ゾイドワイルドクロス アナザーZERO 作:オーガスト・アベラス
ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活し、更に進化を遂げた伝説のライジングライガーを相棒にした少年レオは強敵セードとジェノスピノを打ち破ったが、帝国の反乱組織真帝国がユウトの操るオメガレックスを生み出し、レオたちに襲いかかるが、レオのライジングライガーによく似た謎のライガーの助けにより、それを打ち破り、遂に真帝国を壊滅させる。
だが、それは嵐の前の静けさに過ぎず、新たな脅威が襲いかかろうとした。
エリア58に位置する帝国軍の軍事基地、ジェノスピノ、オメガレックスが再び首都を攻撃した場合のことを備えて、演習を行っていた。
「司令、演習は順調ですね。これなら、万が一、敵が来ても対抗出来ます。」
「だが、油断は出来ない。我が帝国の新戦力となるはずだった真帝国のキルサイス隊をほとんど敵に奪われてしまったからな。
あのゾイドは他の帝国ゾイドと違い、複製及び量産がしやすい上に遠隔操作も可能といったかなり汎用性の高い機体だ。あれに対抗するためにはもっと戦力を拡大しなければならない。」
その時、突然基地全体を霧が覆った。
「どうした? 何が起こった!」
「基地全体に謎の霧が発生! これは……自然発生されたものではありません。」
「直ちに原因究明! 全部隊警戒体制を。」
スコーピア隊、キャノンブル隊が基地を覆うように警戒体制に入ったその時、
ズシン、ズシン!
霧の中からズシンズシンと巨大な足音がしていった。帝国軍部隊がより一層の警戒をしたその時、巨大な足音が止み、目の前に霧で姿が見えないが、紫色に発光した謎のゾイドのようなものが現れた。
「何だ、あれは?」
謎のゾイドは身体から紫色の閃光を飛ばし、巨大な鼻のようなもので背中にあるものを掴み、それを投げ付けた。あるものが部隊に直撃した時、突然爆発し、部隊は一瞬で全滅した。
「通信途絶えました。」
「どうした? 一体何が起こった!?」
その時、目の前に投げ飛ばされたスコーピアが司令室の前に現れ、直撃した。
「う、ウワァー!!」
そして、再び爆弾のようなものが投げつけられ、基地は跡形もなく壊滅し、謎のゾイドは霧と共に姿を消した。
その事件はニューホープ軍事基地の司令室にも届き、ギレル少佐とディアス中佐もその情報を入手した。
「これで、3件か。」
「はい! 霧と共に現れた謎の存在が基地に現れ、破壊活動を続けています。」
「標的は帝国軍基地だけでなく、共和国軍基地も入っているようだな。プライドの援軍か?」
「それは確認されておりません。何せ、正体不明ですので……」
「ディアス中佐、どうする?」
「全ての基地に警戒体制を!」
「了解しました!」
謎の敵が基地に襲撃したということは記事にも取り上げられ、それを読んでいるバズは、
「新聞にも出たようだぜ。化けて出る正体不明のゾイドが帝国、共和国の基地を襲ったって。」
「しかも、所属が不明で、プライドとの関わりもわからないらしいしさ。」
「レオのライガーがパワーアップして少しは安心したかと思ったが、今度は謎のゾイドの襲撃か……これから先どうなるのか?」
ギレル少佐とディアス中佐は謎のゾイドの正体を探るため、破壊された基地で記録された映像をボーマン博士に提供し、ボーマン博士はその映像を見た。
「似ている……」
「ボーマン博士、知っているんですか?」
「禁制地区の遺跡を調査した時に、これと同じようなものに襲われ、やむなく遺跡の調査を断念した。」
「ということは……」
「恐らく、こいつも例の兵士と同じ、禁制地区を護衛しているゾイドと思われる。」
「ボーマン博士、これの正体を探り出せますか?」
「この映像を見る限り、鼻のようなもので背中の物体を投げる動作をしている辺り、ゾウ型のゾイドの可能性は高い。」
「ゾウ型……惑星Ziにはエレファンダーといったゾウ型のゾイドはいくらでも確認されてはいるが、地球産のゾイドで、ゾウ型は1度も確認されてはいない。まさか、新種か?」
「ただ、これだけでは、正確な正体は掴めない。このゾイドの正体を暴くにはこのゾイドの姿を直接見るか、捕獲でもしないと……」
「とはいえ、このゾイドが次に何処に現れるか、把握されていない。何しろ、行動範囲がバラバラなので……」
「そのゾイドが襲撃した基地のマップを見せてくれませんか?」
ディアス中佐は謎のゾイドに襲撃された各地の基地のマップを提供し、ボーマン博士はそれを調べた。
「やはり……」
「何か分かったんですか?」
「そのゾイドに襲われた基地が全て禁制地区の付近にあるところに位置しているのだ。」
「ということは……?」
「我々を禁制地区に近付けさせないためにその近くのものを排除しているか、もしくは……」
「禁制地区の領域を徐々に拡げていっているか……か。確かにここ最近は禁制地区の領域が年々拡張していっている。それも真帝国の反乱が起こってからだ。」
「とすると、禁制地区に潜む勢力が動き出したということか。」
「それも最初見た時は気付かなかったが、謎のゾイドによる襲撃も一見、不規則な行動に見えるが、待機しているゾイドの数が少なく、守備の弱い基地を狙いながらと、割りと効率のよい襲撃となっている。
恐らく敵には相当な指揮官がいるだろう。この流れを見ると、次に敵が狙う場所は……」
「エリア74の共和国軍基地か。彼処は天然の要害といえる場所だが、断崖続きで、ゾイドでも通るのがかなり困難で、待機しているゾイドがかなり少ない守備の弱い基地だ。」
「だが、そいつを利用して敵を迎え撃つことは出来る。」
「賭けにはなるが、試してみる価値はあるな。」
「地上の道はかなり困難だから、我が帝国軍から多くの空中部隊を投入し、最低限必要な地上部隊のゾイドを運搬する。」
「それはありがたい。」
「では、エリア74で敵を迎え撃つ。」
禁制地区、旧ワシントン、そこではゾイドクライシスによって崩壊されていたワシントンの街中は謎の兵士たちによって全て機械仕掛けの不気味な街中に変えられていた。ギルラプター改はその街中を歩き、そのコクピットの中で気絶していたサリーとメルビルが目を覚まし、
「う、う~ん。メルビルさん! 大丈夫ですか?」
「さ、サリー? 私は大丈夫。それよりここは?」
2人が辺りを見渡すと、目の前に禍々しい光景が漂い、2人は戸惑っていた。
「ここは……?」
ギルラプター改が止まると、直ぐ様、コクピットから自動的に放り出された。その2人の元にプライドが現れ、
「ようこそ、我がゼロメタル帝国へ。サリー・ランド、ハンナ・メルビル。」
「あ、あなたは……一体此処は何処はなんですか?」
「言葉通りさ。我が神聖なる帝国領にして、貴様らが禁制地区と呼んでいる場所だ。
此処には我々の叡知の結晶が眠っている。そして此処にいる我が兵士は帝国、共和国の連中に足を踏み入れさせないためにずっと護衛してきたのだ。」
「それじゃ、今まで禁制地区に入った帝国軍を襲ったのも、あの時、私とお父様やユウトを襲ったのも……」
「そう、全て彼らなのだよ。彼らは我々と同じ遺伝子を受け継いだ忠実なる兵士にして、優秀な兵士だ。以前のあの愚かな真帝国と違ってな。
だが、もうその必要はない。我が神聖なる帝国の皇帝たる皇位継承者が現れことによって、我がゼロメタル帝国は遂に表に出し、今の帝国と共和国を滅ぼし、我々がこの地球に君臨するのだ。」
「その皇位継承者って一体誰なんですか!?」
「メルビル、それはお前がよく知っているザナドゥリアス殿下だ!」
それを聞いたメルビルは驚愕した。
「そんな……ユウトが……」
「貴様が先帝の長姉だというように、ザナドゥリアス殿下もまた我が神聖なる帝国の皇帝の血を引く者なのだ。 最も貴様と違って、殿下は神の血も引いているのだがな。」
「あなたも、あなたもお父様と同じことをするのですか!? お父様がシーガルと共に私を真帝国の皇帝にしたように!」
「あんなおつむの低い卑しい人間と一緒にしては困る。あの連中は自分のエゴを押し付ける只の駄々っ子のように貴様を立てたが、
我々は違う。殿下はゼロメタル帝国の皇帝になるために生まれたのだ。我々はその手助けをしただけだ。即ち、これは殿下の運命だ。」
「いいえ、そんなことはあり得ない! ユウトは、ユウトはそんな子じゃない。ユウトはホントは優しい子です。
そんな簡単に人を殺したりはしない。ましてや、あなたのような平気で人を切り捨てるような人が作る帝国の皇帝になることは……」
「なら、それは本人に聞いてみるのだな。そしてこれから行われる盛大な儀式で、それを見て確かめろ。 そいつらを特別室に案内してやれ。」
「待って! 離して、離してください!」
プライドの命令を受けた兵士たちはサリーとメルビルを捕らえ、何処かへ連れていかれた。
ギレル少佐率いる帝国軍のスナイプテラ、クワーガ隊でレオのライジングライガーたちが運ばれ、エリア74にある共和国軍基地に辿り着いた。基地に辿り着いたディアス中佐は基地の司令官に会い、
「ディアス中佐、よく来てくれました。」
「早速だが、この基地の戦力はどれぐらいだ?」
「クワガノス88体、ガノンタス11体、トリケラドゴス7体、スコーピア4体、ラプトリア27体です。」
「随分、クワガノスがいるのだな。」
「何しろここは、地上のゾイドが進むには困難な道な上に、地上のゾイドが戦うにはかなり厳しい場所ではありますから。」
「だから、そのためにクワガノスをこれだけ投入したのか?」
「ええ、敵が地上を通っている時に空中から攻撃した方が効率がよいと判断しました。」
「なるほど、それは使える。 なら、そのクワガノス隊を全て私に預けてくれないか?」
「了解しました。」
司令官と会った後、ディアス中佐はギレル少佐やレオたちの元に戻り、作戦を説明した。
「我々を囮にして、空中部隊で、敵を殲滅する?」
「そうだ。先ず我々が基地の入口に立って待ち伏せし、敵が現れるのを待つ。そして霧が現れたところで、クワガノス、スナイプテラ隊を出撃させ、敵の居場所を割り出し、空中爆撃で敵を一気に殲滅させる。」
「なるほど、敵のゾイドがゾウ型なら、対空手段はないと考え、空中部隊で迎え撃つというわけだな。」
「それに敵が爆弾を投げ付けたとしても、クワガノスとスナイプテラの機動力なら、避けられるし、小回りも効く。」
「なるほど、では私がクワガノス、スナイプテラ隊を指揮し、レオたちはディアス中佐の指揮に従って基地の入口で待機していろ。」
「わかりました!」
ギレル少佐の指示に従って、レオのライジングライガー、ゼオルのアーサー、バルディーとマリのワイルドライガーガンナー、バーンのガトリングフォックス、ロックバーグ中尉のパキケドスBRはディアス中佐の乗るギルラプターLCと共に基地の入口で待機した。
暫くした後、遂に目の前に霧が現れ、基地全体を覆っていった。ディアス中佐はギレル少佐と通信を開き、
「ギレル少佐、作戦開始だ!」
「了解。クワガノス、スナイプテラ隊出撃!」
ギレル少佐の乗るスナイプテラについて、クワガノス、スナイプテラ隊が基地から出撃し、霧の上空にまで浮上していった。ギレル少佐らは探知機を起動させ、霧の中を調べるが、
「メタル反応が確認されない。どういうことだ?」
「ギレル少佐、どうだ?」
「霧にレーダーを当ててみたが、ゾイドらしき反応が全くない。」
「何だと!?」
その時、ライガーとアーサー、ワイルドライガーガンナーが何かを警戒するように低く唸った時、目の前の霧から爆弾のようなものが飛来し、それに気付いたライガーたちはそれを回避する。そして、霧の中から身体から紫色の閃光を飛ばし、目を赤く発光させた謎の巨大ゾイドが現れた。それを見たレオたちは、
「あれが……謎のゾイド……」
「遂に現れたか。しかし、どうやってあの断崖続きの道を?」
「ディアス中佐!」
「ギレル少佐、どうした!?」
「霧で姿が確認出来ないが、中から爆音が聞こえる。」
「爆音だと!? まさか……」
「恐らく、敵は爆弾で全ての障害物を破壊し、強引に作った道を通っているのだろう。」
「まさか、そんなことを……」
更に謎のゾウ型ゾイドはギレル少佐のスナイプテラ率いる航空部隊にも爆弾を投げ付けた。
「ぐっ! 全軍散開して敵を爆撃しろ。」
しかし、謎のゾウ型ゾイドは次々と爆弾を空中に投げ、攻撃する隙を与えなかった。
「敵は対空手段がないとばかり、思っていたが、これはちと厄介なようだな。」
禁制地区の旧ワシントンではゾイドクライシスによって崩れた旧大統領官邸の近くで、禁制地区を護衛する兵士が破壊されたリンカーン記念館を宮殿に改造していて、プライドはそれを指揮している1人の人物の元に立ち寄った。
「順調にいっているようだな。ゲイリン・ラス。」
「プライド、ようやく戻ってきたか。お前が殿下を引き連れていったという情報を聞いて、今、こいつを宮殿に改装しているところだ。 だが、それまでに随分掛かったようだな。」
「帝国、共和国の共倒れを少し面倒な奴等に邪魔されてしまってな。」
「お前がそんなヘマをするとは……」
「お前だって、そうじゃないのか? 私とラストが留守の間にゼロメタル帝国を統治していながら、ゼオルを始末出来なかったのだからな。」
「貴様も随分口が悪いな。いくら陛下直属の者だからといって……」
「それより、お前が指揮しているあの3人はどうした?」
「貴様が例の皇位継承者を連れて、戻ってきたと知ってから、我が帝国の領土拡張のために、周辺にいる帝国、共和国の基地を破壊するための主力ゾイドを指揮するよう命じた。 何しろあの3人はああでもしないと、ストレス発散しないからな。」
「ドクターは何処にいる?」
「ブレイブ・グリードの元にいる。ただ、彼は我々と違い、唯一あの光を浴びなかったから、今は身体の調整に当たっている。」
「我々と同じ力を得られなかったのは残念だが、それでも彼は我々の中で最も優秀な科学者だ。それほど心配する必要はない。」
「そういえば、エリア74の共和国軍基地を襲撃している部隊から3体のライガーが確認されたようだが……」
「ほぅ、ということはあの連中も嗅ぎ付けてきたか。」
その時、多数のキルサイスに吊り上げられているかなりダメージを負ったオメガレックスとファングタイガー改が頭上に現れ、リンカーン記念館の前に降ろされ、そのコクピットからユウトとラストが現れた。
「オオ~、殿下、よくぞ戻ってくれました。」
「君は?」
「プライド代理として、この帝国を統治していたゼロメタル四天王が1人、ゲイリン・ラスです。」
「他は? ラストから聞いた話では君はボクの親衛隊の四天王の1人で、他にもいるはずだけど……」
「他の3人はこの帝国領を護衛する役目を持っていますので、今は殿下に会うことが出来ないのです。」
「ふ~ん、じゃあ、戻ってきたら、ボクに挨拶するよう伝えといてね。 ところで、ボクの戴冠式はいつやるの?」
「殿下の戴冠式には殿下が従える我等の崇高なる神を復活させる必要がありまして、その神が復活してからとなります。」
「ようやく記憶が戻って、君たちの元に戻ってきたというのにまだかかるのか……まあ、いいや。取り敢えず、オメガレックスは修理しといて。 それまでにはあいつで少しは楽しまなくちゃね。」
「畏まりました。」
その時、突然、地震のような揺れが起き、改装されているリンカーン記念館のリフレティングプールから何かが沸いていき、そこからジェノスピノが現れた。
「ようやく現れたか。セード。」
「セードか。せっかくのボクの宮殿となる場所の池から出るなんて、失礼にも程があるあるよ。」
ジェノスピノのコクピットから降りたセードはユウトたちの元に立ち寄り、
「覚醒したからといって、随分態度がデカいじゃないか。 だが、お前がどれだけの器だろうが、関係ない。俺はお前の部下になるつもりはないからな。」
「へ~、ボクが本来の力を手に入れたから、その嫉妬かい? ボクの帝国に入っておきながら、生意気だね~。少しお仕置きが必要かな?」
2人の前にプライドが割って入り、
「殿下、余りむきにならないように、彼はあくまで傭兵ですので、私が教育しておきます。」
「そうかい、じゃあ、君に任せるよ。プライド。」
「セード、お前には自由にやらせるとは言ったが、少しは態度をわきまえろ。」
「そんなもの、俺には関係ない。そういえば、ランドを始末し、せっかく我が帝国に入ったのだ。お前に新しいファミリーネームを与えてやろうか。」
「いらん世話だ。 奴を殺した今の俺はピーター・ランドでも、ましてや、ランド家のものではない。
誰でもない、只1人の人間、セード・コルディアスだ。」
「ほぅ、自分でつけたのか。大した奴だ。」
「そんなことはどうでもいい。それより、約束は忘れていないだろうな?
真帝国を潰し、奴を殺して、お前の帝国に入ったら、俺のための戦場を提供してくれると……」
「ああ、忘れてはいない。お前のための戦場はいくらでも提供してやる。 だが、その前に少しやらなければならないのでな。」
「やらなければならないこと?」
「愚かな下等生物に本当の支配者は誰かという宣言だ。」
エリア74の共和国軍基地、入口では、レオのライガー、ゼオルのアーサー、バルディーとマリのガンナー、ロックバーグ中尉のパキケドス、バーンのフォックス、ディアス中佐のギルラプターLCが霧の中に紛れる謎のゾウ型ゾイドと交戦しているが、霧で姿が見えず、ただ、ひたすら霧に向かって撃ちまくるだけだった。
「くそっ! これじゃ、当たっているのか、当たっていないのか、わからないぜ! ディアス中佐、敵の居場所は探り出せないのか?」
「探知機がほとんど反応しない。恐らくあの霧がゾイド反応を消しているのだろう。」
「マジかよ!」
「マリ、狙える?」
「ダメ、スコープも使い物にならなくて、全く狙い撃ち出来ないわ。」
「なあ、ゼオル。何か策はないか?」
「といっても、下手にあの霧に入れば、奴等の術中に入ってしまう。今はこうやって撃ち合うしかない。」
「ディアス中佐、考えがあります?」
「考えとは何だ? 中尉。」
「バーンのフォックスが光学迷彩で姿を隠し、その後に私も霧に侵入して、敵の位置を炙り出します。そしてその隙に中佐たちは一斉砲撃を!」
「しかし、その作戦、少し危険が多くないか?」
「ですが、このままでは、我々のゾイドの銃火器がいつ尽きるかわかりません。もう猶予なんてありません!」
「わかった。 バーンはフォックスの光学迷彩で霧の中に侵入しろ!」
「了解! ようやく俺とフォックスの本領が発揮されるときだな。」
しかし、フォックスが光学迷彩を使おうとしたその時、突然霧の中から紫色の目をしたジャミンガが突然現れ、普段の不自然な動きをせず、まるで野生のラプトルのよう俊敏な動きで、ライガーたちに襲いかかってきた。ライガーたちはジャミンガの大群を次々と撃ち落とすが、ジャミンガが無数に現れるように次々と霧から大量に沸いてき、更にラプトールやラプトリアと違ってサイズも小さく、小回りも効くため、倒すのにかなり手間取っていた。
「このジャミンガ、もしかして、ギレル少佐が言っていた帝国首都を襲撃していた奴か。」
「だが、話では変な兵士が騎乗しているらしいが、そんなもの見当たらないぞ。」
「これは一体……」
「ギレル少佐、そちらはどうだ? 空中から敵を撃てるか?」
「駄目だ! 奴等は空中にいる我々相手でも正確に爆弾を投げ付けていて、中々爆撃が出来ない。」
「くそっ、どうすれば……」
レオが深く考えた後、ライガーが低く唸った。
グルル……
同時に攻撃が止み、霧が晴れていった。
「何だ? 何が起こった!?」
「フフフ。」
その時、誰かの男の笑い声と共にライガーたちのコクピットの通信及び帝国、共和国軍の軍事基地全ての通信、両首都のTV中継が何者かに乗っ取られ、その映像全てにプライドが映った。
「ごきげんよう、下等生物の諸君、私の声が聞こえているかな?」
「プライド……」
ニューホープにいるハワード宰相は通信に応じ、
「貴様、今更、何の真似だ? 降伏してもそれなりの処罰を受ける必要があるぞ。」
「降伏? 全く進化の止まった旧人類はそんなことしか考えられないのか?」
「どういうことだ?」
「今回は我々の神聖なる帝国の建国が正式に定められる記念すべき日であり、今回の襲撃はそれを記念するためのほんのちょっとのご挨拶だ。」
「貴様の帝国だと!?」
「そう、だが、帝国といっても今の落ちぶれた旧帝国でも、貧弱な人間の作ったあの真帝国でもない。
ゾイドクライシスの時から既に存在し、正当なるゼネバスの系統を受け継いだ神聖ゼネバス帝国、ゼロメタル帝国だ!」
「ゼロメタル帝国? ゼネバスの系統を受け継いだ神聖な帝国だと!?」
「本来、ゼネバス帝国はかつて惑星Ziに最初に移住した人類が築き上げた最初の帝国……そして我々はその血を受け継いだ末裔にして、この世に復活した正当なるゼネバス帝国の支配者なのだ。」
「だが、その皇帝は誰になるのだ? 貴様か?」
「私は仕える者だ。皇帝ではない。本来の居場所であるこのゼロメタルでもあくまで摂政なのだ。」
「では、一体……」
「どうぞ、こちらへ、殿下。」
プライドの横から現れたのは何とユウトだった。
「何!?」
「そう、このお方こそ、我がゼロメタル帝国の正統なる皇位継承者であるザナドゥリアス殿下だ!」
同時に映像を見ているレオたちも驚きを隠せずにいた。
「ユウト……まさか、あいつが……」
「久し振りだね。帝国、共和国の諸君、ボクがゼロメタル帝国の皇位継承者であるユウト・ザナドゥリアスだ。君たちがボクのオメガレックスを破壊し、このボクに傷をつけたことは忘れていないよ。 だから、ちゃんとそのための罰を受けてもらうよ。」
その時、ギレル少佐のスナイプテラとディアス中佐のギルラプターLCのコクピットから各軍事基地からの通信が入った。
「ギレル少佐、ディアス中佐!」
「何だ? 何があった!?」
「正体不明のゾウ型ゾイドが各軍の基地を次々と襲撃しています! これ以上は持ちこたえられません。直ぐに援軍を……う、うわぁ~!!」
そして再びプライドの映像に戻り、
「今の通信を聞いたか。殿下のご命令により、先ずは我がゼロメタル帝国の領内の付近にある目障りな基地から破壊し、徐々に首都にまで制圧していく。
我々に無条件降伏する意図があるか、ないかの猶予はしばらく与える。だが、その間にも我が軍は帝国領の付近にある基地を破壊していく。猶予は2日だ。それまでに考えておくのだな。」
そう言うと、プライドは通信を切った。ハワード宰相は拳を握り締め、怒りを抑えきれないでいた。
「おのれ、プライド!」
通信を聞いたレオはプライドのその意気揚々とした宣言に驚きを隠せず、ただ愕然としていた。
「新たな帝国……ゼロメタル帝国。」
To be continued
次回予告
神聖ゼネバス帝国ことゼロメタル帝国の建国を声高に宣言し、ユウトをその皇位継承者としたプライドは遂に帝国、共和国に宣戦布告した。
そしてその宣言に乗るように謎のゾウ型ゾイドが次々と帝国、共和国の軍事基地に現れ、襲撃していった。
レオたちは合同軍と共に再びゼロメタル帝国のゾウ型ゾイドを迎え撃つが、襲撃した謎のゾウ型ゾイドの中にはセードとジェノスピノまでいた。
そして、ゼロメタル帝国領に捕らえられているサリーはある人物と再会する。
次回「ゼロメタル帝国、ファンスの猛威」走り抜け、ライガー!!