啓人と六花はdubに来ていた。理由は明確、チュチュに六花を合わせる為。
部屋の一角にて待っていたパレオとチュチュは啓人が来るまで話していた。
「啓人さんがお連れになる方ってどんな方なんでしょうね」
「ふっ、どうせつまらない人間よ。タエより優秀なguitarist居るわけないわ」
「やっぱりそうですよね…でも、啓人さんを信じてます」
チュチュは否定的な考えを持つがパレオは啓人を信じている様子だ。
そこへ2人の影が近付く、啓人と六花である。
「朝日さん、ここにプロデューサーの人がいる。ちょっと不思議に思うことがあるかもしれないけどそれは口に出さないようにね」
「は、はい! (ふ、不思議ってなんやろ? めっちゃ怖い人とかなんかな…帰りた〜)」
「緊張しちゃってる? 大丈夫、ちょっと口は悪いけど話せばわかる奴だから」
啓人の言葉にホッとはする六花だが、まだ少し緊張をしていて呼吸が乱れている。
「…し、ひつれいしましゅ。あぁ、噛んでもうた。どうしよう〜」
「これがカンザキが連れてきた人間? まぁいいわ、早くギターを引いてくれないかしら?」
は、はいぃと嘆きながらも部屋にある備え付けのギターに手をかけチュチュに渡された譜面を見て音を奏でる。
「……貴女アサヒと言ったわね? 舐めてるのかしら、カンザキにも舐められたものね。どうせまだ外にいるのでしょう? 呼んで来てくれないかしら」
「は、はいぃぃぃ、呼んできます!」
「あのぅ、カンザキさん? チュチュさんが呼んでます」
「あ、もう終わったのか。俺の苗字かんざきじゃなくてこうさきって読むんだよね。チュチュは直そうとしないけどさ。後、俺の名前呼ぶんだったら啓人でいいよ。敬語じゃなくていいし」
「わ、分かりました。啓人さん、じゃあ行きましょう?」
軽い会話を挟んだ後にチュチュ達が待っている部屋へ足を向ける二人。六花だけ足取りが遅いように見えた。
「チュチュー? 朝日はどうだった?」
「よくこんな程度の低いguitaristを用意したわね。私をおちょくるのにも程があるわ」
「は? 耳壊れてんじゃねぇの? 朝日の演奏は一流レベルだぞ?」
「耳がcrazyなのは貴方の方ね。なによ、あの人の顔を伺いながら演奏する態度は? あんなものは求めてない。だからタエは返してもらうわよ」
「あ、え、あの…チュチュさん! もう1回だけ私にチャンスを下さい!!」
「時間の無駄、与える価値がないわ」
六花はキツい一言を言われ萎れているがチュチュの眼中にない。パレオと共に部屋を出ようとした刹那、部屋中に電流が走った。
「ウチのこと、そこまで見くびられるとと困ります!!」
そこに立っている六花は眼鏡を外し、キリッとした目が据わっていた。
「なっ、今のは貴女が弾いた音なのかしら? だとしたらさっきの言葉は取り消すわ。あの音ならRASに相応しい」
余りの手のひら返しに呆気に取られる啓人と六花だったが安堵した啓人は六花に抱きついた。
「け、啓人さん!? 近いですし、あのっ?」
「いやだって、合格したんだよ? 六花、ありがとう!」
顔を真っ赤にする六花の前であっても『ありがとう』と口にするぐらいには啓人の頭の中にはたえのことしかない。
「啓人さん///もう苦しいですって。うぅ///」
啓人はハッ、として周りを見渡すがそこにあるのは六花が弾いたギターとチュチュの名刺だけであった。
「アイツら帰ったのか。俺片付けちゃうからさ。あ、そこにある名刺に書いてある所行ってみ? 多分喜んで迎えてくれると思うし」
少しながら様子のおかしい六花を残して啓人機材を持って扉の向こうへ向かう。
「すっごく優しいしカッコよかったなぁ、啓人さん」
夕暮れ時、啓人は公園のベンチに佇んでいた。六花がチュチュのオーディションに受かった事に対して軽く放心状態に陥っている。その前に現れる1つの影、その正体は和奏レイであった。しかしながら、その存在に啓人は気付いていない。
「けーいくんっ! 考え事?」
「ふぁっ!? れ、レイちゃんか…びっくりしたよ」
「あはは、ごめんね。何考えてたの?」
「いや、そうじゃないんだけど。それでね、今日RASのギタリスト決まったの!」
レイが笑顔の顔を見つめていると啓人と目の焦点が合い、2人とも顔が赤く染まっていく。そして互いに呼吸が荒くなり顔が近付いて……
(けいくんと…っ! 私変な事考えちゃってた。けいくんは花ちゃんの事好きなんだから、私は我慢しないと。2人が幸せなら私は幸せだよ…)
1度は覚悟を決めていながらも、しかしながら揺らぐ。それが年頃の人間の心情といった所か。そういう感情にさえ鈍感なのが啓人なのだ。レイの悩みなど気付く事など無いのだろう。
「レイちゃんってさ、好きな人居る? 俺はいるんだけどさ、相手は全然そういう感じなくて、どうしたらいいのかなぁ」
「私だって好きな人ぐらいはいるよ。そうだな…例えば不意打ちでこうしてみるとかは?」
その言葉と共にレイは啓人に抱きついた。なんの
「確かにちょっとびっくりした。でも…恥ずかしいなぁ」
「じゃあ私として、慣れる?」
告終わり、レイの意識は覚醒した。自分の言った事を思い出し顔を赤く染めている。その真意を啓人が理解する事はあるのだろうか。