魔界神様への転生   作:ツィール

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これ出したら、吸血鬼異変終わるまで書き貯めします……


Ⅲ:とっても大人なけーね先生

幻想郷で生活する為に必要な事と言ったら何だ?

食料?違う。神である俺にとって、食べ物はただの嗜好品。娯楽であり、煙草や酒と変わらない。

衣服?違う。別にこの一着だけでも十分だし、そもそも同じ服など幾らでも創れる。

 

ならば何か。そう、住居だ。

 

住居が無いということは、野宿をしなければならない。俺にとってそれは、何よりも嫌なことの一つだ。

実は昔、野宿をしてみたことがあるのだが……虫は寄ってくるわ、寝心地は悪いわで、とてもじゃないが出来るものではなかった。

 

ということで、3分クッキングならぬ3時間ビルディングのお時間です!

場所は人里の近くの平原!用意するのは、『創造(クレアール)』だけ!材料は不要です!

……うーんこのチート。でも使っちゃう、便利だもの。便利なものを手放すことは不可能だって、はっきりわかんだね。

 

創造(クレアール)、起動。……第一門(アン・トーア)(ガイア)解放(リベレイト)──完了(コンプリート)

 

大地司る神の御業(ヨルズ)

 

ヌゥゥゥゥゥゥンン!!ハァァァァァ!!(大迫真)

……まじで!いやまじで!厨二臭すぎ!ホント恨むわ昔の俺。

確かに技名発声しなくても発動自体は出来るんだけど、効果落ちちゃうし。流石に技名言わないで家を建築出来るかは分からないからな。

 

さぁ、回復したし早速創っていこうか。

どういう風に創ろうかな……和風か洋風か……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──少女建築中──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、出来た……」

 

開始からきっかり3時間後。何とか完成させることが出来た。

一言で表すなら『白』とでも言うべきだろうか。とにかく真っ白な家であった。

外観的には、軽井沢の別荘とかにありそうな感じの家にした。

全体的に洋風で創ったのは、俺自身が和風より洋風の方が好きだからだ。日本人でも洋風好きは多いし、仕方ないよね。

内観も、しっかり家具類は創造してある。建築家にでも見せたら鼻で笑われそうな家だが、まぁ良く出来たんじゃないのかと思う。

 

早速、部屋のソファで寝っ転がる。普段魔界でこんなこと出来なかったから、なんか久しぶりだわ。あー、なんか眠く……なって……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小鳥の囀りが聞こえる。カーテンの隙間から光が差し込み、俺を起こそうとしてくる。

ソファから身を起こし、身体を伸ばす。

 

「うぅーっ」

 

……どうやら寝てしまっていた様だ。色々な出来事が一度に起こりすぎて、疲れてしまっていたのかもしれない。またソファに倒れてそのまま二度寝したい衝動に駆られるが、鋼の精神で踏みとどまる。

さて、このままここでゆっくり暮らす……というわけには行かないだろう。そもそも原作介入する為に幻想郷に来たのに、ゆっくりしてたらいつの間にか原作始まってましたではお笑い草だ。

 

と、思案していたところ。

 

「おや?」

 

小さく二回、ノックの音が聞こえた。誰だろうな?とぼやきながら玄関を開くと。

何故かボロボロになっているスキマ妖怪さんが、笑顔を浮かべながら立っていた。しかし、彼女の後ろに般若が見える気がするのは気の所為か。

 

「こんにちは」

「あぁ、こんにちはだ。……一体、何の用だ?」

「勝手に建てたわね?この建物。ここは人里の近くだから、こう一夜にして建物が立つと、騒ぎが起きるのよ。やれ妖怪の仕業だ、やれ恐ろしいとね」

「……確かにそうだな。次は報告するようにしよう」

「そうして頂戴。説明するの大変なんだから。他の所ならともかく、人里の近くでは騒ぎすぎてはダメよ」

 

怒られちゃった☆

ゆかりんは正論で殴ってくるタイプやな……頭も良いし、正直敵対したくないわ。

力はこっちの方があるけど、どんなことをされるか分からない恐怖は余り馬鹿にならない。

あ、そういえばだ。

 

「なぁ、紫」

「何かしら?」

「幻想郷の地図とか無いのか?」

 

地図は欲しいよな、正直。求聞史紀に書いてなかったことを考えると望み薄ではあるが、もしあるなら是非入手しておきたい。前世の知識だけじゃそれぞれの場所の具体的な位置までは分からなかったからな。

 

「あるにはあるんだけど……」

「お?本当か」

「えぇ。けど、今は人里にあるのよね……自分で取ってきてくれない?」

 

これゆかりんサボりたいだけでしょ。まぁこっちが我儘言ってるんだし文句はいけないよな、うん。

 

「分かった。じゃあ、直ぐに行動するとしよう」

「頑張ってねー。人里の守護者に話はつけておくから、多分大丈夫だと思うわよ」

 

そう言ったゆかりんは、スキマの中へと消えていった。

そのスキマで連れて行ってくれればいいのに……(贅沢)

てか、人里の守護者……?あっ、けーね先生こと上白沢慧音か。

彼女は真面目だからな……ゆかりんと相性悪そー。

ま、良いかー。人里の場所は既に知っているから、今すぐ行こうかー。

 

 

 

 

はい着いた。ここまでの道のりはカットね、需要ないでしょ?

別に歩いてくるだけだったしね。余程の物好きでない限りは、そんなもの聞きたくないはず。

さてと、どうやって入ればいいのかな?このまま入ったら騒ぎになりそうだし。

またゆかりんに怒られちゃ~う☆

 

「む、お前が例の……」

 

出たァ(某ネコ型ロボット並感)

我らが先生、けーね先生!凛とした表情がよく似合う、銀髪の女性だ。

寺子屋で人里の子ども達に勉強を教えているのだが。堅苦しい授業が祟ってか、余り人気が無い先生だ。阿求にすら「私の方がもっと良い授業出来る(意訳)」と言われてしまう始末。可哀想……。

 

「あぁ、妖怪の賢者から話は聞いている。お前が神綺とやらだな?私は上白沢慧音。半分人間、半分獣人。ワーハクタクだ」

「なるほど。──では、知っているだろうが改めて。私の名は神綺、魔界の神だ」

 

そう言うと同時、彼女の目が限界まで見開かれる。

あれ、なんか地雷踏んだ?

 

「神、だと?……聞いてないぞ、あのスキマ妖怪め

 

やっべ、まじ?じゃあ言う必要無かったなこれ。

神だから人里入れないとかないよね?オナシャス!センセンシャル!

 

「ん、大丈夫だ。神でも、別に人里に入ることは出来る」

「そうか。それは有難い」

 

セェェェフ!ん、あれ?何でこんな必死になってんだろ……?大体ゆかりんのせいじゃね?処す?処す?

 

「ただ、用が済んだら直ぐに出ていってくれないか。人里は余所者に厳しくてな、ましてやそれが神となると……非常に虫のいい話ではあるが、頼む」

「……いや、入れてくれるだけで十分さ」

 

──これは当然の処置だろう。

人里の人間からすれば、神という存在は力の象徴だ。人間が定めた道理すら容易く捻じ曲げ、簡単に奇跡と呼ばれる現象を引き起こしてしまう。

そのような存在が人里に入る。即ちそれは、核爆弾のスイッチを握る者が人里の中に紛れ込むことに等しい。

だから慧音の対応は至極真っ当だ。寧ろ門前払いされなかっただけ有難いと思うべきだろう。

 

「そうか、そう言ってくれると助かる。──では、行こうか。手短に済ませてしまおう」

 

彼女の言葉を皮切りに進み始める俺達。

人里の中はとても賑やかだった。喧騒の声が響き渡り、昼から酒を飲んでいる者も多い。

だが、俺が近づいた途端に静まりかえる。やはり余所者は冷遇される傾向にあるのか……悲しいなぁ。

 

「……すまないな」

 

と、唐突に話しかけてくる慧音。

 

「何がだ?」

「こうなると分かっていてお前を里に入れたことだ。私が地図を持ってくれば良かったというのに、私は……」

「それは違う。私が、地図を手に入れる為に来たのだ。だから私が行くべきであり、慧音がそれを気に病む必要は全く無い」

 

下を向いていた慧音は、ハッとしたように顔を上げる。

しかし、彼女は本当に真面目だ。全く言う必要が無いことまで言ってしまうのは、さぞかし生きづらいだろうに。

だが、嫌いではない。

 

「そうか……」

 

再びの沈黙。だが、辛くはない。何だか妙に心地良い。

コツコツと、地面を蹴る音のみが響く。

 

「着いたぞ。ここに置いてある」

 

慧音がそう言い指を差した先には、和風の建物が。

ここが寺子屋か……?地図がここにあるのか、なんか慧音先生らしい置き場だな。

 

「あ、けーねせんせーだ!」

「けーねせんせい、わかんないとこあるんだけどおしえてくれねーか!」

「せんせー、そのひとだれ?」

 

中に入ると、沢山の子ども達が慧音を出迎えるかの様に騒ぎ出す。

というか、なんだ。慧音、全然好かれてるじゃん!誰だよ、人気が無いとか言ったやつ!(俺)

 

「ハイハイ、お前達、落ち着け。今日は自習と言っただろう。大人しくしないと……」

「ずつきこわーい」

「けーねせんせいのずつきいたいからやだー」

 

けーね先生の頭突きはもはや観光名所(?)

俺も食らってみたいけど痛いのも嫌だからなんとも言えん……。

 

「全く、ほら行くぞ神綺」

「分かった」

 

擦り寄ってくる子ども達を引き剥がしながら向かうは慧音の部屋。

少し歩けば、直ぐに着いた。

 

「ここが私の部屋だ。……さてと、どこにあったかな?」

 

慧音は部屋を漁る。彼女の部屋は綺麗に整頓されていた。

なので必然、直ぐに発見出来る。

 

「あぁ、あったあった。はい」

「ありがとう、慧音」

 

チラッと見ると、その地図はかなり詳しく書かれている。

一体誰が書いたのかは分からないが。

 

「さて、これで大丈夫だよな?」

「もちろん。助かった」

「じゃあ」

「あぁ、直ぐに出ていくさ」

 

そう言うと、俺は彼女に背を向け、部屋を出ようとする。

 

「……神綺!」

「……私は!もし人里が人外に慣れることが出来たのなら──お前を歓迎しよう!」

「またな!」

 

……そうか。やはり慧音は良い奴だ。

俺は振り返らない。ただ静かに、彼女に向かって右手を振った。

 

 

 

 

 

「さて、どこに行こうか」

 

人里から出た後、俺はそう言った。だが、既に行き先は決まっている。

アリスが住む、魔法の森だ。

 

 

 

 




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