白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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連続投稿、GO!


第40話 (Mis)Understanding (後編の後編)

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 ??? 視点

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 男湯から一護とチエが向かっていた女湯では水の液体音以外、ただ静かな沈黙が支配していた。

 

ど、どうする?

 

わ、私に聞かれても……櫃宮四席は?

 

そうよ、同じ五番隊でしょ────

 

────無茶な事言わないでくださいよッッッ!!!

 

 否。

 小声で会話はあるものの、その場にいた一人の人物によってこのお通や状態の空気は生まれていた。

 

「…………………………………………………………………」

 

 それは湯の中で死んだ目と、いつの間にかやつれた顔で体育座りをしながら股を抱え、肌が青を通り越して土色になった雛森だった。

 

 この変わりぶりは同じ湯に浸かっていた松本、伊勢、櫃宮が距離を出来るだけ自身達を遠ざかせる程。

 

 単純に雛森の近くに行くと、()()()温度が数度下がったような錯覚になるから。

 

 余程(ほぼ)裸の姿を『隊長代理』に見られたのがショックだったのだろう。

 彼女のその様子は『原作』より遥かに酷かった。

 

「「「(ど、どうしよう?)」」」

 

 性格が違う三人(松本、伊勢、櫃宮)はこの時だけ同じぐらい雛森の心配をしていた。

 

 カラカラカラ。

 

「成程。 やはりこっちが女湯だったか」

 

「「「……え」」」

 

 そこで現在、雛森の様子の元凶とも言える人物の声が入り口の開く音と共に響く。

 

 松本、伊勢、櫃宮が見ると、やはり全裸のチエだった。

 

「「「い────ッ?!?!?!」」」

 

 叫びそうになる三人が途中で止まり、その間にチエは体を淡々と洗い始める。

 

 ちなみに三人の考えは以下の通りである。

 

「(え? え? え? む、胸がある? 小さいけど……)」

 

「(髪の毛が長い男性ではない???)」

 

「(『()』があって、『()』が無い……だと?)」

 

 上から櫃宮、伊勢、松本。

 唖然としている間にチエが湯に浸かる。

 

「…………………どうした三人とも? のぼせたのなら────」

 

 「「「────アンタ、『女』だったのぉぉぉぉぉぉぉぉ?!」」」

 

『キィーン』と耳鳴りがするほど三人が叫び、雛森がここで初めて反応する。

 

「チエさん!」

 

「ん?」

 

 ザバザバザバと湯の中を走る雛森が焦点のあっていない、グルグル暗黒な何かが中で回る目をしたままチエに迫る。

 

「せ、()()()()()()()()()!!!」

 

 「「「え」」」

 

「ああ、良いぞ」

 

 「「「え゛」」」

 

 雛森の言葉と、それに即答するチエにただ反応するしかない松本、伊勢、櫃宮が互いを見る。

 

「……………………………………………………ポペ」

 

 立て続けの衝撃の連鎖でとうとうパンクしたかのように、雛森が意味不明な言語と共にの意識が遠くなり彼女は横に湯の中へと倒れ、湯の中をうつ伏せのままブクブクと泡を出す。

 

「雛森ちゃん?!/雛森?!/副隊長?!」

 

「……やはりのぼせていたか」

 

 チエが雛森を抱えて女湯から出ようとする。

 

『あああぁぁぁぁぁ、もう嫌! なんなのアイツ?! バイ〇ンマンより質が悪いッッ!』

 

『悪趣味なストーカーのほうがまだマシですね』

 

『ストーカーでも常識は持ち合わせていますよホント……』

 

『先にお前らがアイツを挑発するような事したからじゃねえの?』

 

『いや、トイレにまで乗り込んで張り込むのは流石にあかんとちゃう?』

 

 カラカラカラとまたも開く入り口から入ってきたのはゲッソリとした(眼鏡無しの)三月、眼鏡をしているリカとクルミ、そして(頭以外)体全体に擦り傷が見えるカリンと、八重歯がある以外は三月とそっくりのツキミだった。

 

「みんな仲が良いんだね♪」

 

 一つ訂正。

 

 彼女達の後ろに織姫も居た。

 

「「「「「(何でこいつ(織姫)()と居ない時以外は私達に付きまとうの?/付きまとうんだ?/付きまとうんや?)」」」」」

 

 何時も通り(平常運転)の織姫は三月たちが風呂に入ると聞き、「じゃあみんなに一緒に入ろう!」と聞く耳持たずに付いて来たのだった。

 

「あれ? チーちゃん?」

 

「あん? なんで『メロンパン』が気ぃ失ってんだ?」

 

「ああ。 のぼせたらしくてな」

 

「というかチエ氏はあまり浸かっていないと推測しますが?」

 

「別にいい。 体はもう洗った後だからな」

 

 リカの問いで外に出始めるチエ(&抱えられた雛森)に今度はツキミが声をかける。

 

「なんや、というか帰りは一緒に帰らへんか?」

 

「そうだな。 そこまで時間が経てば、流石に雛森も目が覚めるだろう」

 

 それを最後にチエと雛森は湯場から出て、入れ代わりに三月達が入る。

 

彼女(カリン)以外の皆さんは髪が長いのですね」

 

 隣で体を洗っていたネムがジーッと三月達を見ながら言う。

 

「ん? まぁね。 でもケアが大h────え゛?

 

 三月が隣から聞こえた()()()の声を聞いて固まる。

 

「…………………………………………何か?」

 

 ネムが(物理的に)後ずさる(引いていく)三月とクルミを?マークを出しながら見る。

 

「な、なんでここ────へぶ」

 

あの子(チエ)の事、詳しく説明しなさいよ?!」

 

 三月がやっと再起動した松本に後ろから掴まれて、後頭部を柔らかい物(たわわな胸)に強打する。

 

「そうです! あの隊長代理の『()』ですよね、貴方達?!」

 

 今度はクルミが伊勢に掴まれる。

 

「いえ、ボク達が『()』ですけど?」

 

「え?! あんた達が?! すらごと()?!」

 

 そしてリカの『シレ』っとした、何気ない答えに櫃宮の地の方言が思わず出る。

 

「なんや、文句あるんか?!」

 

 そしてお約束の関西 ツキミのツッコミ。

 

 そして顔を洗う為に外した眼鏡をかけ直すリカ。

 

「あ、先程ぶりですネムさん」

 

「あら、貴方はマユリ様と────」

 

「「「────え?」」」

 

 三月達の視線が平然と挨拶をするリカへと移る。

 

「ん? ボク、言いませんでしたっけ────?」

 

 

 ___________

 

 右之助、山本元柳斎 視点

 ___________

 

「あ~、暇じゃ~。 烈の奴め~、酒屋に片っ端から『ワシには禁酒じゃ』と伝えおって」

 

 右之助はその同じ日の夜、どこかの隊長室内のソファーの上にて項垂れていた。

 

「お主が悪い。 あれ程『酒は控えよ』と言われておるのに、よりにもよって卯ノ花本人にバレおって」

 

 その間、山本元柳斎が座っていた机からは『トン、シュル、パサ。トン、シュル、パサ。トン、シュル、パサ』っと、リズムの良い音を出していた。

 

「いや、ワシもまさかチエ殿が帰って来るとは思わなんだ。 長生きはしてみるものじゃのぅ、山坊? フホッホ」

 

「いい加減『山坊』はやめて欲しいのじゃが。 ワシら二人とも爺じゃし」

 

 山本元柳斎は書類に()()()を押しては次の書類をめくる作業を止めずに続ける間、右之助が立ち上がってヨボヨボと近くの掛け軸を横へと逸らして後ろの人がぎりぎり通れるような穴の中を見る。

 

「ワシにとっては何時まで経っても『山坊』じゃよ────ってお主。 ここに隠しておいた秘蔵の酒を動かしたな?」

 

「フォ、フォ、フォ。 ワシじゃないわい。 雀部(副隊長)じゃ」

 

 ジト目で自分を見る右之助に、山本元柳斎が愉快そうに笑う。

 

「大方、ワシの酒とでも思い込んだのじゃろう」

 

「あの小僧……まぁ良い。 お主の抜け道に壁が出来ておるからな」

 

 山本元柳斎がここで初めて作業を止めて、目を二つとも『カッ』と見開く。

 

「な、なんじゃと?! (まこと)か?」

 

 山本元柳斎がせっせと掛け軸の裏にある穴の中を確認すると、今度は右之助がニヤニヤと愉快に笑っていた。

 

「く、くぅぅぅぅぅぅぅぅぅ! お、おのれい! ワシの、ワシの一か月の歳月をかけた抜け穴がッッ!!!」

 

「山坊、その書類の処理……手伝うぞい?」

 

「ヌ……グッ……見、見返りはなんじゃ? 今度はどこの酒じゃ?」

 

「交渉成立じゃな」

 

 余談ではあるが、作業の効率化の為に署名の代わりに『ハンコ』が導入されつつあった。

 

 それだけではなく、瀞霊廷に無くて『現世』にある数々の物が導入される目途が立っていた。

 

 それもこれも涅マユリ(現技術部局長)と、蒲原喜助(元技術部局長)の二人のおかげでもあり、頑なに古い方法などを重視していた頑固頭……もとい、四十六室が不在なのも大きく関係していた。

 

 いや、厳密には『現世』()()無い物や試作品(プロトタイプ)段階でしか存在しない物の『()()()』等も()()()導入されていたのだが。

 

 更に余談となるが、後に山本元柳斎が右之助の手助け(署名のハンコ押し代わり)を求めたのが後で災いする事となるが………

 

 それはもう少し先の話になる。

 

 ___________

 

 ??? 視点

 ___________

 

「う……うーん……」

 

 横になっていた雛森はボーっと目を半開きにして、まどろむ意識のまま呻き声を上げていた。

 

「大丈夫か?」

 

 そしてそんな生半可な意識の中だった為に殆ど本能的な行動を取っていた。

 

「変な夢を見たんです」

 

「ほぅ。 どんな夢だ?」

 

 勿論、丁度良い温もりに極上の枕に頭を休めている様な感覚、心が安らかになる声などが関係していたのも不定出来なかった。

 

「チエさんが……『責任を取ってくれる』っていう……幸せな夢を……」

 

「別に夢ではないぞ?」

 

「……………………………………………………」

 

 この最後の『夢である否定』宣言に雛森の意識が覚醒すると同時に目を完全に開けて目の前のオブジェをちゃんと目視する。

 

「どうした?」

 

 そして目の前にはかなりのドアップでチエが覗き込む顔と、自身の頭が乗せられた彼女の膝が後頭部の感覚────

 

 「────?!」

 

 ゴリッ!!!

 

 ビックリした雛森が急に起き上がり、互いの頭が衝突して鈍い音がする。

 

 別名『頭突き』とも言う。

 

「い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛?!」

 

「……………………………………………………………」

 

 女性更衣室の休憩所のベンチの上で痛みに自分の頭を抱える雛森と、目をパチクリとしてチカチカと星が散っている景色が収まるのを待つチエ。

 

 数秒後、雛森は()()()()()()

 

「え?! チエさん?! な、何でここ(女性更衣室)に?! と、というか胸がある……それにひ……膝まk────」

 

「────ああ、何か勘違いをしているみたいだが私は自分を『()』と偽った覚えはないぞ。 あと胸は邪魔なので以前はサラシだけ巻いていたのだが、この『びぃほるだー』もつけると胸を気にしなくても良い様になってな────?」

 

「────え? は? へ?

 

 頭が追い付かない雛森は彼女と同じように浴衣姿のチエを見る。

 因みに今はサラシ+Bホルダーを両方とも着用していたので胸は完璧に隠れていた。

 

「えっと……『女の人』……という事ですか?」

 

「そうなるな。 疑うのなら、見せても────」

 

「────い、良いです! 結構です! 大丈夫ですッッ!!!

 

「ん、そうか」

 

 浴衣を解いて脱ぎ始めたチエが帯を締め直して、雛森は気まずいように体をモジモジとする。

 

「……どうした?」

 

「う……チエさんは……その……」

 

「ん?」

 

 雛森の声が徐々に消え入りそうなモノへと変わる。

 

…………さっきの……その……………えっと────

 

 顔を俯かせた雛森がおずおずとチエを見上げると、チエが何かに気付いた様に手を『ポン』と置く。

 

「────ああ。 先程の『責任』か。 ()()()()ぞ、『()()』もして良いぞ?」

 

「え」

 

 ビクリとする雛森は(何時も通り無表情な)チエの顔を見上げ、目が合う。

 

 そしてジーッと視線を外さない自分を見るチエに、雛森は段々と自分の顔が熱くなるのを感じて戸惑う。

 

「(え、え、え?! な、なんで? だって……え? 『責任を取る』って……え? でも……チエさんは同じ『女性』で……『同姓』で…………ルキアさんは………………えぇぇぇぇぇぇぇぇ?)」

 

 チエはというと顔の両側を自分の手で覆って座りながらタジタジクネクネする雛森を見て、とある玩具(フラワーロック)が頭を過ぎっていた。

 

「(確か三月がウルルの為に買って、ウルルが大層気に入っていたな……蒲原に魔改造されて虚に反応するようになったと知っては私に泣き付いて、三月が夜一殿に『ふらいでー』という所の隠し場所をバラしたな)」

 

 ボーっと表情を変えずのチエの意識が、雛森が頭を下げる動作によって現在へと引き戻される。

 

「で、で、で、では……不束者ですが……よろしく……お願い……します

 

「??? ああ、こちらこそ」

 

 良く分かっていないまま、チエも礼儀に沿って頭を下げる。

 

 

 

 一方、男湯では文字通り『生きた屍』状態の日番谷と白哉がいた。

 

 互いに無言で俯き、ただひたすらに沈んだ顔と空気を出していた。

 

「(よっぽどチエが『女』だったのがショックだったんだな)」、と恋次は横目で二人の様子を見ながらかなり軽い考えをしていた。

 と言うのも、その事実を考えれば自然と落ち着いたからだ。 

 

 主にルキア関連事情でと言うのは本人(恋次)でさえも気付いてはいなかったが。

 

「(昔の俺を思い出すなぁ……分かるぜ、その気持ち)」、と同じく横目で一護が頭を洗いながら思う。

 

 ただ当時の子供の頃に見た事が頭を過ぎったのか、一護は急に冷た~い水の蛇口を捻っては頭を流れる水の中へと乱暴に突っ込んだ。*1

 

「(つか隊長の言ったように、『強さ』に男も女も関係ねえなやっぱ)」、と考える一角。

 

 そして悶々とする日番谷と白哉。

 

『触らぬ神に祟りなし』状態の二人から距離を取っていた他の者達は『何故上級貴族である筈の白哉がここに?』という疑問を抱いても聞く勇気が出なかった。

 

「日番谷君に朽木君がそこまで落ち込むとは、尋常じゃないねぇ~?」

 

 否、一人(京楽)だけそこに居た。

 

「「………………………」」

 

 だが普段一つや二つの返しをする二人(日番谷と朽木)は黙りこんだまま。

 

「あ、あれれれれ?」

 

 これは流石の京楽にも意外だったようで、困惑する。

 何かの反応を期待していたのに、全くの無反応。

 

 ツッコミ風に言うと『全然受けていない』状態。

 

 この後京楽は何とか場を明るくしようと努力するが変化が全然見当たらず、彼が居る場としては珍しく静かな時がただ過ぎ去っていった。

 

*1
第6話より




作者:不安だ…… (゚ω゚;)

マユリ:フフ……フヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒひ

リカ:変質感が増しましたね

マユリ:ようやくダ。 ようやくだヨ! 準備は整っタ! 次話よこイィィィィィィィィィィィ!!!! ←期待に酔っていてリカの指摘に全く気付いていない

ひよ里:…………………… ←次話のラフを読んで周りの出来事に全く気が付いていない

作者:……………………………別の意味で不安だ…… (=◇=;)
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