魔法少女リリカルなのは~傲慢と呼ばれた男の物語~ 作:xxxSUZAKU
楽しんでいただけたら嬉しいです。
-放課後ー
午後の授業も終わり、俺は三人と分かれて一人商店街を目指していた。あいつらは今日は塾がある日らしい。そもそも俺は普通の人間よりも遥かに長い時間生きているため、塾に行く必要がない。それに、一人暮らしだから炊事・家事・掃除を一人でこなさなきゃいけない。主夫には時間がないのだ。
そうこうしている内に商店街についた。今日の夕飯の食材を買うためだ。さて、何が安いかな・・・。
「おや、梓くんじゃないかい。今日もおつかい?えらいね~。今日は豚肉が安いよ。」
「おう、梓じゃなねぇか!今日はいいイサキが手に入ったんだ。安くしとくぜ。」
肉屋のおばちゃんと、魚屋のおっちゃんが声をかけてきた。俺はすっかりここの常連で、買い物にくるたびに構ってくるんだ。
都会では、人と人との繋がりが薄くなっているという。でもここは一昔前と同じ、人の温かみを感じることのできる場所なんだ。肉屋のおばちゃんは、まさに肝っ玉母ちゃんってかんじの人だ。魚屋のおっちゃんは、豪快で元気がよく、とても喜寿を迎えた人とは思えない。文房具屋のご隠居は囲碁が強くて、よく対局相手になってもらっている。居酒屋の若旦那は鬼嫁の尻に敷かれながら、ヒーヒー毎日過ごしている。みんなとても明るくて、一生懸命に一日を過ごしている。俺はこんな場所だからこそ、ここに来るのだ。
「こんにちは。おばさん、おっちゃん。そうだな~、どうしようかな~。」
さて、夕飯はどうしようかな。魚もいいけど、今日は肉が食べたいかな。そうだ!豚肉とナスの梅醤油炒めにしよう。スープは中華風のスープにして、ちょっぴり中華な夕飯にしようかな。
「おっちゃん、悪いけど今日は肉にするね。おばちゃん、豚肉200グラムちょうだいな。」
「はいはい、ちょっと待っててね。そうだ、学校帰りでしょ。これももってお行き。」
すっ、と渡されたのは揚げたてのコロッケだった。衣はサクサク、中はホクホクの牛肉入りのコロッケだ。
「わあ!ありがとう、おばちゃん!」
「いいのよ、うちを贔屓に使ってくれてるんだから。またおいで。」
「うん、じゃあねおばちゃん。」
肉屋を離れたあと、次に向かったのは八百屋だった。今日必要な材料であるナスを買うためだ。
「ようボウズ、いらっしゃい。」
「こんにちは、オヤジさん。いいナスはあるかな。」
八百屋のオヤジさんははっきし言って怖い。渋い紺の和服に、左頬には深い刀傷。どこのヤクザですかっていう恰好をしている。本人曰く、頬の傷は死んだ奥さんとの夫婦喧嘩で負った傷だそうだ。いや、夫婦喧嘩で刀傷って・・・。どっか常識という言葉を置き忘れている、そんなオヤジさんだった。
「ナスか。まああるっちゃあるが、旬じゃねえから夏ほど味はねえぞ。それでもいいなら用意するぞ。何本だ。」
「2本で。あと、ニンジンと玉ねぎとキャベツ一玉。」
「はいよ。」
慣れた手つきで、袋に野菜を詰め込んでいく。てゆうか、ひとつひとつの動きが無駄なくカッコいい。ホント、昔はなにしてたんだろこのオヤジさん。
詰め終わった袋を俺に差し出す。ヤベ、その仕草もカッコいい。
「ボウズ。」
「なに、オヤジさん。」
「・・・、いやなんでもねえ。ただお前さんの纏う雰囲気が、いつも子供じみてねえと思ってな。」
やっぱこのおっさん只者じゃない!ふつうそんなこと分かるはずがない。
「やだなあ、オヤジさん。僕はただの小学生だよ。」
「そうか・・・。へんなこと言って悪かったな。気を付けて帰れよ。」
「うん、じゃあね。」
オヤジさんのことも気になるが、俺にはやることがたくさん残っている。
俺はさっき貰ったコロッケを頬張り、小走りで家を目指した。
-夜ー
家に帰ってきた俺は、さっそく夕飯の準備に取り掛かった。それと並行しながら洗濯物を洗う。夕方の時間はほんとうに忙しい。
一通りの家事をこなし、晩ご飯をちゃっちゃと食べ終えた俺は、つかの間のひと時を煙管を吸いながら楽しんでいた。ちょっとしたつまみを食べて、酒を煽る。今日一日も慌ただしい一日だった。
キィィィィィィーーーーン
突然、甲高い音が聞こえた。空間にも違和感を感じる。これは・・・
「魔力反応・・・か。何かが発動しているな。いや、それだけじゃない。この海鳴市全体に僅かながらだが、魔力の塊が散らばっている。てことは、原作が始まったってことか・・・。」
あまりにも微弱な反応だったので気が付かなかった。昨日にも似たような反応があったのだが、気のせいだと思い込んでいた。そもそも、魔力反応を確認すること事態が久しぶりであった。この世界は魔力を持っている人はほとんどいない。だからこそ魔法文化、魔導師や魔術師などが存在しないのだ。
俺がこの原作に関わるのには理由がある。もうほとんど覚えていないのだが、親に見放され、嘆き絶望した少女がいたはずだ。俺はその子を救いたいと思っていた。親に愛されなかった子供たちを、俺は散々見てきた。誰もがその目に暗いナニカを抱き、堕ちていった・・・。もうそんな思いのする子を目の前で見たくない。そんな一心でずっと待っていた。この世界で。
近々その子にも会うのだろう。俺は何としてもその子を救いたい。身勝手だと思われてもいい。エゴだと罵られてもいい。
生まれ変わるまえ、原作を初めて見たとき、俺はこの子を救いたいとおもったのだ。もはや、名前も姿も覚えていないその子を。
「会えるといいな、あの子に。そして絶対に助けてやる、深い絶望の淵からな・・・。」
夜は次第に更けていく。一人の只ならぬ決意と共に・・・。
いかがだったでしょうか。リアルが忙しいので更新が途切れがちですが、ご容赦ください。泣
また次回、お会いしましょう。