ゾイドワイルドクロス アナザーZERO   作:オーガスト・ギャラガー

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 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活し、更に進化を遂げた伝説のライジングライガーを相棒にした少年レオは強敵セードとジェノスピノを打ち破ったが、帝国の反乱組織真帝国がユウトの操るオメガレックスを生み出し、レオたちに襲いかかるが、レオのライジングライガーによく似た謎のライガーの助けにより、それを打ち破り、遂に真帝国を壊滅させる。
 だが、それは嵐の前の静けさに過ぎず、新たな脅威が襲いかかろうとした。


第33話「ゼロメタル帝国の猛威」

 共和国の第二の首都ニューホープ、プライドのゼロメタル帝国建国宣言と共に各地に点在する帝国、共和国の軍事基地が次々と謎のゾウ型ゾイドに襲撃された報告を受け、両国の軍上層部が再び司令室に集結し、対策を練った。

 

 「ゼロメタル帝国……」

 

 「正当なるゼネバスの系統を受け継ぐ神聖なゼネバス帝国だと!? 全くプライドの奴、ふざけおって。」

 

 「だが、今回はかなり厄介だぞ。以前はあのシーガルらの真帝国だったが、今回はプライド自ら作った帝国だ。しかも、現在我が軍及び貴国の軍事基地まで襲っている正体不明のゾイドまでいる。」

 

 「なら、一体どうしろというのだ? 連中にはあのジェノスピノはもちろんだか、ザナドゥリアス元少尉がいるということはオメガレックスもいる。

 即ち、2体の破壊龍が敵の手に渡っているということなのだぞ! もし、その2体で攻め入れられたら、我が帝国はおろか共和国も只では済まない。」

 

 「そのために今、その正体不明のゾイドと交戦したギレル少佐とディアス中佐がボーマン博士と共に対策を練っている。それで、対抗策が出ればいいが……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 プライドのゼロメタル帝国宣言を受け、エリア74の軍事基地に待機しているレオたちやギレル少佐らは襲撃した正体不明の謎のゾウ型ゾイドの正体を探るべく、ボーマン博士は先程の戦闘の映像を元に調査していた。

 

 「やはり、そうだ。」

 

 「何か分かったんですか? 博士。」

 

 「この霧は自然に発生したものではなく、人工的に発生させたものだ。」

 

 「つまり、煙幕と似たようなものか。」

 

 「だが、こんなものは初めて見る。こんな技術は惑星Ziでも前例がない。」

 

 「なら、その霧の正体を探り、攻略しなければ……」

 

 「だったら、教官殿が以前やろうとしていたのと同様に俺とフォックスが姿を隠して内部に侵入して、攻撃すればいいんじゃないか?」

 

 「いや、そう簡単に攻略出来るようなものではない。」

 

 「どうしてだ? 只の霧じゃないのか?」

 

 「ギレル少佐、以前、例のゾウ型ゾイドに襲撃され、破壊された基地の跡地の映像を見せてくれないか。」

 

 「ああ。」

 

 ギレル少佐が映像を開くと、そこには跡形もなく破壊された基地の周辺に石化されたゾイドの残骸がいくつも転がっていた。

 

 「ゾウ型ゾイドに破壊され、霧がその基地を覆った後の映像だ。」

 

 「これがどうしたんだ?」

 

 「どうやら、この石化されたゾイドたちはゾウ型ゾイドに破壊されたものではなく、霧に覆われた瞬間にゾイドコアを破壊され、石化されたものだということが判明した。」

 

 「霧に覆われただけで……」

 

 「石化されたゾイドを調査したところ、ゾイドコアには何かに蝕まれて破壊された箇所が幾つかあり、それによると、その霧にはゾイドにとって有害な物質が充満していて、通常のゾイドがその中に入ると、霧の中に蔓延している有害な物質にゾイドコアが侵食され、絶命してしまう恐れがあるのだ。」

 

 「何!? マジかよ……じゃあ、あのまま入っていたら、フォックスは確実に死んでいたのかよ。」

 

 「ということは、そのゾウ型ゾイドは有害な物質を作り出す性質があり、その物質を霧と共に発生させているということか。」

 

 「そういうことだ。」

 

 「だが、裏を返せば、そのゾウ型ゾイドには有害な物質を取り除くワクチンを持っていて、それを捕獲して生態を調べれば、我が軍のゾイドにも同様の耐性をつけることが出来る。」

 

 「とはいえ、そのゾウ型ゾイドは常に霧の中にいる。そんな状況で、奴を捕獲するのは至難の技だ。せめてその有害な物質の正体が掴めれば……」

 

 「ボーマン博士、その有害な物質の正体を掴めますか?」

 

 「残念だが、それはまだ……」

 

 「とにかく、奴等と戦い、その打開策を見付けるしかなさそうだな。」

 

 「今はそれしかないか……」

 

 「とはいえ、プライドの宣言以降から両軍の基地がほぼ世界規模に広がっている。 これだけの数を我々でも対処するのはかなり難しい。」

 

 「なら、俺たちを分断して別々に当たるのはどうだ?」

 

 ギレル少佐とディアス中佐に意見したのはゼオルだった。

 

 「しかし、分断したら、戦力を落とすことになり、我々が不利になる危険性があるぞ。」

 

 「だが、これ以上戦力拡大は出来ない上に、人手も足りないのだろう。なら、分断した方が効率がいいはずだ。」

 

 「だとしても、下手したら自殺行為になる。」

 

 「何も無理に全て撃破する必要はない。第一、多勢に無勢なこの状況、敵を撃破することはそもそも不可能だ。 

 基地の死守を優先するなら、退くことだけでも十分だし、それに今の俺たちはあの連中のゾイドの情報を手に入れることが最優先だ。なら、俺たちはそれに専念して奴等と交戦するべきではないか?」

 

 「しかし……」

 

 「いや、ディアス中佐、彼の言う通りだ。確かに我々束になって対処しても、両軍の基地を襲っている全てのゼロメタル帝国のゾイドに当たることは不可能だ。やはり、ここは別れて行った方がいい。」

 

 「いいのか? ギレル少佐。確かに彼はレオと同じ両国を救った救世主ではあるが、少々口が過ぎないか?」

 

 「確かに軍人でもない者に口出すことは許せないが、彼の判断は正しい。それに彼がいなかったら、ネオゼネバスシティは確実に終わっていた。ここは彼を信じよう。」

 

 「わかった……」

 

 「(それにしても、レオより年上とはいえ、それでも我々よりは若い。オマケに軍人でもないのに、この余裕と冷静な判断力……この男の正体は一体……)」

 

 「よし、俺はバルディーとマリと一緒に出る。」

  

 「当然だな?」

 

 「ああ、やっぱりお前と一緒じゃないと、張り合いないからな。」

 

 「帝国、共和国のそちらさんはどうするんだ?」

 

 「私はツガミ大尉と共に共和国軍を指揮して、共和国の基地を襲う敵を迎え撃つ。」

 

 「私もだ。バスキア大尉らと共に帝国軍を指揮して、帝国の基地を死守する。」

 

 「え、てことは俺は……」

 

 「何言ってたんだ! レオ、お前には俺とフォックスがいるじゃねぇか。いいよな? ギレル少佐。」

 

 「もちろん構わない。」

 

 「よし、じゃあ、俺はレオと一緒で……」

 

 「待ちなさい。」

 

 「うっ……」

 

 「ハント大佐からレオを世話するよう命ぜられている私も一緒じゃないとは、一言も言っていないわよ。」 

 

 「ひぃ~、教官殿~……」

 

 ロックバーグ中尉はバーンの耳を引っ張り、

 

 「それから、私はロックバーグ中尉よ。いい加減覚えなさい。」

 

 「イタタタタ、わかりました! 許してください。」

 

 「あはは……」

 

 それを見て少し困り顔のレオ、

 

 「よし、では、各自配置の基地に向かえ。」

 

 「了解しました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゼロメタル帝国の領内である旧ワシントンにある施設の中でサリーとメルビルは特別室に閉じ込められていた。メルビルは持っていた小道具でピッキングをするが、中々開けられなかった。

 

 「どう? メルビルさん。」

 

 「駄目、このドア、構造が複雑過ぎて開けられないわ。」

 

 「誰か、誰か、そこにいるの?」

 

 「??」

 

 「どうしたの?」

 

 「今、誰かの声が聞こえたような……」

 

 「誰かいたら、返事して。」

 

 「やっぱり、私とメルビルさん以外にも誰かいるんだ。 一体誰なんですか?」

 

 「その声……サリー、サリーなの?」

 

 「その声は……」

 

 サリーとメルビルしかいないと思われていた部屋にもう1人の女性の声が聞こえ、サリーは後ろを振り返ると、そこにサリーとよく似た若い女性がいた。その女性を見たサリーは驚愕し、

 

 「お母さん、本当にお母さんなの?」

 

 「サリー、私よ! あなたの母、クリスタよ。」

 

 「お母さん!」

 

 クリスタという女性の言葉を信じ、サリーは涙を流しながら、サリーはその女性に抱き付いた。

 

 「お母さん、お母さん!」

 

 「よかった、サリー。無事だったのね。 今まで何処に行ってたの?」

 

 「船の反乱が起こって、端末の光を浴びて、お爺さんと離れ離れになって地球にいたの。

 その後は帝国にいたけど、レオに助けられてお爺さんを探しながら、端末を再起動させたの。」

 

 「そうだったの。 その人は?」

 

 「私が帝国にいたときに御世話になったハンナ・メルビルさんです。」

 

 「あなたがサリーの母親なんですか?」

 

 「そう、クリスタ・ボーマンよ。」 

 

 「そのあなたが何故ここに?」

 

 「船の内部で爆発が起こって、サリーとお父様に何かあったのか思って、部屋に向かった途中、船にいたもう1人の科学者に捕まってしまったの。

 その人は娘と父親を助けたければ、我々と協力しろと……そして私はやむなく、その人に協力してコールドスリープに入って船を脱出して地球に向かったの。

 その後はその人に従って、地球の各地にある遺跡に眠っている古代ゾイドの発掘及び復元をさせられ、ゼロメタル帝国建設のために尽くされたの。」

 

 「古代ゾイド?」

 

 「ゼロファントスよ。」

 

 「ゼロファントス?」

 

 「何でも、その人たちが崇拝する神が新たに作った命にして、卷族ゾイドといっているけど、詳しいことはわからないの。

 でも、その人は私をただ、ゼロメタル帝国のために利用しているだけだと知って、サリーとお父様を探すために何度も脱出を試みたけど、その人に知られて、今ここに幽閉されているの。」

 

 「お母さんを手伝わせたその人って誰なの?」

 

 「それは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 旧ワシントンにある研究所、そこにプライドが入り、コールドスリープ装置のところに立ち寄った。

 

 「コールドスリープ期間 シュウリョウシマス。」

 

 コールドスリープ装置の扉が開かれ、ある人物が目覚めた。

 

 「お目覚めかな? ドクターマイルス。」

 

 「プライドか。お前がここに戻ってきたということは皇帝陛下をお連れしたのか?」

 

 「陛下ではなく、殿下の方だ。残念ながら、陛下の場所はまだ特定されていないのだからな。」

 

 「となると、あの話は本当だったのか。我々ゼロメタル帝国の野望を阻止するあの連中が我等の崇高なる神を封印したっていうのは……」 

 

 「ああ、事実だ。だが、お前も開発に携わったあの端末を再起動させるためのペンダントは手に入れ、我等の神の因子に染まっている。

 それを使えば、封印されていた場所を特定されるだけでなく、端末の力でより完全な姿で復活することも可能だ。」

 

 「そうか……なら、計画は順調だな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 レオたちはそれぞれの基地に向かい、基地の部隊と共に襲撃したゾウ型ゾイドを迎え撃っていた。ゾウ型ゾイドは以前同様、霧の中に紛れて爆弾を投げ付けているため、ライガーたちは迂闊に近寄れず、遠距離武器で砲撃するしか手がなかった。

 ディアス中佐とツガミ大尉が防衛している基地の軍やギレル少佐やバスキア大尉が指揮している基地の軍、ゼオルやバルディーたちが防衛している基地の軍も同様の対処をしたが、ゾウ型ゾイドは怯む様子もなく、しかも丸でスタミナ切れを知らないかのようにお構い無しに攻撃してきた。

 

 「ディアス中佐、ツガミ大尉、これ以上は持ちこたえられません! 一旦引いた方が……」

 

 「いや、ここで引いたら、敵の侵攻を更に許してしまう。そうなる前に何としてもここで食い止める。」

 

 「とはいえ、いくら共和国最新鋭のギルラプターLCでも、こちらがグロッキーになるのは時間の問題、それまで耐えられるか……」

 

 「なら、やるしかない!」

 

 攻防戦が続いて2時間、突然、敵が爆弾を投げるのを止め、同時に霧が晴れ、それまで確認出来なかった敵の姿が遂に現れた。

 現れたのは、帝国、共和国のどのゾイドとも違い、これまで見たこともないような不気味な姿のゾウ型ゾイドだった。全身は白いカラーリングになっているが、身体の所々には血管にも似たような紫色のラインが走っており、背部には武器庫のようなものが装備され、目は帝国ゾイドのZ-Oバイザーに似たような形をしていた。それを見たディアス中佐とツガミ大尉は流石に驚きを隠せず、同時にレオたちやゼオル、ギレル少佐らと戦っている敵も同様に霧を晴らし、姿をさらけ出した。その姿を見たレオも信じられないような光景を見るようにそのゾイドを見た。

 

 「あ、あれが、謎のゾイドの正体……でもあんなの見たこともない。」

 

 「あのゾイド、Z-Oバイザーらしきものはついているが、明らかに帝国のゾイドとは違う。十分に気をつけろ。」

 

 「しかし、ディアス中佐、あのまま霧に紛れて攻撃したままの方が有利のはずなのに、何故、わざわざそれを消し去り、姿を晒すような真似を?」

 

 「我々を嘗めているのか? それとも……とにかく、姿が見えたなら、好都合だ! 奴を完膚なきまでに破壊する!」

 

 ディアス中佐の支持に従って共和国軍はゾウ型ゾイドに攻撃し、ギレル少佐率いる帝国軍も同様に攻撃した。 

 しかし、姿が見え、狙いやすくなったとはいえ、ゾウ型ゾイドは怯まず、爆弾を投げ続け、更に帝国、共和国軍ゾイドの砲撃を耳で防ぎながら攻撃した。

 

 「あのゾイド、爆弾の威力が高い上に防御能力まで備えているのか?」

 

 「まさか、わざわざ姿を晒け出したのは、自分たちの性能を見せ付け、その戦力差を知らしめるためだというのか?」

 

 

 

 

 「ライジングガンスラッシュ!」

 

 ライガーはライジングガンスラッシュで撃ち込むが、ゾウ型ゾイドは全て耳で防ぎ、びくともせず、前に進んでいった。

 

 「くっ、これじゃ、敵が基地内部に入ってしまう。どうすれば……」

 

 その時、ライガーが突然唸り出した。

 

 グルル……

 

 「どうした? ライガー。」

 

 同時にレオの左手も何かに反応して、オレンジ色に輝き、突然、海岸から何者かが砲撃された。ライガーはそれを何とか回避するが、その砲撃は基地の司令塔に直撃した。

 同時に海中から巨大な何かが現れ、そこから現れたのはなんとジェノスピノだった。

 

 「ふぅ、ようやく出られたか。それにしても、やっぱり雑魚ばかりか。」

 

 「ジェノスピノ……どうしてここに?」

 

 ライガーの存在に気付いたセードは、

 

 「うん? ライガーだと……こんなところに、しかも、色が変わっている上に妙なシールドまで装備しているだと……ふん、これはとんだ誤算だな。」

 

 攻撃しているゾウ型ゾイドを前足で払い除けて前に進んだジェノスピノはライガーの前に立ちはだかった。

 

 「久し振りだな。ライガー。遂にあの時の屈辱を晴らす時が来たぞ。」

 

 「ジェノスピノ……でも、相手はライガーがライジングライガーになった時に倒した相手だ。いくら修復しても更にパワーアップしたライガーが負けることはない。行くぞ! ライガー。」

 

 ガオォ~!!

 

 「ライジングガンスラッシュ!」

 

 しかし、ジェノスピノはライガーのライジングガンスラッシュを全てヘッドキャノンで迎撃した。

 

 「何!?」

 

 「はっ、どうした?」

 

 「ならば、ライジングバーストブレイク!」

 

 ライガーは展開したブレードでジェノスピノに向かって突進するが、ジェノスピノは前足で難なく掴み、逆に投げ飛ばした。

 

 「ぐっ、そんな、あの時、倒した技をこんな簡単に……」

 

 「ふん、貴様も更にパワーアップしたつもりだろうが、残念だったな。パワーアップしたのはこちらも同じだ。

 貴様らに敗れたあの時からずっと俺とジェノスピノは海溝に閉じ込められていた。その恨みと憎しみを持って、俺はあの場から抜け出し、更に磨きをかけた。

 そして、俺にこのような人生を強要させた奴を殺した俺は昔の俺ではない。誰でもないただ1人の人間、セード・コルディアスだ。

 貴様らも奴同様、その恨みと憎しみで消え去るがいい。斬り刻め、ジェノサイドクラッシャー!」

 

 ジェノスピノのジェノソーザーを瞬時にメガシールドで防ぐライガー、しかし、ジェノソーザーを防げても、ジェノスピノはパワーに有無を言わせて徐々に力を高め、ライガーは後退していった。

 

 「っ……ボーマン博士が荷電粒子砲に耐えられるために装備し、改造したメガシールドで防いでも、押されるなんて、このジェノスピノ、スチールエリアで倒した時とは桁が違う。」

 

 「どうした? もっと頑張れよ!」

 

 更に押していき、ライガーは力一杯押さえようとも、更に強大になったジェノスピノのパワーに圧倒され、押されていくばかりだった。

 

 「くっ……っ……」

 

 「何だ? 攻撃を防ぐだけか。つまらないな。だが、こっちの武器がジェノソーザーだけだと思うなよ!」

 

 ジェノスピノは即座にロングキャノンを構え、更にそれに上乗せするようにロングキャノンまで放ち、ジェノソーザーからもソーザーバルカンを放った。

 

 「ぐっ、ぐわぁっ!!」

 

 ジェノソーザーに加え、ソーザーバルカン、ロングキャノンの連続攻撃で、流石のライガーも耐えられず、メガシールドを跳ね返され、基地のところに吹っ飛ばされてしまう。

 

 「レオ! くそっ、この野郎!」

 

 「待ちなさい、バーン、危険よ!」

 

 ロックバーグ中尉の忠告を無視してバーンとフォックスはジェノスピノに向かって突っ込んでいった。

 

 「喰らえ、ファントムガトリング!」

 

 「ふん、」

 

 フォックスはファントムガトリングを撃ち込もうとしたその時、ジェノスピノはジェノソーザーでガトリングを一刀両断した。

 

 「何!?」

 

 更にジェノスピノは瞬時に前足でフォックスを掴み、地面に叩き付けた後、片足でフォックスを踏み潰した。

 

 「ぐわぁっ!」

 

 「バーン! くそっ、」

 

 ロックバーグ中尉とパキケドスはバーンとフォックスを助けにいこうとするが、ジェノスピノはジェノソーザーを振り回し、パキケドスの目の前の地面を斬り刻み、更にヘッドキャノンで行く手を阻み、中々近付けなかった。

 

 「くっ、これじゃ近付けない。それにしても、ジェノソーザーの威力が以前より増している上に命中率まで上がっている。一体どうやってあの短期間でここまでパワーアップしたの?」

 

 「くそっ、離せ、離せ!」

  

 「そういや、貴様もあの時、何度か邪魔をしていたな。ライガーを潰す前に先ず、貴様から血祭りに挙げてやろうか?」

 

 ジェノスピノは片足で押さえ付けているフォックスにロングキャノンを撃ち込み、更に火炎放射まで浴びせた。基地の瓦礫から抜け出したレオとライガーはそれを見、

 

 「ば、バーン、フォックス!」

 

 「ぐっ、グギャァ~!!」

 

 数分間火炎放射を浴び続けた後、フォックスのアーマーは大半が溶解し、ボーンが剥き出しになり、バーンとフォックスは気を失ってしまった。ジェノスピノはフォックスを投げ飛ばし、

 

 「ふん、いくら帝国軍最高のステルスゾイドと言えども、所詮恐るるに足りん!」

 

 「くっ、セード!!」

 

 怒り狂ったレオとライガーは再びジェノスピノに突っ込んでいった。

 

 「レオ!」

 

 「うわぁー!!」

 

 「また来るか。なら、今度は2度と再生出来ないよう、パズルみたいに分解してやる。」

 

 ライガーに狙いを定め、縦に斬り刻むようにジェノソーザーを降ろうとしたその時、

 

 ドカン! ドカン! 

 

 突然、クワガノス隊とスナイプテラ隊がジェノスピノに爆撃してきた。

 

 「……? 援軍か。」

 

 「今よ!」

 

 ロックバーグ中尉とパキケドスはすかさず、スモーク弾を放ち、ジェノスピノの周囲を眩ました。

 

 「ふん、逃がすか!」

 

 ジェノスピノはジェノソーザーを振り回そうとするが、クワガノス、スナイプテラ隊は尚も爆撃し、ジェノスピノの攻撃を阻止した。

 

 「ぬっ、こいつら……」

 

 ジェノスピノはヘッドキャノンで撃ち落とそうとするが、クワガノス、スナイプテラ隊は撤退し、同時に煙が晴れた後、ライガーたちの姿はなく、目の前には粉々に破壊された基地の残骸のみだった。

 

 「ちっ、相変わらず逃げ足の速い奴等だ。まあ、いい。どうせ奴等を潰すチャンスはいくらでもある。」

 

 

 

 

 

 

 ジェノスピノから逃れ、クワガノス、スナイプテラ隊に運搬され、レオたちは別の基地に逃げ込み、バーンとフォックスは担架に運ばれ、それぞれ病棟や倉庫に入れられた。

 

 「バーン、しっかり! しっかりしてください!」

 

 心配したレオの言葉も虚しく、バーンは担架で運ばれたまま、返事をしなかった。

 

 To be continued




 次回予告

 基地を襲撃したセードのジェノスピノの猛攻によって、重傷を負ってしまったバーンとフォックス、ボーマン博士はかなりのダメージを負ったフォックスを元の姿のままに修理することは不可能なため、大胆な改造を施す決意をした。
 そんな中、ゼロメタル帝国ではサリーとメルビルが母のクリスタから真実を聞かされ、ゼロメタル帝国からの脱出とユウトの救出に向かおうとしていた。

 次回「誕生! 青キ狐」走り抜け、ライガー!!

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