呪術界最強は石世界でも最強です。 作:石化して土に埋まりたい人
いやー! 石世界(日本)の観光楽しかったー! ほぼ自然だったけど! まぁ所々名所は残ってたから、ここがあれか! あれがここ!? なんて推理して見るのは楽しかったな。あと北海道は良かった。牛が量産されてた。いやまぁ流石に3700年経てば味も変わるし品種も変わる。けど、群れを作って生き抜いてるのを見て感動したね。これが自然か! って。襲って食べたけどさ。黒毛和牛美味かったです、どこのブランドかはさておき。
そして戻ってきました! 千空特製ツリーハウス! あの霊長類最強とは仲良くしてますかね。ま、最強は僕だが。
「で、やっと生徒に会えるーと思ってたんだよ? 僕。そりゃ勝手にいなくなったのはアレだったろうけど、書き置きもしたし、観光もしたし、そろそろ生徒の手伝いにでもするかぁって思って帰ってきたのにさぁ」
君、誰だい?
ツリーハウス付近にいたのは紫色の服を纏う知らない青年。白と黒に分かれた珍しい髪型をしている彼は、細い目を更に細めながらにぱっと笑った。うーん、変な横髪だし、なんか既視感が。
「俺?俺はあさぎりゲン。知らない? わりと有名だったんだけど」
「あさ……あぁ! テレビに出てた子ね。勿論知っているさ、雑誌も読んだよー! 捨てられてたのを暇潰しに見たんだけど、ちょっと面白かった」
「ちょーっと捨てられてた件についてツッコミたいけど、まぁ良いや。そう、そのあさぎりゲンだよ」
あは、胡散くせぇw
変な前髪やら変な横髪する奴はなんでデフォルトで胡散くさいんだろうな。人が良くても損しそうな顔をしている。顔面偏差値は高いけれど。
「ふーん、で? ゲンはなんでこの場所にいるのかな? ツリーハウスを荒らしたのは君?」
「違うよー、来た時にはこうなってた。俺、ちょっと旅してるんだよね。人探し、俺の他に復活してる人いないかなーって思って。そしたらこれ見つけちゃったんだよね。ゴイスーだよね、コレ。俺じゃぁ作れない」
そうして見上げる先にあるツリーハウス。見た目は俺が出て行った時と変わらないが、その中が荒らされているのはさっき見たので知っている。だからその犯人を目の前にいる奴かと思ったけれど、なんてことない様に否定されてしまった。まぁそれが本当でも嘘でも別に良いんだけど、今思えば荒らされ方が盗人のものではなかったし。
「(慌てて逃げた様な感じ……千空の性格からしてあまりあり得ない状況だよね。何があったんだろうか)」
俺の知識はアニメ一話まで。明らかにその範疇に入らないだろう出来事に内心首を傾げるけど、考えても仕方ないか。とりあえず合流する為に探さないとな。
「(と、なると)」
手掛かりは白黒頭の青年のみ。
そう思い、あさぎりゲンと名乗った青年を見ると彼は此方の視線に気がついたのか、ねぇと声をかけて来た。
「このツリーハウス作った人がどこにいるのか知らない?」
「僕だとは思わないの?」
「さっき誰かに会いに来たって言ってたでしょ。それにちょっと何処かに出かけてたにしては、荷物が多いしね。それに、この場所に用があるって事はこのツリーハウスの主人を知ってるって事にもなる。ジーマーでどこにいるか知らない?」
広い袖の下に手を隠して笑う彼の姿は何処かの中華を思わせる。いや服装的に韓かな。まぁそのどっちかをモチーフに作られてるんだろうけど。
彼の言葉にニッと口角を上げる。さっきはわかりやすい嘘を述べ、俺に対して雑な考察をするゲンは腹の中が読めない笑顔をずっと浮かべている。多分大樹だったら信じただろうそれらに俺は乗ってやることにした。
俺は千空達を探している、彼も探している。その理由がなんであれ利害は一致しているのだから別に断る必要もない。
「知らなーい!」
ゲンがずっこけた。
「いや今の知ってる感じの笑い方だったでしょ!?」
「でも本当に知らないさ。何せ今帰ってきたところ、此処にいないとなると何処なのかさーっぱり!」
「あら良い笑顔!」
司ちゃんと声似てるけど、性格真反対っぽいねコレ、ジーマーで。
なんていう独り言が聞こえる。常人なら聞こえないであろう距離が俺たちの間にはあるが、何せ聞いているのは俺である。呪術師の身体能力舐めないで欲しいな、丸聞こえですよ。
「司って誰?」
「ッ! ぁ、あー、聞こえちゃった感じ?」
「丸聞こえ♡」
普通なら聞こえなかったフリをしてスルーするのだろう。でもそんな選択肢は俺にはないし、“五条悟”にもない。気になったことは例え空気が読めないと理解していても聞きに行くのが、“五条悟俺”というものである。えっクズ? よせやい褒め言葉だ。
「司、獅子王司ちゃん。霊長類最強の高校生って言われてた格闘家ね。流石に知ってるでしょ、コレは」
「知らないね」
「あれま」
世間知らずにも程がない? って言われたけど、テレビを見てれば前世の世界と違うんだなってありありと突きつけられるからあまり見てなかった。俺の知らない芸能人、番組、ニュースキャスター、選手。違和感が半端なくて気持ちが悪かったんだよね、別に良いけど。まぁ子供の頃から旅館の手伝いがあったから、テレビを見るという行為が身に付かなかったのもあるし、一人暮らしの時はテレビを買ってなかったから。因みに国営放送はあったよ、一度だけ家に来てテレビありますよね? とか断定的な言葉を言ってきたけどさ、本当にないから困るよね。お金ある人間でしたので、払わないなんて事しないってのに。
というか霊長類最強? もしや、ここを出て行くときに復活したライオンを素手で倒した奴? 疑う余地もないね、超高校級の霊長類最強でしょ。思い出したわー、俺の呪力感知を無意識に感じ取った呪術師に片足突っ込んだ青年。素手でコンクリぶっ壊せそう(小並感)
ま、知らない体で行こう。なんかややこしそうだし。
「で、ゲンはどうするの? また旅(笑)でもするのかな」
「(笑)は余計だよ、ジーマーで。まぁこのツリーハウス作った子に会いに行くつもり。洞窟付近の数字見た? ゴイスーな子っぽいから、個人的にも気になるんだよねぇ」
それって元々個人的事情で来たわけじゃないって言ってるのと同義なの気がついて、はいるだろうな。石世界になる前に読んだ雑誌では彼の事をマジシャンと言いながらも、メンタリストとも称していた。前世じゃその職業は全く別のものではあったけど、通ずるものがないわけではない。“兼”というところだろうが、若くして有名人になった手腕はこんな世界になっても衰えはしない。俺でもわかるという事は、わざとなんでしような。タチが悪いなぁ。
「何処にいるのかは見当付いてたりする?」
「大凡の方角はわかるよ。ここより南西、伊豆半島付近。ま、ジーマーでいるかは行ってみないとわかんないけどさ」
「OK」
「ぇ」
何がOKなの? と首を傾げるゲンにニヤリと笑ってみれば、何か嫌な予感でもしたのか笑顔が引き攣っている。人を騙す職業に就いているくせに表情を隠し切れてないね、おもろ。
ある程度離れていたゲンの側に行き、驚いた彼が離れようとするのを腕を掴んで阻止する。拒否権はないよー、旅は道連れ世は情けって言うでしょ。
いや怖い怖い! って喚くゲンの額を小突く。すると途端に電池が切れたように力が抜けた彼を支えて、脇に担ぎ上げる。人の気を失わせるこれは、“五条悟”が原作主人公にしていた事だ。彼にできて俺にできない事はなく、やろうと思えばできた。まぁ仕組みは簡単で、人の頭が処理落ちする程の情報量を直接叩き込んだだけ。領域展開では相手が気を失わない程度、つまり処理できる程の情報量を相手に流すが、これは一瞬の内に大量の情報を流す為に気を失うという結果がついてくる。パソコンに例えるとショート寸前で中身を守る為に強制シャットダウンする、みたいな。
ま、あんまり使える力ではない。一歩間違えれば廃人確定だろうし、“五条悟”が本当に同じ手で主人公の気を失わせていたかはわからないしな。
「ま、そんな事はどうでも良いんだって。早く生徒に会いに行かなきゃね」
千空の担任ではなかったけど、それはそれ。俺が教鞭を振るっていた学校の生徒ならば、誰だって俺の生徒には違いないのだし、彼が先生と呼んでくれるなら俺はそう振る舞うまでよ。
おいっちにーさんしーと屈伸をしてから、呪力を回す。身体に刻まれた術式が発動して、景色が一瞬で変わる。ほい、到着。さっきまで晴れだった空が曇りに変わっていることから移動できたことが伺えた。まー伊豆半島付近なら一回行ったことあるからね、間違えるはずもないのだけど。
まだまだ起きないゲンを抱えながら付近を捜索することにする。相変わらず森しかないし、目新しいものはない。人がいるならば不自然な変化がありそうなものなんだけど、ここらじゃないのだろうか。
「……わかんないから一回空から見るか!」
思考放棄。木々が生い茂る中で何かを見つけようとする方が間違っている。目が良くても気が付かなければ意味ないしね。それなら空から見て、煙とか出てたなら一発で方向がわかるってものだ。
まだ眠っているゲンを側にある木へもたれかからせて、荷物をその隣に置き軽く跳ぶ。空気を足場に一歩二歩、能力のおかげで素早く蹴る必要のない月の歩みで周りを見渡した。くるりと一周、とある方向で遠くの方に煙……かな? 焚火でもしてるのか、一筋の白い線が見えた。歩いていけば十五分ぐらいで着きそうな距離だな、遠いのが近いのか。
行けばいい方角がわかったところで下に降りる。鞄を肩にかけてから、ゲンの肩を揺すった。おーきて、おきて。
「起きないと置いてくよー」
三、四回肩を揺すったがゲンは起きない。曖昧な返事はすることから、まだ微睡んでいるのだろうな。起きてるけど、寝てるみたいな矛盾。仕方ないねー。
肩を揺するのを辞めて側に寄る。特徴的な横髪を避けた先にある耳に近づいた。
「…………起きないと」
い・た・ず・ら、しちゃうぞ♡
なんて耳元で囁けば、ゲンは驚いたように飛び起き、後退りして目を見開いている。わぁ良い反応。
「やっと起きた。もうお寝坊さんなんだから♡」
「ジーマーでバイヤー……司ちゃんに起こされたかと思った。悪夢」
「どんな子かは知らないけど、司に失礼じゃね?」
まぁあの見た目でさっきみたいなことを話してたら、うんまぁ悪夢だと言うのはわからんでもない。俺もビビる。
しかし起きて良かったわ。廃人になってないのはわかってはいたが、人の脳の処理速度ってそれぞれだから起きる時間もまちまちなんだよな。起こされたとはいえ十分もしない内に起きれたゲンは頭が良い方だとわかる。マジシャンだからだろうか、それに頭良くなければテレビ業界は生き残れなさそうでもある。
「さて、いつまでも座ってないで行くよ」
「えっ、何処に? というか、ここ何処!? 気絶する前と景色ちょっと違うよね!? いやそもそもなんで俺気絶してたの!?」
「あは、まぁ深く考えなさんな。なんて言ったって3700年経った原始世界、なんでもありでしょ」
「そういう思考放棄が一番バイヤーなんじゃないの……」
それで、何処に行くの? と立ち上がった彼は服に付いた土埃を払いながら、問うてきた。思わず首を傾げる。何処に行くのって、俺ら二人の目的地は同じだと思ってたんだけど。
「何処って、千空の所だよ。そういう話だったでしょ」
ピシッと人差し指を先程見えた煙の方へと向ける。この場所からでも目を凝らせばわかる一筋の線に気がついたのか、な、と言葉にならない声を上げる。
「は、いや、え? ジーマーで……?」
「ジーマーで。ま、信じられないなら確かめてみれば良いよ。あれが千空の仕業かどうかは僕も確信がないし」
歩いて十五分、行くも行かないも君次第。まぁ僕は行くけどね。
なんて言っても彼は帰るなんて事はしないだろう。帰るにしても道がわからないしな。方角は分かったとしても、ある程度だから迷う可能性もあるし。俺なら確実に迷う。
俺の言葉を疑っているのだろうな、少し口角を上げた彼は俺の後ろを歩いている。何があっても咄嗟に対処できるようになのと、感情を悟られないようにってことだろうが、手遅れですね。内心焦りまくってるのは見なくてもわかってるから。
「そういや何やらゴイスー怒涛の展開で名前聞いてなかったんだけど、何ちゃんなの?」
「ん? あぁ、言ってなかったっけ?」
「聞いてないね〜」
「五条悟。好きに呼んでも良いよ」
「じゃぁ悟ちゃん」
「千空もそうだけど、遠慮ってもんがないよね」
ま、千空の場合は俺から悟くんって呼んでって言ったんだけどな。終始呼んではくれなかったが。
そういえば。
「ゲンは石化前はマジシャンだったんだよね? 何できるの?」
「あら、手品をご要望で? ま、前とは違って派手なのはできないけど……はい! 出会った記念にプレゼント」
俺の隣まで来た彼の手からポンと飛び出たのは何かの花。俺は詳しくないのでわからないが、野花であろうそれはゲンの掌で揺れている。ありがと、と礼を言って受け取り、自分の白い目隠しと髪の毛の間に差し込んだ。にまっと笑ってゲンに見せてみる。
「どう? 似合う??」
「胸元じゃなくて頭って所に流石悟ちゃんて感じがするよねー。似合ってるよ」
「でしょでしょ! ふふ、僕ってばナイスガイだから何しても似合うんだよねぇ」
「それ自分で言っちゃう??」
「事実だし?」
そんな雑談をして十数分。木々の合間を縫って見えた先にあったのは簡易屋台を築き上げて何かを茹でている千空の姿。菜箸っぽいのを突っ込んでる先から湯気っぽいのが立ち昇っている。釜戸が見える。あれが煙の正体か。
「エッ、何アレ」
「うーん、周りにいる子達の様子からすれば何か食べ物でも作ってるんじゃないかな」
「とりま、菜箸みたいなの持ってるのが千空ちゃん? で良いのかな?」
「そうそう、あの白菜頭ね。笑えるぐらい目立つでしょ?」
「そう言う悟ちゃんも大概よ?」
「そう?」
彼に比べたらそうでもないと思うし、ゲンの髪色を考えても目隠しオールバックは別に目立たないと思うけどな。偏見になるが、寧ろこれぐらいの個性がないと馴染めなさそうとは思ってる。まぁ俺の場合、目隠しを外しても目立つのでどっちもどっちなのだが。
とりあえずお腹空いたし貰いに行く? さんせーい! という会話をしながら、極自然に屋台の方へと近づいた。律儀に周りに長椅子も作っているらしく、給仕係っぽい何かの実を被った声からして女の子らしい子から器を受け取る。竹を割って作ったんだろう箸も受け取って中身を見た。
「ラーメンじゃん」
「ジーマーラーメンじゃん」
麺がカラフルな緑だけど。
まずは汁を飲み、それから麺を啜る。ズズッと石化前じゃ良く聞いてきた音が己の内側から響き、口一杯にラーメンの味が広がる。麺が予想よりも“もそっ”としているが、確かに石化前に食べていたものだ。なんかめっちゃもそっとしてるけど。
「うーん、ラーメン食べてたらコーラが欲しくなるね、ジーマーで」
「ゲンってコーラ派? 僕はメロンソーダ派」
「それってラーメンに合う飲み物の話じゃないよね? フロートの話でしょ」
「なんで分かったの? 怖。ちょっと半径30cm近づかないでくれる?」
「そこまで引かなくて良くない?」
そっちから振ってきたんでしょ、と飽きられちゃった。もう一度ラーメンの麺を啜っては周りを見渡した。と言っても目隠しのお陰で俺の視線はわかっていないだろうが、紺色の服で統一された子供達が俺たちに槍やら剣やらを突きつけている。汁を飲む、美味しいね。
「貴様らは誰だ!!」
「わ〜物騒。やめてよ、ただの一般人よ?俺」
「ソーダソーダ!」
「悟ちゃん、なんで俺を盾にするのかなー!」
ゲンが何かを抗議して来るが無視する。だって俺が目の前に出るよりも、後ろにいた方が守りやすいからな。肩に手を置いてなるべく近づいた方が無下限の範囲下に入りやすい。ま、離れててもできるがそれはそれ。
「まずは名を名乗れ! 何をしにここに来た! ちなみに俺の名前は金狼だ!」
「うわっ金狼ってば真面目! 何も不審者に名前名乗らなくていいでしょ」
「相手に名を尋ねる時は自分も名乗る、ルールだからな」
「こんのルール馬鹿!!」
背の高い黒髪と金髪の二人組が漫才のように掛け合う。しかしその間も警戒を解くこともなく、隙もない。まぁ全くないわけではないが、それでも一般人が彼らとってなると勝てない相手だなとわかる。
しかしあの二人よりも強いのが金髪ポニーテールの女の子、槍ではなく剣を持つ彼女は鋭い視線をこちらに向けたまま微動だにしない。明らかに手練れだなと素人ながらに理解した。
いやこれゲンは勝てないでしょ。目の前の彼を見ると両手上げて降参ポーズしてるし。えっ俺もポーズだけはしておくべき?
「やめろお前ら、客だ。お久しぶりだな? 五条先生」
いつの間にかこっちに近づいて来ていた千空がニヤリと悪い顔をしている。まさしく悪人顔ではあるが、別に悪事を企んでないことは俺は知ってる。あれはただ“面白いな”だとか“人手が増えるな”としか考えてないな、多分。
そんな彼に俺はヨッと手を挙げた。
「お疲れサマーランド〜! 千空! なーんか面白いことやってるねぇ」
「クククッ、テメーがトンズラこいてからは笑い有り涙ありの超絶展開を繰り広げたんだが、聴きたいか?」
「聴きたーい! 千空主演のドラマとか絶対ウケんでしょ」
シュバッと手を挙げれば、益々笑う彼。トントンと足先で地面を叩かれて“こっちに来い”という合図を送ってくる。そんな事を言われてしまっては、移動しないわけにはいかない。先生なのに生徒に指図されてるのは如何なものかと思うが、今の時点じゃ彼が頂点なんで仕方ないよね。
立ち上がり、ゲンの側を離れて千空の隣に立つ。周りの反応を見れば、何が何だかという表情だった。
「あっれ〜!? 悟ちゃんまさかの裏切り!?」
「ゴッメーン。先生は生徒の味方なんでね。ゲンも生徒だったらワンチャンあったさ」
「……悟ちゃんって教師だったの?」
「そうだよ」
「ジーマーで見えないんだけど」
「あはっ、よく言われる〜」
丸いサングラスの時も輩にしか見えないって生徒に散々言われましたし、保護者説明会じゃ教師なのに“担任の先生を出してください”って言われるか、怯えられるかのどっちだったから。外せばイチコロだったが。
全国の先生、サングラスは付けない方が良いよ……大体の保護者様に嫌われます。ソースは俺ね。
「千空、そっちの目隠し男は君の仲間だったのか?」
「あ゛ぁ、一応俺の先生」
「先生!? じゃぁコイツもやべぇ科学使いなのか!?」
「ククッちげーよ。喜べクロム、本物の妖術使いだ」
「? 私達が言っていた妖術は科学だと、千空、君が言っていたじゃないか。なら、科学使いに違いないのではないか?」
「そうだぜ! 千空! 科学使いじゃなきゃなんだってんだよ」
「妖術使いだっつんてんだろ。残念だがな、五条先生は科学はからっきしだ。担当教科は国文だしな、一般教養並みには理解しているだろうが俺ら程じゃねぇ」
「たんとう?」
「きょうか?」
「あ゛ー……まぁ今のテメーらにはどうでも良い話か。忘れろ」
「む、そう言われると気になるのだが」
金髪ポニテ女子と鉢巻黒髪男子が千空と楽しそうに話している。内容からして俺のことだろうけど、良いね仲間ができるってのは良いことだよ。この子らがどういう存在かはさておき。
「じゃぁ、この人も千空の仲間なんだよ?」
鉢巻黒髪男子の後ろから、俺とゲンにラーメンをくれた女の子がひょっこり顔を出す。まーるく刳り抜かれた目からは表情は窺えないが、その脳内は疑問に満ちている事だろう。こてりと首を傾げた彼女は千空とゲンを見比べている。
そんな幼い子供の純粋な疑問に千空は、視線だけそっぽを向いて片耳を小指で掻く。良く出る彼の癖だ。
「違ぇ」
「じゃぁ敵という事だな!」
「ちょっ、ちょっと待って!? ジーマーで! 俺! あさぎりゲンって言うんだけど、聞いたことない? 石化する前はわりと有名……だったんだけど」
チラッとこっちを見てくるゲンに笑顔で手を振ってあげる。多分俺があんまりゲンのことを知らなかったからこそ、千空が知っているかどうかを俺の反応からも読み解きたいんだろうけど、そんな事はさせてあげない。というか無駄な行為だ、千空は良くも悪くも合理的主義なので余計な嘘は吐かないんだし。これ、彼と一年間生活して分かったことね。
「あさぎりゲン、だと……!?」
「知り合いだったのか!? 千空!」
「いや一ミリも知らねぇ」
その場にいた全員がずっこけかける。新喜劇かな?
俺? そこまでノリ良くないよ? あらあらまぁまぁと笑ってるだけだからな。あらうふ系お姉さんって良いよね。
「今知ってる的な反応だったよね!? ……あれ?なんかデジャヴ??」
あー確かに数十分前に似たような反応してたよね、君。
千空の言葉に警戒を解きかけていた全員がもう一度引き締め直し、武器を突きつける。先ほどよりも近くなったそれにゲンが悲鳴を上げた。凄く表情がコミカル。
「やはり敵か! 千空、どうする? 私としてはこの男、排除しても良いのだが」
「発想が一々物騒なんだよコハクテメー。良い、好きにさせとけ。ソイツ自体に俺達をどうこうする力はねぇよ。大方、司から俺が生きてるかどうか見てこいって言われたんだろ」
「!! やべぇじゃねぇか! 司ってのは千空を一度殺した相手なんだろ!? そんな奴が送って来たって事は、こいつもやべぇ奴なんじゃ」
………………は?
「どうせ人が送られて来た時点で俺が生きてるって司が超絶疑ってんのは明白。ソイツが帰ってこないって事になれば、何かあったと考えて次に送られてくるのは戦闘要員とかだろうよ。そうなれば俺らは全滅、良くて俺一人が死ぬ」
「それはダメだ! 君がいなくなればルリ姉がッ」
「クククッ、まだ100億%死ぬ気はねぇよ。そうならない為にもソイツは放置しとけっつー話だ」
ひらひらと手を振った彼はなんてことないように笑う。俺はちょっとさっきの爆弾発言について行けてないって言うのに。
一度殺した相手って何?? 千空って反転術式使えたっけ??? いやその前に呪力運用できてたっけ???? みんながさらりと流すから、別にここで聞く必要のない事だろうけど。え? 気になるなら即座に聞くのが俺? どうでも良い相手ならまだしも、彼はリーダー的存在だ。チームの輪を無闇に乱すような事はしないさ。うん、しないしない。
「良いの〜? 俺、すぐ帰っちゃうかもよ? 言われたのは千空ちゃんの生存確認のみだし、それはもう達成しちゃったからね〜」
「あ゛? 報告するなら俺らにここまで近づく意味がねぇ。それも明らかに武器を持ってる相手にな。俺の姿確認して回れ右したら良い。もう良いか? 分かりきった事実を確認するより次のステップに行きたいんでな」
「次?」
思わず口を出す。次のステップとはどういう意味なのだろうか。俺とゲンが千空に合流するに次があるとは思えない。まぁそれは俺達の都合だから千空には関係ないか。
「ククッ、俺がタダでラーメン配ってると思うか? 無償で配る為に麺の素材から探し出し、文字通りゼロから作ると思うか?」
「思わないねぇ」
「つーわけだ」
ラーメン食った奴は労働のお時間だ!
そんな楽しそうな千空の言葉が辺りに響いた。
…………なるほど。
「それ、僕も対象?」
「に決まってんだろ。ご丁寧にスープまで飲み干しておいて、食い逃げするつもりか?」
「あは……ツケってないの?」
「残念ながらウチは即払い、現金のみだ。金がねぇなら働いて返せ」
わー(白目)
この後めっちゃ
無下限使いてぇー! どうやって応用したらいいかわかんないけどー! 蒼と赫を交互にしてたら鞴みたいになるんじゃないの? 知らんけど。
「というか千空、何作ってるの?コレ」
「鉄」
「鉄!? ウケんね!」
「(どこにウケる要素あったの、悟ちゃん……)」