私の中のイメージを勝手にノベライズしています。
解釈違いの方はそっとブラバしてください。
ご本人様はVTuberとしてSpoonにて朗読配信を行われています。
主に応募されて来た小説を光のカワボで読み上げる配信です。
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これはただの
人々の間で語られる、ただの噂話の一つである。
人気のない荒地。草木も生えぬその場所に、向かい合う男女の姿。
男、黒髪を後ろで纏め、時代錯誤な着流しを纏い、その手には光を鈍く反射する太刀。
女、水色の髪に花飾り、和風ロリータの服を着て、こちらも手には不似合いな太刀。
向かい合い、笑い合う。旧知の仲では無かろうと、思い描くは唯一つ。
故にこの場に来たりては、未だ言葉も交わさずに。
さて。男が、口を開く。
「拙者は屋良上 茂厄
よくも分からぬ語り口。しかし男はなお語る。
「そちらの名を尋ねたい。どちらも退けぬ立ち会いならば、知っておくのが義理人情ぞ」
女、その言葉に対し、
「オイラは『さなゆき』こと、
「抜かしおる。悔いはなかろうな?」
「元より覚悟は決めております!」
「では、尋常に!」
「はい。推して参ります!」
先に動くは女。淀みない足運びで間合いに入り、小手調べとばかりに太刀を振る。
それに合わせて太刀合わせ、鍔迫り合いにて男は笑う。
「女の割に、力が強いな」
「オイラも鍛えております故に」
「ほう。ならば、これはどうか!」
刀を弾き、横薙ぎ一閃。
しかしその場に女は居らず。見るとこの地を這うように、屈み込み行く女の姿。
身を捻り、振り上げられるは銀の太刀。まるで素早い
男、太刀を下げ受ける。しかして、その太刀は真上に弾かれた。
薄皮を削ぎ、鮮血が散る。
「ぬぅっ!?」
呻き、大上段からの斬り下し。しかし、太刀は女を捉えることなく、刹那の見切りで躱される。
くるりと回り、舞うように。太刀を振るうは少女の如く、まるで花摘む
男、刀を立てて受け、返しとばかりに蹴り放つ。
女、素早く身を躱す。生まれた隙を逃さずに、ひらりと切り込むその刀を。
それを受け、男が不意に破顔する。
「ふっ……やりおる。だが、まだよ!」
「ははは! なんの、これからよ!」
笑い合う男と女。閃き逢うは銀の太刀筋。
受け、躱し、そして、笑う。
戯れあう子供の遊戯のように。
岩をも砕く男の剛剣。
ひらひらと舞う女の妙剣。
さても正しき立ち会いなれど。
やがては消えるその命。
「ふはは! 強いな!」
「そちらこそ! 血が騒ぎます!」
何度目の鍔迫り合いか。
顔を近付け笑い合う。
「しかし、終わらせねばなるまい」
「然り。ならば、我が最強の一太刀にて!」
「拙者もそれに応えよう!」
間合いを離し、再びその場で睨み合う。
研ぎ澄まされるは獣の如し。両の眼にあるは強き意志。
「屋良上流、奥義。屋良上
男、踏み込み、切り払う。紫電の如きその太刀を。
「――真田流、壱の太刀。
女、踏み込み、太刀を上げ。その塚元を叩きつける。
刹那。男の太刀は折れ、女、刀を振り被る。
その目に宿すは、強き意志。
「ふは! 見事!」
男の身に、銀閃一つ。そしてその場に崩れ落つ、力の抜けた着流し姿。
しかして。血飛沫は無く。
「げほっ……まさか、峰打ちとは……」
「オイラの剣は活殺剣。いまだに一人も殺してません。それが、信条なので」
「ふ、はは。見事なり、真田裕希!」
「また機会があれば
刀を鞘に仕舞いつつ、浮かぶ笑顔は美しく。
一つ身を折り礼を告げ、そして去り行く剣士が一人。
これはただの
人々の間で語られる、ただの噂話の一つである。
さなゆきさんはサムライ。異論は認めます。
屋良上 茂厄
やらうえ ものやく
やらーれものやく
やられ者役……