白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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始めまして、またはこんにちは。 作者のharu970と申します。

慣れない作品にチャレンジですが、お付き合いいただければ幸いです。

この作品で二人はもう一つの作品“俺と僕と私と儂”に出てくるキャラの外伝っぽいストーリーで、“バカンス取ろうと誘ったからにはハッピーエンドを目指すと(自称)姉は言った”の後続作品の様なモノです。


上記を読んでいなくても楽しめますように頑張ります!


Infancy - 原作開始前
第1話 変な匂いに釣られた。の巻


 ___________

 

 ??? 視点

 ___________

 

 見た目十代前半で黒い着物の刀の黒髪赤眼、低いテンションに無表情の人物は辺りを見回し、だだっ広い草原の中で、殆どが肩まで伸びた黒髪が吹く風でなびく。

 

 ただチラチラとチラつかせるヒョロンとした、膝まで届くポニーテールらしき長い髪の毛もあったが、どういう訳か()()()()()()()()()()()

 

「フム。これはまた珍妙な所に出たものだ…………」

 

 通る風の中から周りの匂いと音に集中する為に目を瞑る。

 

「……………………………ん?」

 

 ()()()()に困惑した顔をあげる。

 

 それは錆びた鉄の様な匂い。

 これは分かる。

 よく知っている()だったからだ。

 

「……………………だがこの()()()みたいなモノは何だ?」

 

 困惑しながらも、ただ匂いのする方向へと歩き始めた。

 

 歩いて半刻(一時間)ほどで、かつての日本の平安…………または江戸時代の街並みに似た場所へと出た。

 

「……………………(ここまで来て()()()()()』の姿が無いのは意外だ)」

 

 この()()というのは血の繋がりが無いからなのだが、その人物と『()』二人はかなりの時間を共に()()()()()()

 

 しかも「お姉ちゃんだから!」と言い、『()』は黒髪の人物を色々な場所や出来事、果ては『バカンス』へも連れ出していた。

 

 ご本人の意思に関係なく。

 

「(血の匂いはこちらからか)」

 

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 黒髪の者が大道路のような開けた場所に付くと叫び声などが聞こえて来る。

 

『もう一度言ってみろ、このクソガキ!』

 

『何度でも言ってやる! 俺達の力は弱者を虐げるモノでは、ない!』

 

 ドガッ! ドスン!

 

 肉と骨が衝突する鈍い音と、地面に何かが落ちるのを境に回り角を曲がると一人の青年に複数人の大人達が囲んで、地面には殴られた跡が顔や体に残る者達が気を失って地面に横たわっていた。

 

 全員様々な状態や出所の服を着て、それは何処かアンバランスな雰囲気を出していた。

 

 ボロボロの物乞いのような服、真新しいようなスボンとシャツ、果てはスーツや着物まで、文字通り様々なデザインや状態。

 

 だが一つの共通点は全員が鞘に入った刀を所持していた事だった。

 

 それは荒い息遣いの囲まれた青年も例外ではなく、彼は吃にらみを目の前の大人達に向けていた。

 

「な~にが、『力は弱者を虐げるモノではない』だ? 力がある俺らが好きなように生きて何が悪い?」

 

「そんなものが何時まで続く?! もしお前達なんかより強い奴が出て来たらどうするつもりだ?!」

 

「ケッ! そんな奴ぁ居やしねえよ! そいつらは強くなる前に俺達がぶっ殺してやらぁ!」

 

「見せしめにしちまえ!」

 

 青年の横にいた男の拳が青年の顔を目掛けて繰り出され、そこからは大人たちがただ青年を一方的に攻める場へと変わった。

 

 最初こそ青年はカウンターを狙い、何とか撃退していたが大人達の動きは徐々に連携をとるようになった。

 

 と言うのも自分達の前に居た他の者達を無理矢理蹴ったり押したりして、青年の注意と周囲の視線を遮って隙を狙った不意打ちの蹴りやパンチが次々と青年の顔面や体に当たる。

 

 そこからみるみると青年は地面に捻じ伏せられ、数人がかりで押し付けられる。

 

「畜生ー! オレと戦え!」

 

「どうする?」

 

「決まってんだろう? もう二度と俺達の邪魔にならねえように腕か足一本切ってやらぁ」

 

 低い笑いと共に、一人の男が刀を握って、地面に押し付けられている青年が更に必死に腕や足に力を入れる。

 

 が、やはり態勢と対格差には勝てず、ただ睨むだけだった。

 

「それならオレを今ここで殺す事だな! 腕や足の一つや二つなくてもテメェらの顔は覚えてらぁ!」

 

「お前ら! しっかり押さえつk ────ッ?!?!?!」

 

 男が刀を抜き始めると同時に彼は背中に何かを押し付けられるのを感じ動きを止めた。

 

「な?!」

 

「て、テメェ何時の間にそこへ?!」

 

 男の後ろには先程まで誰も居なかった空間に、黒髪赤眼の者が自身の鞘に入れたままの刀の(かしら)を押し付けていた。

 

「これがただの喧嘩なら、私も大目に見ていただろう。 だが喧嘩にそんな物()を出すとなれば容赦はせん」

 

「…………このや────ぐぉぇ!!!」

 

 男が振り向こうとした途端、黒髪赤眼の者が彼の首に手刀を浴びせ、男はすぐさま気を失いながら、地面でビクビクと泡を出しながら痙攣していた。

 

「ん? ()()()

 

「この野郎!」

 

「ブチ殺せぇ!」

 

 大人達は青年の事などどうでも良いかのように手を離して、未だに困惑しながら自分の手を見る黒髪赤眼の者へと襲い掛かる。

 

 だが目向きもせずに大人達をあしらう姿を青年は地面に肘を立てながらボーっと見る。

 

 それは本人の退屈そうな表情とは裏腹に、言わば華麗なダンスを見ているかのような動きと流れだった。

 

 時には青年の様にカウンター、時には大人達を同士討ちに持ち込んだり、または足を払うだけで頭の打ちどころが悪い場面などで大人たちは次々と倒れて行く。

 

 そして────

 

「────■■■■■!」

 

 途端に明らかに通常の生物ではない叫びとも共に大人達はギョッとした顔をしてその場から逃げ始める。

 

「貴様らぁ! 大口叩いてそれかぁ?!」

 

 青年が更に苛ついた顔で刀を抜刀する。

 

 瞬く間にその大道路には青年と黒髪赤眼の者、そして地面に横たわって気を失っている者達が残った。

 

 そこへ白い面を被ったような異形の化物が数体、空から姿を現す。

 

「オイ、アンタ! 早くこの人達を連れて────」

 

「────伏せていろ」

 

「へ?」

 

 青年が呆気に取られている間、彼は一瞬、突然発生した眩い光に足をふらつかせて、尻餅を地面につく間、光が治まる。

 

 やがて青年の目が見えるように徐々に回復して行くと、彼が次に見たのは刀を鞘に納める黒髪赤眼の者の姿で、化け物達の姿は何処にも無かった。

 

「本当に、珍妙な場所だ」

 

「…………ぁ」

 

 僅か数秒間の出来事だが、青年は残念がったような息を吐き出す。

 

「立てるか、小僧?」

 

 何時の間にか見入っていられたようで、自身はずっと同じ体制で、黒い着物を着た黒髪赤眼の者が首の根っこを強引に持ち上げて、立たせる。

 

「………………………」

 

「どうした、ずっと私を見て?」

 

「あ! す、すみません! ありがとうございました!」

 

 青年がぺこりと頭を下げると黒髪赤眼の者が満足したように頷く。

 

「良い。 礼を受けるようなモノでも無い」

 

「あ、あの!」

 

「ん?」

 

「さっき助けてもらったばかりで大変恐縮なのですが、この者達をここから一緒に運んでもらえませんでしょうか?!」

 

 青年は横たわっていた打撲の跡などが目立つ人物達を指さす。

 

「?」

 

「あ、えっと………このゴロツキ共に絡まれて、動けなかった人達です」

 

「……………交換だ」

 

「は?」

 

 青年は?マークを出す。

 

「私は訳あって()()()()()()。 故にこれは()()だ」

 

「!!! わ、わかりました! オレの知っている事を全てお伝えします! あ!」

 

 青年はまた何かに気付いた様な顔をする。

 

「? 今度はどうした?」

 

「な、名前………………」

 

「まずは運ぼう。 どの者達だ?」

 

「あ、はい! 先ずは────!」

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 青年は2、3人の大人を担ぎながら隣をチラチラと見る。

 

「す、すごいですね」

 

「そうか?」

 

 青年の隣を歩く黒髪赤眼の者は5、6人ほど担ぎも表情を全く変えていなかった。

 

「そうか」

 

「「…………………………………………」」

 

 長い撃沈が続いて、先頭で歩く青年が口を開ける。

 

「そ、そういえばお名前がまだでしたね! オ、オレの名は重國(しげくに)です!」

 

「…………チエだ」

 

「「…………………………………………」」

 

 そしてまた撃沈の時間が再開する。

 

 青年はこれに堪らなかったのか、彼は次々と言葉を放つ。

 何とか会話を続けさせようと。

 

「つ、強いのですね!」

 

「別に」

 

「「…………………………………………」」

 

「えっと……………あなたも()()()()()()()()()()?」

 

「??? それはそうだが、どうしてだ?」

 

「やっぱり!」

 

「………………そうだな。 今は…………取り敢えず、ここは何処だ?」

 

「ここは西()()()の41地区です! あ、尸魂界(ソウル・ソサエティ)はご存じ…………………ないようですね」

 

「????」

 

 チエはただ?マークを出し続ける。

 

「ところで、今担いでいる者達は誰なのだ? お前の知り合いか?」

 

「さぁ?」

 

 今度は青年が?マークを出す。

 

「知らない者達に、お前は手を差し伸べたのか?」

 

「だって…………『力ある者達』に一方的に殴られる何の罪もない彼らを見たら、『これは何かが違う』と思ったから…………それに、あのままだったら(ホロウ)に…」

 

「そうか」

 

 青年────『重國』の顔は一瞬俯いてから黒髪赤眼の者────『チエ』の方を見る。

 

「チエさんもそのような考え方は間違っていると思いますか?」

 

「かも知れん」

 

「え」

 

 チエの答えが意外だったのか、青年の足取りは一瞬止まる。

 

「力の無い者が、力のある者と相対した時に選択肢は幾つかあるが、そのどれもが受けられるかどうかは『力ある者』の気分次第だ」

 

「で、ではどうすればいいのでしょうか? それでは『力の無い者』が延々と『力ある者』の言いなりでは無いですか?!」

 

「ならば『力の無い者』が『力』を得れば問題はない」

 

「………………そ、それは如何様に?」

 

 青年が期待の目でチエを見る。

 

「答えは色々あるが…………………………………一つの例として上げるが、生まれながらの『力ある者』は居たとしても()だ。 ならば彼らにも『力の無い者』の時代は在った筈だ」 

 

「…………………」

 

「それで? 何処へ向かうのだ?」

 

「……………………『力ある者』にも………………………………『力の無い者』であった時代が在った……………………………………………………」

 

 重國はチエを見ているようで、どこか遠いところを見ているような、集点の合っていない眼をしていた。

 

「………………おい、重國」

 

「…………………………………あ! す、すみません! こっちです! こっちに医師が居ます!アイツが本当にそうだと思いたいけど…

 

 そこからチエは重國にとある小屋の前に連れてこられ、重國は担いでいた怪我人達を地面に下ろしてから小屋の中へと。

 

「おい、右之助(うのすけ)! 起きやがれ、この無駄金遣い! 表に人がいるんだ!」

 

 ドゴン!

 

「ウゴォ?!」

 

 鈍い音と共に男性の声が中からする。

 

 出て来たのはパッとしない中年男性で、眠たげに欠伸をしながら頭をボリボリと掻きむしる。

 

「ったく。お前も物好きだよな、山坊や」

 

「うるせえよ! 誰の金でグウタラ出来ていると思っているんだ?! オラ、表に怪我人と客が来ているんだ!」

 

「ん~?」

 

 右之助が未だに怪我人を担いでいるチエを見ると、次第に目を見開いてアタフタと自分の身だしなみを雑に整える。

 

「し、失礼しやした!」

 

「…?」

 

 チエがただ彼の視線を見返している内に右之助と呼ばれた男性が小屋の中へと駆け込んで、彼と重國の怒鳴り合う声が外まで響く。

 

「オイ重國! お前、どうして貴族様が来ていると言わなかった?!」

 

「ハァ?! 貴族だろうが、誰だろうがここでは関係ないだろう?!」

 

「大ありだこのバカ!」

 

「んだと?!」

 

 ギャーギャーと騒ぐ重國と右之助の声をチエが聞き数分後、右之助は怪我人達の治療を開始する。

 

 と言っても怪我の近くで手の平から緑色の光を放つだけなのだが。

 

「(成程、アレが『()()()()』の治癒術か)」

 

「ヘ、へぇ。 お見苦しい所をお見せしました」

 

「私は別に構わん」

 

「チエさん。 そのボンクラは良いから中でお茶でもしながら知っている事をお伝えします」

 

「そうか。 右之助と言ったな?」

 

「ハ、ハイ!」

 

「ご苦労」

 

「へ?」

 

 ポカンとする右之助を置いて、チエは小屋の中へと入って、ちゃぶ台の横で座っている重國の向かい側に座る。

 

「さて…先ずはここ、『ソウル・ソサエティ』からですね────」

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 そこからチエに重國は色々っと喋りだし、チエは一度足らずとも目を背ける事や、興味なさそうな雰囲気を出すようなことはしなかった。

 

『尸魂界』。『死神』。『死覇装』。『斬魄刀』。

『瀞霊廷』。『(ホロウ)』。『流魂街(るこんがい)』。

 

 等等々と言ったモノを、重國はついつい喋ってしまう。

 

 何故なら彼は内心嬉しかったのだ。

 明らかに『強者』である存在が、こうして面と向かって自分の話を聞いてくれる事が。

 

 そして最後の方に重國は自分のしている事、否、したい事をチエに説明する。

 

「────成程。 つまり重國は()()()()()()()のだな。 だがお前の先程の説明では確か『特務』や貴族などがもう居るのでは?」

 

「アイツらは瀞霊廷の中に閉じ籠って、外の世界はおろか、『流魂街(るこんがい)』には全く関心を持たない! 外に出ているのはせいぜいオレみたいな例外や物好きや変人やさっきの奴らみたいに『力』で自分達の周りを良い様に従えているだけだ。 でも、オレはそれを変えたい!」

 

「ほう」

 

 チエが一言だけ言って、冷え切ったお茶を飲む姿を重國はモジモジとしながら様子を見る。

 

 まるで何かを期待しているかのように。

 

「………どうした重國?」

 

「待ってました!」と言う様な勢いで重國がチエの方を見る。

 

「チエさん! オレはこのソウル・ソサエティ全てを守りたい! だけど、今のオレは非力だ……………だから、オレは強くなりたい! どうか、オレに力を貸してくれないだろうか?!」

 

 ガバッと重國がチエに頭を下げる。

 

「いいぞ」

 

「無茶な事を頼んでいるのは承知の上でしかも会ったばかり────え?

 

「最初に言っておくが、私は何時まで()()に居られるか分からん。 だがその時までならば大丈夫だろう。 それに………………」

 

 チエが初めて言い淀む事に、重國はただジッと待った。

 

「……………いや、よそう。 それで、何時から始めたいのだ?」

 

「そうですね…………出来れば『今すぐにでも』と言いたいのですが…時間も時間ですし、オレはそろそろ帰らないといけないんです」

 

 重國の顔が俯くと、チエが声をかける。

 

「そんな顔をするな」

 

「え?」

 

「そのような申し訳なさそうな顔は、お前に似合わん」

 

「……………………………ありがとう、ございます。 明日、もう一度ここに来ますので、右之助にはオレからチエさんをここに泊められるようにオレが言っておきます」

 

「助かる」

 

 そこからチエは部屋の端で座禅を組んで、ただ静かに目を閉じる。

 

「(さて、『()()()』が来るまでの余興が出来た)」

 

 重國は小屋の外を出て、治療中の右之助に話をつける(というか無理矢理承知させた)。

 




作者:ふいー、滅茶苦茶緊張する

市丸ギン:そうやろか?

作者:うげ?! ちょ、ナンデ?! 何でここにもう既に誰かいるの?

市丸ギン:そういう作品やねん、BLEACHは

作者:えええ~~~~~~

市丸ギン:ちなみに作者はんはにわか知識とかで漫画とアニメマラソン中の休憩やったんとちゃう?

作者:ばらさないでプリーズ
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