私の中のイメージを勝手にノベライズしています。
解釈違いの方はそっとブラバしてください。
ご本人様はVTuberとしてSpoonにて朗読配信を行われています。
主に応募されて来た小説や掌編を深く優しい闇のカワボで読み上げる配信です。
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これはただの
人々の間で語られる、ただの噂話の一つである。
宵闇に隠れるかのように、少女は路を歩いていた。
グレーのスーツに黒のワイシャツ。茶色がかった髪は闇夜に溶け、落ち着く色合いを醸し出している。
どこにでも居るような外見。しかし、瞳の色は暁のような真紅に染まっていた。
行く宛てがある訳でもない。ただ、待っているだけ。
暗がり。照明も疎らな路を、柔らかな歩調で静かに歩いていく。
周囲に人影は無い。しかし。
「お。でたでた」
ずるり、と闇の中から這い出でる者たちが居た。
頭からつま先まで黒い。顔すら視認できないような姿。
人型をしているが、それら全てが同じ形だ。
手にはアサルトライフル。近代的なそれは、影たちには酷く不釣り合いに見えた。
「今日はー。ひーふーみー……20人ですか。まぁまぁですね」
ジャケットの内側に両手を入れ、獲物を取り出す。
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グロック19。少女の手には少し大きめなそれは、しかし彼女が握っていることに全く違和感が無い。
通常の物に比べ、銃底が少し厚めに作られているようだ。
彼女が拳銃を手にするや否や、影たちは一斉にアサルトライフルを構えた。
吐き出される銃弾。連続した雷のような激音。闇を切り裂くような
しかし。その銃弾の進む先に、既に少女の姿は無かった。
月光を遮られ、影たちが空を仰ぐ。
そこには、逆さまになって拳銃を構える紅い瞳の少女の姿。
発砲。連続して撃ち込まれた銃弾は影を二人撃ち抜く。
どろりと闇の中に消えていく残骸。その上に着地し、少女はニコリと微笑んだ。
「さて、
自身を抱き締めるかのように交差させた腕。同時に左右に向かって射撃。銃声が響く中、溶けゆく影を気にも止めず、少女は踊る。
くるり、横に回って銃撃を躱し。
くるり、地を回って銃弾を避け。
両手を前に伸ばし、発砲。二人の影の頭を狙い違わず撃ち抜き、しかし、止まらない。
身を屈めて射線から逸れ、手近な影に足払い。体勢を崩したところに
次いで跳躍。紙一重で弾丸の雨を避け、逆に頭上から連射。一体を倒し、電柱を蹴りつけて落下軌道を変えながら着地。即座に駆ける。一瞬前までいた場所を銃弾が通り過ぎようとお構い無しに、笑う。
「あはは。いいね、もっと踊ろうか!」
近接。左の銃底で敵の頭を打ち据え、右の拳銃は別の人影を撃ち穿く。くるり。遠心力を得た回し蹴り。刹那に遅れて放たれた銃弾は違う個体を射抜いた。
再び屈み込む。足を前後に開いて深く、沈み込む。頭上を掠める弾丸。構いもせず、両手を地について足を振り回しながら跳ねる。その勢いを借り、身を捻りながら周囲へ銃撃戦。人影が、次々と消えていく。
「おっと。やっと出てきたか」
そして少女の眼前に、他の影より大きな一つの人影が立ちはだかった。
両手には少女と同じく拳銃。それを躊躇いもなく彼女に向けた。
発砲。しかし、その銃口は少女の繰り出した銃底によって逸らされていた。更に伸ばされた拳銃を銃底で弾き、回る。遠心力を載せた肘打ち。それが影のコメカミに突き刺さり、一瞬動きを止める。更に回り、腕を自身に巻き付けて背中越しに発砲。目も向けずに放たれた銃弾は影の腹部へと吸い込まれて行った。
「これで――」
くるりと横回転。下から顎を蹴り上げ、その勢いのままバク転。ふらつく影に向け、両手を伸ばす。
「――
最後の人影は頭を撃ち抜かれ、やがて闇の中へと消えていった。
事を成し終えた少女はポケットからスマホを取り出し、ショートメッセージを送信する。
『任務完了。これより帰還します』
拳銃を懐に仕舞い、少女は来た時と同じく柔らかな歩調で帰路に着いた。
少女の名は「萩月ヱリカ」
『闇夜に歌う紅い月』と呼ばれる、怪異専門の殺し屋。
彼女の軽い足取りと共に、今日も夜は更けていく。
これはただの
人々の間で語られる、ただの噂話の一つである。
いや、質問したら銃が好きって聞いたので……