ゾイドワイルドクロス アナザーZERO   作:オーガスト・アベラス

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 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーが新たな姿を得て進化したライジングライガーの力によって強敵セードとジェノスピノを打ち破り、新たな仲間を加え、再び地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


第17話「騎士王ト 青年」

 15年前、新地球暦15年、帝国軍、共和国軍が立ち入りを禁止している禁制地区の森にユウトと同じ銀髪をした5歳ぐらいの1人の幼い少年が走っていた。

 

 「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ!」

 

 少年は何かに怯えているかのように必死で森の中を走っていった。

 

 「ウワァッ!」

 

 少年が転んだその時、突然、ジャミンガに似たようなラプトールタイプのゾイドに騎乗し、頭部がそれぞれ他のゾイドの頭部に似たような形状をし、それぞれナイフや斧、弓矢を所有した謎の兵士たちが少年を取り囲んだ。

 兵士たちは足音を立てない状態でゆっくりと近付き、ナイフや斧を突き付けて少年に近付いていった。少年は恐怖で足が動けず、死を覚悟した表情をした。

 だが、その時、影から謎のライガーが現れ、その兵士たちを一瞬で蹴散らした。現れたライガーはレオのライジングライガーに良く似た銀色のライガーだった。

 少年はそのライガーも自分を殺すのではないかというようは目で見たが、ライガーはその少年にそっと近付き、少年を乗せてそのまま走り去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてそれから15年後、新地球暦30年、辺境の高原、そこにバズが乗っているジープに似た車が1つの古びた家に駐車していた。そこに地球産の電化製品を集め、パソコンで端末の在処を探っていたボーマン博士がいた。

 

 「やはり、この付近には端末の反応はないか……ん?」

 

 その時、ボーマン博士は何かが来たような気配を感じた。ボーマン博士は慌ててパソコンを仕舞い、準備をした。

 

 ボーマン博士のいる家に来たのはリュック隊長率いる3体のキャノンブルだった。キャノンブルから降りたリュック隊長と2人の兵士は家に近付いた。リュック隊長は合図を出し、2人の兵士はドアを突き破って入った。そこにはボーマン博士がいた。

 

 「やっと見付けましたよ! ボーマン博士。我々と御同行願います。」

 

 しかし、ボーマン博士が振り向きもせず、黙っていた。

 

 「無駄な抵抗は無意味です。 さあっ! ん?」

 

 リュック隊長がボーマン博士に近付こうとしたその時、ボーマン博士の姿に違和感を感じた。リュック隊長はボーマン博士の肩に触れようとすると、リュック隊長の手がボーマン博士の身体をすり抜けた。

 

 「これは……ホログラムだ! ということは本物のボーマン博士は……」

 

 リュック隊長が振り向くと、車の作動音がし、ボーマン博士の車が逃走した。

 

 「くそっ、 追え! 絶対に逃がすな!!」

 

 リュック隊長と2人の兵士はキャノンブルに乗り込み、ボーマン博士の車を追った。

 

 「くそっ! まさか、帝国軍がここまで来ていたとは! だが、こんなところで捕まるわけにはいかない!」

 

 逃走するボーマン博士の車にリュック隊長のキャノンブルは3連ミサイルポッドからミサイルを放った。リュック隊長のキャノンブルが放ったミサイルを何とか振り切るボーマン博士、

 

 「た、隊長! 攻撃してもよろしいのですか?」

 

 「今のはわざと外した! だが、ここまで来たら絶対に逃がすわけにはいかない! 当てない程度にあの車を狙え! 但し、逃がすようなハメはするな!」

 

 「了解しました!」

 

 リュック隊長の命令に従って兵士の乗る2体のキャノンブルも3連ミサイルポッドでミサイルを放った。

 

 「くそっ、 わざと外しているとはいえ、ここまでやるとは! だが、絶対に捕まるわけにはいかない。 この地球のためにも!」

 

 その時、ボーマン博士は目の前にある市街地を見付けた。

 

 「あれは、 確か帝国軍が立ち入りを禁止している禁制地区に属する場所か。彼処には逃げ込めば!」

 

 ボーマン博士は目一杯スピードを上げ、市街地に向かって走っていった。

 

 「リュック隊長、 ボーマン博士は禁制地区にまで向かっています!」

 

 「くそっ、 絶対に逃がすな! 奴が禁制地区に着くまでに追い付くんだ。」

 

 リュック隊長率いるキャノンブル隊もスピードを上げ、ボーマン博士の車を追った。ボーマン博士の車は禁制地区の目の前に迫っていったが、既にリュック隊長率いるキャノンブル隊もすぐに目の前まで迫っていった。ボーマン博士が諦めかけたその時、突然、禁制地区からリュック隊長率いるキャノンブルに向けて砲撃した。

 

 「何だ? まさか、例の謎の敵か!」

 

 しかし、現れたのはキャノンブルと同じ9連キャノン砲を搭載し、対空速射砲やレーザーキャノン、ミサイルポッドを装備したワイルドライガーが現れた。

 

 「なっ、 ワイルドライガーだと! しかし、あのタイプは何処かで……」

 

 ワイルドライガーは対空速射砲を放ち、更にレーザーキャノン、ミサイルポッドの連続砲撃で2体のキャノンブルを撃破した。

 

 「くっ、 舐めやがって! 我が帝国軍の力を見せてやる! 兵器……」

 

 その時、リュック隊長がマシンブラストを発動しようとしたその時、突然、別のライガーが現れ、リュック隊長のキャノンブルに突進した。

 現れたライガーはレオのライジングライガーに酷似した銀色の騎士風のライガーだった。

 

 「何!? 貴様は!」

 

 銀色のライガーはA-Z機関砲を撃ち込み、キャノンブルは足の間接をやられ、倒れこんでしまう。

 

 「くっ、 こしゃくな!」

 

 「リュック隊長! これ以上は危険です! 離脱しましょう!!」

 

 「ちっ!」

 

 しばらく考え込んだ後、リュック隊長は2体のキャノンブルと共にその場を去った。リュック隊長のキャノンブル隊を追い払った2体のライガーから二人の青年が降り、

 

 「お爺さん、怪我はありませんか?」

 

 「君たちは……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 共和国軍基地、それまでの帝国軍と共和国軍の戦況の資料を集めているディアス中佐の元にツガミ大尉が訪れ、

 

 「中佐。」

 

 「何だね?」

 

 「ギャレット大将はレオと進化したライガーを推薦させましたが、その真の狙いは何だったんですか?」

 

 「何故、そのことを?」

 

 「いえ、確かにあのジェノスピノを倒したのはレオのライガーに間違いないですが、あの時のスチールエリア戦の時にはロックバーグ中尉のパキケドスBRもジェノスピノを倒した功績の1つを担い、更にレオのライガーと互角に渡り合ったんですよ!

 わざわざレオのライガーを推薦せずともロックバーグ中尉のパキケドスBRだけでも十分帝国に対抗できるのに、何故わざわざレオを推薦させたのか?」

 

 「そういうことか……」

 

 「もしかして、ライガーに固執しているのは、何かしらの事情があるので?」

 

 「そうだ! 実は5年前、ギャレット大将の命令で私とリオナム大佐が帝国軍に捕獲されていないライオン種ゾイドの捕獲を任されていた時のことだった。」

 

 「リオナム大佐と言いますと……2年前に退官した中佐の元上司の……」

 

 「ああ、あの時、現地に既に復元状態の野生体のコバルトブルーのワイルドライガーを目撃した情報を手に入れ、そのワイルドライガーを捕獲することに成功したが、突然エバンズ中尉率いる帝国軍に襲撃され、ようやく手に入れたワイルドライガーを奪われるハメになってしまってな!」

 

 「まさか、そのまま帝国のゾイドに!?」

 

 「となるはずだったが、そのワイルドライガーが帝国軍の基地に輸送され、兵器改造された後、エバンズ中尉がシミュレーションやテストパイロットとして実績を上げ、正式に帝国軍のゾイドになる途中、ゾイドハンターと名乗る4人の盗賊団に襲撃され、逆にワイルドライガーを奪われた上にどういうわけか、エバンズ中尉まで帝国軍から離脱してしまったそうだ。」

 

 「それで……その後どうなったんですか?」

 

 「わからない。帝国軍もそのワイルドライガーを見失ったみたいで、そのワイルドライガーとエバンズ中尉がどうなったのか行方知らずになった。」

 

 「そんなことがあったんですか!」

 

 「それだけじゃない! ちょうどその時、新種のライオン種らしきゾイドも目撃されたこともあったそうだ。」

 

 「新種のライオン種ですか?」

 

 「これを見てくれ!」

 

 ディアス中佐は映像を付け、そこに銀色のライガーが走っていった。

 

 「こんなゾイドは見たことがありません。」 

 

 「そうだ。 しかもこいつは……」

 

 ディアス中佐は更にパキケドスBRとのシミュレーションのライジングライガーの映像も横に入れるとツガミ大尉は驚きを隠せなかった。

 

 「こ、これは!!」

 

 「そうだ。 この銀色のライガーは色こそは違うが、まさしくジェノスピノを倒した時のレオのライガーにそっくりなのだ!」

 

 「つまり、ギャレット大将がレオを推薦させたかったのは、単に戦力の拡大だけでなく、レオのライガーを解析してその銀色のライガーの正体を突き止めることだったんですか?」

 

 「そうだ。 過去の惑星Ziにも自己進化を遂げたライオン型ゾイドの前列があるようにライオン種ゾイドにはまだ解明されていない謎が多く、アイセルからの報告によると、ジェノスピノを倒した時より前の姿のビーストライガーも実は進化した後の姿でその前は紅蓮色のワイルドライガーだったそうだ!」

 

 「ということはこの銀色のライガーも別のワイルドライガーから進化したゾイドということですか?」

 

 「そうなるな。もし、このライガーを滷獲出来れば、戦力拡大だけでなく、万が一帝国軍がジェノスピノ以上のゾイドを開発した場合にそれに対抗できる戦力にもなるということになる。」

 

 「だとすれば、この銀色のライガーを何としても帝国軍より先に滷獲しなければなりません! もちろん例の帝国軍に一度奪われたワイルドライガーも。」

 

 「ああ、もしかしたら、あのワイルドライガーも同様に進化する個体かもしれないからな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キャノンブルと同じ9連キャノン砲を装備したワイルドライガーとレオのライジングライガーによく似た銀色の騎士風ライガーのライダーである2人の青年はボーマン博士を連れ、禁制地区の廃れた旧市街地の高層ビルに入り、地下の階段を降りていき、地下鉄に入っていった。

 

 「ここまでくればもう安全だぜ。」

 

 「君たちはここで暮らしているのか?」

 

 「ああ! ここが俺たちの家だからな。」

 

 「君たちは何者なのだ? それにあのライガーは?」

 

 「あ~、 こら~! バルディーにゼオル! またどっかに道草食ってたんでしょう?」

 

 大きな声と共に1人の金髪の女性が現れた。

 

 「いや~、ちょっとしたパトロールだよ! パトロール。」

 

 「その様子じゃ、違うに決まっているでしょう! で、誰? この人。」

 

 「ああ、実はさっき帝国軍に追われていたところを保護した人だよ!」

 

 「只でさえ、あんたとゼオルの世話で背一杯なのに! これ以上人増やされたらたまったもんじゃないわ!」

 

 「あ、あの……君たちは?」

 

 「ああ、そういえば、自己紹介まだだったな! 俺はバルディー・サンダー。 彼女はマリアナ・エバンズ。 そしてあの強力なワイルドライガーは俺の相棒、ワイルドライガーガンナー!」

 

 「ライガーはあたしの相棒でしょ!」

 

 「前はそうだけど、今は違うだろ? ライガーは俺にもなついているし。」

 

 「もうっ!」

 

 「そして、俺と一緒にいたこいつはゼオル・ランスロット! もう一体のあの銀色のライガーはその相棒のライガー・ジ・アーサーだ。」

 

 その名を聞いたボーマン博士は少し首を傾げた。

 

 「ゼオル・ランスロット……何処で聞いた名だが……」

 

 「ただ、こいつは自分と相棒の名前以外は何も覚えていない記憶喪失らしいから、俺が保護してて今は仲間なんぜ!」

 

 「余計なことは言うな。 それじゃ、俺が迷子のガキみたいだろ!」

 

 「まあ、そう言うな。」

 

 ボーマン博士はゼオルに質問し、

 

 「君、私と何処かで会ったことないかね?」

 

 「さあね。 あんたの顔には全く見覚えがない。それより、こっちの質問に答えてくれないか!

 さっき帝国軍に追われていたあんたは何者なんだ? そのマスクといい、どうも只のお尋ね者とは思えないんだが

。」

 

 「失礼、私はウォルター・ボーマン!」

 

 「ウォルター・ボーマン……聞いたことないな。一体何故帝国軍に追われているのか、目的は何なのか聞かせて貰おうか。」

 

 「おいおい、ゼオル! いくらなんでも質問攻めはよくないぞ!」

 

 「ふん! 素性がわからん奴をかくまうことなどできるわけがないだろ。」

 

 「でも、お前だって同じことじゃ……」

 

 「俺は記憶喪失だって言ってるだろ!」

 

 「確かに君の言う通りだ。隠す必要はない。私は100年前に起こったゾイドクライシスで壊滅した地球を再生はするために各地に配置しているリジェネレーションキューブと呼ぶ端末を再起動させるために活動しているのだ。」

 

 「ゾイドクライシス? 確か帝国軍と共和国軍が噂で言ってた奴か……それにしても、地球を再生させる端末てのがどうも胡散臭いな。

 第一まるで創造主か神にでもなるかのような技術がこの世にあるわけがない。まさか、実は別の目的があるんじゃないのか?」

 

 「まあまあ、難しい話はそれぐらいにしようぜ。 それより、マリアナが飯作ってくれてるらしいから、食おうぜ! 俺腹減っちまってよ! マリアナ、 飯何処にあるんだ?」

 

 「あっちよ。」

 

 「おっしゃぁー!!」

 

 「全くホント呑気ね。取り敢えず、ゼオルもあんたも今夜は休みなさい。どうせ、外は敵ばかりだし、今はここにいたほうが安全よ!」

 

 「そうだな。 では、話は後にする。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 飯を食べた後、外は暗くなり、バルディーたちは地下鉄のの中でそれぞれ椅子やテント、寝袋で睡眠した。そんな中、ボーマン博士は1人起き、寝ているゼオルの顔を見た。

 

 「ゼオル・ランスロット……確か、地球に来る前の科学船で私と共にゾイド因子の研究に携わっていた研究員の1人の姓もランスロットだった。

 それにあのライガーの名前がアーサー……まさか、あのライガーと彼は……」

 

 ボーマン博士は寝床から離れ、寝そべっているワイルドライガーガンナーとライガー・ジ・アーサーに近付き、アーサーに触れようとした。そのとき、ボーマン博士の手に誰かが小刀を突きつけた。現れたのはゼオルだった。

 

 「貴様、 俺の相棒に何するつもりだ?」

  

 「君はさっきの。」

 

 「こう見えて俺は何度か命を狙われたことがあるのでな。例え、睡眠でも油断はしない。 ところで、俺の相棒に何するつもりだ?」

 

 「心配することはない。君の相棒に手を出すつもりはない。ただ、君の相棒が何者なのか知りたいだけだ。」

 

 「ほぅ、科学者としての好奇心ってやつか……どうやらお前が科学者なのはホントらしいな。だが、調べても無駄だ!

 そいつは俺にしかなついていない。下手に触れば、命の保証はないぞ! ところで、さっき俺のことを知っているような顔をしていたが、俺のことを知っているのか?」

 

 「いや、ただ、科学船で私の助手を務めていた者の姓が君と同じランスロットだったから、もしかして君はその人と関係しているかと思って。」

 

 「どうやら、あんたも俺程ではないが、ところどころ記憶を無くしているみたいだな。」

 

 「君はホントに何も覚えていないのか?」

 

 「ああ、俺が何者なのか、そもそも何処から来たのか、両親の顔すら覚えていない。

 ただ、1つ覚えていることは15年前、俺は禁制地区で奇妙な兵士に襲われ、死にそうだったところを相棒に助けられたことがある。もちろん相棒が何者か、何故俺につくのか、その名前を知っているのもわからない。

 だから、俺は俺の記憶を取り戻すために旅をした。だが、俺と相棒だけではどうにもならない。もっと仲間が必要だ。その時、5年前にバルディーたちと出会ってあいつらと行動を共にし、今ここにいる。」

 

 「そのためにわざわざこんな危険なところで暮らしているのか?」

 

 「ここに俺の記憶の手掛かりがあると思ってな。まあ、あんたも自分の目的があるっていうなら、俺たちと行動を共にしなくてもかなわない。だが、夜に出るのは止めといた方がいい!

 何せ、敵は夜の活動が多いからな。昼でも霧に紛れて現れることもあるが、夜の方が一番危険だ。」

 

 「君はこの禁制地区にいる者について知っているのか?」

 

 「残念だが、それは俺ももちろん、バルディーやマリアナだって知らない。だが、奴等の正体は必ず突き止めてやる! そして、俺の記憶を取り戻すために。

 あんたが俺たちに付いていくか、いかないか、あんたの自由だが、取り敢えず一晩考えた方がいい。さて、俺は先にお暇させてもらう。」

 

 そう言ってゼオルは先に寝床に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜が開け、バルディーとゼオルはワイルドライガーガンナーとライガー・ジ・アーサーと共に出掛ける準備をした。

 

 

 「では、食糧と武器とその他の物資集めに出掛ける。マリアナ、留守を頼んだ! 後、そのじいさんもな。」

 

 「わかっていると思うけど、無茶はしないように、後、道草は食わないでね。」

 

 「わかってるよ!」

 

 バルディーとゼオルはワイルドライガーガンナーとライガー・ジ・アーサーに乗り込み、旧市街地に走っていった。

 

 「君たちはずっとここで暮らしているのか?」

 

 「ええ! 敵に見つけられないようにね。」

 

 「敵?」

 

 「その前に、あなたのこと詳しく聞かせてもらえないかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 廃れた旧市街地の商店街やビルの中である程度の物資を集めたバルディーとゼオルは、

 

 「よし、物資も集まったし、そろそろ戻るか。」

 

 「ああ。」

 

 その時、突然何かの塊がバルディーとゼオルに襲いかかってきた。ワイルドライガーガンナーとアーサーはは対空速射砲とA-Z機関砲でその塊を破壊した。それはクモの糸のようだった。それを見たバルディーは、

 

 「この糸……まさか!」

 

 「ようやく見付けたわよ! バルディーちゃん!」

 

 そこに現れたのはグソック、スパイデス、スコーピアを駆る謎の3人の盗賊団だった。盗賊団のトリオを見たバルディーは、

 

 「お前らは……3馬鹿変態団!」

 

 「へぶっ、 お黙り! あたしたちはキラーク盗賊団よ! 団の名前くらい、ちゃんと覚えてなさい!!」

 

 「バルディー、誰だ? あいつら。」

 

 「ああ、そっか。ゼオルは会ったことなかったんだっけ。 あいつらはガンナーと会う5年前まで一緒にいた盗賊団だよ。

 因みに中央のグソックに乗っているオカマが俺の元ボスのミラーで、横のスパイデス、スコーピアに乗っているのが取り巻きのアイパー、ポーチ。」

 

 「5年前、帝国軍襲撃の時にあたしの恩を忘れ、本来あたしのゾイドになるはずだったそのワイルドライガーを独り占めにしてあたしたちを裏切った恨み必ず晴らしてやるわ!

 さあ、痛い目に逢いたくなかったら、とっととそのワイルドライガーちゃんを渡して、このあたしに土下座しなさい!」

 

 「やだ!」

 

 バルディーは即答で拒否した。

 

 「ムッキ~!! ホント可愛くないガキね! こうなったら、力付くでそのワイルドライガーちゃんを手に入れるわ!」

 

 「ボス、 よく見てください! あの野郎、もう一体ラライオン種がいますよ! しかもかなりレアそうな!」

 

 「へぇ~、これはとんだ収穫ね。 何としても必ず手に入れてみせる!」

 

 「おいおい、お前ら、悪いことは言わねぇ! とっとと帰った方がいいぞ。 お前らじゃあ、俺たち2人に勝てねぇよ!」

 

 「相変わらずの生意気ぶりね。 でもあたしたちを昔のあたしたちだと思ったら大間違いよ。 あたしたちは狙ったお宝とゾイドは絶対に逃がさないゾイドハンター! その名もキラーク盗賊団!!」

 

 バルディーはしれっと耳越しでゼオルに、

 

 「要するにお気楽3馬鹿盗賊団ってとこ。」

 

 「聞こえてるわよ! このクソガキ~!!」

 

 「よくわからんが、とにかくあんな変な連中に相棒を渡すわけにはいかないな。」

 

 「いい度胸ね! あたしたち、キラーク盗賊団を舐めてかかると痛い目みるわよ!!」

 

 「そうか……なら、一瞬で決めてやる。」

 

 その時、バルディーがゼオルに待ったをかけ、

 

 「待て、 ここは俺に任せろ!」

 

 「任せろって、ガンナーは元々マリアナの相棒だろ! 大丈夫なのか?」

 

 「心配はない! 俺はライガーを相棒にするために盗賊になってまでここまで来たんだ!! ここで俺が本当にガンナーに相応しい相棒なのか、知らしめてやりたいのでな!」

 

 「相棒に相応しい……か。 わかった! この場は任せる。だが、無茶はするなよ。」

 

 「へっ! 無茶なんて承知の上だ!」

 

 「やっておしまい、 アイパー、ポーチ!!」

 

 アイパーとポーチはスパイデスとスコーピアに乗り込み、ビルから急降下して襲いかかってきた。すかさず、バルディーもガンナーに乗り込み、

 

 「よし、俺たちもいくぞ! ガンナー!!」

 

 ガオォ~!!

 

 「調子に乗るなよ、 俺たち2人を相手にしたこと公開させてやるぜ!」

 

 アイパーのスパイデスは糸の球を何発かガンナーに撃ち込む。ガンナーはそれに迎え撃ちように対空速射砲で迎撃した。しかし、スコーピアはガンナーがスパイデスの攻撃に気を取られている内に既に攻撃の態勢に入った。

 

 「アイパーだけだと思うなよ、 行くぞ! スコーピア、本能 解放! ワイルドブラストー!! 毒を喰らいな!!」

 

 しかし、ガンナーはそれを読んでいたかのように両前足でスコーピアのポイズンスピアを防いだ。

 

 「何!?」

 

 「へっ! ゾイドが本来持っている野生の勘ってやつがあるから、それぐらいわかるんだよ!」

 

 「だが、2体同時の攻撃は防げねぇだろ!!」

 

 アイパーのスパイデスが急降下しながら、再び糸の球を撃ち込んだ。ガンナーは対空速射砲で迎撃するが、迎撃した時の煙に紛れてスパイデスは通常の糸を放ち、対空速射砲の口径をふさぎ、更に9連キャノン砲まで防いだ。

 

 「しまった!」

 

 スパイデスはガンナーの身体に取り付いた。

 

 「ハハハ、それじゃ、身動きとれないだろ!」

 

 「くっ!」

 

 「ポーチ! お前のスコーピアのポイズンを御見舞いしてやれ!」

 

 「わかったぜ!」

 

 それを見たゼオルは、

 

 「流石にあれは不味いな。俺も加勢するか!」

 

 ゼオルがアーサーに乗り込み、ガンナーの救援に入ろうとしたその時、ビルから急降下したミラーのグソックが襲いかかってきた。寸前で交わすアーサー、

 

 「誰もあんたも攻撃するとは一言も言ってないわよ!」

 

 「ちっ、 なら、貴様から片付けてやる!」

 

 アーサーはグソックに突っ込むが、グソックはそれを難なく交わす。アーサーは態勢を整え、A-Z機関砲を放ちながら突っ込むが、グソックはそれも交わし、装備しているライフルとミサイルポッドをアーサーに撃ち込んだ。

 

 「ぐっ!」

 

 「確かにそのライガーちゃん、中々いい性能してるわね。でも、そのライガーちゃんはもちろん、あんたも戦闘には不慣れのようね!」

 

 「ちっ、 まさか、ここまでとは!」

 

 「さあ、小僧! 今までの借りを返してもらうぜ! ヒット&デス!!」

 

 「そう簡単にくたばると思うなよ!」

 

 バルディーは非常用のようなスイッチを押し、ハンドルを力一杯握った。

 

 「ヌウゥ~!!」

 

 ガンナーはスパイデスの拘束と糸から自力で解こうとした。

 

 「無駄無駄、 俺のスパイデスの拘束を解けるものか!!」

 

 「それはどうかな? ガンナー、進化 解放! エヴォブラストー!! キングオブバーストキャノン!」

 

 エヴォブラストを発動したワイルドライガーガンナーは自力でスパイデスの拘束を解き、更に9連キャノン砲も作動も展開してスコーピアに撃ち込んだ。

 

 「ウオッ!」

 

 それをギリギリで交わすスコーピア、

 

 「そのライガーに上手く乗りこなしていないかと思ったが、随分やるじゃねぇか!」

 

 「当たり前だ! 俺も日々進化しているのさ! さあ、第二ラウンド開始といこうぜ!」

 

 その時、突然周囲が霧に覆われた。

 

 「な、何だ? 何だ! ボス、これは一体何ですか?」

 

 「この霧は……奴等か! しかし、何故こんなときに? まさか、さっきの戦闘の時での音を聞きつけて?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 地下鉄でマリアナはボーマン博士の事情を聞き、

 

 「そう……そんなことがあったの。で、娘さんは何処に?」

 

 「それは私にもわからない。だから、私は帝国軍に捕まらないために各地で情報を集め、娘と端末の居所をさがしているんだ。 ところで、君たちは何故こんな場所に?」

 

 「それは話が長くなるけど……ん?」

 

 突然、地上に何か物音がした。

 

 「一体何かしら?」

 

 マリアナは外の様子を調べるためにライフルを携行し、地下鉄を出て、外に出た。そこには周囲がすっかり霧に覆われていた。

 

 「これは!」

 

 「どうした?」

 

 同じく様子を見に行ったボーマン博士も外の霧に驚きを隠せなかった。

 

 「こ、これは……」

 

 「禁制地区に潜む敵の罠よ!」

 

 「敵?」

 

 その時、霧から無数のジャミンガが現れた。マリアナは手持ちのライフルでジャミンガたちを打ち倒すが、その時、突然霧の中から弓矢のようなものが飛んでいった。マリアナは何とかそれを交わすが、同時に霧の中からジャミンガの他にジャミンガに騎乗し、半裸でラプトールやラプトリア、ステゴゼーゲに酷似したような頭部をしたものがナイフと斧を持ち、更にガブリゲーターやドライパンサーの頭部をした者も弓矢やドライパンサーのシャドウシールドに酷似したハンマーを持って現れた。

 

 「こ、これは……!」

 

 「さあ、おそらく禁制地区の敵の正体かもね。」

 

 ガブリゲーターの頭部をした兵士は次々と弓を放ち、マリアナはそれをライフルで迎撃した。しかし、その隙を狙ってラプトールやラプトリア、ステゴゼーゲの頭部をした兵士がジャミンガに乗りながら、襲いかかり、ジャミンガから降り、マリアナとボーマン博士に飛び掛かった。

 マリアナはすかさず、銃を撃ち込み、その謎の兵士の頭部と心臓を狙った。マリアナに狙撃された兵士は倒れ込むが、撃たれた傷に血が流れず、まるで何事もなかったかのように起き上がり、更に撃たれた傷跡も液状化して瞬時に回復してしまった。

 更に謎の兵士が騎乗しているジャミンガは通常のジャミンガと違い、不安定な動きをせず、まるでラプトールやラプトリア、野生のラプトルのような俊敏な動きを見せ、騎乗していた兵士が降りてもその動きを保ち、しかも目の色も通常のジャミンガと違って紫色になっていた。

 マリアナは怯まず、ありったけの銃を使って、謎の兵士とジャミンガに撃ち込むが、まるで不死であるかのように傷が回復し、撃ち倒しても何度もゾンビのように立ち上がっていった。マリアナの使う銃の弾も限界が近付いてきた。

 

 「くそっ、 これじゃ、キリがないわね!」

  

 「どうするつもりだ?」

 

 「場所も知られた以上、もうここにはいられないわね。ついてきて!」

 

 マリアナは地下鉄に入り込み、ボーマン博士もその後についていった。謎の兵士はそうはさせまいと地下鉄に入るが、その時、既に荷物や武器を入れ、マリアナとボーマン博士の乗ったジープが謎の兵士たちの目の前に現れ、兵士たちを蹴散らし、地下鉄から出た。

 

 「もしかしたら、バルディーたちに何かあったのかも。 このまま突っ切るわよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バルディーとゼオル、キラーク盗賊団は霧の中に紛れる謎の敵と交戦しているが、敵の正確な位置が掴めず、苦戦していた。

 

 「くそっ、 もう一度食らえ! キングオブバーストキャノン!!」

 

 「もう一体何なのよ!! 何が起こったのよ。」

 

 「この禁制地区にいるっていう敵だ! どうやら、連中には俺たちの関係等、おかまいなしのようだ。」

 

 「つうわけで、一時休戦だな。ミラー! ここは俺たちと協力してぶっ潰そうぜ!」

 

 「ふん、 裏切り者のあんたと協力するのは気に食わないけど、仕方ないわね。」

 

 ガンナー、アーサー、グソック、スパイデス、スコーピアはそれぞれを背にして円を作り、迎え撃とうとするが、謎の敵は周囲から爆弾を投げ込み、ガンナーたちを翻弄した。

 

 「くそっ、 一体何処から攻撃してやがるんだ! これじゃ、キリがない!」

 

 その時、目の前に爆弾が降ってきて、当たる寸前まで迫ってきた。

 

 「しまっ……」

 

 その時、到着したボーマン博士のジープからマリアナがランチャーでその爆弾を迎撃した。

 

 「マリアナ!」

 

 マリアナはガンナーの背中の9連キャノン砲にあるもう一つのコクピットに乗り込んだ。

 

 「バルディー、敵の位置はわかる?」

 

 「いや、それが……ガンナーの野生の勘でもわからないんだ。」

 

 「ミストルテイン砲を使う! 狙撃は私に任せて!!」

 

 「帝国軍から強奪したロングキャノンを使うんだな! よし、援護は任せろ!」

 

 マリアナは暗視スコープを使い、霧の中にいる敵を探った。その時、何か巨大なゾイドの姿が映った。

 

 「見付けた! ミストルテイン砲発射!!」

 

 ワイルドライガーガンナーに装備されている巨大なロングキャノンで一瞬映った謎の存在に撃ち込み、霧の中は大爆発した。

 

 「やりぃ!」

 

 「よし、次行くわよ!」

 

 しかし、その時、背後から爆弾が降ってきて、それに気付いたアーサーが盾になって、爆弾に直撃してしまった。

 

 「ゼオル、 大丈夫か!?」

 

 「な、何とか。だが、結構ダメージは大きい。」

 

 アーサーはA-Z機関砲で迎え撃つが、姿が見えず、当たっているのか、当たっていてもそれが通用しているのかわからないん状態だった。

 

 「機関砲だけじゃ、話にならない! 何か他に武器があれば!」

 

 その時、突然ゼオルのポケットに何かが発光した。ポケットの中を取り出すと、それはキーのようなものだった。

 

 「これは……確か、確か15年前、記憶を失い、謎の敵に追われている時、アーサーに助けられた時も同じように光っていた。誰から与えられたのかわからない謎のキー……」

 

 キーの光に共鳴し、コクピットの中にキーを差し込むような装置が現れ、アーサーも何か言いたいように頷いた。

 

 「何が起こるかわからないが、お前がそう言うなら、使わせてもらうぜ!」

 

 ゼオルは謎のキーを装置に差し込み、

 

 「アーサー、進化 解放! エヴォブラストー!! グングニル!」

 

 エヴォブラストを発動したアーサーはレオのライジングライガーのブレードに似た巨大なランスを展開し、霧の中にいる謎の存在に攻撃した。アーサーの攻撃により、まるで空間を切るかのような現象が起き、霧の中にいる存在は爆発した。

 

 「やった!」

 

 「いや、今のは勘で攻撃したから、どれぐらい通用したか、わからない! 今のうちに逃げるぞ! ボーマン、俺のアーサーに乗れ!」

 

 ボーマン博士を乗せたアーサーは真っ先に逃げ去り、ガンナーもそれについていった。

  

 「こら~、待ちなさい!!」

 

 すかさず、キラーク盗賊団も後を追っていった。攻撃の後、霧が晴れ、謎の存在も同時に姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アーサーとガンナーは無事に市街地から脱出し、

 

 「いや~、それにしても、ゼオルのアーサーもワイルドブラストできるようになったんだな! 一体どうやって?」

 

 「わからない。ただ、誰から与えられたのか不明なキーの光に導かれてワイルドブラストを発動したみたいのようだった。」

 

 「まあ、何はともあれ、ゼオルも戦えるようになったというわけだ!」

 

 「でも、どうすんのよ! もう基地の場所はばれちゃったし、彼処には戻れないわよ!」

 

 「それぐらいは何とかなるさ! また、別の場所に基地を作ればいいことだし! それにその博士の端末探しってのも面白そうだし、付き合うってのはどうだ?」

 

 「もう! あんた、いっつもそうやってまた危険なことするんだから!」

 

 「いいんじゃないか!」

 

 「ゼオル。」

 

 「どうせ、遅かれ早かれ、連中にばれるわけだし、俺の記憶を取り戻すためにも、もっと情報を集めとかないとな!」

 

 「もしかして、協力してくれるのか?」

 

 「まあ、お前の話を全て信用しているわけではないが、お前も俺と同じ立場の人間だから、流石にほっとくわけにはいかないからな。」

 

 「よ~し、じゃあ、新たな冒険な旅に出発だ!!」

 

 「おい、バルディー! いつからお前が仕切っている?」

 

 「え、だって、俺がリーダーだからさ!」

 

 「やれやれ……」

 

 和やかなやり取りの後、ガンナーとアーサーは新たな地に向かって走っていった。

 

 

 

 同じく市街地から脱出したキラーク盗賊団は、

 

 「くぅ~、また逃げられちゃったじゃない! ホントムカつくガキたちね!

 でも、次こそは必ず奪っちゃうわよ! 待っていなさい!!」

 

 To be continued




 次回予告

 廃れた市街地に謎の巨大ゾイドの化石と宇宙船の残骸を回収したランド博士、ランド博士はその化石と船の解析に全力を注いだ。
 そんな中、ユウトはランド博士が元々孤児だった自分をメルビルと共に養子に迎え入れたのか、そして本当の親は誰なのかを知るためたにランド博士の素性を探りながら過去のことを思い出した。
 
 次回「少年ノ 思い」

 走り抜け、ライガー!!
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