この平仮名の列を見て聞いて、ヒトは何を想像するのだろうか。
隊長 人のいいおじさんだが、第三次宇宙戦争で活躍した歴戦の猛者。制服の胸に勲章をいくつもつけている。
山本 新米隊員の少年で、つまらないギャグを言って陽香によく怒られる。
陽香 クールな美少女で、山本の同期。
高次元生命体 色々危ない奴。
ヨコハマ宇宙民兵団基地三階休憩室にて
「隊長! 食器が産卵しています!」
「ああ、さっき地震があったからな。破片を集めて片付けろ」
「違います! 産卵しているのです!」
「何が違う? それはついさっき聞いたよ。怪我しないように手袋をつけろよ!」
「ですから・・・」
「山本君、アナタ馬鹿ですねぇ。隊長! 食器が卵を産んでいます!」
「何、卵は食器にのせるもので産むものでは・・・!? う、産んだ!?」
「そうですわ」
「蔑むような目で見てくれるな陽香君。しかしそんな事、生物学的、いや、物理学的にかな? どちらにせよそんな事が・・・」
「うわっ、何だこれは!? コップが飲み口からゴルフボールを吐いている!?」
「これは卵ですわ。コップの」
「わ、わかったから陽香君、手に持っているそのきみのわるいコップをどっかにやってくれ! 胸の勲章が汚れたら大変だ」
「はあ、ではこのテーブルの上におきますわ」
「いやぁ隊長、コップが卵を産むなんてショッキングですねぇ。食器だけに」
「ウワッハハハ! 面白いよ山本君!」
「よ、陽香ちゃん? そんな冷たい目で俺と隊長を見ちゃいけないよ?」
「何をしているんだ陽香君!? 山本君にそんなよくわからないものを向けてはいけない!」
「やややめてよ陽香ちゃん! こんなの良くないよ!?」
「つまらないギャグを言った罰ですわ!」
「陽香ちゃん!? そのおっきなボウルをこっちに向けないで、お願い! 卵が音速で飛んできて結構痛いよ!?」
「フフッ! ボウルがボールを・・・」
「隊長、何か言いました?」
「ごめんなさい」
「よろしいですわ」
「陽香ちゃんは科学が得意だったよね? それでさ、この卵を産む食器達の正体は何かわかる?」
「推測ですけど、異次元生命体が食器の幾何学的形に吸い寄せられて、乗り移ったものかと思われます」
「陽香君、君はとんでもない事を言うねぇ」
「仮にそれが正しいとして、卵を産む理由は?」
「我々の目的はこの次元の侵食、占拠、そして増殖だ」
「成程・・・何!? 我々だと!?」
「よ、陽香ちゃん?」
「ハッハッハッハー! カタチと言う呪縛に縛られる愚かな低次元民よ! もう貴様らの星はおしまいだ! 高次元生命体の王たる私がこの星を直々に支配し、そしてこの星を手がかりにこの低次元を植民次元にしてくれるわ!」
「悪者め! 陽香ちゃんの可愛い声でそんな事を言うな!」
「な、何故こんな事を・・・!」
「理由? 何をわかりきった事を!」
「わからないぞ!」
「そうだ! 山本君、もっと言ってやれ!」
「やれやれ、低次元民は知能レベルも低いのか。よーし、この私がわかりやすく教えてやる! 感謝しろ!!」
「ありがとう、陽香君モドキ」
「てかどうやって乗り移った?」
「うるさい! まとめて教えてやる! 貴様ら、大気圧は知っているな?」
「ああ、それくらいなら」
「ウーン、聞いたことはあるぞ」
「例えばだ、大気圧は気圧の低いところに流れる。これによって風が吹く。熱もそうだ。水が凍るのは、水の持つ熱がより低いエネルギー値に移るからだ。これらの現象に共通して言えるのは、エネルギーは高いところから低いところに移動する。つまり、我々高次元生命体が低次元を侵食するのは物理学に則った正当な行為なのだ! だから貴様らは大人しく私に支配されるのだ!」
「笑わせるな! 宇宙民兵団を舐めるなよ!?」
「そうだ! 隊長は強いんだぞ!?」
「実力の差も分からないとは愚か。そもそも私がこの娘の体を乗っ取れた理由を知らないだろう。我々高次元生命体は貴様らの食器と異次元の門を繋いで卵を送り込んだのだ! この娘は異次元の門と繋がった、このテーブルの上のコップから私の卵を体内に取り込み、私に支配されたのだよ」
「待て! 私の卵とはどう言うことだ? 今の貴様は一体・・・」
「我々高次元生命体は個にして全であり、全にして個なのだ! 貴様らのワタシやアナタと言った概念は通用しないのだ!」
「いつから侵略を開始していた!?」
「さあ、いつからだろうか。少なくとも君たち人類が食器を使って生活し始めたあたりからだろうね。君たちとその祖先は知らないうちに我々の卵を体内に宿している・・・おや、おしゃべりがすぎたようだ。時が満ちた今、本格的に侵略を開始するよ。山本君と隊長、貴方達と体も例外ではないよ?」
「や、やめてくれ・・・」
「お、俺はいいから、陽香ちゃんを解放してくれ」
「フハハハハハハ!」
少女の冷たくも可愛らしい笑い声が部屋にこだましてから数時間後、地球上の知的生命体は完全に高次元生命体に支配された。
言葉遊びから思いついた拙作ですが、楽しんでいただけたら幸いです。
連載途中の小説についてですが、物語がまとまりきっていないので、投稿が遅れています。