えっと、また私の諸事情により少しだけ投稿速度が落ちると思われます。すみません。
一人、通学路を通る啓斗。先日とは違いパンは咥えていない。その代わりに背中に大きなケースを背負っている。
別に啓斗の学校の校則が緩い訳ではない、というか風紀委員会が厳しい為規則違反をする生徒はごく僅かだそう。
そうするとやはり大きなケースは目立つ。
「すみません、そこの二年生。少しいいですか?」
「はい、なんですか?」
「なんですか、ではありません。それは…ベースですよね。今までは持ってきていなかった筈なのですが」
「あー、まぁ放課後修理だそうかな、と思いまして」
「そうですか。ではこちらは預からせてもらいます。貴方の名前とクラスは?」
「2ーEの神崎啓斗です。生徒会室でいいですか?」
「はい、そうです。では放課後に」
少しシュンとした啓斗は歩幅を縮めながら自分のクラスに向かう。
折角のベースが取り上げられた事にショックを受ける啓斗。教室にベースなんて大きい物を置くスペースがない事に気付くと良いのか?とも思ってしまう。
考え事をしていたからか、目の前に人がいる事を確認できていない。
「……と、啓斗!!ぼぅとしてたけど大丈夫?」
「あ、たえ。少し考え事してて」
「さっきの事?紗夜先輩になんか没収されたんだって?」
「ベース……楽器の方だからな。久しぶりに触ったからメンテナンスしてもらおうと思ったんだけど」
ベースと聞いてあからさまに野球の方を頭の上に浮かべていたたえに対して早めに釘を打つ。たえは一度納得した後啓斗がベースをやっていたことに驚いている。
「啓斗楽器やってたの?初めて知ったよ」
「一回辞めちゃってね。またやろうと思ってさ」
そこからも暫く会話をしていたが担任が教室に入ってきた為たえは自分の先へと返っていった。
それからの啓斗というもの、ベースが頭から離れず授業にも集中できず…ということもなくいつも通り寝ていた。そんな啓斗に刺激が加えられる。
あまりの衝撃で顔を上げるとそこには微笑むたえではなく、啓斗の見覚えのある大きい荷物を持った市ヶ谷有咲の姿が。
「おい、神崎起きてんのか?だったらこれ紗夜先輩からの届け物だ。後、次から持ってくるんだったら許可証書いてこい」
「市ヶ谷ありがとう。天使みたいだ」
「はぁ?そんな事言うんじゃねぇ!お前にはおたえがいるだろうがっ!!」
「いや、別に俺が片想いしてるってだけだし…///」
「そういう事じゃねー!発言に気を付けろって事だ!!」
放課後で完全に誰も居ない中、会話をする二人。有咲が帰る直前に寄った様で既に日が傾きかけていた。啓斗は帰りの準備をして、有咲と校門で別れ楽器店へと向かう。
少し錆びれた入口が印象的な店の中は意外にも綺麗で多くの商品が並んでいる。そこには小柄な中年男性が居た。
「あの、すみません。ベースの修理ってできますか?」
「できるよ。君、初めて見るね。預かってもいいかい?」
「はい。これです使ってなくてダメになってるかもなんですけど……」
「はは、こりゃ相当だ。一、ニ週間時間くれないかな?」
五、六年放置していた物を瞬時に直す事のできる人間はそうそう居ないだろう。ベースを店員に預けた後、帰宅するのだった。
日は完全に沈み啓斗がポツリ。しかしながら啓斗は自分以外に誰かがいるのを感じていた。その為至る所で右に左に遠回りをしていたが一向に巻けている予感はせずに大分進んでいる。
コツ、コツコツ、コツコツコツ。音は大きく近くなり、ふと音が止まった際に啓斗が後を向くと…その正体はストーカーなんかではなく息を切らして休憩しているたえだった。
「あ、あれ。たえだったの?」
「うん。なかなか追いつけなくて」
「顔見知りなんだから声かけてくれればよかったじゃん」
「だって追いつきそうだったから、啓斗あしはやすぎ」
「ごめん、変な人に追いかけられてると思って、逃げちゃった」
たえと啓斗は歩きながら夜道を歩く。その時の啓斗は難しい事を考えずに、ただ好きな人と話す事を楽しんでいた。