白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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お待たせしました、次話です!

キーボード入力が止まらなかったで少々長くなっています……

10/2/21 6:05
誤字報告、誠にありがとうございます昨日の翌日さん!


第85話 Dancing Under the Sunlight

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 み つ き(?) 視点

 ___________

 

 さて。

 ここで前話でカリンが『アイツ』と呼びながら怒っていた対象へ話を戻すとしよう。

 

ぎえぇぇぇぇぇぇぇあああああがっがっがぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」

 

 虚夜宮の天蓋の中にある地面で『ソレ』は苦しみながら、まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

あがあぁっぁぁぁっぁぁぁぁっあ?!ぎ、ぎぎぎぎっぎっぎっぎ?!」

 

 長く、可憐な金色の髪が砂まみれになりながらも『ソレ』は引き裂かれるような感じがする頭をぐしゃぐしゃに手で荒く掻いたのか、赤い血が混じっていた。

 

い……………たい?! いたい! いたい! いたい! いたい! いたい! いたい!」

 

 感じてくる訳の分からないまま、理不尽にも思える痛みで『ソレ(三月)』は顔というべき部分を歪ませながら『痛み』をどうにかしようと、とにかく必死だった。

 

『ソレ』を方便上『三月』と今も呼んで、時間も少々巻き戻すとしよう。

 

 時はちょうど藍染が『空座町侵略宣言』をした直後、『三月』は四番隊の簡易トリアージからすぐに移動して*1、後に一護とウルキオラが到達するはずの『虚夜宮の天蓋の屋上』へと向かった。

 

 だが時間が経つにつれ、彼女の視野は急にグラグラと揺らぎ始めた。

 

 最初こそ地震か何かを思ったものの束の間、今度は猛烈な吐き気も襲い掛かったここで『三月』は自らの異変に気付く。

 

 だが時はすでに遅かったようで、次に感じたのは突然の体の芯から広がった喪失感とともに気を失ったのか、顔面が地面に衝突する鋭い痛み。

 

 普通なら『いったーい!』などと軽口を言いながら鼻をさすって移動を再開していただろう。

 

…………か、かかっ?!」

 

 だが逆に『三月』は文字通り、体が四方に無理やり引き裂かれるような感覚の中でただ悶えた。

 

「(ママママズイ……早くくくくくく……イチゴたたたたたたたたちより……さささきききまわり……しししししししししないといけけけけけけけけないと……)」

 

 そして悶える間にも、『精神』が『支離滅裂(しりめつれつ)』していくようなことを必死に『魂』が阻止することに専念する為に体の制御を『肉体』へ急遽移した。

 

ぐあぎゃあああああああ?! ガギギギギギギィィィィィィィィエェェェェェェ?!」

 

 その間にも『肉体』は純粋に己を襲ってくる感覚(痛み)に顔を歪ませながら目を白黒させ、ただ苦しむ。

 

さて。

 詳細などは後で付け加える予定として、今現在の状態を簡易的に説明すると『三月』は『精神』、『肉体』、そして『魂』という、『三つの要素』に分けられるモノで()()()()()

 

 過去の出来事によって元々は一つだったこの三つが『個体』として成り立ったことがあり、()()()()()()()も起きた。

 

 が、今ではほとんどが『魂』が主導権を握り、かつての『三月』という『個』に()()させていた。

 

 だが時にイタズラ好き、可憐、あるいはマセた『三月』はどこにも見当たらず、『ただ苦しむ(狂う)何か』がそこにあった。

 

 

 ___________

 

 ??? 視点

 ___________

 

 

 ザッザッザッザ!

 

 雛森とクルミは高スピードで大きな戦闘の跡や空間の歪みが残る地形を移動していた。

 

 前者は『瞬歩』を、後者は()()()()()()()ことでぐんぐんと虚夜宮の天蓋内を遥かに上回る速度で。

 

「『瞬歩』が使えるようになって良かったですね雛森さん。」

 

「うん、本当に不思議。 あの天蓋を出た瞬間に()()()()()()()()()なんて。」

 

「…………………………それで?」

 

「え?」

 

 雛森はクルミの問いに目をパチクリとする。

 

「とぼけないでください。 このまま行けば、いずれはチエと彼女が戦っている敵と遭遇します。」 

 

「………………」

 

「何か考えがあっての行動ですか?」

 

「………………分かりません。

 

 雛森は黙り込んだと思えば、『クルミに答える』というよりは『自分自身への疑問』を小声で言う。

 

 彼女がなぜ移動したのかは彼女自身も不思議に思っていた。

 

 気付けば『()()()()()()()()()()()()()』と言った、『小さな心の声』のようなものが彼女を動かしていた。

 

『戦いを見届ける』、あるいは『()()()()()()()()()()()()()()()』。

 または『井上織姫の安全を知れば敵を倒して、黒崎一護の援護に回れる』とそう自分に言い聞かせ、雛森は移動していた。

 

「ッ。 雛森さん、気を付けてください! ボクはここまでのようです────!」

 

「────え?!」

 

 キィィィィン!

 

 クルミが突然そういうと、彼女の体が光に包まれて消える。

 

「ええええええええ?!」

 

 やっと『雛森』らしい驚きの声を、彼女があげた。

 

 無理もない。

 何せ()が突然、光に包まれて消えたのだ。

 

 鬼道の禁術でもある『空間転移(くうかんてんい)』という単語が彼女の頭の中に浮かび上が────

 

 ────ズゥゥゥン!!!

 

「きゃあああああ?!」

 

 雛森の考えを、物理的な消音と衝撃が強引に遮る。

 

 前方から襲い掛かる爆風から顔を腕で覆い、彼女は必死にその向こう側を見ようと────

 

 ドスン。

 

「グッ。」

 

「きゃ?!」

 

 ────誰かがくぐもった声を出しながら、雛森にぶつかって来る。

 

 ドッ。

 

 そんな雛森たちの前に、ところどころに深い傷跡や生傷などが見えるスタークが上空から降りてくる。

 

「ん? テメェは────」

 

 グッ。

 

 雛森にぶつかって来た人がグッと彼女を後ろへと押す。

 

「────下がっていろ()。」

 

 ヌル。

 ベチャ。

 

「……え。」

 

 ヌルっとした、生暖かい感触と破ける音に雛森は戸惑いながら押された自分の胸を見る。

 

「え……これ……血────?」

 

 彼女が見たのはべっとりと血で手の跡と、死滅した皮膚の跡が付いた自分の死覇装。

 

 ドッ。ドッ。ドッ。ドッ。

 

『自分の心臓が飛び出るのではないか?』というほどに耳朶が心拍音で包まれ、雛森は見上げる。

 

「────あ、あああ……」

 

 チエの顔は酷い火傷のように黒く変質していて、左目の眼球が白く(にご)っていた。

 ボロボロの服装からところどころ露出した左半身の皮膚は赤黒く変色し、筋や筋肉がむき出しになっていた部分も見えた。

 

「気にするな桃。」

 

「でも……そんな()()()────!」

 

 雛森の言葉にチエの目が見開いて、ここで初めて感情らしい表情(驚き)で雛森に振り向いた。

 

「────まさか……()()()()()のか?」

 

()()()()じゃないですか?!」

 

「そう、か…………………気に病むな。 この目の前の若造(スターク)がワザと左半身を集中的に攻撃しているだけだ。」

 

「そんな────?!」

 

「────敵の弱った部分を攻撃するのは殺し合いの常識だぜ、嬢ちゃん? 文句は言わせねぇよ。」

 

「そういう訳だ。 下がっていろ────」

 

「────ああ。 別段、俺は構わないぜ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ()()()()()()()()()()()。」

 

 スタークが右の拳銃を撃ち、チエは一瞬だけ避ける為に足に力を入れるが躊躇して、雛森の手を強引に引っ張って彼女を虚閃の射線上から遠ざけてからチエも避ける。

 

 ジュッ!

 

「ッ。」

 

 虚閃の大部分を避けるが、ダメージを負ったらしい左足が体全体の動きに付いて来れず、スタークの攻撃がかすって彼女はくぐもった声をまた出す。

 

「虚閃。」

 

 だがスタークはすかさず虚閃を右の拳銃で更に打ち込む。

 

 そして射線上にはチエは勿論、驚きの顔をしたままの雛森も巻き込むような形だった。

 

 ガバッ!

 

「え、あ────」

「────我慢してくれ。」

 

 チエは桃を庇って、スタークの撃った『王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)』に押され、二人が戦っていた場所に残る空間の歪みの中へとなだれ込む。

 

「ったく。 今のところの有効打撃が『コレだけ』ってのは面倒くさいぜ────」

 

 スタークの『グータラ部分()』が思わず出て、彼も後を追うように空間の歪みの中へ駆け込む。

 

 するとどうだろうか?

 

「なんだ……こりゃあ?」

 

 スタークが思わず一瞬だけ、自分が戦っていたことを忘れさせるほどの景色が彼の目の前に広がっていた。

 

 そこは虚が虚圏から出る為の『黒腔(ガルガンタ)』を通る際に抜けるドス黒い霊圧がうごめく空間でも、死神が使う『断界(だんがい)』のようなジメジメとした煙だらけの空間でもなかった。

 

 彼の周りの無数の『歪み』などがあり、その向こう側では様々な景色がある空間に出ていた。

 

 正直に言うと『スターク(生物)の想像の範疇を超えていた』と言っても過言ではなく、彼もまさか『王虚の閃光』で作られた歪みの向こう側に、こんな場所が存在するとは思いもしていなかった。

 

「いや、今はそんなことはどうでもいい。 奴らはどこだ?」

 

 そして彼は見た。

 飛ばされていくチエと、彼女の腕の中の雛森はその一つの歪みへと落ちていくのを。

 

 ………

 ……

 …

 

 ギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギン!

 ガガガガガガガガガガガガガガ!

 

 金属と金属が激しくぶつかり合う音が響く。

 

「「折れろ折れろ折れろ折れろ折れろ折れろ折れろ折れろ折れろ折れろ折れろ折れろ折れろ折れろ折れろ折れろ折れろ折れろ折れろ折れろ折れろ折れろ折れろ折れろ折れろ折れろ折れろぉぉぉぉ!!!」」

 

 二人の似た者同士の男(ナルシスト)たちの叫びも響く。

 

「「(鼻の骨)と一緒に折れなさい(ちゃえ)!」」

 

 ギィン!

 

 綾瀬川とクールホーンが互いを押し返し、二人は大きく息を吸い込む。

 

 「なんだよ?! 『心と折れろ』って?! 吉良君以上に陰険だな、このブサイクゥゥゥゥゥゥ!

 

 「はぁぁぁぁ?! 誰よそれ?! あんたなんか『鼻の骨と一緒に折れろ』なんて表現が具体的でムカつくのよ、このブサイクゥゥゥゥゥ?!

 

 ギィン!

 

 「「誰がブサイクだこらぁぁぁぁぁ?!」」

 

 さっきからこの二人、この調子のやりとりである。

 

「さっきから『ブサイク』って連打しているあなたのほうがブサイクなんですよぉぉぉぉ?!」

 

「それなら君のほうが3回も『ブサイク』って多く言っているから君のほうがその分ブサイクだぁぁぁぁぁ!」

 

 バリィン!

 

「「?!」」

 

 綾瀬川とクールホーンの近くでガラスの割れるような音に、二人はそちらを向くと────

 

「ちょ、ええええええええ?! ななななななんで『虚圏(ホーム)』にいる筈の『第1十刃(プリメーラ)』がここにぃぃぃぃ?!」

 

「あれは確か……『隊長代理』と…………………雛森君か?!」

 

 互いのどうでもいい 重大な問題を棚に上げて、同じようにこの突然の出来事に注目する。

 

 やはり似た者同士である。

 

 ………

 ……

 …

 

 吉良は上を見上げ、『鳥人』と姿を変えたアビラマ見上げていた。

 

「ハハハハハ! 俺の『空戦鷲(アギラ)』の前では手も足も出ねぇだろ、吉良イヅル?!」

 

 吉良は苦戦していた。

 

『人』である彼に、『空を飛ぶ』という選択は取れない。

 

 霊力で足場を作って強引に空中戦へ持ち込んだとしても、恐らくはアビラマのほうが経験豊かなので一方的な戦いに成りえる。

 

『ならばどうする?』と彼は考えていた。

 

「破道の五十八、『闐嵐(てんらん)』。」

 

 吉良の構えから竜巻が誕生して、アビラマに襲い掛かる。

 

「効くか、こんなもの! 『餓翼連砲(デボラル・プルーマ)』!」

 

 彼は巨大な翼をはためかせて竜巻を消し、ビルの屋上から姿を消した吉良をあぶりだすために大量の羽を建物に乱れ撃つ。

 

 バリィン!

 

「そこかぁぁぁぁぁ!」

 

 吉良がビルの窓を割りながら飛び出たところにアビラマは胸に描かれた仮面紋に爪を突き立てて、羽を二枚から四枚に増やして吉良に特攻をかける。

 

 ビルの最上階が崩壊する中、アビラマは自分の羽を()()()()()()()()()()()で受け止めていたのを見て、ニヤリと笑みを浮かばせた。

 

「なんだぁ? 逃げられなかったのかよ? そんなに早く飛んだ覚えは────」

 

 ズン!

 

「────ぬわぁ?! な、なんだ?! 羽が……急に()()なりやがった?!」

 

「感謝するよ。 君の遠距離攻撃は、僕の刀の能力とはすこぶる相性が悪いからね。 僕は()()()()()()()()()()()()()()ずっと迷っていたところなんだ。 体から離れたモノを切っても()()()()()からね。」

 

「な……何をした、陰険野郎?!」

 

「『斬りつけたモノの重さを倍にする』。 僕の『侘助』の能力だ、すごく単純だろ?」

 

 吉良の言葉にアビラマが己の羽の重さが変化した理由が吉良の所為と結びつけて、()()()()()()()()()()()()()()()ことに怒りをあらわにする。

 

「て、テメェ……俺に小細工しやがって! それが『戦士の戦い方』かよ?!」

 

 アビラマの叫びに吉良が首をかしげる。

『よくわからない』と言いたいような仕草だった。

 

「『小細工』? 君は何か勘違いしているようだね。 『戦士の振る舞い(戦い方)』なんて、僕の理解の外だよ? 僕の隊ではこういう言葉が存在する。」

 

 吉良は一歩一歩、アビラマの近くへとゆったりとした動きで近づく。

 

 その姿は身動きが取れないアビラマにとって正しく、『鎌を持った死神』に見えた。

 

「『戦いは英雄的でも、爽快なものであってはならない。

 戦いは絶望で、陰惨なものでなくてはならない。

 それでこそ、人は戦いを恐れて避ける道を選択する。』」

 

 吉良が7の数字のような形状の刀の刃をアビラマの首にかける。

 

「僕の斬魄刀の『侘助』は斬りつけたモノの重さを増やし続けて、相手は必ず(こうべ)を差し出すかのような姿勢になる。 

 故に侘助』。」

 

「ま、待ってくれ!」

 

 アビラマ(死刑者)の命乞いに、吉良(処刑人)はただ冷たい視線を向けたまま、刀を強く引きながらとある『暑苦しい脳筋隊』たちを思い浮かべる。

 

「本当に『戦士』と自称するのなら、『命乞い』なんてするものじゃないよ。」

 

 ザッ!

 ドシャアァァァァ!

 

 血が噴水のように、アビラマの切断された首から噴き出す。

 

 ビュン!

 

 吉良は『侘助』に密着した血を払い落とす。

 

 ドウン!!!

 

 そこに何かが空から降って来たかのように、アビラマの特攻によって半壊したビルの屋上に落下する。

 

「グッ!」

 

「た、()()────!」

 

「────雛森君?! それに君は────?!」

 

「────ッ?! き、吉良君?!」

 

 落ちてきたのは痛みに目をつぶるチエと、どこか焦っているような雛森だった。

 

「ど、どうしたんだい?! いや、それよりも無事で良k────」

 

「────吉良君! ()()()()()()!」

 

「え?」

 

 さっきアビラマと対峙した冷たい吉良は跡形も消えて、いつもの『冴えないかつ雛森の前でドキドキする吉良』に戻っていた彼に、雛森は涙目になりながら必死の声で助けを乞う。

 

「ど、どういうことだい雛森君? い、いやそもそも彼女は────」

 

「────問題、ない。」

 

 チエが立ち上がって、その場を後にしようとする。

 

「ぬ。」

 

 だが彼女はふらついて雛森が支える。

 

「………………」

 

 吉良と言えば混乱していた。

 

 彼は別にチエとは面識が特にある訳でも無い。

 せいぜい『同じ隊長代理で総隊長(山本元柳斎)の知人』という認識だった。

 後は『雛森(君)がよく付き人とする人』ぐらいだった。

 

 彼女が『隊長代理』を辞任した時までは。*2

 

 そこから彼はチエの事を『身勝手な、周りを振り回す奴』と、現在の五番隊を見るまでは思っていた。

 

 五番隊は『隊長代理』や副隊長がいなくとも、席官たちである平塚、櫃宮、田沼たちが隊長各業務を、他の隊士たちは隊の通常業務を円滑にこなしていた。

 

 吉良が所属している三番隊よりは遥かにマシな統率力がそこにあった。

 気になった吉良は平塚達にコツを聞きに行くとカリンとチエが短時間で成した所業の数々を直に聞いて、認識を改めていて『隊長代理』からの辞任の理由を彼はふと思い浮かべたそうな。

 

『もしかして防衛線を決め込んだ護廷に所属したまま雛森君を救出しに行ったら隊や特権まで使ってまで彼女を急遽“隊長代理”へ就かせた総隊長に迷惑がかかるからではないか?』と。

 

「…………………」

 

『周りの負担にならないよう、前もって行動を自ら起こす』。

 

 そんな彼女(チエ)に、吉良はどこか親近感(しんきんかん)を多少持った。

 

「まさか、()()か何かの類を使っているのか?」

 

「………………」

 

 吉良の言葉にチエは一瞬だけちらりと彼と雛森を見て、この行為が吉良には肯定するかのように感じ取る。

 

「ッ! 縛道の二十六、『曲光(きょっこう)・改』! 縛道の七十三、『倒山晶(とうざんしょう)』!」

 

 雛森は上空に何かを見たのか、素早く二つの鬼道を発動させて姿と鬼道維持の為の()()()()()

 

「ひ、雛森君?! これはいったい────?!」

 

 ズッ。

 

「────ッ!!! (な、なんだこの……重苦しい霊圧はッッッ?!)」

 

 吉良が二重にかけた鬼道とその()()()に気を取られていたが、急に上から襲い掛かる霊圧に黙り込む。

 

 ジワリと体中からにじみ出る汗の中、彼は霊圧の出どころ先を見上げると奇妙な男が周りを見渡していた。

 

 男は『暑苦しい脳筋隊たちの(かしら)』を思いさせるような眼帯と、首の周りや腕と足に毛皮を巻いたような、奇妙な服装をしていた。

 

狩人(かりうど)』、または西洋式で『ハンター』と呼ばれる者のイメージを、男は吉良に思わせていた。

 

「雛────ング?! (え? これは……雛森君の手、柔らか────)」

 

 吉良は自分の口を、雛森の柔らかい手が無理やり塞いだことに目を白黒させたが、雛森は恐怖の形相のまま空中で周りを見渡す男をジッと見ていた。

 

 吉良と同じく、自分の口も防ぎながら。

 

 ズズゥゥゥゥゥン…

 

「ん?」

 

 男は地鳴りの方向を見て、吉良もつられて見ると偽・空座町の西側に立っていた筈の『転界結柱(てんかいけっちゅう)』の一柱が崩れていくのを目撃する。

 

「(────あっちは一角の担当していた柱、やられたのか?!)」

 

「…………なるほど、そういう────」

 

 ギィィィィィィン!

 

「────ことか。」

 

 (スターク)がどこか納得したような顔と言葉を出しながら、突然背後に現れた京楽の攻撃を拳銃でいなす。

 

「いやー、やるねぇ♪」

 

「アンタも『強者』か?」

 

「さぁてね────」

 

「────じゃあ邪魔するな────」

 

 ドウ!

 

 急にスタークがもう一つの拳銃で虚閃を京楽に向けて撃つ。

 

「────って掛け声無しかい?!」

 

 ヒュッ!

 

「フー、危ない危ない。 着物を汚すところだったよぉ。」

 

「……………………………面倒くせぇ。」

 

 そして今のわずかなやり取りでスタークは神経を集中することに変えた。

 

 ほぼゼロ距離の近距離虚閃を躱した京楽に。

 

 そして少しすると巨大な鎧武者らしきモノが遠く表れて、破面らしきノッポをその巨大な刀で粉砕する。

 

「(あれは狛村隊長の『黒縄天譴明王(こくじょうてんげんみょうおう)』? なら大丈夫かな、一応。)」

 

 まるで狛村が動いたことが合図だったように、周りが一気に本格的な前面衝突の戦いが残った破面たちと護廷の隊長各たちの間で起き始める。

 

『合図』と言っても、バラガンが連れてきた精鋭隊の従属官たちが倒されたので実質的には衝突は起きていたが。

 

「そこを退いてくれねぇか? 俺はアンタと戦うつもりはねぇ。」

 

 スタークの問いに京楽が苦笑いを浮かべる。

 

「う~~~~~~ん……オジサン、普通なら同意するんだけどねぇ~? あっちの怖~い()()に釘刺されちゃってんの。 だから僕の提案なんだけど、このまま二人で戦いが終わるのを仲良く見てちゃダメかなぁ~? ……なんて。」

 

()()()()()()だ。 ハナっからそのつもりが()ぇくせに────」

 

「「────ッ────!!!」」

 

「────こうして俺の気を引こうってしてる時点で丸わかりなんだよ。」

 

 ドウゥゥゥゥ!

 

 スタークはさらに背後に忍び寄っていた浮竹の方向に虚閃を撃つ。

 

 が、やはり浮竹も京楽のようにこれを避けて二人は視線をスタークに向けたまま互いに話しかける。

 

「やはり総隊長の言ったとおりだな。」

 

「ねぇ~。 山じいってばヨボヨボのフリしてる割にカンが超~鋭いのよ。 そのせいでなんど熱湯を学院時代で飲まされたか。」

 

「いや、それはお前が右之助殿と一緒に床に鏡やら『まじっくみらー』というモノを仕掛け────」

 

「────今は仕事中だよん、浮竹♪」

 

 「お前がこの話を振って来たんじゃないか?!」

 

「『今日は空が青―いー♪』」

 

「クッ! 今日の分の胃薬を飲んだ今を狙って!」

 

 それを最後に、三人はほぼ同時にその場から場所を移す。

 

 始めはスタークが動き、それにつられて京楽と浮竹が彼を追うかのように。

 

「「………………………………ブハァー!!! スゥゥゥゥゥ!」」

 

 その間も、雛森と吉良は止めていた息を出して大きく新鮮な酸素を取り込む。

 

「でもさすがは雛森君だ。 こんな組み合わせに鬼道の改造なんて────」

 

「────二人ともに、()()()()事がある。」

 

「「え。」」

 

 ずっと黙っていたチエがここで口を開けて、彼女の言葉に雛森と吉良が呆然とする。

 

「私を────」

 

 そしてチエの頼みに二人が困惑する事となる。

*1
82話

*2
69話より




作者:う、うーん……文章プレビューが上手く働いていないぞ? フォントが反映されていないっぽい?

アーチャー(天の刃待たれ体):何をいまさら。 だからこうやって何度も読んでは誤字修正しているではないか?

作者:でも読者たちの迷惑になるんじゃ────?

アーチャー(天の刃待たれ体): ────『やろう』と『実際にやる』のとは違うからな?

作者:あらやだカッコイイ。

弥生(天の刃待たれ体): 当たり前じゃない! 私の次郎なんだから! (ドヤァ

アーチャー(天の刃待たれ体):………………………………………………………………………………………………………………………………………………

作者:お、服と同じ赤だ。

弥生(天の刃待たれ体):というかこっちの私って大変ねぇ~

作者:と、無意識にフラグを立てる弥生なのだった

弥生(天の刃待たれ体): え?! ちょい待って?!
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