ゾイドワイルドクロス アナザーZERO   作:オーガスト・ギャラガー

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 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーが新たな姿を得て進化したライジングライガーの力によって強敵セードとジェノスピノを打ち破り、新たな仲間を加え、再び地球再生のための冒険の旅に出掛けた。 


第29話「去リユク 希望」

 「オメガレックスをこれ以上暴れさせるな!」

 

 フォックス、2体のギルラプターLC、キャノンブル、スティレイザー、バズートルは再びオメガレックスに集中砲火し、ライガーはバズのキャタルガの元に向かった。

 

 「バズ、カートリッジの交換頼む!」

 

 「おう、任せとけ!」

 

 バズはロングレンジバスターキャノンのカートリッジの交換を終え、

 

 「ようし、OKだ! レオ、最後の一発ガ~ンと行ってやれ!!」

 

 「ありがとう、バズ!」

 

 カートリッジを入れ換えたライガーは再びロングレンジバスターキャノンをオメガレックスを当てようとするが、オメガレックスはそうはさせじと誘導ミサイルを放った。

 

 「この僕が負けるわけにはいかない! いや、僕は負けない!!」

 

 そう言って、オメガレックスは誘導ミサイルや両用速射砲を全方位に向けて砲撃し、フォックスたちも近付けなくなっていた。

 

 「くそっ、これじゃ、近付けないぜ!」

 

 「だが、もう時間はない! 何としても最後の一発を当てなければ、オメガレックスは倒せない。」

 

 「なら、私に任せて! パキケドス、進化 解放! エヴォブラストー!! シュトゥルムボック!」

 

 パキケドスBRの頭突きがオメガレックスの足を直撃し、オメガレックスは少し怯んだ。

 

 「馬鹿な! この体格差でオメガレックスの足を止めるなんて。」

 

 「今よ!」

 

 「了解!」

 

 ロックバーグ中尉の命令を受け、現れたのは共和国軍のアンキロックス隊だった。

 

 「新たな守備隊か!」

 

 「そんなもので、オメガレックスは止めない!」

 

 「そうかしら?」

 

 オメガレックスが誘導ミサイルを放とうとしたその時、パキケドスはマニューバミサイルポッドを放ち、オメガレックスの視界を遮った。

 

 「目眩ましか! そんなもの……」

 

 しかし、動こうとするも、オメガレックスは一歩も動けない。

 

 「何!?」

 

 煙が晴れると、既にオメガレックスの両足はアンキロックス隊によって封じられた。

 

 「しまった! 両足を……」

 

 「これで動けないでしょ?」

 

 「それがどうした? 荷電粒子砲のある口やミサイルはまだ使えるよ!」

 

 「だったら、それも封じ込めてあげる。2番隊!」

 

 今度は巨大なワイヤーを持ったクワガノス隊が現れ、そのワイヤーでオメガレックスの口を塞ぎ、

 

 「ワイヤー!?」

 

 「よし、そのまま巻き付けろ!!」

 

 オメガレックスは全身を封じ込められた。

 

 「これで、荷電粒子砲はおろか、誘導ミサイルも両用速射砲も使えない。加えてこの状況なら、ロングレンジバスターの射程圏に入れる。」

 

 「うっ……」

 

 ユウトが気付くと、既に下にはライガーがロングレンジバスターキャノンの照準を合わせていた。

 

 「これで終わりだ。ロングレンジバスターキャノン発射!!」

 

 ロングレンジバスターキャノンの最後の1発が動きを封じ込められたオメガレックスの顎に直撃し、オメガレックスの全身が赤く発光した後、リミッターが作動し、オメガレックスのバイザーの光が消え、オメガレックスはそのまま倒れてしまった。

 

 「リミッターが作動した。」

 

 「勝ったのか? 我々は……」

 

 「勝った、勝ったんだ! 我々は、真帝国の破壊龍に勝ったんだ!! ウォー!!」

 

 オメガレックスが沈黙したことにより、勝利の雄叫びを上げる共和国軍兵士たち、それを移民船から見ていたギャレット大将とクレストウッド大統領は、

 

 「大統領、我々は勝ちました。」

 

 「どうやら、これで共和国は救われたようだ。」

 

 「沈黙したオメガレックスを直ちに鹵獲せよ!」

 

 ディアス中佐の命令を受けた共和国軍兵士がオメガレックスを回収しようとするが、コクピットの中で、ユウトは尚も操縦稈を握り、オメガレックスを目覚めさせようとした。

 

 「動け、動けよ! 僕はこんなところで倒れるわけにはいかないんだ! ハンナをあんな奴等から解放するためにも、僕とハンナを利用したあいつに復讐するために、そして、僕の本当の父さんに会うために、僕は倒れるわけにはいかないんだー!! ウォー!!」

 

 ユウトが激しく叫んだその時、ユウトの両腕の血管が紫色に発光し、同時にユウトの目も紫色に変わり、オメガレックスのバイザーの目も紫色に発光して、起動した。それを見た共和国軍兵士は退き、

 

 「な、何だ?」

 

 「オメガレックスが再起動した! 逃げろ~!!」

 

 

 それを聞いてディアス中佐は驚愕した。

 

 「何!? 馬鹿な!!」

 

 再起動したオメガレックスは立ち上がり、誘導ミサイルで、共和国軍のガノンタスを一瞬で撃破した。

 

 「ハハハ、皆死んじゃえよ!」

 

 目が紫色になったユウトは顔つきが狂気的になり、同時に性格も豹変した。

 

 「壊れろ、壊れろよ! マシンブラストー!!」

 

 オメガレックスは瞬時にマシンブラストを発動し、ライガーたちに襲いかかった。そして発射した荷電粒子砲をそのまま上に向け、移民船にも直撃した。

 

 「うっ、」

 

 「ぐわぁっ!」

 

 「う~ん、皆大丈夫か?」

 

 「俺とフォックスは無事だ。」

 

 「俺とライガーも無事です。それより、オメガレックスは?」

 

 レオが目の前を見ると、そこにオメガレックスの姿はなかった。

 

 「一体何処に?」

 

 レオが辺りを見渡すと、オメガレックスはビルをよじ登り、そのまま移民船に飛び乗った。

 

 「ハハハ、落ちろー!!」

 

 移民船に飛び乗ったオメガレックスは再びマシンブラストを発動して、至近距離で移民船に荷電粒子砲を放ち、そのまま荷電粒子ビームを丸で剣で斬り裂くように移民船の表面を削り取った。

 

 「ぐわぁっ! 馬鹿な! 奴は不死身とでも言うのか!?」

 

 「大統領……」

 

 「やはり、あれを使うしかないのか。」

 

 「くっ、行くぞ、ライガー!!」

 

 移民船を破壊するオメガレックスを見たレオは、指示を出し、ライガーもビルをよじ登って行った。

 

 「おい、レオ! 何をするつもりだ!?」

 

 「オメガレックスを止めにいきます!」

 

 「待て、ロングレンジバスターキャノンはもう使えないんだぞ!」

 

 「それでも、あいつを止めないといけたいんです!」

 

 そう言って、ライガーはロングレンジバスターキャノンを外し、移民船に飛び乗った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 別荘でその様子を見ていたプライド摂政は、

 

 「ユウト、遂に覚醒したか。どうやら、そろそろ潮時のようだな。」

 

 そう言って、その場から去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オメガレックスの目が紫色になり、ライダーのユウト共々暴走して移民船を破壊した様子を見たシーガルとアルドリッジは、

 

 「ハハハ、いいぞ! オメガレックス。そのまま共和国を根絶やしにしてしまえ!!」

 

 「しかし、閣下。あれでいいんでしょうか? 最早我々の手に負えないような……」

 

 「そんな心配はいらん。念願の共和国壊滅が果たされれば、それでいいのだからな!」

 

 その時、突然移民船全体が揺れ、

 

 「何だ? 一体何があった!?」

 

 「閣下、大変です! 我が真帝国軍のキルサイス隊が首都と移民船を爆撃しています!」

 

 「何!?」

 

 外では多数のキルサイス隊が街や移民船にタイムボムを落下させて爆撃していた。

 

 「キルサイス隊、何をやっている! 直ぐに攻撃を中止しろ!! おい、聞こえているのか!?」

 

 シーガルは通信回線を開いて、キルサイス隊に命令するが、全くの応答がなかった。

 

 「まさか、我々の中にスパイが……もしかすると、帝国と共和国の者が!?」

 

 「そんなことがあるわけがない! 我が真帝国が帝国や共和国ごときに踊らされるわけがない!!」

 

 その時、メルビルが謁見の場に入り、

 

 「これは、これはハンナ様。一体何の御用ですか?」

 

 「その席を譲ってくれないかしら?」

 

 「はっ?」

 

 その時、メルビルは王座に座っているシーガルの胸ぐらを掴み、そのまま投げ飛ばした。

 

 「貴様~!!」

 

 シーガルが投げ飛ばされたのを見たアルドリッジはメルビルを襲うが、メルビルは瞬時に向きを変え、片足でアルドリッジを蹴り飛ばした。

 

 「メルビル……貴様、何の真似だ!?」

 

 「あら、それはこっちの台詞ね。真帝国の皇帝である私に玉座を座らせない上に閉じ込めるし、しかもこんな美貌を持った私を世間に見せないなんて、無礼にも程があるわ。

 それに、あんたたちのような小物でおつむの低い下等な人間なんかにこの星を支配すること自体がおこがましいわ!」

 

 「何!? この私が小物だと!! 貴様、いい気になるなよ!」

 

 メルビルの高慢で人を見下すような表情に少し違和感を感じたアルドリッジは、

 

 「閣下……」

 

 「何だ?」

 

 「あの女、メルビルではない!」

 

 「何!?」

 

 「いつも、博士の腰巾着のあの女がいきなりこんな態度をとるはずがない。貴様、何者だ!?」

 

 「あら、失礼しちゃうわね。私はハンナ・メルビルよ! 今はね……」

 

 「そうだな。せめて本物もそれくらいの器だったら、もう少し維持出来ただろうな。」

 

 その時、プライド摂政が横から現れ、メルビルの側に立ち寄った。

 

 「プライド摂政……一体これは何の真似ですか!?」

 

 「まだわからないのか? 貴様らは必要ない道具だ。所詮は我が帝国建設のための捨て駒でしかなかったというわけだ。」

 

 プライド摂政が指を鳴らした時、ドアを突き破って、紫色の目をしたジャミンガが現れ、更にそれに騎乗し、半裸でラプトールやラプトリア、ステゴゼーゲに酷似したような頭部をしたものがナイフと斧を持ち、更にガブリゲーターやドライパンサーの頭部をした者も弓矢やドライパンサーのシャドウシールドに酷似したハンマーを持った謎の兵士まで現れた。

 

 「馬鹿な……ジャミンガだと!」

 

 「一体こいつら何処から? それにこの兵士は……」

 

 同時にメルビルの身体が液体金属化し、姿を変えるとその姿はラスト大佐だった。

 

 「貴様、ラスト大佐!」

 

 「そうよ! やっと気付いたの? これだから、下等な人間は嫌なのよね。

 自分の帝国を築きたいことだけに執着する余り、誰が信用できる人間かの区別もつかず、しかも聞きもしないことをベラベラと喋ったりと、内部が筒抜け過ぎてホントうんざりだったわ! ま、聞きたいことは聞くことは出来たから、役立たずにもそれなりには役にたったわね。」

 

 「役立たずだと!?」

 

 「貴様、誰に向かって口を聞いている!!」

 

 「あら、口を慎むのはそっちの癖に、よくそんなことが言えるわね。」

 

 「シーガル、貴様はいい道化として働いてくれた。だが、貴様のその貧弱な帝国もここで終わりだ」

 

 「何!?」

 

 「この星を支配するのに相応しいのは神に仕え、この宇宙で最も進化した人類であるこの我々だ。

 我が目の前にその醜態を晒しては困るのでね。滅びるがいいい。愚かな人間!」

 

 プライド摂政が右手をかざしたその時、その指から赤い稲妻発生し、シーガルとアルドリッジを襲いかかった。

 

 「ぎっ、ぎゃあぁ~!!」

 

 稲妻を受けたシーガルとアルドリッジは手足が徐々に衰え、丸で老化していくようになっていた。

 

 「さて、貴様らの身体は後どれぐらい持つかな? まあ、その様子だと持って10分ってとこか。」

 

 しかし、その時、何処からか砲撃がプライド摂政の前を遮り、同時にジャミンガと謎の兵士を蹴散らし、ドライパンサーが現れた。

 

 「スピーゲル中佐!」

 

 「閣下、アルドリッジ! こちらへ。」

 

 スピーゲル中佐の指示を聞いて、シーガルとアルドリッジはドライパンサーに乗り込み、その後、ドライパンサーはサイレントガンを地に撃ち込み、その煙を目眩ましにし、そのまま逃走し、残ったジャミンガと謎の兵士はその後を追った。

 

 「スピーゲルめ、あの頑固な宰相のスパイというだけあって、流石にあの小物2人よりはやるようだな。」

 

 「どうする?」

 

 「ラスト、お前はあの2人の始末をしておけ。」

 

 「あの老害を乗せたハンターウルフ改がこちらに近付いたっていう情報が入ってきたけど、あっちの始末はあんたがやるの?」

 

 「いや、私はまだ1つ、やり残したことがあるのでな。それにあの老害を始末する刺客は既にいるからな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドライパンサーが暫く倉庫の方まで逃げ込み、そこで停止した。

 

 「このまま、3人乗りで、ドライパンサーで逃げるのは無理があります。閣下とアルドリッジはスナイプテラに乗って、応援が来るのを待ってください。」

 

 「ちっ、何てことだ! まさか、我々の味方だと思っていた摂政が裏切るとは、何処まで我々をコケにするつもりだ?」

 

 「計算外ではありますが、真帝国に味方するものはまだいます。ここはチャンスを待ちましょう。」

 

 「ええ、これでお前たちを皇帝陛下と宰相閣下の元につれていかせることが出来ます。」

 

 「ん? スピーゲル、今、何と……」

 

 アルドリッジが振り向いた瞬間、スピーゲル中佐はシーガルとアルドリッジを瞬時に取り押さえ、2人に手錠をかけた。

 

 「スピーゲル! 貴様、何のつもりだ! まさか、貴様まで真帝国を裏切ったのか!?」

 

 「裏切る? 何か勘違いしていませんか。 私はそもそも真帝国に入ったつもりはございません。」

 

 「何!?」

 

 「私はハワード宰相直属の独立部隊所属、ビクター・スピーゲル中佐だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギレル少佐のスナイプテラ率いる航空部隊がネオゼネバスシティに到着し、そこに多数のキルサイス隊が都市を爆撃している様子を目撃した。

 

 「? 何だ、あれは?」

 

 「確認は取れませんが、もしや、真帝国内部にも反逆者がいるのでは……」

 

 「反逆者……」

 

 ギレル少佐はハワード宰相からの暗号通信を思い出した。

 

 「(ネオゼネバスシティに到着したら、そこにスパイとして活動している、独立部隊所属スピーゲル中佐の指示に従って、シーガルとアルドリッジを捕らえよ……

 スピーゲル中佐、あの男がハワード宰相のスパイで、しかも独立部隊所属だと?

 確かにシーガルやアルドリッジと違い、あの男だけは真帝国に入る理由が曖昧だ。だが、いくら宰相閣下直属とはいえ、本当に信用していいのか?)」

 

 「ギレル少佐、どういたしましょうか?」

 

 「私は移民船に向かう。残りの隊はあのキルサイス隊が我々の味方か確かめろ。」

 

 「了解!」

 

 バスキア大尉たちに命じたギレル少佐のスナイプテラは移民船に向かった。

 

 

 

 

 

 「ハワード宰相直属の独立部隊だと!? 確か、その部隊は皇帝陛下暗殺と帝国の反逆者を取り締まるために宰相が正規軍から独立させた部隊。」

 

 「そう、ジェノスピノの共和国侵攻から、お前たちが万が一、再び反乱を起こした場合のことを想定して、スパイとして、お前たちを監視していた。

 だが、ジェノスピノが生きていて、しかもネオゼネバスシティを襲撃したことが予想外だったため、貴様がオメガレックスを出撃させて、手薄になったこの瞬間を待っていたのだ。」

 

 「貴様、我が真帝国の理念を踏みにじるつもりか!?」

 

 「俺はあんたら、真帝国の理念なんかに興味はないし、それにお前たちのやっていることは只の反乱だ。

 しかも、それを2度もやっているということはもう禁固500年では済まないだろう。」

 

 「ええ、もうその必要はないわ。」

 

 その時、突然ファングタイガー改が目の前に現れ、襲いかかってきた。それをスピーゲル中佐はシーガルやアルドリッジと共に何とか避ける。そして、そのコクピットにはメルビルが乗っていた。

 

 「メルビル少尉……いや、ラスト大佐か。」

 

 「その通り、そいつらはもう利用価値の無くなった最早、ゴミ同然の者。 

 帝国に引き渡しても死刑になるのは目に見えている。なら、私が始末した方がいいんじゃない? それにそいつらを始末するなら、この姿の方がちょうどいいしね。」

 

 「だが、貴様も反乱者であることに変わりはない!」

 

 「あら、失礼しちゃうわね。私はあんたたちと違って、只の人間じゃないのよ!」

 

 「ちっ、」

 

 スピーゲル中佐はすかさずドライパンサーに乗り込もうとするが、

 

 「させないわよ!」

 

 ラスト大佐の乗るファングタイガー改はそうはさせじとドライパンサーを体当たりでブッ飛ばした。

 

 「アハハハハ、所詮、ゾイドに乗れなきゃ、この様ね。さあ、死になさい。」

 

 ファングタイガー改の牙がスピーゲル中佐らに襲いかかろうとしたその時、

 

 「アブソルートショット!!」

 

 壁を突き破って、ギレル少佐のスナイプテラが現れ、ファングタイガー改の攻撃を阻止した。

 

 「スナイプテラ!? くっ、厄介な奴がまた来たわね。」 

 

 「ギレル少佐か?」

 

 「独立部隊所属、ビクター・スピーゲル中佐だな?」

 

 「ああ、そうだ。改めてよろしく。」

 

 「ふん、まあ、いいわ。次いでにあんたも一緒に殺してあげるわ!」

 

 しかし、その時、ファングタイガー改のコクピットからプライド摂政の通信が開き、

 

 「ラスト、もういい。離脱する。」

 

 「プライド? どういうつもり? せっかく獲物が増えたって言うのに!」

 

 「移民船のコントロールルームで、自爆装置を作動させた。わざわざ我々が手を下さなくとも、自動的に奴等は移民船と共に藻屑となる。 爆破に巻きこれないよう、お前も今のうちに避難しておけ。」

 

 「ちっ、わかったわよ。」

 

 「何!? 今、何て言った」

 

 「あら、聞いてなかったの? たった今、プライドが自爆シークエンスを開いたのよ。制限時間は20分。その後にあんたたちはこの街と共に一瞬で吹っ飛ばされるわ。」

 

 「何だと!?」

 

 「じゃ、バイバーイ!」

 

 そう言って、ラスト大佐の乗るファングタイガー改はそのまま立ち去った。

 

 「くそっ、待て! 俺のファングタイガー改を返せ!!返しやがれ!」

 

 「アルドリッジ。」

 

 「離せ! 貴様のせいで、俺の理想が……」

 

 「悪いが、暫く黙っててくれないか。」

 

 スピーゲル中佐は怒り狂うアルドリッジを手当で気絶させた。

 

 「アルドリッジを頼む。俺はコントロールルームに行って、自爆装置を……」

 

 「いや、私も行かせてもらう。」

 

 「しかし……」

 

 「我々帝国軍人にとって、今、成すべきことはこの首都を守ることだ。」

 

 「わかった。」

 

 「アルドリッジは私の部隊に命じる。ところで、シーガルは?」

 

 「あ……」

 

 スピーゲル中佐が辺りを見渡すと、シーガルの姿はなかった。

 

 「くそっ、こんなときに逃がしてしまうとは!」

 

 

 

 ギレル少佐とスピーゲル中佐の元から逃げ、手錠を外したシーガルは特別室に入っていき、そこに自分専用の金色のキルサイスがいた。シーガルは金色のキルサイスに乗り、

 

 「くそっ、どいつもこいつも、この私をコケにしやがって! だが、覚えておけ、私は必ず生き延び、再び真帝国を……」

 

 キルサイスを起動させようとしたその時、謎の兵士が騎乗する複数のジャミンガが現れ、隊長らしき兵士が手を上げ、その指示で、ジャミンガたちがキルサイスに襲いかかってきた。

 

 「貴様ら! 邪魔をするな~!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハンターウルフ改はネオヘリックシティから脱出し、そのままネオゼネバスシティにまで走っていった。しかし、ネオゼネバスシティには多数のキルサイス隊が都市や移民船に爆撃を加えていた。

 

 「ど、どうなっている? 我が真帝国に逆らう者がいるはずが……」

 

 そして、ハンターウルフ改は急に停止し、そのまま自力でコクピットを開き、ブルブル身体を震わせ、丸で身体に取り付いた寄生虫を払うかのようにランド博士をコクピットから振り払った。

 

 「ぐっ、貴様! 私はお前のライダーだぞ!」

 

 しかし、ハンターウルフ改は見向きもせず、そのままランドを見捨てるかのようにその場を去った。

 ハンターウルフ改に見捨てられたランドは別のゾイドに乗って再び脱出しようと倉庫に向かったその時、紫色の目をした複数のジャミンガが立ち塞がった。

 

 「ぐっ、ゾイドのなり損ないが……道を開けろ!!」

 

 ランドが右腕をかざすと、ジャミンガは動きを止め、しばらく静止した。その間にランドは倉庫に向かうが、ジャミンガを通りすぎようとしたその時、突然ジャミンガの背中からラプトールの頭部をした半裸の兵士がナイフで斬りかかった。

 突然のことにランド博士は右腕でガードしようとするも、謎の兵士は俊敏な動きでその腕を払いのけ、ランド博士の左肩にぶっ刺した。

 

 「ぐっ、ぐわぁぁぁ~!!」

 

 ナイフがランドの左肩を深く刺さり、その激痛にランドは断末魔を上げた。ランドは右腕で何度も兵士を殴るも兵士ほ全く動じず、兵士はランドを蹴り飛ばし、ランドは壁に叩きつつけられた。

 それによって、突き刺さったナイフが取れたものの、深く入り込んでいたため、ランドの左肩から大量に出血していた。ラプトールタイプの兵士は血だらけのナイフを持って再び近付いた。

 

 「ぐっ……貴様!」

 

 ランドは右腕をかざそうとしたその時、別の場所で待ち構えていたガブリゲータータイプの兵士が弓を引き、その弓矢がランドの右肩にぶっ刺さった。

 

 「ぐっ、ぐわぁぁぁ~!!」

 

 更にドライパンサータイプの兵士も現れ、ランドに近付いていった。

 

 「ぐっ、貴様ら一体何者だ!?」

 

 その時、ランドは兵士の死角となる部分が手薄になっていることに気付き、隙を次いでそこに逃げ込もうと考えた。そして、兵士が攻撃の姿勢を見せ、その隙に逃げようとしたその時、

 

 「父さん……」

 

 「ん?」

 

 その時、突然横から現れた人物に殴り飛ばされ、ランドは下の階にまで落っことされてしまう。

 

 「ぐっ、ぬあっ!! 」

 

 「ふっ、バイザーの制御から解放されたハンターウルフ改がこちらに来たのを察知してこいつらと一緒にスタンバイしていたかいがあったよ。

 プライドから与えられたゾイド因子の一部を持っているから、万全の状態にしたら、少々厄介だと思って、こいつらに攻撃するよう、命令したけど、思ったより雑魚だったね。こんなんなら、俺が直接手を下した方が早かったな。」

 

 「貴様! 何の真似だ!?」

 

 「何って、復讐……って言えば、伝わるかな?」

 

 「復讐だと? 貴様がこの私に何の恨みがあるというのだ!?」

 

 「何言ってんの? お前の右腕が疑似ゾイド因子を持った義手だと知っているのも、そして右腕にオリジナルのゾイド因子を持っている人間なんて、この世に1人しかいないけど……もしかして年月が経ちすぎてこの顔すらも忘れたのかな?」

 

 「あっ……」

 

 その時、ランドはセードの顔が幼い頃のサリーによく似た姿の少年と合わさった。

 

 「貴様……まさか……ピーターか!?」

 

 「やっと思い出したようだね。」

 

 「馬鹿な! 貴様はあの時、移民船が地球に到着する寸前に自爆装置付きの脱出ポッドに乗せて死んだはず……何故生きているのだ!?」 

 

 「何故って、俺の力を嘗めているのか? 俺は地球に移住する前に体内にゾイド因子を持った最初の第一世代の人間だ。

 この力によって俺は第一世代でありながら、マスクを全く必要とせず、通常の人間を遥かに越える能力を得た。 それにこの力を与えたのはお前じゃないか!」

 

 「!!!」

 

 「あの時は惑星Ziに移住する前、そう、俺がまだ5歳の子供だった時だ。

 あの時のお前は自分が見つけた研究資料をボーマンに認められず、対立し、自分の手で最強ゾイドを作るとか言って、地球に自然発生するゾイドの中で最も強力とされるスピノサウルス種ゾイドを自力で復元しようとしたが、地球産ゾイドを惑星Ziに復元させることはほぼ不可能に近く、実験は失敗し、研究室は爆破され、まだ子供だった俺は迂闊にもその研究室を通り掛かり、事故に巻き込まれた。

 あの事故でお前は右腕を失い、重傷を負ったが、事故に巻き込まれた俺は傷が付いているどころか、その時に復元に失敗したスピノサウルス種ゾイドのゾイド因子を体内に浴び、右腕が金属化したことによって、俺は無傷だった。

 だが、それに目をつけたお前は俺を最強ゾイドを生み出すための研究材料として扱い、戦闘マシンとして養育され、俺はお前の忠実な道具になるために何度もお前から虐待を受けた。」

 

 セードは自分の上着を剥ぎ取り、その上半身には丸で拷問でも受けたかのように鞭やスタンスタックによって受けた傷跡が全体に生々しく残っていた。

 

 「これがお前によって受けた傷だ。そして俺を散々奴隷のように扱った後、貴様は俺を制御不能な失敗作と見なし、移民船の着地に失敗した場合のことを考えての対処を偽り、俺を自爆装置付きの脱出ポッドに乗せ、宇宙に放り出した。」

 

 「だが、あの後、ポッドは爆破し、その残骸は確かに地球に着いた時にあった。その貴様が生きているはずがない!」

 

 「だから、俺の生への執着がこの右腕に宿るゾイド因子が応え、俺をあのポッドから生き延びらせた。何せ、この右腕には貴様の復元実験に失敗したジェノスピノのゾイド因子が宿っているのだからな。

 そのおかげで、俺はありとあらゆるゾイドを従えることができ、ゾイドの声を聞くこともでき、あのユウトよりもジェノスピノとの適合率が高かったのだからな!

 この力を得るようになったのは貴様のおかげだ。そこは感謝しよう。だが、この力のおかげで、地球に生き延びた俺はありとあらゆる人間から拒絶され、そして迫害され続けた。そしてその人生を強制した元凶が貴様だ!!」

 

 セードは怒り狂ったように憎悪の念を吹き込んだその手でランドを殴り付け、更に胸ぐらを掴み、ランドの右腕を掴み、そのまま力を込めて、その右腕を引きちぎり、引きちぎられた右腕から鮮血が走り、コードのようなものが接続していて、それは完全な機械の腕だった。

 その後、セードは丸でゴミをゴミ箱に放り投げるかのように下の階にある移民船の動力源にまでランドを投げ付けた。

 

 「ぐわぁっ!!  貴様! 自分のしていることがわかっているのか? 私を殺せば、真帝国は滅び、この地球をゾイドの星にすることが出来ないのだぞ! それにこの私はゾイドをあるべき姿にする人間なのだ!」

 

 「そんなことは俺にとってはどうでもいい。真帝国だと……地球をゾイドの星にするだと……そんなものは貴様のエゴを世界に示したいだけのもので、所詮はゾイドをいつも通り、只の道具として扱いたいだけの詭弁だろ?

 プライドに拾われてから、俺は何度も人間を憎むゾイドの声を腐るほど聞いた。それでわかった。人間は全て貴様のような汚い欲しか持たないクズだとな!

 だから、今の俺の内にあるのは貴様への復讐……そして、俺という存在を生み出した人類全てとこの世界の破壊のみ。 お前の言う真帝国が支配し、ゾイドの星にするというなら、俺はそれを破壊する。貴様への恨みを晴らすためにな!」

 

 パチン!

 

 セードが指を鳴らしたその時、壁を突き破ってジェノスピノが現れ、セードに寄り添った。

 

 「ジェノスピノ……」

 

 「知らなかったか? あの時、貴様が復元実験に失敗したスピノサウルス種ゾイド……そう、あれがこいつだったのさ。

 ゾイドクライシスでようやく姿を現すことが出来たが、貴様の復元の失敗の影響で、不完全な状態になり、しかも短命だったため、こいつは自分をそんな不完全な状態にさせた貴様に復讐するため、世界を破壊し尽くしながら、探し回っていたのさ!

 そして、この時代に復活し、ようやくその復讐の男に巡り会うことが出来るようになった。俺と同じくな。」

 

 グギュ、グギュルルル……

 

 「どうやら、こいつは貴様を殺したくてウズウズしているようだ。お前の言う地球をゾイドの星にするという野望も望んでいないようだし……」

 

 「あっ、あっ、あっ……」

 

 ジェノスピノは頭部のヘッドキャノンをランドの周りを攻撃し、破壊された部位から幾つか煙が出た。

 

 「貴様の倒れている場所はこの移民船の動力源だ。それを破壊したら、どうなるか、貴様もわかっているよな?」

 

 「あっ、あっ……我が息子、ピーター……頼む。助けてくれ。まさか、実の父を殺すようなことはしないだろうな?」

 

 「ふっ、この期に及んで、命乞いとは……こんな奴の息子として生まれたこと自体がバカバカしいぜ。」

 

 その時、ランドは拳銃をとりだし、セードを射殺しようと発砲するが、セードは直ぐ様右腕でそれを防いだ。

 

 「うっ……」

 

 「それが貴様の最後の手段か……つくづく愚かだな。」

 

 セードが再び指を鳴らす仕草を見せ、それを見たランドは焦り、

 

 「や、止めろ!!」

 

 パチン!

 

 その音の合図と共にジェノスピノは火炎放射を放ち、動力源は破壊され、爆破し、ランドはその炎の渦に飲み込まれ、跡形もなく消え去った。セードはランドからもぎ取った右腕の義手を自身の右腕に近付け、そのゾイド因子を吸収し、その義手を踏み潰した。ジェノスピノはそんなセードを見詰め、

 

 「復讐は果たした。だが、これだけでは俺の気が収まらない。このくだらない世界を終わらせるため、それまでには死なない。

 そして、俺はピーター・ランドでも、奴の息子ではない。誰でもない、俺自身である……セード、セード・コルディアスだ。行くぞ、ジェノスピノ。」

 

 セードはジェノスピノに乗り込み、ジェノスピノは壁を突き破って、その場から離れた。

 

 

 

 

 

 

 「このっ、このっ、このっ! 真帝国がこんなところで終わってたまるか!! 私がいる限り真帝国は不滅なのだ!」

 

 シーガルの乗る金色のキルサイスが次々と無数に現れるジャミンガを蹴散らしていくが、丸で尽きることなく、無限に現れるかのように湧いていくジャミンガとの交戦で段々とグロッキー気味になっていた。 

 

 「貴様らさえいなければ、私の真帝国建国の夢は、

叶ったのだ!!! 貴様らさえ、いなければー!!」

 

 やがて、そこにジェノスピノが通り掛かり、セードはそれを見つけ、

 

 「ん? ああ、また一匹ムシケラがいたか。しかもあの状況で尚も戦っているとは……人間ってしぶとさだけは超一流だな。でも、まあ、それも終わりだ。ジェノスピノ!」

 

 セードの指示を聞き、ジェノスピノはそこに歩み寄り、

 

 「くそっ、くそっ、貴様らごときにこの私が! ん?」

 

 シーガルが気付くと頭上にジェノスピノの巨大な足が現れ、徐々に近付いていった。

 

 「うっ、ウワァー!!」

 

 ジェノスピノはそのままジャミンガごとシーガルの乗る金色のキルサイスを踏み潰し、丸で小さな子供が蟻を踏み潰すかのように完全に潰れるまで念入りに踏み潰した。

 

 「お前たち、人間には希望なんて何もない。あるのは絶望と滅亡だけだ。そして、その滅亡の扉を俺が開く。その時こそ、俺はこの下らない世界から解放される。」

 

 ランドに続いて、金色のキルサイスごとシーガルも殺したセードとジェノスピノはそのまま立ち去り、移民船の中を破壊しながら突き進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな中、ラスト大佐が乗り換えたファングタイガー改から逃れたギレル少佐とスピーゲル中佐は次々と襲いかかるジャミンガの群れを撃破するが、多勢に無勢で手間取っていた。

 

 「くそっ、これじゃ、キリがない!」

 

 「移民船爆破まで後、15分。それまでにはつかないと!」

 

 しかし、その時、目の前に多数のキルサイスが現れ、スナイプテラとドライパンサーの道を遮った。

  

 「キルサイス隊……」

 

 「くそっ、こんなときに!」

 

 キルサイス隊が一斉に飛び掛かったその時、飛び掛かったキルサイスが次々と何者かの砲撃で、撃破され、一斉に倒れていった。

 ギレル少佐がその先を見ると、倒れたキルサイス隊の向こうにレオのライジングライガーらしき影が現れた。 

 

 「何!? ライジングライガーだと! 何故彼のゾイドが……」

 

 しかし、その姿がハッキリすると、それはレオのライジングライガーではなかった。姿形はライジングライガーに酷似しているものの、色は金色ではなく、青に近く、また騎士を思わせるような姿をしたライガー・ジ・アーサーだった。

 

 「ライジングライガーじゃない! あれは一体何だ?」

 

 「帝国軍の者か?」

 

 「通信? 誰だ!?」

 

 「名乗っている暇はない。この船のコントロールルームはこの先にある。付いてこい!」

 

 その声に疑問を感じるも、移民船の自爆を止めるため、ギレル少佐とスピーゲル中佐は先を急ぎ、その部屋に着いた後、コクピットから降り、コントロールルームに入った。

 

 「直ぐに自爆装置を解除するんだ!」

 

 しかし、ギレル少佐とスピーゲル中佐が必死に操作しても、どれもセキュリティがロックされていた。

 

 「くそっ、駄目だ! 全てロックされている。」

 

 「皇帝陛下と宰相閣下のみ知っている別の解除は?」

 

 「駄目だ。あれはそもそもフィオナ陛下とハワード閣下の指紋認証と承認コードが必要なんだ。だから、そのためには陛下と閣下本人がいなければ……」

 

 「くそっ! 最早打つ手は無いのか!!」

 

 そこにゼオルとボーマン博士が入り、

 

 「状況はどうなんだ?」

 

 「君たちは一体誰だ?」

 

 「説明している暇はない! 状況を説明してくれ。」

 

 「セキュリティも全てロックされていて、オマケに解除には皇帝陛下と宰相閣下本人の指紋認証と承認コードが必要なんだ。」

 

 「そういうことか。なら、少し強引だが、あれをやるしかないな。 どけ! ボーマン博士、あれを!」 

 

 ゼオルは装置の前に立ち、ボーマン博士が出したパソコンと接続させ、何やら操作を行った。

 

 「セキュリティは完璧のように見えるが、割りと隙はあるようだな。これなら、容易にハッキングできる。

 よし、上手くいった。後は承認コードを書き換えて、自爆シークエンスを解除すれば……」

 

 そして、ゼオルは最後の仕上げにキーを押すと、

 

 「ジバクシークエンス、カイジョ。」

 

 「思ったより、楽勝だったな。」

 

 「皇帝陛下と宰相閣下しかコードを書き換えられないこのシステムをいとも簡単にハッキングして、書き換えるなんて……」

 

 「ほぅ、自爆シークエンスを解除するとは……」

 

 その時、目の前にプライド摂政の映像が現れた。

 

 「プライド! 貴様の目論見は破られた。帝国に投降しろ!」

 

 「フフフフ、まさか、この私が仕掛けた罠が自爆シークエンスのみだと思ったのか?」

 

 「どういうことだ?」

 

 その時、突然移民船が揺れ、

 

 「何だ? 一体何が起こった?」

 

 「ギレル少佐!」

 

 「バスキア大尉か! 何が起こった!?」

 

 「移民船のあちこちに爆発が起こっています!」

 

 「何!? 自爆シークエンスは確かに解除したはず……まさか!」

 

 「その通り、以前のクーデターの際に予め、キルサイスのタイムボムを移民船のあちこちに設置しておいた。万が一の場合を想定してな。」

 

 「貴様……」

 

 「数分毎にそれぞれ設置しているタイムボムが爆発する。最も今更、タイムボムを除去しても既に手遅れだ。ただ、時間を待ってネオゼネバスシティと共に壊滅するのを待つだけだ。では、ご機嫌よう!」

 

 そう言って、映像は途切れた。

 

 「くそっ、せっかくここまで来たのに、ここで帝国の歴史を終わらせてしまうのか!」

 

 「なあ、あんた! この移民船は動かせるのか?」

 

 「この期に及んで、一体何を言っているのだ!?」

 

 「何って、どうせ、爆弾を処理出来ないなら、被害が及ばないよう、船をこの首都の直ぐにある海に沈めるんだよ!

 そうすれば、多少だが、都市の被害をある程度防ぎ、最悪の事態は回避できる。」

 

 「しかし、この船は30年以上もずっと沈黙し……」

 

 「なら、このまま都市に落っことして首都もろとも壊滅してもいいのか?」

 

 「それは……」

 

 「とにかく、こっちには科学者のボーマン博士がいる。多少でも動かすことが出来るはずだ。 博士、出来るな?」

 

 「まあ、ある程度は……」

 

 「それで十分だ。俺はアーサーと共に海辺付近の建物を片っ端から倒壊して、移民船が海に落下した時に発生した津波の防波堤にする。ドライパンサーの相棒のあんたにも協力してくれないか?」

 

 「あ、ああ……」

 

 「よし、決まりだ。直ぐにいくぞ!」

 

 ゼオルの適切な対応にただ、驚くギレル少佐は、

 

 「一体、あの男は何者だ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オメガレックスは荷電粒子砲を連発しながら、移民船を破壊しつくし、徐々に移民船はバランスを崩し、地上に落下しそうになっていた。

 

 「第八波来ます!」

 

 「これだけ、荷電粒子砲を連発しているにも関わらず、まだグロッキーにならないだと!? しかも、何故、バイザーの色が紫色になっているのだ?」

 

 「ギャレット大将、直ぐにコントロールルームに行って、自爆シークエンスを!」

 

 「しかし!」

 

 「これ以上、オメガレックスを放っておけば、ネオヘリックどころか、ニューホープまで破壊されてしまうぞ!」

 

 「わかりました。」

 

 「待ってください!」

 

 その時、レオがギャレット大将とクレストウッド大統領の元に通信を開いた。

 

 「君はレオ・コンラッドか!」

 

 「オメガレックスは俺にやらせてください! あいつは俺が止めます。」

 

 「バカな! ロングレンジバスターキャノンを使えない以上、オメガレックスを倒す手段はないんだぞ!」

 

 「俺とライガーなら、大丈夫です! やらせてください!!」

 

 レオの決心した表情を見たクレストウッド大統領は、

 

 「わかった。君の判断に賭ける。」

 

 「ありがとうございます!」

 

 「大統領……」  

 

 「今は彼を信じよう。」

 

 「行くぞ、ライガー! ライジングライガー、進化 解放! エヴォブラストー!! ライジングバーストブレイク!」

 

 「ムシケラがこの僕を嘗めるなー!!」

 

 ライガーの攻撃に気付いたオメガレックスは口でタテガミブレードを食わえ、そのまま下に叩き付け、タテガミブレードを引きちぎった。

 

 「ブレードが!」

 

 そして、そのままオメガレックスはそのまま足で踏みつけ、ライガーを踏み潰そうとし、更に至近距離で両用速射砲を放ち、ライガーのアーマーが傷付いていく。

 

 「ぐわぁっ!」 

 

 「今まで散々、この僕の邪魔をしてくれたけど、今度は容赦しないよ。何故なら、君はここで死ぬんだから!」

 

 そして、オメガレックスは足をどけ、ライガーを食わえ、そのまま噛み砕くようにライガーの身体を圧縮した。肉食獣として強靭な顎と牙でライガーのアーマーはどんどん削れていき、徐々にボーンの姿が顕になっていった。

 

 「くっ、こんなところで、負けるわけにはいかない。また、ライガーを死なせたくない。ライガー!!」

 

 レオの叫びに応えるようにライガーは最後の力を振り絞って、オメガレックスの口から脱出しようとした。

 

 「へぇ、まだ、こんな力が残っているんだ。」

 

 しかし、オメガレックスはそうはさせじと再び力を入れ、ライガーを噛み砕こうとした。

 

 「ライガー、頑張れ、頑張るんだ!!」

 

 ガオォ~!!

 

 ライガーを力を振り絞り、オメガレックスの口を強引に開け、そこから脱出した。 しかし、オメガレックスは脱出したライガーに誘導ミサイルと両用速射砲を放つ。

 ライガーは残り少ないスタミナで避けようとするが、間に合わず、全て直撃し、ライガーのアーマーが砕け散ってしまい、倒れてしまった。

 

 「ここまで頑張ったと誉めたいところだけど、この僕をコケにした罰として、こいつで、フィニッシュにするよ! オメガレックス、マシンブラスト。」

 

 「まさか、あの距離で荷電粒子砲を撃つつもりか? あんなの喰らったら、いくらライガーでも……」

 

 それを阻止するため、フォックスもビルをよじ登った。

 

 「待て、バーン! 危険だ。お前までやられるぞ!!」

 

 ライガーに照準を合わせたユウトは荷電粒子砲のスイッチを押そうとし、

 

 「じゃあね。」

 

 「止めろー!!」

 

 その時、フォックスが到着する前にどこからか来た砲撃がオメガレックスに直撃し、左目のバイザーが破壊され、オメガレックスは照準をずれ、荷電粒子砲は別方向の山に直撃して消し去った。

 

 「何だ?」

 

 ユウトが振り向くと、そこにキャノンブルと同じ9連キャノン砲と対空速射砲、3連チャージミサイル、そしてロングキャノンを2門装備したワイルドライガーガンナーだった。

 

 「あれは……」

 

 「わ、ワイルドライガーだって!?」

 

 「あのワイルドライガー……まさか!」

 

 「誰だか知らないけど、僕の邪魔をするなら、容赦はしない! オメガレックス、マシンブラストー!!」

 

 「マリ、用意はいいかい?」

 

 「準備万全よ。」

 

 ワイルドライガーガンナーのキャノン砲のコクピットにいるマリアナはミステルテイン砲の照準をオメガレックスの口内の荷電粒子砲に合わせた。

 

 「消えろ、 オメガレックス、ファイヤー!!」

 

 しかし、マリアナはオメガレックスが荷電粒子砲よりも早くミステルテイン砲を放ち、口内に直撃したオメガレックスの荷電粒子砲は暴発し、その衝撃で顔のアーマーと収束シールドが破壊され、オメガレックスは態勢を崩し、そのまま海中に落下していった。

 

 「た、倒した。あのオメガレックスを一撃で……」

 

 ワイルドライガーガンナーはライガーの元に立ち寄り、

 

 「君、大丈夫かい?」

 

 「あ、あなたちは?」

 

 「只の通りすがりのライガーの相棒さ!」

 

 「バルディー、あんまりふざけないの。」

 

 その時、同時に移民船も態勢を崩し、地上に落下しようとしていた。

 

 「ここは危ない。急いで離れるぞ!」

 

 「おい、待て! あんたたちは?」

 

 それに答える暇はないかと言わんばかりにワイルドライガーガンナーはライガーを乗せ、そのまま立ち去り、フォックスもその場から離れた。

 移民船は下にあったビル群を潰し、遂に落下してしまった。

 

 「レオ、バーン!」

 

 しかし、崩れた移民船の影からライガーを乗せたワイルドライガーガンナーとフォックスが現れた。

 

 「レオ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゼオルが乗り、移民船から出たアーサーはネオゼネバスシティの海辺付近の建物に立ち寄り、

 

 「アーサー、ちょっくら、一仕事するぞ!」

 

 グルル……

 

 ゼオルは常に携帯しているキーを取り出し、

 

 「ライガー・ジ・アーサー、進化 解放! エヴォブラストー!! グングニル!!」

 

 エヴォブラストを発動したアーサーは次々とビルの柱を破壊し、その一撃で一つのビルが倒壊した。それを見たスピーゲル中佐は、

 

 「あのライガー、姿だけじゃなく、攻撃方法も例のライジングライガーによく似ている。一体あれは…… だが、今は首都を守ることが最優先だ。」

 

 アーサーとドライパンサーは次々とビルを倒壊させるが、既に移民船は近くまで迫っていた。

 

 「ボーマン博士、そちらの状況は?」

 

 「駄目だ! マグネッサーウィングをやられたため、これ以上は持たない。」

 

 「くそっ、これじゃ、間に合わない! どうすれば……」

 

 ゼオルやギレル少佐たちが半ば諦めかけたその時、到着した帝国の正規軍が現れ、キャノンブル、バズートル、スティレイザー隊が一斉にマシンブラストして、その大規模な砲撃によって、建物が短時間で次々と倒壊し、全て倒れたと同時に移民船が海中に落下し、移民船がタイムボムで幾つかの箇所が爆発し、それによって発生した津波を倒壊した建物が防波堤になって、それを防ぎ、移民船にいたボーマン博士は爆発の寸前に船にあったクワーガに乗って脱出し、同時に移民船の部位を突き破ってジェノスピノが現れ、そのまま海中を泳いで行った。

 

 「ふぅ、何とか間に合ったようだな。」

 

 アーサーから降りたゼオルの元にギレル少佐が立ち寄り、

 

 「帝国を救ってくれたことに礼を言わせてもらう。だが、貴様一体誰だ?」

 

 「その前に先ず、名乗るのが礼儀じゃないのか?」

 

 「帝国軍のクリストファー・ギレル少佐だ。貴公は?」

 

 「俺はゼオル、ゼオル・ランスロット。只の記憶喪失の男だ。」

 

 「記憶喪失……」

 

 その言葉にギレル少佐は少し疑問を持った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネオゼネバスシティから離れた場所で二体のキルサイスのコクピットから出て、望遠鏡でその様子を見ていたプライド摂政とラスト大佐は、

 

 「爆発する移民船を海に落下させ、更に海辺付近のビルを倒壊させて、その影響を防ぐとは……」

 

 「計画が狂ったかしら?」

 

 「だが、それでも両首都に壊滅的な打撃を与えたことに変わりはない。あの状態では暫く復興は不可能だろうし、それまでには我がゼロメタル帝国建設には十分時間を稼げるだろう。」

 

 「それにしても、まさか、あのガキがまだ生きていて、今回の作戦を妨害しに現れるなんて、思いもよらなかったわ。」

 

 「やはり、あの例のワイルドライガーとライガー・ジ・アーサーが奴を守っていたのか、やはり、ライオン種は危険だな。

 惑星Ziに続いて、尽く、我らの計画を阻止してくるとは……」

 

 「でも、この計画に支障はないわ。いくらあいつらがどう足掻いても覆すことなんて出来ないわ。」

 

 「そうだな。我らの計画はパーフェクトなのだからな。だが、その前に消えたユウトとオメガレックスを探さなくては……」

 

 「そのことなら、心配ないわ。」

 

 自信気に声を上げたラスト大佐は身体を液体金属状になり、メルビルの姿に変身した。

 

 「なるほど、その姿を利用するつもりか。」

 

 「あの真帝国の小娘はどうせ先帝から受け継いだゾイド因子を回収すれば、後はもう用なしだから、いいでしょ?」

 

 「確かにそれさえ除けば、あの小娘はもう利用価値のない人間だからな。」

 

 「それに、あの小娘、結構甘ちゃんだけど、この容姿は割りと気に入っているのよね。」

 

 「ふっ、相変わらず変わった奴だ。」

 

 プライド摂政はキルサイスに乗り込み、メルビルの姿に変身したラスト大佐も服装も液体金属状になった後、耐Bスーツに変え、更に頭もヘルメットに変え、キルサイスに乗り込み、そのまま他のキルサイス隊と共にその場を去った。そしてそのキルサイス隊が運搬しているギルラプター改のコクピットには気絶しているサリーとメルビルがいた。

 

 To be continued




 次回予告

 2体のライガーを駆るゼオル、バルディーと名乗る青年たちの助けによって暴走したオメガレックスを一時鎮圧、真帝国の壊滅に成功するものの、移民船が破壊され、両国の首都が壊滅的な打撃を受け、更に真帝国を利用したプライド摂政がラスト大佐、セードと共にサリーとメルビルを連れて消息不明となってしまった。
 そして、ゼオルたちと行動を共にしていたボーマン博士はレオたちにあることを伝えた。それはこの星の裏に関わる重大なことだった。

 次回「始動!新タナル指導者」走り抜け、ライジングライガー!!
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