不思議な美少年くんに、僕はなる!   作:猫峰にゃんこ

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遅くなりましたぁ!
新学期始まって課題の提出等に追われてたんですぅ

多分モチベはあるから次は一週間以内に出せるかも……?(多分)

めっちゃ短いですすいません……





第五話 来店

 

 

 ………逃げたかった。

 

 

 俺を除け者にする家族から。

 

 

 俺を利用することしか考えてない家の人間から。

 

 

 

 親友はいた。

 

 

 でもアイツも逝った。

 

 

 だから、この辺が潮時だな、と 殆ど欠けてしまっている月を独り見上げて思った。

 

 

 

 そして俺は、近場の橋梁に向かおうと踵を返し、家の扉を開けて

 

 

 

 

 

 

 

 ──────次の瞬間、この世の物とは思えない、とても美しい景色の中に一人立っていた。

 

 

◆◆◆

 

 

「……何処だ、ここ」

 

 彼、霧島京也は、突然目に飛び込んできた景色に驚きを隠せないでいた。それもそのはず、京也は、確かにいつも外出する時に使う扉を潜ったはずなのだ。

 

 しかし、その目が映し出したのは、桃源郷もかくやというほどに美しい景色だった。

 

 真っ白な空に、青々とした葉をつけた木が密集している森。そして地面には、色とりどりの彼岸花が二~五本程度でかたまって所々に咲き誇ている。

 

 そしてよく見ると、奥の方に屋敷の様な建物がその存在を主張するかのように木々に囲まれ立っていた。

 

 暫く固まっていた京也は、周りを見渡し、目の前の屋敷以外人工物がない事を確認して顔を顰めた。

 

「……どういうことだよ」

 

 現状を打破する様ないい考えも浮かばず、京也は取り敢えず屋敷に人がいるか確認しようと歩みを進めた。

 

 

 少し歩いて屋敷の目の前まで移動すると、いきなり頭上から声が聞こえた。

 

 

「ようこそ、僕の店へ。歓迎しよう、人間君」

 

 

 驚きながら視線を移すとそこには、猫の仮面を被り、和服に身を包んだ白髪の子供が自然と佇んでいた。

 

 

◆◆◆

 

 

 やあやあ皆、現在絶賛初仕事中の巡さ!

 

 初仕事のお相手は〜このお方!

 

 

「お前は誰だ」

 

 

 天然茶髪の中学一年生、霧島京也くんで〜す!

 

 いやぁ〜よかったぁ、最初の人が変な人間じゃなくて。一番最初はやっぱり手助けしたいよね〜。

 

「僕は(かすみ)。この店の店主さ」

 

「ここは何処だ」

 

「ここは僕の世界。現実世界とは隔絶した場所」

 

「……俺に何の用だ。さっさと帰せ」

 

 ほお、混乱したりもしない、と。

 

「君、いいね。話の通じる子は大好きだよ?」

 

 京也は巡をジロリと睨んで口を開いた。

 

「子供扱いすんな」

 

「ふふ、子供はみんなそう言うんだよ?」

 

 そう巡が返すと、京也はイラついたように少し顔を顰めた。

 

「そもそもお前の方が年下じゃねぇか。」

 

「おや?残念僕はもう二十歳を超えてるよ?」

 

 なんてったって前世ありますし。

 

「……は?」

 

 事実巡は神域で2年間ほど過ごしていたため、実年齢は20歳を超えているのだが、それを聞いた京也は信じられないといった様子で巡のことを凝視していた。

 

「……どっからどう見ても子供じゃねぇか。誤魔化してんのか?」

 

「違うよ?僕は歳を取らない特殊な存在だからね。老いもしないしよっぽどの事がない限り死にもしない」

 

「……バケモンじゃん」

 

「まぁ人間では無いしねぇ〜」

 

 半分だけだけど

 

「……んな事どうでもいい。さっさと俺を帰せ」

 

 少し脱線したが、気を持ち直しさっきと同じ要求を霞にする京也。それに対してあっさりと霞は京也をあっさりと帰して───

 

「駄目だよ?ここに来たからには僕のお客様だからね。ただで帰す訳には行かない」

 

 そんな訳がなかった。霞からしたら京也は絶好のお客様(カモ)であり、そんな当たりくじを簡単に手放すわけが無いのだ。

 

「そもそも君、ここに来た時点であと少しで死ぬよ?」

 

 そんな事を言う霞に対して京也は、少し目を見開いて驚いたが、そのあとフッと目を細めて口を緩ませた。

 

「そんな事を初対面の人に言われて信じるわけねぇだろ。それに本当だとしても俺は別にいい。これ以上この人生に希望も持てねぇしな」

 

 そんなどこか悟った様な顔をした京也を、霞は目を少し細めて見た。

 

 ……ふむ、これば重症だね。

 

「……君は一度、人の優しさに触れた方がいい。幼いうちから汚い部分を見すぎてるよ」

 

 そう言いながら霞は、京也の目の前に霞む様に一瞬で移動し、京也の体を軽く押した。

 

 京也はなにを、と霞に対して口を開こうとしたが、まるで水の中に沈んでいく様に何事も発せず、そのまま後ろに倒れ始めた。

 

「じゃあね、人間君。次会う時を楽しみにしてるよ」

 

 そして京也の意識は、その言葉を最後に段々と暗闇に沈んでいった。

 

 




霧島京也(きりしまきょうや)
 凰蘭開店一人目のお客。天才の部類に入る人間。
 性格は大雑把で実は優しい。簡単に言うとツンデレ。ただ今は荒れてる。実家はクソ。実は雫玖の血縁。戦闘の才能だけなら雫玖より高い。
 容姿はサラサラとした綺麗な茶髪に切れ目な黒目。和服が似合いそうなスラッとした体型だが、脱ぐと筋肉がすごい。着痩せするタイプ。
「クソみたいな人生だわ、一人にすんじゃねぇよ親友」

◆作者の裏話(という名の雑談)◆
 巡が霞と名乗ってるのは実名(神風巡)を封印の溶媒にしてるからなんですよね。つまり自分の名前を言えないという辛さ。巡は親がつけてくれた自分の名前を気に入っているのでめっちゃ辛い。

 実は京也より霞の方がSAN値がピンチ。もし一番最初に来た客が人間のクズだったら自分ごと神域を封印してたかもしれない。

 え?自殺はしないのかって?そんなのネタバレになるじゃないかッ!

 まあ気軽に見てくださいってね

 アドバイスなどは本当に頼みます。正直読んでくださるだけ嬉しいのですが、やはりしっかりと楽しめる作品を読んでもらいたいのでm(*_ _)m

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