白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

83 / 193
お待たせしました! 少し長くなってしまいましたが楽しんで頂ければ幸いです!


第81話 The Children's Tantrum

 ___________

 

 ??? 視点

 ___________

 

 自分の『人形芝居(テアトロ・デ・ティテレ)』の能力が短時間で完封されたことに、ザエルアポロは奥歯で苦虫を噛み締めたような顔をする。

 

「ま、待て(くろつち)!」

 

「ハァ、なんだねまったク。 うるさい(滅却師)だヨ。」

 

「僕は()()一言しか喋っていないだろ?!」

 

「(そこは『まだ』という自覚があるんですね眼鏡(雨竜)。)」

 

 雨竜がマユリに異を唱え始め、リカは内心で彼にツッコミを入れ、ネムはリカに小声で話しかける。

 

「止めなくて良いのですか?」

 

「ただの()()()()()だから。 マユちゃん()()いい刺激だし。」

 

「成程。 確かに以前、マユリ様は彼と話した後はいつもとは違う『生き生き』とした様子になりましたね。」

 

 余談だがネムがここで言う『以前』とはルキア奪還時に瀞霊廷に乗り込んだ際のこと。

 

 そして二人は『石田&マユリコント』を静かに観察する。

 

「いつの間に監視用の菌を付けたんだ?! 僕は何も聞いていないぞ!

 どの程度が見えているんだ?! ま、まさか『普段の生活』もか?! それだと『どこまで』だ?! 人権侵害だぞ、分かっているのか?!

 大体お前は自分勝手過ぎ────!」

 

 「────うるさい外道。」

 

 パチパチパチパチパチパチ。

 

「おー流石マユちゃん。 『さすマユ』です。」

「『さすマユ様』。」

 

 一言で全てを片付けたマユリに、リカとネムが拍手を送る。

 

「僕か?! 僕が変なのか?! それに外道はお前だr────ウオエッホゲホッゴホッ?!?!

 

こいつ(石田)の内臓、本当につぶれているのか?』と疑いたくなるほど大声を出していた雨竜が、そのことに思い出したかのようにここでやっと咳き込む。

 

「む、『Κελαινώ(ケライノー)』。」

 

 ゴバッ!

 

 ネムの足元からザエルアポロの羽の一部らしきものが飛び出る直前、リカの着ていたローブはハンググライダーの翼部分みたいに広がって彼女は空中へと離脱する。

 

「油断したな隊長格どもぉ!」

 

 ザエルアポロが勝ち誇ったような顔をする。

 

「……あの、私を捕らえても『人質』には成りえませんが?」

 

「うるさい! 黙れお前! 良いかこの()()()()()────!」

 

 「────卍解、『金色疋殺地蔵(こんじきあしそぎじぞう)』。」

 

金色疋殺地蔵(こんじきあしそぎじぞう)』。 護廷の十二番隊隊長、涅マユリの卍解であり、その姿は巨大な芋虫を下半身にした黄色い赤子。

 致死性の毒を周囲にまき散らす能力と、胸部から刃を生やす機能、さらに巨体を用いて押しつぶすような攻撃も出来ると言った、数多の機能を備え持った()()()()()()

 

 ゴバァ!

 

「な────?!」

 

 ────バクンッ。

 

 ザエルアポロは急に現れた『金色疋殺地蔵(こんじきあしそぎじぞう)』に驚愕しながらその卍解に丸呑みされる。

 

 重傷の恋次と雨竜が呆れた目で、この出来事をただ上半身を地面から浮かせて眺めていた。

 

「……喰われたぞ、アイツ(ザエルアポロ)。」

「喰われたね、阿散井君。」

 

「ぐぁ?!」

 

 そこで急に未だに『金色疋殺地蔵(こんじきあしそぎじぞう)』の口から伸びていたザエルアポロの羽に掴まれたネムは苦しむような声と共に、お腹が急激に膨れ上がる。

 

「あ! あぁぁぁぁぁ?! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 やがて彼女の皮膚と体は水分や栄養素が抜かれていくみたいにしぼんで行き、彼女の口からザエルアポロがズルズルと這い出てくる。

 

「フゥー、では自己紹介からやり直そうか()()()()。」

 

「…………………ホウ?」

 

 二人が相対して、初めてザエルアポロがマユリを名前で呼ぶ。

 

「何が起こったのか理解できているか? 僕はこうやって敵に自分自身を孕ませ、()()()を搾り取ってから常に新たな存在へと生まれ変わり続けることができる。

 曰く、『不死鳥(ポイニックス)』は老いると自ら炎の中に身を投げて新たな生命として生まれ変わる。

 つまり! 『不死』とは! 『()()』とはそういうことだ!

 死を『超越(ちょうえつ)』するのではなく、『死を自らの生命循環(せいめいじゅんかん)に取り込む』!

 僕こそが、『()()()()()』だ!」

 

「大丈夫ですー。 生きていますよー。」

 

 ザエルアポロの高らかな演説の空気をぶち壊すように、ネムの近くに降りたリカの声がする。

 

「あと、『申し訳ありません、マユリ様』ですってー。」

 

 リカの言葉を聞いたマユリはいつも以上に深い、不気味な笑みをザエルアポロへと浮かべる。

 

「ご説明どうモ、破面(アランカル)。 面白い能力ダ、実に興味をそそられるが……………………」

 

 ここで彼がいったん言葉をそこで区切ると、ザエルアポロがまた困惑するような顔をする。

 

「?????」

 

「まさか、『それだけ』とでも言いたいのかネ? 『完璧な生命』と自称するぐらいだ、まだ何かあるのだろう? エ?」

 

 ガバァ!

 

金色疋殺地蔵(こんじきあしそぎじぞう)』が急に起き上がり、挑発していたマユリを呑み込もうとする。

 

「クハハハハハハ! 僕の肉体は生物に食われると融解し、あらゆる神経に侵入する! そいつ(卍解)はこれで、僕の意のままだ!」

 

 バァン!

 

「んな?! ()()()()だと?!」

 

金色疋殺地蔵(こんじきあしそぎじぞう)』が風船のように割れたことに、ザエルアポロがまたもびっくりする。

 

 さっきからびっくりされ続けられるザエルアポロである。

 

 その間にもマユリはつまらなそうに彼を見て言を並べる。

 

「まったく、道具が主人に盾付こうなど愚かしイ。」

 

 ここで急にザエルアポロの様子が豹変する。

 

「な、なんだこ れは ?」

 

 見た目では何も変わっていないだけに、彼も含めて雨竜と恋次が困惑の表情をする。

 

 いや、厳密にはザエルアポロの口調がところどころ躊躇しているかのように遅くなっていた。

 

「おや、やっと効き目が出ましたか。」

 

「『これ』を知っていたのかねリッ君?」

 

「予想はしていました。 で、()()()何の薬ですか?」

 

「ま わ り  が  お  そ  い  だ       と?」

 

 段々と動き、とうとう口調までもが遅くなるザエルアポロをそっちのけでリカとマユリが喋り始める。

 

「クックック……名付けて『超人薬』だヨ! これは『感覚を極限まで研ぎ澄まされた時に起きる、時間が止まって見える』と言った現象を強制的に引き起こすものでネ────!」

 

「────あ、彼はその原液を()()()()()んですね。 お気の毒に。 南無。」

 

「いやいや! 間違えないでほしいリッ君! 彼は今、『超人』になっているのだヨ?! さぞかし、『常人』である我々の言動全てが緩慢(かんまん)で退屈なモノだろうサ!」

 

「でも『感覚』が研ぎ澄まされても、『肉体』は置いてけぼりじゃないですか。 と言う訳で南無~。」

 

「それは言わない約束という奴サ。」

 

「あ、そうなんだ?」

 

 さっきから呆れた目、びっくりして目を見開く、そしてまた呆れると、ケガ人の割に忙しい恋次と雨竜がいた。

 

「石田……お前の周りは変人ばかりか?」

「………………………………………………………………ゴフッ!」

「うわ馬鹿野郎! 俺に向いて吐くなよ、(きた)ねぇ!」

 

 そこでマユリは刀へと戻した斬魄刀をザエルアポロの胸を目掛けてゆっくりと突き出す。

 

 そして同じく()()()()と動くザエルアポロの手が刀を止めるように上がって行くが、マユリはそれごとザエルアポロを貫いていく。

 

「『超人薬』のおかげで彼は私の刀を辛うじてこのように手で止めようが、その『痛みの感覚』を彼が知るのは体感でおよそ百年後。 更に私のこの『刃が心臓を貫く感覚』まで()()()()となることやラ。」

 

 話している間にも、マユリの刀身がズブズブと動きが鈍くなったザエルアポロの胸に埋め込まれる。

 

「さようなら。 そして御機嫌よウ。」

 

 リカはコソコソとしゃがみながら何かをしていた。

 

「………………『完璧な生命』、か。 フン、『()()()()()()()()()。 それに『何の意味』があル?

『完璧』の先には何もない。 『創造』も、『知恵』も、『才能』も、何もかもが立ち入るスキがなイ。

 ゆえに私は『完璧』を『嫌悪』すル。

 特に我々『科学者』にとって『完璧』とは『絶望』の他ならないのだヨ。」

 

 バキンッ!

 

 マユリがザエルアポロの胸に突き刺さっていた斬魄刀を折る。

 

 刀身をザエルアポロに胸に入れたまま。

 

「『今まで存在したモノより素晴らしきあれ、しかし決して完璧である(なか)れ。』 

『科学者』は常にその二律背反(にりつはいはん)に苦しみ続けながら、そこに『快楽』を見出せなければいけない。 

 いや、()()()()()()()()()()()()()()

 つまりだね、『()()()()()()()()()()』。」

 

 マユリがここで初めてザエルアポロをフルネームで呼びながら軽蔑するような目で未だに微動にしない、胸に刃が突き刺さった彼を見る。

 

「『完璧な生物』などと頓狂(とんきょう)な自称をした瞬間、君はすでに私に敗北したのだヨ。

 君を『科学者と認定すれば』、という話ならネ。」

 

 パチパチパチパチパチパチ。

 

 マユリの演説が終わり、一つの拍手がして彼はリカを見る。

 

「『さすマユ』ですー。」

 

「フン。 この成り損ないを見て、柄にも無いことを言ってしまったヨ────」

 

「────一つ、ボクからも良いですか?」

 

「???」

 

 マユリがリカを見て頭を傾げる。

 

「『完璧』とくれば、マユちゃんが言ったことも当てはまります。 ですがあえて付け加えると『完璧とは良くて“停滞”。 

 普通で“退化”。 

 最悪で、“あらゆる意味でのリンボ(辺獄)”』です。

 まぁ、つまり『()()()()』、『退屈』と言う事なのでマユちゃんの言ったことを復唱するような形になりますが。」

 

「…………………ほウ。 流石はリッ君ダ。」

 

 リカがここで頭を横に振り、彼女の長い髪の毛がその動きに沿って揺れる。

 

「いえ、残念ながら今のは()()()()()じゃありません。」

 

「誰のだネ?」

 

「ごめん、マユちゃん()()言えません。」

 

 そこで数秒ほどの沈黙が場を支配する。

 

「お、おい。 大丈夫か? 斬魄刀を折って?」

 

 と思えば雨竜がマユリの折れた斬魄刀にコメントをした。

 

「フン、逆らったこいつ(斬魄刀)には一度折るくらいがちょうどいいお仕置きだヨ。」

 

 マユリが未だに搾り取られたネムへと近づく。

 

「まったく、手間のかかる奴だヨ────」

 

 そこからの描写はマンガには無いのだが、生憎とそのような()()()()()()では通じない。

 

 と言う訳で以下略化するとしよう。

 

 ────ボジュ!

「うっ♡」

 ボジュ。 

 「ア゛♡」

 ジュブ。 

「ぅぐ♡」

 プチュ。

「あはっ♡」

 ブシャアアアアアアアア。

 「うあ……ああああああああ!♡」

 

 ネムの喘ぎ声&効果音はサービスです。

 

 …………………………………これでギリギリR-18案件に認定されない筈。(汗汗汗汗汗汗汗

 

 「「な、治っただとぉぉぉぉぉ?!」」

 

『酷い重症状態でなければ鼻血が確実に出ているだろう』の恋次と雨竜は、驚愕の声で肌の(うるお)いがツヤツヤとしながら復活したネムを見てお腹の底から出すような音量で叫んだ。

 

「おおおおおおおお~~~~~~~~~~~。」

 

 そして正に目をキラキラと星を出す勢いで、関心を持ったリカが居た。

 

「な、なんでだ?! ()()『どこ』で治した?!」

 

 雨竜の疑問にマユリが鬱陶しそうな横目を寄越す。

 

「…………………その程度、見てわからんのかネ。」

 

「分かる訳ないだろ?! 今、R-15じゃ書けないことをしてただけじゃないか?!」

 

 おいばかやめろ。

 

「石田……お前、何を言っているか知らねぇが興奮するな。 俺たちは内臓潰れてんだぞ。」

 

「グッ……」

 

 恋次が苦しそうに雨竜を収めようとする。

 

「ネム。」

 

「はい、マユリ様。」

 

 ネムががっしりと雨竜を仰向けに拘束する。

 

「ああああああああああ?! やめろぉぉぉぉぉ! 何をするぅぅぅぅ?!」

 

 雨竜はジタバタと暴れようにも、ボロボロの状態では身じろぎすらままならなかった状態。

 

「は、放せぇぇぇぇぇ!」

 

「ダメー。」

 

 そして恋次は雨竜と同じようにリカに拘束されていた。

 

「それも説明しなくてはならないのかね? これだから凡人どもは………………これから改造()すんだヨ。」

 

 「「字が言っている事と違ぁぁぁぁぁぁぁぁう!!!」」

 

 おいばかやめろって

 

「暴れないでください。」

 

 ポヨン。

 

「わぁぁぁぁぁぁ! 近い、近い近ぁぁぁぁぁぁい?!

 

 拘束の仕方で、ネムのたわわな胸部が雨竜の眼前に迫る。

 

「…………………」

 

 そしてこれをじっと見ている恋次にリカが声をかける。

 

「ボクも黒髪になって男のような古風な言葉遣いで話しましょうか? 『ジッとしていろこのたわけ!』とか?」

 

 「何がどうしたらそうなる。」

 

「………………対抗意識? の模範?」

 

「……………何で疑問形なんだ?」

 

 その間にもマユリたちの治療が進行する。

 

ムグゥゥゥゥ?!」

 

「良しいいぞネム。 そのまま窒息死させてしまエ。」

 

「涅隊長……俺から……俺から治療してください! 他の皆が────!」

 

「────ルキアなら無事ですよ?」

 

「え?」

 

 恋次の言葉をリカが遮って、彼はポカンとする。

 

「と言う事ダ。 まだダラダラと戦っているのは黒崎一護のところに向かった()()()()だヨ。」

 

「は?」

 

 恋次が豆鉄砲を食らったニワトリハトのような顔をする。

 

「…………………」

 

 雨竜はさっきから隙間もないほど顔が覆われ、酸欠によって肌が青くなっていく。

 

 

 ___________

 

 ノイトラ 視点

 ___________

 

 ノイトラはさっきから昔のことを思い出していた。

 

 十刃になり、『虚圏に生息している最上大虚(ヴァストローデ)を探し出せ』という藍染の命令で出かけてその先にあった虚のコミュニティの住人を()()()()()()したうっ憤を晴らすために皆殺しにした。

 

『どうして?』

 

 それが彼についてきた元凶(ネリエル)の言葉だった。

 

 更に心の中がむしゃくしゃしたノイトラは、彼なりの理由を彼女に並べた。

 

 まさか『テメェの所為だ』と言う訳にもいかないので。

 

『ノイトラ、私たちはただの虚から()()()()()しただけよ。』

 

『気に食わねぇ。』

 

 思っていたことを口に出すと、元凶(ネリエル)()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『呆れた。 ()()()()()()()()()()()()。』

 

 未だに『子供』の扱いをノイトラは受けていた。

 

 それは『十刃』になる前から、何かとネリエルに付きまとわれていた頃から変わらなかった。

 

 ノイトラにとって、彼女の存在は『ウザい』以外何でもなかった。

 

 そしてある日、彼は()()()自分が敵わない虚の群れにケンカを売って意識を失う。

 

 だが不思議なことに彼は目覚め、その場を見渡すと自分がケンカを売った虚たちは倒されていた。

 

 誰が彼らを倒したのかは考えるまでもなく、片手で読者をしながら余裕平然としたネリエル。

 

『なぜ助けた。』

 

 実はノイトラは自ら望んで『強者』なったわけではない。

 彼は()()()進化しただけで、その所為で周りから絡まれていた。

 

 ひっそりと生きようとしても他のアジューカスが彼を食い物にしようとする。

 

 そして返り討ちにすればその彼の噂や強さに更に群がる。

 

 故に、彼は『自分が納得できる死に場所』を求めていた。

 

 その意味合いも含めてノイトラはネリエルに問う。

 

 そして帰ってきた返答は────

 

()()()()()()()()()()()()。』

 

 ────屈辱以外、何でもなかった。

 

 死に場所を求めていたのに、『(ネリエルより)弱い』から()()()()()()()()()()

 

「(なら、俺は『強く』なってやる!)」

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 ある日、ノイトラがまたもネリエルに決闘を挑んで彼女にとどめを刺されなかった日常の中でノイトラはネリエルに聞いたことがあった。

 

『なぜ本気を出さない?』と。

 

あなた(ノイトラ)の目的が分からないから戦いたくないのよ。』

 

 ついに我慢できなくなったノイトラはこれ以上ないぐらい、彼女にはっきりと言う。

 

 いや、言ったつもり()()()

 

「俺は死にてぇからだ。 (お前(ネリエル)との)戦いの中で死にてぇからだ。」

 

『分からないわね。 なら()()()()()()()()()とするの?』

 

「強くなれば戦いを(お前(ネリエル)に)引き寄せられる。 そうすれば常に(本気の)戦いの中で『呼吸()』が出来る。」

 

 そうすれば、何時かは『本気の彼女(ネリエル)に殺される日が来る』。

 

 だから────

 

「────斬れねぇって言ってんだ、この馬鹿死神がぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

 ___________

 

 ノイトラ、更木 視点

 ___________

 

 

 ノイトラは性懲りもなく自分を切れない斬魄刀を振り回す更木(以前のノイトラのような眼帯野郎)にイライラしながらも戦った。

 

 勿論これは『前座』で、『本命』がまた目覚めるまでの余興のつもりだった。

 

 だが時間が経つにつれ、段々と更木の斬魄刀に傷が負わされる。

 

 バリ!

 

 そんな中、彼は更木の眼帯を誤って外したことで状況が一転した。

 

 更木の霊圧が格段に上がり、自分が誇っていた『鋼皮(イエロ)』はいとも容易く崩された。

 

「あーあ、眼帯外したから()()()が出来ねぇようになったじゃねぇか。」

 

「(ふざけるな。)」

 

 ノイトラの中に、不愉快さが急激に高まっていく。

 

「で? テメェは生きてんのか? それとも、『ただ死に損ねただけ』か?」

 

 ビキッ。

 

「バカが……」

 

「あ?」

 

 片方の眉毛を上げる更木に、ノイトラはこの戦いが始まって以来、自分のイラつきを声に出していた。

 

「俺が……俺がテメェ如きの(ネリエルじゃない)攻撃で! 死んでたまるか! 祈れ、『聖哭螳蜋(サンタテレサ)』!」

 

 ノイトラは本命(ネリエル)の為にとっておいた帰刃(レスレクシオン)をして、さらに傷を更木に負わせる。

 

 六本に増えた腕と大鎌が更木に数々の、浅くはない傷をつけるがが更木は怯むどころか、更に敵意をむき出しにして攻撃し返した。

 

「(怯えろ。 怯えろ、怯えろ、怯えろ! 怯えて()()()()()()()!)」

 

『昔の自分』を連想させる更木を攻撃しながら、ノイトラはそう心の中で叫んでいた。

 

「うし、まずは一本だ。」

 

 だがそれも次の瞬間、更木がノイトラの腕の一つを斬り落としたことによって変わっていった。

 

「『まずは一本』だぁ? 違うな! 『最初で最後の一本』だろうがぁぁぁぁぁ!」

 

 ノイトラは斬られた腕を生え戻して、更木に襲い掛かる。

 

「それはテメェ(昔の自分)が! (ネリエル)より弱いからだ死神ぃぃぃぃぃぃ!!!」

 

 だがノイトラは知らない。

 これが更木を喜ばせることになるとは。

 

「ハハハハハ! 良いぜ、良いぜ、良いぜぇぇぇぇぇ! 最高だぁぁぁぁぁ!」

 

 更木の頭からはすでにカリンに投げられたことは四つ以上の技を覚えた生物の如く、『ポカン』と落とされていた。

 

 今の彼は『どれだけ戦いを楽しむか』しか考えていなかった。

 

 逆に今のノイトラは『どうやってこいつをいたぶって“ネル”を“ネリエル”に戻すか』を考えていた。

 

 その心構えの違いが明確に二人の攻防に差を出させた。

 

「チッ、このままじゃあ死んじまうか。 んじゃ、総隊長(ジジイ)の『剣道』ってのをやってみるか。」

 

 尚もしこの場に山本元柳斎本人が居れば、『じゃから“剣術”と言っておるだろうがこの馬鹿不良弟子がぁぁぁ!』とプンプン怒りながら頭を杖で叩いていただろう。

 

「おう、知ってっか? 剣ってなぁ、()()()振ったほうが()えぇんだとよ。」

 

 ビキビキビキッ。

 

「そんなもん……分かりきってんだろうが!」

 

 更にバカにされたことによってノイトラは更木に突進していく。

 

 そして()()()()剣道(剣術)によってノイトラは死に体と一瞬で変わる。

 

「呆れたぜ、頑丈(タフ)な野郎だ。 じゃあな。」

 

 更木がクルリと()()()()()()()()()()

 

「ま、待ちやがれ! どこへ行く! 俺は……俺は────!」

 

「────あああ?! 今ので『(しま)い』に決まってんだろうが?! ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

「……………………(ああ、()()()()()か。)」

 

 ここでノイトラはようやく自分の思い違いに気付かされて、彼は笑みを浮かべながら立ち上がる。

 

「だったら……尚更だぜ! 俺は……()()()()()!」

 

 ノイトラは残った右腕二本で更木に襲い掛かって、更木二の一振りで返り討ちにされる中、彼は少女の姿で背に壁を預けながら目を閉じていたネル(ネリエル)を見る。

 

「(チッ。 まさかこの俺が、今の今まで気付かなかったとはとんだ失態だぜ。)」

 

 ノイトラが膝を虚圏の地面に着き、ネルの瞼が開いて彼を見る。

 

「(俺は『死にたかった』んじゃねぇ。 ()()()()()()()()だけだったんだ。)」

 

「ノイ……トラ?」

 

「(……ハ。 最後の最後まで憎たらしい()()()()だったぜ。)」

 

 それを最後に、ノイトラは襲ってきた喪失感に身をゆだねて意識を手放す。

 

 ドサァ!

 

 地面にノイトラの体が落ちていくのを見ていた更木の顔は生き生き無邪気な子供のようにしていた。

 

「スゲェ(たの)しかったぜ、()()()()。」

 

 惜しくもノイトラは、己を『対等の強者』として認めた更木の言葉を聞くことなく生き途絶えた。

 

「ノイトラ……ゴフッ!」

 

 テスラが血を口から咳をして出す。

 

 ダラダラと落ちる液体が()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「悪りぃな。 オレはテメェみたいな奴は嫌いじゃないが……横から入るのは野暮ってモノだ。」

 

 彼の胸に赤い槍を突き刺せていたカリンがそう言いながら、更に槍を食いこませてテスラを絶命させた。

 




作者:余談ですが、ノイトラの内心などは独自解釈などから来ています。

更木:んなもん、今更じゃねぇかオイ?

作者:うおおおおおおおおお?! ナンデ?! ナンデ更木がココにぃぃぃぃぃ?!

やちる:変な部屋ぁー! でもお菓子いっぱいあるー! ボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリ!!!

作者:ぎゃああああああ?! 秘蔵のブルボ〇たちが一瞬でぇぇぇぇぇぇ?!

やちる:ブル〇ンも良いけど、次は明〇も揃えてねぇー!

作者:帰れ! なお次話投稿が遅くなるかもしれません! ご了承ください!

更木:お? 酒があるじゃねぇか!

作者:帰れ! 警備員は何をしていた?!

やちる:キツネさんたちは剣ちゃん見た瞬間に逃げたよー?

作者:FU〇K!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。