呪術界最強は石世界でも最強です。 作:石化して土に埋まりたい人
『僕はね、超能力者なんだ』
そう言われた時、内心驚いた。表情に出すことなく過ごせたが、それでも不自然な間が空いたことにはしくじったと思う。まぁその後の反応を見るにアイツは全く覚えてなかったようだが。
そこら辺の動物でも捕まえてくるよ、とへらりと笑った五条先生は森の中へと消えていく。その姿を見送って、俺は小さく息を吐いた。
「ビビらせやがって……」
悪態を吐き、晩飯の準備を進める。この数ヶ月間と違い二人分用意しなければならないが、まぁ慣れた作業だ、気をつけることもないだろう。
手際良く進む中、思い出すのは幼少の頃。近所の河原で研究をしてた頃だ。まだデカブツが参加していない時期、同じように河原で遊ぶ子供達に敬遠されながら気にせずに作業に没頭していた中。
『最近のクソガキはマセてんな』
ふとそんな声がすぐ側で聞こえた。周りのことなど気にせずにいたのに、するりと入ってきたその声に驚いて聞こえた方を向くと、学ランを着た白髪の少年が立っている。丸いサングラス越しじゃ視線はわからないはずなのに目線があった気がした。
キュッと眉を寄せる。面倒なのに興味を持たれたと思った。その時は夕方ではあるが、明らかに中学生もしくは高校生のそいつが帰宅するような時間ではなく、見た目からして所謂ヤンキーという人種にカテゴリーされる奴だと思ったからだ。別に見下しても嫌ってもいないが、気に入らないからと実験物を壊されるのは癪には障る。
しかし相手をどうにかする力も体格もない。この実験場も閉めないとかなんて内心諦めていると、その少年は興味深そうに俺の実験物を見ていた。思わず目を瞠る。
『なぁこれロケットだよな。ペットボトルロケット? 自作か? 明らかに通販で買ったような奴じゃねぇもんな。しかも動力に空気と水を使うような奴じゃねぇし……ナニコレ』
俺初めて見たかも、と表情を輝かせながら凡ゆる角度から見るソイツに俺は少し興奮しながら説明を始める。今思えば、大分恥ずかしい行為だが、まぁ今まで誰も興味を持ちはしなかった事から寂しかったんだろうとその当時の心境を推測した。
大の大人でも半分でギブアップする話に、その少年は最後までふんふんと頷いていた。聞くだけではなく質問も交えてくるので、楽しくなり色々語る。途中から全く関係のない話になっていた気がしたが、ソイツは嫌がることもせずに聴いてくれた。
へぇーと呟いていたその少年がふと此方を見る。それから何かを考えては、こてりと首を傾げた。
『そこまでしてさ、お前は何をしたいわけ?』
そういえば目的を言ってなかったか、と心の中で納得して、俺はずっと変わらない夢を話す。
『宇宙に行く』
宇宙飛行士としてではなく、整備士としてでもなく、自分自身でロケットを作り、自分自身で操作して、
無茶で無謀。周りの大人達はそう思っても否定はせず、周りの子供達は無理だと蔑む。そんな俺の最終目標。
真上を指差して笑えば、ソイツはぽかんと口を開けて呆けてから、プッと吹き出した。
『あっははははハハハ!!! 宇宙に行く(キリッ)じゃぁないんだよなぁ!!www ハハハ! 宇宙とか! マージで言ってんの!? アハハハハハハ!! 無理に決まってんじゃん!!! 何言ってんのオマエ!! あハハッ! ヒィwwwww 夢を見るにしても限度があんだろ!! 宇宙飛行士になるっつー方がまだマシだってーの! キヒヒッアハハハハハハ!!!』
腹を抱えて笑い転げるソイツに俺はイラッとして蹴ろうとしたが、何故か蹴れなかった。説明された今ならわかるが、無限をそこに張っていたのだろう。何度やっても蹴れないそれにイラつきが増していけば、充分笑ったのか転がるのをやめたソイツが起き上がった。
まだ笑いが込み上げてくるのか、ヒィヒィ言いながら目尻を拭っている。邪魔だったんだろうサングラスを取って、綺麗な空色の瞳を惜しげもなく晒すそれに驚いてイラつきがどっか行ってしまい固まる。そんな俺に蹴られないのを理解したソイツが立ち上がりサングラスをかけ直して、口角を上げた。
『マ、そーいうのは嫌いじゃねぇぜ?』
別の意味でまた固まる。さっきは夢を否定して、無理だなんだと言っていたくせに嫌いじゃないと言う。発言が矛盾している、情緒不安定か? と怪訝に思いながら少年を見ると、彼は微笑ましげに此方を見ていた。
『ガキは夢見てなんぼだ、その大きさは関係ねぇ。寧ろやってもねぇのに、できねぇなれねぇって何もしないでいるより、お前みたいにとりあえずでも良いからやってみる奴の方が好感が持てる。良いじゃん宇宙、行きたいんだろ? なら何も考えずに突っ走れ。俺は無理だと思うけどな』
どっちだ。
『しっかし面白れぇガキがいたもんだな……なぁ、いつもここで実験してんの?』
寧ろここ以外でする場所がない、そう言えばソイツはにんまりと笑った。嫌な予感がすると身構えれば、また来るわと言った。
『この時間に来ればいんだろ? 良い暇潰しになるしな。ハイ! これ決定事項! もう決めたんで覆せまセーン!』
授業は。
『サボり♡』
堂々と言うことじゃねぇと息を吐いてから顔を上げれば、もうそこには誰もいなかった。思わず驚いて周りを見渡してもあの白い髪は見つからず、サッカーをしている子供達の声だけが響いていた。
そうしてアイツと、五条悟と奇妙な関係が始まった。不定期にふらりと来るアイツを俺は遠ざけることなく、たまに会う友人の様に何気ない会話に勤しんだ。っても内容は小学生と中高生が話す様なものではないが。
名前は次に現れたときに教えてもらい、その次は俺の名前、その次はと交互に自分の事を教え合う。そしてそれが終われば俺は研究へ、アイツは作業を眺める時間が来る。
そうして何回目かの会合、俺がアイツの事を教えてもらう番であり、ずっと疑問に思っていた事を告げた。制服を着てれば普通に聞かれるだろうそれ、即ち“どこの学校行ってる?”だ。
気になっていた。明らかに近所の中高生の制服ではないからだ。いや学ランはあるにはあるが、そこじゃないのはボタンの模様が違うことから把握済みだ。校章らしきものはとってあるのか付けてないのか見当たらなかったのを覚えている。
俺の質問にアイツはきょとんとしてから、言ってなかったっけ? と首を傾げた。あ゛ぁ言ってなかった、必要なかったとも言うが別に隠してもいなかったんだろう。さらりと答えた。
『……は?』
が、一瞬耳を疑った。その学校名は市内に飽き足らず、県外だったんだからな。普段はフル回転している脳がその一瞬だけ止まった。そんな俺の反応に愉快そうに口を歪めたアイツは人差し指を立てながら、因みにと続けた。
『電車などの交通機関は使ってません。家がここというわけでもなく、寮生活です。つーまーりー?』
『徒歩で来た、ってか? んなわけ』
『ないって?』
チッチッチと人差し指を左右に振りながらアイツはニヒルに笑った。
『あるんだなーこれが。なんだって俺はさ』
———超能力者だからな。
五条悟
所謂成り代わり転生トリップ。
ドクストの世界だと気がついた時、本誌一緒だけど漫画違い〜!とか思ってた人。
呪術師や呪霊がおらず本来の五条家ではなく一般家庭()出身なのに無下限と六眼持ち。平和な世界なのにチート持ちで生まれるとか宝の持ち腐れというか不可解だなーと思いつつ平和を享受してた。呪廻由来の親友や同級生、先生とか生徒はいない。単独トリップ。
自分があの“五条悟”だと気がついたのは幼少期。その時からキャラを保たなきゃと演技し続けたからか原作“五条悟”の性格に近くなり、わりとクズなところがある。けどまだマイルド。
生まれ変わる前から一人称は俺。心の中に前世のイマジナリー親友がいる。彼か彼女かはもう覚えていない。親友や自分の名前、家族すら忘れてしまっている。
“五条悟”をリスペクトして教師の職についたが、赴任したての頃は生徒からの先生呼び良いなって内心噛み締めていたりしてた。教頭とは仲が悪い。
また、くじ引きで科学部の顧問になってしまったが、それとは別に理系担当の教師がいたので部活動を押しつ……任せていた。つまり名前だけ貸してた状態なので幽霊顧問。
「というか千空に包帯の事何も言われなかったんだけど……なんで?」
石化前はサングラス五条、石化復活直後は包帯五条、VS司帝国終結後は黒アイマスク五条となる。服装は千空手製の和服から、杠手製の洋服(黒)。つまり見た目原作五条になる予定だったり。
因みにヒビは喉仏にある。