ゾイドワイルドクロス アナザーZERO   作:オーガスト・ギャラガー

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 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活し、更に進化を遂げた伝説のライジングライガーを相棒にした少年レオは強敵セードとジェノスピノを打ち破ったが、帝国の反乱組織真帝国がユウトの操るオメガレックスを生み出し、レオたちに襲いかかるが、レオのライジングライガーによく似た謎のライガーの助けにより、それを打ち破り、遂に真帝国を壊滅させる。
 しかし、それは真帝国を利用したプライドによる陰謀で、プライドはユウトを皇位継承者とするゼロメタル帝国の建国を宣言、ライジングライガーとよく似たアーサーとワイルドライガーガンナーを相棒とするゼオル、バルディー、マリアナを新たな仲間に据え、レオたちは帝国、共和国の合同軍と共にゼロメタル帝国と戦うことになった。


第38話「決戦! ネオゼネバス」

 オメガレックス率いるゼロメタル帝国軍がネオゼネバスに迫る中、エリア26の帝国軍基地、そこではセードのジェノスピノが襲撃していた。

 

 「味方機、半数が大破! 隊長、これ以上は持ちこたえられません!!」

 

 「くそっ、ジェノスピノ。まさか、ここまでの相手とは!」

 

 灼熱からジェノスピノが現れ、隊長機のスティレイザーを火炎放射で焼き殺し、同時に他の帝国軍ゾイドも破壊し、基地を完全に炎で覆った。

 

 「ふん、こうチマチマだと、退屈しのぎにもならん。 もっと力が必要だ。この世の全てを破壊できる圧倒的な力を。」

 

 セードはドクターマイルスと会った時の言葉を思い出した。

 

 「(神だと?)」

 

 「(そう、唯一絶対神と呼べる我等の崇高なる神。それを復活させれば、この世界に破壊と混沌をもたらし、新世界を作り上げる。)」

 

 「奴等の言う神……そいつの力を手に入れれば、俺の復讐が達成される。」

 

 ピピッ、

 

 「ん? 近くに巨大なメタル反応……ジェノスピノと同等だと? そうか、オメガレックスの修理が完了して、出撃したということか。これは丁度いい。

 プライドらの言う神の復活には奴の持つゾイド因子とあのペンダントが必要だと聞いたからな。このチャンス、絶対に逃しはしない。 ジェノスピノ、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 ギュオォ~!!

 

 「行くぞ、ジェノスピノ! 俺たちの復讐のために。」

 

 マシンブラストを発動したジェノスピノはジェノサイドクラッシャーで地面を掘り進み、そのまま地中に潜行していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オメガレックス率いるゼロメタル帝国軍がネオゼネバス近くにあるエリア2基地を破壊した報告を受け、ネオゼネバスでは軍による市民の避難と街中にゾイドが集結するなど、より一層の警戒態勢を取られていた。

 

 「コリンズ中将、エリア2が落とされたと報告がありました。」

 

 「これで、残る基地はエリア1のみ、あれも落とされたら、ネオゼネバスに到達してしまう。」

 

 「ですが、ワイルドライガーガンナーのライダーとエバンズ元中尉が我が軍の防衛隊と共にエリア1に到着しています。それにその指揮をしているスピーゲル中佐と以前、首都を救ったゼオルというものが万が一の場合を備えて、アーサーとドライパンサーで首都の入口で待機していて、そこで指揮を取っていると聞きます。問題はありません。」

 

 「だと、いいのだがな……」

 

 

 

 ネオゼネバスの入口で待機しているアーサーとドライパンサーに乗り込んでいるゼオルとスピーゲル中佐はバルディーとマリに通信を開いた。

 

 「バルディー、マリ。そっちの様子は?」

 

 「こっちは問題ないぜ。」

 

 「今のところ、敵の姿はまだないわ。」

 

 「わかった。じゃあ、引き続き、警戒態勢に当たれ。」

 

 「了解。」

 

 「ところで、スピーゲル中佐。 ゼロメタルのディメパルサー、ディロフォスの電磁パルスの最大射程距離は?」

 

 「推定でも、2キロ近くと想定される。」

 

 「かなり、広いな。 だが、オメガレックスさえ倒せば、勝機は出る。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エリア1の基地でマリがワイルドライガーガンナーのスコープで、周囲を見渡していたその時、目の前にキルサイス隊が現れ、エリア1に砲撃してきた。

 

 「来た! 攻撃開始。」

 

 敵の攻撃を受け、ワイルドライガーガンナーを初めとするエリア1基地の帝国軍は一斉にキルサイス隊に向けて砲撃を開始し、同時にディメパルサー、ディロフォス隊もマシンブラストを発動し、電磁パルスを発生させ、オメガレックスも誘導ミサイルを発射させた。

 

 「全軍、距離をキープしながら、砲撃しろ!」

 

 

 

 

 

 

 ゼロメタル帝国軍とエリア1の帝国軍が交戦を始めた中、ニューホープから脱走し、サリーを乗せたハンターウルフ、ギルラプターは森の中を走り抜け、真っ直ぐネオゼネバスに向かった。

 

 「急いで、急いで! ハンターウルフ。」

 

 ワオォ~ン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゼロメタル帝国軍によるキルサイス、ディメパルサー、ディロフォスとワイルドライガーガンナーによる帝国軍は一進一退の攻防戦が続いていた。

 ディメパルサー、ディロフォス隊はジャミングの攻撃も帝国軍はスピーゲル中佐の指示で、射程圏に入らないように後退しながら、砲撃し、両軍とも一歩譲らない形になっていた。

 砲撃が続く中、バルディーは目の前のオメガレックスに少し違和感を感じていた。

 

 「それにしても、あのオメガレックス、さっきからミサイルばっか撃ってきて、全然荷電粒子砲撃ってこない。 オマケに何か、時々映像が途切れているようにも見えるし……」

 

 「ん? 荷電粒子砲を撃たない、映像が途切れる……バルディー! ミステルテイン砲を撃つわよ。」

 

 「え、どうするの?」

 

 「とにかく、私の言う通りにして。」

 

 マリはガンナーのミステルテイン砲をオメガレックスに向けて照準を合わせ、砲撃した。 ミステルテイン砲の一撃ががオメガレックスに直撃した。

 

 「やったの?」

 

 煙が晴れると、そこにはオメガレックスの姿はなく、破壊されたディメパルサー、ディロフォスだった。

 

 「何、どうなってんの?」

 

 「やっぱり、あのオメガレックスはただの幻、ディメパルサー、ディロフォスの電磁パルスで作った幻影だったんだわ。」

 

 「げ、幻影だって!?」

 

 「それにしても、まさか、こんな芸当まで出来るなんまて……? ちょっと待って。じゃあ、オメガレックスは何処に?」

 

 

 その時、ネオゼネバスのあるところに爆発が起きた。

 

 「この音は……まさか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネオゼネバスの突然の爆発に逃げ惑う市民たち、兵士は何とか誘導するが、その爆発は次々と起こり、街中を破壊していった。

 

 「何だ、この爆発は?」

 

 「わかりません。 どういうわけか、突然、攻撃を受けました。」

 

 「爆破テロだとでもいうのか! しかし、都市にある不審なものは予め、処分しておいたはずだが……」

 

 「コリンズ中将! サーモグラヒィに反応が出ました。」

 

 サーモグラヒィーによる映像では空中にキルサイスが空中爆撃し、地上ではディロフォスが街中を砲撃していた。

 

 「き、キルサイスとディロフォスが我が首都を攻撃しています!」

 

 「バカな! どういうことだ!?」

 

 「どうやら、光学迷彩で姿を隠して攻撃しているようです。」

 

 「何だと! まさか、エリア1が落とされたとでも言うのか!?」

 

 光学迷彩で姿を隠しているキルサイス、ディロフォスが市民にも牙を向けたその時、

 

 「グングニル!」

 

 突然、ビルから何かが現れ、槍のようなものがキルサイスとディロフォスを同時に突き刺した。槍のようなもので突き刺した者はアーサーだった。

 

 「ライガー・ジ・アーサー……」

 

 「何なんだ? こいつらは……ん?」

 

 ゼオルが何かに気付くと、光学迷彩で姿を隠したキルサイス、ディロフォスもアーサーに襲いかかろうとしたその時、それらが一瞬で何処から来た砲撃で撃破されていった。

 

 「助かりました。スピーゲル中佐。」

 

 そこに現れたのはドライパンサーだった。

 

 「スピーゲル中佐!」

 

 「敵は我々が引き付ける。他の部隊は市民の避難を!」

 

 「了解しました!」

 

 アーサーとドライパンサーが倒したキルサイスとディロフォスはいずれも黒いカラーリングをした機体だった。

 

 「こいつら、一体何処から?」

 

 

 

 

 

 

 司令室での映像では、ネオゼネバス中にはキルサイスと黒いディロフォスで埋め尽くされていた。

 

 「敵の数はどれぐらいだ?」

 

 「推定ですと、エリア1を襲撃している敵の隊の倍の数と思われます。」

 

 「何! 馬鹿な!? 一体何処からそれだけの数を?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゼロメタル帝国領内旧ワシントンで、プライドとドクターマイルスはネオゼネバスでの映像を見ていた。

 

 「まさか、二重に手を打っていたとは、貴様も抜け目がないな。」

 

 「先のネオヘリックでの戦闘で、オメガレックスを大破させたあのワイルドライガーガンナーを引き離すためのカモフラージュだ。あれを再び戦わせたら、また厄介なことになりますからね。」

 

 「だが、ネオゼネバスにはもう一つ厄介なアーサーがいるぞ。」

 

 「いえ、それが狙いです。 殿下の完全覚醒にはあのアーサーと戦わせる必要があるのですから……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「くそっ、何なんだ? こいつらは。」

 

 その時、ゼオルが何かに気付き、アーサーでドライパンサーに体当たりした。

 

 「ゼオル! 何のマネだ?」

 

 その時、目の前に緑色の荷電粒子ビームが放たれ、ネオゼネバスのビル群を破壊し、同時に放たれた方向から、オメガレックスとキルサイスと黒いカラーリングのディロフォス隊が光学迷彩から姿を現した。

 

 「オメガレックス、どういうことだ?」

 

 「ゼオル!」

 

 「マリか。どうした?」

 

 「やられたわ。 敵のディメパルサー、ディロフォスは電磁パルスで幻影を見せることも可能で、それで、私たちにオメガレックスの幻影を見せて注意を引き付けた後にオメガレックスと予め用意していた別動隊をネオゼネバスに

向かわせたそうよ。」

 

 「そういうことか。俺たちはまんまと奴等の罠に掛かったということか……」

 

 

 

 

 

 ネオゼネバスでの戦闘による地響きはハワード宰相の別荘にも届いた。それに戸惑う、メルビルとフィオナ。

 

 「こ、これは……」

 

 「陛下!」

 

 「バスキア中尉、どうしたのです?」

 

 「どうやら、ゼロメタル帝国軍が首都に襲撃してきたようです!」

 

 「何ですって!」

 

 「ここは危険です! 陛下は急いでメルビル嬢と侍女様と共にシェルターへ。私がご案内します。」

 

 「そんな、本当にユウトが……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネオゼネバスにオメガレックスと新たなキルサイス、ディロフォス隊が現れたという報告はネオゼネバスに向かっているレオたちやディアス中佐率いる共和国軍にも届いた。

 

 「何? それは本当か? ギレル少佐。」

 

 「ああ、報告によると、敵のディメパルサー、ディロフォスの電磁パルスには幻影を見せることも可能で、それを利用してエリア1基地の部隊の目を欺いて、その隙に光学迷彩で姿を隠していた別動隊とオメガレックスをネオゼネバスに向かわせていたそうだ。」

 

 「何てことだ。まさか、更に増援を用意していたとは!」

 

 「とにかく、一刻も早くネオゼネバスに着いて欲しい。我々の戦力では、とても手に負えない。」

 

 「わかった。直ぐに向かう。 全軍、直ちにネオゼネバスに向けて全速力で向かえ……」

 

 その時、ニューホープにいるボーマン博士から通信が入り、

 

 「ディアス中佐!」

 

 「ボーマン博士、一体どうしたのですか?」

 

 「実は滷獲していた元帝国のハンターウルフ改とギルラプター改が基地から脱走したのだ。」

 

 「何!?」

 

 「しかも、内一体にはサリーを乗せていて、それらがネオゼネバスに向かっていることが判明した。」

 

 「サリーが!」

 

 それを聞いたレオは驚愕した。

 

 「あの2体がどういう理由で脱走し、サリーを乗せてネオゼネバスに向かっているのか不明だが、あの子を戦場に送らせるわけにはいかない。 ディアス中佐、娘を連れ戻してください。」

 

 「わかりました。(とはいえ、今は一体のゾイドでも戦力が欲しいこのときに捜索隊を出したら、戦力が落ちて、益々我々が不利になってしまう。どうすればいい?)」

 

 「俺が行きます!」

 

 声を上げたのはレオだった。

 

 「レオ……しかし、君は我々と共に……」

 

 「確かに、俺とライガーはオメガレックスを止めるためにここまで来ました。でも、サリーを戦場に巻き込む訳にはいきません。お願いします! ディアス中佐、行かせてください。」

 

 「レオ……」

 

 

 

 その時、突然、地面が激しく揺れた。

 

 「何だ? 地震か!」

 

 「いや、揺れが移動している。」

 

 その時、目の前に巨大なノコギリが現れ、地面を削り取っていった。削り取った巨大な穴から2本の前足が穴の開いた地面を掴み、穴からジェノスピノが現れた。

 

 ギュオォ~!!

 

 「ジェノスピノ、どうして此処に?」

 

 「ふぅ~、オメガレックス以外に反応があったから、出てみたら、まさか、あのライガーとその連れまでいたとはね。丁度いい。 ネオゼネバスに着くまでの暇潰しにさせてもらうとするか。」

 

 「レオ! ここは我々が引き受ける。君はサリーの元に!」

 

 「でも、ディアスさん。」

 

 「我々は大丈夫だ。それより、君には大切な人を守る使命があるのだろ? なら、君は君の責務を全うしろ!」

 

 「そうだぜ、レオ! サリーはお前が守るんだろ?」

 

 「ディアスさん、バーン。」

 

 「何だ? 臆病風に吹かれて、戦線離脱するつもりか? どうしようもない腰抜けだな。」

 

 「何!?」

 

 「ま、パワーアップしておきながら、俺のジェノスピノに手も足も出ないなら、仕方ないな。こんなんなら、オメガレックス相手でも同じだな。」

 

 「くっ! (確かに、今の俺とライガーじゃ、オメガレックスと戦っても太刀打ち出来ない。こいつを倒さないと、俺とライガーはオメガレックスを食い止めることなんて、到底出来ない。 やはり、戦うしか……)」

 

 レオは拳を握りしめ、ライガーがジェノスピノの方に向きを変えようとしたその時、

 

 「行きなさい、レオ!」

 

 「ロックバーグさん、でも、こいつを倒さないと、俺とライガーはオメガレックスを……」

 

 「確かにそうだけど、だからといって、ここで時間を潰す余裕はあるの?」

 

 「!?」

 

 「サリーを守り、オメガレックスを止める。それがあなたのすべきことでしょ! なら、あなたはあなたのやるべきことをやりなさい。」

 

 「レオ、ここは俺たちだけで、大丈夫だ。お前はネオゼネバスに行け!」

 

 「バーン……わかった。行くぞ、ライガー!」

 

 ロックバーグ中尉とバーンの言葉を信じて、ライガーはそのまま走り去っていた。

 

 「逃がすか。」

 

 それを見たセードはロングキャノンをライガーに向けるが、フォックスのロングガトリングが防いだ。

 

 「相手を間違えるんじゃねぇぞ。あの時、俺のフォックスに傷を負わせた借り、更にパワーアップしたこの力で返してもらうぜ!」

 

 「ふっ、貴様も同様にパワーアップしたのか、まあ、いい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レオたち共和国軍がセードのジェノスピノに足止めを喰らっている中、ネオゼネバスでは、帝国軍の守備隊がゼロメタル帝国軍の新たなキルサイス、ディロフォス軍団に苦戦を強いられていた。

 

 「くっ! こいつら、かなりすばしっこい。」

 

 「これでは、我々の圧倒的に不利だ。」

 

 「怯むな! マシンブラストで一気に肩をつけるぞ。スナイプテラ、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 「クワーガファイアボンバー、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 「アブソルートショット!」

 

 「デュアルショット!」

 

 しかし、キルサイスはスナイプテラとクワーガファイアボンバーの砲撃を次々と的確に避けていき、同時にマシンブラストを発動し、スナイプテラとクワーガファイアボンバーに襲いかかってきた。

 スナイプテラとクワーガファイアボンバーは何と回避し、ガトリングで反撃するも、一体一体を撃墜させるのにかなり手間取っていた。

 

 「何てすばしっこい奴等だ。」

 

 「敵のライダーはかなりの腕揃いの奴等のようですな。」

 

 「だが、これだけの大部隊にこれだけの腕を持つライダーを一体何処から集めたのだ?」

 

 

 

 

 空中と同様にアーサーとドライパンサー率いる帝国の地上部隊が黒いディロフォス軍団と交戦しているが、黒いディロフォス軍団にキルサイスと同等の機動力で帝国守備隊を翻弄し、キャノンブル、バズートル、スティレイザーの砲撃を難なく交わしてしまう。

 

 「くそっ、ちょこまかと!」

 

 その時、黒いディロフォス軍団は一斉にマシンブラストを発動し、砲撃を避けながら、帝国軍ゾイドに近付き、キャノンブル、バズートル、スティレイザーのコクピットのある背中に乗り、そのまま展開したディスラペルとディスシールドで発生したジャミングをコクピットにゼロ距離で放ち、それを受けたゾイドの身体が電磁パルスに包まれ、ライダーの身体が突然破裂するように爆破し、同時にゾイドも全身が粉々に砕けてしまった。それを見たリュック大尉は、

 

 「まさか、あの黒いディロフォスは機動力を利用して、相手に近付き、至近距離で電磁パルスを放つタイプのものなのか!」

 

 「バズートル隊、4機損傷!」

 

 「スティレイザー隊も3機損傷した!」

 

 「駄目です! リュック大尉。 これ以上は持ちこたえられません。」

 

 「諦めるな! 何としても首都だけは死守しなければならない。こんなところで、我が帝国を終わらせるな~!!」

 

 しかし、目の前に黒いディロフォスが現れ、ジャミングを放とうとして、リュック大尉が驚愕したその時、

 

 「グングニル!」

 

 アーサーのランスが黒いディロフォスを突き刺し、同時にドライパンサーも現れ、黒いディロフォス軍団を撃破していった。

 

 「ゼオル、スピーゲル中佐!」

 

 「間に合ったようだな。それにしても、こんなに数が多いとは!」

 

 「(しかし、変だ。いくら、こんなに数が多いからといって、何故、オメガレックスは一向に動く気配を見せないのだ。荷電粒子砲を撃てば、一気に肩がつくはずなのに……ん? まさか、奴の狙いは!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 キルサイス、黒いディロフォスが帝国守備隊と交戦している様子を傍観していたユウトは動きだし、

 

 「流石に連中もグロッキー気味になってきたようだね。じゃ、そろそろ終わりにしようか。オメガレックス。」

 

 グロロォ~!!

 

 「オメガレックス、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 マシンブラストを発動させたユウトは荷電粒子砲の照準を帝国軍守備隊に向けた。

 

 「さあ、ゲームセットだ。」

 

 ユウトが荷電粒子砲の引き金を引こうとしたその時、

 

 「止めて~!!」

 

 「ん?」

 

 その時、オメガレックスの目の前にハンターウルフ改が立ち塞がった。

 

 「何だ、こいつは?」

 

 「ユウト、もう止めて。」

 

 オメガレックスの前に立ち塞がったハンターウルフ改に乗っているサリーは涙を浮かべながら、ユウトに訴えかけた。

 

 To be continued




 次回予告

 ハンターウルフ改と共にオメガレックスの前に立ち塞がったサリー、サリーはユウトを説得しようとするが、ユウトは聞く耳を持たず、ネオゼネバスの街を破壊し、ゼオルのアーサー、ハワード宰相のナックルコングと交戦していった。
 ハンターウルフ改と共にネオゼネバスに来たギルラプター改はシェルターに逃げ込んだメルビルとフィオナの元に向かい、ゾイド因子を通じてサリーの思いをメルビルに伝えた。
 しかし、そんな中、戦況が悪化して苛立つユウトにオメガレックスのジェネレーターパーツのペンダントが紫の光を放ちユウトの身に変化がおきる…

 次回「内なる邪悪な力」走り抜け、ライガー!!

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