ゾイドワイルドクロス アナザーZERO   作:オーガスト・アベラス

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 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 ペンダントの力によって突如復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーを復活させた不思議な力を持つペンダントを持ち、地球の未来を左右する謎の少女サリーと共に地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


第10話「激進!! 伝説の破壊龍」

 プライド摂政の別荘の一室でアルドリッジ少佐はシーガル大佐と対面していた。

 

 「コリンズが更迭されたおかげでプロジェクトは私に一任され、遂に准将にまでなった。」

 

 「昇進されたのですか! おめでとうございます!! シーガル准将!」

 

 「だが、それだけじゃない。お前にいい土産も出来た。」

 

 「土産……ですか?」

 

 「摂政閣下と軍上層部からの命令だ。ファングタイガー改をお前に与えるとのことだ。」

 

 「本当に……私が? しかし、あれはセードの……」

 

 「奴がジェノスピノのライダーに指名されたため、タイガーは奴に放棄されて乗り手がいなくなったので、代わりにお前にやると決定されたそうだ。」

 

 「本当ですか!? ありがとうございます!」

 

 「それと同時に今回のプロジェクトの一貫にお前も加わらせたい。」

 

 「一体何をですか?」

 

 「今回のプロジェクトはジェノスピノが共和国を襲撃するものではあるが、その護衛部隊の指揮をお前に一任したい!」

 

 「私がですか?」

 

 「そうだ! 共和国を滅ぼす絶好の機会をあんな小僧に渡すわけにはいかない。上手く行けば私とお前は帝国の英雄となり、出世も思いのままとなる! どうだ? やれるか?」

 

 「もちろんです! この任務、お受けいたします!」

 

 「頼んだぞ! アルドリッジ。」

 

 

 

 

 

 

 

 プライド摂政の別荘で完成したジェノスピノ。その周りには復活を果たしたジェノスピノの機体色に合わせるように塗装されたキャノンブルとギルラプターがいた。

 ジェノスピノのコクピット乗り込み、耐Bスーツ無しで生身のまま接続され、まるで待ち望んでいたかのような表情をするセード、

 

 「フフフ、さあ、行くぞ! ジェノスピノ。かつて世界を壊滅させた貴様の力を見せてやれ! そして俺と共に新たな破壊の力を!!」

 

 ギュオォォォ~!!

 

 咆哮を上げたジェノスピノはプライド摂政の別荘から出、ゆっくり進軍していった。シーガル准将の命令を受けたアルドリッジ少佐も修復されたファングタイガー改に乗り込み、ジェノスピノ護衛仕様のキャノンブル、ギルラプター隊を率いてジェノスピノの後について進軍していった。

 その様子を窓越しに見ていたギレル中尉は無表情のままその場を離れた。そして、別荘の外で進軍するジェノスピノとアルドリッジ少佐の乗るタイガー改が率いる護衛仕様ゾイドの進軍の様子を見たプライド摂政とラスト大佐、

 

 「フフ、ジェノスピノに乗れたことであの子かなり喜んでいるわね。」

 

 「当然だ! ジェノスピノが今の奴を生み出しといっても過言ではない。ライダーは奴以外にいない。」

 

 「あの子をジェノスピノに乗せるのは当然として……どうして今回の作戦をシーガルやアルドリッジごときに任せたのかしら? あんな奴らの指揮なんてあてにならないと思うけど……」

 

 「奴らには奴らなりの使い道を与えたまでだ。 万が一の場合を想定してな。 ま、セードがあの程度の奴らの命令に従うことは絶対にないだろうがな。

 ところで、コリンズの汚職の件の報告だが、一体どんな手を?」

 

 「あなたの言う、万が一の場合を想定してのことよ。」

 

 「そうか……となると計画は順調のようだな。後はジェノスピノを手にしたセードの活躍次第だ。」

 

 「あの子がどんな暴れ方をしてくれるのか楽しみね。」

 

 「フフ、お楽しみはこれからだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 山火事があった森から少し離れた場所で、テントを張り、レオは持っている材料だけで、傷付いたライガーの修理をし、バズはバケツの水で顔を洗い、アイセルは彼の後ろに座っていた。

 

 「プッハ〜生き返る〜! 共和国の姉さんもどうだい?」

 

 「あたしの名前はアイセルよ! それにしてもホント緊張感がないわね!」

 

 「何が?」

 

 「世界を壊滅させたあの伝説のジェノスピノが遂に帝国の手に渡ったのよ!!」

 

 「けど、いくら帝国軍でも世界を壊滅させるようなことをするバカはいないだろ?」

 

 「ホント鈍いわね! あれが帝国の手に渡ったということは共和国にとっては危機なのよ!」

 

 「そうはいってもな~……俺、帝国でも共和国でもないわけだし……」

 

 「もうっ!」

 

 

 

 ライガーを修理する中、向こうで不安そうに空を眺めるサリーに気付いたレオは、

 

 「サリー、どうしたの?」

 

 「私、心配なんです……ジェノスピノがゾイドクライシスのように暴れないか……もし、そうなったら、また多くの人々やゾイドが死んでしまう。」

 

 恐怖するサリーにレオは優しく肩を触り、

 

 「大丈夫だよ。もし、そうなったら、俺とライガーが阻止する。」

 

 「でも、そんなことしたら、レオとライガーが!」

 

 「俺とライガーなら、大丈夫だよ。だって、俺は君とライガーに会えたから、ここまで来れた。今までの戦いだって、初めてだったけど、ライガーと一緒だったから上手くいけた。

 例え、相手がゾイドクライシスで世界を破壊した怪物でも、俺とライガーなら、きっと止められる。」

 

 「お願い、レオ。 もう無茶はしないで!」

 

 泣き崩れるサリーはレオに抱き付いた。

 

 「大丈夫、大丈夫だから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 共和国の基地内ではディアス中佐がモニターを眺めていた。

 

 「これが偵察基地アルファ・ナインなのか……」

 

 ジェノスピノによって無惨に破壊された共和国のゾイド部隊を見たディアス中佐は驚きを隠せないでいた。

 

 「あっという間だったそうです。応援部隊が到着した時には……」

 

 「破壊龍ジェノスピノ……どうやら、伝説に聞いていた以上のようだな。現在のジェノスピノの侵攻状況は?」

 

 「第8平原を真っ直ぐ進んでいるとのことです。」

 

 「そうか……(幸い、レオたちのいる場所から離れてはいるが、彼らまで巻き込むわけにはいかない。)

 わかった。私は直ちにはモザイクに向かい、ツガミ大尉と合流して、ジェノスピノへの対策を練る。」

 

 「了解しました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 共和国首都ネオへリックシティの移民船にて、共和国軍のギャレット大将がシーガル准将とコンタクトを取っていた。

 

 「帝国軍、シーガル准将であります。今回の一件について、ご連絡させていただきました」

 

 「共和国大統領代理 ギャレット大将である」

 

 「閣下、まずは帝国軍を代表し、心よりお詫び申し上げます」

 

 「詫びる? どういうことだ」

 

 「誤解を招く状況になっておりますが、これは帝国の宣戦布告ではありません。ある男の暴走なのです。」

 

 「暴走だと?」

 

 「実は今回の件はコリンズ准将による男の仕業なのです。」

 

 「ジェノスピノによる攻撃は帝国軍司令部の命令では無く、コリンズ准将の独断による行動だというのか?」

 

 「はい。我が軍にとっても今回の一件は寝耳に水。コリンズは常に好戦的なところがあり、一部では狂犬とまで呼ばれている男で、先程、汚職の罪で左遷されましたが……まさかこのような暴挙に出るとは夢にも……」

 

 「一人の男による暴走であれば何故帝国軍はすぐに手を打たないのだ?」

 

 その時、シーガル准将は共和国部隊同様に無惨に破壊された帝国部隊の映像を送り、

 

 「こちらも一個大隊を差し向けましたが、残念ながら進軍を止めることは叶いませんでした。」

 

 「では、伝説に謳われる貴重なゾイドをこちらが攻撃し、破壊しても構わないのだな?」

 

 ギャレット大将の問いにシーガル准将は、

 

 「もちろんです。狂犬の操るジェノスピノは、今や両国にとっての脅威。現在、我が軍も行方をくらましたコリンズの捜索を進めつつ、ジェノスピノの新たな対策を講じている最中です。」

 

 そう言って通信を切るシーガル准将、それを見たギャレット少将は、

 

 「シーガル……あの狸め。あのコリンズが左遷だと、暴走等、見え透いた虚偽をいいおって……」

 

 「フッ、破壊か。やれるものならやってみろ。 これで、共和国軍は下手な動きは出来ないでしょう。」

 

 「左遷されたコリンズをダシにするとはな。」

 

 コリンズをダシに使うことに驚嘆の意を示すランド博士。

 

 「奴は私にとっては目の上のたんこぶ。軍にいるうちは邪魔だったが、失脚したら役に立ってくれた。これで共和国軍も帝国に対して下手なことはできまい。」

 

 「コリンズの汚職は貴様の策か?」

 

 「いえ、ラスト大佐の工作のおかげです。あの女は少々気に入らないが、プライド閣下が直属にしたというだけあって、非常にずる賢い奴ですから、あの女も役に立ってくれました。」

 

 「流石は閣下だ。」

 

 「ところで、ギレルはあなたの子がジェノスピノに乗ることに期待していたようですが、博士としてはやはり、ザナドゥリアスに乗って欲しかったのですか?」

 

 「乗り手等、問題ない! ジェノスピノはジェノスピノだ! それに彼はメルビル少尉と共に私が育てたエリートだ。いずれ、もっと相応しいゾイドが現れる。

 それにセードはユウトと違い、融通が利かんが、奴もそれなりの実力はある。今回のライダーにプライド閣下の判断に誤りはない!」

 

 「博士らしいですな。」

 

 

 

 

 

 

 

 いまはもう使われなくなったコリンズ准将の居室。そこに一人佇むのはギレル中尉。 ギレル中尉は虚空に向けて敬礼の姿勢を取った。机上にはありし日のコリンズ准将とギレルの写真があった。それを見たギレル中尉は、

 

 「コリンズ准将、あなたの御無念、必ず晴らし、シーガル共の陰謀を暴いてみせます!」

 

 そう言い、ギレル中尉は静かに写真に敬礼した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 進軍するジェノスピノの前に共和国部隊が立ちはだかった。

 

 「ここは共和国領内である! 直ちに引き返せ! 我々は交戦を望まない!!」

 

 「ふん、交戦を望まないなら、そもそも戦争をやるわけがないだろう……来ないなら、こっちから行かせてもらうぞ!」

 

 ジェノスピノは問答無用でA-Zロングキャノンを放ち、共和国のトリケラドゴス隊を数機破壊した。

 立ち向かうトリケラドゴス隊には頭部のキャノンを放ち、一体には噛みつき、もう一体は足で踏み潰し、残りは尻尾で凪ぎ払った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 都市要塞モザイク。この街は半壊した建造物を修復する過程で、モザイク状に建造物が組み合わされたことに由来してこの名が付けられた。

 都市一つを要塞化した共和国軍の中枢を担う基地でもあり、ガノンタスの他にグラキオサウルスも配備されている等、共和国軍随一を誇ると言われる程の防衛力を有している。

 ディアス中佐のトリケラドゴス改とツガミ大尉のステゴゼーゲ改が到着し、2人は共和国軍の将校と共にジェノスピノへの対策を練っていた。

 

 「ジェノスピノは第8平原を進んだまま、真っ直ぐこの地に向かい、我が部隊を壊滅しながら進んでいます!」

 

 「ジェノスピノは共和国軍の象徴とも言えるこの都市要塞を制圧することで、戦術的に優位に立とうとしているというわけか。」

 

 「いくら相手がジェノスピノと言えども、ここを落とされるわけにはいかない。 ところで、ディアス中佐。ジェノスピノのライダーは一体誰なのか判明していますか?」

 

 「先程、ギャレット大将がシーガル准将とコンタクトを取った情報によると、当初はアルドリッジかと思われたが、被害状況では、ジェノスピノは一度もマシンブラストを使わず、遠距離戦のみ重火器を使用し、それ以外は全て格闘能力のみで戦ったらしい。

 それらから推定すると、アルドリッジ以上のかなり高い身体能力を持ったライダーだということは確かだ。」

 

 「アルドリッジ以上のライダーと言えば、ギレル中尉も当たるが、奴がこんなことする男ではないし……まさか、セードか!?」

 

 「断定は出来ない。報告によると、ジェノスピノの率いる部隊にはファングタイガー改の姿もあったそうだ。

 私の予想によると、おそらくジェノスピノに乗っているのはハンターウルフ改のライダーだ。」

 

 「どちらにせよ、厄介な相手をライダーにされたというわけか。」

 

 「だが、ここを帝国軍に落とされるわけにはいかない。」

 

 「勝算はあるのですか?」

 

 「奴を破壊することはほぼ不可能だ。だが、奴をここに釘付けにすることは出来る。」

 

 「というと?」

 

 「作戦はこうだ! 私がトリケラドゴス改で守備隊と共にジェノスピノの注意を引き付ける。その間にツガミ大尉は都市内部の広場に他の守備隊と共に配置し、私がジェノスピノを広場に誘導し、中央まで来た時、守備隊が左右の壁に砲撃し、壁を倒壊させる。

 その後、ジェノスピノが倒壊したビルの下敷きになった後、地面を爆発して奴を生き埋めにする。」

 

 「奴を都市内部に入れるのですか? それはいくらなんでも危険では……」

 

 「奴を都市に入れずに死守することが出来ないことは目に見えている。ならば、敢えて住民の被害が及ばない場所に誘導し、そこを奴の墓場にするしかない。」

 

 「確かに現状、それしかないですな。」

 

 その時、モザイク中に警報の音が届く。

 

 ウゥー! ウゥー!

 

 「遂に来たか! 全軍攻撃配備につけ!」

 

 「はっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 都市要塞モザイクから少し離れた場所にフォックスが走り回っていた。

 

 「モザイク周辺がやけに慌ただしいな。何があったのだ? ん?」

 

 その時、モザイクの向こう側に進軍してくるジェノスピノの姿を見た。

 

 「な、何だ!? あのバカデカいゾイドは!? まさか、あれが例の伝説のゾイドか!」

 

 ジェノスピノは真っ直ぐモザイクの方に向かっていた。

 

 「どうやら、あの野郎、共和国とドンパチやるつもりのようだな。俺たちも巻き込まれるわけにはいかない。行くぞ、フォックス!」

 

 その場を立ち去るフォックス、ジェノスピノのコクピットにいるセードはモザイクを見、

 

 「あれが共和国随一の要塞か……精々簡単に落ちないように頑張れよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ライガーの修理が終わり、テントの片付けをし、レオたちは再び端末探しに向かおうとしていた。

 

 「さて、休息も済ませたし、早速端末探しの旅に出るか。レオ、ライガーの調子は大丈夫なんだろうな?」

 

 「ああ、大丈夫だよ! ライガーもすっかり元気になったし。」

 

 「もう無茶はやめてくれよ! これ以上、ライガー傷付けたら、これから先どうなるか分かったもんじゃないからな!」

 

 「でも、あたしがいるじゃない!」

 

 「でも、ラプトリアじゃなぁ~!」

 

 「なにそれ! あたしのラプちゃん、侮辱する気!!」

 

 「まあまあ、アイセル。それまでにして。」

 

 その時、フォックスが現れ、

 

 「おっ! 誰かと思ったら、元帝国のダンナじゃないか!」

 

 「元帝国は止めろ! 今の俺はただのフリーだよ。」

 

 「でも、あなたがどうしてこんなところに?」

 

 「何だ、お前ら知らないのか? ジェノスピノが近付いてきてるんだよ!」

 

 「ジェノスピノが!?」

 

 それを聞いて、驚きを隠せないレオとサリー、

 

 「どうやら、帝国軍はジェノスピノを使って、遂に共和国軍とやり合うらしい。ついさっきもモザイクの方に向かっていった。」

 

 「モザイクって! あの共和国随一の要塞都市を!?」

 

 それを聞いて手が震えるサリー、レオはサリーの手を優しく握り、

 

 「サリー、大丈夫だよ。 助けに行こう!」

 

 「えっ!」

 

 「お、おい! 何言ってんだよ! 相手はあの伝説の破壊龍だぞ! ライガーじゃ、敵いっこないって!」

  

 「だからって、このまま共和国の人たちがやられるのを黙って見ていろって言うのか!」

 

 「レオ! あなたはまだ子供なのよ! それに軍人じゃないあなたが戦場に行くなんて、あたしが許さない!!」

 

 「アイセルだって、このまま放っといていいの?」

 

 「そ、それは……共和国軍人として、放っとけないけど……」

 

 「だったら、俺も行く! 俺が行かないと、また犠牲が増えてしまう! これ以上、ゾイドと人々を殺させない! 行くぞ、ライガー!!」

 

 レオはライガーに乗り込み、そのままモザイクの方に向かって行った。

 

 「全く、ホント無茶ばっかりするよな。」

 

 「レオ……」

 

 走り去るライガーを心配そうに見たサリーはペンダントをゆっくり握りしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジェノスピノ率いる部隊が要塞都市モザイクに接近した。共和国軍は先制攻撃を仕掛け、先にガノンタスが追加装備の火器でジェノスピノに向けて砲撃した。 しかし、ジェノスピノには一切の傷が付かない。

 

 「あ~、詰まらん!」

 

 ジェノスピノはA-Zロングキャノンを放ち、ガノンタス隊を破壊する。

 

 ガノンタスの砲撃の後にグラキオサウルスも砲撃を敢行するが、やはりジェノスピノには通じず、A-Zロングキャノンによって尽く破壊された。

 

 「せっかく100年以上の時を経て、ようやく復活させてやったというのに、こんな雑魚が相手では復活したこいつの準備運動にもならしない。

 こいつを止めたかったら、もっと骨のある奴を出しやがれ!」

 

 セードの不満に呼応するかのように咆哮をあげるジェノスピノ。

 

 ギュオォ~!!

 

 その横でジェノスピノ護衛部隊の先頭に立つファングタイガー改に乗るアルドリッジ少佐は、

 

 「くそ、最強の破壊龍を手に入れたからといっていい気になりおって! ようやく手に入れたこいつで、貴様を追い落とし、ジェノスピノも我が物にしてやる。」

 

 ジェノスピノが前に進もうとしたその時、守備隊の先頭にトリケラドゴス改が現れた。

 

 「止まれ! ジェノスピノ。」

 

 「あのトリケラドゴスは……」

 

 「ああ、ディアスか。ジェノスピノとファングタイガー改に乗ったこの私に挑むとは相変わらず命知らずな奴だ。」

 

 トリケラドゴスの姿を認めたアルドリッジはほくそ笑んだ。

 

 「なるほど、あいつが相手か……ちょっと物足りないが、まあ、暇潰しくらいにはなるだろう。」

 

 トリケラドゴス改を見たセードは進行を止めるよう通信をいれてきたディアスを嘲笑うかのようにA-Zロングキャノンで砲撃を開始する。

 火球に包まれるガノンタス。ディアスのトリケラドゴスはその場を駆け出し、連続でジェノスピノのコクピットに向けて砲撃を開始する。ジェノスピノのコクピット内に衝撃が走る。しかし、セードは慌てる様子を見せず、

 

 「ほぅ~、少しは出来るようだな。」

 

 トリケラドゴス改はお尻フリフリでさらに挑発して、ジェノスピノに背を向けて、そのままモザイクの中に走り去っていた。それを見たセードは、

 

 「砲撃の後は随分分かりやすい挑発と……俺を誘いにかけるつもりか。いいだろう。乗ってやる。」

 

 「おい、待て! この共和国侵攻部隊を率いているのは私なのだぞ! 勝手に出ることは許さん。ましてや、ディアスを叩き潰すのも……」

 

 「黙れ!」

 

 1人で出ようとするセードに不平不満の声を漏らすアルドリッジに嫌気が差したかのようにジェノスピノはアルドリッジの乗るファングタイガー改を前足で振り払った。タイガー改はそのままジェノスピノ護衛部隊にぶつかってしまう。

 

 「ぐわぁっ!!」

 

 「何度も言ったはずだ。俺はプライドから独自行動の免許を与えられ、好きに行動が出来る男だ。

 貴様らの指揮等、俺には関係ない。ここは俺とこいつの戦場だ! 貴様らは他の雑魚共と戯れていろ!」

 

 セードはそう言い、ジェノスピノは前方のガノンタス隊を取っ払い、単身、トリケラドゴス改を追いかけてモザイク内部に入っていった。

 

 「よし、誘いに乗ってきたな。ツガミ大尉、作戦を開始する!」

 

 広場に待機し、ディアス中佐の通信を聞いたツガミ大尉は、

 

 「了解! 守備隊は直ちに配置につけ!」

 

 「了解!」

 

 その巨体に似合わぬスピードでトリケラドゴス改を猛追するジェノスピノ。広場の左右に配置している共和国守備隊のラプトリア、ガノンタス隊がジェノスピノに砲撃するが、ジェノスピノは動じず、トリケラドゴス改を追った。

 街の内部に逃げ込むトリケラドゴス改、ツガミ大尉の乗るステゴゼーゲ改が佇んでいた広場の真ん中まで来ると反転し、ステゴゼーゲ改と共に砲撃を浴びせる。しかし、ジェノスピノはそれも全く通じず、

 

 「それで攻撃したつもりか!!」

 

 頭部のキャノン砲を放ち、トリケラドゴス改、ステゴゼーゲ改同時にに頭突きを喰らわせる。ジェノスピノの頭突きで広場の壁に激突するトリケラドゴス改とステゴゼーゲ改。

 

 「最初の勢いはまあまあだったが、やっぱり大したことはなかったな。 ちょっとは期待していたけど、もう飽きた! これで終わりにしてやる!!」

 

 「今だ!!」

 

 ツガミ大尉の合図と共に共和国守備隊は一斉に砲撃を開始した。

 守備隊が狙っていたのは実はジェノスピノ本体ではなく、ジェノスピノの両脇にそびえる巨大な壁。守備隊の砲撃によって巨大な壁は左右同時に倒壊し、ジェノスピノを巨壁の下敷きにすることに成功。同時にツガミ大尉はボタンのスイッチを押し、倒壊した壁の地面が爆破し、そのまま地盤が崩れていき、倒壊した壁ごとジェノスピノは地面の中に沈められた。

 

 「やったー!!」

 

 歓声を上げる共和国軍兵士たち、

 

 「作戦は成功のようですね! 中佐。」

 

 「ああ、後は奴が目覚めないように此処を埋めるか。」

 

 しかし、その時、突然地面が揺れ、

 

 「何だ? 地震か!」

 

 「いえ、先程、爆破した地点だけが揺れています!」

 

 突然の地震と共に、倒壊した壁を突き破ってジェノスピノが現れた。

 

 「信じられん! 生き埋めにしたというのに! これでも通用しないというのか!!」

 

 「いい作戦だったが、残念だったな。 こんなもの、小さい落とし穴に落ちた程度に過ぎん!」

 

 「くそ、作戦が失敗したとはいえ、これ以上奴を好き放題させるわけには!」

 

 ステゴゼーゲ改はジェノスピノに砲撃を加えるが、ジェノスピノには全く通じない。

 

 「最後の悪あがきとして、尚も俺に立ち向かうのか……悪くはないが、お前たちとの相手はもう飽きた。」

 

 ジェノスピノはロングキャノンを放ち、ステゴゼーゲ改は直撃して、都市の建物に飛ばされてしまう。

 

 「このぉぉー!!」

 

 トリケラドゴス改もジェノスピノに立ち向かうが、セードはやれやれとでも言わんばかりに前足でトリケラドゴス改を掴んだ。

 

 「うっ……ぐっ……」

 

 「お前とは何度もやりあったが、もう貴様に用はない。ここでゲームオーバーだ。」

 

 ジェノスピノはそのままトリケラドゴス改を握り潰そうとしたその時、

 

 「止めろー!!」

 

 レオの叫びと共にライガーが現れ、ライガーがジェノスピノの顔にぶつけ、その衝撃でトリケラドゴス改を離した。しかし、ジェノスピノは離した前足でライガーを取っ払った。ジェノスピノに払われるも態勢を整え、トリケラドゴス改の元に立ち寄るライガー。

 

 「大丈夫ですか? ディアスさん。」

 

 「れ、レオ! どうしてここに!?」

 

 「だって、ディアスさんが戦っているのに黙って見ているわけがないじゃないですか!」

 

 トリケラドゴス改の元にフォックス、ラプトリア、バズの車も現れ、

 

 「私が何度も引き留めたんですが、レオが言うことを聞かなかったんです。」

 

 「アイセル少佐……そうか、出来れば、君たちまで巻き込みたくなかったが、仕方ないな。だが、気を付けろ。相手はあの伝説の破壊龍だ!」

 

 「心配はない。俺とフォックスにお前がいれば、大丈夫だ! なあ、そうだろ? レオ!」

 

 「ああ、何としてもあいつを止める!」

 

 ライガーとフォックスを見たセードは、

 

 「誰かと思えば、あのライガーとフォックスじゃないか! 丁度いい。前の借りを返してやる。」

 

 「行くぞ、ライガー!!」

 

 圧倒的な巨体を誇るジェノスピノ相手でも怯まず、突撃を仕掛けるライガーとフォックス、2体は同時に体当たりを仕掛けようとするが、ジェノスピノは両前足の爪で弾き返す。

 

 「レオ!」

 

 心配そうに見詰めるサリー、 フォックスは光学迷彩で姿を隠し、砲撃するもジェノスピノはそれがどうしたかと言わんばかりに全く動じなかった。

 

 「ちっ、やっぱり奴の装甲は並みじゃないようだ。レオ! 俺とフォックスがワイルドブラストで先に仕掛ける。

 お前はその後にライガーのワイルドブラストの一撃を奴に噛ませ!」

 

 「わかった!」

 

 「いくぜ、フォックス!!」

 

 ウォォ~ン!!

 

 「ガトリングフォックス、進化 解放! エヴォブラストー!! ファントムガトリング!」

 

 フォックスのファントムガトリングがジェノスピノに直撃するが、これもジェノスピノには通じず、セードは少しイラつき、

 

 「ちっ、相変わらず単調な攻撃だ!」

 

 ジェノスピノは身体を1回転し、尻尾でフォックスを凪ぎ払った。

 

 「ぐわぁっ!!」

 

 「バーン! 行くぞ、ライガー!! ビーストライガー、進化 解放! エヴォブラストー!! ビーストオブクローブレ……」

 

 「ふっ、」

 

 エヴォブラストしてジェノスピノに突っ込んで攻撃を仕掛けるライガー、しかし、セードは不敵な笑みを浮かべ、ジェノスピノは前足の爪でライガーを捕らえた。

 そして、ジェノスピノは捕らえたライガーをそのまま地面に叩きつけ、更に追い撃ちをかけるように後ろ足で踏みつけられてしまう。

 

 「ぐわぁっ!!」

 

 「レオ!! ライガー!!」

 

 「前と同じ方法でやろうとしたつもりだったろうが、残念だったな! こいつはタイガーとは違うんだよ!!」

 

 ジェノスピノはそのまま後ろ足に体重をかけ、ライガーを踏み潰そうとする。ジェノスピノの踏みつけによってアーマーにひびが割れ、苦しむライガー。

 

 ガオォ~!! 

 

 「ホントにわからない奴だ。何故、こんな雑魚共のために戦おうとする? そんなことしなくても自分のために戦えば、よっぽど楽しいじゃないか!」

 

 「お前にはわからないんだろうな。俺は皆を思うサリーの気持ちに答えるために、俺はライガーと共に皆を守るために戦うんだ。

 前の相棒のことを何とも思わないお前にはわからないだろうからな!!」

 

 それを聞いたセードは更にイラつき、

 

 「そんなこと、貴様の知ったことか!!」

 

 セードの怒りに応じたかのように、ジェノスピノは前足でライガーのタテガミクローを引きちぎった。それを見て、サリーは目を隠してしまう。

 

 「あぁ~!!」

 

 「このまま踏み潰して終わりにしようかと思ったが、どうやら、貴様はなぶり殺しがお似合いのようだな。」

 

 ジェノスピノは後ろ足で続けてライガーを踏みつけ、それが終わったかと思えば、今度は前足の爪でライガーの身体に突き刺した。

 

 ガオォ~!!

 

 ジェノスピノの爪がライガーの身体に食い込み、ライガーは悲痛の叫び声を上げた。 ジェノスピノはライガーの身体に食い込んだ爪を強引に突き放し、同時にライガーのアーマーも引き剥がされ、更にジェノスピノはライガーを喰わえ、そのままライガーの身体を圧縮するように噛み付いた。

 

 「ぐわぁー!!」

 

 更にジェノスピノは喰わえたままA-Z高熱火炎放射を放ち、アーマーが引き剥がされた部分のライガーの身体が徐々に溶解していった。

 その後、ジェノスピノは再びライガーを地面に叩き付け、前足でライガーの身体を押さえ付け、まるで野生の肉食恐竜が他の恐竜を補食するかのように口でライガーのアーマーや左前足、右後ろ足を食いちぎった。

 

 グシャッ! グシャッ! バキッ! バキッ!!

 

 ジェノスピノがライガーの身体を食い散らすその無惨な姿に戦いを見守っていたサリーは直視することができない。

 

 「止めて! もう止めて!! お願いだからもう止めてー!」

 

 アイセルはラプトリアに乗り込み、

 

 「お、おい! どうするつもりだ? ラプトリアじゃ、どう考えたって勝てねぇだろ!」

 

 「だからって、このまま黙って見ているつもり?」

 

 ラプトリアはジェノスピノに向かって攻撃しようとするが、ジェノスピノは食事の邪魔はさせないと言わんばかりに尻尾で凪ぎ払った。

 

 「キャアァー!!」

 

 ギュオォ~!!

 

 食事を終えたかのように勢いよく咆哮を上げるジェノスピノ、その後のライガーは顔の左半分を除く全てのアーマーが食いちぎられ、更に各々のボディも火炎放射で溶かされ、前足と後ろ足も引きちぎられ、見るも無惨な姿になってしまった。

 

 「やれやれ、タイガーだったら、まあまあ楽しめたが、まさか、ここまで実力の差がつくとはね。そう思わないか? ジェノスピノ。」

 

 ギュオォ~!!

 

 セードの問いに呼応するように咆哮を上げるジェノスピノ、

 

 「今までは雑魚ばっかりだったため、こいつのマシンブラストを使うことはなかったが、まあ、いい。

 貴様とのゲームの終結を記念して、こいつのマシンブラストで止めを刺してやる。

 制御トリガー解除! ジェノスピノ、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 コクピットの中のセードの右腕がオレンジ色に発光し、マシンブラストを発動したジェノスピノの半円を描く背鰭として背中に収まっていたジェノソーザーが展開し、回転ノコギリ状に形状を変化した。唸りを上げて回転を始めるジェノソーザー。

 

 「ゲームオーバーだ。 ジェノサイドクラッシャー!!」

 

 破壊龍の凶刃がライガーに迫る。

 

 「やめてぇぇぇぇぇ!」

 

 サリーの叫び声が響く。同時にサリーの悲痛な叫び声がセードの耳に響き渡り、セードの脳裏に小さな少年と少女が遊ぶビジョンが映った。

 

 「何!?」

 

 そのビジョンにつられ、ジェノソーザーはスレスレで外し、ライガーの横の地面を斬りさいた。ジェノスピノのマシンブラストの威力に驚きを隠せないバズたち、その時、フォックスが立ち上がり、その様子を見たバーンは、

 

 「レオとライガーが危ない! 行くぞ、フォックス!!」

 

 態勢を整えたフォックスはマルチプルランチャーから閃光弾を放ち、セードとジェノスピノの目を眩ませた。

 

 「うっ、ぐっ、閃光弾か!」

 

 「今だ! 逃げるぞ!!」

 

 「逃がすか!」

 

 ジェノスピノは周囲に頭部のキャノンを放つが、煙が晴れるとそこにライガーたちの姿はなかった。

 

 「ちっ、逃げられたか。 せっかくこいつのマシンブラストの威力を試すためにあのライガーを実験台にしようと思ったのに。」

 

 その時、セードの右腕がオレンジ色に発光し、ジェノスピノが何か言いたいような素振りを見せた。

 

 「そうか、もっと戦いたいのか。そうだな。もうこんな雑魚共のお遊びは終わりだ。共和国の連中が本気を出せるようにもっと相応しいステージに移行してやる。

 共和国共、精々ゲームを楽しんでおけ! ハーハッハッハッハッハッハッハ!!」

 

 セードの高笑いと共にジェノスピノはジェノソーザーでモザイクの建物を立て続けに破壊し、更に頭部のキャノン砲、ロングキャノンを放ってモザイク中を破壊尽くした。

 モザイクは一瞬で火の海と化し、モザイクが陥落したのを象徴するかのように共和国軍御旗が燃え尽きた。

 ジェノスピノは火に包まれたモザイクを背にしてそのまま立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 帝都ネオゼネバスシティにある別荘の個室で、プライド摂政はコーヒーを飲みながら、ジェノスピノの侵攻ルートの映像を見ていた。

 

 「モザイクは壊滅か……どうやら、思ったより順調に行っているようではないか。」

 

 「このまま行けば、共和国首都ももう目の前でしょう。」

 

 「共和国首都ネオヘリックシティか。 共和国壊滅のカウントダウンは始まったな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ライガー! ライガー! ライガー!!」

 

 モザイクから離れた場所に避難するレオたちとディアス中佐とツガミ大尉、ジェノスピノによって、顔半分のアーマー以外のアーマーを全て引きちぎられ、左前足と右後ろ足をもぎ取られたライガーに必死に呼び掛けるレオの悲痛の叫び声がモザイクに響き渡り、バズたちの表情に絶望の影が落ちる

 

 To be continued




 次回予告

 セードの操るジェノスピノとの激しい死闘によって、瀕死の重傷を負うライガー。今まで経験したことのない戦いの影響で、レオはライガーを傷付けたのは自分のせいだと思ってしまう。
 サリーはレオとライガーのために背一杯力を注いだその時、ペンダントが輝く。サリーはライガーを救えるのか!?

 次回「願イ、輝ク時」

 走り抜け、ライガー!!
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