物が頭を下げるなど、そうそう無い事。

 つまり片膝を付く事はこれ以上ない、最大限の礼の尽くし方である。

 

「…………貴様は我ら中央四十六室の判定に異を唱えると言うか?!」

 

「誰に向かってモノを言っておるのだ、小僧?!」

 

「立場を弁えよ!」

 

 次々と出る、明らかに隠そうともしない自分を見下すセリフに白哉は必死にグツグツと煮えかえるような不快な心情を表に出さないよう努力した。

 

 息継ぎの為か、彼への罵倒の勢いが収まったところで白哉はまた言葉を発する。

 

「私は、情けなくも義妹の減刑を乞うているのだ………………どうか────」

 

「────貴様、自分が何を言っているのか分かっているのか?」

 

「これが大貴族とは────」

 

「恥晒しめ────」

 

 見下される言葉を遮るかのように、同じ貴族である筈の中央四十六室の裁判官達に声を再度かける。

 

「────我ら貴族が掟を守る事は誇り。 しかし、護るべき者達を護る事も、我らの責務で誇りであるのは変わらぬ筈」

 

「……………それが『朽木ルキア』と言いたいのか貴様は?」

 

「その通りだ」

 

 周りのざわつきが嘲笑へと変わる。

 

「ならん、我等の裁定に間違いはない。 よって極刑は覆らぬ」

 

「(やはり駄目か)」

 

「これにて、閉廷とする」

 

 ガツンと言う音が部屋に響いて、白哉は踵を返して部屋を出る。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 ルキアのいる留置場に場は変わり、思いに耽っていた彼女は後ろから感じる霊圧に椅子から立ち上がって、扉の方を向く。

 

 看守を務める死神の横に義兄の朽木白哉と、イライラしている事を隠さなかった幼馴染の六番対副隊長である阿散井恋次が立っていた。

 

「白哉兄様……恋次…………」

 

 白哉は懐から書類を取り出して、広げる。

 

「…………中央四十六室の判定により、第一級重禍罪・朽木ルキアを極囚とし、これより二十五日の後に真央刑庭にて極刑に処す」

 

「な?! た、隊長?!」

 

 イラつきを隠せなかった恋次が驚愕の表情へと変わる。

 

 恐らくは判定結果を聞かされていなかったのだろう。

 

 しかし彼とは違い、ルキアは顔色を変えていなかった。

 

「以上が、ソウル・ソサエティの最終決定だ」

 

 恋次は冷たい仮面の様な涼しい顔をした白哉を見る。

 今の白夜の顔は、これから義妹を失うというような者の顔ではなかった。

 

「覚悟はしておりました。 このような場所にまで来て頂き、ありがとうございました」

 

 ルキアは丁重に礼を述べながら頭を下げる。

 

 そしてまるで他人事みたいな振舞いをする義兄妹達の受け答えを見た恋次は「信じられない」と言いたげな表情をして、ルキアと白哉を互いに見る。

 

 お供をした看守達が先に留置所から出ていき、白哉はクルリと反転して外へ続く扉をくぐる直前に口を動かす。

 

 「…………………済まない、ルキア」

 

「…………………………白哉兄様?」

 

「ガァン」、と分厚い鉄製の扉が閉まる音にルキアの言葉がかき消される。

 

 一瞬ルキアは聞き間違えたと思ったが、恐らく今の自分と同じ表情をしている恋次を見るとそうとても思えなかった。

 

 恋次があんぐりと開けていた口で喋る。

 

「た、隊長…………まさかあんた…………四十六室の奴らに────」

 

「────恋次」

 

「ルキア?」

 

 恋次がルキアの方を見ると、彼女は今にも泣きそうな顔をしていた事にギョッとする。

 

「私は……………ただ、緋真姉様の代わりではないのか?」

 

「……………朽木隊長の謝罪の言葉、お前も聞こえただろうが?」

 

「やはり…………あれは私の利き間違いでは無かったのだな」

 

「ああ、口数の少ない隊長の事だ。 多分あれは………『力になれなくて済まない』じゃねえか? 多分、減刑を────」

 

「────フ。 白哉兄様がか?」

 

「当たり前だ。 お前と共に育った俺が憧れた隊長()だぞ? やる時ゃやるさ……………………だから()()()()なんて思うな、この野郎。 絶対に()()()()()()()()。 そりゃあ、どうやってその『何とか』は俺にゃ分からねえがよ」

 

 照れている顔を隠して、頬を描く恋次の声が段々と小さくなっていく。

 

「ふ…………ふふふ」

 

「な、何だよルキア? 急に笑って────」

 

「────いや、『副隊長』になろうとも変わらなかったのだな」

 

「あ?」

 

 ルキアが『副隊長』と強調した事に恋次は?マークを出す。

 

「私の知らぬ間に昇進しおって! よ、副隊長! 凄いぞ!」

 

「おい────」

 

「────カッコいいぞ副隊長!」 

 

「だ、だからやめろって────」

 

「────変な眉毛だぞ副隊長!」

 

「サラッとツッコミを入れるな! 変な眉毛は余計────!」

 

「────副隊長、私は……………」

 

 ルキアの声は先程の『カラ元気』から一転してか細い声と変わり、彼女の顔は俯く。

 

「…ルキア?」

 

「私には…………………やはり、()()()()()はあるのだろうか?」

 

「ルキア、テメェ………………」

 

 ビックリする恋次に見上げたルキアの笑っていた唇はプルプルと震え、目には大粒の涙を留め、今にでも泣きそうな顔して────

 

 

 

 

 

 ────幼馴染(恋次)でも初めて見る、悲痛と気弱な(表情)だった。

 

 

 

 

 

 

 朽木白哉は一人でズカズカと瀞霊廷内を歩き、彼の眼前に立っていた死神達は何時も以上に無表情な彼の気配を感じては道を開けていった。

 

 イライラと不愉快さと言った、様々な『負』の感情にきつく蓋をしていたために一段と彼からは冷たい雰囲気が発されていた。

 

 そんな「触らぬ神に祟りなし」状態の彼に一つの老いた声が掛けられる。

 

「朽木隊長よ」

 

「ッ」

 

 白哉は声の持ち主を知っている。

 知っているからこそ歩みを止めて、振り返る。

 

 そこには一人の、禿()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が立っていた。

 

 そして白哉と同じ、護廷十三隊隊長特有の白い装束を羽織っていた。

 

「朽木隊長よ、良い天気じゃ。 少し茶でもせぬか?」

 

「…………いえ、私は────」

 

「────何、茶の一杯なぞ数分で終わる」

 

「………………………()()()がそう仰るのであれば」

 

 このお爺さんこそ、護廷十三隊の『一番隊隊長』であると同時に『護廷十三隊総隊長』の『山本元柳斎(げんりゅうさい)』。

 

 ちなみに全ての死神や鬼道衆に隠密機動が通う教育機関の真央霊術院(しんおうれいじゅついん)の創立者でもある。

 

 それこそ白哉が『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()『先生』でもある。

 

 言い変えるならば、白哉は自分と同僚全員の師匠であると同時に自分の上司から「お茶でも飲まないか?」と言う誘いをロクな挨拶もせずに突っ撥ねる程、心が乱れていたとも言えた。

 

 

 

「急に呼び止めて済まぬのぉ」

 

「いえ」

 

 白哉が連れてこられた場所は普段、山本元柳斎が月に一度は開く茶会の部屋で、一つのちゃぶ台を挟んで、向かい合いながら座っていた。

 

 目の前には一人分ずつのお茶の入った湯飲み。

 

「「…………………………………」」

 

 先に動いたのは山本元柳斎だった。

 

「義妹の件。 真に申し訳ない」

 

「ッ?! 総隊長?!」

 

 山本元柳斎がなんと、白哉に頭を下げたのだ。

 

 先程の例をまた使うのなら、自分の義妹が犯した罪に極刑の判定が下された事を、上司(先生)が頭を下げながら謝る様なもの。

 

「あ、頭を上げてください!」

 

「ワシが不甲斐ない故、中央四十六室には頑固者が跋扈するようになってもうた。 済まぬ」

 

「総隊長、お願いです! 頭を上げてください!」

 

 ()()白哉がアタフタするのを、頭を上げて見た山本元柳斎が笑う。

 

「フォ、フォ、フォ。 ワシが頭を下げて少しでもお主の気が楽になれば安い物じゃ。 それに、ここは茶会の場。 今のワシは『総隊長』ではなく、ただの『山本元柳斎』じゃよ。 それに対して、お主は朽木家当主の『朽木白哉』じゃ。 立派な『大貴族』じゃよ?」

 

 「…………………………………………………何が、貴族なものか」

 

 白哉が思わず小声で愚痴を零す。

 

「ん? 何か言ったかえ?」

 

「いえ、何も」

 

「そうかの? ワシももう歳でのぉ? よく耳が遠くなったり、在らぬ声を聞こえたり、独り言が多くなるんじゃよ。 フォ、フォ、フォ」

 

「…………………………」

 

「じゃが伊達に歳は食っておらん。 今のお主は、『身内一人守れなくて何が貴族だ』と叫んでおるようでのぉ?」

 

「ッ……………いえ、そのような事は────」

 

「────皆少し忘れがちじゃが、ワシも一応は貴族の端くれ。 肩身の狭さなどにどれだけ若い頃に苦労した事か………………」

 

 山本元柳斎がお茶を啜る。

 

「その所為で、ワシは良く流魂街へ出ては巡回を自らしていてのぉ? 勿論、『貴族』として()()()()()()()()()()()

 

 白哉の目が一瞬泳ぐ。

 

「総隊長、何を────?」

 

「────じゃから今のワシは『山本元柳斎』じゃって。 そこでワシは一人の死神に出会ったのじゃ。 その者は(のち)にワシが『師匠』と呼ぶ者でな?」

 

 これに白哉の眉毛が僅かにピクリと反応する。

 

 ()()『総隊長』に師がいた事など生産の中で、噂話など含めても初めて聞いたからだ。

 

「今のワシがこうして居られるのもその者のおかげじゃ。 そこでワシはその者に尋ねては、面白い答えが返って来るのが楽しくてのぉ? 色々と話したもんじゃ…………………………………」

 

 山本元柳斎の目線が僅かに白哉から外れ、白哉からすれば山本元柳斎は思いを懐かしむようで、これまでの動作が新鮮だった。

 

「歳かの? この頃あの時間を思い出すようになったのでな? そしてその時間の中でワシは問うた、『秩序をどうやって決めているのじゃ?』とな」

 

 山本元柳斎が僅かに閉じていた瞼を開けて白哉を見る。

 

「どう答えたと思う、()()()()よ?」

 

 少し様子の変わった山本元柳斎に白哉は少し考えこんで、先程の会話を思い返してから答える。

 

「…………………やはり、掟や仕来りを────」

 

「────『自身の眼で見て、定めておる』。 そう答えたのじゃ」

 

「………………………」

 

「確かに掟や仕来りは必要じゃよ? じゃが()()()()()()()()()()()()()()()()。 ま、要するに『自分で見て考えろ』という事じゃな────」

 

『────山本隊長―! どこですかー! 』

 

 部屋の外から来る声に白哉は入口の方へと振り返り、山本元柳斎はお茶を吹き出しそうになる。

 

「あの声は雀部副隊長────?」

 

「────ングッ?! もう見つかってもうたか?!」

 

 山本元柳斎の声に白哉が彼の方を見ると、彼は開いた窓から飛ぶ所だった。

 

「ワシはここには来なかった! お主は一人で茶を飲んでいた! よいな?! これは総隊長命r────」

 

『────山本隊長! この部屋にいるのは分かっているのです! 隊長の署名や目通しを待っている書類が待っていますよー!』

 

「ではまたの、白哉よ!」

 

 茶会の襖が開く直前に山本元柳斎は窓から脱出し、銀髪で口ひげに白いマントを羽織った男性が入って茶会室を見渡す。

 

「ん? 朽木隊長ではありませんか。 山本隊長を見ませんでしたか?」

 

「…………………………いや。 (けい)の隊長は見ておらぬ」

 

「お二人分のお茶が出されているのに…………ですか? お相手は誰でしょうか?」

 

「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」

 

 白哉が何時もの表情を何とかキープしていたが、内心(&表で)冷や汗をダラダラと出していた。

 

「…………………こ、これは────」

 

 白哉がそれ以上何かを言う前に、外から複数の声と共に山本元柳斎の声がした。

 

『『『『『『『確保ぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!』』』』』』』

 

『ぬわぁぁぁぁぁ! 一日中書類を見るのはもう嫌じゃぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

「ん、失礼した白哉隊長。 隊長が見つかりましたので、私はこれにて失礼致します」

 

 ピシャリと襖が閉じて、ホッと緊張から止めていた息を出すと白哉が初めて気付く。

 

 自分の心の不愉快さ等が幾分か収まったのを。

 

「……………やはり総隊長には敵わぬか」

 

 尚、後に一番隊副隊長である『雀部長次郎(ささきべちょうじろう)』がヒィヒィと言う山本元柳斎を付きっきりで見張り、その日のノルマを何とか終えさせたとか。

 




ちなみに作者の自分もヒィヒィ言いながら只今次話を書いています (汗
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