白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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少々短い話ですが、キリが良かったので……


第34話 お約束のHARISEN

 ___________

 

 ??? 視点

 ___________

 

 結果的に、浦原喜助は『一時釈放』。 

 彼と四楓院夜一の両名、そしてこの場に今は居ない鉄裁(テッサイ)の百年前の罪も完全に冤罪であったと認められた。

 

 まあ四十六室(五月蠅いアホ共)が不在というか機能すらしていないので、あの演説の少し後にとんとん拍子に進んだ事もある。

 

 更に付け加えれば三月と浦原の二人が語った話が合理的、かつ整合性も備えていた物だったから。

 

 偽りの語りだったにしては手が込み過ぎていて、他の者達の話や報告を総合すると信じない方が難しくなっていった事もある。

 

「これにて、隊首会を終了とする!」

 

 山本元柳斎の宣言で、裁判は終わりを告げた。

 

 隊長達がぞろぞろと出る中、京楽に浮竹が小声で話しかける。

 

「どう思う、京楽?」

 

「ありゃあ、山じいも一枚噛んでいるね。 でなきゃ、あれ程場が滑る様に流れる事は無いさ」

 

「やはりお前もそう思うか………だが何も悪い(きな臭い)事ばかりではない」

 

「そうだね。 少なくとも『得体の知れない者』が()()訳だし」

 

「……………()()の事か」

 

 京楽と浮竹が見ている先では、無表情のチエに山本元柳斎が話しかける場面があった。

 

「…………本当に山じいの師匠とその()()なのかね~? だとしても────」

 

「────ああ。 奴等の行動()()、注意せねばあるまい」

 

「ま……僕達以外に彼らを注目しているのは山じい以外にもう一人、居るんだけれどね」

 

 丁度その『もう一人』がそそくさとその場を離れようとした三月をネムに捕獲さ(首根っこを掴ま)れた。

 

「捕獲、成功」

 

「うわわわわわ?! な、な、何よ?! (デジャヴ感、半端ないよこれ?!)」

 

「少し良いかネ?」

 

 ここで今までずっと黙っていた涅マユリが初めて口を開けた。

 

「いや『少し良いかネ』も何も、こんな状態で────」

 

「────君は()()かネ? さっきの霊子で出来た弓矢といい、異常な移動方法といい……明らかに『滅却師』に似た技だが、決定的に違うようだガ?」

 

「(Oh。 超々々々々面倒臭い奴にも目を付けられちゃったよ……私の頭、アンパンで出来ている訳じゃないけどさ)」

 

 マユリがニィーっと目を細め、満面の笑顔になる。

 

()()()ね、キミ。 実に()()()────」

 

「────あー、そこまでにしてもらえますか涅サン? 彼女は僕の大事な助手なので」

 

 明らかに聞こえる歯ぎしりをマユリがしながら後ろから来る声の持ち主、浦原に振り向く。

 

「ほう? 浦原喜助の『()()』とはネ。 私に少しばかりの間、『コレ』を貸して貰えないカ? 丁度────」

 

「────彼女が同意すれば、ですが♪」

 

「おい貴様────……………………………ネム? 奴をどこへやっタ? と言うか()()()は何処から出したのだネ?」

 

 マユリが再度振り向いて見た光景はモグモグと口を動かしながら、両手でお皿に乗った苺ショートケーキをフォークで食べていたネムの姿。

 

 そして彼女の頭の上にはもう一セット(ケーキとフォーク)

 

「あの子が『どうぞ』と言い、私にお皿とフォークを二セット程渡されました」

 

「……………………………はイ?」

 

 実をいうと、浦原はこれを面白ながら見ていた。

 自分がマユリの注意を引いている間に、三月が()()()()()からケーキのお皿二つを取り出していたのを。

 

「………………ネムよ。 君は一体、今何をやっているのかネ?」

 

「ケーキを食べています、マユリ様」

 

 マユリのこめかみに青筋と血管が浮き出る。

 

「そうではn────ムグッ?!」

 

 ネムがほぼ無理矢理にマユリの口にケーキの一切れを入れ、彼は衝動的にそれを飲み込む。

 

「………………………」

 

 暫しの撃沈後、マユリの両目が『カッ!』と力強く見開く。

 

…………………………あらやだ美味しいよこレ

 

「頭の上はマユリ様の分だそうです」

 

「………………………………………………………………ふん」

 

 マユリは鼻で笑いながら軽蔑する表情を浮かべるも、彼の手はネムの頭の上でバランスを保っていたお皿のケーキを取り、彼がそれを食べ始める。

 

「モグ────これで────モグ────逃すと────モグ────思うとは────モグ────笑止! フゥ~ごちそうサマ……ネム! 奴を追うゾ!」

 

「マユリ様、頬っぺたにクリームが付いております」

 

「(ほんと……なんと言う者だよ)」

 

 浦原が込み上げる笑いを堪えながらプルプルと体を震わせて、お腹を押さえる。

 

 彼の前では()()何時もと違う様子のマユリの頬をナプキンで拭くネムの姿だった。

 

 

 

 その頃、元四十六室用の敷地外へと出た白哉に付き添っていた恋次の二人を迎えに来たルキアの肩は後ろから掴まれた。

 

「ル~キ~ア、ちゃん♡」

 

「んあ? オメェは────い゛い゛い゛?!」

 

 ルキアの後ろから聞こえた()()()声で声の持ち主を見た恋次が青ざめ、歩みを止める。

 そしてその彼女は振り向くのを躊躇した。

 

 声が余りにも『陽気』だったのと、恋次の反応の所為である。

 

 だが肩が掴まれたままなので振り向かない訳にもいかず、とうとう後ろを見ると目だけ笑っている三月が眼前に居た。

 

 怒りの青筋を無数に浮かべながら。

 

「ヒィ?!」

 

 右手には巨大なハリセンを。

 左手にはルキアが()()()()()()()を。

 

「『これ』を忘れたとは言わせないわよ~?♡」

 

 無数の汗がルキアの体中に吹き出してダラダラと流れ、これを見た恋次&白哉は?マークを出す。

 

「??? (何だぁ? あの手紙???)」

 

「何だ、その文は?」

 

「そ、それは! まさか────!」

 

「────えー、コホン。 世話になった。 すまぬ────」

 

「────あわわわわわわわわわわ────」

 

 焦るルキアを無視して三月が声に出して読み始める。

 

「『────訳あって(ルキア)は出ていく────』

 

 それはルキアがソウルソサエティに連れ戻される日、渡辺家に置いてきた手紙だった。*1

 

 手紙の内容は謝罪と、ちゃんとした別れを言えない後悔と、楽しくて暖かい日々を現世で送れた事への感謝。

 

 等々と言った、ルキアからすればかなり恥ずかしい内容ばかり。

 

 その彼女がみるみると恥ずかしさのあまりに真っ赤になるのをいい気に、三月はルキアの声や口調を真似し始める。

 最後の方の文章までなるとルキアは顔を両手で覆ってただ叫びながら地面をゴロゴロと回った。

 

あああぁぁぁぁぁ!いやあああぁぁぁぁぁ!────」

 

「────すまぬ。 誠にすまぬ。 出来ればこのような形で────」

 

「────きゃああぁぁぁぁぁ!!!あああぁぁぁぁぁ!

 

「────…………………」

 

「────プ……ク…クククク」

 

 情に流されるこの様なルキアを見た事も、聞いた事もない白哉は唖然としている隣で、恋次がお腹を押えながら笑いを堪えていた。

 

『朽ち木家の令嬢にあるまじき姿』という思考が、両名の頭から抜け落ちる程の出来事。

 

 遂に手紙を読み終わった三月が最後には頭を抱えて思考放棄をしていたルキアを立たせる。

 

「よーし! 歯を食いしばって♡」

 

「はへ────?」

 

 バシィン

 

 握られていたハリセンがルキアを真上から彼女の頭部に直撃する。

 

「────お゛お゛お゛お゛お゛お゛?!」

 

 今度は痛みに彼女は頭を抱え、唸り声を上げる。

 

「今のは私達と、一護達の分よ!」

 

「……い、いやその…本当にすまぬと────」

 

「────はい! 謝るのをやめる! さっきので終わりよ! 以上!

 

「何時に増しても強引だなお前は?!」

 

「いや~それ程でも~」

 

「褒めておらん!」

 

 このコントに耐えられなかったのか、恋次は遂に笑いを声に出し始める。

 

「ギャハハハハハハ────!」

 

「────恋次もそう大きく口を開けて笑うでない!」

 

 ゴンッ!

 

 ルキアがジャンプで段差を付けて、拳骨を未だに笑う恋次の頭にお見舞いする。

 

「イデェェェェェ?! 俺は病み上がりだぞルキア?!」

 

「知るか!」

 

 そしてそのお陰で恋次の頭から血が再度出始めたのに気付き、手でそれを押さえる。

 

「あ、やべ」

 

「少しは血抜きをして落ち着け、この馬鹿者!」

 

「ホー、痛そうね~」

 

「「誰の所為だと思っている?!」」

 

「……………」

 

 白哉はただ静かに見ている事しか出来なかった。

 

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

「それでお前、白哉と恋次達の前でルキアの置き手紙を声に出しながら読んだ挙句にハリセンで一発叩いたってのかよ?」

 

「うん♪」

 

「鬼かテメェは?!」

 

「エヘヘヘ~♪」

 

「これで夏梨()の性格に納得いくぜ……お前から見習っていたのかよ?!」

 

「……え? そ、そうかな~?」

 

 上記の後、三月は何とか更木から逃げおおせた一護、休んでいた茶渡、破れた滅却師の装束や現世組の衣類の修理をしていた雨竜にざっと事の説明を右之助の屋敷でしていた。

 

 最初はどの隊の詰め所に泊まればいいのか迷ったが、ちょうど右之助が居たので彼に面倒事 無関係で信用できる彼の所に一護達は泊る事に。

 

 織姫と言えば相変わらず兄の昊とクルミの三人で出かけていた。

 

「……容赦ないな、ミーちゃんは」

 

 茶渡がどう声をかけていいのか迷った挙句の第一の声が上記の一言。

 

「……と言うか……その………渡辺さんの家族も来ていたんですね?」

 

 雨竜が遠慮がちに茶渡の言葉に便上する。

 

 彼らにはカリン、リカ、ツキミ、クルミの事も三月は説明していた。

 手助けに来た『()()』として。

 

「もうここまで来ると、お前の家族全員が化け物じゃねえの? お前自身もだけど」

 

「普通は十年間かかると言われる卍解をたった三日間で会得した一護に言われたくない」

 

 意趣返しでそう言った三月に二カッと一護が明る(嬉し)く笑う。

 

「じゃあ化け物同士だな、俺達って!」

 

「はへ。(ま、眩しい! 無邪気な顔が眩しい! 義兄さんに似ている!)」

 

「……というかチエはどうしたんだ?」

 

 茶渡の質問に他の皆が同じ疑問を浮かべ、三月の顔が引きつく。

 

「あ、ああ……チーちゃんは『臨時隊長代理』に────」

 

 「「「はぁぁぁぁぁぁ?!?!?!?!?!」」」

 

 三月の説明にその場に居た男三人が驚愕の声で叫び、四番隊の総合詰め所の看護婦達が何かあったと思い、慌てて部屋に入ったら気を失いそうな男性三人に苦笑いを浮かべている少女が一人、居ただけだった。

 

 何ともシュールな場面なのは言うまでもない。

 

*1
第18話より




マイケル:短いなオイ?!

作者:だって……キリが良かったから。 と言うか久しぶりだね?

マイケル:お前の所為だろうが?!

作者:いや、このまま『俺と僕と私と儂』を続けるのかリメイクするのか迷っていて────

マイケル:────リメイクする気あるのかよ?!

作者:まあ……処女作出しプロット自体、かなり若い頃に作ったものをそのまま使ったわけだし……
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