花で奏でる。   作:斉藤努

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第6話

たえはライブハウスでのアルバイトを終わらせて帰ろうとバックを肩にかけて外に立つ。何故か浮かない顔をしている理由は本人以外にはわからない。

 

電車を使おうと駅のターミナルにポツンと座っている女性を見つけ息を荒げながら走る。

 

たえが走った先にいたのはレイだった。十年近い再会の筈だが二人を隔てる物はない。勢いを殺しながらレイに抱きつくとレイは驚いた顔をした後笑みを零す。しかしながらそこには素直な喜びとは別に複雑な感情が混ざっている、という事は本人も気付いてはいないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は移って公園。あの日、最後に別れたあの場所。嬉しいだけの時間だがレイは、後悔するかもしれないと思いながらも一歩踏み出す。

 

「あのさ、花ちゃん。一つ質問してもいい?」

 

「どうしたの?私も聞きたい事はいっぱいあるからいいけど」

 

「ありがとね。花ちゃんって、付き合ってる人っている?」

 

「居ないけど。あれっ、もしかしてレイそういうの気になるようになったの?昔は男の子毛嫌いしてたのになぁ」

 

男を毛嫌い、というよりはただ単に啓斗以外の異性に興味がなかっただけなのだが。

 

「あ、でも一緒に居るとすごい安心する人は居る、かな?」

 

「そうなんだ、その、好きとかではないの?」

 

「なんか積極的?好きとかではないよ。あっちはあっちで好きな人とか居るだろうしさ」

 

啓斗を好きな訳でも、啓斗の気持ちを気付いている訳でもない。それがたえらしさと言えるだろうか。

 

しかし、レイからするとあの時手を繋いでいた二人が何もないと言うのは合点がいかない。

 

だからといってこれ以上踏み込んで仲を悪くする事は望んでいない。ジレンマがレイを苦しめる。

 

ここに啓斗が弁明することが一番良い結末なのだがそう簡単に現実は向かわず、談義を楽しんだ二人は帰路に着くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

レイは啓斗の事が好きである。何年も何年も忘れずに寝る際に啓斗の名前を呟く程度には。

 

 

 

 

 

 

『子供らしくない』『カッコつけてる』等。幼きレイが沢山言われた言葉であろう。

 

場所は違えど苦しんでいるレイを救ったのはたえと啓斗だ。ミュージックスクールで、たまたま公園で。出会っただけなのに、何故にこんなにもレイの心を締め付けるのだろうか。

 

付き合っていないとわかったがあの時の啓斗を見てただの友達だと信じるほどレイは鈍感ではない。

 

好きな人が自分の知らない数年の間に恋をして、その相手は自分のもう一人の幼馴染み。頭が痛いとかいう次元の話ではなく、レイを精神的に蝕んでいる。

 

その後、ご飯を食べベットに寝転び一つの答えを出す。幼馴染みだろうとなんだろうと容赦はできない、と。

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