Good morning,NightCity.   作:銀翁玉

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今後ともよろしくお願いします。


移動 初戦闘 試金石

 

 

アフターライフの外に止めて置いたバイクの所まで歩きバイクに跨りセルスタートをさせる。

バッテリーからイグニッションコイルに電流が流れ、そこからスパークプラグに行きつきプラグがエンジン内部でキュルルというエンジンの初動音と共に火花を散らし立ち上がる。

 

跨ったまま後ろに下がり発進しようとしたところ先ほどの扉の前にいた男がやってきた。

 

「まだ何かありました?」

「大事な事を忘れている。連絡先だ」

「………あっ……これは申し訳ない……どうぞ」

 

そう言い男に自分のホロ電話コードを渡す。

勿論念じてやってみたら相手のコードも来たので成功しているだろう。

ふむふむ……エメリックか。……あー確かにいたなぁ今まで忘れてたよ。

 

「OKだ。良き働きを」

「お互いに、ね」

 

そう言い合ってからバイクを発進させる。

次はワカコがいる桜花ストリートのパチンコ屋だ。

 


 

ナビに桜花ストリートを目的地に指定すると右上のマップに青い線が追加されナビが開始される。

その線に従い交通状況を見ながらバイクを走らせる。

橋を渡りそのまま桜花ストリートに入る為の交差点に差し掛かった所で目の前に車がバリケードのように並べられているのを確認した。

少しずつ減速し停車するとバリケードの向こうから数人が此方を見つめた後指を指す。

 

あっ……これもしかしてチンピラに絡まれるやつか…?

"もしも"を想定し脳内のギアを一段階引き上げる。すると自分でも驚く程体温が下がった事を認識する。…もしかしてコールドブラッドのスキルでも発動したか…?

 

「おいお前!」

「聞こえてるのかおい!」

「お前だよバイクに乗ってるやつ!」

 

あ、私だ。

私ですか?と指で自分を指す。するとそうだよお前だよ!と男が叫ぶ。

やっぱり私か。……あぁ、厭だ厭だ。

 

仕方なくバイクを降りバリケードの向こうにいる男の元に近づこうと歩くと右足近くに弾丸が撃ち込まれる。

そこで動くなですかー…もういい、ヤるか…?

 

「動くんじゃねぇぞ!……おい、あいつが乗ってたバイクとってこい」

 

ナザレが目的か。これはお気に入りなんだよ。そっちがそうなら蹂躙(たたかって)やろうじゃないか。

先ずは叫んでいた男に視点を合わせる。……よし、サイバーデッキ起動。

ping送信。……成程5人か…次、ブリーチプロトコル実行。

 

「……脆いな。」

「ピン!?おm」

 

遅い。ICE突破確認。サイバーウェアのシナプス加速器が起動し意識を加速させる。

加速した意識の中で集団脆弱性・耐久・クイックハックの同時送信確認。遅れてレジェンダリークイックハックの武器グリッチ、オプティクス再起動のパッシブ効果が起動しデーモンが発動。視界()を奪い武器(じゅう)を使用不能にする。

音波ショック送信、男を黙らせスキルの伝染効果で範囲を上げ疫病で5人全員に行き渡る。

そして仕上げに化学汚染を男にアップロード。5人全員が苦しみ声を上げようにも声を発せずに喉を掻き毟りながら倒れる。

 

「……状況終了」

 

戦闘が終了し体温が戻ってくるのが分かる。

体の熱を戻す為に少し立っていると何処からかエディーが入金され視界の隅に500€$が加算されたのが見えた。

……NCPDからの振り込みか、相変わらず早い事で。

 

 

 

バイクの所に戻りバイクに跨り発進させる。

車でできたバリケードを器用に抜け、そのままナビ通りに従い桜花ストリートに入り適当な所にバイクを停車、エンジンを切り降車する。

そのままジグジグストリートに向かい店が連なる中に入り歩いていると女に声をかけられた。

 

「今夜どう?遊んでいかない?」

 

ジョイトイ。

体を売る(淫行的な意味で)人等であり現実世界でもあった職業。

現実側では……まぁノーコメントとしか言いようがないが……この話はやめておこう。

 

「そうだな…夜、もう一回ここに来て君が居たらお願いするよ」

「予約かしら?期待して待ってるわ」

 

予約…?なのか…?をしてそのまま移動しパチンコ店の前までくる。

どこの世界も変わらないと呆れる程に金属球が当たる音と五月蠅い効果音が垂れ流しになっており少々げんなりとした気分になる。

だが行かなければならないというのもあるわけで……

憂鬱な気持ちになりながらもパチンコ店の中に入り店の奥へと足を進める。

 

「部外者はおよびじゃねぇ」

 

太った男から警告を受ける。

中々に神経を逆なでするような言い方だ。だが、この奥に居るワカコに用があってきた以上引き下がる訳にはいかない。

 

「突然で申し訳ないんですがフィクサーであるワカコさんに挨拶をと思いましてね?アポを取ろうにも連絡先が分からないので直接きたのですよ」

「はぁ?挨拶だぁ?お前の名前は?」

亡霊(ファントム)。ついさっきソロを始めると宣言した人間だよ」

「口の利き方に気を付けろ。ここは新米が来ていい所じゃあねぇんだよ」

 

おや、口は悪いがこの男優しいじゃないか。

そう思い思案にふけるフリをして少し待つ。

 

「入ってきてええで」

「ですが…」

「今ローグから話が回ってきた所や。なんでも酔狂なもんがおるそうやないか」

「……わかりました。通っていいぞ」

「ありがとう。ではお言葉に甘えて」

 

男に礼をいい簾を通って奥に入る。部屋の中では椅子に座り机に両肘をついて手を組んでいる老婆がいた。

 

 

ワカコ・オカダ

 

過去にギャング、タイガークロウズの幹部の複数の男と結婚した経歴を持ち何人もの夫を亡くしている。

色々と黒い噂等があるが……直接尋ねる勇気ある者は未だ現れていないという。

ナイトシティの実力者は皆敬意を払うという事から本人も相当な人物だと伺える。

実際ゲーム中の彼女は非常に強かでありとても頭が切れる人物だった。

 

「初めましてワカコさん。亡霊(ファントム)と申します」

 

流石に体は女なのだ。男のお辞儀ではダメだろうと思い左手を上、右手を下にし手を重ね体の前に付け45度の最敬礼をする。

しっかり2カウントとりゆっくりと上半身を元に戻す。顔を上げるとワカコは少し面食らったのか少し目を開いているのが見えた。

 

「えらいしっかりとしたお辞儀をしはるなぁ。」

「アポイントメント無しで伺いましたし、初めてというのもありますが…ナイトシティの実力者達が敬意を払われているっていうのが一番ですね」

「世事はええ。要件を言い」

「これは手痛い、では要件をば……」

 

そういう事で自分の要件を告げる。

 

・ソロとして活動するので何か依頼があれば回してほしい

・同時にウエストブルックでの活動を許可してほしい

 

その事を告げるとワカコは少し考える素振りをした後こう告げてきた。

 

「なら試金石として一件やって欲しい"依頼"があるんや。やってくれるか?」

「喜んで」

 

……さて、鬼が出るか蛇が出るか…

 

 

 

 

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