ゾイドワイルドクロス アナザーZERO   作:オーガスト・ギャラガー

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 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活し、更に進化を遂げた伝説のライジングライガーを相棒にした少年レオは強敵セードとジェノスピノを打ち破ったが、帝国の反乱組織真帝国がユウトの操るオメガレックスを生み出し、レオたちに襲いかかるが、レオのライジングライガーによく似た謎のライガーの助けにより、それを打ち破り、遂に真帝国を壊滅させる。
 だが、それは嵐の前の静けさに過ぎず、新たな脅威が襲いかかろうとした。


第36話「進撃! 暗黒の破壊要塞」

 レオたちがサリーたちを救助した報告を受けたロックバーグ中尉はゼロメタル帝国の追撃部隊に襲われる危険性を予測して上司であるハント大佐に頼み、レオたちを安全な場所に行かせるために急遽共和国第二の首都ニューホープに呼び寄せた。ニューホープの研究所で、サリーとクリスタはボーマン博士と再会し、2人はボーマン博士に抱き付いた。

 

 「お爺さん。」

 

 「お父様。」

 

 「サリー、クリスタ。よく戻ってきてくれた。」

 

 「しっかし、驚いたな。サリーだけじゃなく、お袋さんまでいたとはな。しかも結構美人だし!」

 

 「バズ、そういうこと言ってると、へんな目で見られるよ。」

 

 「レオ、そういうお前はどうなんだよ? サリーが戻ってきて嬉しいんだろ?」

 

 「べ、別に……そんなことじゃ……」

 

 「おいおい、顔が真っ赤になっているぞ。もしかして図星か?」

 

 「ば、そんなわけないだろ! からかうなよ、バズ!」

 

 「ま、これでサリーをお爺さんの元に届ける仕事は終わったということだな。」

 

 「まだ終わったわけじゃないよ。」

 

 「そうだ。ゼロメタル帝国の問題がある。あいつらぶっ倒さねえと、意味がないからな。」

 

 「でも、バーンのフォックスも更にパワーアップしたんだろ? それでもいくらジェノスピノでも…」

 

 「オメガレックスもいる。」

 

 「あっ……」

 

 「あのゾイドにも勝たないと、この戦いは終わらない。」

 

 「おいおい、破壊龍が2体いるんじゃ、こっちの方が不利になるじゃねぇか。」

 

 バズのネガティブな意見にクリスタが口を開き、

 

 「それについてはご安心ください。私は今までゼロメタル帝国の捕虜として生きていましたから、敵の情報はいくらか入手していますので、オメガレックスに対する対抗策はあります。」

 

 「それは助かります。」

 

 その時、ハント大佐とロックバーグ中尉がレオたちの元に現れた。

 

 「ハント大佐、ロックバーグ中尉。」

 

 「実はレオがサリーを救出する前にディアス中佐とギレル少佐から、敵のゾウ型ゾイドが急に撤退して、ここのところ、動きが全く読めず、対抗策が難航していたので、もしよろしければ、詳しく聞かせてくれませんか?」

 

 「はい。」

 

 サリーは周りをキョロキョロ、誰かを探すように見て、それに気付いたレオは、

 

 「サリー、どうしたの?」

 

 「メルビルさんは何処にいるの?」

 

 サリーの問いにハント大佐が答え、

 

 「ハンナ・メルビル元少尉は現在、ネオゼネバスに送られています。事情が何にせよ、彼女は帝国の反乱組織である真帝国の元皇帝ですから、裁判が行われるでしょう。」

 

 「そんな……メルビルさんは何も悪いことはしていません! 真帝国を作る気もなかったんです。

 だから、お願い! メルビルさんを助けてください。」

 

 「しかし、これは帝国の問題で、我々共和国が干渉することでは……」

 

 「大佐。」

 

 「何だね? 中尉。」

 

 「確か、ギレル少佐は帝国のフィオナ陛下と繋がりがあると聞きました。彼を通じて頼むのはいかがでしょうか?」

 

 「う~ん……」

 

 「お願いします!」

 

 「仕方ない、出来るだけのことはしよう。」

 

 「ありがとうございます!」

 

 「それから、クリスタ・ボーマン。ゼロメタル帝国に関する情報宜しくお願いします。」   

 

 「はい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジェノスピノとプライドによる工作により、移民船を破壊されたため、共和国による援助で復興が続けられている帝国首都ネオゼネバスシティ、サリーとクリスタとは別にネオゼネバスに送られたメルビルは移民船とは別に建造され、仮の宮殿とした宰相ハワードの別荘に入れられ、議会で帝国の反乱組織である真帝国の元皇帝であるメルビルの処分が決められようとしていた。

 

 「帝国の反乱組織、真帝国を作った首謀者であるランドとシーガルはプライドによる反乱によって何者かに殺害されたため、裁判を受ける必要はなくなったが、唯一生き残ったアルドリッジ元少佐はランドとシーガルの反乱に全面協力し、更に真帝国の将校として我が帝国に牙を向いため、地位の剥奪と禁固200年の刑に処された。

 後はその真帝国の元皇帝ハンナ・メルビルだが、当然反乱に加わった罪として処罰する必要がある。」

 

 帝国議会議員の言葉にハワード宰相が意見し、

 

 「ですが、私はメルビルに対する処罰は軽いものにしたいと思います。」

 

 「宰相、何を仰られます!?」

 

 「そもそも彼女はランドとシーガルという帝国の大罪人によって望まずに真帝国の皇帝に祭り上げられた被害者なのです! むしろ彼女には刑罰を与える必要はなく、我が帝国の元で責任を持って保護する必要があります。」

 

 「だが、しかし、彼女はランドの養子として育てられたのだぞ! いくら皇族だからといって信用は出来ない。それに確かな証拠は何処にも……」

 

 「いえ、あります。実はネオゼネバスの復興途中に破壊されたプライドの別荘を調査した結果あるものが発見されました。」

 

 「何?」

 

 

 

 

 

 ハワード宰相の別荘で、メルビルは傷の手当てのために医務室にいて、ベッドで横たわっていた。メルビルが目を覚ますと、その横には皇帝フィオナと侍女のジーンが座っていた。

 

 「気付きましたか?」

 

 「あなたは……陛下!」

 

 「あなたのことはハワード宰相から聞きました。あなたはメルビアナ・フィオールイヴィルの側室の娘にして私の義姉のハンナ・メルビルですね。」

 

 「メルビアナ・フィオールイヴィル?」

 

 「私の父上にして、帝国の先代皇帝の名です。」

 

 「その方が私の本当の父親……」

 

 フィオナは写真を取り出し、メルビルに見せると、それには紫色の瞳と赤い髪をした男性がピンク髪の赤子を抱き、その横にはまだ小さな青髪の少女が写っていた。

 

 「あの時、プライドによる破壊工作によって移民船が破壊された後、同時に破壊されたプライドの別荘から、先帝陛下の遺言書が残って調べさせていただきました。ホントにごめんなさい。私ももっと早く気付いていれば、あなたもこんなことには……」

 

 「どうして陛下が謝る必要があるのですか?」

 

 「実はあなたは元々孤児ではないのです。全てはあなたを孤児にするよう、先帝陛下をたぶらかし、仕組まれたものだったのです。」

 

 「え……」

 

 

 

 

 同時に議会でも、ハワード宰相は議員にもそのことを説明していた。

 

 「何と! では、その先代による遺言書によると、ハンナ・メルビルは皇族であることを隠蔽され、密かに孤児院に入れられ、ランドがシーガルらと共にメルビルを真帝国の反乱の道具にさせるためにプライドが仕組んだものだったと!?」

 

 「はい、そしてこの遺言書は先帝陛下が亡くなられる直前に書かれたものだということも判明しました。」

 

 「して、その内容とは……?」

 

 ハワード宰相が遺言書の内容を読み上げると、メルビルは先帝のメルビアナ・フィオールイヴィルの側室が産んだ第一皇女として生まれたが、正室には中々子供が産まれず、メルビルを自身の後継者にすることを考えるも、女性でしかも側室の娘を皇位継承者にすることは議会や国民から反対が出ると懸念されていた。

 そのため、暫くの間、イヴィル先帝の皇位継承者は空席になったが、その2年後に正室から第二皇女として、現皇帝であるフィオナが生まれ、ようやく議会と国民が納得する後継者が現れるようになった。

 しかし、フィオナが生まれたら生まれたで、また新たな問題が出た。フィオナを皇位継承者とすると、メルビルは蔑ろにされ、更には帝国には共和国との関係及び、ゾイドクライシスで廃れた地球の開拓という幾つかの重大な問題を抱えていたため、それを将来ある娘に押し付けるのはかなり苦ではないかと考えた。

 そのため、イヴィル先帝は自らの側近から、皇帝となるフィオナを支えるための摂政となる人物を選抜したが、問題はメルビルのことだった。仮にフィオナが皇帝になっても、納得せず、反対者は当然現れる。そしてやがて、それらの者たちがメルビルを政治利用する可能性もあった。

 メルビルをどうするか、考えている内に彼の元に彼の側近となり、後に摂政となるプライド大佐が現れ、それに対する案を出した。

 その内容とは、フィオナの即位に反対する反逆者がメルビルを利用して反乱を企てる可能性を避け、フィオナの皇位継承をより確実なものにするために、メルビルが皇族だという権利を剥奪し、皇族ではない一般人としての生活を与えるということだった。

 それには流石のイヴィル先帝も反対した。いくら、帝国内の内輪揉めを防ぐためとはいえ、愛する娘を捨てることは出来なかったのだ。

 だが、プライド大佐はメルビルをこのまま宮廷に居座せたら、益々彼女の存在は危うくなり、更に苦しめることになる。そうなる前に別の生活を強いたげる方がよっぽどマシではないかと伝える。

 イヴィル先帝は尚も反対した。だが、メルビルのこれからの人生を考えると、寧ろ皇族ではない生活の方が彼女を苦しませる最低限のことを避けられる。例え、敢えて親子の縁を切ることになっても、娘に背負わせるものを無くせる、そう考えた。

 重い腰を上げたイヴィル先帝は遂にプライド大佐の要求に従い、誰に知られることなく、メルビルを孤児院に入れさせることになった。そしてその数日後、准将に昇格し、議員でもあったプライドの説得により、フィオナが正式にイヴィル先帝の皇位継承者となった。

 

 「でも、それはプライドによる陰謀だった。あなたを孤児院に入れさせた後、帝国に起用し、最強のゾイドを造ることに躍起になってたランドに孤児院に最強ゾイドを操れる実力を持つ者と先代皇帝の血を引く者がいると伝え、それを聞いたランドはあなたを養子に迎え入れたの。」

 

 「私は……最初から利用された…?」

 

 「そして、遺言書の最後にはこう書かれている。」

 

 '' 私は1国の皇帝でありながら、愛する1人の娘を見捨てた。政治上の問題があったからとはいえ、それでもこれは許されないことだ。私の命はそう永くはない。

 しかし、私は敢えてこの遺言書を残す。もし、この遺言書を読んでくれる人がいたら、お願いしたい。孤児院に入れられたハンナを拾い、娘を政治の道具にしないよう、大事に育ててくれ。

 そして、もし彼女が帝国に戻るなら、娘を丁重にもてなし、その贖罪として娘の子をフィオナの皇位継承者にして欲しい。''

 

 それを聞いたメルビルは涙を浮かべた。

 

 

 「御父様……」

 

 「本当にご免なさい。 私、そんなことも知らずにあなたをこんな目に遭わせてしまって、本当にご免なさい。」

 

 

 ハワード宰相が読み上げたイヴィル先帝の遺言書を全て聞いた帝国議員は、

 

 「何てことだ! まさか、そんなことが……」

 

 「しかし、ハワード宰相、その遺言書が破壊されたプライドの別荘にあったということは…」

 

 「ええ、恐らく、何らかの方法で、この遺言書を手に入れ、誰の手にも渡らぬよう、密かに自分の別荘に隠していたと推定されます。」

 

 「プライド、あの男め! まさか、そこまで暗躍していたとは…。」

 

 「しかし、もし、そうなら、同じ真帝国の反乱者の1人でもあるザナドゥリアス元少尉は何者なのだ? 確か、ランドの養子にはメルビルだけではなく、ザナドゥリアスもいて、しかも同じ孤児院から拾い、同時に2人共、プライドの直属に任命されており、そして今では奴によって、ゼロメタル帝国の皇位継承者に下手あげられた。 ハワード宰相、その者に対する資料は?」

 

 「残念ですが、破壊された別荘にはこの遺言書のみで、奴に関する資料は何も……」

 

 「まさか、奴も先帝陛下の御子息だというのか!?」

 

 「それは有り得ん! 第一、先帝陛下に男の子が産まれたなら、現皇帝はフィオナ陛下ではなく、その者になっているはずだ。」

 

 「いえ、もしかすると、それもプライドの工作による隠蔽なのでは?」

 

 「だったら、今の遺言書にそのことに書いていないのはどう説明するのだ? それにもしそうだったら、真帝国の皇帝をメルビルではなく、ザナドゥリアスにしているはずではないか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ユウトの正体を巡って、再び議会が荒れる中、ゼロメタル帝国の帝都と定めれている旧ワシントンの研究所の倉庫で、オメガレックスの修復が完了していた。

 

 「ペンダントの所有権を変更したことによって、ペンダントを応用し、リジェネレーションキューブによるシールド、リジェネレーションシールドを発生させるジェネレーターパーツに更に改良を施し、通常、オメガレックスの荷電粒子砲チャージ中にしか発生しなかったが、今は任意で直ぐに起動させることが可能にした。」

 

 「なるほど、これで、荷電粒子砲チャージ以外にも、シールドをいつでも起動させることが可能になったということか。流石はドクターマイルス。」

 

 「プライド、ドクターマイルス、オメガレックスの修理は終わったの?」

 

 「これはこれは、ザナドゥリアス殿下。もちろん、オメガレックスは既に万全の状態で、いつでも出撃出来ます。」

 

 「そうか……じゃあ、早速こいつで帝国を殲滅させるか。」

 

 「殿下自らですか?」

 

 「そうだよ。だって、ゼロメタル帝国がいるにも関わらず、帝国がもう1つあるなんておかしいし、不公平じゃないか?

 だから、この世に帝国は2つもいらないということを知らしめるためにね。」

 

 「流石は殿下。」

 

 「今のボクには護衛はいらないけど、またロングレンジバスターキャノンとかいう武器を装備されたら、厄介だから、念のため、ゼロファントスを護衛につけといて。」

 

 「いえ、殿下。ゼロファントスは出撃させません。」

 

 「何でだよ? ゼロファントスはゼロメタル帝国の主力ゾイドでしょ。」

 

 「ゼロファントスはあくまで我等の崇高なる神の眷族です。それにオメガレックスにはもっと相応しい眷族ゾイドがいますので、そちらをご用意しましょう。」

 

 「へぇ~、それは楽しみだね。」

 

 「では、ご準備を……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ニューホープの軍事基地で、サリーの要望に答えるためにロックバーグ中尉はフィオナに最も近い人物であるギレル少佐と連絡を取った。

 

 「事情はわかった。しかし、それは私の一存ではどうしようもない。」

 

 「何故です! 少佐はフィオナ皇帝直属の軍人でしょう?」

 

 「確かに、私は陛下に近い立場にいる。だからといって、私はあくまで軍人としての責務を全うする身でいる。 そのようなことまでできる権限はない。」

 

 「お願い! ギレルさん。メルビルさんは被害者なんです。だから、メルビルさんを救ってください。」

 

 サリーの一途な表情を見たギレル少佐は少し息を吐き、

 

 「それに、わざわざ私を頼る必要はない。」

 

 「どういうことですか?」

 

 「陛下は医務室にいる彼女と面会していて、宰相閣下は彼女の罪を刑罰にすると議会で弁解しているとバスキア中尉から報告があった。だから、お前たちが心配する必要はない。」

 

 それを聞いたサリーは安心し、

 

 「よかった、ホントによかった。」

 

 「やったね、サリー。ありがとう! ギレル少佐。」

 

 「(安心したのは寧ろこっちの方だ。あのわがままな陛下に御会いしたら、一々何言われるかわからないから、特に陛下と仲のいいバスキア中尉に頼んだのだから……)

 おほん、ところで、ロックバーグ中尉。実はディアス中佐からも聞いた。君たちはゼロメタル帝国の捕虜になっていたサリー・ランドとその母クリスタを救出したのだな。」

 

 「はい。」

 

 「それで、ゼロメタル帝国に関して、何か情報を得たのか?」

 

 「はい、実は……」

 

 

 

 

 

 同時刻、ニューホープの司令室では、ハント大佐がディアス中佐と共にクリスタから得たゼロメタル帝国の情報をギャレット大将に報告していた。

 

 「それは本当か? 例のゼロメタル帝国のゾウ型ゾイドの名がゼロファントスということを……」

 

 「はい、確かです。 ただ、彼女は復元まで協力させられたものの、彼女が我々の元で保護された場合のことを想定して詳しい生態までは明かされていないようです。

 しかし、ゼロメタル帝国の領内である禁制地区の遺跡から発掘されたと聞き、ボーマン博士によると、地球産ゾイドではないことは間違いないかと……」

 

 「そうか……やはり、そのゼロファントスを盧獲して、その生体を調べないと不可能か。よし、では、直ちにゼロファントスの盧獲に……」

 

 その時、司令室に1人の兵士が入り、

 

 「ギャレット大将!」

 

 「どうした?」

 

 「オメガレックスが数万の部隊を連れて帝国領内に侵入しました!」

 

 「何だと!? まさか、例のゾウ型ゾイドを連れてか?」

 

 「いえ、オメガレックスにはキルサイスとディメパルサー、そして我が国でも確認されていないディロフォサウルス型のゾイドです。」

 

 「何?」

 

 ギャレット大将たちが映像を見ると、そこにはライガーのロングレンジバスターキャノンとガンナーのによって受けたダメージが全て修復されたオメガレックスとキルサイス隊、ディメパルサー隊、ディロフォス隊合わせて数万の軍勢がいた。

 

 「まさか、キルサイスとディメパルサーによる部隊を出していたとは……」

 

 「真帝国が壊滅された後、真帝国のキルサイスは全てプライドに奪われましたが、これが狙いだったのですね。」

 

 「しかし、あのディロフォサウルス型のゾイドは……」

 

 その時、突然映像が乱れた。

 

 「何だ? 何が起こった!?」

 

 乱れた映像からコクピットにいるユウトの映像に変わった。

 

 「こいつは!」

 

 同時にその映像はニューホープだけでなく、ネオヘリック、ネオゼネバス中全てのテレビにも流され、帝国議会及びハワード宰相の別荘のテレビにも映り、フィオナとジーン、メルビルも驚きを隠せないでいた。

 

 「ユウト!」

 

 「やあ、愚かな人間の諸君、ボクの声が聞こえているかな? 改めて自己紹介する。ボクはこのゼロメタル帝国の皇帝となる皇位継承者ユウト・ザナドゥリアスだ。

 これにより、ボク自らゼロメタル帝国軍を率い、この世に帝国はただ1つだということを証明するために君たちの帝国を殲滅する。

 もし、無条件降伏するつもりがあるなら、命は保障し、ボクのゼロメタル帝国に組み込むことを約束しよう。ただし、それ以外は……」

 

 再び映像が変わり、オメガレックスとキルサイス、ディメパルサー、ディロフォス隊による軍勢が映った。

 

 「いくよ、オメガレックス。 オメガレックス、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 マシンブラストを発動したオメガレックスが向けた先にはエリア24の帝国軍基地だった。オメガレックスはその基地に照準を向け、

 

 「オメガレックス、ファイヤー!」

 

 オメガレックスの荷電粒子砲がエリア24に直撃し、エリア24基地は一瞬で壊滅し、キノコ雲に変わってしまい、それを見て唖然とするギャレット大将たち、そしてメルビルも信じられないような表情をした。

 

 「ユウト……そんな……」

 

 「このように、オメガレックスの荷電粒子砲で帝国軍基地を破壊しながら、ネオゼネバスに向かう。オメガレックスがネオゼネバスに到着するまで後11時間。

 それまで返答を待つ。では、それまで楽しみにしてて。死のカウントダウンにね。」

 

 映像が切れ、帝国議会のハワード宰相は拳を握りしめ、

 

 「くそったれが! 緊急命令を発令する。これにより、我が帝国軍はオメガレックスと徹底抗戦し、直ちにこれを迎え撃つ。異論はないか?」

 

 その言葉に誰も異論を唱える議員がいず、

 

 「では、これにより、オメガレックス破壊活動に向かう。」

 

 ハワード宰相の別荘の医務室で、メルビルは泣き崩れていた。

 

 「ユウト……どうして……どうしてなの? あなたはそんな子じゃない。」

 

 「御姉様……」

 

 ニューホープ軍事基地の休憩室で、その映像をレオたちも見、サリーは心配そうな表情をする中、レオはサリーの肩を優しく撫で、

 

 「大丈夫だよ、サリー。でも、オメガレックスに乗っているのは……」

 

 「何があろうと、何としても止める。 いや、止めてみせる。」

 

 To be continued




 次回予告

 ゼロメタル帝国仕様のキルサイス、ディロフォス、ディメパルサー部隊を率いて、ネオゼネバスに向け、帝国軍基地を破壊して侵攻するオメガレックス。
 レオたちはオメガレックスを迎え撃つべく、ネオゼネバスに向かう準備をする。
 そんな時、メルビルはユウトをかつて真帝国の皇帝として利用された自分と同じようにさせないためにサリーと共にある行動に出る。

 次回「進むべき道」走り抜け、ライガー!!

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