白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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第66話 Attack of Arrancar、2nd Wave

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 織姫、雛森、『渡辺』チエ 視点

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 半笑いのまま、織姫と雛森は冷や汗を流しながら体をのけ反っていた。

 

 ひよ里に二人が連れてこられたのは一護が特訓している倉庫街の『地下訓練場』。

 

 「初めましてお嬢さんがた、ワタシは『有昭田鉢玄(うしょうだはちげん)』と申シマス。」

 

「は、はじめましてデス。」

ど、どうもデス。

 

 そして眼前にはハッチ(2.5m以上、体重377kg)の巨大な顔。

 

 巨体の彼を(文字通り)目の前にした織姫はタジタジになり、声が小さくなった雛森は今にでもすぐに気を失いたい衝動を抑え込む。

 

「そこまでにしてくれ、鉢玄殿。」

 

「「あ、チエちゃん!/チエさん!」」

 

 そこで一護との特訓相手の交代に入ったのか、チエが顔から汗を拭きながら近づく。

 

「ですから『ハッチ』と呼んでくだサイ、お嬢サン。」

 

「私を『チエ』と呼べたらな。」

 

「えっと……二人は知り合いですか?」

 

「ん?」

 

 チエが織姫たちを見る。

 

「…………………………………………………………………………そうだ。」

 

「「「(今の間って説明するかどうか迷っていたの?/イタ?/いたのかな?)」」」

 

 雛森、ハッチ、織姫の三人がいつにも増して無表情のチエを見ながらそう思った。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 そこからハッチは自分と能力が近い織姫の『盾舜六花(しゅんしゅんりっか)』の欠けた一部である『椿(つばき)』が復元され、彼女にもハッチが『戦いに向いていない』と告げるも織姫は戦う意思を示す。

 

「ハイ、それでも(織姫)は戦います!」

 

「(妙だな、『コレ』は三月の情報通りだな。)」

 

 そう思いながら、チエは横目 で自分の裾を掴む雛森をチラッと見る。

 

「(だがそうすると、なぜ『雛森』までここにいるのだ?)」

 

「次にお嬢さん────いえ、お話に聞くと『雛森サン』とお呼びしまショウカ。」

 

「は、はい?」

 

 チエの後ろに隠れようかどうか迷う雛森に今度はハッチがジッと見る。

 

「…………フムゥ、あなたは本当に『護廷の隊士』なのデスネ? 『鬼道衆』などではナク?」

 

「は、はい。 学院卒業前に、担任の人たちから同じくそう薦められましたが…私は既に護廷に入隊する事を心に決めていましたので。」

 

「見たところ、アナタの才は鬼道に長けてイマス。 それにアナタからも織姫サン同様、『戦いには向いていない』と印象を受け付けマス。」

 

「………………」

 

「アナタは、どうありたいのデスカ? 」

 

「『どうありたいか』、ですか? (そんなの……………)」

 

「織姫サンに雛森サン。 アナタたちの気持ちは痛いほどワタシには分かります。 そしてどうしても戦いに力を振るうのであれば、『どうしたいか』ではなく『どうありたいか』という考えを胸に留めてくダサイ。」

 

「(『どうありたい』、か。)」

 

 チエは珍しく、何かを思ったのか自分の手の平を上げてそれをジッと見る。

 

 そしてこれを見た雛森は────

 

「────井上さん、瀞霊廷はどうでしょうか? あそこならば、周りを気にせずに訓練を行えますよ?」

 

「雛森ちゃん? ……………うん、そうだね! じゃあ、朽木さんか乱菊さんか誰かに頼んで行くとするよ! ありがとうございます、ハッチさん!」

 

 織姫はニッコリとするハッチに感謝を告げて、最後に一護の方向を見てから倉庫を後にする。

 

「ありがとうございます、有昭田(うしょうだ)さん────」

 

「────雛森。」

 

「??? チエさん?」

 

()()()()()。」

 

「ッ……はい。 もちろんです、頼まれました! (ああ、やっぱり…………私は……)」

 

 そして雛森も織姫の後を追うかのように倉庫を出る。

 

「…………どうした、ハッチ?」

 

 「いえ、大声では言いにくいのデスガ………確かチエさんはテッサイ殿と仲が良いのですね?」

 

「ああ、それがどうかしたのか?」

 

 「…………『鬼解(きかい)』という単語をお聞きに、または聞き覚えがありでショウカ?」

 

「ああ。 確か、『己が器子(きし)に宿────』────ムギュ。」

 

 チエが少し前にテッサイ…………というか三月経由で聞いた説明*1を言い出すと大量の汗を流すハッチに無理やり口を(というかハッチの巨大な手によって顔が)閉じられる。

 

 「そこまでで大丈夫ですそれ以上は言わないでください…………テッサイ殿がそれほど信頼しているのであれば良いですが……」

 

 チエの顔からハッチの手が退けられる。

 

「??? どうした、歯切れが悪いぞ?」

 

 「あの娘に『鬼解門(きかいもん)』が()()()()()()()予兆が見えマス。」

 

 ハッチがいつにも増して、真面目な表情でチエに自分の感じていたことを話す。

 

「…………」

 

 「アナタにも『()()』が御有りのようですが、彼女(雛森)からアナタに向けられている信頼と、アナタの()()()()を思っての事でワタシは────」

 

「────『現役の鬼道衆総帥本人』と『重国(総隊長)』の二人しかわからない事をよく知っているな?」

 

「それはワタシなりに考えてからたどり着いた結論……いえ、ですからそこが大事な所ではなくてデスネ────」

 

「────そうか。」

 

「………………では、確かにお伝えしまシタヨ?」

 

『ハッチ! 新しい結界や! 一護のドアホがまぁた突き破って────!』

『────テメェが力任せに斬魄刀を振るうからだろうが?!』

『『あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″?!』』

 

「ヤレヤレ、仲が良いのも考えモノデスネ……今行きマスヨ!」

 

 ハッチが立ち上がり、ドスドスとした重い足取りでその場から離れて一人になったチエはもう一度、自分の手を見る。

 

「(『どうありたい』、か)…………………………………………………………………()()()()。」

 

 そう小さく独り言を言い、チエは一護達のところへ戻る。

 

 気配と姿を消しながら自分を素通りしたクルミを無視して。

 

 

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 ??? 視点

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 掻い摘んで書き写すと、時は上記から約一か月後になろうとしていた頃。

 

 その間にも各々の者たちは藍染との決戦準備に取り掛かっていた。

 

 織姫はハッチによって全機能が戻った『盾舜六花(しゅんしゅんりっか)』を、ルキアと()()()()()雛森と共に実戦式訓練を。

 

 現世に派遣された護廷の死神たちは卍解会得、または己の斬魄刀との意思疎通をよりよくするために『刃禅』や自己鍛錬を。

 

 そしてその間、空座町には夜な夜な『()()()()()()()()』などを町中のいたるところで視野の外側で見たとか見ていないとかと言う()()()()()()噂も空座町の住民たちは度々、耳にしていた。

 

 皆が来たる(戦争)へ向けての準備をしていたところで、事態はたった一日でがらりと急変する。

 

 

 ___________

 

 浮竹十四郎(うきたけじゅうしろう) 視点

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 景色は瀞霊廷内の、十三番隊の隊舎裏にある訓練場。

 正確には、『隊長用の一軒家を取り壊して元あった訓練場を更に広くした平地』を見下ろせる崖の上。

 

 忘れている者がいるかもしれないが、浮竹は下級貴族の出身。

 なので白夜同様に屋敷暮らし&通いなので『こんなに大きい一軒家は要らないから、離れだけを残して隊士たちが活用できる土地にしてくれ』という願いで出来た場所だった。

 

 そしてその平地の上では十三番隊である朽木ルキアと、以前『旅禍』としてきた人間の井上織姫、そして()()藍染の副隊長を務めていた雛森を浮竹は考えながら近くのお盆の上に乗っていたお茶をすする。

 

「(凄いなこれは。)」

 

 浮竹は純粋に感心していた。

 以前に『チャッピー』*2が言っていたようにルキアは現世に来る前は席官と同等の実力者。

 

 だが彼女は目を見違えるほどぐんぐんと力を伸ばしていた。

 それはさながら身長がここ最近にきて、成長していた日番谷を浮竹に思い出させていた。

 

「(よく見たら、朽木だけじゃない。 他の二人も凄まじい成長速度だ。 どうなっている? やはり、()()()()()通りなのか? 

 だけどこれで………いや、先生(山本元柳斎)の言ったように彼女たちを此度の戦に参加させるのは────)」

 

「────浮竹隊長。 今日も朽木たちの修行見物スか?」

 

 浮竹が後ろからくる声に振り向くと、右目の傷跡に左目の下に「69」という刺青が特徴的な檜佐木修兵が様子を見に来ていた。

 

「お疲れ様、檜佐木君。 君も毎日様子を見に来ているじゃないか。」

 

 浮竹と檜佐木の二人、または他の護廷の者が少なくとも一人は必ず三人の修行を見に来ていた。

 

「今日の俺は、今月分の『瀞霊廷通信』と『通販目録』を届けに来ただけですよ。 長居はしません。」

 

 それは以前、謀反前の九番隊の東仙要が瀞霊廷の雑誌/新聞社の編集長だった時に出していたモノ。

 

「そうか。 君たち(九番隊)も、頑張っているんだな。」

 

「ええ、『隊長義務がこんなに忙しかったなんて知らなかった』って、このあいだ吉良に愚痴ったら『僕はずっとやっているけど?』って真顔で返されたからな……………それとなんていうか、『修行』にしちゃ三人とも顔が楽しそうスね?」

 

 普通(の男性死神)なら激しい動きから汗ばみながら笑う(少なくとも見た目は)若い女性三人の()()()などを見るだろう。

 

 檜佐木も最初は()()だったが、今では純粋に三人の技術や様子などを評価していた。

 

 …………………………未だに上記の女性三人を見に来る男性の死神たちがいるのは今、別に置いておくとしよう。

 

「『楽しそう』、か。 確かにそうだね。 昔から朽木家は友達を作るのが下手だったからね、養子のルキアもそうなるのは不思議じゃなかった。 だから、俺は『良かったな』と思うよ。」

 

 一瞬だけ浮竹が懐かしそうに目を細めて、脳裏に今とは(表向きは)正反対の性格を持っていた幼い白哉が浮かぶ。

 わんぱく者で、短気で、気が早い故に動転していた毎日を。

 

 ………………(おも)に彼をワザと茶化す朽木家の先々代当主の銀嶺(ぎんれい)と四楓院家の夜一にだが。

 

「……それが『人間でも』、ですか?」

 

 檜佐木の指摘にはいろいろな意味が含まれていた。

 

 忘れがちだが『人間』と『死神』は見た目が同じ人型でも『種族』としての違い、いわゆる『壁』が存在する。

 

 それは至極簡単に言えば『生きる(とき)』が違う。

 

『死神』は(個人差はあれど)かなりの長命種で、外的要因などの瀕死の傷や不治の病を負わなければ数百年は容易に生きられる。

 

 逆に『人間』はどう頑張っても()()()()()そこそこ。

 

 それに寿命の違いから、価値観などでさえも違いが出てくる。

 

 このような事があるので、現世に来たばかりのルキアには『人間』など眼中になかった*3

 愛着が沸けば沸くほど、()()来る別れが辛くなるだけなのだから。

 

 そのような考えも含めて檜佐木は言ったのだが、浮竹はただ半笑いを彼に向ける。

 

「ああ、『人間でも』だよ。 『良い友が居れば、相手がどのような種族だろうと良い』、と俺は思っている。 それに────」

 

 そこで浮竹の声は近くを飛んでいた地獄蝶からの通信によって遮られる。

 

『────技術局からの緊急伝令! 空座(からくら)北部に十刃(エスパーダ)と思わしき『上位成体破面』の反応複数アリとの報告! 限定解除許可済みの、日番谷先遣隊が交戦状態に入りました!』

 

「「「「?!」」」」

 

 その報告に浮竹、檜佐木と、動きを止めたルキアと織姫が目を見開く。

 

「バカな、冬までまだ三か月はあるぞ?!」

 

 浮竹から出た言葉は、その場にいた全員の言いたい事を代表していた。

 

十刃(エスパーダ)』。 それは破面の中でも、特に戦闘能力に優れた成体破面の『上位種』を示すと以前のグリムジョーの部下から日番谷の報告書に沿って新たに取り込んだ情報だった。

 

『冬の決戦にこの“十刃(エスパーダ)”とやらが主力としてくるだろう』とタカをくくっていた瀞霊廷はグリムジョーの霊圧をベースにして、『十刃(エスパーダ)』専用の探知もしていた。

 

 だが以前の襲撃からわずか一か月。

 

『崩玉の覚醒』からは程遠い時期の筈なのに、『十刃(エスパーダ)の反応が複数』。

 

 それは、様々な思惑などを瀞霊廷にいた護廷十三隊の全員にさせた。

 

 

 ___________

 

 日番谷先遣隊 視点

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 日番谷、乱菊、弓親、そして一角が突如として空中に現れた破面たちを見上げる。

 

「お?! 霊圧の高そうな野郎たちがいるぜぇ?!」

 

「ん? あー、6番さんが言っていた死神だよねアレ?」

 

 口を開けたヤミーに、脇腹が空いた長袖の服を着た中性的な容姿で小柄な男が喋りかける。

 

「あ、ごめーん。 『』6番さんだっけー?」

 

「るせぇよ、ルピ。」

 

 小柄な男────フルネームを『ルピ・アンテノール(現在の6番)』が、後ろで面白なさそうにしていたグリムジョー(元6番)に話しかける。

 

「グリムジョー。」

 

「……あぁ。」

 

 そこでグリムジョーは自分に話しかけた別の破面と共に、その場を消えるように動く。

 

「ちぇ! 俺もぶっ殺したい奴はここにいねぇってのによ!」

 

「まぁまぁヤミー、彼らは別命で動いているからさ。 それに君が殺したいのは腕をぶった切った奴? ボコボコにされた奴? それとも君の虚閃をはじき返した奴?」

 

「全────」

 

 ガィンッ!

 

 ヤミーの言葉が斬りかかった日番谷によって中断される。

 

「────へ! 血の気が多い野郎が居て良かったぜ!」

 

「十番隊隊長の日番谷冬獅郎だ!」

 

破面№10(アランカル・ディエス)、ヤミーだ! 同じ10のよしみで殺してやらぁ!」

*1
20話より

*2
60話より

*3
11話より




ギン:う~ん、あっちはあっちで楽しそうやねぇ~。

東仙:虚圏で私の手伝いをすれば暇にならずに済むぞ?

ギン:パス。 僕、『調和を守る』タイプやないし。 どっちかというと茶化す側。

東仙&ギン:……………………………………………………………………………………

東仙:出番、ないな。

ギン:無いねぇ……

作者:(この二人にセキュリティー役を頼んだの、間違いかな?)

ギン:茶もまぁまぁな奴やし、茶菓子はしょーもないモノだけしか残っとらんし……

東仙:葬式状態だな。

ライダー(バカンス体):邪魔するぞ! ってなんだこのロンドンに似た空気は?

東仙:この声、京楽か?!

ギン:ブァハハハ! でも見た目が全然ちゃう奴や!

作者:Oh……
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