dubでチュチュに反抗した啓人だったがアテなんてものはない。
美乃里や他のライブハウスの人間に話を聞くのだが、ソロでギターが達者なんて者は早々居るものではない。
何も発展しないまま、時は流れてゆく。
合同文化祭当日。今までもpoppin'partyの面々にダブルブッキングについて話す機会は沢山あった筈だ。しかしながら、行動に移す程啓人に余裕は残されていなかった。
舞台裏でたえを待つ啓人とポピパの四人。そこに一人の少女が舞い上がる。
「羽丘学園一年、朝日六花です!」
そう言い放つと眼鏡を外しシュシュで髪を束ね初め、終わると会場内に轟音を響かせる。
その一部始終を舞台袖から見ていた啓人は六花の演奏が終わると同時に走り出す。
知り合いから自転車を借り、dubまで漕ぎ進む。
目的地に着くと借り物だという事を忘れ、放り出したまま走り始める。
“RAISE A SUILEN”と書かれた控え室にノックもなしにドアを捻り開け、息切れしながらたえの方へ足を向ける。
「あら、コウサキどうしたのかしら?excellentなギタリストが見つかった?でも遅かったわね、残念」
「なにが残念だか知らねーけど約束通りたえは連れ返す。早く行くぞ!」
「け、啓人?怖いよ、行くってどこに?」
「学校、皆たえの事待ってるんだよ!!」
「いやでも…わっ!?」
たえの言葉を最後まで聞かずに手を引っ張り続け、自転車で来た道を帰っていく。
しかし、ミリ単位の差で文化祭ライブは終わってしまっていた。
疲れからか、それとも精神的苦痛からなのか、膝から崩れ落ちる。
啓人はダブルブッキングのことを知っていたのに黙っていたことを責められると思っていた。
責める所か本気でたえを連れてこようとしたことを褒めまくっている。
そうでもしなければ苦しみを紛らわす事が出来ないのであろう。ライブ中はカッコよく、大人気ていても中身はただの女子高校生なのだから。
啓人は羽丘学園に足を運ぶ。理由は文化祭で見たあの少女に声を掛けるためだ。そうしなければチュチュとの約束を破ることになってしまう。色々無理難題を突き付けてきた人だが啓人は律儀な人間な為しっかりしているようだ。
だがしかし、羽丘学園に啓人の知り合いは居ない。それ故、校門の前でただ待っている…訳も行かず、教師にバレてしまったが事情を伝えると、制服を着ているのもあってか校内に通される。
そこから事務の人間に案内され1年A組の前で待つ。何分か立っていると授業が終わり、人が帰っていくなか三人組の少女だけが残っていた。
「六花の事呼んでる人って誰だろうね」
「うーん、誰かな。特に約束もしてないし…」
「ねえねえ、あそこに花咲川の制服の人いるけどその人かな?」
「そうかも、って啓人さんじゃん。どうしたんだろ?」
「えっ、明日香ちゃん知り合いなの?」
「ま、まぁね///お姉ちゃんの友達」
三人は話しているのだが、そこまで近くに居ない啓人には聞こえていない。
「あすか?顔真っ赤になってるよ?」
「なんでもないって///だって啓人さんは…むぐっ」
「知ってる顔が見えたと思ったら明日香だったのか。はぁー、危ない危ない」
明日香の気持ちは気付かず自分の危機を回避する啓人。急に啓人が近くに来て慌てているのにも気に入れない。
「すまん、明日香。本題に入る、朝日さん俺に着いてきてくれないか?話は後で話す」
「はっ、はい。どこに向かうんですか?」
「ライブハウス。歩きで行くけど大丈夫?」
「わ、分かりました。行きましょう」
ある程度の事情は分かっている明日香は複雑な気持ちの中二人を見送る。こんな時でも啓人の頭にはたえの事しかないのであった。
明日香脈アリみたいな風になってますが多分次にでてくることはないと思います。
ではまた次回