ゾイドワイルドクロス アナザーZERO   作:オーガスト・ギャラガー

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 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーが新たな姿を得て進化したライジングライガーの力によって強敵セードとジェノスピノを打ち破り、新たな仲間を加え、再び地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


第20話「湧キ上ガル 怒リ」

 ネオゼネバスシティにある刑務所、ここは主に政治犯が入れられる牢獄であり、ジェノスピノ騒動の罪で禁固となったシーガルやアルドリッジもここに入れられた。

 警備員が食事を持って、シーガルの元に行ったが、そこにシーガルの姿はなかった。

 

 「なっ、何処に行った?」

 

 警備員が警報を鳴らし、捜索したが、何処にもいなかった。

 

 「一体何処に? 脱出できる道具は所持していないはずなのに……もしや、何者かが? ここの刑務所に誰か来なかったか?」

 

 「そういえば、先程、ランド博士がこちらに入られましたが……」

 

 「まさか、博士が……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 シーガルとアルドリッジが脱走したという報告は別荘にいるプライド摂政に届いた。

 

 「シーガルとアルドリッジの奴が脱走したそうだな。」

 

 「おそらく、ランドの仕業でしょう。」

 

 「ふん、今更、あの役に立たん2人を加えたところで、何も変わりはしないが……」

 

 「どうする?」

 

 「聞くまでもないだろう、黙認しとけ。 もちろん公式では隠蔽するように、あのじゃじゃ馬娘や頑固な宰相に気付かれないようにな。」

 

 「このまま泳がせて、帝国の内輪揉めを広げるのね。」

 

 「ジェノスピノの共和国襲撃が失敗して以来、帝国の連中はすっかり平和ボケしている。少しでも目を冷まさなくてはな。」

 

 「でも、いいのかしら?」

 

 「どういうことだ?」

 

 「ランドはあの小娘のペンダントを狙っているのよ。余り、端末を変な方向に使わせるのは考えものよ。」

 

 「お前なら、どうする?」

 

 「そうね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ボーマン博士を見失ったリュック隊長は通りかかった宿で、レオとサリーの写真を見せ、事情聴衆をしていた。

 

 「このガキを見たことがあるか?」

 

 「さ、さあ……」

 

 「何でもいい! こいつらに関する情報があれば、全て話せ!」

 

 「そうは言われましても……全く知りません。」

 

 「ちっ!」

 

 宿から出たリュック隊長は、

 

 「ボーマン博士を見失った上にサリー・ランドの詳細まで突き止められないとは! これでは我が隊の恥だ!!」

 

 「お困りのようですね……」

 

 「何者だ!?」

 

 リュック隊長に話しかけてきたのは黒服とサングラスとマスクをした謎の男だった。

 

 「サリー・ランドと言いましたね。その情報なら、私が持っています。」

 

 「何!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ランド博士の指示で、デスレックスの突然変異種が眠る火山地帯に向かったユウト、そこには既に大規模な部隊と作業員が発掘と基地建設に着手していた。

 基地は丸で軍事基地のような巨大なものになっていて、発掘も大掛かりなものになっていた。ランド博士とメルビルと合流したユウトは発掘場所に向かった。そこにはジェノスピノと同等かそれ以上のサイズで、デスレックスに酷似した化石だった。それにユウトとメルビルは驚きを隠せなかった。

 

 「まさか、他にもデスレックスが存在していたとは……」

 

 「しかも、この化石は火山地帯に眠っているにも関わらず比較的保存状態のいいものばかりです。」

 

 「当然だ。この突然変異種は他のデスレックスと違い、ゾイドクライシスでの度重なる進化の過程によって、ジェノスピノ以上の力を得、マグマにも耐えうる程にもなったのだ。他のデスレックスにはそれほどの力はなく、化石の保存状態も悪く、どれも未完成になってしまったがな。」

 

 「つまり、このゾイドを復活させれば、帝国軍は更に強大になる。」

 

 「だが、復活したデスレックスの突然変異種が荷電粒子砲を自由に撃てるようにするためにはリジェネレーションキューブの端末の力がいる。

 そのためにはサリーの持つペンダントが必要だ。あのペンダントが手に入れば、史上最強のゾイドが誕生する!」

 

 「博士、 サリーのペンダント奪還には僕に行かせてください!」

 

 「いや、その必要はない。」

 

 「どうしてです!? 僕は博士のために背一杯頑張って……」

 

 ランド博士はそっとユウトの肩を撫で、

 

 「君には、このゾイドを復活させるための要になるのだ。最早、ペンダント奪還の任務を君がやる必要は無くなった。」

 

 「その要って?」

 

 「後でゆっくり話す。」

 

 「でも、博士。サリーのペンダント奪還は誰が向かうんです?」

 

 「それは私だよ!」

 

 その時、誰かの声が上がった。現れたのは投獄されたはずのアルドリッジ元少佐とシーガル元准将だった。

 

 「シーガル准将にアルドリッジ少佐。」

 

 「残念ながら、小僧、貴様はお留守番だ。あのライガーはこの私がぶっ潰すのだからな。」

 

 「シーガルとアルドリッジにはデスレックスの突然変異種の復活に加え、我々の計画の重要人となってもらう。それも後で順を追って説明する。」

 

 「メルビル少尉、君にはシーガルの補佐も任せる。」

 

 「あ、はいっ!」

 

 

 「ランド博士、そろそろ出撃命令を! あの時、俺をこけにしたライオン種の小僧に目にもの見せてやりたいんです!」

 

 「私も同感です。あのライガーさえいなければ、我々はあんなところに送られず、帝国の英雄になっていたのです! 今度こそ、共和国や今のだらけた帝国に栄光なる帝国の力を見せるのです!」

 

 「よかろう、だが、アルドリッジ少佐。今回のペンダント奪還にはもう一人いる。」

 

 「もう一人?」

 

 「俺だよ!」

 

 その時、現れたのはスピーゲル中佐だった。

 

 「何!? 冗談じゃない! あんな連中、この私だけで十分だ!」

 

 「頭を冷やせ、アルドリッジ。連中にはあのライガーだけじゃなく、共和国最強のパキケドスBRにガトリングフォックスまでいるのだ。

 いくら、お前1人でも、そう易々と勝てる相手じゃない。」

 

 「今回の作戦にはスピーゲル中佐に指揮を任せる。」

 

 「それはいくらなんでも……」

 

 「心配するな、アルドリッジ。今度の作戦なら、勝てる。今度こそ、あのライガーに目にもの見せてやろうぜ!」

 

 「わかった。」

 

 「では、アルドリッジ少佐、スピーゲル中佐、直ちに出撃せよ!」

 

 「はっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アンキロックスの守る遺跡を後にしたレオたちは、廃れたガソリンスタンドで休息を取った。

 

 「このガソリンスタンドじゃ、車を動かすことは出来ないが、その心配はない! なんたって俺にはキャタルガが付いたからな。なあ、キャタルガ! ハハハハハ!!」

 

 その様子を見ていたバーン、アイセル、ロックバーグ中尉は、

 

 「バーンの奴、すっかり上機嫌になったな。」

 

 「今までずっと車ばっかりで、ようやくゾイドに乗れて嬉しいのね。」

 

 「それにキャタルガは運搬専門のゾイドだから、これからの旅にはうってつけね。」

 

 「まあ、それはそれでいいが、レオの方はあんまりそういう気分じゃなさそうだ……」

 

 キャタルガを相棒にして喜ぶバズとは正反対にレオとサリーはゾイドクライシスからずっと100年以上村を守ってきたアンキロックスを救えなかったことを後悔していた。落ち込む様子のレオにサリーが立ち寄った。

 

 「サリー、大丈夫?」

 

 「私は平気。それより、レオ、あなたはどうなの?」

 

 「俺、自信がないんだ。ライガーの相棒になれるのか、サリーを守りきれるのか……」

 

 「え……」

 

 「ボルテックスのおかげで100年以上も生きて、ずっと帰りを待ちながら、村を守ってきたアンキロックスを救ってやることが出来なかった。

 そんな俺がライガーの相棒になってよかったのかな? もしかしたら、俺なんかより、もっと相応しい人がライガーの相棒になれば、アンキロックスを救ってやることも出来たんじゃないかと思って……」

 

 サリーはそんなレオの手を優しく握り、

 

 「ううん、そんなことはないわ。ライガーはきっとレオが相棒になって嬉しいと思っている。あなたと会えたから、ライガーは甦ることが出来たのよ。

 それに私はあなたと会えて良かった。あの時、レオと会っていなかったら、帝国軍に捕まっていたかもしれないし、ずっと1人のままだった。

 でも、レオのおかげで、私はこうして沢山の仲間に会えた。例え、どんなことがあっても私はレオから離れない。それにもし、私が捕まっても、レオははきっと助けに来てくれる。私はレオを信じているから!」

 

 「サリー……」

 

 それを聞いたレオは赤面した。

 

 「どうしたの?」

 

 「あ、いや、何でもないよ!」

 

 「フフ、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時、何処からかレーザー光線が放たれ、レオたちのいるガソリンスタンドに襲いかかってきた。ライガーは咄嗟の判断で、そのレーザー光線を受け止め、レオたちを守った。

 

 「今のレーザー光線は……まさか!」

 

 放たれたレーザー光線に見覚えを感じたレオの前に9連キャノン砲を装備し、後ろ足に3連ミサイルポッドを装備したリュック隊長の乗るキャノンブルとその他2体のキャノンブル隊が現れた。

 

 「あの男の情報通りに来てみたが、まさか、ホントにいるとはな。さあ、小僧! 大人しくサリー・ランドを渡してもらおうか。」

 

 「おい! あれ、俺たちを付け回しているキャノンブルじゃねぇか!!」

 

 「サリー、下がって。俺とライガーが時間を稼ぐ。その間に逃げて!」

 

 「でも、レオ……」 

 

 「大丈夫だよ。」

 

 「何をしている? 渡さないなら、力付くで渡してもらうぞ!」

 

 キャノンブルが再びレーザー砲を放とうとしたその時、対空速射砲がリュック隊長のキャノンブルに直撃した。

 

 「ぐわぁっ! なんだ?」

 

 撃ったのは既にロックバーグ中尉が乗り込んだパキケドスBRだった。

 

 「あの連中は私が引き付けるわ。 その間に逃げて!」

 

 「で、でも……ロックバーグさん!」

 

 「あなたはまだ戦う気力は残ってないでしょ? だったら、ここは私に任せて。」

 

 レオはしばらく考え、

 

 「わかりました。」

 

 「ようし、そうと決まれば、早速逃げようぜ! お嬢ちゃん、俺のキャタルガに乗りな!」

 

 「ふざけたこと言ってないで、ほらさっさと行くわよ!」

 

 サリーはバズのキャタルガに乗り、レオ、バーン、アイセルはそれぞれ自分の相棒ゾイドに乗り、その場から離れた。

 

 「逃がすか!」

 

 リュック隊長は再び攻撃しようとするが、パキケドスの対空速射砲で防がれた。

 

 「残念だけど、あんたの相手は私よ!」

 

 「くっ、たかが共和国の一将校ごときが舐めるな!! キャノンブル、兵器 解放! マシンブラストー!! ナインバーストキャノン!」

 

 しかし、パキケドスはそれをマニューバミサイルポッドで全て迎撃した。

 

 「私をそんじゃそこらの共和国軍の将校と一緒にしないでくれる。 私は共和国随一のエリートだからね!」

 

 「ちっ、相変わらず、共和国軍の奴等はデカイ口を叩く。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ロックバーグ中尉とパキケドスがリュック隊長のキャノンブルと戦っている間に逃げるレオたち、サリーはリュック隊長と戦っているロックバーグ中尉が気掛かりだった。

 

 「大丈夫かしら、ロックバーグさん……」 

 

 「心配ないって! あの怖い共和国の姉さんなら、今頃、あんな連中、ボッコボッコにされているさ!」

 

 「まあ、とにかく教官殿のおかげで、逃げ延びたな。」

 

 多くの岩山が多数連なる場所まで来たその時、突然何処からか砲撃がライガーたちに襲いかかってきた。

 

 「攻撃! まだ、敵がいるの? ぐっ!」

 

 しかし、砲撃はライガーの後方にも直撃した。

 

 「一体何処から撃ってきた? 銃撃音はしなかったのに……まさか!」

 

 

 

 岩山に隠れていたのはサイレントガンを撃ち込んでいたドライパンサーだった。

 

 「フフフ、あの厄介なパキケドスが離れたおかげで、少しはやりやすくなったな。ただ、あの裏切りのガトリングフォックスまでいるが、まあ、俺たち2人なら、心配はない。」

 

 そう言うと、ドライパンサーは再びサイレントガンを撃ち込んだ。

 

 「うっ、ぐっ!」

 

 「くそ、あの新型ゾイド、俺のフォックスみたいに光学迷彩機能がないにも関わらず、昼間でもここまでのステルス性能を持っているとは!

 だが、真のステルスゾイドは誰かはっきり教えてやる! アイセル、バズ! とにかくお前らは離れろ! 巻き込まれんようにな!」

 

 「確かにあたしたちは一旦離れた方がよさそうね。」

 

 「それじゃ、バーンの旦那、後はよろしく。」

 

 ラプトリアとキャタルガがその場を離れるのを見たバーンは、

 

 「よし、これで心置きなく、戦える。準備はいいか? フォックス!」

 

 ヴルル……

 

 バーンの言葉に応えたフォックスは光学迷彩機能で姿を隠した。フォックスは地表の匂いを嗅ぐ体勢を取った。嗅いだフォックスは向こうを向き、

 

 「彼処か、 よし、行くぞ!!」

 

 フォックスは匂いの方の岩山に向かうが、その時、その岩山から黒い影が突然現れ、フォックスを突き飛ばした。

 

 「バーン!」

 

 「ヒャヒャヒャ、こんな罠に引っ掛かるとはお前たちも甘ちゃんだな!」

 

 現れたのはアルドリッジの乗るファングタイガー改だった。

 

 「あれは、ファングタイガー!」

 

 「ようやく、会えたぞ。 小僧! あの時の借りを返してやる~!!」

 

 アルドリッジは今までの恨みを晴らしたいかのごとく、ファングタイガー改でライガーに突っ込んだ。だが、その時、フォックスがマルチプルランチャーをファングタイガー改に撃ち込んだ。

 

 「おいおい、勝手に攻撃しておいて無視するんじゃねぇぞ!」

 

 「貴様~!」

 

 「レオ、あいつは俺がやる。あのタイガーにはラプス島での借りがあるんでね。 お前はあの見えない敵を頼む。」

 

 「わかった!」

 

 ライガーがドライパンサーを探しに行こうとしたその時、アルドリッジもそれを追うとするが、フォックスはその行く手を阻み、

 

 「逃がすか~!!」

 

 「おっと! 一々無視するな。貴様の相手は俺たちだぞ!」

 

 「ええい、鬱陶しい奴め! 貴様等、俺の敵ではないわ~!! 

 ファングタイガー、兵器 解放! マシンブラストー!! デスファング!」

 

 「よし、いっちょやるか。 フォックス、進化 解放! エヴォブラストー!! ファントムガトリング!」

 

 

 

 

 

 

 ライガーは以前戦った時と同じく、地面の匂いを嗅いで、居場所を突き止めようとするが、スピーゲル中佐はそうはさせじとサイレントガンを放った。

 

 「ウワァッ!!」

 

 「そう簡単に俺のドライパンサーの居場所を突き止められると思うなよ! 以前のようにやられては色々と面倒でな。」

 

 地表の匂いを稼ぐ体勢を取る暇を与えられずに攻撃を受けるライガー、

 

 「くそっ、あの岩山さえ退かせば……ライガー、岩山を破壊するんだ!」

 

 ライガーはA-Z機関砲で周囲の岩山を攻撃するが、岩山はそう簡単には倒れず、手を緩めず、ドライパンサーは次々と砲撃した。

 

 「くそっ、機関砲だけじゃ、壊せないのか! ならば、ワイルドブラストだ! ライガー!!」

 

 ガオォ~!!

 

 「ライガー、進化 解放! エヴォブラストー!! ライジングバーストブレイク!」

 

 ライガーがエヴォブラストを発動し、目の前の岩山を破壊したその時、その後方からドライパンサーが現れ、

 

 「この瞬間を待っていた! ドライパンサー、兵器 解放! マシンブラストー!! ドライスラッシュ!」

 

 ライガーがエヴォブラストするかを待っていたかのごとく、スピーゲル中佐はドライパンサーをマシンブラストさせ、後方からライガーに攻撃した。レオとライガーはその攻撃を避けられず、直撃してしまう。

 

 「ぐわぁっ!」

 

 「フフフ……」

 

 ドライパンサーは再び岩山に隠れ、追い討ちをかけるように立ち上がろうとしたライガーに続けて攻撃した。

 

 「上手くかかってくれたな。ランド博士はペンダントの奪還を命じたが、まずその前にライガーを料理してからゆっくりペンダントを奪ってやる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レオとバーンがアルドリッジ、スピーゲル中佐と戦っていることを知らないロックバーグ中尉とパキケドスはリュック隊長率いる3体のキャノンブルと引き続き交戦しているが、特に苦戦することなく、パンプヘッドによる頭突きで2体のキャノンブルに加え、リュック隊長のキャノンブルを突き飛ばした。

 

 「ぐわぁっ!」

 

 「いい加減、そろそろ降伏したら? 出ないと、あんたたちの命の保障は出来ないわよ!」

 

 「くそっ、向こうは未だにワイルドブラストすら発動していないのに、ここまで我が隊を追い詰めるとは! だが、ここまで来て退くわけには……」

 

 「隊長、これ以上は危険です! 一旦離脱した方が……」

 

 「馬鹿者! ここまで来て退くわけにはいかん! そうなったら、我々は帝国の恥だぞ!!」

 

 「ですが、我々の機体は既に限界値に達しています! それに向こうはワイルドブラストを発動していないこともあって、未だに健在です!

 これ以上、戦闘を続けたら、確実に我々が敗北します!! 隊長、どうか、離脱を!」

 

 キャノンブルのコクピットの数値を見たリュック隊長は、

 

 「確かに機体のダメージは尋常じゃない。これ以上は明らかに我々の圧倒的不利……敵に背を向けることは帝国軍人としてあるまじき行為。例え、死に直面しても逃げるわけには……」

 

 その時、リュック隊長の元に通信が入った。

 

 「何!? 一体誰が? はいっ!」

 

 「リュック隊長。」

 

 「こ、これはランド博士!」

 

 「サリーは既に逃げた。ここは一旦引くのだ。」

 

 「ですが!」

 

 「聞こえなかったのか? 引け!」

 

 ランド博士の命令を聞いてしばらく考えた後、

 

 「わかりました。全軍、離脱だ!」

 

 通信を切った後、リュック隊長率いるキャノンブル隊はそのまま去った。

 

 「ようやく、諦めたようね。さて、レオたちの方に向かわなきゃ!」

 

 ロックバーグ中尉とパキケドスもレオたちの方に向かった時、その様子をリュック隊長に情報提供していた黒服の人物が通信を切り、キャノンブルに乗り込んで別ルートでレオたちの方に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「デスファング!!」

 

 「ファントムガトリング!!」

 

 フォックスの攻撃をまともに喰らっても尚も突撃するファングタイガー改、しかし、フォックスはそれを回避した。

 

 「今の攻撃、ラプス島での奴だったら、俺のフォックスの攻撃をギリギリで交わして攻撃してくるはずだが、攻撃を避けずにそのまま突っ込むとは……」

 

 再びフォックスに突っ込むファングタイガー改、フォックスはそれも難なく避け、

 

 「おのれ~! ちょこまかと逃げやがって!!」

 

 「通信の相手の声が違う……ということはライダーはラプス島の奴とは違う奴か。」

 

 アルドリッジの乗るファングタイガー改は何度も攻撃するが、フォックス。

 

 「くそ~、何故、攻撃が当たらない!?」

 

 「貴様、腕は確かだが、攻撃がどうも単調だから、動きさえわかれば、簡単に避けられるんだよ!」

 

 「おのれ~、帝国の裏切り者の分際で!!」

 

 「ラプス島と戦った奴のレベルには程遠いのが少し残念だが、これで借りは返せる。今度こそ、俺とフォックスの力を見せてやるぜ! いくぞ、フォックス!!」

 

 グオォ~!!

 

 「おのれ~!! デスファング!」

 

 「いくぞ、ファントムガトリング!!」

 

 迫りくるファングタイガー改のツインファングにフォックスの攻撃がそれを迎撃した。

 

 「へっ、今のはかなり効いたはずだ。」

 

 ところが、煙が晴れると、ファングタイガー改ら尚も立っていた。

 

 「ええい! たかが、二等兵ごときが!!」

 

 「おっと、これは驚いた。思ったよりタフだな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バーンのフォックスがアルドリッジのファングタイガー改と互角に戦っている中、レオと、ライガーはスピーゲル中佐とドライパンサーの隠密作戦に苦戦していた。

 

 「うっ、ぐっ!」

 

 「フフフ、 前までの威勢はどうした!?」

 

 レオは攻撃を受けながら、村で絶命したアンキロックスの姿が脳裏に浮かび上がっていた。

 

 「こんなところで、こんなところで!」

 

 

 

 

 岩山から離れた場所で、サリーたちはその様子を心配そうに見ていた。

 

 「レオ……」

 

 「おいおい、レオの奴、不味いんじゃねぇか!」

 

 「もしかしたら、レオ。アンキロックスのことで迷っているんじゃないかしら? あの悲劇を繰り返さないために相手のゾイドと戦うことに……」

 

 「だからって、このままじゃ、あいつを見殺しにするのかよ!」

 

 「そういうつもりで言ってるんじゃないわよ!」

 

 「私行ってきます!」

 

 「おい、止せ! サリー。今行ったら、お前は捕まってしまうぞ!」

 

 「でも、このままじゃ、レオとライガーが死んでしまう! それに敵の目的は私なんです。私が行けば、皆を助けられる。」

 

 「サリー……」

 

 しかし、その時、突然背後からキャノンブルが現れた。

 

 「なっ、あれはキャノンブル! てことはまさか……」

 

  キャノンブルはバズとアイセルがラプトリアとキャタルガに乗る隙を与えず、ナインバーストキャノンを放ち、2体を一瞬で吹っ飛ばし、同時にアイセルやバズにもミサイルを撃ち込み、2人はその衝撃で気絶してしまう。

 

 「バズ、アイセルさん!」

 

 キャノンブルから現れたのは先程の黒服の人物で、サリーに近寄った。

 

 「あなたは……」

 

 黒服の人物はサリーを気絶させ、そのままキャノンブルに乗り込んで去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 ドライパンサーの連続攻撃によって遂にライガーは足を崩し、倒れてしまう。とどめを刺そうとライガーに歩み寄るドライパンサー。

 

 「フフフ、終わりだな。」

 

 3連サイレントガンで狙いを定めようとしたその時、ランド博士から通信が入る。

 

「もういい、スピーゲル。サリー・ランドは既に逃げた。もはや任務は必要ない!」

 

 「ランド博士、しかし、我々は……」

 

 「聞こえなかったのか? 直ぐに戻れ!」

 

 スピーゲルは闘争本能を剥き出しにしたように歯を食いしばって悔しい表情をし、それに従った。

 

 「了解。アルドリッジ、聞こえるか? アルドリッジ!」

 

 スピーゲル中佐はフォックスに苦戦しているアルドリッジに通信を開いた。

 

 「あ? 一体なんだ!?」

 

 「任務は終了した。直ぐに離脱しろ!」

 

 「何!? まだこいつらとの決着が……」

  

 「アルドリッジ! これは我々が生き残るためのものだ。」

 

 それを聞いたアルドリッジは、

 

 「ちっ、仕方ない。」

 

 通信のランド博士の命令に従って、スピーゲル中佐とアルドリッジはそのままその場を去った。

 

 「なんだ? いきなり帰っていって、まさか、怖じ気いたのか!」

 

 「そうだ! サリーは?」

 

 レオが辺りを見渡すと、そこに倒れているバズとアイセルの姿があった。

 

 「バズ、アイセル!」

 

 レオはライガーから降りて、バズとアイセルの元に向かった。

 

 「うぅ、すまねぇ、レオ。」

 

 「一体何があったの?」

 

 「キャノンブルが突然襲いかかってきて、サリーを拐っていった。」

 

 「サリーが!? そんな、サリー!」

 

 レオが岩山を走り抜けて開けた場所にいくと、そこにキャノンブルの姿はなかった。レオは絶望的な表情をし、

 

 「そんな……嘘だ……サリー、サリー!!」

 

 レオはサリーを守れなかったことが出来なかった悔しさを投げるようにおもいっきり叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 気絶させたサリーを連れていった黒服の人物はスピーゲル中佐に送った通信を切り、黒服を脱いだ。その服から現れたのはなんとリュック隊長だった。

 

 「ふ、どうやら、上手くいったようだな。あの小娘をつれていくだけだ。」

 

 To be continued




 次回予告

 遂に帝国軍に拐われたサリー、レオはサリーを助けに行こうとするが、相手は帝国軍のため、容易に乗り込むことが出来ず、ディアス中佐を通じて皇帝の側近になったギレル中尉に助けを求める。
 だが、その時、投獄されたはずのシーガルが皇帝フィオナと通信を開き、帝国に宣戦布告し、ユウトのハンターウルフ改が帝国軍を攻撃してきた。
 そんな中、拉致されたサリーはかつて帝国で知り合ったメルビルと出会い、そこでランド博士からある真実を聞かされる。

 次回「帝国階級章」

 走り抜け、ライガー!!
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