新学年になったことによるゴタゴタが落ち着くまで少し時間が必要でしたが、ようやく落ち着いたので投稿再開出来そうです。
靈夢や魔理沙とドンパチやったり、アリスと色々した(意味深)あの日から1ヶ月。
「ア゛~」
──俺は腐っていた。
いや仕方ないやん。ようやく、永い時を経て原作の主人公達と会うことが出来たんだから。しかもめっちゃ楽しかったしなぁ、アイツらと戦うの。あー、やる気が起きない……何もかもやりたくない……このままベッドと1つになるぅ……。
「神綺様。お客様がお見えでございます」
えー、誰だよ……。俺に会いに来るやつなんて、誰かいたっけ?
「……誰だ?一体何の用だ」
「
「へカーティアか。なに、友との友情を深めるのは大事なことだからな。気にするな」
なんだ、へカーティアだったのか。彼女は永く生きた者特有の自分勝手な嫌いがあるものの、親友である俺や魔界に危害を加えるような存在ではないからな。一安心一安心っと。
「それじゃ、行くか」
「……あの、神綺様」
「ん、なんだ?」
「その……着替えはして下さいね?」
「……あ」
寝間着のままだったの忘れてた✩
「よし、んじゃ行ってくるわ」
「はい、行ってらっしゃいませ」
着替え終わり、へカーティアの所へと向かう神綺。
彼女の背中を眺めながら夢子は思う。
(何故……アレを、へカーティアを親友と呼べるの?)
仲が良いのは理解している。どちらも卓越した力を持っているからなのか、それともウマが合ったのかはイマイチよく分からないが、普段から仲良く話している姿をよく見かける。
だが違う。夢子が言いたいのはそんなことではないのだ。
──なにせ、へカーティアはかつて神綺と夢子、そして魔界に住む全ての魔界人達を虐殺しようとしたのだから。
当然、夢子は激昂した。そんな理由で自分が、主が、命を狙われてたまるか、と。
結果として神綺が勝利し、直接的な被害こそ受けなかったものの──だからと言って仲良くなれるかといったら無理に決まってる。
『私と友達になってくれないかしら?』
へカーティアの発した言葉を聞いた時、夢子は己の耳を疑ったものだ。
自分が殺そうとした相手に、どうしてそんなことを言える!
ふざけるな!──そう夢子は吠えた。
しかし、主は友達になった。なってしまった。この瞬間から、夢子にとってへカーティアは『敵』から主の友人という立場になってしまったのだ。
魔界人にとって神綺は絶対。なればこそ、その友人たるへカーティアも敬わなければならない。
思わず唇をかみしめて、血が流れる。
「へカーティアは……」
悪いやつではないのだ。決して悪意を持っている訳では無い。
ただ、持つ力の総量が多すぎるからこそ、自らの行動が及ぼす影響を予測しきれないだけなのだ。
それは分かっている。それでも、この屈辱は如何ともし難い。
「……お茶を出す用意をしないと」
へカーティアと会いたくはないが、もてなさない訳にはいかない。
相反する二つの思いを胸に、夢子は深く溜め息を吐いた。
(どうか、二度と
地獄の女神──へカーティア・ラピスラズリ──は、魔界に訪問していた。
その目的は、
本来、神綺と会うには、へカーティアは格が足りない。魔界のトップである神綺と理由無しに会うことは、地獄のNo.3であるへカーティアでは不可能なのだ。
そこで、彼女は理由は会うための理由を無理やり作り出した。『別の世界から侵略を受けた魔界の様子を確認する』という理由を。
「すまん、へカーティア。少し遅れた」
「もう、遅いわよ」
へカーティアは、遅れて来た神綺に対し悪態をつく。しかし、その言葉とは裏腹に、思わず口元が緩んでしまう。
「積もる話も色々あるが……とりあえず、久しぶりだな」
「えぇ、そうね。──何年ぶりくらいかしらん?」
「さぁな。永く生きすぎて、もう分からないな」
はは、と小さく笑う神綺の笑顔には、長命な者によく現れる諦観の色は見えなかった。
「ところで、その服……ホントにいつもその服で生活してるのか?」
「え?当たり前でしょう?」
そう答えるへカーティアは、『Welcome♡Hell』と書かれた黒のTシャツに、色とりどりのスカートを履き、頭と両手の上に地球、月、異界をモチーフにした球体を乗せている。
その姿は、お世辞にも普通の格好とは言えなかった。
「なぁ、言っちゃ悪いがその格好……変だぞ?」
「あら?でも、部下達は似合ってるって言ってくれるわよ?」
「おう、そうだな。部下が上司に本音を言うかを念頭に、少し考えてみてくれ」
似合ってないのかしらこの格好、と呟く。
しばらく、他愛も無い話を続けた。久しぶりに会った2人の会話は弾み、笑顔も溢れていた。
「ははは!それは面白い……ん、入っていいぞー」
「失礼します」
その中途、夢子が紅茶を持ってくる。慣れた手つきで2人の目の前にカップを置き始めた。
「あら、ありがとう……ねぇ、夢子ちゃんでいいのよね。私と友達にならない?」
「いえ、それには及びません。私は神綺様の従者であります故に」
「むぅ……」
さりげなく拒否され不貞腐れるへカーティアを尻目に、夢子は退出する。
「では、失礼しました」
彼女が出ていき、しばらく沈黙が支配する。
「ははっ。……へカーティア、お前嫌われてるなぁ」
「──まぁ仕方ないわよん。私がしたことを考えれば、ね」
へカーティアは己がしでかしてしまったことをしっかり理解していた。それこそ誰よりも。あの日の、あの行動を後悔しなかった時は無い。
ふと、気になったことがある。
(なんで彼女は、神綺は私と友達になってくれたのかしら)
へカーティアは傲慢不遜のように見られるが、その実意外と繊細なのである。加えて彼女は、気になったことは聞かないと気が済まないタイプでもあった。
「ねぇ、なんで……」
「ん?」
「なんで、私と友達になってくれたのかしら?」
紅茶を飲んでいる時に急にそのようなことを言われ、神綺は一瞬きょとんとしたがその後直ぐに破顔した。
「ブッ、ハハハハハハ!」
「ちょ、どこがおかしいのよ」
「いやぁ、すまんすまん。お前がそんなことを言うとは思わなくてだな、ハハハ!」
「失敬な。私だって悩むことくらいあるわよ」
「そうだな……うん。私は──なんでなんだろうな?……てかさ、そもそも友達になるって、ハッキリとした理由なんて無くても良くないか?何となく気が合うとか、一緒にいると落ち着くとか……そんな、ありふれた理由っぽいなにか──があれば十分な気がするけどな」
(……確かに)
神綺が言った答えに、納得したへカーティア。
確かに、自分も特別な考えがあって神綺と友達になった訳では無い。
ただ何となくである。何となく仲良くなりたいと思ったのだ。
(しかし、あの事件を私が起こした後に友達になるとか……)
彼女自ら、魔界に侵攻したあの事件。その後に仲良くなった親友を見て言う。
「……ホント、狂ってるわよね」
「ん、何がだ?」
「自分を殺そうとした相手と友達になるとか、頭おかしいでしょ」
それは、聞く人によっては怒り狂うような暴言。しかし、神綺はその言葉の意味をハッキリ理解していた。
深く頷き、答える。
「そうだな……でも、殺そうとした相手に向かって、友達にならない?と言ったお前も中々狂ってると思うけどな?」
「ふふっ……それもそうね」
「そもそも、こんな長く生きてて頭おかしくなかったら、そっちの方がヤバいだろ」
「確かにそうね。……ん?」
と、ここでへカーティアの方から音が鳴り響く。
「あー、地獄からの連絡かしら?ちょっと待ってて。……もしもし、ピース?……え?ホント?じゃあ今から帰るわ。……ごめん神綺。私、帰らないといけなくなっちゃったわ」
律儀に謝るへカーティア。自分から訪問したのに勝手に帰ってしまうことに、申し訳なさを感じてしまう。
「そうか。もう少し話したかったが仕方ない。──じゃあ、最後に聞くが……私以外の友達は出来たか?」
神綺は、自分以外に友が存在しないへカーティアを酷く心配していた。その強すぎる力が故に、他人と仲良くなれない彼女を。
「大丈夫、出来たわよ……あなたにも、後で紹介するわね」
「ん、そうか……良かったな」
「心配してくれてありがとうね。それじゃ、帰るわ」
「あぁ。またな」
部屋を退出するへカーティアを見送った後、彼女に出されたティーカップを見る。
「そんなに夢子と仲良くなりたかったのか?紅茶を出されてからそこまで時間がなかったのに……」
そのカップは、既に空であった。
決して適わぬ親友の願いがそこに表れているのを知り、神綺は呆れたように肩をすくめた。
感想、評価等でモチベが上がるので、どうかよろしくお願いします!(乞食並感)