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??? 視点
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衝撃で地面に力なく倒れたグリムジョーが、新たな破面に何時もの覇気が無くなった睨みを送る。
「ノイ、トラ………」
ノイトラは何時もの薄笑いではなく、ただイラついた顔でグリムジョーを見下す。
「グリムジョー、十刃の中でも『俺と似た奴』ということで少しは買っていたが……思い違いだった────」
ジャラジャラ、ガキィン!
鎖の音とともに鉄と鉄がぶつかる、耳をつんざくような音がノイトラの近くに現れたクルミの
「───チィ、
器用な動きで距離を置き、腰を低くして構えるクルミをノイトラが睨む。
「テメェ…
「……………井上を頼みます、一護───」
「───ぁ───」
ヒュッ!
ドォォォォン!!!
ノイトラが消えるかのように大きな鎌……………ではなく、ついた鎖の方でフェイントを入れた後、クルミは迫りくる鎌を短剣で受け止めて大きな衝撃音と砂が舞い上がる。
「───クッ! (やはり中々の腕力ですね!)」
「テメェ、女のクセに生意気なんだよ! あの
ギ、ギギギギギギギ!
ノイトラがさらに力を入れるとクルミも同じことをしたのか、武器が軋むような音を出す。
「『槍使い』? …………なるほど、『カリン』のことですか───」
「───!!! テスラァァァ!」
ノイトラの目が見開き、彼の叫びに従属官のテスラが織姫たちに背後から急激な速度で迫る。
ギィィン!
「させっかよ! 井上、そこから動くんじゃねえぞ! 『
手負いの一護がテスラを
「やっぱりな! テメェ、
「姉妹ですが? (設定上の。)」
「そうかよ!」
愉快な笑みを浮かべ、襲ってくるノイトラを見ながらクルミは考え込む。
「(クルミ姉さま、相手も『強襲型』のようです。)」
「(ええ、どうしようかしら?)」
「(やはりここは『アレ』が覚醒するまで粘るのが良いのでは?)」
「(…………………だったら
「私は元々、『ここ』では
「(そう。 ならその方針で行動するわ。)」
そこからノイトラとクルミの攻防に少しずつだが、変化が生じる。
クルミは
その間一護のほうもグリムジョーとの戦いのすぐ後だったので、彼も凡ミスなどからクルミと同じく傷だらけになっていく。
そしてこれを見ていたネルが更に苦しむような息遣いをしていく。
「…………気になるかよ?」
戦いの真っ最中というのに、視線を時々ネルへと向けるクルミを見たノイトラは、笑みを浮かべながら彼女を挑発する。
「……………」
「『ネリエル・トゥ・オーデルシュヴァンク』、アイツが『
ガシッ!
気を取られ、ついにクルミの腕がノイトラに捕まると、彼女は短剣をもう一つの手で突き出す。
ガッ!
だが刃は食い込まず、鈍い音を出してノイトラの皮膚で止まる。
「け、この程度かよ。 避けて損、したぜ───!」
ボギッ!
「───ぁ?!」
ノイトラが力を入れると鈍い音と、クルミが胸奥で押し殺そうとした、小さな叫びが口から漏れる。
ゴッ!
「が?!」
ノイトラがクルミを引き寄せて、頭突きを食らわせる。
ゴッ!
「ぐ?!」
頭突きを食らわせる。
ゴッ! ゴッ! ゴッ! ゴッ! ゴッ!
食らわせる、食らわせる、食らわせる、食らわせる。
「クルミちゃん!」
その行為は、まるで痛がる獲物をワザといたぶりながら楽しむ猫のようなもので、とても見るままでいられなかった織姫がクルミの名を無意識に叫ぶほど。
「どれだけの奴らかと思えば、とんだお人よしの集団だな! 『元十刃』のネルを引き連れて! いや……こいつに騙されて、『あわよくば俺を弱らせよう』って魂胆かぁ?」
「「え?」」
ノイトラの言ったことに織姫と一護が思わず頭を抱えながら震える少女を見る。
「う、うそっス。 ネルが……『十刃』だなんて…」
「……………はぁー。」
ノイトラがぐったりとしたクルミを投げ捨てて、彼女の体が地面に落ちる前に素早く織姫たちがいた場所に移動して、大鎌で織姫の結界を容易く割る。
バリィン!
「きゃ?!」
「…………」
「だったら頭を
ボンッ!
ひるんだ織姫と、無反応の雛森の前に出ていたネルをノイトラが蹴ろうとして、テスラと戦っていた一護が彼の足を受け止めていた。
「ハハハ! 『騙された』ってのに庇うのかよ?!」
「い、一護…し、信じてほしいっス! ネルは……ネルは騙してなんか────!」
ネルは悲願するかのような声を絞り出す。
「────当たり前だ。 お前が俺たちをだ────」
一護がネルたちの不安を下げようと軽い笑いを向けようとする。
ゴッ!
「────ガッ?!」
だがノイトラはそのまま一護が受け止めていたはずの足に、力を更に入れて彼のガードごと一護を横へ蹴り飛ばす。
「「一護!/黒崎君!」」
ネルと織姫が一護のそばに駆け寄ろうとして、織姫はテスラに拘束する為に動く。
「…………何のつもりですか?」
だが彼の前には虚ろな目をしたままブツブツと何かを言う雛森が立ちはだかった。
織姫たちがいた部屋の粗末な果物ナイフを構えて。
「雛森ちゃん?!」
「んじゃ、
ノイトラは地面で荒い息をする一護の右腕をつかんで力を入れる。
メキメキメキメキメキメキッ!
「ぐ、ああああああああああ?!」
「一護ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
ネルは叫びながら、周りの者たちの動きが一瞬止まるほどの霊圧を放つ。
「やっと戻ったか、
小さなネルが、大人になった姿へと変わっていた。
ガバッ!
「スキ
「な?!」
そしてテスラの背後にあった砂漠の砂の中からは、いつの間にか地面へと潜っていたクルミが現れて、彼女の
ドォォン!
「(それを言うのならば『スキ
「(あ。)」
「(クルミ姉様もやはり素は『上姉様』なのですね、フフフ。)」
「(う……)」
「ク、クルミちゃん?」
織姫はただキョトンとしながら、シュルシュルとうごめきながら
「何ですか、井上さん?」
「えっと……髪の毛が……」
「ええ、何か?」
「……………………」
そして彼女は何事も無かったように振舞い、織姫は次の言葉を探そうとしていた。
少女、『ネル・トゥ』。
フルネームを『ネリエル・トゥ・オーデルシュヴァンク』と言い、本来の姿に戻った『元
身長176cm、体重63kgでかなりのナイスバディの持ち主の上に布切れしかまとってないという目のやり場に非常に困る────コホン、失礼。
ともかく。
彼女は現役だった頃、当時の
だがネリエルは実力の割に『戦士の戦いや殺生には明確にした“理由”が必要』という、ある意味
逆にノイトラは『敵は倒せる時に倒しておく』、『弱っている敵を狙う』といった行動主義者。
そんな二人は会った時からの関係は悪かった。
というか根本的な部分で『
毎日、ノイトラがワザと彼女を挑発して突っかかるほどに。
その行動は、ノイトラがネリエルを
そんな中、ネリエルはノイトラに歩み寄ろうとして彼の行動をたしなめたり、下手をすれば死にかねない状況になったら助けたりと、彼からすれば上から目線の言動でしかないのを知らずに動いたのが
まぁ、
そんな日々が続く中、最後にはノイトラが渋々と『十刃落ち』だった『変態マッドサイエンティスト』と手を組んで、ネリエルの従属官だったドンドチャッカとペッシェを瀕死の状態になるまでなぶってネリエルの動揺を誘い、ネリエルを罠に陥れてから彼女を背後から仮面ごと頭を割るほどの行動に出させた。
そして頭と仮面を割られて、漏れ出した霊圧を出来るだけとどめる為に体が子供へと変わり、それが『ネル・トゥ』という少女が生まれた瞬間だった。
その少女が今、『追い詰められていく一護たちを守りたい』という強い気持ちから本来の姿に覚醒し、以前の『第3十刃』としての力と記憶を取り戻してノイトラと対峙する。
『一護たちを守る』という、『戦う理由』を
そんな彼女は『第3十刃』らしく、一護からノイトラを無理やり引き剥がす。
「ブァ?!」
そのムチムチな脚線美でノイトラの顔を真横から蹴って。
その間にもネル(大人)は一護をノイトラから遠ざけ、彼を安心させる為に背中にある『3』の入れ墨を見せる。
「ネル、お前……その背中の番号────?」
「────少しじっとしてて一護。
そこから
そんな中、ノイトラは舌を口から突きだして虚閃を撃つ。
迫りくる虚閃を、彼女は避けるそぶりもなく片手で受け止めてそのまま口を大きく開いて、
『チュルン』とする効果音がよく合う、フルーツゼリーの如く。
「「「え゛。」」」
織姫、雛森、クルミの三人がポカンと驚愕する。
虚閃とは即ち『光線状に縮小した霊圧の塊』。
それを『飲み込む』ということは『霊圧の爆弾』を口の中に含むと同じだった。
無論、上記は雛森ととクルミはそう理解していたが織姫に至っては普通に『ビームを飲み込んだ』とだけ取っていた。
「がぁぁぁぁぁ!!!」
次の瞬間何某怪獣のような、おおよそ女性が決して出してはいけない声と共に巨大な虚閃がネリエルの口から吐き出されてノイトラに直撃する。
ドウッ!
「……………ネルって、こんなにスゲェ奴だったのか。」
一護の口から思わず感想が出る。
「(成程、面白い
「(絶対にマネしないわよ?)」
ネリエルがクルリと一護たちの方向へと振り向くその姿は可憐ながらも大人びた女性────
「いちごぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
ムニュン。
「ほぎゃあぁぁむぐぅぅぅうう?!」
────から一転して、ネリエルは泣きそうな顔をしながら一護にタックルらしいハグをする。
なお一護の顔は彼女の成長した姿に相応しい
「一護ぉぉぉぉ! 良かったよぉぉぉぉ! うわ~~~~~~~ん!」
さっきまでの様子はどこに行ったのか、天真爛漫な子供のように一護の周りに手をまわし、力の限りギュっとする。
メキメキメキメキメキメキメキメキメキッ!
無論、全盛期に近い
「ね、ネルちゃん────じゃなくてネルさん?! 黒崎君が死んじゃうよ?!」
この新しい出来事に一護の頭は健康的な(?)『赤』から完全にどう見ても不健康な『青』へと変わり始めたことに織姫が慌て出す。
ガラガラガラガラ!
「そういや、テメェは『
瓦礫の中からそれほどダメージを受けていないノイトラを見ながら戸惑いが目立つネリエルに対し、彼は実にいい笑顔を向けながら言う。
「『相手の虚閃を吸収して、自分の虚閃を上乗せして飛ばし返す。』 確かに脅威だが……今の俺には効かねぇ!」
ノイトラは自分の得物である鎌を肩に担ぎなおす。
「今度はテメェの脳天だけじゃなく、今では意味のねぇその背中の数字を剥ぎ取ってやる!」
ネリエルは立ち上がり、斬魄刀を自分体の前で水平に構える。
「……
巨大な霊圧の壁がネリエルの周りを包囲して、中から出たのは半人半獣のケンタウロスを連想させるようなネリエルだった。
更に斬魄刀がランスに代わっていたので、その姿はある意味文字通りの『人馬一体の騎乗兵』がしっくりと来るような見た目だった。
ネリエルが斬魄刀解放────『
「いいぜ、ネリエル! とことん
「ええ、終わりにしましょうノイトラ────」
ポンッ。
「────うぶ?!」
シャボン玉、または風船がギャグマンガの中で割れるような効果音が出るとネリエルが『ネル』へと戻って虚圏の地面に落ちる。
「あ、あれ? ネル……どうスて────?」
キョロキョロと周りを見るネルに影が落ちる。
「────つまんねえな。」
イラつきを隠さないノイトラがネルを見下ろしながら鎌を振り下ろす。
「「ネ、ネル!/ネルちゃん!」」
一護と織姫が彼女の名を叫ぶ。
「……
「え?」
クルミの小さなに独り言に雛森はキョトンとする。
「ドラッシャアァァァァァァイ!!!」
ガイィィン!!!
「ッ?!」
「イデェェェェェ?!」
ノイトラが振り下ろす武器の軌道に、何かの掛け声のようなものと、
だがノイトラの武器は食い込まず、鈍い音で弾き返された。
「いよっしゃあー!」
「イェーイ!」
少し距離の空いた場所ではガッツポーズをするカリン。
そして彼女の頭に乗っていた
「おい! 何が『いよっしゃあー!』だ、この野郎?! オレを投げるたぁどういう了見だ?!
「あ? 聞いても断っているだろ、お前?」
「ねー♪」
「当たり前だコラァァァァァ!」
ノイトラの武器が当たった背中をさすりながら大男は全く反省の色が無いカリンを怒鳴る。
「な……な……な……」
一護が呆然とする。
「ん? よぉ女、久しぶりだな!」
「え、あ、ハイ。」
声をかけられた織姫が思わず返事をする。
「ざ、更木隊長?」
雛森が
「ああ? おう、テメェは……………………えっと………………」
「『ヒナヒナ』だよ剣ちゃん!」
更木は雛森を見て珍しく考えるが、すぐにやちるが答えを出す。
「ああ、五番隊の……うし、これで後は
更木はネルを持ち上げて織姫へと投げ渡す。
「どわぁ! レ、レデーになんてことするっスか?!」
「うるせぇよ、ガキ。 一護たちの知り合いっぽいから斬り捨ててねぇだけだ。」
「ま、まてよ剣八?! ソウル・ソサエティは……『防衛戦』をするんじゃなかったのかよ?」
「…………………」
ボロボロの一護を更木が横眼で見てから答える。
「
「???????????」
更木の答えになっていない説明に一護は?マークを出す。
「ったく、頭
「────なん……だと────?」
更木の言ったことにショックを一護は受けるが、更木は彼のその様子を無視して説明を続けた。
「────曰く、『血の
「そだよぅー!」
「えっと……やちる副隊長は?」
「『剣ちゃんがいるところにやっちーあり』だよヒナヒナ!」
雛森の問いに、近くまでカリンと一緒に移動したやちるが答え、ここで一護が更木の言った何かに違和感を覚えた。
「……ん? 『オレ
マユリ:いいネ! 実にいイ! あの筋肉だるまをもっと苦しませてくレ!
作者:Zzz……
マユリ:この私を前に眠るとは大した度胸だネ。
ネム:マユリ様、彼は熟睡している様子です。
マユリ:………………………………
ネム:マユリ様?
マユリ:なんでも無い、行くぞネム!
ネム:どこへですか?
マユリ:『科学者』と自称する愚か者のところだヨ。