……ハイ、サブタイトルの元ネタが古いのは承知しています (汗
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朽木白哉 視点
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時はルキアの処刑当日。
白哉は朽木家の屋敷の中とはいえ、障子を閉め切った部屋の中に一人でポツンといた。
壁沿いに配置された祭壇、お供え物、そして『
「……白哉様、お時間で御座います。 『双殛』へ出立のご用意を」
「…………分かった」
白哉は家の使いの者の気配が周りにいない事を確認してから考えにもう一度入る。
脳裏に浮かぶのはこの数日間の出来事の、総隊長とのお茶の時間。
≪『自身の眼で見て、定めておる』。 そう答えたのじゃ。 ま、要するに『自分で見て考えろ』という事じゃな≫*1
私情を入れずに考えるとルキアの処刑は不可解な例外……
と言うか異例ばかり。
そして先日の旅禍の侵入と藍染隊長の殺人事件。
その侵入者の中心に居た人物はルキアが死神の力を譲歩した人間、『黒崎一護』。
≪それがテメェの『瞬歩』か?!
そのような人間が僅か二か月ほどの時、死神の力を持っただけで副隊長の恋次に引けを取らないほどの戦闘技術を身に付けていた。
しかも当時の彼の言葉から感じ取れたのは、彼に『師』が居る事は予想出来る。
藍染隊長の殺人事件に『戦時特例』宣言。
そして先日出会った
≪『渡辺チエ』だ≫
次に突然、姿を消した五番隊副隊長の『雛森桃』。
「……(この一連の出来事、余りにも……)」
それ等は白哉に激しい『違和感』を持たせていた。
まるでこれら全ての出来事が繋がっている様な、全くの別の事なのかと言う漠然とした違和k────
「────くだらん」
気付いた時には白夜は声に出していた。
「(そうだ、総隊長も言っていた事ではないか。 『自身の眼で見て、定めている』と。 ならば────)────行ってくる…緋真」
白哉は立ち上がり、部屋を後にする。
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更木剣八 視点
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更木は捕獲された旅禍────茶渡、岩鷲、雨竜達を織姫、やちる、弓親、そして一角たちと共に留置場から連れ出してルキアの処刑場へと移動していた。
その間、彼は『面白い事』を耳にした。
きっかけは織姫の何気ない独り言に反応した一角と始まる二人の会話。
「そういえば『ヒーロー』さん、大丈夫かなぁ?」
「あ? 『ヒーロー』だぁ? 一護の事か?」
「あれ? 声に出しちゃった? うーん、黒崎君とは違うよ班目さん! 小柄なボディでこの前、大群の虚をギッタンバッタンと一人で倒したんだよ!」
「ふ~ん? その『ヒーロー』ってのは、もしかして『渡辺チエ』の事か?」
「あれ? 班目さん
「ああ、一護の野郎が『師匠』と呼んでいたからな」
「ふーん? 私が言っていたのはもう一人の、『渡辺三月』の方だよ」
「へぇー、
「そうだよ! 二人とも凄いんだよ!」
更木はこの時に出た、『
何せ自分が『強くなりたい』と思わせた黒崎一護の師の兄妹で、井上織姫に『ヒーロー』と呼ばせる程。
「(早く斬り合いてぇなぁ)」
「あ! 剣ちゃんすっごく嬉しい顔してるぅ!」
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朽木ルキア 視点
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懺罪宮へと繋がっている一本の橋の上を、ルキアは多くの護衛に囲まれ、極刑の罪人として拘束されながら歩いていた。
だと言うのにルキアの行動は落ち着いていた。
それはまるでこれから処刑される者では無かった。
『原作』では心底自分が罰される事を受け入れていたルキアだが、『現在』は違う。
義兄が減刑を申し入れた。
幼馴染が上司相手でも自分の為に引かなかった。
現世で知り合って間もないのに、自分を助けにわざわざ瀞霊廷へ侵入してくれた知人達。
そして何より────
────自分の所為で巻き込んでしまった黒崎一護と…………今では『第二の親族』となった
こんな大勢の人達が自分を助けようとしているのに「自分が罰されて当然」など考えるのがおこがましい。
ならばと思い、ルキアは堂々の振る舞いをしていた。
胸の奥で
「おはよう、ご機嫌いかが? ルキアちゃん」
「ッ」
そしてその不安がたった一人の、悠々と歩いて来た男の登場で蘇り始める。
「どないしたん? そんな顔をして?」
その常に笑みを浮かべる様は全身にまとわりついて、今にも喉元を食らい千切られるような事態を理解した獲物を楽しむかのような
そんな事をルキアに思わせるような男なのだ、『市丸ギン』と言う男は。
「市丸……ギン……」
「……あかんなぁ、隊長を呼び捨てにするなんて」
罪人とはいえ、護廷十三番隊の一人であるルキアは謝罪をしてから市丸に問う。
「市丸隊長は、なぜここに?」
別段、
「大した用事はない。 散歩がてらに
そう言い、市丸は妖しい笑みを浮かべた。
「実はな? 君を助けようとどうやったかは知らんけど、旅禍の一人が十一番隊の更木に頼んで他の旅禍を脱獄させて暴れまわっとるみたいやねん」
「……?」
十一番隊の更木と言えば、荒い性格の気分屋。
と呼ぶよりは『狂犬』という文字が似合う人物。
「そんな男が何故
「せやから、隊長格が数名鎮圧に直接向かっとると小耳に挟んでんや。 『生死不問』付きの指令で」
「ッ」
『生死不問』の指令とはいえ、もし噂話が本当の事なら『更木剣八』という者は強い。
だがそれでも────
「────ああ、それとな? なんやコソコソしとった
『小柄の旅禍』と聞いたルキアの心臓の鼓動が早くなり、耳朶には自身の心拍音が五月蠅くなって言った。
「まさか、そんな筈は無い」と思いながら。
「東仙隊長って真面目なの、知っているやろ?」
「…黙れ」
「せやから瀞霊廷内でコソコソしていたのが旅禍や知った時にそのまま────」
「────黙れ────!」
「────可哀そうになぁ、皆ルキアちゃんが『死にたくない』なんて思うてるからや────」
「────黙れぇぇぇぇ!」
「ポン」と市丸の右手が
「……
ルキアが必死になって隠していた恐怖を引きずり出した事に満足する市丸ギンのその姿は、細く伸びた舌で獲物を絡め取るかのような蛇そのものだと、場にいた護衛達を錯覚させる程だった。
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??? 視点
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『双極の丘』。
瀞霊廷内の護廷十三隊の敷地内でも、一際高い崖の上。
そんな所で処刑の準備が粛々と進められ、本来ならこれを見届ける筈の隊長格総勢二十名強の内から半分程度の姿が見えなかった。
が、処刑の時刻は予定通りに実地される様子をぼんやりと考えていたルキアの視線の中に義兄である白哉が入り、一瞬だけ目線が合い、白哉は所定の位置に付いた。
「……それではこれより、術式を開始する。 何か言い遺しておく事はあるかの、朽木ルキア?」
総隊長である山本元柳斎が静かに訊ねる。
その様子は末端の死神である筈のルキアに朽木家の令嬢から敬意を表……
ではなく、単純に義務的に訪ねている様子だった。
「はい、一つだけ」
「申してみよ」
ルキアは周りをもう一度見てから山本元柳斎へと開き直る。
「………ここから先、旅禍が何をしようとも…それら全ての咎は自分にあります。 ですので、罰するのであれば
ルキアの言葉に隊長格の何人かが不思議そうな表情へと変わる、「その為の処刑だろうが?」とでも言うように。
白哉の表情は変わらず、ただひたすらに落ちついていて義妹が危機に陥っている様な者には決して見えなかった様子。
これらを見て、山本元柳斎は片目を開いてルキアの顔を数秒間見る。
「……良かろう。 双殛を解放せよ」
封印が解かれ、宙に浮かぶルキアの前に『槍』の形状をしていた双殛がみるみると疼く炎へと姿形を変え、最後には大きな炎の鳥の形へと落ち着く。
『
「初めて見る者もおるか。 燬鷇王の
山本元柳斎は驚いている隊長格達に機械的に、『さもありなん』と言うような雰囲気で説明をする。
燬鷇王が羽ばたきを始め、その巨大過ぎる迫力と霊圧は正に『斬魄刀百万本に値する』と言う知識が真の事なのだと感じさせた。
ルキアはそう思いながら、目を瞑る。
決して恐怖からではない。
そして前から来る衝撃と爆音で目を開くと────
「────よ。 前に見た時より元気そうじゃねえか」
「遅いぞ────
────、
ルキアの前には空中に立っていた黒崎一護が燬鷇王の嘴を受け止めていた。
「勝算は、あるのだろうな? 今回は義兄様だけでは無いのだぞ?」
彼女の心境は意外と冷静になっていた。
『原作』とは違い、多少前向きな方向で。
「あ? 『勝算』? そんな物いるかよ」
「なッ?!」
ルキアと一護が場の割に呑気に話し合っている間、二番隊隊長の『
「ば… 馬鹿な?! 『双極』を止めたというのか?! 斬魄刀、一つで?!」
「成程ねぇ、彼が旅禍の『黒崎一護』か」
京楽が何時もの笑みを浮かべながら一護から視線を横へと移すと、その先には極僅かにホッとした様な白哉が上がりかかっていた腕を下す姿を捉えた。
刑を阻まれた燬鷇王が第二の執行の為に距離を取ると、首に黒い縄の様なものが巻き付かれる。
「よう、この色男! 随分と待たせてくれるじゃないの!」
京楽が黒い縄の先にある、盾の様な物を持っていた男の横に移動し、声をかける。
「すまん、解放に手間取った────!」
「────いかん! 奴等は双殛を破壊する気だ────!」
砕蜂が一早く浮竹と京楽の思惑に気付いて叫ぶが、あっという間に燬鷇王に流し込まれた霊力によって爆散する。
辺りに炎が降る直後に
「ひゃあ────?!」
「────よっと」
そして煙が晴れると────
────磔架の残骸の上にいた一護の隣で恋次がルキアを無造作に抱き抱えられていた。
「れ、恋次────?」
「────ルキアも『ひゃあ!』って言うんだな」
「ななななななな?! わ、忘れろこの戯け! と言うかこの大勢の前でどうやって消えるつもりだお前達?!」
「「とにかく逃げる」」
一護と恋次の『何当たり前の事を?』と困惑しつつ答える表情に対し、ルキアはポカンとした。
「………………………」
「ま、逃げられなきゃ────」
────一護が『斬月』を持ち直し────
「────全員ブッ倒すまでだ────」
────恋次が『蛇尾丸』を器用に空いていた右手で抜いて────
「────良いからさっさとあっち行け、この脳筋共────!」
────布に巻かれた、長い棒の様な物を背中に差したカリンが
「「────どわぁぁぁぁぁぁぁ?!」」
「────ああああああああああああ?!」
一護と恋次(そして恋次に抱えられたルキア)の叫びと同時に白哉が消えて、突然の出来事に死神達の注意が引かれている間に市丸もその場から消えた。
死神達は連続で突然の出来事に、呆気に取られていたまま。
「追え! 副隊長全員で奴らを追────ッ?!」
否、一人だけが叫んでいた。
砕蜂が叫び、次の瞬間に副隊長たちが一斉に動き出すと同時に顔に布を巻いた
瞬歩を使って一護達が
「テメェらに追わせるかよ────」
「────そこをどけ!」
「やなこった」
大前田の言葉にカリンが拒否の答えと共に笑みを浮かべる。
「今までさんざん留守をしてたんだ、
そして冷や汗を掻く浮竹と京楽とは対照的に涼しい、何時もの表情を浮かべる山本元柳齋。
「……お主等二人揃って何をするかと思えば…………
「………………あー、山じいってば本気で怒っていらっしゃる?」
「まあ、怒っているだろうな京楽────」
「────ちなみにワシが怒っておるのは、別にルキアの処刑を止めた事ではない、────
────その方法じゃよ」
その瞬間、燃え盛る炎の様な霊圧が沸々と山本元柳齋を包む。
「何も『双極』が発動するまで待ち、壊す必要は無かったような気がするのはワシだけかえ?」
汗が浮竹と京楽の頬を伝う。
「…………少し、場所を移そうかの?」
「「……」」
浮竹と京楽と京楽の副官らしき女性が無言で瞬歩を使って移動し、山本元柳齋も同じくその場から消える。
丘の上では残った副隊長達とカリンが対峙していた。
「(さーて、どうすっかなぁ?)」
ウキウキしながら背中に差した棒から布をはぎ取る。
「ッ!
「
「
「
カリンの取り出した
「♪~」
その間もカリンはご機嫌そうに鼻歌をしながら片手で槍を器用に振り回してから構える。
この姿は副隊長四人を前にしても『余裕』と取り、イライラしていた大前田が先に仕掛けた。
「ヌンッ!」
彼の投げたモーニングスター状の斬魄刀の攻撃に乗じて雀部が電撃をレイピア状へと変わった斬魄刀の刀身から飛ばす。
「ッ?!」
だがここで雀部が目を見開く。
何故なら彼が放った電撃の軌道が途中で意図せずカリンから逸れたからである。
「ワリィな。 飛び道具は通じねぇんだ、よ!」
「うお?!」
大前田のモーニングスターの鉄球部分をカリンは次に躱し、槍の先端部分で鎖を引き寄せ、前のめりに倒れ始める彼の体に動作の流れのまま肘打ちを食らわせる。
「え?! きゃ!」
丁度虎徹の方へと大前田の巨体が吹き飛ばされて彼女に当たり、彼女は気を失った大前田の巨体の下敷きになる。
最後に吉良の迫ってくる『侘助』の斬り込みを数回カリンが槍で防ぎ、この事に吉良は内心安心したが次の瞬間、カリンが
「(彼女は、どこに────)────?!」
頭上の影に吉良が気付き、
ドンッ! ボキボキボキ!
「────ガッ?!」
────と思いきや、いつの間にか接近したカリンに右腕を掴まれて彼の脇にキツイ
「(これで三人────)────うおおお?!」
カリンは自分と同じように何時の間にか接近した雀部の突きを回避し、後ろへと距離を取る。
「逃がさん!」
否、正確には距離を取ろうとしたが雀部はそれを許さず、斬魄刀での猛攻を素手のカリンに続けた。
「チィ!」
「(この小娘、只者では無い! このまま一気に────!)」
「『来い』!」
後方へとし続けるカリンの叫びに応じるかのように赤い槍が地面から跳ね上がって飛ぶ。
その出来事は丁度カリンを槍から遠ざける雀部を後ろから追う猟犬の様だった。
「クッ────」
雀部は明確な敵に背を向ける事無く槍を躱し、槍はスッポリと前に出したカリンの手に収まる。
正に猟犬のように。
大事なので二回追記するとしよう。
「(いや、『猟犬』じゃなくて『忠犬』の方が合っているか?)」
『うるせえよカリン! ブッ飛ばすぞテメェ! いい加減“犬”から離れろや!』
カリンは笑いながら槍を構え直す。
「(ワリィワリィ、やっと暴れるのがつい、楽しくてな)」
『あー、その気持ち分かるぜ。 で? 勝算あんのか?
「(やりようはある…と思いたい)」
『“槍”だけにかよ?』
「(うっせー、オレもどうかと思ってんだよ……けど────)────『
カリンの笑みを浮かべる顔と突進する様は『戦闘狂』……
と言うよりは『
市丸ギン:なんやねん、『愛のコ〇モゾーン』って?
作者:いや、だってこれ自分が初めてBLEACH見た時に思った第一感想で────
平子:────ネタ古いわアホ。 一体読者の何人が知っとる思うとるん?
作者:え。 だって火〇鳥シリーズだよ?
京楽:渋い趣味しているね~
作者:……よく考えたら80年代ものじゃん、あの映画?!
平子:だから古い言うとるやないか、このドアホ
作者:二回言った?!