ゾイドワイルドクロス アナザーZERO 作:オーガスト・ギャラガー
ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
ペンダントの力によって突如復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーを復活させた不思議な力を持つペンダントを持ち、地球の未来を左右する謎の少女サリーと共に地球再生のための冒険の旅に出掛けた。
レオのライガーとアルドリッジのファングタイガー改が戦った市街地に足を運んだランド博士とユウト、メルビル少尉。
そこには進化したライガーのエヴォブラストを受けて、ファングタイガー改と共にコクピット内で気絶しているアルドリッジと既に端末が起動した跡があった。
「一足遅かったか。 ライオン種ゾイドの強い意思が端末を作動させ、リジェネレーションキューブの端末とゾイド因子による相乗効果を起こし、それが報告にあったライオン種ゾイド の想像以上の自然治癒と更なる進化を促したと思われる。
Ziフォーミングが成功すればその自然治癒力がやがて地球全体にも行き渡り、地球の生態系そのものを別の姿に変えることも可能ということか……流石ボーマン博士……」
そう言い終えたランド博士は頭上を見上げる。
「博士……」
「残念ながら、端末の回収は断念する。我々も引き揚げる。」
ランド博士とメルビル少尉はスナイプテラインペリアルガードに、ユウトはハンターウルフ改に乗り込んだ。
その様子を市街地のビルでステルス仕様のスナイプテラで待機していたラスト大佐は、
「ランドより先に端末を回収するつもりが、まさか、あのガキに先を越されるなんてね。
しかも、ジェノスピノのあれだけの攻撃を受けた死に損ないのライガーが再生し、更に進化するなんてね! これは中々興味深いわ。」
そう言ったラスト大佐はステルス仕様のスナイプテラに乗り込み、その場を後にした。
ジェノソーザーがスナイプテラに直撃しそうになったその時、A-Z対空速射砲がジェノスピノの頭部に直撃した。セードが振り向くとそこにはパキケドスBRとハント大佐が乗ったトリケラドゴス改、そして、ステゴゼーゲ改だった。
ジェノスピノはパキケドスBRたちにA-Zロングキャノンを放とうとするが、体勢を整えたスナイプテラがクワーガファイアボンバーとスカイステルスと共にジェノスピノに爆弾を投下した。
続けて共和国の本隊のトリケラドゴス改と守備隊のガノンタス隊が砲撃するが、ジェノスピノはA-Zロングキャノンで撃破していき、スナイプテラとクワーガファイアボンバー、スカイステルスはジェノスピノの攻撃を回避しながら、攻撃を加えた。それを見てセードは少しイラつき、
「全く、まともに戦っても敵わないから、こちらの体力の消耗のためにこっちの攻撃を避けては、攻撃しての繰り返しか。
これでは退屈過ぎる! 仕方ない。この際、貴様らが本気を出せるようにしてやる!」
その時、ジェノスピノは突然攻撃を止め、森に向かって火炎放射を放った。ジェノスピノの強烈な火炎で一気に火の海に包まれた。ジェノスピノは炎の森の中に入り、そのまま姿を隠した。
「一体何をするつもりだ?」
火の中、スナイプテラとクワーガファイアボンバー、スカイステルスがその後を追うが、炎の中から出たジェノスピノはその巨体でジャンプし、そのまま海中に入っていった。
ギャレット大将たちのいる野戦基地では、
「ジェノスピノめ、攻撃を放棄したのか!?」
「いえ、これを御覧ください! どうやら、ジェノスピノは海路を通ってそのままネオヘリックに向かうつもりのようです!」
「何!? おのれ、強行突破に出たか! 直ちにカブター隊とガブリゲーター隊を呼び、ジェノスピノを迎え撃て!」
「はっ!」
海中を泳ぐジェノスピノは海上に顔をだし、A-Zロングキャノンを放った。その砲弾はネオヘリックに向けて放たれ、ネオヘリックの移民船に直撃した。その砲撃により、移民船にいる共和国将校は驚いた。
「何だ! 何が起こった!?」
「ジェノスピノからの砲撃です!」
「ジェノスピノだと!」
再び海中に隠れるジェノスピノ、
「ふっ、共和国首都なら、面白い戦場になるだろう。行くぞ、ジェノスピノ!」
ギュオォ~!!
咆哮を上げたジェノスピノは潜行し、そのままネオヘリックに向かって泳いだ。
ネオヘリックを目指し、レオたちが駆ける。
「ジェノスピノはディアス中佐の旦那たちがあそこで足止めしてたんじゃないのかよ!」
「今入った通信によると、ジェノスピノはその場の戦闘を放棄して、そのまま首都に向かっているんですって!」
「首都に向かってって? それってやばいんじゃないのか?」
そのやり取りを聞いてサリーは不安な表情を浮かべる。大破した共和国軍ゾイドの残骸を目にしたサリーは言う。
「なんとかして止めなくちゃ。」
サリーの不安を払うかのようにレオは応える。
「俺たちならできる。進化したライガーの力があれば、ジェノスピノを倒せる!だよな、ライガー!」
ガオォ~!!
レオからの問いかけに咆哮で答える金色の武装獅子王。
「俺たちも行くぞフォックス。これ以上奴の好きにはさせねぇ! モザイクの時の借りを返してやる!」
共和国軍のカブター隊が海上を泳ぐジェノスピノに砲撃を加えるが、ジェノスピノは一切反応しない。
「ディアス中佐、駄目です! ジェノスピノは全く反応せず、真っ直ぐに首都に向かっています!」
「くそ! 我々に打つ手はないのか!」
「俺に考えがあります!」
その時、ディアス中佐の元にレオの声が上がった。レオがアイセルの手を借りてディアス中佐に通信を開いていた。映像には新たな姿になったライガーの姿もあった。それを見たディアス中佐は、
「れ、レオ! レオなのか? そのライガーは一体……」
「説明は後です! とにかく俺も作戦に加わらさせてください!」
「何か策があるのか?」
「先程、アイセルから事情は聞きましたが、帝国のエースライダーのギレル中尉に頼みがあります!」
それを聞いたギレル中尉は驚いた。
「君のような民間人が私に頼むとは……一体何だ?」
「共和国首都の近くに無人の廃墟がありますよね? バスキアさんたちのクワーガで俺とライガーを運搬してジェノスピノを攻撃してそこに誘導します!」
「ジェノスピノが向かっている先にある420地区、通称スチールエリアか……あそこは無人の廃墟だが、巨大なゾイドが進むには障害が多い土地、確かに奴を誘導するには打ってつけの場所だ! ギレル中尉やれるか?」
「俺としてもそこを戦場にするのはいい判断だと思っている。ジェノスピノに水中戦で勝るゾイドがいないこの状況、奴を地上戦に引きずり込むのが最善だからな。
いいだろう、 その作戦乗った! バスキア少尉、やれるか?」
「何処ぞの馬の骨かもわからない民間人の作戦に乗るのは気が滅入りますが……ギレル中尉の命令なら従いますよ!」
「よし、バスキア少尉、バスキア准尉! 直ぐにそのライガーをジェノスピノのところまで運べ!」
「はっ!」
通信を切った後、ギレル中尉はモニターに映っていた金色のライガーをユウトのハンターウルフ改と戦っていたビーストライガーの対決を思い出していた。
「さっきのライオン種、ザナドゥリアス少尉のハンターウルフ改と戦っていたビーストライガーに似ているが、あれは明らかに違う個体だった。
改造された…または乗り換えたゾイドなのか? いずれにせよ、あのライオン種の力をこの目で見させてもらおう。」
レオからの通信が切れた後、ロックバーグ中尉が口を開いた。
「ハント大佐! ジェノスピノをスチールエリアに向かうまで、共和国軍の指揮を私にやらせてください!」
「いや、しかし……」
「現状、直ぐに出撃出来るのは私のパキケドスBRです! この日のために私のパキケドスはギャレット大将から力を授けられたんです。お願いします!」
「しかし!」
「わかった! 君に任せよう。」
「クライヴ!」
「確かにスナイプテラはさっきの戦闘でダメージを負っていて、トリケラドゴス改も出撃出来ても、あのジェノスピノに太刀打ち出来るとは思えない。
寧ろ、私より、彼女に作戦を預けた方が効率がいいのかもしれない。」
「ディアス中佐、何なら、私も行かせてください! 対抗出来るかどうかはわかりませんが、私のステゴゼーゲ改も援護ぐらいならできます! ハント大佐もお願いします!」
それを聞いたハント大佐は、
「わかりました、ツガミ大尉はロックバーグ中の指揮下に入って、直ぐに作戦を実行!」
それを聞いたツガミ大尉はキョトンとし、
「え? 私が……ロックバーグ中の指揮下に……?」
「良かったな。大尉、下になったとはいえ、彼女と一緒に戦えるのだぞ!」
「よ、余計なこと言わないでください! ディアス中佐!!」
共和国軍のカブター隊は引き続き、海中にいるジェノスピノに何度も砲撃するが、ジェノスピノはそれを無視するかのように進んだ。
「くそ、歯が立たない!」
「俺に任せてください!」
レオの声と共に金色のライガーを乗せたクワーガファイアボンバーとスカイステルスがカブター隊の前に現れ、ジェノスピノの真上まで来た。
「この位置でお願いします!」
「ギレル中尉は君に全てを託した。君のその自信試させてもらうよ!」
「わかりました! 行くぞ、ライガー!」
ガオォ~!!
レオの言葉に応えたライガーは咆哮を上げた後、A-Z機関砲を海中のジェノスピノに向かって砲撃した。
「ん?」
クワーガファイアボンバーとスカイステルスは狙いやすいように海中に少し近付けた。その攻撃に対し、海上に顔を出したジェノスピノは火炎放射を放つが、ライガーはそれを回避した。
「ジェノスピノ、こっちだ! もう一度俺とライガーと戦え!」
それを見たセードは、
「あれは……あの時の、死に損ないのライガー……まさか、あの状態で生きていたとは! しかも更に姿を変えていやがる。
このまま首都に向かって人暴れしようかと思ったが、どうやら、予定が変わってしまった。 首都壊滅までの余興にしてやる! 行くぞ、ジェノスピノ。」
ギュオォ~!!
海中を泳ぐジェノスピノは向きを変え、ライガーを運ぶクワーガファイアボンバーとスカイステルスに付いていった。
「ようし、作戦通りだ。ロックバーグ中尉、聞こえるか? 我々はこのままジェノスピノを貴校らのいるスチールエリアに誘導する。ジェノスピノが上陸したら、直ちに作戦開始し、我々が到するまで足止めしてくれ!」
1足早くスチールエリアで共和国軍と共に待機しているロックバーグ中尉はバスキア少尉の通信を聞き、
「わかりました! 私はパキケドスBRで上陸したジェノスピノを誘導します。皆は誘導地点で待機!」
「はっ!」
「ロックバーグ中尉、私も加わります! 中尉だけ危険な目に遭わせるわけには……」
「あなたは誘導地点で待機してなさい。そんな無茶をして、愛機をまた更に危険な目に逢わせる気?」
「う……わかりました。」
ロックバーグ中尉の言葉を聞いて渋々誘導地点に行くツガミ大尉、
「さあ、やるわよ。パキケドス!」
グオォ~!!
ロックバーグ中尉の言葉を聞いて咆哮を上げるパキケドスBR、
そして、暫くしてスチールエリアの海岸から津波と共にジェノスピノが現れた。海岸に待ち構えていたパキケドスBRはすかさず、ジェノスピノの目とコクピットに向けて対空速射砲を放った。
「ぐっ! さっきの新型か?」
ジェノスピノは頭部のキャノン砲を放とうとしたその時、パキケドスBRはマニューバミサイルポッドでスモーク弾を放つ。
ジェノスピノは火炎放射を放ち、周囲の煙を一気に炎に包み、灼熱の炎から顔を出したその時、既に目の前にパキケドスBRは背を向け、走っていった。
「また、誘導作戦のつもりか? 無駄だというのに。」
ジェノスピノは頭部のキャノン砲を放ちながら、走るパキケドスBRの後を追った。
「乗ってきたわね。作戦開始!」
発声と共にパキケドスBRは反転し、後ろ向きで走りながら、対空速射砲を放った。ジェノスピノも頭部のキャノン砲を放つが、パキケドスBRはスレスレで回避し、ビルの間を走っていく。
ジェノスピノはそれを追うとするもビル群がその巨体の前進を阻む。ジェノスピノはA-Zロングキャノンでビルを破壊し、前足で破壊したビルを倒して進み、ビルの角を回りながら、頭部のキャノン砲やソーザーバルカンを放ってパキケドスBRを追った。
「全軍、攻撃開始!」
林立するビルを抜け、角を曲がったところでそう命令を下すロックバーグ中尉、 スチールシティ内に展開していた共和国軍部隊を指揮するツガミ大尉はロックバーグ中尉の命令を受けは部隊に指示する。
「よし、今だ! 砲撃開始!」
ツガミ大尉の命令を受けた共和国部隊はジェノスピノの左右のビルを攻撃した。それを見たセードは、
「また、生き埋めのつもりか? この程度のビルで倒れる訳が……」
その時、ジェノスピノの目の前にスチールエリアで最も高い超巨大ビルが倒れていった。同様に待機している共和国部隊のキャタルガ隊が予め倒壊させるよう細工していたのだ。
「ちっ!」
ジェノスピノはA-Zロングキャノンを連射してこれの破壊を試みるが、既に遅く、巨大ビルは左右のビルと共に巨大な轟音を立てて、ジェノスピノの前に倒壊し、後には堆く積まれた瓦礫の山だけが残った。それを見て手応えを感じたツガミ大尉は、
「よし、作戦は完了した! 後はレオがここに来るのを待つだけだ。」
「ん?」
その時、ロックバーグ中尉が何かに反応した。
「皆、瓦礫から離れて!」
ロックバーグ中尉の命令を受けて共和国部隊が瓦礫の山から瓦礫から離れようとしたその時、突然瓦礫が盛り込んできた。
「ジェノサイドクラッシャー!!」
地面からセードの掛け声と共にマシンブラストを発動したジェノスピノが瓦礫の山から抜け出しつつトリケラドゴスを真っ二つにし、取り囲む共和国ゾイドをジェノソーザーで撫で斬りにした。
「くそ、」
味方のピンチを見て突撃を仕掛けるツガミ大尉のステゴゼーゲ改、しかし、ロックバーグ中尉が待ったを掛け、
「ここは私が引き受けます! それより、あなたはあの少年をここに!」
「し、しかし、君は……」
「私は大丈夫です! それより、早く行って!!」
「わ、わかった!」
ライガーを運ぶクワーガファイアボンバーとスカイステルスはスチールエリアの近くまで来た。
グルルルル……
低い唸り声を上げるライガーの様子から、ジェノスピノに近づいていることを確信するレオ。そして、目の前には煙の立ちのぼるスチールエリアがあった。
「あそこだ……行くぞ、ライガー!」
スチールエリアに着いたクワーガファイアボンバーとスカイステルスはライガーを降ろした。同時にフォックスとラプトリア、バズの車も到着していた。
「待たせたな。レオ!」
「よし、行くぞ! これ以上はやらせない!」
「俺たちが止めてやる!」
ライガーとフォックスの前にステゴゼーゲ改が現れた。
「ツガミさん!」
「来てくれたか! 今、ロックバーグ中尉が足止めしているが、かなり苦戦している。我々も加わるぞ!」
「わかりました!」
パキケドスBRがジェノスピノとやり合う中、手前からフォックス、奥からライガー。ジェノスピノに対し挟撃を仕掛けた。ライガーA-Z機関砲を放つが、ジェノスピノはその攻撃に歯牙にも掛けなかった。
「ふ、ようやく現れたか。だが、それで攻撃したつもりか!」
ジェノスピノはジェノソーザーで襲いかかろうとし、ライガーは間一髪で回避した。ジェノスピノは周囲に火炎放射を放ち、周囲を炎に包んだ。
パキケドスBRは炎に対空速射砲を放つが、目の前にジェノソーザーが現れた。直撃しそうになった時、ライガーがパキケドスBRにぶつけ、それを回避した。
「大丈夫ですか?」
「ありがとう。 あなたが、ディアス中佐の言っていた少年?」
「はい、レオです!」
ジェノスピノは炎の中、ジェノソーザーを振り回した。それを見たバーンは、
「不味い! 一旦隠れるぞ!」
バーンの言葉に従って、レオたちはビルの影に隠れ、ロックバーグ中尉も隠れた。
「チッ!装甲が硬すぎるぜ!」
「何か策を練らないと……」
「そうだ、闇雲にぶつかっても、敵う相手ではない! ところで、レオ! それが甦ったライガーか?」
「はい! これでジェノスピノと戦えます!」
「何か作戦があってこんな場所に奴を誘い込んだんだろ?」
「ああ。君たちが到着するまでここで足止めするはずだった。だが見ての通りだ。首都への侵攻を止めるには、我が軍の戦力を全てここに費やさなければ……」
「でももう時間がない。ジェノスピノの攻撃は、すでに首都を襲っているのよ!」
「けど、どうやって?」
その時、アイセルからの通信でバズとサリーが口を開いた。
「お嬢さんから提案だ。良い方法があるってよ!」
「良い方法とは思えません。でも、止めるとしたら……」
「どうすれば良い? 教えてくれ、サリー!」
「ゾイドコアです。ゾイドコアはゾイド の心臓部。そこを突けば活動を停止するはずです。だから……」
「でも、それを破壊したら、ジェノスピノは死んじゃうんじゃないのか?」
「そうです……でも、止めるとしたら、それしかありません。私もこんなことはしたくないんですが……」
そう言って涙を浮かべるサリー、その様子を見たレオは、
「サリー、大丈夫だよ! ジェノスピノは死なせない。必ず止めてみせる!」
「おいおい、正気か! レオ! それ以外でどうやってあの化け物を倒すんだよ!」
「ジェノスピノはあくまで操縦しているライダーの命令で暴れているだけだ。だから、ゾイドコア以外に狙うとしたら……」
「まさか、ライダーごとコクピットをやるって言うのか!?」
「破壊するんじゃない! コクピットを切り離して、ジェノスピノを解放してやるんだ。」
「確かにバイザーで制御されている帝国軍のゾイドは自分の意思では動けないから、ライダーがいなければ、何もできないわ。」
「けど、いくらなんでもそれは無茶じゃねぇか?」
「やるしかない! いや、やらなければならないんだ。お願いです! 皆さん、手伝って貰えますか?」
「かなり危険な賭けだが、その方法で止めれば、流石の帝国軍は文句は言えないだろう。
だが今はジェノスピノを止めることが最優先事項だ。少しでも可能性があるなら、それに賭けたい!」
グルル……
ライガーが低く唸ったのを見たレオは、
「ライガーならやれるってさ。ライジングライガーは、ジェノスピノを止めるために進化したんだ。俺たちに任せてよ!」
「ガトリングフォックスだって、やられっぱなしのまま大人しく引き下がるつもりはないぜ!」
ドスン!
その時、レオたちを見つけたジェノスピノが目の前に現れた。
「どうした? 来るなら、全員で掛かってこいよ!」
「よし、行くぞ、皆!」
「おう!!」
ジェノスピノがジェノソーザーを振り回し、ライガーたちはそれを避け、バラバラになってジェノスピノの周囲に回り込んだ。
「今度こそ、借りを返してやる! 撃ちまくるぜ!
ブルーシャドーフォックス、進化 解放! エヴォブラストー!! ファントムガトリング!」
エヴォブラストを発動したフォックスは走りながら全砲門をジェノスピノに向けて砲撃した。
「同じ攻撃が二度も通用するわけが……」
「ステゴゼーゲ、進化 解放! エヴォブラストー!! ナイフオブフィフィティーン!」
ステゴゼーゲ改もエヴォブラストを発動し、ボーンソーでジェノスピノの足を斬りかかった。ジェノスピノは足で踏み潰そうとしたその時、
「パキケドス、進化 解放! エヴォブラストー!! 弾丸鈍破!」
エヴォブラストを発動したパキケドスBRが頭部のパンプヘッドとボスクラウンでジェノスピノの胸部に連続頭突きを食らわし、ジェノスピノの装甲にひひが入った。
「うぐっ!」
その時、セードに少し披露が出て、ジェノスピノのコクピットからは機体の限界を示す合図が出た。
「ちっ!」
「その様子だと、機体に限界が来たようね!」
「ふん、限界が来たということは、更に緊張感が出るということ。それなら、益々戦いがいがあるということだ!」
再びジェノソーザーを振り回すジェノスピノ、しかし、それを回避するパキケドスBR、
「何度避けても貴様らでは、この俺に傷1つ付けることは出来ない!」
再び攻撃しようとしたその時、幾つかの砲撃がジェノスピノを襲った。ビルの屋上にエヴォブラストで展開したクローに主砲を装備したラプトリアとギレル中尉の乗る共和国仕様クワーガとバスキア兄妹のクワーガファイアボンバーとスカイステルス、更にディアス中佐の乗るスナイプテラがカブター隊を率いて現れた。
「遅れてすまない!」
「我々も援護する!」
「スナイプテラ、兵器 解放! マシンブラストー!!」
「クワーガ、進化 解放! エヴォブラストー!!」
「クワーガ、兵器 解放! マシンブラストー!!」
ギレル中尉の乗るクワーガとクワーガファイアボンバー、スカイステルス、ディアス中佐の乗るスナイプテラ率いるカブター隊の一斉砲撃を受けるジェノスピノ、
「ちぃっ!」
一斉砲撃によろめいたジェノスピノ。その隙を突いて攻撃を仕掛けようと試みるライガー。
「それで攻撃したつもりか!」
それを火炎放射で迎え撃つジェノスピノ。
一瞬にして灼熱の炎に包まれたライガーとレオに映像でその様子を見ていたバズとサリーが叫んだ。
「レオ!」
「逃げろレオ!」
「うっ……ぐっ……」
ライガーはジェノスピノの火炎放射から生還する。進化したことによって新たにパワーアップした高性能放熱フィンが機体温度の上昇を防いだのだ。
「凄い! ジェノスピノの火炎放射を防いだ!」
「それがどうした!!」
攻撃の手を緩めずに攻撃を繰り返すジェノスピノだったが、ライガーはこの葉のようにひらりと攻撃を躱し、ジェノスピノの攻撃の合間を縫って反撃を加えていく。
「ちっ、ちょこまかと!」
怒りに駆られたジェノスピノはライガーを追うが、レオは巧みに攻撃を回避していく。
「はあああああああ!」
「うおおおおお!」
フォックス、ラプトリア、スナイプテラ、共和国仕様クワーガ、クワーガファイアボンバー、スカイステルスの一斉砲撃で、ジェノスピノが怯んでいく。
「何故だ? 何故、この俺に手も足も出なかった雑魚共がここまでやれる!?」
「お前にはわからないだろうな!」
「何!?」
「俺たちはお前を止めるために戦っている! そして、俺とライガーは皆を守るために戦っているんだ! そしてこの力はそのためにあるんだ!!」
「それが貴様らの戦う理由だと? 下らん! 俺はそんなもの、断じて認めない!! ジェノサイド……」
「今だわ! シュトゥルムボック!!」
ジェノスピノがライガーに狙いを定めたその時、パキケドスBRが横から現れ、背部のブースターで最大速度まで加速し、そのスピードに乗せ、渾身の頭突きをジェノスピノの顔に直撃した。その一撃必殺の攻撃の衝動で、ジェノスピノの右目のZ-Oバイザーが砕け散り、そこからゾイド本来の目が露出した。
「今だ! ライガー、進化 解放! エヴォブラストー!! ライジングガンスラッシュ!」
パキケドスBRの攻撃に加え、エヴォブラストしたライガーの連続砲撃でジェノスピノは少しずつ海辺に後退していく。
「くっ、ふざけるな~!!」
「ライジング、バースト、ブレイクー!!」
「ジェノサイドクラッシャー!!」
ライガーのA-Zタテガミブレードとジェノスピノのジェノソーザーの2つの刃が交わり合い、火花が散る。だが、その時、ジェノスピノのジェノソーザーに亀裂が広がり、全ての刃が砕け散った。ジェノスピノはジェノソーザーの全ての刃が砕け散ったその衝撃で態勢を崩し、そのまま海中に落下した。
「馬鹿な……この俺が……あの死に損ないのライガーに……」
ライガーの一撃で戦闘継続不能になったジェノスピノはそのまま沈んでいった。
「勝った……凄い、凄いぞ! ライガー!!」
映像でその様子を見ていたバズとサリーは、
「レオ、あいつやりやがったな!」
「レオ……良かった。」
ジェノスピノを倒したことで、ライガーは勝利の咆哮を轟かせる。
ガオォ~
その様子を離れたところから観戦していたランド博士は呟く。
「あのライオン種、素晴らしい進化を遂げたものだな。これもリジェネレーションキューブの作用によるものか。試してみなければ……」
そう言って彼はユウトやメルビル少尉と共にその場を後にするのだった。しかし、ユウトは少し不満そうな表情で後ろを振り返った。
「新たな力を得たライガー……」
スチールエリアにギャレット大将が到着し、ディアス中佐とツガミ大尉の元に立ち寄った。
「共和国は救われた。ディアス中佐、ツガミ大尉。よくやってくれた。」
「いいえ。すべては協力者のおかげです。我々は彼らに感謝しなければなりません!」
「彼ら?」
「彼らこそ英雄です!」
サリーとアイセルはテントで一休みしていた。
「ジェノスピノは見つけた後、その管理については両国上層部がこれから協議に入るそうよ。」
「ジェノスピノだって、本来はこんな形で復元したくなかったはずです! ゾイドは人を傷付けるための道具にするべきじゃないんです!」
身支度を進めるバーンにレオとバズが声を掛ける。
「お~い、バーンの旦那!」
「何だ、お前らか。どうした?」
「実は俺たち、ジェノスピノを倒した英雄として、共和国首都にまで招かれるそうだ。 バーンの旦那もどうだ? 俺たちと一緒に……」
「俺は遠慮させてもらう。今回の件で両国間の行き来が増えそうだろう? うっかり帝国側の人間に見つかったりしたらマズいんだよ!」
「君がレオ・コンラッドか……」
会話中の3人にギレル中尉が声を掛ける。
「げッ!ギレル中尉……」
「ギレル中尉……スナイプテラのライダーの!」
「君と会うのは初めてだが、私のことを知っていたのか?」
「実はアイセルから聞いていたから。」
「そうか……それにしても、君の活躍は見事だった。只の民間人とはとても思えない。」
「エヘヘ……」
「ジェノスピノとの戦いぶりも見事だった。お前もな。ブラッド元二等軍曹。」
「いやぁ……それほどでも……ってなんで俺の名前を知ってるんだよ」
「優秀なライダーの情報は耳に入ってくるものだ。お前のような軍人を失うとは、帝国軍も大損失だな。」
「おだてたって何も出ねぇぜ!」
「これからどうするつもりだ? このまま帝国の御尋ね者になるのか? 今回の件で共和国軍に招かれば、お前の罪は帳消しになると思うが……」
「そういって、どうせ俺からフォックスを奪うつもりじゃねぇだろうな?」
「そんなつもりはない。私としてはゾイドを大切に思う君のような優秀なライダーを帝国軍に復帰したいと思っている。私もゾイドを只の戦争の道具扱いにする考えは好ましくない。」
「まあ、あんたがいい奴でも俺たちは2度と帝国軍には戻らないって決めているんでね!」
「そう言うと思ったよ。」
そんなやりとりをしている彼らに声を掛けるディアス中佐、
「ギレル中尉、今回の戦いは君の助けもあってのことだ。感謝する。」
「勘違いするな。俺はコリンズ准将に汚名を着せた無能な上官共に一泡吹かせるためにやったのだ。」
「素直じゃないな。」
「今は休戦状態だが、帝国と共和国との戦争は終わったわけではない。いずれはあなたと対決することもあるだろう。 それとレオ……」
「何ですか? ギレル中尉。」
「君とは一度は戦ってみたいものだ。出来れば、戦場以外でな。」
「あなたがどれだけのエースだからって、俺とライガーは負けないですよ!」
「ハハハ、軍人でもないのに中々肝の座った少年だ。」
「だが、本当に行くのか?帝国に戻っても、君の処遇がどうなるのか分からないんだぞ?」
「コリンズ准将の汚名は晴らすことができた。目的を果たした以上、ここに止まる理由はない。
それに処遇が与えられるのは反乱を起こしたシーガル共らになるがな。」
「そうか。私としては共和国軍にスカウトしたかったんだがな。」
「俺は帝国軍人だ。これからも帝国のために働く。それだけだ。」
「分かってるさ。」
そんなやりとりをして、ギレルは自らの操縦するスナイプテラでクワーガファイアボンバーとスカイステルスと共に帰っていった。
夕焼けをバックにライジングライガーが再び勝利の咆哮を轟かせる。
ガオォ~!!
スピーゲル中佐に通信を入れるシーガル准将、
「アルドリッジ少佐を回収した!? バカ者! そんなことより、何故、共和国首都に侵攻しなかった!? 一体何をしていたのだ! 貴様は!!」
「閣下!」
「何だ!?」
「宰相閣下からの通信です!」
渋々ながらも通信に応じるシーガル准将、
「シーガル准将です。宰相閣下、何の用でしょうか?」
「シーガル! 貴様の反乱は明るみに出た! 貴様の処分はこれから行う軍事裁判で決定する! 貴様の席はないと思え!!」
「くっ、く~!!」
同時に別荘にいるプライド摂政にもラスト大佐から通信が来た。
「何だ?」
「プライド、予期せぬ事態が発生しました!」
「どうした?」
「ジェノスピノが敗れたわ。 あの例のライガーによってね。」
「報告にあった1つの端末の力で進化したライガーによってか……」
「オマケにランドがそのライガーのことに興味を持ったそうよ。」
「何としても奴より先にそのライガーの情報を手に入れろ! その情報を奴の研究に使わせるな!」
「わかったわ! では、このままランドの監視をしておく。ところで、ジェノスピノはどうするの?」
「その件はこちらで取り繕う。お前はそのまま監視体制に入れ!」
「了解!」
通信を切るプライド摂政、
「まさか、ジェノスピノに手も足も出なかったあのライガーがジェノスピノを倒せる程の力を得ることになるとはな……
計画に少し支障が出たが、代わりに思わぬ収穫が入った。あのライガーの詳しい情報が手に入れば、我々の計画は最終段階にまで近付く。」
To be continued
次回予告
新たな力を得たライガーの活躍によって、共和国をジェノスピノの脅威から救ったレオたち、そんなレオたちは共和国の英雄としてネオヘリックに歓迎され、それまでの戦闘を忘れるかのように平和な一時を過ごしていた。
そんなとき、レオに大統領とギャレット大将からスカウトが来た! その時に取ったレオの判断とは!?
次回「平和ナ ヒト時」
走り抜け、ライガー!!