ゾイドワイルドクロス アナザーZERO 作:オーガスト・アベラス
ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーが新たな姿を得て進化したライジングライガーの力によって強敵セードとジェノスピノを打ち破り、新たな仲間を加え、再び地球再生のための冒険の旅に出掛けた。
援軍の中の一体遠隔操作されているキルサイスはオメガレックスの映像を録画し、その映像がネオゼネバスシティの移民船の謁見の場の王座に座っているシーガルとアルドリッジの元に届き、2人はその映像を見ていた。
「流石はオメガレックス、このままいけば、我が真帝国の野望は達成されそうだな。」
「ちぃっ、俺が乗りゃ、荷電粒子砲をバンバン撃てたのによ!」
「ところで、ランド博士とスピーゲル中佐は何処だ? せっかく自分で復元したオメガレックスの暴れっぷりを見れるというのに……」
「ランド博士は何かの研究のために研究室に向かったとか、スピーゲルの奴は兵士の激励をしに行ったとか言ってました。」
「これからがいいところだというのに、勿体ない奴等だ。ま、オメガレックスがいる時点で、我が真帝国の勝利は約束されたも同然だがな。」
移民船の個室で、スピーゲル中佐は密かに誰かと交信を開いていた。
「はいっ、オメガレックスが出撃したことで、現在ネオゼネバスシティを護衛している部隊は僅か少数です。
はいっ、今なら、警備は手薄かと……わかりました。では、警備が薄い箇所をそちらに送信します。こちらの工作は私に任せてください。」
荷電粒子砲によって、まともに動けなくなったライガーたちを後にオメガレックスはラグスシティを出て、再び立ち止まった。
「何だ? 一体何をするつもりだ?」
「オメガレックス、兵器 解放! マシンブラストー!!」
グロロォォ~!!
「オメガレックス、ファイヤー!!」
オメガレックスの荷電粒子砲が目の前にあるアルダ山脈に直撃し、巨大な穴を開けた。それを見たレオたちは荷電粒子砲の威力に圧倒された。
「馬鹿な! 荷電粒子砲で山に穴を開けるなんて!!」
その後、オメガレックスはマシンブラストを解除し、そのまま走っていって、穴の空いたアルダ山脈の中を通って行った。
「不味い! 山脈に穴を開けて、その道でネオヘリックシティに向かうつもりだ!」
しかし、オメガレックスは後を追うとするディス中佐のギルラプターLCとロックバーグ中尉のパキケドスに誘導ミサイルを撃ち込ませた。
「グワァッ!」
「キャアッ!」
その衝撃で気絶する2人、それを確認したオメガレックスはそのまま荷電粒子砲で穴を開けたアルダ山脈の中に入って行った。
ラグスシティから離れた場所で、ハンターウルフ改でギレル少佐のスナイプテラと交戦しているランド博士はオメガレックスが荷電粒子砲でアルダ山脈を破壊した音に気付き、
「ザナドゥリアス大尉め、随分大胆なことをやったな。だが、いずれその力は私のものだ。」
ハンターウルフ改はスナイプテラのガトリングを避け、そのままアルダ山脈の方に向かった。
「くそっ、ランド博士。逃がさんぞ! ん?」
その時、スナイプテラのコクピットに通信が入った。
「ハワード宰相からの暗号通信……直ぐにネオゼネバスシティに向かい、真帝国を鎮圧せよ……だと?
何故だ? 今はオメガレックス鎮圧が最重要任務のはずなのに! ん? その代わり、オメガレックスの弱点の情報は手に入った。その情報を直ぐにディアス中佐に提供し、ネオゼネバスシティに向かえ。帝都にはスパイとして送っている私の部下がいるので、その者の指示に従え……? 一体誰だ?」
オメガレックスの攻撃で気を失っていたディアス中佐とロックバーグ中尉が目を覚まし、
「う、う~ん。ロックバーグ中尉、大丈夫か?」
「何とかね? そうだ! レオたちは!?」
振り向くと、ライガーは荷電粒子砲の衝撃で足を挫いて立ち上がれないような状態になり、ツガミ大尉のギルラプターLCとフォックスも崩れたビルの下敷きになっていた。
「レオ、ライガー……」
「さっきの荷電粒子の影響で、ダメージが大きい。作戦は一旦中止して、早く医療班を……」
「俺とライガーなら、大丈夫です。それにロングレンジバスターキャノンの弾だってまだあります。オメガレックスを倒すために行かないと……」
「そうだ。俺とフォックスだってまだ死んじゃいない。それにここで諦めたら、俺と相棒の自由な旅を終わらせることになる。そんなのは御免だぜ!」
「私だって、同じです。帝国の反乱者ごときに私の故郷である共和国を滅ぼさせるわけにはいきません!」
「だからって、その身体じゃ……」
「大丈夫です。俺とライガーはまだ動けます。なあ、ライガー?」
グルル……
レオの言葉に応え、ライガーは立ち上がろうとした。
「頑張れ、頑張れ、ライガー!」
しかし、立ったその時、再びライガーは倒れてしまった。
「いや、諦めるな、ライガー。ここで諦めたら、帝国や共和国の皆やサリーを助けることだって出来ない。立つんだ、立つんだ! ライガー!!」
その時、背後からキャノンブルが角でライガーの背中を押すように起こしていった。
「全く、だらしがないな。」
「あなたは……リュック隊長?」
また同時にシェル軍曹のバズートルとノックス大尉のスティレイザーが対空レーザー砲やエレクトフリルで瓦礫を破壊し、ツガミ大尉のギルラプターLCとフォックスを解放させた。
「あんたは……ノックス大尉? 何であんたが脱走兵の俺を?」
「ガトリングフォックスで帝国に牙を向け、帝国を裏切ったお前のことは許せない。
だが、帝国の脱走犯でありながら、ジェノスピノの反乱と真帝国の反乱を阻止するために何度も帝国を助けた奴を放っておくことは俺のプライドが許さないからな。」
「え? てことは俺の罪は?」
「勘違いするな。いくら帝国を助けても、お前は帝国の反逆者だ。この戦いが終わったら、お前の処罰が決定されることを忘れるな!」
「やっぱり、そうなるか……」
「リュック隊長、どうして?」
「別に貴様を助けたくて助けたわけではない。真帝国の一番厄介なオメガレックスを倒す作戦の要である貴様とライガーが倒れたら、こちらとしても色々と不味いんでな。今回だけは貴様の助けになっただけだ。 ところで、ディアス中佐、オメガレックスは?」
「荷電粒子砲でアルダ山脈に穴を開け、そこを通ってネオヘリックシティに向かったところだ。」
「おいおい、それじゃ、後少しでネオヘリックシティに着いてしまうってことじゃないか!」
「そうだ。だからこそ、我々も後を追う。」
「待ってください。ディアス中佐。」
「何だね? ツガミ大尉。」
「我々が気絶している間の時間を想定すると、奴は既に山脈を抜けている可能性があります。 今から行っては間に合いません。」
「では、どうする?」
「地下鉄を使います。」
「地下鉄?」
「このラグスシティにはゾイドクライシス以前に地下鉄が発達していて、今もその道は生きていて、しかも調べたところ、それがネオヘリックシティまで続いていることが判明しました。
地下には地上と違い、当然、障害物も存在しませんので、計算上でも今からでも十分間に合うはずです。」
「おっしゃ、なら、一気に首都まで行くか。」
「ん?」
「どうしました? ディアス中佐。」
「ギレル少佐から暗号通信が来た。真帝国にいるハワード宰相のスパイからオメガレックスの弱点とオメガレックスを機能停止させる情報が来た。」
「何!? で、その内容とは……」
「オメガレックスにはゾイドコアのパワーを全身に行き渡らせるために反動力阻止としてコーティングされたフレキシブルチューブが体内に張り巡らせている。
そのチューブは体内の深くを通っているが、顎の部分だけは例外で、そこに強い衝撃を与えると、パワーが逆流を起こし、ゾイドコアに致命的なダメージが生じ、それを防ぐため、衝撃を感知すると、リミッターが作動し、オメガレックスは全機能を停止する。
そしてその対策には生半可なゾイドの火器ではリミッターを作動させる程の衝撃を与えることは不可能で、貴国の最終兵器であるロングレンジバスターキャノンを3発、180秒以内に撃てば、オメガレックスは機能停止するとのことだ。」
「ということはそれまでの我々の作戦では、失敗する恐れがあったということですか。」
「それにしても、宰相はいつの間に真帝国にスパイなんて送っていたのか。しかもそんな情報まで入手するなんて、一体何処のどいつだ?」
「だが、とにかく今はオメガレックスを食い止めることが先決だ。レオ、ロングレンジバスターキャノンは確か後3発残っているんだったな?」
「はいっ!」
「だとしたら、失敗は許されないぞ。代わりの弾は現在ない。心して行け!」
「はいっ!!」
「よし、では早速地下鉄を通ってネオヘリックシティに向かう。」
レオたちが地下鉄に入ったところをハンターウルフ改が立ち寄り、
「ん? あれは例のライオン種……しかも、あれは伝説兵器、ロングレンジバスターキャノンではないか。まさか、あれでオメガレックスを迎え撃つつもりなのか?
そうはさせん。いずれ私のゾイドとなるオメガレックスを貴様らごときに倒されてたまるか!」
ライガーたちが全員地下鉄に入ったところを確認し、ハンターウルフ改も気付かれないよう、後をついでそのまま地下鉄に入って行った。
ラグスシティの反対側のアルダ山脈から荷電粒子砲が放たれ、その穴からオメガレックスが現れた。
「遂に来た! ここを進めば、ネオヘリックシティ。あれを落とせば、任務は達成される。」
アルダ山脈から出たオメガレックスを偵察隊のクワガノスが発見し、それをギャレット大将のいるネオヘリックシティ作戦本部に届けた。
「偵察隊からの報告です! オメガレックスがアルダ山脈を抜け、真っ直ぐネオヘリックに向かっています!!」
「何!? 馬鹿な、 戦闘開始からまだ2時間しか経っていないぞ! それに一体どうやってその短時間でアルダ山脈を?」
「荷電粒子砲で山脈に穴を開け、それを通って抜けたとのことです。」
「荷電粒子砲で山脈に穴を開けて道を作るだと!? 何てやつだ。ディアス中佐とツガミ大尉の部隊はどうしたのだ?」
「未だ報告がありません! 恐らく撃破された可能性が……」
「やむを得ん! ネオヘリックにいる各守備隊を集結、オメガレックスの侵攻を阻止せよ。 何としても奴を首都に入れさせるな!!」
「はっ!!」
ギャレット大将の命令を受け、ネオヘリックシティの各守備隊は首都の入口を完全に封鎖し、守備隊には巨大なキャノピーを装備したキャタルガ、ガトリングを装備したナックルコング、グラキオサウルス、ガノンタス、バズートル、キャノンブルによるゾイド部隊だった。
「いいか! オメガレックスが来たら、一斉砲撃。何としても奴をここで食い止めるのだ!!」
「はっ!!」
守備隊ゾイドが砲塔を構えたその時、目の前に物凄い勢いで走っていくオメガレックスの姿が見えた。
「来ました! オメガレックスです!!」
「全部隊、砲撃準備! 奴には荷電粒子砲がある。奴が荷電粒子砲を撃つ前に破壊する。」
「? あれは……合同軍の守備隊か。だが、そんなもの、僕には通用しない!
行くぞ、オメガレックス! オメガレックス、兵器 解放! マシンブラストー!!」
マシンブラストを発動したオメガレックスは物凄い勢いで走りながら収束シールドを展開し、荷電粒子砲の発射体制に入った。それを見た守備隊の隊長は、
「馬鹿な! まさか、アンカーを固定せず、しかも走りながらで荷電粒子砲を撃つつもりか!?」
「隊長!」
「構わん! 撃て、撃てー!!」
隊長の命令を受け、守備隊ゾイドは一斉にオメガレックスに砲撃した。
「構わず、撃て! 弾切れになるまで撃てー!! 何としても奴を破壊しろ!」
砲撃の嵐がオメガレックスを襲うが、その煙の中から誘導ミサイルが放たれ、キャタルガキャノピーを襲い、更に煙からジャンプしたオメガレックスが現れた。
「何!? ジャンプしただと! しかも、あの巨体で!!」
ジャンプしたオメガレックスはガノンタスとバズートルを踏み潰し、更に尻尾でキャノンブルを凪ぎ払い、続けてナックルコングまで蹴り飛ばした。
「このおぉぉー!!」
隊長機のグラキオサウルスが果敢に立ち向かうが、オメガレックスはその隊長機仕様グラキオサウルスの首を喰わえ、そのまま丸で棍棒のようにぶん投げ、他のグラキオサウルス隊を蹴散らしていった。
「まさか、共和国最大ゾイドのグラキオサウルスが力負けしてしまうなんて!! この、この、離せ!」
オメガレックスはその言葉に応じるかのようにそのまま首を噛み砕き、残った胴体をビルに投げた。
「くっ、ぐっ……何てことだ。まさか、あの時、荷電粒子砲を撃つように見せ掛けて、我々の攻撃を誘い、瞬時に展開した収束シールドを砲撃の防御に回し、続けて最後の攻撃を受けないように誘導ミサイルを放ち、ジャンプで避けたというのか! それもあの巨体であんな跳躍力を出すなんて!!
化け物なのはオメガレックスだけじゃない。ライダーもかなりの化け物だ!」
隊長が気が付くと、目の前にオメガレックスがいた。
「う、ウワァー!!」
オメガレックスは胴体だけになった隊長機仕様グラキオサウルスも容赦なく踏み潰した。
「守備隊、大半が大破……」
映像でその姿を見ていたギャレット大将たちは驚きを隠せなかった。
「何て奴だ。奴は無敵なのか?」
「ギャレット大将! オメガレックスが再びマシンブラストを発動しました!!」
「何!?」
「行くよ、オメガレックス、兵器 解放! マシンブラストー!! オメガレックス、ファイヤー!!」
マシンブラストしたオメガレックスは共和国の移民船に照準を合わせ、荷電粒子砲を発射し、その荷電粒子ビームが移民船の巨体を貫通させた。
「移民船の右翼にかなりの損傷!」
「大統領官邸は無事か!?」
「何とか逸れました!」
「移民船すら貫通させるとは何て奴だ!!」
「オメガレックス、僕はもう迷わない。僕を救ってくれたハンナのためにも、そしてこの間違った世界を正すために僕は戦う!」
グロロォォ~!!
オメガレックスがネオヘリックシティに襲撃した映像はネオゼネバスシティの移民船の謁見の場の王座に居座っているシーガルとアルドリッジのところに届いた。
「ハハハ、遂に共和国首都まで辿り着いたようだな! 流石はオメガレックス。我が真帝国の誇る最強ゾイドだ。
さあ、行くがいい。オメガレックス、今こそお前が真帝国の救世主となり、共和国を滅ぼし、我が真帝国をこの星の覇権を制する唯一無二の国家とするのだ。ハハハハハ、ワーハッハッハッハッハ!!」
その様子をメルビルはそっとドアを開け、見ていたが、もう見てられないような表情をして、ドアを締め、その場を去ろうとしていた。
「もう私はどうしたらいいの? 今の帝国を滅ぼし、共和国も滅ぼし、唯一無二の国家を作る……それが私の生まれた目的なの……?」
最早、自分が何をすればいいのかわからなくなってしまい、泣き出しそうになったメルビルの元に侍女が現れ、
「どうなされました? ハンナ様。」
「別に何でもありません。」
「私にはそうは見えませんけどね……本当は真帝国の皇帝になる気も、帝国に牙を向ける気は一切ない。そうじゃありませんか?」
「あなたには関係ないです。」
「あら、私も実は好きでこんな帝国で働いているわけではありませんし、それにあなたをお呼びしている人もあなたと同じことを抱えていますが、そんなにいつまでも迷っては王の風格に相応しくはありません。」
「私を呼んでいる人?」
「ええ、サリー・ランドという方ですが……」
「サリーが……」
オメガレックスは誘導ミサイルを無差別に放ち、それによって破壊されたビルの瓦礫が倒れ、逃げ惑う市民を下敷きにし、更にオメガレックスは尻尾でビルを凪ぎ払い、対地対空速射砲で守備隊のガノンタスやクワガノスも破壊していった。
「守備隊、全滅……」
「くそっ、何て奴だ! 我々ではあの化け物を止めることは出来ないのか!?」
「ギャレット大将、オメガレックスの武器システムが再び稼働しました!」
「何!?」
「オメガレックス、ファイヤー!!」
再び放たれたオメガレックスの荷電粒子砲が共和国の移民船を貫通し、その衝撃で、移民船は少し傾いた。
「ぐっ、グワァッ!」
「状況はどうなっている?」
「だ、大統領! 何故、御避難されなかったんですか?」
「一国の大統領が国民と首都を見捨てて逃げるわけがないだろう。 ところで、状況はどうなっている」
「守備隊は全滅、オメガレックスはその力に有無を言わせて首都を破壊しています。」
「そうか……市民の避難は?」
「まだ、一部だけ避難は完了していませんが、後少しで完了します。」
「わかった。ギャレット大将、船内に残っている科学班を招集してくれ。どうやら、決断の時が来たようだ。」
「大統領! まさか、あれを……」
「全ての市民の避難が完了したら、オメガレックスを道連れにし、この移民船を自爆させる。」
「何てことを……移民船は共和国の首都でもあります。ネオヘリックはどうなります。守るべきは地上の第二の首都ニューホープだ。我々が船に首都を残したのは環境の問題だ。
マスクを必要としない次の世代にとって、船に固執する理由はない。首都は地上に移せばいい。」
「大統領……」
「私にとっても、ネオヘリックは大切な街だ。思い出もある。が、このまま真帝国に壊滅されるくらいなら、この船と首都を犠牲にしてでも、私はニューホープを守る。」
「わかりました。ご決断に敬意を表します。」
「第二波来ます!」
「うっ、どうやら、一刻の猶予はありません。直ちに移民船を稼働させろ!」
「駄目です! さっきの攻撃で、マグネッサーウィングをやられました! このままだと船は不安定になって、沈みます!」
「何!?」
「第三波来ます!」
「奴め! 自爆する前に荷電粒子砲で破壊するつもりか!?」
「いい加減に落ちろ!」
オメガレックスが移民船に照準を合わせたその時、オメガレックスの足元にガトリングが放たれ、そこからフォックスとディアス中佐、ツガミ大尉のギルラプターLCが現れ、3体で同時にオメガレックスの顎を攻撃した。
「オラオラオラ、俺の相棒のガトリングを喰らいやがれ!!」
「くっ、まだいたのか!」
オメガレックスは荷電粒子砲を放つのを止め、両用速射砲をフォックスとギルラプターLCに放った。
「よし、注意を逸らしたぜ。レオ、ガツンと1発お見舞いしてやれ!!」
穴からライガーも現れ、オメガレックスの足元に来て、スタンバイした。
「今だ! ロングレンジバスターキャノンはっ……」
しかし、その時、そうはさせじと穴からハンターウルフ改が現れ、ライガーに体当たりした。
「グワァッ! 一体なんだ? あれは……ハンターウルフ! じゃあ、あれに乗っているのは……」
「そんな兵器でオメガレックスを止めさせはしない。オメガレックスは私のゾイドだー!!」
「通信? でも、声がユウトじゃない。じゃあ、乗っているライダーは誰?」
「喰らうがいい。ソニック……」
「弾丸鈍破!!」
ハンターウルフ改が攻撃したその時、パキケドスBRがパンプヘッドで体当たりし、ハンターウルフ改を吹っ飛ばした。
「ロックバーグさん。」
「レオ、ここは私に任せて。あなたはオメガレックスを!」
「わかりました!」
「ぐっ、貴様……」
「悪いけど、邪魔させるわけにはいかないわよ。何度も邪魔してきたあのパキケドスか。この私の力を舐めるな!!」
侍女の言葉に気になったメルビルはその侍女に付いていって、プライド摂政の別荘の個室に入り、そこにサリーがいた。
「サリー……」
「改めてお久し振りです。メルビルさん……」
「そうね。あなたが帝国に来て、脱走してから一年が経ったからね。」
「実を言うと、私、ホントはどうしたらいいのか、わからないんです。」
「サリー?」
「お爺さんからペンダントを渡され、汚染された地球を正常な状態に再生させることが私がやらなければならないことだと思っていた。
でも、ユウトに誘われて帝国に入り、レオと会って、気付いたんです。いくら、地球を正常な状態に戻しても、帝国と共和国が戦争を続けていたら、いつか地球はまた滅びるかもしれない。私の生まれ故郷だった惑星Ziの悲劇はもう見たくはない。
でも、人々は未だに戦争を続けて真帝国まで作ったりしている。その時にあの人が言ったんです。全てをリセットし、新しい世界を築いた方が地球のためになるのだって、そして私のお母さんも同じ考えだって言っているけど、それでも本当に地球のためになるのかわからない。 教えてください! メルビルさん、私はどうしたらいいんですか?」
「サリー……そうね。私も小さい時は孤児院に入れられていて、親が誰なのかわからず、御父様に拾われて、ずっと御父様を本当の父親と思って慕ってきた。
ところが、私は実は先代皇帝の娘だと、御父様に聞かされ、真帝国の皇帝にされ、真実を知ったユウトもオメガレックスに乗ってからは、以前の優しさを失って、皆私から離れていく寂しさに襲われた。 このままじゃ、また1人になってしまうんじゃないかって。 でもね、1つだけ安心したことがあるの?」
「え?」
「ユウトがオメガレックスに乗って出撃する前に私に言ってくれたの。」
「(ハンナ、もう僕はあの男を信じない。自分の欲のために表だけ父親を演じ、僕たちを道具のように扱っていたあいつを絶対に許せない!
だから、僕はあいつに復讐し、戦争の原因である帝国と共和国を叩き潰し、この世界を変えていく!)」
「(でも、ユウト……)」
「(だけど、これだけは言わせて欲しい。僕は君を裏切らない。)」
「(え……)」
「(あの時、孤児院にいて、友達もいなく、一人ぼっちだった僕を君は分け隔てなく手を差しのべてくれた。例え、ジャミンガの襲来の時で化け物扱いにされてもずっと傍にいてくれた。
だから、今度は僕が君を救う番なんだ。君がいたから、僕はこうして生きている。もうこれ以上、君に悲しい思いはさせない。君を真帝国の皇帝として利用する奴等を倒し、君を救ってみせる。)」
「(ユウト!)」
「(心配ない。僕は必ず帰ってくる。帰ってきて、君を自由の身にする。)」
「あの言葉を聞いて少しは安心したの。ユウトだけは私を裏切らない。あの子は私にとって大事な子。だから、私は彼の帰りを信じている。 サリーもいるんでしょ? 大切な人が!」
「私の大切な人……レオ。」
「そう、どんな困難なことがあっても大切な人を信じていけば、乗り越えられる。今はこんな状態でも、私はそれを信じているの。」
「ありがとうございます! メルビルさん。私もようやく吹っ切れました。私もレオを信じます!」
「なら、我々に協力すべきではないか?」
その時、2人の会話の間に入るようにプライド摂政が入った。
「摂政閣下……?」
「この真帝国など、所詮は愚かな人間の汚い欲によって生み出された実に意地汚く、おこがましい国家に過ぎん!
そんな帝国がこの星を統一すれば、間違いなくこの星は更に汚され、滅びの道を辿る。
だが、我々はそんなことは望まない。我々は神に仕える者にして、愚かな争いを起こす人間共に天罰を下し、新たな世界を創造するための神の使徒。
そして、その神の子としてこの世に生を与えられたユウトは我々の帝国の皇帝となることを選び、世界を正しい方向に導くために行動している。
彼がそれを選んだというなら、君たちもそれに協力すべきではないのか?」
「摂政閣下……いえ、あなたは、あなたは一体何者なの?」
「我々は帝国でも、共和国でも、真帝国でもない。我々は神聖ゼネバス帝国…またの名をゼロメタル帝国。」
「ゼロメタル帝国……」
その時、侍女の姿が液体金属に代わり、メルビルの姿になった。
「あ、あなたは……」
ハンターウルフ改はマシンブラスト技を放つも悉く回避され、パキケドスBRの通常のエヴォブラストの連続攻撃を受けてグロッキー気味になっていった。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ、己れ、貴様ごときにこの私が!」
「以前、ライガーと戦った奴と比べて随分戦闘経験が浅い。ということはライダーは別人?
なら、好都合ね。一気に終わらせてやるわ。」
「己れ、オメガレックスさえ手に入れば!」
フォックス、2体のギルラプターLC、キャノンブル、スティレイザー、バズートルがオメガレックスに集中砲火を浴びせるも、オメガレックスは怯まず、誘導ミサイルと両用速射砲を放ってきた。
「レオ、これ以上は持ちこたえられないぜ!」
オメガレックスの攻撃を見たレオは何かに感じ、
「あれだ! 行くぞ、ライガー!!」
オメガレックスの放った誘導ミサイルの煙に紛れて、ライガーはその中に入っていった。
「くそっ、ならば、これで!」
誘導ミサイルや両用速射砲でも怯まないフォックスを見たユウトは再び荷電粒子砲を撃とうとした。
「いかん! 奴はまた荷電粒子砲を撃つ気だ!」
「レオ、まだか!?」
オメガレックスが再び荷電粒子砲を撃つ体制に入ったその時、ライガーがオメガレックスの足元までたどり着き、
「よし、今だ! ロングレンジバスターキャノン発射!!」
ロングレンジバスターキャノンの両門の弾が発射し、それがオメガレックスの顎に命中し、その衝撃で体制を大きく傾き、同時にオメガレックスの全身が赤く発光した。
「よし、最初の2発は命中した。」
「後1発時間内に放てば、オメガレックスは停止する。」
「ぐっ、まだだ!」
しかし、それでもオメガレックスは倒れる寸前に体制を立て直した。
「まだ、立つか…やはりタフな奴だ。」
その時、パキケドスBRから逃れたランド博士のハンターウルフ改はオメガレックスの近くまで立ち寄り、
「いいぞ! ザナドゥリアス大尉。オメガレックスの力を存分に使い、真帝国を地球を支配する唯一無二の帝国にし、この星をゾイドの星にするのだ!!」
ランド博士の言葉を聞いて、ハンターウルフ改の存在に気付いたユウトは憎悪の感情を剥き出しにして、ハンターウルフ改を踏み潰そうとした。
「ランド……お前だけは……お前だけは!」
オメガレックスが踏み潰しに何とか回避するも、オメガレックスがこちらに攻撃したことに少し困惑したランド博士は、
「貴様、どういう真似だ!? お前の父であるこの私を攻撃して、乱心したか!!」
「乱心した……? 一体どの面下げてそのようなことを……僕とハンナを只、自分の野望のために拾い、父親と演じ、その心を踏みにじってきたお前だけは絶対に許さない
!!」
怒り狂うユウトに従うかのようにオメガレックスは誘導ミサイルと対地対空速射砲でハンターウルフ改を攻撃し、その全てが命中した。そしてビルの壁に激突し、倒れるハンターウルフ改をそのまま片足で踏みつけた。
「ぐっ! 貴様……」
「ハンナを苦しめたのはお前だ! お前さえ、いなければ!!」
「ぐっ、こいつもピーター同様、失敗作だったか! だが、オメガレックスだけは失うわけにはいかない。
真帝国軍、オメガレックスを止めろ! コクピットだけを破壊しろ!!」
その命令を受けた真帝国のキルサイス隊がオメガレックスに向かったその時、
「真帝国……お前たちも世界を歪ませる悪だ! オメガレックス、ファイヤー!!」
ユウトは瞬時にマシンブラストを発動させ、オメガレックスは空中のキルサイス隊を全滅させ、更に放った荷電粒子砲をそのまま降下させ、地上にいる真帝国のオメガレックス護衛仕様のギルラプター、キャノンブル隊まで全滅させた。それを見たレオたちも驚きを隠せなかった。
「どうなってんだ? あいつ、味方の部隊まで全滅させやがった。」
「まさか、あのオメガレックスのライダー、真帝国を裏切ったというのか!?」
真帝国部隊を全滅させたオメガレックスは丸で恨みを
晴らすかのようにハンターウルフ改を執拗に踏みつけ、その衝撃で、ハンターウルフ改のバイザーが破壊され、バイザーが破壊されたことによって、かつてのフォックス同様にゾイドとしての意思を取り戻し、オメガレックスの執拗な踏みつけに苦しんだ。
グルル……
その時、ライガーが何か言いたいように唸り、
「ライガー?」
グルル……
「……そうだな。 行くぞ、ライガー!!」
ライガーの言葉に理解したレオはライガーと共にそのままオメガレックスの元に向かった。
「おい、レオ! 何するつもりだ!?」
「ライジングライガー、進化 解放! エヴォブラストー!! ライジングバーストブレイク!」
エヴォブラストしたライガーはオメガレックスの足を攻撃し、その隙にハンターウルフ改はそこから脱出した。
「ハンターウルフ、今のうちに早く逃げるんだ!」
グルル……
レオの言葉を聞いたハンターウルフ改は小さく頷き、その場から離れた。
「お前……!」
「お前、ユウトなんだろ? 何故、ハンターウルフにあんな酷いことをするんだ!? ハンターウルフはお前の大事なゾイドだろ? 何故こんなことを?」
「うるさい! 僕に用があるのは、ハンターウルフ改じゃない。そいつに乗っている奴だ! それにお前ごときに僕の何がわかる!?」
涙くんだ表情をしたユウトに従ったオメガレックスはライガーも踏み潰そうとしたが、ライガーはそれを回避した。
「わからないよ。でも、俺には何となくわかる。俺に助けたい人がいるように、お前だって助けたい人がいるんじゃないのか?」
「うっ……うるさい! 共和国にちやほやされているお前なんかにわかるか!! それにもう僕は真帝国ではない。
戦争を起こし、この地球を再び汚す元凶である帝国、共和国という世界を乱す悪を滅ぼすために、僕はここに来たんだ!! お前たちは世界を歪ませる悪だ!」
「ディアス中佐の旦那、どうやら、オメガレックスのライダーが真帝国を裏切ったのは間違いないなさそうだが、合同軍に寝返るつもりはなさそうだ。」
「なら、奴は何としても食い止めねば……レオ! 後、オメガレックスの顎にロングレンジバスターキャノンを撃ち込むために後何秒ある?」
「後、90秒です! でも、生半可な攻撃じゃ、あいつの顎に当てるのは不可能だと思います。ライガーのワイルドブラストで、攻撃を誘い、その隙を狙って、顎に最後の一発を命中させます!」
「よし、ならば、我々はその援護に向かう。」
「全く、相変わらず無茶なことが好きな奴だ。だけど、そういうところ、嫌いじゃないぜ! なあ、フォックス?」
ヴォ~!!
「よし、行くぞ、皆!!」
そこから少し離れた場所で見ていたランド博士は、
「くそっ! ザナドゥリアスめ。かつての失敗作だったピーター同様にこの私を裏切りやがって……だが、諦めんぞ! オメガレックスだけは必ずこの私の手で……」
しかし、その時、ハンターウルフ改はランド博士の操縦無しで勝手に動き、
「何!? 何のつもりだ! 止まれ、ハンターウルフ! 止まらんか!!」
ランド博士の操縦と命令を完全に無視し、ハンターウルフ改はそのままネオヘリックシティから離れた。
ネオゼネバスシティの別荘の個室で、プライド摂政はユウトとオメガレックスが真帝国、帝国、共和国どちらでもなくネオヘリックシティを襲ったことに気付いたように不敵な笑みを浮かべ、
「そうだ、ユウト。お前は神の意思に従い、この世界に破壊と再生をもたらすための使者として行動するのだ。そしてその時に我らの崇高なる神が復活する。」
その時、メルビルの姿に変身した侍女が入り、
「どうだ。様子は?」
「小娘2人の監視はギルラプター改に任せました。」
「キルサイスやその他の真帝国の部隊は?」
「シーガルに組入る連中は大方始末したので、真帝国の軍はほとんど手中にあるも同然よ。」
「そろそろ、終止符を打つ時が来たようだな。進化が止まり、おつむが低くなったこんな帝国など、未練もないからな。」
「ただ、ギレルの部隊がこちらに向かっているそうよ。」
「わざわざ、オメガレックスを無視してこちらに向かっているだと?」
「どうやら、例の男が宰相に情報提供したらしいわ。」
「そうか……だが、こちらにとってはむしろ好都合だ。これにより、我々の計画はフェーズ3に移行する。最終フェーズまでまもなくだ。」
To be continued
次回予告
養父のランド博士の乗るハンターウルフ改に牙を向け、真帝国の部隊を全滅させ、帝国、共和国、真帝国全て滅ぼすと宣言したユウトとオメガレックスを阻止するべく、レオとライガーは残り一発のロングレンジバスターキャノンでオメガレックスに挑む。
そして、真帝国に潜むハワード宰相の部下の指示に従い、ギレル少佐率いる帝国の航空部隊がネオゼネバスシティに侵攻し、それを知ったシーガルとアルドリッジは迎え撃とうとするが、その時、プライド摂政は恐るべき行動に出る!
次回「去リユク 希望」走り抜け、ライガー!!