白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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アンケートへのご協力ありがとうございます。
この話も対象になりますのでご協力お願いします。

そしてお待たせしました、次話です。


第55話 The Quincy(?) and (Pale) Rider

 ___________

 

 一護、雨竜、『渡辺』三月 視点

 ___________

 

 次の日、一護は前日より更にボーっと気が抜けていた。

 

 彼が思い返していたのは前日聞いた、平子の言葉。

 

≪“何者”やと聞いたやろ? ()()()()()()。≫

 

 平子が出した虚の仮面を一護が見た瞬間から、『白い自分(一護)』が更に騒ぐようになっていて昨夜もかなり一護は苦しみ、寝不足だった。

 

 同じ時期とクラス内では、雨竜も父親の取引(言葉)を思い出していた。

 

≪滅却師の能力を取り戻したければ、死神に関わらないと誓え。 そして────≫

 

 雨竜は自分をジッと見ていたハッシュヴァルトに気付き、考えを中断してイラつきながら視線を返す。

 

「何ですか、ハッシュヴァルト君?」

 

「いえ。 私からは何も。」

 

「そうか。」

 

「「……………………………」」

 

 何故か急に二人の周りの温度が下がったような感じがして、近くの者達が無意識に体を震わせた。

 

「大丈夫か、三月?」

 

「他人の心配も出来るなんて……流石です♡」

「プププー。 バンビちゃん、最後にハートマークなんて似合わないよ~?♪」

「うっさいわよジジ!」

 

「えっと……大丈夫ですか三月ちゃん? 腹痛のお薬、必要ですか?」

 

 チエと雛森が声をかけたのは机に顔を俯せにくっつける三月だった。

 

「ううぅぅぅ~~~~……ヒナモちゃん、マジ天使。 でも腹痛薬だけじゃなくて、頭痛薬もあるなら私ほちぃ~。」

 

「……えっと────?」

 

「────おっはよう黒崎君!」

 

「おはようさん、いち────」

 

 ガタッ!

 

 織姫に続いてクラスに入って来る平子が挨拶をし始めると、一護が立ち上がって彼の胸ぐらを掴み、無言のまま教室から連れ出す。

 

「────ご? お、おぉぉぉぉぉ?」

 

 これを見たチエが未だに微動だにしない三月に念話を送る。

 

『三月、平子が一護に連れ出されたぞ。 追わなくていいのか?』

『お掛けになった電話番号の持ち主は只今────』

『────ふざけるな。 事が起きるのは“()()()()”なのだろう?』

『ごめん、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。 私は()()()()予期せぬ事に巻き込まれたから……ハァ~…』

『……そうか。』

 

 ___________

 

 雨竜 視点

 ___________

 

 同じ日の放課後、雨竜は『もう二度と来る事は無いだろう』と思っていたビルを見上げる。

 

 張り付けられた、大きな看板には『空座総合病院(からくらそうごうびょういん)』。

 

 空座町唯一の総合病院ながらも、その事実で慢心や傲慢な態度などせずに良心的な値段とケアで有名な場所。

 

 値段は常に患者が許せるギリギリの値段なので、『良心的』かどうかは誰に聞くかによるが。

 

 溜息を出しながら雨竜は躊躇もないまま扉をくぐり、ほぼ顔パスと学生手帳での身分証明を出しては一つの部屋の中へと入る。

 

 部屋の上には『院長室(いんちょうしつ)』と書かれたドアプレート。

 

 そして中で書類に目を通していた竜弦(院長)が雨龍へと視線を上げる。

 

「来たか。 答えを聞かせてもらおうか、雨竜?」

 

「僕は能力()を………………取り戻したい。」

 

「それで?」

 

「……僕は誓う。 二度と、死神とも、その仲間とも関わらない。」

 

「よろしい……で、()()は?」

 

「ッ……()()()入りたくなさそうだったから、外で待っている。」

 

「『()()()入りたくない』、だと? 何故だ?」

 

「それぐらい自分で聞け。」

 

「…そうか。 良いだろう、丁度休憩に入ろうと思っていた所だ。」

 

 竜弦が立ち上がり、懐からタバコを出しながら病院の外へと足を運ぶ。

 

 病院の自動ドアが開くモーター音と共に竜弦が外に出ると────

 

「────君は何処へ行こうとしているんだね?」

 

はぴゃあ?!」

 

 ソロリソロリとその場を今から去ろうとしていた少女に竜弦が声をかけ、少女は今の事を全く予想していなかったのか体ごと驚きから跳ね上がる。

 

「ア、イエ。 ベツニ?」

 

 少女は首が錆びついたような、ぎごちない動作で冷や汗を流し、そしてひきつる笑顔を竜弦に向ける。

 

「なら何故病院に入りたがらない、()()くん?」

 

「病院は……色々と、思い出がある場所ですから」*1

 

 どこか儚げで困った顔と苦笑いをしながら答える金髪碧眼少女(三月)を見た竜弦は、かつて石田家の世話になっていた『昔の真咲(マーちゃん)』を一瞬だけ連想させた。

 

「ッ……話の続きは、『院長室』でするとしよう。」

 

 吸う気が失せたのか、竜弦はタバコをしまう。

 

「そ、そう? でも私、部外者(よそ者)────」

 

「────『滅却師()()()』で『異質』な君をこのまま帰すわけにもいかない。」

 

「…訴えるわよ?」

 

「こちらには金も弁護士も報道局も取りそろえている。」

 

「ア。ハイ。ワカリマシタ。」

 

 社会的処刑を三月は悟り、おずおずとしながら病院の中へと竜弦と共に入っていった。

 

 ………

 ……

 …

 

 院長室の中では三月は気まずそうに眼を泳がせながら体をモジモジとさせる。

 

「「……」」

 

 部屋の中では彼女も含めてほか二人がいても、ただ静かな時が過ぎる。

 

 これに耐えられなかったのか、三月が口を開けて沈黙を破る。

 

「えっとぉ……真咲さんに『()()()()()()()』って、例えばどういう事ですかぁ~?」

 

「例えば先ほども呼んだように、『君は()()()()()()だ』や、『マイ』というお前の母親が『()()()()()()()()()』、など。」

 

「……」

 

「否定はしないのなら『肯定』、として取るが?」

 

「ア、アハハハハ~。」

 

「(やっぱり…)」

 

 竜弦の指摘に三月はただ乾いた笑いを上げ、雨竜は自身が持っていた違和感が間違っていなかった事に腑が落ちた。

 

「さて。 愚息とは言え、一応は血の繋がりのある者だ。 彼が世話になったな。」

 

「へ?」

 

 竜弦が淡々と雨竜の事で感謝を上げたことに『ポカーン』とする三月に、彼はそのまま言葉を続けた。

 

「聞けば同じクラスに…確か手芸部だったな?」

 

「ちょっと待て竜弦! 何故そんな事を知っている?!」

 

「そうよ! 眼鏡(雨竜)の言う通りよ!」

 

「「………………………………」」

 

「何よ?」

 

 三月の言ったあだ名(眼鏡)で雨竜と竜弦は互いを見てから、同じく眼鏡を掛けている彼女(三月)を見る。

 

「まぁ、些細な事はどうでも良いとして────」

 

「────スルーすんなし────」

 

「────この愚息が能力を取り戻すのに、『君が協力する』というのが私の出した条件の一つだ。 協力するのかどうか、答えを聞かせてもらおうか。」

 

 

 なんでさ。」

 

 

 ___________

 

 ??? 視点

 ___________

 

 場所はチエ達が住居としているアパート、時は同じ時刻の放課後。

 

 学校はもうとっくに終わり、定時勤務も終えて住居に帰る生徒たちやサラリーマンの姿などがチラホラと空座町内で姿を見かけられる頃。

 

 ロバートはアパート敷地内にある庭で設置されたパティオテーブルの近くに、椅子に腰を掛けながら紅茶を優雅に────

 

「ム?」

 

 ────口をつけようとした紅茶のコップの動きが止まり、近くに座っていたマイが彼を見る。

 

「??? 大丈夫ですかぁ~? 紅茶、淹れるの頑張ったんですけど~?」

 

「いえマダム、大変素晴らしい出来です。 ただ……」

 

「ただ~?」

 

「何か()()()()()()が来ていますね。」

 

 ロバートは立ち上がり、アパートの中に居た滅却師達はドア開けては出かける用意をし始める。

 

「あら~。 皆さん、お出かけかしら~?」

 

「ええ、我々は『()()』を守る義務が御座いますので。」

 

 

 ………

 ……

 …

 

 

 その時、空座町東部に隕石が落ちたかのようなクレーターの中から、顎に仮面の下部分をつけた一人の巨漢と角が生えた名残を残した左頭部に仮面を被り、黒髪に真っ白な肌を持つ痩身の男の二人が出てきていた。

 

 『斬魄刀』らしきモノを腰に差しながら。

 

「ぶはぁ~~~~! 相変わらずここ(現世)はつまんねぇところだなぁ! 霊子が薄過ぎて息もしずれぇしよ?!」

 

「文句を垂れるな。 俺一人でも十分なのに無理矢理付いて来たのはお前だぞ、ヤミー。」

 

 巨漢の名は『ヤミー・リヤルゴ』、そしてもう一人の痩身の男は『ウルキオラ・シファー』。

 

 まごう事なき『破面(アランカル)』である。

 

「い、隕石か?」

「でも()()ねぇぞ?」

「近付いて大丈夫かな?」

 

 だがそんな事を知らずに(というか視える事も出来ずに)野次馬(人間)達が集まり始める。

 

「ああ? こいつら何で俺をジロジロ見てんだよ? ……吸うぞコラ。」

 

 ヤミーが息を深く吸い込むような動作をし始めると、周りの人間達から魂魄が無理やり抜き取られていく。

 

「がっ?!」

「あ、ああああ?!」

「あぅあ!!」

 

 そしてヤミーが動作をやめる頃には周りの人間達は誰一人として悲鳴を出す人も立っている者はヤミーとウルキオラ以外いなかった。

 

「ブッハー! ウゲッ、クソ不味いな!」

 

「当たり前だ、ゴミに何を期待している?」

 

「けどこんなにウジャウジャいるのに()()()()()るってのは、めんどくせぇな!」

 

「ん? 生き残りか?」

 

「何?!」

 

 ヤミーがウルキオラの見ている方角に視線を移すと、空座第一高等の空手部の部員達が()()苦しむ声を出しながら地面に横たわっていた。

 

「う……うぅぅ…」

「な……にが?」

 

 その中でも、()()()()()()()は息が絶え絶えになりながらも何とか、上半身を持ち上げていた。

 

『有沢竜貴』だった。

 

「う……何が……宮原……工藤さん……皆……ッ?!」

 

 竜貴が気付くと、目の前に巨漢(ヤミー)が立っていて自分を見下ろしていた。

 

「(何、これ? か、体が……うごか────?)」

 

「────オレの『魂吸(ゴンズイ)』で魂が抜けねえって事は……ウルキオラ! こいつかぁ?!」

 

「バカが。 よく見ろ、ゴミだ。」

 

「そうか。」

 

 ヤミーが蹴り上げるのを、竜貴は動かない体でただ見ている事しか出来なかった。

 

 

 

 ドゴンッ!

 

 

 

「…あ? なんだテメェら?」

 

 間一髪と言う所で右腕が変質した茶渡がヤミーの蹴りを止め、動けない竜貴を無理やり後ろにずらした織姫達をヤミーが物珍しそうに見る。

 

「……井上、頼む。」

 

「……うん。」

 

 茶渡は織姫に、この場へと走っている間に一つだけ織姫に頼んだ(約束させた)事があった。

 

 それは吸い込まれていく魂魄の元に生き残りがいれば織姫がその人を連れてさがり、その間は茶渡が時間稼ぎをする、と。

 

 これを思い出しながら織姫は戸惑いながらも、竜貴に肩を貸してその場から離れようと歩き出す。

 

「ウルキオラァァァ?!」

 

「『調査神経(ペスキス)』ぐらい、面倒臭がらずに使えヤミー。 

 

 

 

 

 

 

 そいつもゴミだ

 

 ドォン!

 

 ウルキオラの言葉をきっかけに、織姫は巨大な霊圧のぶつかりを背中で感じた。

 

 バシャッ!

 

 ()()()()液体(血しぶき)と共に。

 

「え?」

 

 反射神経で後ろを織姫が向く。

 

 

 

「────」

 

 

 

 すると右腕が文字通り、皮一枚で胴体に繋がった状態で気を失い、無言のまま地面に落ちていく茶渡の姿が見えた。

 

 

 

 茶渡くん!!!

 

 

 

 ___________

 

 織姫 視点

 ___________

 

 

 

 織姫は地面に落ちた茶渡の元へと戻り、さっき彼に頼まれた(約束された)ことが脳裏に浮かぶ。

 

≪井上、戦いたいのは分かる。 だが俺にケガ人は治せない。 その人達を助けられるのはお前しかいない。 だから、頼む。≫

 

「ウルキオラ、この女もゴミかぁ?!」

 

「(茶渡くん、分かっていたんだ……この人達が私達より強いって……だから…私達をかばって……)」

 

「ああ。 ゴミだ。」

 

「そうかよ!」

 

 ヤミーが織姫の額を貫く勢いで指を突き出す。

 

「…『三天結盾(さんてんけっしゅん)』。」

 

 三角形の『()』らしきモノがヤミーの手を()()()

 

「あ?! なんだ、こりゃあ?!」

 

 勢いが止められた反動に、ヤミーは後ろへとさがる。

 

「……『双天帰盾(そうてんきしゅん)』。」

 

 次に茶渡の右腕は動画が巻き戻しされるように()()()いく。

 

「(どうにか……何とかして、ここは私が持ちこたえなきゃ……せめて、黒崎くんか渡辺ちゃん達が────)」

 

≪────そんなの一々数えていないわよ。≫*2

 

 織姫の脳内には以前、空座町中に大量の虚が出てきた際に三月が言った言葉と共に、『ルキア奪還』の際に殆ど何も出来なかった自分の姿が織姫の頭を過った。

 

「(────ダメ。 どうして私はすぐに他人に頼ろうとするの? ……今、私に出来る事と言えば────)」

 

 織姫が両手を前に構え、ヤミーが眉毛を片方上げる。

 

「────あ────?」

 

「(────この人達を()()()()事!) 椿鬼(つばき)! 『孤天斬盾(こてんざんしゅん)』! 私は……『()()する』!」

 

 織姫は覚悟を決め、己が()()持ちうる攻撃手段をヤミーに向けて放つ。

 

 パァン!

 

 だがヤミーが片手でそれを受け止め、椿鬼(つばき)がバラバラになっていく。

 

「?! そ、そんな?!」

 

「何だぁ、今の? ハエか?」

 

 ヤミーは手に付いたゴミを振り払うように動かしながら織姫に近づく。

 

「(やっぱり、私じゃダメ……なの?)」

 

「おいウルキオラ。 こいつ、妙な術を使うけどよ? 四肢をもいで、藍染様に持って帰るか?」

 

「……必要ない。」

 

「(……誰か……)」

 

「そうか。 あばよ、女────!」

 

「────ぁ。 (誰か────!)」

 

 ヤミーは織姫を握りつぶす為に右手を突き出す。

 

 

 

 

 

 ドォン! 

 

「────あぁぁぁ?! 次から次へと何なんだよ、ったくよぉ?!」

 

 ヤミーは弾き返された右手を左手で掴みながら、更にイラついた声を出す。

 

「……あ…あぁぁぁぁぁ────」

 

『────来てくれた』。

 

 織姫は緊張感の抜けた(安心した)体が地面に『ペタン』と座り込む間、そう考えることしか出来なかった。

 

()()()()()。 ()()()()()()()、井上さん。」

 

 織姫は目の前で見たこともない()()()()()()()()()()()()を両手に構え、見慣れない()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()をした小柄の少女の名を呼ぶ。

 

()()ちゃん!」

 

 口調は()()いつものモノと違ってはいたが、()()()()()()()()()()()()、『ヒーロー(正義の味方)』だった。

 

 

 ___________

 

 クルミ・プレラーリ、織姫 視点

 ___________

 

「いえ、ボクは────」

 

 とある世界(Fate stay/night)の制服+黒タイツ姿のまま現れたクルミは思わず織姫の言葉を訂正しようとしたが、織姫の純粋無垢で希望に満ちた顔を見てはやめた。

 

「────…まぁ良いでしょう。」

 

 冷めた反応と言葉使いで織姫は『ハッ』とする。

 

「あ…ご、ごめん! その髪型(ロングストレート)と口調はクルミちゃんだよね?! アハ、アハハハハ~。 二人とも、あまりにも()()()()からさ?」

 

「(『似ている』というか『()()()()()別側面(人格)』ですけど…そんなことは今どうでもいいです。)」

 

 織姫が照れながら言いなおすが、クルミは彼女に対して無愛想だった。

 

 それは別に織姫の所為ではなく、ただ単に目の前の脅威の二人へほぼ全神経を集中していたに過ぎなかったから。

 

「(少し『力』を借りるわ、アネット(ライダー(天の刃体))。)」

『(クルミ姉様の頼みとあれば、何時でも。)』

「(ありがとう。)」

 

 クルミが腰と上半身の態勢を前のめりに倒れるかのように、まるで()()()()()()()()のように体ごと低くして、両手に持っていた短剣()を構えると繋がっていた鎖がジャラジャラとこすれる金属の音を出す。

 

「……(さて、どうしたものか。)」

 

 クルミが考え込んでいる間に、ヤミーが目を彼女から離さずにウルキオラに問いかける。

 

「ウルキオラァ! こいつはどうだぁ?!」

 

「……分からん。」

 

「…あ?」

 

 ウルキオラから返ってきた『分からない』という返事に、気がとられたヤミーが一瞬首を後ろへとふり向かせ、視線をクルミから離した。

 

「(好機。) フッ────!」

 

「────ッ! ヤミー!」

 

 クルミは自分から注意が逸れた一瞬のうちに消え、ウルキオラの声でヤミーが前をもう一度見ると、彼女は既に手が届く範囲まで迫っていた。

 

「うお?!」

 

 ヤミーが右の拳を突き出し、クルミはそれを手で受け流すかのように体ごと回転させて遠心力と、ヤミー本人の勢いを利用したカウンターの肘打ちをヤミーの顔面に食らわせる。

 

「ぶあ?!」

 

 鼻血と共にヤミーの上半身が完璧に引く前に、クルミは更に右手で第二撃の掌底(しょうてい)打ちを胸に食らわせ、それが深く食い込む。

 

「がはッ?!」

 

 だがヤミーはその見た目通りのタフさで、体が後ろへ後退りながらも踏ん張る。

 

「ッぬあぁぁぁぁぁ! ふざけんな、このチビがぁぁぁぁぁ!

 

「チビは余計です。 (やはり見た目通りのタフさですね。 それに────)」

 

 クルミはチラリと、さっきから動いていないウルキオラを見る。

 

「(────やはり()()動きませんか。)」

 

 さて、何故クルミがさっきの勢いのままヤミーに攻撃を畳み掛けなかったと言うと、ウルキオラと織姫の事もあったからだ。

 

 もし自分(クルミ)()()を出せば『原作(事前情報)』から順序が大きくそれる心配がある。

 

 そして織姫を『今』、人質に取られてしまう可能性がある。

 

 故に自分が一瞬で織姫のそばに移動できる範囲内でのみ、行動をしぼっていた。

 

「(面倒くさいですね、やはり……おっとやっと来ましたか。 多少は遅かったですが、これなら()()()()()でしょう。)」

 

 クルミは突然戦闘(前のめり)態勢を解いて、背筋を真っすぐにして立つといつの間にか彼女が手にしていた釘のような短剣が消える。

 

「……あ? どうしたテメェ! もう終わりか?!」

 

「ええ。」

 

 さっきから『三月』とは違う言動をするクルミ。

 

 もしこの場で気にする者がいれば「お前、本当に『姉妹』か??」と聞いていたかもしれない。

 

 気にする者と言えば織姫だろうが、生憎今の彼女は()()()()()()()を見て、何とも言えない高揚感を胸の中で感じていた。

 

「(ああ、()()()()()()()()()は三月ちゃんだったんだ!)」

 

 今の織姫には、クルミの武勇と凛々しい行動は自分が虐められていた時に駆け付けた三月の姿を連想させていた。*3

 

「(さすがは()()! 凄ぉ~い!)」

 

「テメェ、ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 ヤミーはイラつきを隠そうともせずに、平手を突き出す。

 今度はクルミのカウンターを警戒しながら。

 

 だがクルミは動こうともせずにただヤミーを見ていた。

 

「クルミちゃん! 『三天結(さんてんけっ)────』!」

 

 ドォン!

 

 力の付いた勢いが突然止まる音にヤミーがまたも叫ぶ。

 

「クソ! 次から次へと、何なんだよ?! 今度はなんだ?!」

 

「遅かったですね。」

 

 クルミは目の前に立っていた『死神の死覇装』を着た人物に声をかける。

 

「ったく、身構えるぐらいしろよ。」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()から。」

 

「お前…三月と違って『ドライ』と思わせて、割と叙情的(じょじょうてき)だな?」

 

「なかなか難しい言葉を知っていますね、このタンポポ頭は。」

 

「いや今、髪の毛────というか俺は国語が得意……ハァ、お前らを(姉妹共々)相手にすると調子狂うぜ。」

 

「失礼ですね……ヒマワリ頭のくせに。」

 

だから髪の毛は今関係ねぇだろうが?!

 

「ではタンポポと────」

 

「────だから戻すな! というか髪から離れろ!」

 

 織姫が新たに現れた人物の名を口にする。

 

「黒崎…くん。」

*1
作者の多作品、『天の刃待たれ』の第1話などより

*2
第17話

*3
第10話より




作者: ……さて、書き続けるか。

ポイちゃん:ピ。

作者:……隣にすくす〇白澤のぬいぐるみを置いたら────

ポイちゃん:────ピ!

作者:チョコボ〇ック……だと?

ポイちゃん:(フンス!)
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