この作品は「甲虫王者ムシキング」の二次創作です。かなり皆さんが昔やっていたアーケードのムシキングの話なので懐かしいと思うかも?

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復活の森の影であの虫の死を悼んでいる者がいるんじゃないか。そう思いながら書きました。


復活の森の裏で

とある森の一角

 

「・・・・・・・・・。」

 

緑豊かな美しい森で小さな花束を手に持ちながらある場所へ一人歩いている虫がいた。彼はノコギリクワガタ。この森ではムシキングに闘いを挑んでは負けるを繰り返す喧嘩好きな虫である。

 

「ここだ。我らが森の英雄ポポとムシキングが、森を、未来を守る為に闘った巨木は。」

 

彼は大きな巨木を見上げる。かつてはアダーが放った火で森の全てが燃えてしまったが、流石は自然。今は力強く新たな芽が息吹いている。そしてこの巨木も緑の豊かな木へと生まれ変わった。

 

「そして、お前も森の為に命を賭けて戦った。」

 

ノコギリは小さな花束をそっと巨木の下に置いた。

 

「あの日は忘れはしない。目の前でお前が逝くのを見ることしか出来なかったあの日を。」

 

アダーが森に火を放っているのを始めに確認したノコギリは直ちに付近にいたカナブンにこのことをムシキングに伝える様に指示。その後自身も周辺の虫や妖精に避難を命じながら逃げ遅れた虫を仲間のコクワガタと共に救出していた。

 

「これで非難誘導は完了か。よし、俺達も行くぞコクワ!」

「ま、待ってください! あの気にまだ何かがいます!!」

「何?!」

 

二匹の視線の先には黄金の鎧を身に纏った、明らかに日本の虫ではないクワガタがいた。

 

「ど、どうしますか?!」

「無論助けるに決まっているだろう!」

「し、しかしあれは明らかに日ノ本の虫ではないですよ!!」

「だからどうした!! 目の前で今にも命が失われようとしているのを貴様は見逃すのか!! それでも貴様は日ノ本を代表する虫なのか!!」

 

そう言うとノコギリはコクワを置いて異国の虫の元へと向かった。

 

「おい! 大丈夫か!!」

「・・・・・・・・・・・に、日本の・・・虫か。」

「待っていろよ!! 今行くぞ!!」

 

今異国の虫の元へと向かおうとするノコギリ。しかし、

 

「駄目だ!! 俺の元には来るな!!」

 

そういうと巨木は火の影響で崩れ落ちた。もし、そのまま突入していれば彼の命もなかっただろう。

 

「あ、ああ!!」

「ノコギリさん!! 早く我々も避難を!!」

「しかし、あの中には!!」

「火の中で何が出来るっていうんです!! 仮に突入したとしても助かりませんよ!!」

「くっ・・・・・・。」

 

その後避難場所へ急いだノコギリとコクワ。決戦の後生還したポポにその虫のことを聞かされた。

 

「お前はオウゴンオニクワガタって言うんだってな。ここよりはるかに南にある場所がお前の故郷なんだってな。」

 

ノコギリは小さな石を優しく撫でる。

 

「故郷に帰りたくても帰れない。全ては人間のせい。ならば怒りに身を任せ、果てる道もあった。しかし、オウゴンオニ、君は加害者にはなれなかった。いや、なる気なんてなかった。例えこの身が焼け落ちようとも、異国の地と言えども、豊かな自然を守りたい。その為なら・・・・。」

 

ノコギリは静かに手を合わせるとその場を去った。

 

「・・・・・タイム・・・・か。花言葉は「勇気」。ノコギリの奴でも粋なことをするもんだな。なら僕はこの花ですよ。」

 

ノコギリが去った直後入れ替わりでやって来たコクワも花を供えた。

 

「花はカルミア。花言葉は「大きな希望」。君がいてくれたからポポも救われ、大きな希望を繋いだ。貴方に相応しい、僕なりの花ですよ。」

 

コクワもその場を去る。そして彼らが花を供えた石碑にはこう刻まれている。

 

 

「愛する自然を守り、己が義を果たすために異国の土となった盟友此処に眠る」

 

 

その日の夜

 

「そうか、お前も行ったんだな。」

「はい、丁度入れ替わりだったようですが。」

「しかし、あれだよな。」

「はい。あれですね。」

 

「「犠牲者はいつもこうだ。文句だけは美しいけれど。」」

 

 

(完)




オウゴンオニのあの自己犠牲には泣かされました。

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