白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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お待たせしました、次話です。

少し短いですが、キリが良いところだったので許してもらえますと助かります。 (汗

楽しんでいただければ幸いです!




何気に体の調子がまだ悪いのは(あまり)関係ありません (汗汗

9/13/21 8:19
誤字修正しました。


第78話 勝ち負けと『独り』

 ___________

 

 一護 視点

 ___________

 

 ドォォン!

 ギギギギィン!

 ガガガガガッ!

 

 全治した一護とグリムジョー(強者たち)

 

 二人の攻防の余波は遠くにいて『三天結盾』を展開しても尚、聞こえる地鳴りや感じ取れる空気の響きなどが織姫たちにどれほど激しい戦いか容易に想像させていた。

 

 全身が黒い服に、白い面をした一護。

 斬魄刀解放をして、猛獣の鬣を思わせる長髪になった青髪と体が獣人のように変化したグリムジョー。

 

 ()()()()全力の一護とグリムジョーの一撃一撃が、純粋な腕力のぶつかり合いのみで二人の周りにあった砂漠の地形が徐々に変わっていく。

 

「ははははははは! 良いぜ良いぜ良いぜ、黒崎一護ぉぉぉぉぉ! 『()()()()』と思っていたのが俺の思い違いで良かったぜぇぇぇぇぇ!」

 

「………………………」

 

 歓喜に狂ったように笑いながら襲い掛かる猛獣(グリムジョー)を前に、経験のあるトレーロ(マタドール)のように一護は黙り込んだまま、斬魄刀の小刀版を思わせるグリムジョーの黒くて鋭い爪からの攻撃を自身の斬魄刀で受け流し続ける。

 

本来(原作)』とは少々違う()()が、そこにあった。

 

 黒崎一護は『優しい』。

 いかに強力な力や能力に目覚めても、彼は極力『相手を気遣う』趣向がある。

 

 例えば、虚を呼び寄せる『撒き餌』を使って周囲を脅威に晒すという、非常に危険な行為で『雨竜を殴る』と言っても結局は共闘(利害の一致)の末に元凶(雨竜)を殴らなかった。

 

 ルキアを助ける為に、瀞霊廷に乗り込んだ時に放って置けば死ぬほど重傷の傷を負った一角の治療や、彼の『相手を退ける』ことに特化した戦闘スタイル。

 

 自分やネルの命を狙ったドン・パニーニ ドルドーニを死闘の末、彼を治療したりなど。

 

 ()()()『原作』のままだった。

 

 一つ違いがあるとすれば、彼は幼少の時から『全力を出せば相手を()()()()()()()()()()()()()()()()()』といった、無意識的な『手加減』という()を彼は心の中でしていた。*1

 

『現時点』での一護は実力的に見れば()()

 

 それは彼が初めて一角(人型)と戦った時に(始解の『本気』とはいえ)、『本業の死神』をほぼ一方的に圧倒出来たことや(子供の頃とは言え)、()()有沢たつきに『空手で勝てる』自信があったなどでお分かりになるだろうか?

 

 だが、彼はもともと普通の人間、()()()15歳の少年。

『優しい』本質の上に、比較的『平和な現世(日本)』で育っただけに『殺生モノ』には疎い。

 

 そんな彼がなぜ今、グリムジョー相手に『本気を出せる』かというと理由は実に単純。

 

 グリムジョーが『6』で、(一護が手負いとはいえ)強烈な一撃を喰らっても深手にならなかったウルキオラが『4』という事が彼の中で判明したからであった。

 

 つまりは『()()()()()()()()()()()()()()()()』。 

 イコール、『自分がどこまでの力を出せるか』という好奇心と、『試合(戦い)の礼儀』を身につけていた一護の心構えが重ね合った結果だった。

 

(グリムジョー)が自分と対等な(全力の)勝負を挑む為に治療をした(井上を連れて来た)』。

 

 ならば、(グリムジョー)が望むような戦いをするのが『せめてモノ礼儀』と一護は考えていた。

 

『そうしなければ、相手を侮辱することなる』と彼は以前、『師』と自分が(心の中で)呼ぶ者から聞いたことがあった。

 

 だが────

 

「(ヤベェ、()()()が見えねぇ。 『仮面』の方もそろそろヤバイ、か…)」

 

 ────解放状態のグリムジョーに『勝つ』ビジョン(想像)が、一護には見えなかった。

 

 力も、技術も、能力も()()対等なのは今までの攻防で分かった。

 

『なら、差はどこで決められる?』、と一護は焦りながら考えていた。

 

 そこに背後からの声と言葉に一護は死闘の真っ最中というのに、思わず呆けて(グリムジョー)から目を離した。

 

 ()()()()()、黒崎君!」

 

 織姫の声だった。

 

 先ほどからネルも何かを叫んでいたが、一護はそれに耳を傾ける余裕はなかった。

 

 が、織姫の声だけは不思議と心まで響いたのを一護は感じた。

 

勝たなくていい………無理をしなくていい………

 

 

 

 

 でも………()()()()()!」

 

「(…なんだ。 『勝ち筋』、()()()()()()()()。)」

 

「よそ見してんじゃねぇぇぇぇぇ!」

 

「(『死なないで』、か……)」

 

 ガシィ!

 

 一護は迫ってくるグリムジョーの腕を掴んで、無理やり止める。

 

「あー……()りぃな、グリムジョー。 俺、勘違いをしていた────!」

 

 ザシュゥ!!!

 

 一護は一瞬だけひねり出せる、体のすべての霊力を卍解状態の『斬月』に集めてグリムジョーに、前回につけた傷よりさらに深い傷を負わせる。

 

「────ガッ?! 俺を! なめるなよ、一護ぉぉぉ!!!」

 

 ザクゥゥ!!!

 

 グリムジョーも負けずと、一護に掴まれていないもう片方の手を一護の脇腹に深く埋め込む。

 

「グ、グリムジョー!」

 

 「俺は! 『王』だ!」

 

 

 ___________

 

 ??? 視点

 ___________

 

 さて、ここで少し『虚の生態系』と『グリムジョー』自身に関してのおさらいと補足をしようと思う。

 

 少し長くなるかもしれないが、付き合って欲しい。

 

 数多の魂を喰らって成長した虚は『大虚(メノス)』、正確にはその中でも最下級兵の『ギリアン』になる。

 

 つまり『ギリアン』は多くの魂の集合体なのだが、まれに『個』を持ったままの『ギリアン』が生まれ、それらは更に他の『ギリアン』を喰らう。

 

 その過程でさらに進化する形態が『アジューカス』、次なる『大虚の進化段階』。

 

 が、その情報には()()誤りがあった。

 

『アジューカス』は『中級大虚』とされているが、実際は『進化できる可能性を持った最下級大虚(ギリアン)』で、見た目が『ギリアン』とは大きく違うので方便上『アジューカス』と呼んでいるだけの事。

 

 このように、『アジューカス』は『個』を得たまま他の『ギリアン』を喰らって姿を変えたが『魂の捕食』は止まるわけではない。

 どちらかというと、逆に『加速』する。

 

 何せ彼ら『アジューカス』は『進化』、または『現状(アジューカス)維持』の為に、更にほかの『アジューカス』を喰うことを強いられる。

 

 喰わなければたちまち『退()()』が始まってしまうからだ。

 

『退化』が起きれば良くて『永久に進化することが出来ないギリアン』。

 悪くて『個』を持った()()()虚。

 最悪で『個』を失った『ギリアン』という、『退化』の名を借りただけの実質的な『個の死』。

 

 そんな環境の中、グリムジョーや他の破面は長い(とき)を過ごしていた。

 

 ほとんどは群れを作って生活をするが、まれに強い個体がでて彼ら彼女らは単身での生活が多い。

 

 そしてその中でも圧倒的な強さを見せたグリムジョーは、周りにいた『進化する見込みのない』または『退化』が始まった『アジューカス』達に『(リーダー)』と勝手に祭り上げられていた。

 

 以前、空座町に姿を見せたグリムジョーの従属官だったシャウロン・クーファン、エドラド・リオネス、ナキーム・グリンディーナ、イールフォルト・グランツ、ディ・ロイ・リンカーたちもこれに含まれる。*2

 

 それまでグリムジョーは『己』にしか関心は持たなかったが、周りから期待されることに対して気が悪くならなく、それを受け入れた。

 

 そこから彼の虚圏での生活に、『刺激』が続いた。

 

 彼の噂を知った他の『アジューカス』が襲ってくる、またはグリムジョーが襲う『闘争』の日々。

 その中でもグリムジョーが嬉しく思ったのは『己の生を実感させる獲物(強敵)』の登場。

 

 だから彼は、自分が久しく認めていなかった獲物(一護)が『本気を出して戦う』ことを、嬉しく思っていた。

 

 

 そんな一護(強敵)が『勘違いした』と言いながら、()()()()()()()ことにグリムジョーが激怒することは不思議でもなんでも無い。

 

 相手にその気がなく、『一護は“勝つこと”より“生きること”を選んだだけ』と言っても信じないだろう。

 

 ある意味『似た者同士』の二人だが、その方向性が少し違っていた為に『同族嫌悪』に似た無自覚の動機が一護とグリムジョーたちを動かしていた。

 

 

 ___________

 

 一護、グリムジョー 視点

 ___________

 

「『豹王の爪(デスガロン)』!」

 

 二人は距離をとったと思えば、今度はグリムジョーが空中に霊圧の刃のようなものを十本結成した。

 

「こいつぁ、俺の最大の技だ! 俺を()()()ことを後悔させてやるぜ、一護!」

 

 バキッ!

 

「(クソ! こんな、仮面が割れ初めている時にッ!)」

 

 一護は無視できないほどに悲鳴を上げ始めた身体で、グリムジョーの操る霊圧の刃を『斬月』で受け止める。

 

「俺は! 俺『王』なんだ! ()()()()()()()!」

 

 グリムジョーの攻撃に後退(あとずさ)っていた一護は踏ん張りを利かせようにも、足がズルズルと後方へ押されていく────

 

 ガリガリガリガリガリガリ!

 

「ぬ、グゥゥゥオオォォォォォ!」

 

「な、バカな?!」

 

 ────筈だった。

 

 後ろに下がるどころか、一護は()()していた。

 

 一護は足の裏に霊圧を込めて、彼は『瞬歩』のときに『体を強化する』という過程の技術を応用してゴリ押し気味に真っ向からグリムジョーへ近付いていった。

 

 バキッ!

 

 その時、グリムジョーが飛ばしていた『豹王の爪』に亀裂が現れる。

 

「俺は! ()()んだ!」

 

「一護! テメェ────!」

 

「────俺を! 『俺たちの帰り』を待っている奴らがいるんだ!」

 

 一護の脳裏に浮かんだのは空座町の住人達と、瀞霊廷で知り合った知人たち。

 

「その俺が! お前ひとりに()けるワケにはいかねぇんだ、グリムジョー!」

 

 バキン!

 

 ついに『爪』が割れてグリムジョーの胸に一護の斬魄刀が深く突き刺さる。

 

「(クソッ……タレが……)」

 

 グリムジョーが追いついた傷や体の負担に意識を委ねようとした時に、彼の腕が一護に掴まれて優しく地面に置かれた。

 

「(グリムジョー…………サンキューな。)」

 

 一護は心の中で、『勝ち』という定義に対しての思い違いを気付かせたグリムジョーに感謝をする。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

「よ、井上。」

 

 一護は出来るだけ『いつもの調子』を出して織姫たちのいた場所に戻っていた。

 

「皆、ケガしていねぇか?」

 

「う、ううん! 私たちは大丈夫………だよ?」

 

 織姫が一瞬気まずい間を入れ、一護はチラリと彼女の後ろに隠れていた雛森を見た。

 

「………あー、成程な。 通りでチエの奴が珍しく()()()来たがっていたワケだ。」

 

「…………………………え?」

 

 チエの名前を聞いてわずかに雛森の死んだ目にハイライトが戻り、彼女が初めて顔を上げた。

 

()()……………が、ここに……ですか?」

 

「ッ?! あ、ああ。 その筈だぜ?」

 

 ここで初めて雛森の酷い様子に一護が思わずドン引きしそうになったが、何とか踏みとどまった。

 

「あと渡辺の遠縁の奴らとかも。」

 

「そう…ですか。」

 

 以前の自分が知っている彼女から今の豹変ぶりに一護は『本当に同一人物か?』と思わせたが、先ほど幼馴染の生エアが出て反応したのを考えながら彼はその方針で話を続ける。

 

「よっぽどチエに思われているんだな、アンタ?」

 

「………そんな、私なんて…」

 

「アイツ、仏頂面でぶっきらぼうで言葉が少ないってのも引けるぐらい無口だけどよ? 『自分から何かする』ってのは、かなり珍しいことなんだぜ? 何せ、10年間一緒にいた俺でも片手で数えられるほどだ。」

 

「「え?」」

 

「(ほう。)」

 

 このことに雛森と織姫が声を出して(そして近くのクルミも内心で)興味を示した。

 

「???」

 

 なお、ネルは『誰のことだべ?』と言いたいような表情でただ?マークを出していた。

 

「ああ。 大方、アンタに『井上のことを任せる』とでも言って、これ全部に巻き込まれたんだろ? それは言い換えれば『私の代わりに任せた』と言ったようなもんだぜ?」

 

「そ、そんな………私なんかに、()()がそんな期待を────」

 

「────じゃあ、今度聞いてみたらどうだ? よっと。」

 

 ドサ。

 

 一護が織姫を肩に担ぐ。

 

「え、ええええええ?! ちょ、ちょっと黒崎君?!」

 

「な、何してるだ一護?!」

 

「え? 何って、こっから降りるんだよ。」

 

 一護は織姫たちがいた、ボロボロになりつつあった塔の屋上を見ながら織姫とネルに答える。

 

「で、でも────!」

 

「────そうっス! 担ぎ方ってモノがあるんs────!」

 

「────私、重くない?!」

 

「………………」

 

 ネルは自分が思っていたことと違うことを指摘した織姫を何とも言えない、『ホゲ~』とした顔で見る。

 

「ん? 思ったほどじゃねぇよ────」

 

 ゴズン!

 バシィ!

 

「ゴハ?!」

 

 ネルが一護の股間近くにキツイ一発を食らわせ、クルミが彼の頭をはたく。

 

「て………テメェら……」

 

「レデーになんて失礼ことを言うっスか?!」

 

「そうです。 そこはかとなく『軽いぜ。 フッ。 (キラッ✨!)』とでもカッコつければ良いんです。」

 

「ええええ────?」

 

「────そうだス! たとえ本当に重くても『軽い』とでも答えるべきっス!」

 

「えっと────」

 

「そうです。 たとえ重くても、です。」

 

「…………なんか悲しくなってきた……」

 

 ネルとクルミの悪気ゼロ(???)のレディー正論に、織姫は無数の冷や汗を出す。

 

 そのハプニングの後、ネルと織姫を担いだ一護と(どこか気まずい)雛森を担いだクルミが塔の上から砂漠の上に降り立つと荒い息をしていたグリムジョーが待っていた。

 

「い…………一、護…」

 

 バシュゥゥゥゥゥ!

 

 霊圧が底をついたのか、グリムジョーの解放状態が独りでに解除して、彼はいつものリーゼント不良の見た目へと戻る。

 

「ま、まだだ。 俺は…まだ────!」

 

「────もうやめろ、グリムジョー。」

 

「あ?」

 

「テメェが『王』だがなんだか知らねぇが、そうやって片っ端から周りの『気に食わない奴ら』を潰して…()()()()()()()()()()()()になって何になるんだ?」

 

「……うるせぇよ……」

 

「俺は理解できねぇかも知れねぇが、()()()()()()()()ってんなら何回でも戦ってやるよ…………だから、今は────」

 

「────ざけんなよ! テメェは────!」

 

 ザクッ!

 

「────グッ…」

 

 その時、大きな鎌のような武器がグリムジョーの体に食い込む。

 

「────なに敵に情を掛けられて話し込んでんだ、グリムジョー?」

 

「グ、グリムジョー?!」

 

 一護が鎌の先を見ると、その先は細身のノイトラが立っていた。

 

「あ、あぁ……うぅぅぅ……」

 

 そしてどこか恐怖と痛みが混ざり合ったようなうめき声をネルが頭を抱えながら出す。

*1
18話などより

*2
59、60話より




作者:寝る。

アーチャー(天の刃体):またかね?!

弥生(天の刃体):ご飯できたよ~♪ 

作者:Zzz…

弥生(天の刃体):ってありゃ、寝ちゃってるよ。

アーチャー(天の刃体):はるばるここまで君を来させてな。

弥生(天の刃体):……………

アーチャー(天の刃体):何だね、その邪悪な笑みは?

弥生(天の刃体):二人きりだね♡

アーチャー(天の刃体):…………………

弥生(天の刃体):あ、赤くなった! 面白~い!

アーチャー(天の刃体):クッ、女難の相が!
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