寒かった冬が終わり、春が近づいてきた。毎日狂ったようにパーカーを着ていた僕だったが、パーカーを着てたら自分の持っていたパンが蒸しパンになるのを見たのでだんだんと春になってきてるんだなというのをひしひしと感じていた。春が近づくと楽しみになるのはウグイスの鳴き声だ。あの「ホーホケキョ」という声を聴くと心が高ぶり闘技場が活気立つ。だが、ウグイスの声はまだ聞こえない。どこかにいないかと思い自転車で探しに出た。ウグイスを探すために南へ行き、北へ行き、波に乗り、右に200歩、下に256歩、左に63歩、そこでたんけんセットを使った。
たどり着いたのは月が空に浮かぶことのない静寂の悪夢と呼ばれている絶海の孤島、しんげつ島だった。しんげつ島にたどり着いた僕は島を探索することにした。うぐいすはいないか、よく目をそらしながらスナイパーライフルについているスコープに目を通し、辺りを見つめた。だがいたのはハヤブサやカワセミ、ドラゴンだけでウグイスはいなかった。仕方がないので帰ろうとしたが自転車しかなく空を飛ぶ神獣を連れていなかったのでしんげつ島から出ることができなかった。何年に1回か船が来るのでその船を待つことにした。
一週間たった。船は来なかった。明日はきっと来るだろうと野宿した。
一か月たった。船は来ない。だがそれでも僕は船が明日こそ来ると信じまた野宿した。
一年たった。けど・・まだ船はこない。永久に来ないのではと絶望したがまさかそんなことあるわけないとまた野宿した。
そして・・・ついに10年がたった。父さんや母さん、オノマトペ権三郎DXはどうしているだろうか・・・・いや、そんなことを言ってる場合じゃない!!!どうなってんだ!!!ウグイスや泣いたの伏線回収ができなくて僕が死んだらこの小説はおしまいじゃないか!!!!わあ~!!!!僕がウグイスを見つけようなんて思わなければこの話はなかった。僕は寂しくここで死ぬんだろうなと思った。その時だった。「ホーホケキョ!!!!!」けたましい鳴き声だった。だがこの鳴き声は間違いなかった。僕が探し求めていたウグイスだった。よかった・・・よかった・・・そうだ。春が来たんだ。だが僕は腹が減ってしょうがなかった。僕はウグイスを捕まえ、パンに詰めて食べた。腹は満たされたが僕は悲しくて涙を流した。そうしてガッカリしてメソメソして泣いていたら船が来た。10年ぶりにようやくしんげつ島に船が来たのだった。僕はその船に乗り込み、街へと戻った。
僕はこの出来事を日記に記し、本を出版した。それはそれは飛ぶように売れた。そしてパンにウグイスを詰めて食べる手法が流行し、これがうぐいすパンの元になったのは記憶に新しいだろう。
だが、そのせいでウグイスは絶滅に近づいている。生きるために命を奪った僕の行いが他のウグイスの命も奪ってしまったのだ。僕はまた泣いた。ウグイスを食べたからだ。この涙は僕の涙ではなくウグイスの涙なのかもしれない・・・