呪霊操術の使い方   作:シーボーギウム

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感想評価ありがとうございます。

遅れてごめんね。お詫びに一つ裏話(?)を。

前回、直毘人さんは唯ちゃんに禪院姉妹の改造を頼みました。断られるのは分かってて、彼女達が虐められているのを見せるのが「目的」でした。
でも最後まで、態々禪院姉妹の改造をさせようとした「理由」が不明です。
彼はなんで直哉君という将来有望な次代当主候補がいるのに、態々自分が非術師にされるリスクを負ったんですかね?
仮に扇さんだけなら、老い先短い人間しか候補がいないとなりますがそういうわけでもなさそうですよね?

因みに唯ちゃんは一度だけ直哉君とエンカウントしてます。



10.少女の不思議

「孤児院、ですか?」

「そ、今からそこに行くからついてきてくんない?」

「それは構いませんが………」

 

 任務を終えた途端にそんなことを言った唯さんは、どこか楽しげな雰囲気がある。表情もかなり明るい。

 

「子供は好きか?」

「嫌いではないですけど………」

「なら問題無い。行くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 到着した孤児院は、特に特別なものは感じなかった。言ってしまえばどこにでもありそうなありふれた場所だ。唯さんが玄関チャイムを鳴らす。しばらくすると、中から20代半ば程と思われる女性が現れた。

 

「あら、唯ちゃん!久しぶり!」

「久しぶりです臼田さん。2ヶ月ぶりですね」

「上がって上がって!あの子達も喜ぶわ!」

 

 私を見て首を傾げた女性、臼田さんに仕事の後輩だと簡潔に説明をして唯さんは中へ入った。私もそれについて入る。やはり、特別なものは何も感じない。

 

「皆ー!唯ちゃんが来たわよー!!」

 

 臼田さんが声をあげる。すると上からドタドタと複数人の足音が響いた。数秒して階段を降りてきた黒髪と金髪の二人の少女が満面の笑みで唯さんに抱きついた。

 

「「お姉ちゃん!!」」

「久しぶり〜!」

 

 唯さんは少女達を抱き返しつつその頭をワシャワシャと撫でた。その間に、続々と上から子供達が降りてくる。彼らは例外なく、唯さんを見ると同時に笑顔を浮かべた。子供達は私にも気後れすることなくいくつも質問を飛ばしてくる。

 そこからしばらく、私達は子供達の相手をするので手一杯になった。

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

「はぁ………」

「お疲れ」

「呪霊を相手にするより疲れましたよ…………」

 

 帰りの車の中で思わずため息をついた。最後まで衰えることの無かった子供達の勢いに、私は終始翻弄されてしまっていた。

 

「まぁ悪い疲れではないだろ?」

「それでも疲れたことには違いありませんよ…………」

 

 しばらく沈黙が続く。あの孤児院、少し異様だった。あそこにいた子供達、そして臼田さんは、()()()()()()()()()()()()。いたのは精々が4級にも満たない蠅頭だったが、彼等彼女等の動きは見えている人間のものだった。

 

「あそこにいる子達には、私が見えるように術式で少し脳を弄ってる」

「…………なぜそんなことを?」

「危機から逃れられるように。あそこにいるのは例外なく、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 呪霊によって家族を皆殺しにされた子。呪詛師によって家族を皆殺しにされた子。見えるが故に迫害された子。見えるが故に壊れかけてしまった子。

 

「例外なくということは…………」

「臼田さんもだね。3年前、あの人は夫と、当時1歳の息子さんを呪詛師に殺されてる」

 

 あそこにいる全員が、例外なく地獄を経験している。その事実に絶句する。

 

「傑には定期的にあそこに通って欲しいんだ」

「私がですか……?」

「うん、私も定期的に見に行ってるし、臼田さんもいるから大丈夫だとは思うんだけどね」

「臼田さん?なぜ彼女が?」

「あの人一級だから。シン・陰流師範代」

「は!?」

 

 それは私は必要なのか…………?

 

「必要さ、あの人は自分が戦う姿は出来る限り子供達に見せたくないらしいから」

「心を読まないでください………」

「で、受け入れてくれる?」

「はぁ…………今更断れると思いますか…………?」

 

 ははは、と笑う唯さん。やはり、この人は性格が悪い。

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

 孤児院に初めて行った日から数ヶ月。子供達にもかなり懐かれた頃合の話だ。

 

「唯さんの誕生日……ですか?」

 

 曰く、毎年ここで盛大に祝っているらしい。丁度今日から一週間後なのだとか。臼田さんが言うには、今年は私にも参加して欲しい、ということだ。

 

「………予定が合えば」

「なら、予定が合うように祈ってるわ!」

 

 その後、私の誕生日も聞かれた。門の前で手を振る子供達に手を振り返しながら、補助監督の運転する車へ乗り込む。

 

「すいませんね」

「お気になさらず」

 

 クスクスと笑う補助監督の姿に気恥しいものを感じる間に、車が発進する。流れていく景色を眺めながら今日の出来事を思い返していると、ふとした疑問が浮かんでくる。

 

(唯さんは何故自分の誕生日を覚えているんだ…………?)

 

 まともな人間なら当たり前だろうという言葉が返ってきそうな疑問。しかし唯さんの場合そうもいかない。何せ、あの人は自分の年齢を尋ねられた時()()()()()()のだ。必ず、一瞬考え込む。思い出し方も、今自分が高専の2年生だから17歳、というものだ。

 

(それ以上にあの人は自分のことに無頓着だが…………)

 

 年頃の少女と言えるのに化粧一つしない。私服はマトモなものを持っていない。私や悟がいる部屋で平然と着替えを始めようとする。即座に思い付くものだけでもこれだけある。定期的に歌姫さんにキレられているのを良く見るくらいだ。

 しかし、誕生日だけは覚えているというのだ。毎年必ず、誕生日には休みを取ってあの孤児院で過ごしていると。

 

(ダメだ。妙に気になってきた。帰ったら理由聞こう)

 

 結局、理由ははぐらかされた。

 

 だがその理由を、私は彼女の誕生日の数日後に知ることとなる。

 





感想評価よろしくお願いします。

何やら感想欄でアンケートが性癖暴露トラップとか言われてますが、分かってますか?

私がこれ全部書ける前提でのアンケートですよ?

つまりそういうことです()

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