白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

6 / 193
第4話 またも匂いに釣られてギガ〇イン。の巻

 ___________

 

 チエ 視点

 ___________

 

「匂いは…………こっちからか?」

 

 その日何時もはぐらかされるのに痺れを切らしたのか、チエは(ほぼ物理的強引に)竜貴に道場へと連れて行かれ、手合わせをさせられていた。

 

 こんな事は予定に全くなかったので、チエは早々に負けて「具合が悪い」と言って道場から出た。

 

 と言うのも何故その日はこんな事をチエがしたかと言うと、以前嗅いだ事のある匂いがしたのだ。

 

 ()()()()が。

 

 空座町には時々虚は出てきていたが、『死神』が出てきて討伐しているらしいので、チエと三月は無視していた。

 

 だが今回は()()()()()()

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「(今までの虚には無かった前例だ)」

 

 チエは雨の中をそのまま歩きながら、()()を巻いた布から取り出す。

 

 

 

「ワァ!」

 

 近くのトラックの跳ねた水が真咲にかかりそうになる。

 もっと前に出ていた一護は盛大にびっしょりとなっていた。

 

「あら、悪いトラックね。一護は大丈夫?」

 

「俺は平気だよ! 雨合羽しているから!」

 

「じゃあ、次はお母さんが道路の方を歩くわね?」

 

 一護が元気な姿を母の真咲に見せようと答えて走り出して、川沿いにあるガードレールが途切れた場所へと二人が着く。

 

「?」

 

 一護が突然立ち止まって川の方を見ると、不思議な形の外套を着た()()()()()()()()()()()()()()

 

 その子供は一護が見ている間、激しく流れる川の中絵へと歩き出すと一護は既に走り出していた。

 

「このまま川に飛び込む気なんじゃないか?」と思いながら。

 

「一護、駄目!」

 

 真咲が制止の声を上げるが一護の耳に届かなかったようなので、彼女も駆け出していた。

 

 そして、一護がおかっぱ頭の子供にあと数歩、届く直前に一つの怒鳴る声が響いた。

 

 

 「伏せろこの戯けぇ!」

 

 

 火の玉が複数走っていた真咲とイチゴでさえも追い越して、おかっぱ頭の()()()()に直撃する。

 

「ぬぅ?! これは────」

 

「────一護を抱えてここから逃げろ────」

 

「────貴方は────」

 

 一護に追いついて、彼を抱き上げた真咲と川の間に()()を持ったチエが間に入る。

 

「そこな小娘か、小僧より上手そうだ────」

 

「────ぁぁ────」

 

 そして川の中に潜んでいたであろう影が実体化して、虚が姿を現すと一護はその異形の姿で体から力が抜けた。

 

「早く行け!」

 

 チエが後ろで立ち竦んでいた真咲を空いていた手で押す。

 

「しかし不思議よのぉ? ワシの事は()()()()なのに」

 

「貴様ほど()()がきついのは初めてでな。 無視出来なかったほどだ」

 

「ほう? では貴様から頂くとするか」

 

「こい、外道!」

 

 

 

 最初、チエは不思議に思いながら川へと駆け出す一護と彼の後を追う真咲達を見ていた。

 

 それは川の中にいる()らしきものを見ても、そこから微少に漏れて来る『邪悪』な気配を感じても変わらなかった。

 

 だが一護が必死にただ()()()としていたおかっぱ頭が()と繋がっている所を見ると、チエは駆け出していた。

 

 この時点でチエはただどうやって()を斬り倒す事しか考えていなく、ほぼ反射神経のような、本能的な衝動に近かった。

 

 だがそんな一護(子供)を必死に救おうとする真咲(母親)の姿が目に焼き付かれて────

 

 

 「────伏せろこの戯けぇ!」

 

 

 ────気付けばチエは当初考えていた『不意打ちに任せた一太刀』ではなく、この世界で言う『鬼道』に()()()モノを既に放っていた。

 

 そんなチエは姿を露にした虚を見ながら内心、自分自身に内心舌打ちをして()()を構えていた。

 

 その舌打ちは当初考えていた「一撃で事を終わらせる筈の行動を何故断念して()()()虚の興味を一護達から逸らしたか?」と言う疑問の思いからだった。

 

 だがその反面、チエは何故か安堵していた自分にも不思議に思っていた。

 

「一護と、彼の母の真咲の笑いあう顔が続く」と。

 

「竜貴に勝ってやる」と息巻いていた、一護の悔しそうな顔。

 

 小学生の参観日に、「お母さんが来てくれるんだ」と嬉しそうにはにかんだ一護の笑顔。

 

 それ等に答えるように()()()()()()()()()()()

 

 ()()()()()()()()()()()()()

 

 その姿が、あまりにも────

 

「(────だがやってしまったモノは仕方がない。 果たして、()()()()()()()()()()()()())」

 

 チエは安堵する気持ちや考えなどを胸奥に無理矢理塞ぎ込んで、目の前の『敵』に全神経を集中して、両者は互いに微動だにしなかった。

 

「……………フン!」

 

 先に動いたのはチエで、手の平から黄色い線が虚に向かう。

 

 そして虚は余裕の笑みを絶やさず、黄色い線によって手足が拘束される。

 

「やはりな。 貴様、死神か」

 

 チエは答えずに後ろをチラ見すると真咲が足の竦んだのか、微妙な距離を取っていた。

 

「チッ」

 

 舌打ちを今度は実際に出しながらも、チエが真咲とイチゴへと駆け寄る。

 

「このまま走れ、浦原商店へ。 私の電話を使って『ミーちゃん』と言う欄へ電話をかけろ」

 

「え、あ、でも────」

 

 チエは自分の携帯電話を真咲に押し付けて、未だに恐怖で目を見開いていた一護を見る。

 

「チ、チエ────」

 

「────お前を()()()()()()()()()()()

 

 ポンッ。

 

「────ぁ」

 

 チエが表情を変えずに一護の頭を撫でて踵を虚へと返す。

 

()()()()()()()()

 

「ひひひっ、今生の別れかの?」

 

「虚け、その目と耳は節穴か?」

 

「ひひっ! そうでなくては、張り合いが無いのぅ!

 

 バキバキとするガラスが割れるような音と共に、虚の拘束が破れ始める。

 

 だがチエは間髪を入れずに新たな()()()()()()()()を更に撃って、虚の手足と、解きかかったおかっぱ頭の子供を再度拘束する。

 

「青い!」

 

「ッ」

 

 虚の体毛が凄いスピードでチエの方へと延びて、チエは足に力を入れてそれを避ける。

 

「ギリギリギリ!」という、鉄の糸を無理やり引っ張るような音がチエの耳朶に響くとほぼ同時に痛みが下半身から生じた。

 

「ヌッ。(やはり子供の体では負担がかかり過ぎるか)」

 

「やはり死神か。確か『瞬歩』と言ったかのぉ? だがそれも何時まで続けられる、かッ────!」

 

 シュバババババと伸びては襲ってくる虚の体毛をチエは体の負担限界直前の動きで間一髪避け続けるが次第に服が破れて行き、浅い切り傷などが体中に出来始める。

 

「最初の勢いはどうした、若いの?!」

 

「………………」

 

 未だに余裕で喋る虚の言葉に何も返さず、チエは周りの気配を探る。

 

「(良し、あの二人は取り敢えず離れてくれている。 今度は────)」

 

「────これから死ぬと言うのに、考え事とは甘く見られたものよぉ────!」

 

 ザシュッ!

 

「────ッ────グッ!」

 

 チエは右の肩にからの痛みで顔しかめ、虚を見ると仮面の穴から触手の様なモノが数本程ワラワラと揺れていた。

 

「ひひ、勘の鋭い奴。 もう少しで真の臓を串刺し出来たのに」

 

「………………(今のは流石に()()()())」

 

 チエが右手から傷の付いた()()を左手に持ち替える。

 

 咄嗟に虚からの攻撃を()()で逸らしたのだ。

 

「では次は左腕を貫くとしようかの」

 

「ほざけ────」

 

 今度は体毛と共に攻撃してくる触手にチエは力を入れて右手を無理矢理上げて鬼道で言う『縛道の八番・斥』の様なモノで捌き切れなかった攻撃を弾く。

 

 だが弾く度に肩の痛みがジクジクして、広がる。

 

 雨では無い液体の()()()と一緒に。

 

「クッ────!」

 

「ほれほれほれほれぇ! どうした小娘! 逃げぬのか?! それともそれさえも無駄だと悟ったか?!」

 

 確かにチエが離脱しようとすれば出来ない事は無い。

 

 だがそうすればあの二人(子と母親)を危険に晒すかも知れない。

 

 もし彼らが浦原商店に居る筈の三月と連絡を取れば、または浦原か鉄裁か夜一か他の死神に保護されていれば、離脱も選択肢の視野に入れるだろう。

 

 だが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「(どうしたと言うのだ、一護達は?!)」

 

「また考え事か!」

 

「グァ!」

 

 今度は左の脇腹に深い傷をチエは負ってしまう。

 

 そして遥か上空でゴロゴロと鳴く雷雲に思わずニヤリとチエが笑みを浮かびそうになる。

 

「(まさか、()の技を借りる日が来ようとはな)」

 

「お? 観念したかえ?」

 

「いや? 大抵の肉は食える自信はあるが、『黒こげのお前はさぞ中身が外側と同じように腐っているだろうな』と思っただけだ」

 

 ここで余裕の笑顔になるチエを見た虚は激怒した。

 

「遊びで喋らせておけば、つけ上がりおって!」

 

 チエの肌がザワザワとして、毛が立つ。

 

 そして鼻に来る独自のオゾン臭でチエは初めて横の方向ではなく、()()()()()()()()()

 

「馬鹿め! 血迷ったか?! 死ねぇい!」

 

 ギギギン、ザクッ!

 

「グオァ!」

 

 ボロボロの()()の中から一つの刀が姿を現し、攻撃を右手の結界と共に捌いて行くが、最後の攻撃がチエのお腹に突き刺さる。

 

「ヒヒヒヒヒヒ! 串刺しじゃぁぁぁぁ!!」

 

 だがチエの笑みは崩れず、刀を()()()()()()()()へと掲げて、右手で虚の触手を()()()()()()()

 

「『光なき道を進む道標となれ』!『(いかずち)』よ!」

 

 ピシャッ!

 

 ドゴォォォォォォォォォォォォン!!!

 

 辺りが一瞬「ピカ」っと光ると、空から落ちて来た雷が()()チエが掲げていた刀が避雷針の様に吸い寄せられてチエ経由で虚にその全てが通る。

 

 「ガギギギガガガガガガガガガギギギギギギ?!」

 

 虚は叫びにならない声をあげる。

 

 数秒後、または数分後のような時空的錯覚の後に虚は力なく倒れ始め、空中でお腹を串刺しにされたチエも地面へと落ちて行く。

 

 薄れる意識の中、チエは自分の方へと走って来る真咲と、自分を信じられないような目で見ていた一護が偶然見えた。

 

「(なぜ逃げぬ。 ()()()()()()()()()? 何故私の方へ来る?)」

 

 そこでチエの意識が戦闘の緊張感と負担などから切り離された意識はまどろみの中へと消えそうになるのを気力で繫ぎとめる。

 

 ___________

 

 黒崎真咲 視点

 ___________

 

 

 黒崎真咲と一護が何故、河原の近くまで戻って来たかと言うと、事の始まりは真咲が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 感触は確かにある。 

 が、()()()()()()

 恐らくは霊子で出来ているから。

 

 だがそんな事は()()()()()

 

「一護! ここでジッとしているのよ?! 分かった?!」

 

「………………」

 

 自分に何か起きている。

 それを真咲は頭では理解していた。

 

 だが「あの少女をホッポリ出して自分達だけ逃げる」と言う選択は眼中に無く、一護を物陰に隠してから河原へと戻った。

 

 そこでは地面を滑るかのように、高速で動き回る少女が居た。

 

 彼女の動きと竹刀の捌き方からして、相手は恐らく異形。

 

 つまりは『虚』。

 

 では何故『滅却師(クインシー)』である真咲の目にその姿が現れないのか?

 何故、その霊圧(気配)も感じ取れないのか?

 

滅却師(クインシー)』。

 それは虚と闘う為に()()()()()()()の事を示す。

 

 つまりこの世界で言う、死神ではない、虚と戦える『生身の人間』の事である。

 かつては世界中に散らばっては数もそこそこ居たが、今では数はほぼ『絶滅種』に近かった。

 

 その数少ない滅却師である真咲も勿論、虚が()()()()

 

 だが()()()()()()

 

「『光なき道を進む道標となれ』!『(いかずち)』よ!」

 

 そこで少女はお腹に攻撃を受けた瞬間、()()()()()()()で雷を落とし、自身と刀を避雷針代わりにして、虚に攻撃が当たって数秒後、虚が倒れたような振動がしてから少女が地面へと落ち始める。

 

「(いけない!)」

 

 真咲は駆け出していて、真咲は傷だらけのチエの元へ飛び込むように体を受け止めていた。

 

逃げろ…………と言った筈だ

 

「虚はどっち?!」

 

 息が絶え絶えのチエが視線だけ送ると真咲はそれとは逆の方向に向かって駆け出していた。

 

 勿論、チエを抱きかかえたままなので速度はかなり落ちていた。

 

私を置いて逃げろ────

 

「────いいから()()()()()()()()()()()()()()!」

 

「ッ」

 

 真咲は気付かなかったが、チエは一瞬目を見開いて必死な真咲を見てから黙り込んで目を閉じる。

 

 何故気付かなかったというと、真咲は自分の不甲斐無さに腹が立っていた。

 

 未だに滅却師の力を使おうにも()()()()()()()()息子(一護)とあまり変わらない歳の子がこんな大怪我をしても逃げの一手。

 

 情けないのを通り越して自分自身に腹が立っていた。

 




ツキミ(天の刃体):ここか?! 関西弁の人らがおるっちゅうのは?!

作者:ゲッ

ツキミ(天の刃体):何やねんその『ゲッ』は?! 

作者:いえ、ナンデモナイデス

ツキミ(天の刃体):おい、人の目ハッキリ見て答えろや

作者:ぐえ。む、胸倉はやめて

マイ:あら~、大変そうね~

作者:のんびりお茶飲んでないでタシケテー!

マイ:あと~、読者の皆様に~ご報告~。 ストックが少しある間は投稿する予定ですが~、特に予定は決まっておりませんので~♪

作者:痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い! こ、コブラツイストはヤメテー!!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。