ゾイドワイルドクロス アナザーZERO   作:オーガスト・アベラス

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 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーが新たな姿を得て進化したライジングライガーの力によって強敵セードとジェノスピノを打ち破り、新たな仲間を加え、再び地球再生のための冒険の旅に出掛けた。 


第24話「始動! 暗黒の破壊要塞」

 ジェノスピノによるネオゼネバスシティ襲撃はコリンズ中将のいる基地にも届いた。映像を見たコリンズ中将は、

 

 「基地は君たちに任せる。私はスナイプテラで直ぐに帝都に向かう。」

 

 「中将、 危険です!」

 

 「心配はない。後は頼む。」

 

 「コリンズ中将!」

 

 部下の反対を押しきってコリンズ中将はスナイプテラインペリアルガードに乗り込んで出撃した。

 

 「ネオゼネバスシティにいる部隊では、あのジェノスピノには到底敵わない。だとすると、宰相閣下が万が一のために用意させたあれを起動させるしかない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 火山地帯では、シーガルら反乱軍鎮圧のために合同軍を指揮している基地ではディアス中佐、ツガミ大尉、ギレル少佐がジェノスピノによるネオゼネバスシティ襲撃の件で会議をしていた。

 

 「現在、ネオゼネバスシティにいる主力部隊はほぼ全滅し、ハワード宰相の乗るナックルコングがジェノスピノと交戦中です!」

 

 「まさか、宰相閣下自ら出撃することになるとは! ディアス中佐、ツガミ大尉、我が帝国軍の部隊を全てネオゼネバスシティに向かわせてくれないでしょうか?」

 

 「それは別に構わんが……」

 

 「しかし、今から首都に引き返してもとても間に合いません!」

 

 「だからってこのまま黙って手をこまねいて見ているだけでは……」

 

 「ツガミ大尉、今いる我々の部隊で、どのゾイドが早く首都に着きやすい?」

 

 「地上部隊では、確実に間に合いませんから、やはり、航空戦力であるスナイプテラか、クワーガ、、クワガノス、カブター辺りになるでしょう……

 ただ、オメガレックスの戦闘力は未だ未知数。ここで航空戦力を失うわけには……」

 

 「ならば、スナイプテラ隊とクワーガ隊でも出撃させあてくれ!」

 

 「中佐……」

 

 「わかった。許可しよう。 後の指揮は我々に任せてくれ。」

 

 「ありがたい。」

 

 「すまんな。出来れば、今回の戦闘で君と共闘したかったのだが……」

 

 「なあに、状況が状況だ。それにいずれその機会は訪れるさ。 残った我が帝国軍の部隊には君の指揮に従うよう、通信で伝える。」

 

 「かたじけない。」

 

 

 ギレル少佐がスナイプテラに乗り、スナイプテラ隊、クワーガ隊を連れてネオゼネバスシティに向かったのを見たディアス中佐とツガミ大尉は、

 

 「中佐、そろそろ我々も出ましょう。」

 

 「そうだな。レオたちばかり戦わせるわけにはいかない。我々も直ちにトリケラドゴス改とステゴゼーゲ改で出撃する!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネオゼネバスシティの移民船の破壊された倉庫でフィオナとジーンはカマキリ型ゾイドを率いるプライド摂政と対峙していた。

 

 「プライド摂政、これはどういうことですか? それにそのゾイドは?」

 

 「カマキリ種ゾイド、キルサイス。この時のために開発しておいた最新型のゾイドです。」

 

 「プライド摂政、帝国のために尽くしたあなたが何故こんなことを? まさか、シーガルの反乱に!?」

 

 「さあ……まあ、強いて上げるなら、あなたはもう十分に役目を果たしました。もうこれ以上のことは必要ないということです。」

 

 「あなたは……何てことを……」

 

 「どうとでも言っても構いません。ですが、何を言おうともうこの帝国に未来はありません。未来は私の手で作られます。あなたの運命もね。」

 

 キルサイスがフィオナを射殺しようと前に出た時、ジーンがフィオナの前に出て、

 

 「皇帝陛下には指一本触れません!」

 

 「ほぅ、まさか、貴様1人で守り通すつもりか? 愚かな。 つくづく人間というものは諦めの悪い者だ。なら、ここで終わりにしてやる。」

 

 プライド摂政が攻撃合図として指を鳴らそうとしたその時、コリンズ中将の乗るスナイプテラインペリアルガードが突撃し、ガトリングで3体のキルサイスを撃破し、更に残った一体には特攻で破壊した。スナイプテラとキルサイスの激突で爆発炎上し、コリンズ中将は命からがらそこから脱出した。

 

 「コリンズ中将!」

 

 「陛下、ご無事でしたか!」

 

 しかし、プライド摂政は隙を与えず、瞬時にコリンズ中将に拳銃を向けた。

 

 「来たか、我が友よ。」

 

 「プライド摂政閣下、これはあなたの仕業ですか?」

 

 「それが知りたければ、私の元に来い。この世界を正しい方向に導く私の計画に協力するなら、命の保証はする。

 だが、拒むのであれば、彼処の小娘と共にここで殺す。どちらかを選ぶかは貴様の自由だがな。」

 

 コリンズ中将はしばらく考えた後、近くにあったコンクリートの破片をプライド摂政に当て、その隙にフィオナの方へ向かい、プライド摂政はその破片を片手で砕き、再び拳銃をコリンズ中将とフィオナ、ジーンに向けた。

 

 「やはり、そちらを選ぶか。」

 

 「プライド、あなたが何をしようとしているかはわかりません。ですが! 私は皇帝陛下を裏切りません。それが帝国軍人としての私の道です!」

 

 「ふ、まあ、予想はしていたが、仕方ない。かつての私の友だったコリンズよ。お前の役割は終わりだ!」

 

 「コリンズ中将……」

 

 「どうやら、こいつを使う時が来たようですな。」

 

 コリンズ中将は密かに隠していたスイッチを出し、それを押した。と同時にネオゼネバスシティ全体が揺れ、プライド摂政はバランスを崩し、その隙にコリンズ中将はフィオナとジーンを連れ、脱出口に入って移民船から脱出した。

 

 「それで逃げたつもりか。もうここに貴様らを守る者はいないのだぞ! ん?」

 

 しかし、外を見ると、そこには信じられないような光景が広がり、流石のプライド摂政も少し唖然としていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マシンブラストしたハワード宰相のナックルコングは両腕でジェノスピノに凄まじい殴打を放ち、ジェノスピノはなすすべもなく、それを何度も食らう。

 

 「この私がいる限り、皇帝陛下と移民船には指一本触れさせない!」

 

 ナックルコングが最後の一発を放とうとしたその時、ジェノスピノはそのパンチを片前足で受け止めた。

 

 「何!? だが、もう一発だけでも!」

 

 しかし、ジェノスピノはもう一発も前足で受け止めた。

 

 「何!?」

 

 「はっ、この俺がそう簡単に貴様の攻撃を受け続けるとでも思ったか!」

 

 ジェノスピノはA-Zロングキャノンをナックルコングの腹に当て、

 

 「しまっ……」

 

 「終わりだ。」 

 

 ハワード宰相がそれに気付くも時既に遅く、2門のA-Zロングキャノンがナックルコングの腹に直撃し、更に火炎放射を放ち、その炎の中からジェノソーザーが現れ、ナックルコングはそれを受け止めるも徐々に拳の炎が消え、ナックルコングの指がバラバラに砕けてしまった。

 

 「馬鹿な!」

 

 その隙を狙ってナックルコングに尻尾で凪ぎ払うジェノスピノ、

 

 「やっぱりだな! 所詮軍人ではない貴様は戦闘経験が浅く、そのナックルコングの性能を十分に発揮出来ていない。そんな貴様にこの俺が負ける訳がないだろ?」

 

 「うっ、ぐっ……」

 

 「歯応えとしちゃ、まあまあだったが、結局期待外れだったな。そろそろフィニッシュにしよう。」

 

 ジェノスピノが倒れたナックルコングに両門のA-Zロングキャノンと火炎放射の照準を向け、ジェノソーザーも向けたその時、割れた地下から現れたのは移民船に匹敵する程の巨大さを誇る赤いスナイプテラだった。それに流石のプライド摂政も驚きを隠せなかった。

 

 「何!? まさか、この帝国がいつの間にこれ程の巨大ゾイドを作るとは!」

 

 

 

 

 「ん?」

 

 ハワード宰相のナックルコングと交戦しているセードも巨大スナイプテラに気付いた。

 

 「何だ。あれは?」

 

 「おお、遂にビッグウィングが起動したか!」

 

 ナックルコングのコクピットにコリンズ中将からの通信が入り、

 

 「ハワード宰相、皇帝陛下は御無事です! さあ、後は我々と一緒に避難を!」

 

 「いや、私はここで出来るだけ敵を食い止める!」

 

 「何を言っているのですか!? あなたではそのジェノスピノを止めることは出来ません!」

 

 「私にはフィオナ陛下をお守りすると先帝陛下と約束した。例え、この命が尽きようとも私はその任務を遂行するのです!」

 

 「宰相、お止めなさい!」

 

 「はっ、」

 

 その時、通信に別の女性の声がした。その声の主はフィオナだった。

 

 「あなたを死なせるわけにはいきません。あなたも帝国に無くてはならない存在です!」

 

 「陛下……」

 

 「どうした? もう戦意を無くしたのか。なら、そろそろフィニッシュを決めてやる!」

 

 ジェノスピノがジェノソーザーでナックルコングを切り刻もうとしたその時、巨大スナイプテラのガトリングがそれを阻止した。

 

 「ちぃっ、」

 

 「宰相閣下、さあ、早くお乗りください!」

 

 「わかった。」

 

 ハワード宰相のナックルコングは直ぐ様巨大スナイプテラに乗り込み、巨大スナイプテラはそのままネオゼネバスシティから離れた。

 

 「このまま逃がすと思ったか! あのデカブツごと撃ち落としてやる!」

 

 A-Zロングキャノンを巨大スナイプテラに狙いを定めたその時、

 

 「その辺にしておけ。」

 

 「プライドか! 貴様、どういうつもりだ?」

 

 「もう十分だ。目的は達成した。それよりもこれから火山地帯で行われる素晴らしいショーが始まる。お前も見るがいい。」

 

 「ショー?」

 

 巨大スナイプテラが去った後、プライド摂政は移民船の王宮内の謁見の間にあるフィオナの座っていた王座に座り、火山地帯の映像を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 火山地帯ではユウトのハンターウルフ改がレオのライジングライガーと、アルドリッジのファングタイガー改がバーンのガトリングフォックス、スピーゲル中佐のドライパンサーがロックバーグ中尉のパキケドスBRと、そして反乱軍の部隊は合同軍の部隊と交戦していた。

 戦況は数の優位さも相まって合同軍に分があり、反乱軍の部隊が落ちるのは時間の問題となり、アルドリッジのファングタイガー改はバーンのガトリングフォックスの機動性に翻弄され、スピーゲル中佐のドライパンサーも性能に加え、ロックバーグ中尉の戦闘経験とパキケドスとの相性が相まって苦戦していた。

 

 「デスファング!!」

 

 「おっと、ファントムガトリング!!」

 

 ファングタイガー改の攻撃をすんなり1回転で回避し、フォックスはガトリングを撃ちまくった。

 

 「くぅぅ~! おのれ、ちょこまかと~!!」

 

 「へっ、貴様はゾイドの性能に頼りすぎだ! 俺とフォックスみたいになりゃ、もっと戦えるんだが……

 これが帝国の優秀な将校の実力がこれとはね……俺のフォックスがこんな奴等に使われたと思われると、反吐が出る!」

 

 「貴様~! 脱走兵ごときが偉そうな口を聞くな~!!」

 

 「おっと、そんなに頭に血が登っていると、余計不利になるぞ?」

 

 「食らえ~!!」

 

 しかし、その攻撃も回避され、

 

 「どうやら、帝国から出て正解だったようだな。ファントムガトリング!!」

 

 「グオ~!!」

 

 

 

 

 「ドライスラッシュ!」

 

 パキケドスにシャドウシールドを当てようとするドライパンサー、しかし、パキケドスは無駄な動きをせず、さっと避け、尻尾で凪ぎ払った。

 

 「ちっ、」

 

 ドライパンサーは岩山に隠れ、サイレントガンでパキケドスに撃ち込もうとするが、パキケドスは何処から狙っているか、丸で分かっているかのようにパキケドスの位置に対空速射砲を放った。

 

 「こいつ、俺の位置がわかるのか!?」

 

 「勘よ!」

 

 「勘だと!?」

 

 「こっちだって、伊達に共和国のエリートはやっていないわ! 長年の戦闘経験で戦場に慣れれば、敵が何処から狙ってくるかなんて直ぐにわかるわ。 

 それにパキケドスは何度も私と一緒に戦ってくれた。だから、その動きについていけるのよ!」

 

 「やはり、とんでもない奴を相手にしてしまったようただな。」

 

 

 

 

 

 「ソニックシックル!!」

 

 「ライジングバーストブレイク!!」

 

 ハンターウルフ改とライガーの攻撃が同時にぶつかる。威力は互角だった。

 

 「ハァッ、ハァッ、ハァッ……」

 

 「ライガー、大丈夫か?」

 

 グルル……

 

 「そうか……」

 

 レオはハンターウルフ改を静かに見詰め、

 

 「あいつは何処か、俺に似ている。出来れば、話し合いたいけど、サリーを助けるために、今はあいつを止めるしかない。行くぞ、ライジングライガー!!」

 

 

 

 

 牢屋の中、じっと座っていたサリーは外の戦闘の爆音が近くなった時、両耳をふさぎ、怖がっていた。

 

 「レオ……助けて……」

 

 シーガルから監視と雑用を命じられているメルビルは牢屋のサリーを見て悲しそうな表情をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 基地の司令室で戦闘の映像を見ていたシーガルはイライラしている様子だった。

 

 「くそっ、アルドリッジとスピーゲルは何をやっている!! ファングタイガーとドライパンサーを持っていながら、あれだけの苦戦とは!

 ザナドゥリアス少尉もあのライガーごときに何を手こずっているのだ!?

 ランド博士! いい加減、オメガレックスの完成はまだですか!? グズクズしているとこの基地が落ちてしまいますぞ!」

 

 「心配するな。既に完成は秒読みとなった。」

 

 シーガルがそれを見ると、ランド博士の得意げな台詞を体現するように倉庫のオメガレックスはボディが完全に完成していた。

 

 「後は荷電粒子砲の調整だけだ。」

 

 「そのオメガレックスの荷電粒子砲とやら、ホントに使えるんだろうな?」

 

 「荷電粒子砲は万物を反物質化させる程の力を持つ最強の兵器だ。例え一発でも一個大隊も一瞬で壊滅することが出来る。 正に完全無敵だ。」

 

 そこにサリーの食事を片付けにその場をメルビルが通りかかった。

 

 「じゃあ、あの合同軍をオメガレックスの荷電粒子砲なら、一気に潰せるのか?」

 

 「当然だ! 奴等はその力を見せつけるちょうどいい実験台だ!!」

 

 「!?」

 

 それを聞いたメルビルは食器を落とした。

 

 「嘘……まさか、お父様は、オメガレックスで皆を……」

 

 戦闘の映像を見ると、反乱軍の大半が撃破され、合同軍が基地に近付いてきた。それを見たシーガルは、

 

 「くそっ、これ以上入られてたまるか! ランド博士、直ちにオメガレックスを起動させろ!!」

 

 「現段階では、荷電粒子砲は一発しか放てないが……」

 

 「構わん!! それだけの威力があるなら、一発だけで十分だ! さっさと起動させろ!」

 

 「そうだな。なら、直ちに起動させよう。」

 

 「ところで、肝心のライダーは?」

 

 「心配するな。直ぐに呼び戻す。」

 

 ランド博士は通信を開き、ハンターウルフ改のコクピットに開いた。

 

 「ザナドゥリアス少尉。」

 

 「博士?」

 

 「直ぐに戻ってこい! もう十分だ。」

 

 「ですが、まだ合同軍が……」

 

 「お前に相応しいゾイドを用意した。もうそのハンターウルフ改は使い物にはならん!」

 

 「僕に相応しいゾイド?」

 

 「そうだ。早く戻れ!」

 

 ユウトはしばらく考えた後、

 

 「わかりました。」

 

 ハンターウルフ改は直ぐに基地に引き返し、それを見たレオは、

 

 「引き返していく? どういうことだ……」

 

 グルル……

 

 「そうだ! サリーを助けないと!」

 

 ライガーがハンターウルフ改の後をついていくと、目の前にラプトールとバズートルが立ちはだかった。

 

 「くそっ、そこを通してくれ! 俺はサリーを助けなきゃならないんだ!!」

 

 基地に戻ったハンターウルフ改から降りたユウトはランド博士の元に向かった。

 

 「只今、戻りました。」

 

 「ご苦労、お前はよくここまで私の元で働いてくれたな。礼を言わせてもらう。」

 

 「それで、僕に相応しいゾイドとは?」

 

 「これだ。」

 

 ランド博士が見せたのはオメガレックスだった。

 

 「これはデスレックスの突然変異種の……」

 

 「そう、オメガレックスだ。」

 

 「オメガレックス?」

 

 「お前が今まで乗っていたハンターウルフ改はお前が最強のゾイドに乗るための前座にすぎない! もちろんあのジェノスピノもな!」

 

 「あのジェノスピノさえも……」

 

 「オメガレックスはジェノスピノをも凌駕する力と荷電粒子砲を備えた真の破壊龍だ!

 ザナドゥリアス少尉、お前は私の誇るただ1人の息子だ。私がお前を選んだのはその資質に相応しいと思ったからだ。お前がこれに乗ってあの愚かな連中に真の支配者が誰かを見せてやれ!」

 

 「僕が……ですか?」

 

 博士のその言葉を聞いてユウトは驚きを隠せなかった。

 

 「そうだ。今日からお前はオメガレックスのライダー、そしてこいつはお前のゾイドだ。

 こいつの力を使って、私の野望を実現させてくれ。 私の望む帝国を、この地球をゾイドの星にするために! そしてゾイドの王になるのだ!!」

 

 「これが……オメガレックスが…僕のゾイドに……」

 

 「どうした? 乗らないのか。」

 

 「いえ、ありがとうございます! 博士、いえ、父さん!」

 

 「ユウト!」

 

 ユウトがオメガレックスのコクピットに乗り込もうとしたその時、メルビルが走りより、ユウトに何か訴えるような目をしていた。

 

 「ハンナ……どうして?」

 

 「ユウト、お願い! 皆は殺さないで。」

 

 「ハンナ……」

 

 「何だと! 我らの革命に水を差すつもりか! その女を連れていけ!!」

 

 「まあまあ、シーガル。少し待て。メルビル、ここから先はお前には少し刺激が強い。大人しく部屋に籠っていろ。」

 

 「ですが、お父様。こんなこと……」

 

 「貴様、父の命令が聞けないのか!?」

 

 ランド博士の睨み付けるような表情をメルビルに向け、それを見たメルビルは怖がり、少し涙を浮かべながらその場を去った。

 

 「ハンナ……」 

 

 「さあ、ザナドゥリアス少尉! 出撃するのだ!」

 

 「わかりました。博士。」

 

 ランド博士のメルビルに対する辛辣な対応に少し戸惑いながらもユウトはオメガレックスに乗り込み、そのハンドルを握り、自身の左腕と心臓が鼓動し、それと同時にオメガレックスのバイザーが赤く発光し、咆哮を上げた。

 

 グロロォ~!!

 

 「オメガレックスが僕に応えている……」

 

 グルル……

 

 「そうか、そうだよね。僕が君に乗れたということは、博士が僕を息子だって認めてくれたってことだよね! なら、博士に従わない奴等に容赦はしない!」

 

 火山地帯の基地のドームが2つに割れ、それを見た合同軍は一時停止した。

 

 「何だ? 何が起こったんだ?」

 

 「まさか、遂に完成したのか……噂のジェノスピノ以上の破壊龍が……」

 

 ツガミ大尉の予言が的中するように割れたドームから完成したオメガレックスの姿が現れ、オメガレックスは合同軍に向けて咆哮を上げた。

 

 グロロォ~!!

 

 反乱軍のラプトールとバズートルとオ交戦している中、メガレックスの姿を見たレオは少し震えた。

 

 「あれがもう一体の破壊龍……」

 

 「全軍、砲撃開始! 狙いはオメガレックスだ!! 撃て~!」

 

 ディアス中佐の命令を受けた合同軍のゾイドはオメガレックスに向けて一斉砲撃を開始した。合同軍の一斉砲撃がオメガレックスに直撃する寸前にランド博士がオメガレックスの荷電粒子吸入ファンに装備し、サリーのペンダントを取り付けたジェネレーターパーツの自動防御システムが作動し、ジェノネレーターパーツからかつて惑星Ziのゾイドが使用していたEシールドのようなオレンジ色のシールドを展開した。

 合同軍の一斉砲撃がオメガレックスに直撃し、その衝撃波で火山やその基地にも被害が及んだ。

 

 「ツガミ大尉、オメガレックスを倒したと思うか?」

 

 「この軍はジェノスピノ戦に備えた精鋭部隊です。いくら致命傷を避けることは出来なくてもあの攻撃をまともに食らって只で済むはずがありません!」

 

 「だといいがな。」

 

 しばらくして煙が晴れるが、その光景には信じられないような光景が広がっていた。Eシールドのようなオレンジ色のシールドはおろか、オメガレックスの装甲は全くの無傷だった。その姿にディアス中佐らは恐怖した。

 

 「そんな、馬鹿な……あれだけの攻撃を食らっても……」

 

 「凄い、まさか、あのペンダントにこれ程の力があるなんて……」

 

 グルル……

 

 その時、オメガレックスが何か言いたいような素振りを見せた。

 

 「まさか、お前、自分の力をあいつらに見せつけてやりたいのか?」

 

 グルル……

 

 「そうか……なら、博士が僕にくれたその力、見せてくれ! オメガレックス、制御トリガー解除! 兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 マシンブラストを発動したオメガレックスは発射時の衝撃に耐えるために両足のフットロックが固定し、エネルギーを分散させず一点に集中するため、デスレックスの顎のデスジョーズに当たる収束シールドを前方に展開、同時に大きく開口した口内から砲身がせり出し、背部の荷電粒子供給ファンが展開して回転、 空気中の荷電粒子を取り込み、収束シールドを展開しながら同時にチャージを開始した。

 

 「奴に攻撃の隙を与えるな! 撃て、撃て~!!」

 

 合同軍は再び一斉にオメガレックスに向けて砲撃するも、サリーのペンダントによるジェネレーターパーツによって発生したシールドでオメガレックスに決定打を与えることが出来ない。その隙にオメガレックスは荷電粒子砲を放つためのチャージを済ましていき、ユウトは荷電粒子砲の照準を合同軍に向けた。

 

 「何をしようが、博士が僕にくれたこのオメガレックスが負ける訳がない! それに博士の計画を邪魔する奴は皆敵だ! 全滅させればいい。そう、全滅させれば……ハンナ……」

 

 ユウトはさっき乗り込む前にメルビルの言った言葉を思い出した。

 

 「(お願い、皆を殺さないで!) でも、どうしてハンナはあんなこと言ったんだ? 博士が僕のために作ってくれたオメガレックスをくれて、僕を息子として認めてくれた上にこの革命を成し遂げる存在にしてくれたんだ。

 なのに、どうして殺さないでって言ったんだ? 僕たちの革命を邪魔する奴は全員敵のはずなのに……」

 

 ユウトが躊躇している様子を映像で見て、少しイライラしたランド博士は通信を入れ、

 

 「何をしている!? ザナドゥリアス少尉、さっさと撃たんか!」

 

 それを聞いたユウトは慌てて荷電粒子砲発射のスイッチを入れるが、途中、メルビルのことを思い出したためか、照準が若干ずれた。

 

 「はっ、オメガレックス、ファイヤー!!」

 

 亜光速まで加速した荷電粒子ビームが合同軍目掛けて放たれた。それを見たディアス中佐らは、

 

 「不味い! 全軍散開!」

 

 合同軍は放たれた荷電粒子ビームから逃れようとするも、時既に遅く、荷電粒子ビームが合同軍の前衛に直撃し、後方部隊を貫通してそのまま山にも直撃した。横にいた部隊やディアス中佐のトリケラドゴス改、ツガミ大尉のステゴゼーゲ改、そして後少しで基地に近付こうとしライガーはその衝撃波によって吹っ飛ばされた。

 やがて、合同軍の主力部隊を一瞬で消滅させた荷電粒子ビームは山をも吹っ飛ばし、すっかり形を無くしてしまった。それを見たランド博士は身震いをし、

 

 「素晴らしい! 一発だけしか放てないとはいえ、これ程の威力を引き出すとは! やはり、オメガレックスこそが真の破壊龍だ。フフフフフ……フハハハハハハ!」

 

 オメガレックスの荷電粒子砲の強大な力を見たランド博士は丸で世界を支配する力を得たかのように不気味な笑い声を上げ、それが火山に響き渡った。

 レオは衝撃波によって基地から離れた場所で、荷電粒子砲で跡形もなく粉砕された合同軍と一瞬の内で形を無くした山々を見て、震えが止まらなかった。

 

 「う……嘘だろ……こんなこと、こんなこと、う、ウワァー!!」

 

 

 

 そして同時にその様子を見ていたメルビルとサリーも信じられないような光景をみるかのような表情をした。

 

 「そんな……これがお父様の望んだことなの……」

 

 「レオ、レオは? まさか、嫌、嫌~!!」

 

 To be continued




 次回予告

 オメガレックスの荷電粒子砲によって一瞬で敗北する帝国、共和国の合同軍、ランド博士たち反乱軍は火山地帯の基地を捨て、ネオゼネバスシティを占領したプライド摂政によって歓迎される。
 ネオゼネバスシティを逃れた帝国の上層部はフィオナと共に共和国に亡命し、共和国と共にシーガルら反乱軍に対する対策を練った。
 しかし、シーガルら反乱軍は亡命したフィオナに代わり、ある人物を皇帝に立てようとしていた。果たして、その人物とは!?

 次回「新ノ皇帝」走り抜け、ライガー!!
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