章を追加しました。
そして前話で「人体操術チート過ぎねぇ?」と思った方に朗報です。
この章で弱点がバリバリ出てきます。前回の彼女は反転術式に目覚めた直後で「最っ高にハイッてやつだぁ!!」してたのもあってチートチートしてました。
これからチートチートしてくる、というのは、あくまで呪霊操術に起因してくるものです。凛堂唯の強みはあくまで呪霊操術です。
あと今回途中で汚い描写が出ます。気を付けて下さい。
8.イケメン育成計画
「私以外の呪霊操術の使い手?」
「そ、飛び切りムカつく奴が一人いる」
先日、紆余曲折あって親友と呼べる間柄となった青年の言葉に、私は強く興味を引かれていた。
「その人が私を指名していると?」
「傑が入学した時点で俺に呼べ呼べうるさくてさ、いい加減鬱陶しいし」
「それは、私ももう少し早く言って欲しかったな…………」
曰く年齢は一つ上。更には現五条家分家当主だと言う。持ち合わせる知識等は自身を遥かに超えているだろう。
「なんか傑のこと特級にしたいらしい」
「…………何故?」
「俺が知ってると思う?」
最もだ。悟にも分からない以上、本人に聞くしかない。私は悟に知らされた待ち合わせ場所へ向かった。
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「眠い………」
任務、任務、任務。凛堂唯驚異の20連勤である。死ぬわ。
(憂さ晴らしに上層部何人か非術師に変えてやろうかな………)
そんな思考が過ぎる程度には疲れている。が、生憎今日は眠る訳にはいかない。悟がようやっと夏油傑を呼んだのだ。
(何から教えるかなぁ………呑呪蝕霊……は魂知覚してないと難易度跳ね上がるし………うずまき?いや微妙か。あれ極ノ番の割に弱いんだよなぁ…………)
うずまきは一撃高火力。硬い相手には使えるかもしれないが、正直呑呪蝕霊覚えれば要らない。私の場合人体操術もあるので尚更要らない。
(切呪分霊からが安牌か………)
できることなら反転術式も後々使えるようになって欲しいが、まぁそれは高望みし過ぎだ。アレはかなり鮮烈なきっかけ無しには習得は無理ゲーだ。
そうこう考えているうちに凄まじい眠気に襲われる。うつらうつらと船を漕ぎ初め、少し仮眠しようとしたところで、
「貴女が凛堂唯さんですか?」
「タイミングがだいぶクソだよチミィ…………!」
首を傾げるイケボのイケメンに青筋が立つ。キレそう。寝転がっていたソファから起き上がり、左眼に付けた眼帯をズラした。
「呪霊操術。夏油傑で間違いないみたいだ」
「その眼………」
「ん?あぁ、悟の傍に居ればそりゃ分かるか」
私の左眼は六眼だ。基本真っ黒な医療用眼帯で隠している。
「ま、アイツのと違って使い勝手はクソ悪いけどな。しばらく使うと血涙が流れ始めるし。ほれ」
「ちょっ!?」
目の隙間からダバーと血が流れ出る。あ、見えなくなった。
「使う度に失明すんのどうにかならんかな」
「痛くないんですか………?」
「私が術式反転使えるの知ってる?詳細は省くけどそれで左眼周辺の痛覚消してるから大丈夫」
「そういう問題ですか…………?」
左眼を治しつつ再び六眼へ改造。左眼を瞑った。
「気を取り直して、初めましてだな夏油傑。私は凛堂唯。凛堂家現当主で特級術師だ。傑と呼ばせてもらうね」
「え、ええ、初めまして夏油傑です」
「取り敢えずこれから私の21連勤目の任務に付いてきてくれる?」
21連勤という言葉に絶句する傑。分かるぜ、普通に過労死ラインだよな。しかしそれに反応は返すことなく、私は補助監督の元へ向かった。
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「…………」
「…………」
車内を沈黙が支配している。黙っているのは運転中の補助監督すらもだ。理由は単純、彼女が死ぬ程眠そうにしているからだ。
「…………眠いなら寝てもらって構いませんよ?」
「……ん、あいや、何から教えようか考えてただけだから大丈夫」
絶対嘘だ。常に半目で船を漕いでいるのだ。聞けば21連勤目だと言うのだ。眠くない訳が無い。しかしそれでも彼女は、良し!と声を上げた。
「眠気覚ましに話をしよう!」
「いや、無理に話さなくても…………」
「酔った勢いで女体化した悟のこと逆レしかけた話する?」
「ブフォ!?」
「イエーイナイス反応!」
脳が理解を拒んだ。悟が女体化…………???
「私お酒大好きなのね」
「未成年ですよね?」
「ただ私も悟も血筋なのかクッソ下戸で酒弱いのよ」
「はぁ…………」
私の言葉に反応するつもりの無い様子に諦めが着いた。どうやら話を止める気は無いらしい。まぁ、個人的に非常に興味があるのも否定出来ないが。
「ただそんなの知らなかったもんだから2人して調子に乗ってガバガバ飲んでた訳ね」
「馬鹿なんですか?」
「で、勢いで私の術式で悟を女体化させたら、まぁアイツ顔だけは良いじゃん?高身長モデル美少女になりやがったもんだから勢いそのまま押し倒しまして」
「…………」
「アイツを馬乗りで押さえ込んだあたりで顔面めがけて吐いちゃったんだよね!」
「ングッフ!」
「で、あいつも貰いゲロして、私と正体不明の美少女がゲロまみれでぶっ倒れてるとかいう最高に意味不明な状況が出来たってわけ」
酷すぎる話に思わず噴き出した。正直言って女体化した悟という時点でかなり腹筋にきていたが。
「ま、それからはできるだけ誰かと一緒に酒を飲むのは避けてるけど」
「そうですか………」
「まぁ酔った私が勝手に他の誰かのとこに突っ込んだりはするけど」
「えぇ………」
そうして私は任務地に着くまで終始巫山戯た内容の話を聞くこととなった。
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「傑、呪霊操術の強みって何?」
「手数です」
「んー80点!」
100点でないことに思わず顔を顰めてしまう。その様に唯さんはケラケラと笑った。
「拗ねるな拗ねるな。ほぼ正解みたいなもんだから問題無い」
「なら満点は何なんですか」
「手数ってのは、まぁ恐らくは私達以外、呪霊操術自体を知ってれば誰でも分かる強みだ。早い話が、その強みは見せ札に過ぎないってこと」
「見せ札……ですか………」
「そう。それに呪霊操術だけで見れば言うほど手数は無い。手数が強みになるのはあくまで大量の呪霊を取り込んだ場合の話だし」
なるほど、と納得した。確かに呪霊操術の手数は呪霊がいることが前提だ。では答えは何なのかという疑問が浮上する。それが表情に出ていたのか、唯さんはニヤリと笑った。
「ま、その強みは今から任務で見せるさ」
そう言って唯さんは補助監督の降ろした帳の中へ入っていく。私もそれについて帳へ入った。淀んだ、重い空気。かなり強い呪霊のようだ。
「等級はどれくらいだと思う?」
「準一級から一級、あるいは一級に限りなく近い特級くらいですかね」
「いいね、呪力感知のセンスはかなり良いみたいだ」
そう言うと唯さんは私から数歩離れて止まった。そこで彼女はパチンッと指を鳴らす。
「今、私が何したか分かった?」
「?なにかしましたか?」
「ふふふ、まだまだだな」
イラッとした。どうやらこの人は他人をおちょくるのが趣味らしい。なんというか、端々に悟に近しいものを感じる。容姿に関してはもう女性になった悟、といった感じの彼女はその内側も彼とそう大差が無い。まぁ、個人的にはかなり付き合いやすい人だ。
「良い趣味してますね…………」
「そう怒るなよ。私は天才だ、気付けなくても仕方ない。っと、そろそろ来るな」
その言葉に、コチラに急速に迫る呪力に気がついた。速度はかなりのもの。まだ姿は視認出来ないが木々がなぎ倒されていくのが既に見えている。
「私はどうすれば?」
「とりあえず見てて」
「ですが………」
「舐めるなヒヨっ子。特級とすら言いきれない呪霊程度一般人100人守りながらでも余裕だ」
呪霊の姿を確認する。巨大な、赤紫色の火の玉が木々を焼き倒しながら迫ってくる。
「一級仮想怨霊『人魂』ま、雑魚だな」
「術式装填:呪霊操術」
言葉の直後、唯さんに呪霊が激突する。普通ならば即死、あるいは相当な重症を負いかねない威力。しかし土煙が晴れ、現れたのは無傷なまま、その手に黒い球体を手にした唯さんだった。
「呪霊操術の強みはな、
「何をしたんですか………」
「簡易領域は知ってるか?シン・陰流の」
曰く、唯さんはそれとはまた別に簡易領域を作り上げたという。そこに、術式を組み込む、
「とはいえ、これはシン・陰流と同じく移動出来ないし、今のお前がやっても呪霊の攻撃は防げないから有用性はあまり無い」
ただし、と彼女は続ける、
「切呪分霊、呑呪蝕霊。私が作り上げたこの二つの拡張術式を習得すれば、その有用性は跳ね上がる」
「私は、これからその二つをお前に叩き込む」
そう言って彼女はニヤリと笑う。そこで私は始めから存在した疑問を投げかけた。
「何故、私を強くしようとするんですか………?」
「秘密。それは私も言えないし言いたくない。そうだな、君のモチベーション上げるならこう言うべきかな?」
「?」
首を傾げる私に、彼女は言った。それは致命的な言葉だった。肯定以外の言葉が出ない、まさに、私のモチベーションを上げるための完璧な一言。
「
この日、私は唯さんの弟子となった。この関係は────
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今回のタイトルは別名「サマーオイル育成計画」
唯ちゃんは下戸でしたが人体操術で体弄ってザルになってます。うわばみ、なんつってね!
ただ酒癖が最悪で悟を代表にかなりの人数が被害にあってます。具体的には冥さん、歌姫、硝子、夜蛾、その他補助監督数名。
被害を受ける頻度が一番多いのは今までは夜蛾、これからは夏油()
受けた被害が一番重いのは悟、ではなくまさかの歌姫。
2人してベロベロに酔って、その勢いでレズセした。それを知っているのは唯と歌姫と冥さん。冥さんには金を掴ませて黙らせてます。