呪霊操術の使い方   作:シーボーギウム

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感想評価ありがとうございます。

今回話の途中に病名がいくつか出ます。ご不快に思われたら申し訳ありません。
後めちゃくちゃします。めちゃくちゃします(迫真)
独自設定バリバリなので「は?クソかよ」となったら高評価してからブラウザバックして下さい(強欲)



7.死が二人を決別つとも

 死が、急速に迫る。私の喉元に手をかける。

 

 ()()()()()()()()()

 

 立ち上がる。目を開く。驚いた、まるで見え方が違う。なるほど、これはハイにもなるだろう。

 

「マジかよ………」

「はは、」

 

 なるほどこれか、これが核心。呪力の極意。極致!良いね!最高の気分だ!!

 

「ははははは!!!」

 

 あの日以来のクソみたいな気分が嘘のようだ!この馬鹿みたいな全能感!!何もかもが上手くいくという確信!!

 

「サンキュー!術師殺しィ!!死ぬ程気分がいいぜ!!まぁ一度死にかけたわけだけどさぁ!!」

「良いね!最高最高最ッ高!!今ならなんでも出来そうだ!!!」

「そんでもって予想通り!!術式反転!!良い!!神ってる!!完璧に私のやりたいことが出来るぜ!!」

 

 絶頂しそうな程の多幸感が全身を突き抜ける!おそらくはこれ以上に気分の良い日は、私の今後の人生で後一度しか訪れない!!計画通りってのはここまで気持ちいいもんだとは!!

 

「この術式他人に試してみたいんだけど実験台よろしく頼むぜ!!」

「はっ、嫌だね」

「返答聞いてねぇよ、嫌がっても無理矢理やるしなぁ!!」

 

 臨戦態勢!!

 

「第2ラウンドといこうぜ!!!」

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

(面倒くせぇことになりやがった)

 

 反転術式に目覚めた目の前の特級術師に内心うんざりとしながら、伏黒甚爾はどうにか目の前の少女を殺すための策を模索する。

 

「クエスチョン!!呪霊はどう生まれる!?」

「あ?」

 

 呪術に関わる人間であれば誰でも知っているであろう質問に、彼は首を傾げた。人間の負の感情、それが澱のように積み重なり生まれるのが呪霊だ。彼はそのままに伝えると唯はテンション高くイグザクトリィ!と叫んだ。

 

「なら呪霊の反対ってなんだ!?私は初め精霊だと考えた!でも違う!あれは人間の正の感情が積み重なり生まれる存在!!カテゴリーは呪霊と変わらない!!ならその答えはなんだ!?」

「正解は人間!!呪霊、精霊は人間の感情と本能の写し身!!呪霊操術を反転させれば私は人間操術になると想定していた!!」

「だがここで私独自の要素が入り込んだ!!()()()()!!その構造を把握する私限定だが術式反転は大きくその表情を変化させる!!!」

 

()()()()!!!」

 

 言葉の直後、伏黒甚爾は己の左腕がへし折れた状態で吹っ飛ばされていることに気が付いた。本能による防衛反応。それ無しだったのなら、今彼の頭蓋は水風船の如く破裂していただろう。そして天与の肉体が伝えてくる、有り得ない筈の情報に顔を顰めた。

 

「お前、なんで()()()()()()()()()()()()()()

「この術式は平たく言えば()()()()()()()()()()!!同時に存在し得ない、()()()()()を有り得るに変える!過去に選択されなかった()()()()を今に引き出す!!」

 

「さて、私は五条家の血筋だ」

 

 唯が左手で、再生した左眼をグチュリと潰す。それを眼窩より引き抜き現れたのは、()()()。知らぬ訳が無かった。

 

「術式反転」

 

 ボコボコと泡立ち生えてきた右手が銃の如く向けられる。伏黒甚爾は己の本能に従い即座にその場を飛び退いた。

 

「『』」

 

 背後の景色が吹き飛ぶ。左眼、口から大量の血を吐き、右手が無数の裂傷に傷付けられながら、しかしそれでも唯は笑い、嗤う。

 

「ははっ!流石に六眼と無下限呪術と天与の肉体の抱き合わせはやり過ぎか!!負担がイカれてやがる!!」

 

 その傷すらも動画の逆再生の如く再生していく。その様に伏黒甚爾は殺害は不可能と判断した。

 

「んじゃあ次、って逃げんのかよ!?」

「あいにくと下らねぇ意地張って死ぬような馬鹿じゃねぇからな」

 

 音速に近しい速度で逃げ去る伏黒甚爾に機嫌を損ねながら、しかし唯のその表情は喜悦に歪んだままだった。

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

「話とはなんだ、唯」

「私達二人を呼び出した以上、下らない話ではないでしょうね?」

 

 両親(クズ共)の言葉に神経が逆撫でされる。口を開くな、息をするな。そんな罵倒が飛び出そうになる。だが装う。あの日から1年、耐え続けてきたのだ。

 

「ええ、非常に重要な話です。お父様、お母様」

 

 それも今日で最後だ。あと数分程度なら、喜んで我慢しよう。

 

「反転術式に目覚めました」

「何!?」

 

 驚愕するクズ共。そして豊かで無駄な想像力を駆使して自分達の地位を上げることばかりを考えている。愚か過ぎて笑えてくる。それだから、足元を掬われる。

 

「話はまだ終わっていません」

「何?どういうことだ?」

「反転した術式で、他者の持つ呪力量や術式を強化出来る可能性があります」

「ほう………」

「一番初めは、是非お父様方に」

 

 左手を差し出す。クズ共の手が差し伸べられ、私の手に触れた。

 

 

────ああ、ようやくだ。

 

 

「何をした!?」

「はぁ、やっとだ…………」

「答えろゆっ!?」

「うるせぇよ」

 

 コチラに迫ってきた父親(クソ)を蹴り飛ばす。困惑する母親(ゴミ)をクソの傍に投げる。私がやったことは単純。コイツらの呪力を()()()()()()()()()()()()だけだ。

 

「唯!早く私達を元に戻しなさい!!育てた恩を忘れたの!?」

「おいおいおいおい、虎の尾の上でタップダンスして逆鱗でスクラッチDJするのやめてくれますぅ?」

「は、はぁ?」

「良くもまぁ、恩を忘れたの!?なんて言えるなおい。私から優を奪っておいて」

 

 口を噤むクズ共。これは優を殺した女を拷問して聞き出したことだ。

 一年前、凛堂家は御三家にも近しい権力を獲得しつつあった。私という特級、優という、私に迫りうる一級。ウチはもちろん、五条家は良い。自分達の権力が増すだけだ。だが禪院と加茂、凛堂を除く他の分家にとってそれは面白くない。そこでこのクズ共はそいつらと取り引きをしたのだ。

 

 優を謀殺することを代償とした、不戦協定。

 

「裏も取った。未だに腸が煮えくり返る」

「ふざけるな!!アレはお前のためでもあったのだぞ!?」

「………あ゛ぁ゛?」

「分不相応に力を付け、お前の地位を脅かしたあの出来損ないは邪魔だった筈だ!!あんなモノにお前は執着し過ぎていた!!事実!アレが死んだおがっ!?」

「ははっ!はははっ!優が邪魔!?スゲェ!スゲェなぁおい!!なぁ!!返事しろよクズが!!?あ゛ぁ゛!!?」

 

 クズだクズだと思っていたがここまでとは思っていなかった。

 

「決めた!非術師に変えるだけじゃ済まさねぇ!!お前は!お前だけはもっと耐え難い苦痛を与えてやる!!!」

 

 その頭蓋を掴み取る。引き出すのは負の可能性。己の内を焦がす憤怒が呪力の総量を底上げする。その憤怒に半ば支配されながらも、どこか冷静な部分が確実に術式を行使する。

 

「最期だからなぁ!ステージ4の末期ガン!エイズその他合併症!筋ジストロフィー!好きな死因を選ばせてやる!!」

「や、やめ……」

「てめぇは黙ってろ!!」

 

 母親(ゴミ)を殴り飛ばす。

 

「ほら、選べよ」

「や、めでぐれぇ……!ずま゛ない゛わだじがわるがっだ…………!だがら…………!」

「あぁ?聞こえねぇよ。選べや」

「ずまなが」

「あーあー遅せぇなぁ時間切れだバーカ!!特別に全部プレゼントしてやるよ!!」

 

 術式を発動する。知りうる限りの不治の病、難病とされる病の可能性をその身体から引き出していく。全てが終わり、崩れ落ちたクズを投げ飛ばした。

 

「安心しろ、死なせない。金に糸目は付けない。出来うる限りの治療で最大限延命してやるよ。後、精神を病んで自殺しようとするかもしれないからな、拘束具もオマケで追加してやる」

 

 その言葉を聞いてからか、クズは意識を落とした。さて、次はさっきから私に縋りついてこようとするゴミの処理だ。

 

「唯!あ、貴女一人でどうなると言うの!?」

「はぁ?」

「他の分家や禪院家、加茂家との権力闘争!凛堂家の運営!何も知ら」

「問題ない」

「え?」

「え?じゃねぇよ馬鹿が。お前らの権力が自分由来のものだとでも思ってたのか?違ぇよ。お前らの権力は全て私がいるから、それに付随してきただけのもの。所詮は私のお零れを勝手に貰ってただけだ」

 

 顔面蒼白という言葉がお似合いの表情に変わるゴミ。うん、多少気分が良くなった。

 

「それと他の分家も問題ない」

「な、何で………」

()()()()()()()()()()()()()()()

「は?」

「現時点では五条家の分家は凛堂しかいない。他御三家も後日、私が直接出向いて牽制しに行く。高専の上層部もだな。私の機嫌を損ねたら非術師になる。それなら変に手は出さないだろ?お前らの反応を見れば一目瞭然だ」

 

 コイツらは非術師を見下している。私も、この環境にいることもあっていくらかそういう部分があることを否定出来ない。そしてコイツらは術師であることに異常なまでのプライドを持っている。だからこそ、私は復讐で殺すのではなく非術師に変え、より長く地獄を見せることを選んだ。

 

「もういいや。いつまでも居座られると邪魔だし………おい!!誰かいるか!!」

 

 従者達が何人か部屋に来る。既に私が懐柔した者達だ。ゴミとクズを指差し、指示を飛ばす。

 

「コイツらを連れて行け。そこのクズは死なせるな。医者に少なくとも一年は全力で延命するように伝えろ」

「かしこまりました。して、()()()()()()()()()()?」

「知らん、叩き出せ」

 

 従者の言葉に困惑するゴミ。用意していた手鏡で顔を見せる。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。取り乱すゴミ。それを無視して従者にさっさと連れて行くように指示を出す。

 

「さようなら、誰とも知れぬどこかの誰か。どこぞにでも行って好きに野垂れ死ね」

 

 喚き声を上げながら連れて行かれるゴミとクズが視界から消えてから、私はその場に座り込んだ。

 

「この部屋は解体しよう。痕跡一つ残したくない」

 

 ずっと、ずっとずっと大嫌いだった存在が、ようやく私の歩む道から姿を消した。反転術式に目覚めた時のような多幸感は無い。だがかつてないほどに清々しかった。

 

(やっと始まる。やっと、戦いを始められる)

 

 恐ろしく遠いスタートライン。だがようやくそこに立った。ならば後は、ゴールまで駆け抜けるだけだ。

 

(覆してやる)

 

 優。死が二人を決別(わか)つとも、私は貴女を愛し続ける。

 




 
人体操術

 言葉だけ見ると「あれ?無為天変の劣化じゃね?」となる術式。あれとの区別は、エンジンを例えにするとわかりやすい、かも?
 無為天変は車のエンジンはそのままに、全く違う、乗り物ですらないパーツすらも無理矢理繋げて無理矢理動かすイメージ。だから改造人間は直ぐに死ぬ。
 対して人体操術。こちらはエンジンから改造する。まずエンジンを改造し、その後パーツを付け替えていく。だからエンジンの改造の仕方か付け替えたパーツに問題が無ければ普通に生きていける。
 エンジンの改造の仕方が無茶だったパターンが、唯自身が無下限呪術を使ったシーン。あそこは六眼、無下限呪術、天与の肉体、書いてないが呪霊操術の保持すら込みだったからエンジンが耐えきれずに爆発した。根本的に複数の術式を組み込むのが無茶なので。
 パーツに問題があるパターンがクズ。ぶっちゃけ意図的に問題のあるパーツを付け替えただけだけど。
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