ゾイドワイルドクロス アナザーZERO   作:オーガスト・アベラス

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 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーが新たな姿を得て進化したライジングライガーの力によって強敵セードとジェノスピノを打ち破り、新たな仲間を加え、再び地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


第16話「導ク光 禁断ノ地」

 プライド摂政の別荘、スピーゲル中佐のドライパンサーがレオのライジングライガーに敗れたことをラスト大佐はプライド摂政に報告した。

 

 「スピーゲルによると、民間人の乗った共和国の新型飛行ゾイドの妨害を受けて敗れたそうよ。」

 

 「つまり、一対一でドライパンサーに勝った訳ではないということか……

 出来れば、一対一での対決なら、あのライガーの有力な戦闘情報が手には入れたはずなのだがな。」

 

 「となると、あの小僧とライガーを他の連中から完全に引き離す必要があるわね。」

 

 「ところで、ユウトはどうした?」

 

 「ハンターウルフ改を強化された後、メルビルという小娘の乗るスナイプテラに乗ったランドと共に端末探しに入ったそうよ。」

 

 「場所は?」

 

 「エリア99」

 

 「禁制地区に入ったのか……あそこは謂わば神の領域だ。その領域に入るとは身の程知らずもいいとこだ。」

 

 「どうする? この際、あの小娘の乗るスナイプテラを撃ち落とそうかしら。」

 

 「いや、待て。ユウトはまだ奴を尊敬している。ここで奴を始末するような真似をしたら、ユウトは我々に対する忠誠心を無くし、我々に牙を向くことになるだろう。」

 

 「でも、奴を野放しにするのは少々厄介よ!」

 

 「そうでもない。どうやら、スピーゲルからの報告によると、あの小僧共もエリア99の近くにまで来ているそうだ。それを利用する。」

 

 「なるほど、奴らとやりあわせるわけね。」

 

 「ユウトはあのライガーを倒したがっている。あの2体をやりあわせれば、有力な戦闘情報が確実に手に入る。」

 

 「けど、問題はランドね。奴に禁制地区の情報まで与えるわけにもいかないし……」

 

 「その工作はお前に任せる。彼処には例の遺産があるかもしれん。何としても奴より先に手に入れるのだ。」

 

 「了解。」

 

 部屋を退出したラスト大佐はステルス仕様のスナイプテラ3Sに搭乗し、エリア99に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ランド博士はメルビル少尉の乗るスナイプテラインペリアルガードの口内のシートに乗り、インペリアルガードはランド博士がファングタイガー改やハンターウルフ改の他に改造したゾイドであるギルラプター改も運搬していた。禁制地区と呼ばれるエリア99に近付き、発信器を見たランド博士は、

 

 「反応が強い。やはりあの未開の地に何かあったようだな。メルビル少尉、直ぐに離陸準備にかかれ!」

 

 「はいっ! お父様。」

 

 スナイプテラインペリアルガードを操縦しているメルビル少尉は少し不安そうな表情で外を見ていた。

 

 「何だか、怖い……」

 

 そして地上では、ユウトの乗るハンターウルフ改がスナイプテラインペリアルガードに付いていった。

 

 「ここにライガーが来たら、必ず倒す。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 端末を探しにサリーのペンダントを頼りにレオたちは新たな地に立ち寄った。それはゾイドクライシスによって崩れた道が塞がっている巨大な橋だった。

 

 「うひょ~、まさか、こんなデカい橋があったなんて!」

 

 「あれはゴールデンゲートブリッジ。21世紀の大国のアメリカが誇る巨大な橋よ。」

 

 「へぇ~、ロックバーグさん、そんなことまで知っているんですね。」

 

 「地球に住むためにこういうことを学ばなきゃいけないからね。」

 

 「でも、橋は完全に途切れているから、この先は進め無さそうだ。」

 

 「それに橋の向こう側は禁制地区に当たるし……」

 

 「ロックバーグさん、禁制地区ってなんですか?」

 

 「帝国軍、共和国軍が定めている立入禁止区域のこと。詳しいことまでは知らないけど、数年前、帝国と共和国の両国の軍が領土拡張のためにその領域に入ったところ、突然、通信が途絶え、足を踏み入れた兵士が誰1人戻って来なかったらしいわ。

 辛うじて生き残った者もいたけど、既に精神崩壊していて、何が起こったのか聞き出せず、僅かに残った映像でも何者かに食いちぎられたゾイドの残骸しかなかったそうよ。」

 

 「うぇ、マジかよ!」

  

 「それ以来、その領域は禁制地区とよばれ、立入禁止区域になったけど、どういうわけか、その領域は年々拡張していって、帝国、共和国の領土まで削っていって、今では世界の半分近くまでいっているそうよ。」

 

 「ゲェッ! じ、じゃあ……ここは引き下がろうか。」

 

 「でも、ペンダントにはこの先に反応があるから、通らないわけにはいかないし……」

 

 「かといって、禁制地区に足を踏み入れるのはかなり危険よ。」

 

 「そういうことなら、俺に任せろ!」

 

 自身満々に声を上げたのはバーンだった。

 

 「俺のフォックスは光学迷彩付きのステルス性能のゾイドだ! いくら彼処にどんな敵がいようと、俺のフォックスをそう簡単に捕らえることは出来ないはずだ!」

 

 「禁制地区にいる敵は未知数だけど、確かにこのメンバーの中ではあなたのフォックスが一番適任ね。」

 

 「よし、そうと決まれば、早速サリーを乗せて端末の場所まで向かってやる。」

 

 「ち、ちょっと待てよ! バーン、何でまたサリーをフォックスに乗せなきゃならないんだよ!」

 

 「いくら、ジェノスピノを倒したライジングライガーだからって、ステルス能力のないライガーで行ったら、危険が多いだろ?」

 

 「で、でも……」

 

 「あれ~? もしかしてレオ、サリーを乗せた俺に嫉妬しているのか?」

 

 「そっ! そんなんじゃないって!!」

 

 「レオ、私もバーンさんに賛成です。これ以上レオを危険な目に逢わせたくないから。」

 

 「さ、サリーがそこまで言うなら……」

 

 「よし、決まりだな! では、教官! よろしいですか?」

 

 「ロックバーグ中尉よ! 知っていると思うけど、彼処は未開の地だから、へまをやらかすようなことはしないことね。

 一応、私とレオはいつでも出撃できる準備をするから、もし、万が一のことがあったら、直ぐに救援に来るわ。」

 

 「わかってるよ! よし、サリー! 俺と一緒に乗り込め! フォックス、行くぞ!!」

 

 バーンとサリーはフォックスに乗り込み、橋を飛び越えた後、フォックスは光学迷彩で姿を隠し、そのまま禁制地区の森の中に入って行った。

 

 「アイセル少佐、あなたも出撃できる準備をしなさい!」

 

 「はっ! はい……(てか、私また命令されているんだけど)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スナイプテラインペリアルガードから降りたランド博士は発信器を見、

 

 「反応は彼処だな。メルビル少尉、私はユウトと共に端末の捜索に入る。君は私のギルラプター改で見張っていろ!」

 

 「え? しかし!」

 

 「心配することはない。彼だけで十分だ。ゆくぞ! ユウト。」

 

 「はいっ! 博士。」

 

 ユウトは大人しく従い、ハンターウルフ改に乗ってランド博士に付いていった。

 

 「お父様……ユウト……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フォックスは光学迷彩を発動しながら、森の中を捜索していた。

 

 「見たところ、何処にも敵らしき影はいないが、ホントにそんな奴が現れるのか?」

 

 「でも、何だか嫌な予感がします。」

 

 「サリー、ペンダントの反応はどうだ?」

 

 「この先を進めば、着くと思います。」

 

 「よし、このまま前進するぞ。」

 

 サリーのペンダントの反応を頼りにフォックスは深い森の中に入っていった。その時、突然行く手に霧が現れ、目の前の視界を遮った。

 

 「何だ? 霧か……こんなところに霧が発生するなんて。」

 

 フォックスは慎重に霧の中に入っていくが、突然、横から何か跳んできた。フォックスは間一髪で避け、跳んできた物体は反対側の霧の中に入った後、爆発した。

 

 「うおっ!」

 

 「きゃあぁ~!!」

 

 「何だ? 今のは……まさか、帝国軍か?」

 

 その時、周囲の霧の中多数のジャミンガが現れ、一瞬の内にフォックスを取り囲んだ。

 

 「な、何だ? 何だ! 何でいきなりこんな大量のジャミンガが現れるんだよ!? しかもフォックスの姿が見えるとでも言うのか?」

 

 「バーンさん……」

 

 「心配するな。ジャミンガ程度なら、このぐらいどうってことねぇよ! 一瞬で片をつけるぞ! フォックス!」

 

 ヴォ~!!

 

 「ブルーシャドーフォックス、進化 解放! エヴォブラストー!! ファントムガトリング!」

 

 エヴォブラストを発動したフォックスは全方位にガトリングを放ち、一瞬にして大量のジャミンガを殲滅した。

 

 「へへ、いくら数でこようが、所詮俺とこのブルーシャドーフォックスの敵じゃねぇぜ!」

 

 しかし、その時、突然空中から爆弾が投下され、フォックスはそれを諸に直撃して爆破により、吹っ飛ばされた。

 

 「ウワァッ!!」

 

 「きゃあぁ~!!」

 

 爆弾を投下させたのはラスト大佐の乗るスナイプテラ3Sだった。

 

 「フフ、地上の相手ばかりに気をとられすぎて、空中の敵までは予測出来なかったようね さて、これであの例のライガーが動くだけね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゴールデンゲートブリッジで待っていたレオはライガーと共に何か感じとり、同時に爆音が聞こえた。

 

 「今のは……」

 

 「もしかして、バーンとフォックスに何かあったのかしら?」

 

 「サリーが危ない。俺ちょっと見てきます。行くぞ、ラライガー!」

 

 ガオォ~!!

 

 サリーのことが心配になったレオはライガーと共に真っ先に橋を飛び越え、禁制地区の森に入っていった。

 

 「たく、しょうがないわね。アイセル少佐、あなたはここでバズを守りなさい! もし何かあったら、共和国軍に応援を!」

 

 「了解しました! (て、また私命令されてる……)」

 

 ロックバーグ中尉のパキケドスBRも後を追って、橋を飛び越え、森の中に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 森の中でランド博士についていくユウトは何か感じ取った。

 

 「どうした? ザナドゥリアス少尉。」

 

 「何か近付いてきます。」

 

 「この禁制地区にいるという正体不明の存在か、それとも別の何かか?」

  

 「僕ちょっと見てきます。」

  

 そう言うと、ユウトとハンターウルフ改は向こう側に走っていった。

 

 「ふん、まあ、いい。反応は直ぐ近くだ。端末さえ見付かれば、それでいいのだからな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時にスナイプテラインペリアルガードの付近で見張りをしていたメルビル少尉も爆音に気付き、

 

 「この音……もしかしてお父様とユウトに何か……」

 

 ランド博士とユウトのことが気掛かりになったメルビル少尉はギルラプター改に乗ってその場所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ライガーは森の中を走り、レオは必死に辺りを見渡してサリーを探した。

 

 「サリー、一体何処にいるんだ?」

 

 その時、巨大な槍のようなものがライガーに襲いかかってきた。ライガーは咄嗟の判断でそれを回避し、その後、静かに唸り声を上げた。

 

 「ライガーがこんなに警戒しているってことは……まさか!」

 

 その時、影から現れたのは巨大なランスを装備したハンターウルフ改だった。

 

 「あのハンターウルフ……ということは……」

 

 「また、会ったね。」

 

 「その声はユウト!」

 

 「それがジェノスピノを倒したという進化したライガーか?」

 

 「ああ、そうだ! だけど、お前に渡すつもりはない!」

 

 「渡す? 欲しいのはライガーそのものじゃないよ。ライガーの情報さ!」

 

 「情報?」

 

 「博士は端末の力で進化したっていうライガーの情報を手に入れて、新たな研究材料にするつもりなんだ。だから、わざわざライガーを捕獲するまでのことはしない。

 それに僕は博士に僕の力を見せるためにお前を倒すことを決めた。最強ゾイドであるジェノスピノを倒したそのライガーを倒せば、僕が最強になる。」

 

 ハイパーブースターで加速してハンターウルフ改はガトリングを撃ち込みながらライガーに襲いかかってきた。ライガーは以前の戦いの経験故、その攻撃を難なく回避した。

 

 「前よりやるようになったね!」

 

 「くっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 森の中を走っていくパキケドスBR、

 

 「レオ、一体何処に行ったの?」

 

 そこにギルラプター改に乗るメルビル少尉がパキケドスBRを見つけた。

 

 「あれは共和国軍の新型ゾイド! 」

 

 霧の中から現れたのは両腕に対空速射砲を装備したグレー色のギルラプター改が現れた。コクピットにはメルビル少尉が乗っていた。

 

 「Z-Oバイザー……ということは帝国のゾイドね。」

 

 「ここから先は通さない! 博士の、お父様の邪魔はさせないわ!」

 

 「随分威勢がいいじゃない! でも、私はそんなに甘くないわ。」

 

 ギルラプター改はパキケドスBRに対空速射砲を撃ち込むが、パキケドスBRは瞬時に避け、対空速射砲を撃ち、更にマニューバミサイルも撃ち込んだ。それで一旦怯むが、パキケドスBRの突進を避けるギルラプター改、

 

 「思ったよりやるわね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 謎の霧からの攻撃を受けた衝撃で、フォックスは崖下で倒れていた。倒れているフォックスのコクピットで、バーンは目を覚ました。

 

 「いてて……くそっ! 一体何だったんだ? サリー、大丈夫か? ん?」

 

 後ろを見ると、そこにサリーの姿はなかった。

 

 「まさか、さっきの爆発の影響で、コクピットから飛ばされたのか!? 不味いな。行くぞ! フォックス! 急いで探しに向かうぞ!!」

 

 立ち上がったフォックスはサリーを探しに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スナイプテラ3Sの爆弾投下による爆発の衝撃で、フォックスのコクピットから出されたサリーはフォックスよりかなり離れた場所で倒れていた。

 

 「うっ……いたっ!」

 

 攻撃の衝撃で受けた痛みで目を覚め、傷付いた左手を塞ぐ。辺りを見渡すとそこにフォックスの姿はなかった。

 

 「バーンさん……早く、バーンさんのところに……」

 

 その時、サリーのペンダントの光が強くなった。

 

 「反応が強い。もしかして、この先に端末が?」

 

 サリーはペンダントの指し示す方向に向かって走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 「弾丸鈍破!!」

 

 パキケドスBRの弾丸鈍破とギルラプター改のウィングショーテルがぶつかるが、力はパキケドスの方が有利であり、パキケドスの頭突きの衝撃で倒れるギルラプター改、

 

 「キャアァー!!」

 

 「そろそろ限界のようね……戦いを続けるつもりがないなら、大人しく道を明け渡しなさい!」

 

 「出来ないわ! 博士……いや、お父様の研究の邪魔をさせるわけにはいかないわ!」

 

 「そっ……なら、残念ね。 でも、これ以上、私たちに立ち塞がるなら、容赦はしないわよ!」

 

 「うっ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハンターウルフ改の攻撃を回避するもハイパーブースターによる加速と巨大ランスの攻撃に翻弄されるライガー、

 

 「前はわざわざマシンブラストを発動しなくても君を倒すことくらい容易だったけど、今度は本気を出してもよさそうだ。いくぞ、ハンターウルフ!

 ハンターウルフ、兵器 解放! マシンブラストー!! ソニックシックル!」

 

 「くっ!」

 

 何とかそれを避けるライガー、

 

 「ならば、こっちもいくぞ、ライガー!」

 

 ガオォ~!!

 

 「ライガー、進化 解放! エヴォブラストー!!」「ソニックシックル!」「ライジンガンスラッシュ!」

 

 ハンターウルフ改のレゾカウルから放たれた刃をタテガミショットで迎撃するが、ハンターウルフ改は尚もライガーに迫り、前足でライガーを攻撃した。

 

 「うっ!」

 

 「どうした? その程度かい!」

 

 「ならば、ライジングバーストブレイク!!」

 

 「ソニックシックル!!」

 

 互いのワイルドブラスト技がぶつかり合い、その衝撃で二体とも飛ばされるが、ハンターウルフ改は即座にハイパーブースターで加速し、ガトリングをライガーに撃ち込みながら、前足でライガーを攻撃した。ライガーも前足で応戦するが、ハンターウルフ改は瞬時に後ろに回り、ライガーを突き飛ばした。

 

 「ウワァッ! くっ、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ペンダントの指し示す方向を歩いていき、見付けた先には宇宙船のようなものの残骸が目の前に現れた。その宇宙船は数百年は経っているかのように古び、至るところが破壊されていた。

 

 「この船は……」

 

 サリーはその宇宙船に見覚えを感じながら、恐る恐るその宇宙船の中に入っていった。入ったその部屋は研究室のようだった。

 

 「ここって……」

 

 周囲の埃を払って、身近なものを見ると、そこにかつてサリーが科学船でボーマン博士と共にゾイド因子研究のために使っていた道具があった。サリーはボーマン博士と一緒に地球に向かう途中の科学船の出来事を思い出していた。

 

 

 サリーのその道具を触ろうとしたその時、突然ランド博士がその手を掴んだ。ランド博士を見たサリーは、

 

 「あなたは! 帝国の……」

 

 「覚えていたようだな。そうだ! ザナドゥリアス少尉にスカウトされた君を軍事兵器としてのゾイドの開発を命じた者だよ。」

 

 「どうして、あなたがここに?」

 

 「今となってはそんなことはどうでもいい。そのペンダントを渡して貰おうか!」

 

 「駄目です! これはお爺さんが端末の再起動のために私に託したものです! 絶対に渡しません!」

 

 「往生際の悪い小娘だ。大人しく渡せ!」

 

 ランド博士は力付くでサリーからペンダントを奪い取ろうとするが、サリーは絶対にペンダントを離さなかった。

 

 「嫌、嫌!」

 

 「やれやれ、強情なところもクリスタによく似ている。」

 

 それを聞いたサリーは驚き、

 

 「え? どうしてその名前を?」

 

 その時、突然船の中に多数のジャミンガが入ってきた。一体のジャミンガがランド博士とサリーに襲いかかろうとしたその時、ランド博士はサリーを突き飛ばし、右手をジャミンガに向けて掲げた。 その時、ジャミンガの動きが一瞬止まっていく。

 

 「うっ……ぐっ……」

 

 ランド博士が右手を携えてジャミンガが動きを止めるが、尚も動こうとする個体までいた。

 

 「ぐぐっ……」

 

 だが、その時、後ろのジャミンガが突然倒れ、次々とドミノ倒しのように倒れていくとその背後にラスト大佐が現れた。

 

 「何!? 貴様は!」

 

 「やっぱりここにいたわね。」

 

 残りのジャミンガが背後からラスト大佐を襲おうとするが、ラスト大佐は片手だけでジャミンガを殴って難なく倒し、拳銃をランド博士に向けた。

 

 「貴様、何のつもりだ!」

 

 「何って、そりゃ、あんたが摂政の命令無しで勝手に動いたからに決まっているじゃない!」

 

 「馬鹿な! 私にはザナドゥリアス少尉やメルビル少尉同様、ライセンスがあるはずだぞ!」

 

 「確かにそうだけど、ここまで好きにやれとは言ってはいないわ! 第一あんたの役目は帝国のために戦力となる最強ゾイドを造ることが目的のはず、この船まで触れる必要はないわ。」

 

 「何故だ!?」

 

 「この船のことをあんたとその小娘に知らせるわけにはいかないからね。」

 

 「あなたは……」

 

 「あら、確かあんたにとっては初対面だったわね。私はプライド摂政直属のリゼル・ラスト大佐。」

 

 「どうしようと、貴様が手を出すことではない!」

 

 ランド博士はサリーに近付き、強引にペンダントを奪おうとした。

 

 「嫌! 止めてください!!」

 

 ランド博士がペンダントに触れようとしたその時、突然ペンダントが発光し、ランド博士も痛むように右手を抑えた。

 

 「うぐっ!」

 

 「馬鹿ね! その右腕でそのペンダントに触れられるとでも?」

 

 その時、ペンダントの発光と同時に船の奥の部屋にある何かも突然勢いよく光だし、更にペンダントの光も強くなった。双方の光から強力な力が放出され、船が崩れていった。

 

 「くそっ! ここは危険だ!」

 

 ランド博士は船から出、ラスト大佐も同様に船から出た。サリーも船から出ようとするが、奥に光っているものがペンダントを求めているような声がした気を感じたが、崩れる船に気を取られ、急いで船から出た。

 サリーが船から出ると、先程、フォックスの行く手を遮った霧が現れ、サリーやランド博士、ラスト大佐の周囲を包み込み、その霧から再び多数のジャミンガが現れ、襲いかかってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハンターウルフ改のマシンブラスト技を数数喰らい、倒れ込むライガー、その時、レオは右腕から何か感じ取った。

 

 「この気は……もしかしてサリーに何かが! いくぞ、ライガー!」

 

 ライガーはハンターウルフ改に背を向けて走っていくが、ハンターウルフ改も直ぐに後を追った。

 

 「逃がさない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ランド博士は右手でジャミンガの動きを止め、ラスト大佐は銃でジャミンガを倒し、近くに来たジャミンガを片手で抑え、その首を引きちぎることまでの身体能力まで見せた。

 しかし、何度倒してもジャミンガは次々から次へと霧の中から無数に沸いていった。何処からでも沸いていくジャミンガに戸惑うサリー、その時、背後から数体のジャミンガがサリーに襲いかかってきた。

 

 「きゃあぁ~!!」

 

 その時、霧から砲撃がし、霧の中からライガーが現れた。ライガーはサリーの前に立ち、

 

 「サリー、怪我はない?」

 

 「レオ!」

 

 同時にハンターウルフ改も現れ、ガトリングで次々と無数のジャミンガを破壊していった。

 

 「博士、無事ですか?」

 

 「おお、ザナドゥリアス少尉。来てくれたか!」

 

 しかし、その時、突然霧から謎の爆弾物が投げ込まれ、それがライガー、ハンターウルフ改に直撃し、爆発した。

 

 「ウワァッ!!」

 

 しかもそれは1度や2度ではなく、次々と投げ込まれた。

 

 「サリー、急いでライガーに!」

 

 「うん!」

 

 サリーはライガーに乗り込み、サリーを乗せたライガーは急いで離れようとした。

 

 「くそっ、逃がすか!」

 

 ハンターウルフ改は再びライガーに攻撃を加えようとするが、投げ込まれた爆弾物の爆発で視界を遮られ、煙が晴れると既にライガーは霧の中に入って逃げていった。

 

 「くそっ、ソニックシック……」

 

 「もういい! ザナドゥリアス少尉。これ以上は無理だ。我々も直ぐにここを離れるぞ!」

 

 「くっ! わかりました。」

 

 ユウトはランド博士をハンターウルフ改に乗せ、直ぐにライガー同様にその場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 フォックスは尚もサリーを探す中、向こう側の霧からライガーが現れた。

 

 「あれはライガー! つうか何でレオとライガーがここにいるんだ? おい、レオどうしたんだ?」

 

 「話は後だよ! 急いでここから離れよう!」

 

 「何!?」

 

 ライガーが急いで走っていくと再び霧から謎の爆弾物がフォックスにも投げ込まれた。

 

 「うおっ! まさか、さっきの正体不明の奴か? 確かにこいつはずらかっといた方が良さそうだ。」

 

 状況を判断したバーンはフォックスと共にライガーの後についていった。

 

 

 

 

 

 

 

 メルビル少尉の乗るギルラプター改は対空速射砲で牽制するが、パキケドスBRは全てそれを同じ対空速射砲で迎撃した。

 

 「うっ……」

 

 「いい加減、そろそろ降伏しなさい!」

 

 「ソニックシックル!」

 

 その時、霧の中から風の刃が放たれ、同時にハンターウルフ改が現れた。

 

 「弾丸鈍破!」

 

 パキケドスBRはロックバーグ中尉の咄嗟の判断でエヴォブラスト技でそれを迎撃した。ハンターウルフ改はギルラプター改の前に立ち、

 

 「ユウト!」

 

 「メルビル少尉、ここは危険だ! 直ぐにここを離れるぞ!」

 

 「わかりました。お父様。」

 

 ランド博士の指示に従い、ギルラプター改もハンターウルフ改の後について走っていった。

 

 同時にパキケドスBRのコクピットからバーンの通信が入った。

 

 「教官殿!」

 

 「ロックバーグ中尉よ! 何があったの?」

 

 「サリーとレオを回収した! しかも霧から変な奴が攻撃してきた。急いでここから離れましょう!」

 

 ロックバーグ中尉が霧を見ると、周囲の至るところが爆発していた。

 

 「確かにこれ以上は危険ね。わかった! 私も直ぐに橋の方に戻るわ! あなたは絶対にレオとサリーから離れないで!」

 

 「了解した!」

 

 通信を切り、ロックバーグ中尉も直ぐにその場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイセルとバズはゴールデンゲートブリッジのところでレオたちを待ち、

 

 「おいおい、結構時間が経ったが、これ不味いんじゃないか?」 

 

 「そうね。ここはディアス中佐に報告するべきね。」

 

 その時、橋の向こう側の森が爆発し、燃え盛る炎の中、ライガーとフォックス、パキケドスBRが現れた。

 

 「レオ!」

 

 ライガーたちが橋を飛び越えようとしたその時、霧からの正体不明の存在はアイセルたちのいる向こう側まで爆弾物を投げ、行く手を遮った。

 爆発により、吹っ飛ばされるアイセルのラプトリアとバズ、

 

 「いてて……ちくしょう一体何なんだよ!?」

 

 バズが目の前を見ると、バズの愛車はさっきの爆発で粉々に破壊されていた。

 

 「ああ~!! 俺の車が~!!!!」

 

 橋を飛び越えようにもさっきの爆発でかなりの距離を開かれた。

 

 「くそっ! これじゃ、越えられないぜ!」

 

 「私のパキケドスなら飛び越えられないってことはないけど、フォックスとライガーにはブースターが装備されていないわ。」 

 

 「くっ!」

 

 その時、レオは後ろの爆発を見て、何か思いついた。

 

 「バーン、ロックバーグさん、先に行っててください!」

 

 「何をするつもり?」

 

 「一か八かだけど、敵の爆発を利用して飛んでみる。」

 

 「おいおい、それはいくらなんでも無茶が過ぎるんじゃねぇか?」

 

 レオの真剣そうな表情を見たロックバーグは、

 

 「覚悟はあるのね?」

 

 「はいっ!」

 

 「わかったわ!」

 

 「おいおい、マジかよ! ていうか、俺のフォックスにもブースターが取り付けていないんだぜ!」

 

 「つべこべ言わず、速く行きなさい!!」

 

 パキケドスBRの頭突きを喰らわされたフォックスはそのまま橋の向こう側まで飛び、それを追ってパキケドスBRもブースターで加速して橋を飛び越えていった。コクピットの中でレオは後ろにしがみついているサリーを見て、

 

 「サリー、ごめんね。こんな無茶させちゃって……」

 

 「ううん、いいの。」

 

 「よし、いくぞ、ライガー!」

 

 ガオォ~!!

 

 ライガーはそのままじっと構え、来るのを待った。そして霧から投げた音を聞いたライガーは前足を動かし、

 

 「今だ!!」

 

 爆弾が当たる前にライガーは咄嗟に飛び、その爆風で橋を飛び越えていき、アイセルたちのいるところまで向かった。

 

 「レオ!」

 

 「サリー、大丈夫?」

 

 「私は大丈夫!」

 

 「たく、教官殿といい、レオもホント無茶してくれるぜ!」

 

 「ロックバーグ中尉よ! それより急いで早くここから離れましょう!」

 

 「ちょっと待ってくれ! 俺の車どうするんだよ!?」

 

 「つべこべ言わず、お前もさっさと俺のフォックスに乗っていけ!」

 

 禁制地区から逃れたレオたちはそのままその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 禁制地区の霧の通っていない場所でラスト大佐は、

 

 「ふぅ、まさか、あの船をランドに回収されるのは阻止したけど、まさか、船ごと破壊されるとは思わなかったわ。

 でも、あの小娘のペンダントがあの反応が出たということはやはりあれがいたのね。これで計画の第2段階が入れそうね。」

 

 そう言い残し、ラスト大佐はスナイプテライン3Sに乗り込んで禁制地区から離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゴールデンゲートブリッジの手前まで逃れたレオたち、そんな中、サリーは橋の向こうの禁制地区の森を不安を煽るような表情で見ていた。

 

 「どうしたの? サリー。」

 

 「あの宇宙船、何か見覚えがあると思う。おそらく私とお爺さんが乗っていた科学船かもしれない……」

 

 「え!? てことはもしかしたら彼処にサリーのお爺さんが?」

 

 「まだそうとは決まった訳ではないけど……それにあの人、どうして私のお母さんの名前を知っているの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギルラプター改を運搬するスナイプテラインペリアルガードの口内のシートに座るランド博士は自身の右手を見つめ、

 

 「この右腕はまだ不完全のようだな。それにしても、まさかラスト大佐まで乱入するとは予想外だった!

 だが、思わぬ収穫が手に入った。あの宇宙船の残骸はもう少し調べてみる必要がある。

 もしその情報が手に入れば、再び最強のゾイドを作ることができる。フフフフフ……フハハハハハハ!」

 

 レオやランド博士が去った後、サリーのペンダントの影響で崩れた宇宙船の残骸があった場所に何やら巨大なファンのようなものが発光していた。

 

 To be continued




 次回予告

 端末探しの中、運悪くリュック隊長率いる帝国軍に見付かり、追われるボーマン博士。
 帝国軍、共和国軍が滅多に立ち入りしない禁制地区まで逃げたその時、特別な兵器改造が施されたワイルドライガーとレオのライジングライガーに似た騎士風のライガーを駆る青年たちに助けられる。
 彼らは何者なのか、そして、何故禁制地区にいるのか?

 次回「騎士王ト 青年」

 走り抜け、ライガー!!
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