ゾイドワイルドクロス アナザーZERO   作:オーガスト・アベラス

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 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーが新たな姿を得て進化したライジングライガーの力によって強敵セードとジェノスピノを打ち破り、新たな仲間を加え、再び地球再生のための冒険の旅に出掛けた。 


第23話「復活、灼熱ノ斬撃龍」

 ギレル少佐率いる帝国軍とディアス中佐率いる共和国軍による合同軍はシーガル率いる反乱軍のいる火山地帯の基地に向かって進軍していった。進軍の中、ディアス中佐はツガミ大尉と通信を取り、

 

 「ツガミ大尉、」

 

 「何でしょう?」

 

 「例の新型飛行ゾイドはどうした? もう完成しているんじゃないのか?」

 

 「ええ、もう完成しています。ただ、一つ問題が……」

 

 「何だ?」

 

 「ライダーが少々融通の利かない相手でしてね。私は彼には荷が重いと思いましたが、シミュレーションでも彼以外いませんでした。」

 

 「そのライダーとは……」

 

 「それは後のお楽しみです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 火山地帯の基地で、シーガルとランド博士が帝国、共和国の合同軍が基地に向かう映像を見ていた。

 

 「全くなんてことだ! 我が栄光なる帝国軍が憎き共和国の手を借りてしまうという失態を晒してしまうとは!!」

 

 「だが、これでオメガレックスの力を見せ付ける丁度いい機会になった。」

 

 「だが、そのオメガレックスの完成はまだなのだろう?」

 

 「そうだ。だが、あのペンダントのおかげで、完成は既に間近に迫っている。」

 

 「余り悠長している暇はないぞ! もし完成前に連中が着いてしまったら、我らの革命は全て水の泡になってしまうぞ!」

 

 「心配することはない。ザナドゥリアス少尉とアルドリッジ、スピーゲル中佐に直ぐにこちらに引き戻すよう命令させる。」

 

 「それで何とか凌げるのか?」

 

 「ザナドゥリアス少尉とアルドリッジ、スピーゲル中佐の3人なら十分時間を稼げる。その間に必ずオメガレックスを完成してみせる。」

 

 「失敗は許せませんぞ!」

 

 シーガルが渋々その場を退出した後、ランド博士は合同軍の映像を見て、不敵な笑みを浮かべ、

 

 「さあ、来るがよい。お前たちはこの地球に君臨する最強ゾイドの記念すべき生け贄となるのだ。」

 

 影ながら、ランド博士のその言葉を聞いたメルビルは焦ったような表情をした。

 

 

 

 ランド博士の指示を受けて、ユウト、アルドリッジ、スピーゲル中佐は先回りして火山地帯の基地に戻った。ランド博士は3人に、

 

 「よいか、敵を叩き潰しても構わないが、オメガレックスを完成させ、起動させるまでの時間稼ぎだ。出来るだけ敵の戦力を残すようにしろ!」

 

 「お任せください! 必ず私とファングタイガーで奴等を叩き潰してやります!」

 

 「やる気はあるのはいいが、全滅はさせるなよ。」

 

 「けっ、お前に言われなくてもわかってるよ!」

 

 「では、直ぐに出撃せよ!」

 

 「はっ!」

 

 命令を受け、それぞれのゾイドに乗り込もうとした時、ユウトだけは乗り気ではない表情をしていた。それが気になったランド博士がユウトを呼び、

 

 「ザナドゥリアス少尉、」

 

 「何ですか? 博士。」

 

 「浮かない顔をしているが、どうしたのかな?」

 

 「博士はどうして僕を息子に迎え入れたのですか? 何のために僕を選んだのですか?」

 

 「そんなことか……いずれわかる。オメガレックスが完成し、それが起動した時にわかる。」

 

 「オメガレックスが……」

 

 「それまで楽しみにしておくがいい。」

 

 ユウトはその言葉を聞いて決心したような表情になり、ハンターウルフ改に乗り込んで、アルドリッジ、スピーゲル中佐と共に出撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 合同軍はシーガル率いる反乱軍のいる火山地帯の基地の近くまで迫った。

 

 「もうすぐ着くな。」

 

 「いや、待ってください! 前方に敵が待ち構えています!」

 

 「何!?」

 

 映像を流すと、そこにハンターウルフ改、ファングタイガー改、ドライパンサーの姿があった。ハンターウルフ改の姿を見たギレル少佐は口を噛みしめた。

 

 「ザナドゥリアス少尉……くっ、全軍、あの3体を迎え撃て!」

 

 ギレル少佐の命令を受け、帝国軍のスティレイザー隊、共和国軍のトリケラドゴス隊が突進し、バズートル隊、ガノンタス隊が砲撃の体制を取った。

 

 「けっ、雑魚共が!」

 

 「わかっているよな? アルドリッジ、やり過ぎにはなるなよ。」

 

 「俺に命令するな!」

 

 ファングタイガー改はスティレイザー隊に向かって突っ込み、スティレイザー隊は砲撃の体制を取るが、アルドリッジはその隙を与えないように近付いた。

 

 「ファングタイガー、兵器 解放! マシンブラストー!! デスファング!」

 

 マシンブラストしたファングタイガー改はスティレイザーのエレクトフリルを切り刻み、後は自慢のパワーとスピードで一体ずつ破壊していった。

 

 「ドライパンサー、兵器 解放! マシンブラストー!! ドライスラッシュ!」

 

 ドライパンサーはトリケラドゴス隊に向けて突っ込み、砲撃を回避してシャドウシールドで切り刻んでいた。

 

 「フン、手ごたえのない奴らだ…」

 

 「だが、後ろの亀共が残っているぞ。」

 

 「なら、あれも俺がやる! デスファ……」

 

 その時、その隙を狙ってハンターウルフ改が先にバズートル、ガノンタス隊に突っ込んでいた。

 

 「ハンターウルフ、兵器 解放! マシンブラストー!! ソニックシックル!」

 

 マシンブラストしたハンターウルフ改のソニックシックルが一発で4、5体のバズートル、ガノンタス隊を破壊してファングタイガー改、ドライパンサーより早く一瞬の内に破壊していった。 その映像を見たギレル少佐は、

 

 「くっ、やはりザナドゥリアス少尉のハンターウルフ改に加え、アルドリッジとスピーゲル中佐をまとめて相手にするのは流石に分が悪いか。

 やむを得ん、私とディアス中佐、ツガミ大尉が出撃し、あの3体と相手をする。その間に残りの兵は基地を制圧せよ!」

 

 「お待ちください!」

 

 それに声を上げたのはツガミ大尉だった。

 

 「何だ? ツガミ大尉。」

 

 「まだ、オメガレックスの存在が確認されていません。それにその戦闘力は未知数ですし、オマケに連中はこの戦力差にも関わらず勝利を確信している様子です。

 この状況に司令であるギレル少佐とディアス中佐が出るのは危険です! ここは様子を見て、あの3体はこのまま部隊に任せましょう。」

 

 「待ってください!」

 

 それに声を上げたのはレオだった。

 

 「何だね? レオ。」

 

 「俺にいかせてください! あいつは俺がいかないといけないんです。」

 

 「それは出来ない相談です。いくらジェノスピノを倒した実績があるとはいえ、未だ敵の切り札の正体が掴めない以上、君のライガーを投入するわけにはいかない。ましてや、軍人ではない民間人の君を再び戦場に出すわけには……」

 

 「いや、彼の言う通りだ。そうだろ? ギレル少佐。」

 

 「ああ、ザナドゥリアス少尉のハンターウルフ改との戦闘は彼の方が経験が多い。彼に行かせてやれ。」

 

 「ディアス中佐、ギレル少佐! 本気で言っているのですか!?」

 

 「確かに民間人である彼を戦場に行かせるべきではない。だが……」

 

 「彼の覚悟は本物だ。それに軍人である我々と違い、彼もまた棘の道を進んできたのだ。最早彼はただの民間人ではない。」

 

 「それに反乱軍にはレオの大切な仲間が拉致されている。その子を助けたい気持ちは誰よりも強いはずだ。」

 

 「だからといって、まさか、彼1人を出撃させるつもりですか?」

 

 「そんなわけないだろ。俺たちもいるぞ。」

 

 そこにバーンとロックバーグ中尉が現れ、

 

 「私にはレオを保護する任務があります。ここは私とブラッド元二等軍曹に任せてください。」

 

 「ロックバーグ中尉まで!」

 

 「これなら、3対3だ。文句はないだろう。」

 

 「わかりました。そこまで言うなら、私も反対出来ません。しかし、レオ!」

 

 「はい。」

 

 「これもあくまで戦場であることを忘れるな。下手をすれば、命取りになりますよ。」

 

 「わかっています。」

 

 「では、出撃を許可します。」

 

 ツガミ大尉にも出撃許可を得た、レオとバーン、ロックバーグ中尉はそれぞれライガー、フォックス、パキケドスに乗り込み、ユウトのハンターウルフ改の元に向かった。ハンターウルフ改、ファングタイガー改、ドライパンサーの前にライジングライガー、ガトリングフォックス、パキケドスBRが立ち塞がり、それをユウトたちは、

 

 「あれは、ライガー……」

 

 「遂に来やがったか! あの小賢しいライガーめ! 今度こそ、恨みを晴らしてやる!!」

 

 ファングタイガー改がライガーの元に向かおうとしたその時、ハンターウルフ改が一足先にライガーの前に現れ、

 

 「また君か。でもここから先は行かせないよ。」

 

 「ユウト、君は何のために戦っているんだ?」

 

 「何のために? そんなの簡単だ。僕は博士のために働き、ただ、それだけだ。」

 

 「そんなのおかしいよ! 帝国に反逆してまでやるなんてそんなのおかしい。 そんなことして平和が得られるの?」

 

 「そんなの関係ない。博士は僕を拾ってくれた唯一の人だ。メルビルだってそうしてる。彼女がそう望んでいるなら、僕はそれでいい。だから、僕はお前を倒す!! ソニックシックル!」

 

 ハンターウルフ改の突然な攻撃に戸惑うも、それを回避するライガー、その様子を見たアルドリッジは、

 

 「けっ、抜けがけしおって! あのライオン種は俺の獲物だ~!!」

 

 しかし、タイガー改の道を塞ぐ砲撃がした。

 

 「何だ!?」

 

 「借りを返すのはこっちの方だぜ! 今度こそ俺とフォックスでぶっ潰してやるぜ!!」

 

 「おのれ~! この狐が~!!」

 

 「やれやれ、俺も加勢するか。」

 

 スピーゲル中佐がアルドリッジの加勢に加わろうとしたその時、パキケドスが現れ、

 

 「悪いけど、あんたの相手は私よ!」

 

 「ちっ、また面倒なことになりそうだな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネオゼネバスシティ、シーガル率いる反乱軍鎮圧のため、多くの軍がギレル少佐率いる部隊として派遣されたため、帝都には最低限必要な部隊が警戒体制を取っていた。 海岸沿いに2体のバズートル隊が徘徊し、

 

 「1番隊、応答どうぞ。」

 

 「こちら、1番隊! 状況異常無し。」

 

 「2番隊も異常無し。」

 

 「了解! 引き続き警備に入れ。」

 

 「了解!」

 

 「隊長、流石に反乱軍はここに手は加えてはないようですね。」

 

 「まあ、今更既に前科のある犯罪者に味方するものはいないだろうから、こんな警備ほとんど無駄足だろう。」

 

 「とはいっても、まだお若い皇帝陛下をお守りする任務はありますから、念のための警戒は必要です。」

 

 「そうだな。」

 

 「ん?」

 

 その時、突然、海面が激しく揺れ、海中にひっそりと巨大な影が見えた。

 

 「どうした?」

 

 「今、海中に何かが動いたような……」

 

 「海中に? ガブリゲーター隊じゃないのか?」

 

 「いえ、それよりもっと大きく……」

 

 再び海面が激しく揺れ、丸で嵐に見舞われたような揺れだった。

 

 「こんな天気なのに、こんな激しく揺れるとは……」

 

 「隊長……」

 

 「ああ。」

 

 2体のバズートルは海面に近付き、攻撃態勢の姿勢を取った。 そして、しばらくした後、海中に赤い瞳が光った。

 

 「撃て!」

 

 隊長の指示で2体のバズートルは海中に砲撃しようとするが、海中の敵はそれよりも早く砲撃し、2体のバズートルを破壊した。

 2体のバズートルが破壊され、ネオゼネバスシティの基地の司令室に通信が途絶え、動揺が広がった。

 

 「2番隊、2番隊! 応答せよ!! 通信が切れました。」

 

 「直ぐに1番隊、4番隊を海岸を調査するよう伝えろ!」

 

 「はっ! 1番隊、4番隊、直ちに海岸に向かえ!」

 

 その指令を受け、1番隊のキャノンブル隊と4番隊のスティレイザー隊は海岸に向かい、そこに跡形もなく破壊された2体のバズートルの残骸があった。

 

 「こりゃ、ひでぇな。海岸から攻撃されたのか?」

 

 「いや、確認は取れていない。だが、恐らくこの近くに敵がいることは間違いない。」

 

 その時、キャノンブルに乗る1人の兵士が海面の異常に気付き、

 

 「おい、何だあれは!?」

 

 兵士の叫びと共に全ての兵士が海面を向いたその時、海中から幾つもの砲撃の嵐が現れ、キャノンブル隊、スティレイザー隊を一瞬の内に壊滅した。

 

 「1番隊、4番隊! 応答せよ! 応答せよ!! 司令、再び通信が途絶えました。」

 

 「同じ場所か?」

 

 「はい。」

 

 「海岸沿いに襲われたということは、敵はガブリゲーター隊なのか? とにかく各自警戒体制を取れ!」

 

 「市民はどういたしましょうか? 避難勧告を出されては……」

 

 「市民の恐怖を煽らせるわけにはいかないが……敵の正体がわからない以上、市民を危険な目に遭わせるわけにはいかない。 とにかく市民にはシェルターに入らすよう、指示しろ!」

 

 「はっ!」

 

 「後はこの事をハワード宰相にお伝えせねば。」

 

 

 

 

 シーガル率いる反乱軍のテロが潜んでいる可能性があるとして、帝都の軍は市民をシェルターに誘導させた。そんな中、避難している人々の中に1人の少年が何か異常に気付いた。

 

 「どうしたの? 早くいくわよ。」

 

 「なんか……声がする。」

 

 「声? 何も聞こえないけど……空耳じゃない?」

 

 「ううん、声がするんだ。」

 

 ヴゥ~!!

 

 その時、突然街中に何か唸り声が上がった。それを聞いて立ち止まる市民たち、 そして、その直後、突然ネオゼネバスシティ全体が揺れ、帝都の基地や移民船にも伝わり、動揺が広がった。

 

 「何だ! 地震か?」

 

 「いえ、地震にしては不自然な揺れです。しかも揺れ自体が移動しています!」

 

 ヴゥ~!!

 

 揺れと共に唸り声が更に大きく聞こえ、最初に気付いた少年は再び何かに気づいてマンホールに近付いた。

 

 ヴゥ~!!

 

 唸り声は少年が気付いたマンホールの中から聞こえ、気になった少年は恐る恐る近付いた。

 その時、突然マンホールの蓋が勢いよく飛び出し、ビルの窓に直撃し、火山の噴火のように思いっきり水が沸き出た。

 と同時にそのマンホールから道路のコンクリートに亀裂が発生し、その亀裂は50m以上に広がった。

 少年が怖くなってその場から離れようとしたその時、亀裂が割れ、何かが這い上がってくるように盛り上がってきた。それに驚いて逃げる市民だが、突然の出来事のため、逃げ切れず、周囲にいた市民は割れて崩れた道路のコンクリートの残骸の下敷きにされてしまう。

 そして、盛り上がった道路から巨大な影が現れ、そこから2本の前足が盛り上がって穴の開いた地面を掴み、穴から巨大なゾイドが現れた。

 現れたのはスチールエリアでレオとライジングライガーによって敗れたはずのジェノスピノで、しかもレオのライジングライガー、ロックバーグ中尉のパキケドスによって破壊されたジェノソーザーや左目のバイザーが修復され、所々戦いで受けた傷も無くなり、起動する直前の姿になっていた。

 

 ギュオオォ~!!

 

 穴から出たジェノスピノはようやく地上から出られたかと言わんばかりに咆哮を上げ、その咆哮はネオゼネバスシティ全体に行き渡った。そして、そのコクピットにはセードの姿があった。

 

 「ふ、ようやく出れたか。散々俺の邪魔をしてくれたあのライガーのおかげで長く封印されたが、遂に地獄の底から這い上がった。 これで思う存分暴れられる!」

 

 ジェノスピノの咆哮を聞いて、移民船にいる帝国の上層部、議員、そしてハワード宰相やフィオナにも動揺が広がった。

 

 「馬鹿な! 何故ジェノスピノが生きている!?」

 

 「そんな、どうして……」

 

 しかし、別荘でその様子を見ていたプライド摂政は丸で待っていたかのようにニヤリとし、

 

 「来たか……意外と早かったな。さて、そろそろこちらも動くとするか。」

 

 ギュオオォ~!!

 

 ジェノスピノは再び咆哮を上げた後、A-Zロングキャノンを移民船に向け、双方のキャノンが移民船に直撃した。ジェノスピノの攻撃により、フィオナやハワード宰相、議員や上層部たちもパニックになる。

 

 「キャアァ~!!」

 

 「うぉっ!」

 

 その後、ジェノスピノはその周りで逃げ惑う市民を見つけ、市民たちに向け、火炎放射を放った。

 

 ギュオオォ~!!

 

 「うわぁ~!!」

 

 「キャア~!!」

 

 「ママ!」

 

 ジェノスピノの存在にいち早く気付いた少年を初め、その周囲にいた市民はジェノスピノの凄まじい火炎放射によって焼き殺されていった。

 

 「いくぞ、ジェノスピノ! 帝国のウジ虫共に俺たちの力を見せてやる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジェノスピノがネオゼネバスシティに現れたという情報は火山地帯の反乱軍と交戦している帝国、共和国の合同軍を指揮しているギレル少佐、ディアス中佐の元に届いた。

 

 「ギレル少佐、ディアス中佐! ネオゼネバスシティにジェノスピノが現れました!」

 

 「何!? ジェノスピノだと!」

 

 映像を見たギレル少佐とディアス中佐は驚きを隠せなかった。

 

 「何故、ジェノスピノが現れたのだ!?」

 

 「しかも、スチールエリ戦で破壊されたジェノソーザーも初め、他の部位も修復され、襲撃以前の姿に戻っています!」

 

 「バカな! いくらゾイド自身の自己再生能力でもあの傷をここまで修復させることは不可能だ。誰かが修復させたのか……

 しかし、あれを修復させるには民間人レベルでは到底不可能。まさか、我が帝国や共和国以外にも国家レベルの技術力を持つ者がいるとでも言うのか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 移民船の一部を破壊し、市民を焼き殺したジェノスピノはA-ZロングキャノンやA-Zヘッドキャノンでビルやその辺の建物を手当たり次第に破壊していった。

 A-Zロングキャノンによって丸でドミノ倒しのように崩れていくビル群、その崩れたビルを尻尾で凪ぎ払い、その残骸が街の各地に投げ込まれ、車や逃げ遅れた市民がその下敷きになり、更にジェノスピノは再びパニックになって逃げ惑う市民たちを手当たり次第に火炎放射で焼き払い、道路を火で包んだ。

 そこにハワード宰相の命を受け、バスキア大尉のクワーガファイアボンバー、バスキア中尉の乗るクワーガスカイステルス率いるスナイプテラ隊が出撃した。

 

 「ジェノスピノの奴、無差別に市民を虐殺し、通りにあるものを手当たり次第に破壊しやがって!」

 

 「あれは最早完全な怪物です! 例え、ライダーが例の摂政閣下の私兵だからといって、躊躇する必要はありません。兄さん、我々に奴の破壊命令を!」

 

 「ああ、何者であろうと、我が帝都を破壊するものは許さない。全軍、ジェノスピノに向けて集中砲撃! マシンブラストで奴を蜂の巣にしてやれ!!」

 

 「了解!」

 

 「スナイプテラ、マシンブラストー!!」

 

 バスキア大尉の命令を受け、数千体の量産型スナイプテラは一斉にマシンブラストを発動し、A-Zスナイパーライフルをジェノスピノに向け、一斉に砲撃した。

 数千体のスナイプテラ隊による集中砲撃で、足を止め、その砲撃をまともに受けるジェノスピノ、その砲撃の衝撃で周囲の建物も崩れていき、ジェノスピノはその煙で完全に姿を隠した。

 弾切れになるまで撃ち込み、限界が来た後、スナイプテラ隊は砲撃を止めた。

 

 「どうだ?」

 

 少しずつ煙が晴れ、徐々にその姿を現すが、そこには周囲の建物だけが破壊され、ジェノスピノ自体は全くの無傷だった。

 

 「馬鹿な! 我が軍の精鋭部隊の攻撃をまともに食らってもダメージ無しだと!」

 

 「フフフ、この俺を誰だと思っている。俺はあのライガーに敗れた後、ずっと地獄をさ迷い、そして遂にそこから這い上がり、更なる力を得てようやく地上に出た。

 やっとこの時が来たんだ。俺とこいつ以外の奴を、俺が憎むべき全てを破壊するために! ウオォ~!!」

 

 ギュオオォ~!!

 

 セードの叫び声と共にジェノスピノも咆哮を上げ、ジェノスピノの身体から赤い衝撃波が走り、バスキア大尉率いるスナイプテラ隊がその衝撃波で吹き飛ばされた。

 

 「ぐっ、何だ、これは?」

 

 「行くぞ、ジェノスピノ。貴様の力でこのくだらない帝国を破壊し尽くしてやれ!!」

 

 ギュオオォ~!!

 

 「ジェノスピノ、兵器 解放! マシンブラストー!! ジェノサイドクラッシャー!」

 

 マシンブラストしたジェノスピノはジェノソーザーで目の前の5つのビルを引き裂き、更にそのままソーザーバルカンも撃ち込み、スナイプテラ隊が次々と破壊されていった。

 

 「ぐっ、なんて攻撃だ!」

 

 しかもそのままジェノスピノはジェノソーザーを展開しながら、回転し、ソーザーバルカンまで撃ち込み、ネオゼネバスシティの全ての建物及び移民船にもその被害は及んでいった。

 

 「うっ、キャア~!!」

 

 移民船の王座にいるフィオナの元にハワード宰相から通信が開き、

 

 「皇帝陛下、ここは危険です! 直ぐにでも避難してください!」

 

 「それは出来ません。まだ逃げ遅れた市民もいます。市民の避難が全て完了するまで、私は逃げません!」

 

 「ですが、このままではいずれこの移民船まで破壊されてしまいます! それに陛下はこの帝国の皇帝です。せめて陛下だけでも……」

 

 「一国の王が国民を見捨てて逃げることなどあってはならないことです! 私も一緒に戦います!」

 

 それを聞いたハワード宰相はため息をつき、

 

 「わかりました。では、私はここに残り、出来るだけ時間を稼ぎ、奴を食い止めます。ジーン! 陛下をよろしくお願いします。」

 

 「わ、わかりました!」

 

 「何!? 宰相殿! どういうつもりなのです!?」

 

 「私は生涯陛下に仕える身として先帝陛下と約束されたのです。例え、この身がどうなろうと、私は陛下とこの帝国をお守りします。」

 

 「宰相、止めなさい! これは命令です!!」

 

 「ジーン、もし陛下に何かのことがあったら、あれを起動して陛下を脱出させてください。」

 

 それを聞いたジーンは驚き、

 

 「閣下、まさか、あれを……」

 

 「陛下をよろしく頼みます。」

 

 「ハワード~!」

 

 フィオナの言葉も虚しく、ハワード宰相は通信を切った。

 

 

 

 マシンブラストしたジェノスピノにクワーガファイアボンバー、クワーガスカイステルスらスナイプテラ隊はジェノスピノに再び砲撃を加えるが、ジェノスピノはジェノソーザーを振り回し、一気に数十体のスナイプテラ隊を一刀両断にし、更に火炎放射で残りのスナイプテラ隊も焼きつくされてしまった。

 

 「くそっ、化け物め! 援護を頼む! バスキア中尉。」

 

 「はい、兄さん!」

 

 「クワーガファイアボンバー、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 「クワーガスカイステルス、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 クワーガファイアボンバーが勢いよくジェノスピノに向けて突進するのを見たジェノスピノは直ぐ様火炎放射をクワーガファイアボンバーに浴びせるが、

 

 「かかったな! 私のクワーガファイアボンバーは火山の高熱に耐える装甲を持ち、更に外部装甲に熱エネルギーを蓄積が可能で、そのエネルギーを注入して撃ち込む熱式ビームマシンガンがある! つまりこれだけの熱があれば、その威力も倍増する!」

 

 ジェノスピノの火炎放射に包まれたクワーガファイアボンバーはそのままビームマシンガンをジェノスピノの頭部に撃ち込み、更にクワーガスカイステルスの高速移動によるビームマシンガンの撃ち込みによって、ジェノスピノの身体がよろめいた。

 クワーガファイアボンバーは直ぐ様、その場を離れ、クワーガスカイステルスと合流するが、クワーガファイアボンバーの装甲は所々溶解していた。

 

 「くっ、思った以上の高熱だ。」

 

 「やはり、限界のようだな!」

 

 「この声……やはりライダーはセードか!」

 

 「言っとくが、こいつの火炎放射の温度は太陽の表面温度に匹敵する5000度、つまりこいつのパワーは太陽のエネルギーそのものと言ってもいい。

 それをたかが、火山の熱ごときで、どうにかできるとでも思ったのか!?」

 

 「なるほど、確かにこれだけのエネルギーがあれば、世界の3分の1を破壊できるのも納得だ。」

 

 「つまり、こいつこそが最強のゾイド。そしてこいつを従える俺は最強の存在だ!」

 

 「大丈夫? 兄さん。」

 

 「何とかな。(だが、ファイアボンバーのダメージは思ったよりデカい。もう一度同じ手を使ったら、確実に終わりだ。

 かといっても奴に近付くのはかなり危険だ。一体どうすれば……)」

 

 「どうした? まさか、もう怖じ気ついたのか? だったら、貴様らにもう用はない。消えろ!」

 

 ジェノスピノは再び火炎放射を放ち、クワーガファイアボンバーとクワーガスカイステルスは何とか回避する。

 

 「少しは楽しめるかと思ったが、とんだ期待外れだったな。まあ、いい。そろそろ終わりにしよう。やれ、ジェノスピノ。」

 

 セードの命令を聞いたジェノスピノは現れた場所に走り、現れた穴に口を入れ、そのまま火炎放射を放った。その時、他の各地のマンホールが飛び出してそこから炎が噴水のように吹き出し、更に道路が溶解して火炎が溢れだし、一気にネオゼネバスシティ全体が火の海となっていった。

 そしてその炎をバックにしたジェノスピノの姿は正に文字通りの灼熱の破壊龍になった。 それを見たバスキア兄弟は驚きを隠せなかった。

 

 「ば、馬鹿な! こんなことが……」

 

 「さて、後はあの目障りなデカブツだな!」

 

 「そうはさせん!」

 

 その時、何者かの声と共に通常の2倍以上のサイズを持つナックルコングがジェノスピノの目の前に現れた。

 

 「何だ? あのナックルコング。あんなのがいるなんて聞いていないぞ。」

 

 「ここから先を通ることはこの私が許さない!」

 

 巨大ナックルコングに乗っていたのはハワード宰相だった。

 

 「ほぅ、宰相自ら直々の出陣か。」

 

 「我が神聖なる帝都を汚したその罪償ってもらうぞ! ナックルコング、兵器 解放! マシンブラストー!! 胸熱拳!」

 

 マシンブラストしたハワード宰相のナックルコングに攻撃の隙を与えまいとジェノスピノは直ぐ様火炎放射を放つが、ナックルコングはその火炎を両腕の熱エネルギーに変換して、ジェノスピノに真正面から近付き、そのまま連打した。予想外の攻撃で怯むジェノスピノ。

 

 「ふん、ただのデカブツかと思ったが、どうやら骨のある奴のようだな。なら、こっちも本気でやらせてもらうぞ!」

 

 ギュオオォ~!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 移民船ではフィオナはジーンと共に脱出の準備を整っていたが、フィオナは残ったハワード宰相のことが気掛かりだった。

 

 「陛下、何をしているのですか!?」

 

 「ハワードをほっておくわけにはいきません。」

 

 「何を言っているのですか!? そんなことをすれば、あなたまで死んでしまいます!」

 

 「それは構いません。私は一国の王としてこの国を守る義務があります。例え、私の命がどうなろうとこの国を守らなければ……」

 

 パシン!!

 

 その時、ジーンはフィオナにビンタをした。

 

 「な、何をするのです? ジーン!」

 

 「あなたこそ、何を言っているのです!! 一国の王が国民を見捨てることは確かにあってはならないことですが、あなたがいなくなったら、この国はどうなるのです!? 

 誰がこの国を引っ張るのです? あなたはまだまだやらなければならないことがあります。そのためにあなたの命をここで無駄にするわけにはいかないのです! いつまでもそんなことを言っては、あなたは王になれないのです。わからないのですか!?」

 

 ジーンの言葉を聞き、躊躇しながらもフィオナは吹っ切れ、

 

 「そうでした。私は一国の王としてやるべきことがあります。そのためにも私は何としても生き残ります。」

 

 「陛下……」

 

 それを聞いたジーンは安心したような表情をし、そのまま2人はメルビルの乗っているスナイプテラインペリアルガードの元に行き、その倉庫に辿り着いた。

 そこでは上層部や議員が次々と乗り込み、脱出の準備が整っていた。2人はそれぞれを向いて決心し、続いてそれに乗り込もうとしたその時、突然目の前に爆発が起き、上層部や議員が乗り込んだスナイプテラを初め、全ての機体が破壊された。

 

 「そ、そんな……」

 

 絶望するフィオナとジーンの目の前に目の前にカマキリ型のゾイドが現れ、何体か立ち塞がった。

 

 「あのゾイドは……」

 

 そして、その先頭にはプライド摂政がいた。

 

 「プライド摂政!」

 

 「ごきげんよう! フィオナ。残念ですが、貴様はここで終わりだ。」

 

 To be continued




 次回予告

 セードとジェノスピノによるネオゼネバスシティの襲撃とプライド摂政によるクーデターで、ネオゼネバスシティは占拠され、火山地帯の基地にいる反乱軍と交戦しているギレル少佐たち帝国軍に動揺が広がった。
 ギレル少佐はフィオナ救出のためにネオゼネバスシティに、レオはサリー救出のために単身で火山地帯の基地に入ろうとするが、ランド博士はその隙を狙ってオメガレックスを完成させ、ある人物をライダーに指名させ、遂にオメガレックスを起動させた。
 そのライダーとは? そして、オメガレックスの力とは?

 次回「始動! 暗黒の破壊要塞」走り抜け、ライガー!!
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