白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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誤字報告と感想、貴重な時間を使って下さってありがとうございます、コミケンさん!

では本日の次話一つ目です。


第5話 丸太と鉄骨、そして通りすがりのヒーロー

 ___________

 

 『渡辺』チエ 視点

 ___________

 

 理解不能。

 

 黒崎真咲が何故か戻って来て、気力で繋ぎとめていたチエの意識が戻ると彼女の腕に抱き抱えられていた。

 

逃げろ…………と言った筈だ

 

 もし自分が死んでも()()()()()()()()()()()だというのに。

 

 ましてや()()

 

「虚はどっち?!」

 

 理解不能。

 

「(何故こいつはこうも必死なのだ?)」

 

 そう思いながらも、チエは無意識にビクビクと痙攣するまま、横たわっていた虚の方を見ると真咲が走り出した。

 

私を置いて逃げろ────

 

「────いいから()()()()()()()()()()()()()()!」

 

「ッ」

 

『子供は大人に守られていなさい』。

 普通の日本人や、責任感の強い大人達にとっては当たり前な言葉かも知れない。

 

 だがそんな人も居れば無論、正反対の者達も居る。

 

 例えば()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 理解不能。

 

 そこでふと、物陰からチラチラと自分達を見る一護と目が合った。

 

「………………(姿を隠すか)」

 

 そう思いながら左手の刀を僅かに動かして()()()姿()()()()()()()()

 

「(あの虚は自身の体を餌代わりにする程、霊圧を嗅ぎ付ける『嗅覚』が鈍いと見た。 ならば姿さえ隠せば大丈夫………の筈。 ()()()()()のは案外、疲れるな)」

 

 そこでチエは自分の事を不思議に思った。

 

「(???? 何故、私は()()()としているのだ?)」

 

「きひひひひ! ワシを、怒らせたな! 小娘ぇぇぇぇぇ!

 

 のっそりと立ち上がる虚がチエには見えた。

 

奴が、立ち上がった。 私を────!

 

「────チェスト~♪」

 

 ドゴ!

 

「グアアアアアァァァァ?!」

 

 気の抜けた、のほほんとした声と、何か重い物が当たる音の後に虚の驚いた声が聞こえた。

 

「え? マイ……………さん?」

 

 ___________

 

 『渡辺』チエ、『渡辺』マイ、『渡辺』三月 視点

 ___________

 

 

「こんにちは真咲さん、そのまま走って~」

 

 チエが目を向けると、何時ものニコニコ顔のマイが建築材で使うような()()()()()()()()()()()()()()

 

『長い丸太』とも言う。

 

「ぐ、ぬぬぬぬ! ふざけおって!」

 

「あら、意外とタフね~」

 

「ま、マイさん? その腕に持っているのは?」

 

「勿論、工事現場から拝借した木の柱よ? 流石に()()()()()()と思って~」

 

「下がっていて、真咲さん」

 

 マイの後ろから明らかに怒っている顔の三月が歩いてきた。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「三月────」

 

「────チエ、少し黙っていて」

 

「おい! ワシを無視するでn────」

 

「────え~い♪────」

 

 ボゴンッ!

 

「────ゴハァ?!」

 

 立ち上がりそうな虚に、マイが木の柱を何某漫画で出て来る『桃白〇(タオパイ〇)投げ』で、飛んで来た木の柱に虚が押される。

 

「きさm────ギッ?!」

 

 鉄骨が数本、虚の真上から飛来して更に押さえつける。

 

「うるさい。 黙れ、()()()()()()()()()()

 

「ギギ、ワシの名を! 貴様も、死神か?!」

 

「いいえ。私は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────通りすがりの、『()()()()()』だ!」

 

 ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!

 

 鉄骨達がまるで削岩機のような音を出しながらグランドフィッシャーと呼ばれた虚を間髪入れずに地面へとただ叩き続ける。

 

「ぬああああああああああ! 冗談ではないぃぃぃぃ!!!!」

 

 グランドフィッシャーが怒りの籠った叫びと共に鉄骨が無理矢理払う。

 曲がったり、その場から強制的に弾き飛ぶ鉄骨達の中から明らかにダメージを受けたグランドフィッシャーが姿を現す。

 

「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁ、小娘ェェェ!」

 

「ピューイ!♪ こっちよ!」

 

 上空から来る口笛にグランドフィッシャーが上を見ると、何時の間にか三月が真上から黒い弓に()()の中間のような形態の()を構えていた。

 

「My body is made of Lies────」

 

 三月が矢を放つとそれは流星の如く、一つの光線としてグランドフィッシャーの見上げている顔の仮面ごと頭と胴体を貫いて真っ二つにしていた。

 

「ガ…………ギギ…………バ………カ……………ナァァァァァァァ!!!」

 

()()()()()()()だ。 冥土の土産に持っていけ」

 

 グランドフィッシャーの断末魔と消えて行く体と共に三月が地面に着地────

 

 

 

 

 

 

 ツルン! ベシャ!

 

「へぶ」

 

 ────をミスして、雨でぬかるんだ歩道で足が滑って転び、手放した弓がガラスの割れる音と共に()()()()()()()()

 

 それは()()()()グランドフィッシャーを真っ二つにした矢も同じで、跡形もなく消えていった。

 

「いつつつつつ」

 

「大丈夫?」

 

あ゛-、腕がイッタイ。 多分折れている。 (そして体が()()()())」

 

 マイが痛がる三月を抱え、真咲が唖然としていた。

 

「…………倒したの?」

 

「ばっちグーです真咲さん。 チエを助けてくれてありがとうございます」

 

「い、いえ! 私は………逃げてばかりで………」

 

「はい、そうかもしれませんね~? でもでも~? もし彼女と共に時間稼ぎをしていなければ、彼女共々あなたも死んでいたかも~?」

 

「いやはや、ハラハラしてしまいましたよ」

 

 カラカラと笑うような声の方を見ると、気を失った一護を抱えていた浦原がいた。

 

「貴方────」

 

「────あ。 真咲サン、ご心配なく。 息子さんは緊張感が切れて地面に落ちそうだったのをついさっきキャッチしただけッス」

 

「…さっきのを見ていたのか?」

 

「そうッスね。 と言うか良く意識を保てていますねチエサン?」

 

「気合さえあればどうという事は無い」

 

「うーん、そんな事でどうにかなるのも不思議♪」

 

「……………浦原さん、この子達の処置はうちでやります」

 

「そうですね、距離的にそっちの方が近いですし。 ならせっかくですから私も後からお邪魔しますよ。 異論はないですね?

 

 浦原の最後の方のセリフは何時ものおちゃらけたトーンではなく、真面目な気が入っていた物だった。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 その場に残された浦原は戦いの場であった河原などを帽子の下から見ていた。

 

「『通りすがりの、“正義の味方”』、か……………」

 

「どう思う、喜助?」

 

 そこに一匹の黒猫が彼のそばに来ていて声をかけた。

 

「あの二人………いや、()()は異常ですね」

 

「お主もそう思うか…まあ、無理もないが」

 

「夜一サンはどこで異常性をお気付きに?」

 

「異常なのは初めからじゃ。 だが()()()を感じたのはあの雷を呼ぶ()()()()()()()じゃ。 確かに電撃を物質に乗せる技などはあるが、あれは()()()()()()()()を呼び寄せおった。 あんな鬼道…………いや、技は噂程度にしか聞いておらん。 しかも()()でじゃ」

 

「それにあのもう一人の子の弓矢。 あれは滅却師の技に似ているようで、()()()()()()。 何より()()()()()()()()()()()事が不自然ッスね…………ところで夜一サンが彼らを見張っていて、気付いた事は?」

 

「奴ら、ワシの監視を気付いておった。 ()()()()()

 

「何ですって?」

 

 ここで浦原が俯く黒猫の方を両目で見る。

 

「気付いていないフリはしておったようだが、それと『真に気付いていない者』の言動は些か違うからの。 元隠密鬼道としての経験からの『勘』程度じゃが………」

 

「…いいえ。 ボクは夜一さんを信じますよ。 何せ僕を助けたのも、その勘ですから」

 

 黒猫がフッと顔を逸らす。

 

「照れる事を言うでない、馬鹿者……………して、これからどうする喜助?」

 

「……………………彼らを問いただしますよ。 もし彼らが()()()に危害を加えるような輩であった場合────

 

 

 

 

 

 

 

 ────即座に首を刎ねます」

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

「それで、何でここに三人共いるのですかテッサイサン?」

 

 浦原と夜一が浦原商店に帰ると、包帯グルグル巻きのチエと三月をギュ~ッと抱き着いているウルル達とマイ、そしてテッサイが居間でのんびりお茶をしていたのを浦原がジト目で見ていた。

 

「お帰りなさいませ、店長。 いえ、この者達が『話をするのならここの方が良い』と言っていたので…………後()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ので」

 

「フゥー………………やれやれ…………本当に、面白い人達だ」

 

 浦原は座ると、黒猫である夜一にマイが気付く。

 

「あら、びしょ濡れじゃない? 拭いてあげるわ~」

 

「ウ、ウルル。 痛い。 苦しい。(嬉しいけど)」

 

「グスッ…」

 

「すまないウルル。だが傷口が開きそうなので、私か三月のどちらかに引っ付いてくれないか?」

 

 そう言うとウルルがパッと手を離すと、何時の間にか現れた褐色の美人がウルルをテッサイの方へと手渡していた。

 

 しかも美人は全裸だった。

 

 全裸だった。

 

 褐色の全裸美人。

 

「さて……………話してもらいましょうか?」

 

「その前に服着てくれない? ウルルの教育に悪そうだから」

 

「やはりワシをみても驚かぬのだな」

 

 キツイ眼で全裸美人は三月達を睨む。

 

「いんや、めっちゃ驚きすぎて一週回って冷静になっているだけ」

 

「どの口が…」

 

 ちなみにこの全裸褐色の美人は『四楓院夜一』である。

 あの()()である。

 

「まあまあ夜一サン、取り敢えずこれでも羽織って下さい。 テッサイサン、ウルルを頼みますよ?」

 

「承知しました」

 

「あ、待って」

 

 テッサイに別の場所に連れて行かれそうなウルルが三月とチエの両方を見る。

 

「二人とも無事で………良かった…………」

 

「ウルル……」

 

「…………」

 

 そして居間に残る浦原、夜一、三月、チエ、そしてマイだった。

 

「さてと、今度こそ()()()()()()話してもらいますよ?」

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 それから数時間後、浦原商店に手を振るマイと三月、そしてテッサイから返された鞘に入れたままの刀を持ったままぺこりと頭を下げるチエを、ニヤニヤしていた浦原とジト目の黒猫状態に戻った夜一が見送っていた。

 

「…………本当に、思った以上に面白い人達だ」

 

「嬉しそうだな、お主?」

 

「そりゃあね! ()()()()()()()()()()()()()()()()()()を使って()()()()()()()()()()()なんて話にボクの探求心が燃えあがらない訳が無いッスよ!」

 

 この数時間、チエ達はそういう風に浦原と夜一に説明し、「自分達は()()()()()()()()()()()()()()()()()」等と付け加えていた。

 

 つまり浦原からすれば『よく似た世界線からの外来種』となる。

 

「ほどほどにな。 あの者達にはまだ何かあるようじゃし」

 

「それはボクでもわかるッスよ」

 

 チエたちがした上記の説明は嘘ではない。

 

 が、勿論全てではない事は浦原達にも分かっていたが、今まで以上の監視と情報提供を続ける事をチエ達が承諾した事によって、今まで通りの状況を続ける事となった。

 

「じゃが色々と納得がいくのぅ」

 

「ええ。 道理でウルル(改造魂魄)等に詳しかった訳だ。 それに彼らの言っていた()()()────」

 

「────十中八九()()の事じゃな」

 

「「………………………………………………」」

 

 まだ降る雨の中を一人と一匹が曇っている空を見ていた。

 

「今は少なくとも、ワシらに敵意はないようじゃが………」

 

「願わくば…彼らがそうやって、ずっと敵対者で居なければ良いですけどね。『通りすがりの正義の味方』のままで」

 

「アレを信じておるのか、お前は?」

 

「少なくとも嘘をついているようには見えなかったので♪」

 

「お主も物好きじゃのぅ…………じゃが、奇妙なモノじゃ。 ワシとお主が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とは」

 

「………………………まるで『()()』めいたもの感じるッスね」

 




作者:今回短かったから次の話、行けるかな?

アーチャー(天の刃体):私のセリフ…………

作者:ギクゥ! で、では自分は次話を書くので~

アーチャー(天の刃体):逃げるか貴様!
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